JP2021093496A - 炭化珪素半導体装置および電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】配線と主電極との電気的な短絡を防止した炭化珪素半導体装置を提供する。【解決手段】炭化珪素半導体基板の厚み方向に主電流が流れる炭化珪素半導体装置において、炭化珪素半導体基板の主電流が流れる活性領域より外側に活性領域に沿って設けられたゲート配線と、活性領域上に設けられ、ゲート配線に接続されたゲート電極と、活性領域上に設けられ、ゲート電極とは電気的に分離された第1の主電極と、炭化珪素半導体基板の第1の主電極が設けられた側とは反対側の主面に設けられた第2の主電極と、ゲート配線と第1の主電極との間に設けられたショート防止膜と、を備えている。【選択図】図2
Description
この発明は、炭化珪素半導体装置に関し、特に、配線と主電極との電気的な短絡を防止した炭化珪素半導体装置に関する。
炭化珪素(SiC)基板に形成されるSiCMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)においては、耐湿信頼性を確保し、素子の電気特性を低下させないように、保護膜が形成されていることが多い。保護膜は、例えば特許文献1に開示されるように、応力を緩和する第1の保護膜と、第1の保護膜上に設けられた耐湿信頼性を確保する第2の保護膜とで構成され、保護膜は、電極取り出し部以外の半導体装置の全体を覆うように設けられている。
SiCMOSFETの使用環境においては、急激な温度変化が繰り返してSiCMOSFETに加わる場合があるが、そのような場合は、SiCMOSFETを封止するモールド樹脂とSiCMOSFETの最表面の保護膜、例えば、ポリイミド膜または窒化シリコン膜との熱膨張係数が異なるため、SiCMOSFETの表面の膜に応力が加わり、応力により例えばAlSi(アルミニウム−シリコン合金)で構成される配線がスライドして、配線と主電極との電気的な短絡が発生する可能性があった。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、配線と主電極との電気的な短絡を防止した炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
本発明に係る炭化珪素半導体装置の態様は、炭化珪素半導体基板の厚み方向に主電流が流れる炭化珪素半導体装置であって、前記炭化珪素半導体基板の前記主電流が流れる活性領域より外側に前記活性領域に沿って設けられたゲート配線と、前記活性領域上に設けられ、前記ゲート配線に接続されたゲート電極と、前記活性領域上に設けられ、前記ゲート電極とは電気的に分離された第1の主電極と、前記炭化珪素半導体基板の前記第1の主電極が設けられた側とは反対側の主面に設けられた第2の主電極と、前記ゲート配線と前記第1の主電極との間に設けられたショート防止膜と、を備えている。
本発明に係る炭化珪素半導体装置によれば、ショート防止膜を設けることで、外部からゲート配線および第1の主電極に力が加わった場合でも、ゲート配線が第1の主電極側に潰れて、第1の主電極と電気的に短絡することを防止できる。
<はじめに>
以下の説明において、「活性領域」とは半導体装置のオン状態において主電流が流れる領域である。また、以下において、「外側」とは半導体装置の外周に向かう方向であり、「内側」とは「外側」に対して反対の方向とする。また、以下の記載では、不純物の導電型に関して、N型を「第1導電型」、N型とは反対導電型のP型を「第2導電型」として一般的に定義するが、その逆の定義でも構わない。
以下の説明において、「活性領域」とは半導体装置のオン状態において主電流が流れる領域である。また、以下において、「外側」とは半導体装置の外周に向かう方向であり、「内側」とは「外側」に対して反対の方向とする。また、以下の記載では、不純物の導電型に関して、N型を「第1導電型」、N型とは反対導電型のP型を「第2導電型」として一般的に定義するが、その逆の定義でも構わない。
なお、図面は模式的に示されるものであり、異なる図面にそれぞれ示されている画像のサイズおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得る。また、以下の説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称および機能も同様のものとする。よって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書において、「〜上」および「〜を覆う」という場合、構成要素間に介在物が存在することが妨げられるものではない。例えば、「A上に設けられたB」または「AがBを覆う」と記載している場合、AとBとの間に他の構成要素Cが設けられたものも設けられていないものも意味され得る。また、以下の説明では、「上」、「下」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置および方向を意味する用語が用いられる場合があるが、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするため便宜上用いられているものであり、実際に実施される際の方向とは関係しない。
また、「MOS」という用語は、古くは金属-酸化物-半導体の接合構造に用いられており、Metal-Oxide-Semiconductorの頭文字を採ったものとされている。しかしながら特にMOS構造を有する電界効果トランジスタ(以下、単に「MOSFET」と称す)においては、近年の集積化や製造プロセスの改善などの観点からゲート絶縁膜およびゲート電極の材料が改善されている。
例えばMOSFETにおいては、主としてソース・ドレインを自己整合的に形成する観点から、ゲート電極の材料として金属の代わりに多結晶珪素が採用されてきている。また電気的特性を改善する観点から、ゲート絶縁膜の材料として高誘電率の材料が採用されるが、当該材料は必ずしも酸化物には限定されない。
従って「MOS」という用語は必ずしも金属-酸化物-半導体の積層構造のみに限定されて採用されているわけではなく、本明細書でもそのような限定を前提としない。すなわち、技術常識に鑑みて、ここでは「MOS」とはその語源に起因した略語としてのみならず、広く導電体-絶縁体-半導体の積層構造をも含む意義を有する。
なお、以下では、半導体装置としてSiCMOSFETを例に採って説明するが、SiC基板に形成されるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に各実施の形態の構成を適用しても良い。
<実施の形態1>
<装置構成>
図1は本発明に係る実施の形態1のSiCMOSFET100の上面構成を模式的に示す平面図である。図1に示すようにSiCMOSFET100は、平面視形状が四角形状のSiC基板1(炭化珪素半導体基板)上に設けられ、SiC基板1の中央部の活性領域ARの外周部に沿ってゲート配線152が設けられている。
<装置構成>
図1は本発明に係る実施の形態1のSiCMOSFET100の上面構成を模式的に示す平面図である。図1に示すようにSiCMOSFET100は、平面視形状が四角形状のSiC基板1(炭化珪素半導体基板)上に設けられ、SiC基板1の中央部の活性領域ARの外周部に沿ってゲート配線152が設けられている。
活性領域AR内には、ソース配線とソースパッドを兼用するソース電極151(第1の主電極)とゲートパッド153が設けられている。ソース電極151は、ゲート配線152と同層にソース領域が形成された範囲を覆うように形成され、ゲートパッド153は、ソース電極151とゲート配線152との間に設けられている。また、ソース電極151とゲートパッド153との間およびゲートパッド153とゲート配線152との間にはショート防止膜16が設けられている。なお、ソース電極151、ゲート配線152およびゲートパッド153の配置および形状は図1に限定されるものではない。
なお、ショート防止膜16は上記以外の領域には設けられていない。すなわち、ゲート配線152より外側には層間絶縁膜12が露出し、層間絶縁膜12よりさらに外側にはN型不純物の不純物拡散層4が露出しており、ショート防止膜16は設けられていない。
ショート防止膜16は、導電性窒化膜、または、窒化シリコン(SiN)膜と導電性窒化膜との複合膜である。なお、導電性窒化膜は、Si3N4に比べてSi過剰の組成を有するSiNで構成され、電気的には絶縁膜に近く、その比抵抗としては、例えば1013〜1016Ωcmである。
図2は図1に示すSiCMOSFET100のA−A線での矢示方向断面図である。図2に示されるようにSiCMOSFET100は、N型のSiC基板1の第1の主面上にN型のバッファ層2が設けられ、バッファ層2上にエピタキシャル成長により形成されたN型のSiCエピ層3が設けられ、SiCエピ層3上にはドレイン領域を構成するN型の不純物拡散層4が設けられている。
SiCMOSFET100の終端領域となる部分の不純物拡散層4の上層部には、高耐圧化のためのP型のガードリング領域5が選択的に設けられ、ガードリング領域5よりも内側にはバックゲート領域(ボディ領域)を構成するP型の不純物拡散層6が設けられている。また、不純物拡散層6の上層部にはP型不純物を比較的高濃度(P+)に含む不純物拡散層8が選択的に設けられてコンタクト領域を構成している。また不純物拡散層8の両側面に接するようにN型不純物を比較的高濃度(N+)に含む不純物拡散層7が選択的に設けられソース領域を構成している。不純物拡散層8は、不純物拡散層7よりも深く形成され、バックゲート領域を構成する不純物拡散層6に深さ方向でつながっている。
内側の不純物拡散層7上から不純物拡散層6および不純物拡散層4にかけてはゲート酸化膜10が設けられ、ゲート酸化膜10上にはゲート電極11が設けられ、ゲート電極11を覆うように層間絶縁膜12が設けられている。
また、ゲート酸化膜10は、外側の不純物拡散層7上から不純物拡散層6上にかけて設けられ、ゲート酸化膜10より外側にはフィールド酸化膜9が設けられ、ゲート電極11は、フィールド酸化膜9上にも延在している。
フィールド酸化膜9は不純物拡散層6からガードリング領域5を越えてSiC基板1の端縁部まで延在し、層間絶縁膜12は、ゲート酸化膜10およびフィールド酸化膜9を覆い、SiC基板1の端縁部まで延在している。
層間絶縁膜12には、不純物拡散層8および7に達するコンタクト開口部13およびゲート電極11に達するコンタクト開口部14が設けられている。コンタクト開口部13にはソース電極151が埋め込まれ、不純物拡散層8および7にはソース電極151が接触している。コンタクト開口部14にはゲート配線152が埋め込まれ、ゲート電極11にはゲート配線152が接触している。
ソース電極151とゲート配線152とは、互いに接触しないように間隔を開けて設けられているが、さらに、両者の間にはショート防止膜16が設けられている。ショート防止膜16は、ソース電極151およびゲート配線152の互いに対向する側面および層間絶縁膜12上を覆うように設けられ、ソース電極151およびゲート配線152の上面を部分的に覆っている。なお、図2は、図1のA−A線での断面図であるので、ソース電極151とゲート配線152との間のショート防止膜16を示しているが、ショート防止膜16は、ソース電極151とゲートパッド153との間およびゲートパッド153とゲート配線152との間にも設けられている。
また、ソース電極151が設けられた側とは反対側のSiC基板1の第2の主面上には、ドレイン電極154(第2の主電極)が設けられている。
次に、ショート防止膜16を設ける理由について、まずショート防止膜16を設けない場合の問題点について説明する。図3は実際の製品の駆動条件を模擬した液槽冷熱試験において、ゲート配線152とソース電極151との間が短絡したSiCMOSFET90の断面図であり、ショート防止膜16を有さず、上面がポリイミド樹脂17で覆われ、ポリイミド樹脂17を含む全体がモールド樹脂18で覆われている点以外はSiCMOSFET100と同じである。なお、図2を用いて説明したSiCMOSFET100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図3においては、外部から力が加わり形状が変形したソース電極151を変形ソース電極155として示し、同様に、外部から力が加わり潰れたゲート配線152を変形ゲート配線156として示す。
液槽冷熱試験でSiCMOSFET100に加わる力について説明する。なお、以下では、モジュール化されていないSiCMOSFETをSiCチップまたはチップと呼称する場合がある。
液槽冷熱試験は、−65〜0℃の液体槽と70〜150℃の液体槽に交互にサンプルを浸ける動作を数千回繰り返す試験である。低温槽(−65〜0℃の液体槽)にサンプルが浸かっている場合、モールド樹脂18、ポリイミド樹脂17、ゲート配線152、ソース電極151、層間絶縁膜12およびSiC基板1は収縮する。一方、高温槽(70〜150℃の液体槽)にサンプルが浸かっている場合、モールド樹脂18、ポリイミド樹脂17、ゲート配線152、ソース電極151、層間絶縁膜12およびSiC基板1は膨張する。
各材料の収縮率と膨張率は異なるため、その差が力となり、収縮と膨張を繰り返すことによってサンプルにかかる力は長時間かかったことと等価になる。モールド樹脂18とポリイミド樹脂17の収縮率と膨張率は、AlSiで構成されるゲート配線152およびソース電極151よりも大きい。そのため、ゲート配線152およびソース電極151に力が加わることになる。従って、高温槽(70〜150℃の液体槽)にサンプルが浸かるとモールド樹脂18は膨張し、結果としてゲート配線152およびソース電極151には、チップ外側の方向に力が加わり、図3の変形ゲート配線156のように左側に潰れてAlSiのテールを引くことになる。
逆に低温槽(−65〜0℃の液体槽)にサンプルが浸かるとモールド樹脂18は収縮する。そのため、ゲート配線152およびソース電極151には、チップ内側の方向に力が加わり、図3の変形ゲート配線156のように右側に潰れてAlSiのテールを引くことになる。AlSiのテールが変形ソース電極155に接すると変形ゲート配線156と変形ソース電極155とが電気的に短絡(ショート)する。ソース電極151は、体積がゲート配線152よりかなり大きいため、潰れずに変形するにと止まる。
なお、上記では、ゲート配線152およびソース電極151はAlSiで構成されるものとして説明したが、AlSiに限定されず、AlまたはAlSiCuで構成される場合も同様の状態となる。
ここで、図4〜図9を用いて、ゲート配線152およびソース電極151の変形についてさらに説明する。図4は、ソース電極151およびゲート配線152が変形する前のSiCMOSFET90とポリイミド樹脂17を含む全体がモールド樹脂18で覆われたサンプルの構成を示す断面図であり、液槽冷熱試験を行う前の常温の状態を示している。
このようなサンプルを高温槽(70〜150℃の液体槽)に浸すと、図5に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ外側の方向に変形し、ソース電極151もポリイミド樹脂17の変形に引かれてチップ外側の方向に変形する。
次に低温槽(−65〜0℃の液体槽)にサンプルを浸すと、図6に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ内側の方向に変形し、ソース電極151もポリイミド樹脂17の変形に引かれてチップ内側の方向に変形する。このような高温槽への浸漬と低温槽への浸漬を繰り返すと、何れは図7に示すようにポリイミド樹脂17が層間絶縁膜12から剥がれる部分が発生する。その後も、高温槽への浸漬と低温槽への浸漬を繰り返すと、低温槽にサンプルを浸した場合は、図8に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ内側の方向に変形することでゲート配線152がチップ内側に潰れてチップ外側にAlSiのテールを引くことになる。逆に、高温槽にサンプルを浸した場合は、図9に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ外側の方向に変形することでゲート配線152がチップ外側に潰れてチップ内側にAlSiのテールを引くことになる。この後さらに高温槽への浸漬と低温槽への浸漬を繰り返すことで、図3に示されるように変形ゲート配線156と変形ソース電極155とが電気的に短絡することとなる。
これに対し、実施の形態1のSiCMOSFET100においては、ソース電極151とゲート配線152との間にショート防止膜16を設けることで、ゲート配線152およびソース電極151の変形を抑制することができる。このショート防止膜16は剛性率が25.5×109N/m2より高い窒化膜である。なお、ショート防止膜16は、導電性窒化膜、または、SiN膜(窒化シリコン膜)と導電性窒化膜との複合膜である。なお、導電性窒化膜は、Si3N4に比べてSi過剰の組成を有する窒化シリコン(SiN)で構成され、電気的には絶縁膜に近い。
また、ショート防止膜16は、コンタクト開口部14を介してゲート電極11に接続されているゲート配線152の内側の端面よりチップ外側に3μm程度はみ出すようにゲート配線152の上面にも延在している。また、ショート防止膜16は、コンタクト開口部13を介して不純物拡散層8に接続されているソース電極151の外側の端面よりチップ内側に3μm程度はみ出すようにソース電極151の上面にも延在している。なお、ショート防止膜16のゲート配線152の上面およびソース電極151の上面へのはみ出し量は0μmより多ければ良い。このようにショート防止膜16がゲート配線152の上面およびソース電極151の上面に多少なりともはみ出すように形成されることで、ゲート配線152が潰れて発生するAlSiのテールがソース電極151に達してソース電極151に接触することを防止できる。
次に、図10〜図15を用いて、ショート防止膜16を設けることによるゲート配線152およびソース電極151の変形抑制の効果について説明する。図10は、ソース電極151およびゲート配線152が変形する前のSiCMOSFET100とポリイミド樹脂17を含む全体がモールド樹脂18で覆われたサンプルの構成を示す断面図であり、液槽冷熱試験を行う前の常温の状態を示している。
このようなサンプルを高温槽(70〜150℃の液体槽)に浸すと、モールド樹脂18の膨張により図11に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ外側の方向に変形するが、ゲート配線152とソース電極151との間には、剛性率が25.5×109N/m2より高いショート防止膜16が設けられているので、ソース電極151がポリイミド樹脂17の変形に引かれてチップ外側の方向に変形することが抑制される。
次に低温槽(−65〜0℃の液体槽)にサンプルを浸すと、モールド樹脂18の収縮により図12に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ内側の方向に変形するが、ゲート配線152とソース電極151との間には、ショート防止膜16が設けられているので、ソース電極151がポリイミド樹脂17の変形に引かれてチップ内側の方向に変形することが抑制される。
このような高温槽への浸漬と低温槽への浸漬を繰り返すと、何れは図13に示すようにポリイミド樹脂17が層間絶縁膜12から剥がれる部分が発生する。その後も、高温槽への浸漬と低温槽への浸漬を繰り返すと、低温槽にサンプルを浸した場合は、図14に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ内側の方向に変形することでショート防止膜16と接触していないゲート配線152のチップ外側が潰れて一部が粉砕され、チップ外側にAlSiのテールを引くことになる。
逆に、高温槽にサンプルを浸した場合は、図15に矢印ですようにポリイミド樹脂17がチップ外側の方向に変形するが、ゲート配線152とソース電極151との間には、剛性率の高いショート防止膜16が設けられているので、ソース電極151がポリイミド樹脂17の変形に引かれてチップ内側の方向に変形することが抑制される。一方、ゲート配線152のショート防止膜16と接触していない側(チップ外側)には変形、潰れが発生する。
この後さらに高温槽への浸漬と低温槽への浸漬を繰り返すと、ゲート配線152の粉砕量が増えててチップ外側のAlSiのテールが長くなるが、ゲート配線152が細くなるため加わる力が弱くなる。
このように、ショート防止膜16を設けることで、モールド樹脂18が膨張する際に発生するチップ外側への力によってソース電極151の変形を防ぐことができる。一方、モールド樹脂18が収縮する際に発生するチップ内側への力によってゲート配線152のショート防止膜16に接触していない側(チップ外側)は変形し、潰れが発生するが、ショート防止膜16に接触している側(チップ内側)の変形および潰れを防ぐことができる。このため、ゲート配線152にはチップ内側にはAlSiのテールが形成されず、ゲート配線152とソース電極151との電気的な短絡を防止できる。
なお、ゲート配線152の粉砕量が増えてチップ外側のAlSiのテールが長くなるが、ゲート配線152が細くなるため加わる力が弱くなり、チップ外側のAlSiのテールが無制限に延在することはない。
<製造方法>
次に、製造工程を順に示す断面図である図16〜図19を用いてSiCMOSFET100の製造方法を説明する。まず、図16に示す工程において、N型のSiC基板1の第1の主面上にN型のバッファ層2を形成し、その上にエピタキシャル成長によりN型のSiCエピ層3を形成する。
次に、製造工程を順に示す断面図である図16〜図19を用いてSiCMOSFET100の製造方法を説明する。まず、図16に示す工程において、N型のSiC基板1の第1の主面上にN型のバッファ層2を形成し、その上にエピタキシャル成長によりN型のSiCエピ層3を形成する。
この後、図示されない工程でSiCエピ層3上にシリコン酸化膜を形成し、レジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチングでシリコン酸化膜をパターニングする。パターンが形成されたシリコン酸化膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、SiCエピ層3の表面に凹部を形成する。凹部は、複数のSiC基板1をダイシングで切り出すことができるSiCウエハ基板のダイシング領域に設けられ、以降の写真製版で用いる露光マスクのアライメントマークとして使用される。
次に、図17に示す工程において、SiCエピ層3上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをイオン注入マスクとして、N型不純物のイオン種の窒素またはリンをイオン注入し、抵抗値の低いドレイン領域を構成する不純物拡散層4を形成する。
次に、不純物拡散層4上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをイオン注入マスクとして、SiCMOSFET100の終端領域となる部分の不純物拡散層4の上層部に、P型不純物のイオン種のアルミニウム、ボロンおよびBF2(2フッ化ボロン)の何れかをイオン注入し、耐圧向上のためのガードリング領域5を形成する。
次に、不純物拡散層4上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをイオン注入マスクとして、SiCMOSFET100の活性領域および終端領域となる部分の不純物拡散層4の上層部に、P型不純物のイオン種のアルミニウム、ボロンおよびBF2の何れかをイオン注入し、バックゲート領域を構成する不純物拡散層6を形成する。P型不純物のイオン注入は、注入エネルギーを変えて複数回注入しても良い。
次に、不純物拡散層4上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをイオン注入マスクとして、SiCMOSFET100の活性領域となる部分の不純物拡散層6の上層部に、N型不純物のイオン種の窒素、リンおよび砒素の何れかをイオン注入し、ソース領域を構成する不純物拡散層7を形成する。
次に、図18に示す工程において、不純物拡散層4上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをイオン注入マスクとして、P型不純物のイオン種のアルミニウム、ボロンおよびBF2の何れかをイオン注入し、不純物拡散層7を貫通して不純物拡散層6内に達する不純物拡散層8を形成する。P型不純物のイオン注入は、注入エネルギーを変えて複数回注入しても良い。
次に、アライメントマークの形成後にイオン注入で形成したN型およびP型の不純物拡散層を活性化するために1700℃以上、例えば1750℃のアニールを行う。1700℃以上のアニールを行うので、Siの昇華を防止するためにグラファイト膜等のカーボン系の膜をSiC基板1上に堆積した後にアニールを行う。なお、カーボン系の膜はアニール後に除去されるので図示はされない。また、このアニールにより、各不純物拡散層の不純物が拡散し、底部のコーナー部は丸みを帯びる。ドレイン領域を構成する不純物拡散層4に電圧を印加していくとボディ領域を構成する不純物拡散層6内の電界は底部のコーナー部に集中するが、不純物拡散層6の底部のコーナー部が丸くなることで電界集中が緩和される。
次に、N型およびP型の不純物拡散層が形成された側のSiC基板1の表面に、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)酸化膜を800〜1500nmの厚さで堆積する。次に、TEOS酸化膜上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをエッチングマスクとしてTEOS酸化膜をパターニングし、フィールド酸化膜9を形成する。
次に、酸化処理を行った後に窒化処理を行い、フィールド酸化膜9が形成されていない部分に厚さが30〜70nmのゲート酸化膜10を形成する。その後、ゲート酸化膜10上にN型のポリシリコン膜を堆積する。
次に、ポリシリコン膜上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをエッチングマスクとしてポリシリコン膜をパターニングし、ゲート電極11を形成する。なお、当該レジストマスクをエッチングマスクとしてゲート酸化膜10をパターニングし、不要な部分のゲート酸化膜10を除去する。
なお、ゲート酸化膜10はSiC基板1とシリコン酸化膜との界面に厚さ10nm以下の窒素領域を有しているが、シリコン酸化膜が大部分を占めるのでゲート酸化膜としている。
次に、図19に示す工程において、ゲート電極11が形成された側のSiC基板1の表面に、TEOS酸化膜を堆積し、次に、TEOS酸化膜上にBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜を300〜1000nmの厚さに堆積し、BPSG上にさらにTEOS酸化膜を堆積して層間絶縁膜12を形成する。
次に、層間絶縁膜12上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをエッチングマスクとしてウエットエッチングを行い、その後ドライエッチングを行って、コンタクト開口部13および14を形成する。コンタクト開口部13の幅は、コンタクト部を構成する不純物拡散層8の幅よりも大きく、ソース領域を構成する不純物拡散層7と部分的に重なる大きさとする。
コンタクト開口部13および14の形成時のTEOS酸化膜、BPSG膜、TEOS酸化膜のエッチングは、ドライエッチングのみでも良く、ドライエッチング後にウエットエッチングを行っても良い。
次に、コンタクト開口部13および14が形成された側のSiC基板1の表面に、スパッタリングにより例えばニッケル(Ni)膜を形成する。その後、ニッケル膜上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをエッチングマスクとして、コンタクト開口部13および14の底部以外のニッケル膜を除去する。その後、熱処理を行ってニッケル膜をNiSi(ニッケルシリサイド)膜とすることで、接触抵抗を下げるようにしても良い。
次に、SiC基板1の表面に、スパッタリングにより例えばチタン(Ti)膜を形成する。その後、熱処理を行ってチタン膜をTiSi(チタンシリサイド)膜とする。
次に、TiSi膜上に、スパッタリングにより例えば窒化チタン(TiN)膜を形成する。
次に、TiN膜上に、スパッタリングにより例えばアルミニウム膜またはAlSi膜またはAlSiCu膜を形成し、3層構造の導体膜を形成する。なお、同じ工程で、SiC基板1の第2の主面上に3層構造の導体膜を形成してドレイン電極154とする。
次に、3層構造の導体膜上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをエッチングマスクとしてドライエッチングを行って、ソース電極151およびゲート配線152を形成する。このとき、図示されないゲートパッド153も形成される。3層構造の導体膜のうち、アルミニウムまたはAlSiのエッチングにはウエットエッチングを用いても良い。
次に、ソース電極151およびゲート配線152が形成された側のSiC基板1の表面にショート防止膜160を堆積する。このショート防止膜160は、導電性窒化膜、または、SiN膜と導電性窒化膜との複合膜である。次に、ショート防止膜160上にレジスト材を塗布して写真製版を行ってレジストマスクを形成し、当該レジストマスクをエッチングマスクとしてドライエッチングを行って、ゲート配線152とソース電極151の間にショート防止膜16を形成することで、図2に示したSiCMOSFET100が得られる。
その後、ショート防止膜16が形成された側のSiC基板1の表面にポリイミド膜を成膜し、写真製版を行うことで、ポリイミド樹脂17のパッシベーション膜が形成され、モールド樹脂18による樹脂封止が可能となる。
<実施の形態2>
<装置構成>
図20は本発明に係る実施の形態2のSiCMOSFET200の上面構成を模式的に示す平面図である。なお、図20においては、図1を用いて説明したSiCMOSFET200と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<装置構成>
図20は本発明に係る実施の形態2のSiCMOSFET200の上面構成を模式的に示す平面図である。なお、図20においては、図1を用いて説明したSiCMOSFET200と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図20に示すようにSiCMOSFET200は、ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16が溝19によって分離された構成を有している。溝19は、ゲート配線152に沿ってソース電極151およびゲートパッド153が設けられた領域を囲むように設けられている。
図21は図20に示すSiCMOSFET200のB−B線での矢示方向断面図である。なお、図21においては、図2を用いて説明したSiCMOSFET100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図21に示されるようにSiCMOSFET200においては、ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16の底面に、層間絶縁膜12に達する溝19を有しており、ショート防止膜16がゲート配線152側とソース電極151側とに分離されている。
このようなショート防止膜16を形成するには、図19に示したショート防止膜160のパターニングにおいて使用するレジストマスクの溝に対応する位置に開口部を設けておけば良い。
このように、ショート防止膜16の底面に溝19を形成することで、ショート防止膜16と層間絶縁膜12との密着力が低下するので、モールド樹脂の収縮および膨張で発生した力によって、ショート防止膜16が層間絶縁膜12から剥がれやすくなる。この状態を図22に示す。
図22は、ショート防止膜16が層間絶縁膜12から剥がれた状態を示す断面図であり、便宜的にポリイミド樹脂17およびモールド樹脂18は図示を省略し、ショート防止膜16を拡大して示している。
図22に示すようにショート防止膜16の底面に溝19を形成することで、ショート防止膜16が一体構造でなくなり、平面方向の外力に対する強度が低下すると共に、層間絶縁膜12との接触面積が小さくなるので、層間絶縁膜12との密着力が低下する。その結果、ゲート配線152側のショート防止膜16と層間絶縁膜12との間に隙間ができ、潰れたゲート配線152のAlSiが入り込み、最終的に溝19にAlSiが溜まり、ソース電極151までAlSiのテールが延在せず、ゲート配線152とソース電極151とのショートを防ぐことができる。
なお、ソース電極151の面積は、ゲート配線152で囲まれた領域の面積の約60%占めているため、ソース電極151に加わる力はソース電極151である程度吸収され、ソース配線が変形しないため、ソース電極151の端面付近にかかる力はゲート配線152の端面付近にかかる力よりも小さく、ソース電極151側のショート防止膜16は剥離しにくく、ソース電極151側のショート防止膜16と層間絶縁膜12との間に隙間は生じにくい。
<変形例1>
以上説明した実施の形態2のSiCMOSFET200においては、ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16が1本の溝19によって分離された構成を有していたが、溝19の本数は1本に限定されるものではなく、2本以上としても良い。
以上説明した実施の形態2のSiCMOSFET200においては、ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16が1本の溝19によって分離された構成を有していたが、溝19の本数は1本に限定されるものではなく、2本以上としても良い。
図23は、2本の溝19で複数に分離されたショート防止膜16を上方から見た場合の部分平面図であり、ショート防止膜16と、その近傍のゲート配線152およびソース電極151を部分的に示している。
ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16が2本の溝19で複数に分離された構成を採ることで、実施の形態2において説明したように、ゲート配線152側のショート防止膜16と層間絶縁膜12との間に隙間ができ、潰れたゲート配線152のAlSiが入り込み、最終的にゲート配線152側の溝19にAlSiが溜まる。ゲート配線152側の溝19の隣のショート防止膜16と層間絶縁膜12との間には隙間がなく、AlSiも溜まっていない。このため、この領域にゲート配線152側の溝19に溜まったAlSiが侵入するには、より大きな力が必要になる。このように、ショート防止膜16に形成された溝19が多いほどゲート配線152とソース電極151とのショートを防ぐ効果がより高まり、より高い膨張係数のモールド樹脂を使用することができる。
<変形例2>
以上説明した実施の形態2のSiCMOSFET200においては、ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16が1本の溝19によって分離された構成を有していたが、溝19の代わりに複数の開口部を形成しても良い。
以上説明した実施の形態2のSiCMOSFET200においては、ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16が1本の溝19によって分離された構成を有していたが、溝19の代わりに複数の開口部を形成しても良い。
図24は、複数の開口部191が設けられたショート防止膜16を上方から見た場合の部分平面図であり、ショート防止膜16と、その近傍のゲート配線152およびソース電極151を部分的に示しており、ゲート配線152とソース電極151との間に設けられたショート防止膜16の底面に複数の開口部191が千鳥模様で配置されている。
開口部191どうしは互いに連通することはなく、複数の開口部191を設けることでショート防止膜16が複数に分離されることはないが、実施の形態2において説明したように、ゲート配線152側のショート防止膜16と層間絶縁膜12との間に隙間ができ、潰れたゲート配線152のAlSiが入り込み、最終的にゲート配線152側の複数の開口部191にAlSiが分散して溜まる。
分散して少なくなったAlSiを動かすには、さらに大きな力が必要となる。また、AlSiが分散して、少なくなったため、AlSiは、ある箇所まで動いて止まる。このため、ゲート配線152とソース電極151とのショートを防ぐ効果がより高まる。
なお、図24では、複数の開口部191を千鳥模様に配置した例を示したが、複数の開口部191の配置パターンはこれに限定されるものではない。例えば、複数の開口部191の1つの配列と、隣合う複数の開口部191の配列とが、同じ配列パターンであっても良い。
<実施の形態3>
<装置構成>
以上説明した実施の形態1および実施の形態2においては、プレーナゲート型のMOSFETを例に採って説明したが、トレンチゲート型のMOSFETにショート防止膜を適用しても良い。
<装置構成>
以上説明した実施の形態1および実施の形態2においては、プレーナゲート型のMOSFETを例に採って説明したが、トレンチゲート型のMOSFETにショート防止膜を適用しても良い。
図25は本発明に係る実施の形態3のSiCMOSFET300の構成を示す断面図である。なお、図25は図2に示したSiCMOSFET100に対応する断面図である。図25に示されるようにSiCMOSFET300は、N型のSiC基板1の第1の主面上にN型のバッファ層2が設けられ、バッファ層2上にエピタキシャル成長により形成されたN型のSiCエピ層3が設けられている。
SiCMOSFET300の終端領域となる部分のSiCエピ層3の上層部には、高耐圧化のためのP型のガードリング領域5が選択的に設けられ、ガードリング領域5よりも内側にはP型の不純物拡散層30が設けられている。
SiCエピ層3上にはドレイン領域を構成するN型の不純物拡散層4が設けられ、不純物拡散層4上にはバックゲート領域(ボディ領域)を構成するP型の不純物拡散層6が設けられている。
また、不純物拡散層6の上層部にはP型不純物を比較的高濃度(P+)に含む不純物拡散層8が選択的に設けられてコンタクト領域を構成している。また不純物拡散層8の両側面に接するようにN型不純物を比較的高濃度(N+)に含む不純物拡散層7が選択的に設けられソース領域を構成している。不純物拡散層8は、不純物拡散層7よりも深く形成され、バックゲート領域を構成する不純物拡散層6に深さ方向でつながっている。
活性領域ARにおいては、不純物拡散層7、不純物拡散層6および不純物拡散層4を貫通してSiCエピ層3内に達するようにゲートトレンチTR1が設けられ、ゲートトレンチTR1の内面を覆うようにトレンチゲート酸化膜101が設けられ、トレンチゲート酸化膜101で囲まれたゲートトレンチTR1内にはトレンチゲート電極111が設けられ、トレンチゲート電極111上とその近傍を覆うように層間絶縁膜12が設けられている。
また、トレンチゲート酸化膜101は、活性領域ARより外側の不純物拡散層7上から不純物拡散層8の一部上部にかけて設けられ、トレンチゲート酸化膜101の終端より外側にはフィールド酸化膜9がガードリング領域5を越えて設けられている。トレンチゲート酸化膜101上からフィールド酸化膜9上にかけては、図示されない部分でトレンチゲート電極111に接続される下層ゲート配線112が設けられている。
フィールド酸化膜9および下層ゲート配線112は、活性領域ARよりも外側にゲートトレンチTR1と同じ深さで設けられた外周トレンチTR2内に形成されており、外周トレンチTR2よりも外側には、終端構造として不純物拡散層4および不純物拡散層6が設けられ、不純物拡散層6の上層部には不純物拡散層7が選択的に設けられている。
外周トレンチTR2の内側端面は、活性領域ARの終端を規定し、不純物拡散層30は、ガードリング領域5よりも内側から外周トレンチTR2の内側端面の下部まで延在していると共に、各ゲートトレンチTR1の底面下にも設けられている。不純物拡散層30は、高耐圧化のために設けられる。
層間絶縁膜12は、活性領域ARより外側のトレンチゲート電極111上から下層ゲート配線112上、フィールド酸化膜9上および終端構造の不純物拡散層7上にかけて設けられ、SiC基板1の端縁部まで延在している。
層間絶縁膜12には、不純物拡散層8および7に達するコンタクト開口部13および下層ゲート配線112に達するコンタクト開口部14が設けられている。コンタクト開口部13にはソース電極151が埋め込まれ、不純物拡散層8および7にはソース電極151が接触している。コンタクト開口部14にはゲート配線152が埋め込まれ、ゲート電極11にはゲート配線152が接触している。
ソース電極151とゲート配線152とは、互いに接触しないように間隔を開けて設けられているが、さらに、両者の間にはショート防止膜16が設けられている。ショート防止膜16は、ソース電極151およびゲート配線152の互いに対向する側面および層間絶縁膜12上を覆うように設けられ、ソース電極151およびゲート配線152の上面を部分的に覆っている。
このように、実施の形態1のSiCMOSFET300においても、ソース電極151とゲート配線152との間にショート防止膜16を設けることで、ゲート配線152およびソース電極151の変形を抑制することができ、変形に伴うゲート配線152およびソース電極151のショートを抑制できることは、実施の形態1のSiCMOSFET100と同様である。
<他の適用例>
以上説明した実施の形態1〜3においては、SiCMOSFETを例に採って説明したが、Si基板に形成したSiMOSFETにショート防止膜を適用しても良い。
以上説明した実施の形態1〜3においては、SiCMOSFETを例に採って説明したが、Si基板に形成したSiMOSFETにショート防止膜を適用しても良い。
なお、SiCは、絶縁破壊強度がSiの約10倍と高く、半導体層の厚みをSiの約1/10に低減できるため、SiC半導体装置は、低オン電圧を実現でき、また高温でも動作が可能であるため、SiC半導体装置は、Si半導体装置に比較して小型化および高効率化が可能となる。
<実施の形態4>
本実施の形態は、上述した実施の形態1〜3に係る炭化珪素半導体装置を電力変換装置に適用したものである。実施の形態1〜3に係る炭化珪素半導体装置は、特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態4として、三相のインバータに適用した場合について説明する。
本実施の形態は、上述した実施の形態1〜3に係る炭化珪素半導体装置を電力変換装置に適用したものである。実施の形態1〜3に係る炭化珪素半導体装置は、特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態4として、三相のインバータに適用した場合について説明する。
図26は、実施の形態4に係る電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
図26に示す電力変換システムは、電源1000、電力変換装置2000および負荷3000で構成される。電源1000は、直流電源であり、電力変換装置2000に直流電力を供給する。電源1000は種々のもので構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成することができるし、交流系統に接続された整流回路およびAC/DCコンバータで構成することとしても良い。また、電源1000を、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成することとしても良い。
電力変換装置2000は、電源1000と負荷3000の間に接続された三相のインバータであり、電源1000から供給された直流電力を交流電力に変換し、負荷3000に交流電力を供給する。電力変換装置2000は、図26に示すように、直流電力を交流電力に変換して出力する主変換回路201と、主変換回路201の各スイッチング素子を駆動する駆動信号を出力する駆動回路202と、駆動回路202を制御する制御信号を駆動回路202に出力する制御回路203とを備えている。
負荷3000は、電力変換装置2000から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷3000は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機であり、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道車両、エレベーター、若しくは、空調機器向けの電動機として用いられる。
以下、電力変換装置2000の詳細を説明する。主変換回路201は、スイッチング素子と還流ダイオードを備えており(図示せず)、スイッチング素子がスイッチングすることによって、電源1000から供給される直流電力を交流電力に変換し、負荷3000に供給する。主変換回路201の具体的な回路構成は種々のものがあるが、本実施の形態に係る主変換回路201は、2レベルの三相フルブリッジ回路であり、6つのスイッチング素子とそれぞれのスイッチング素子に逆並列された6つの還流ダイオードで構成することができる。主変換回路201の各スイッチング素子には、上述した実施の形態1〜3および変形例のいずれかに係る炭化珪素半導体装置を適用する。6つのスイッチング素子は2つのスイッチング素子ごとに直列接続され上下アームを構成し、各上下アームはフルブリッジ回路の各相(U相、V相、W相)を構成する。そして、各上下アームの出力端子、すなわち主変換回路201の3つの出力端子は、負荷3000に接続される。
駆動回路202は、主変換回路201のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成し、主変換回路201のスイッチング素子の制御電極に供給する。具体的には、後述する制御回路203からの制御信号に従い、スイッチング素子をオン状態にする駆動信号とスイッチング素子をオフ状態にする駆動信号とを各スイッチング素子の制御電極に出力する。スイッチング素子をオン状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(オン信号)であり、スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧未満の電圧信号(オフ信号)となる。
制御回路203は、負荷3000に所望の電力が供給されるよう主変換回路201のスイッチング素子を制御する。具体的には、負荷3000に供給すべき電力に基づいて主変換回路201の各スイッチング素子がオン状態となるべき時間(オン時間)を算出する。例えば、出力すべき電圧に応じてスイッチング素子のオン時間を変調するPWM制御によって主変換回路201を制御することができる。そして、各時点においてオン状態となるべきスイッチング素子にはオン信号を、オフ状態となるべきスイッチング素子にはオフ信号が出力されるよう、駆動回路202に制御指令(制御信号)を出力する。駆動回路202は、この制御信号に従い、各スイッチング素子の制御電極にオン信号またはオフ信号を駆動信号として出力する。
本実施の形態に係る電力変換装置では、主変換回路201のスイッチング素子として実施の形態1〜3に係る炭化珪素半導体装置を適用するため、外部からゲート配線および第1の主電極に力が加わった場合でも、ゲート配線が第1の主電極側に潰れて、第1の主電極と電気的に短絡することを防止した電力変換装置を実現することができる。
本実施の形態では、2レベルの三相インバータに実施の形態1〜3に係る炭化珪素半導体装置を適用する例を説明したが、これに限られるものではなく、種々の電力変換装置に適用することができる。本実施の形態では、2レベルの電力変換装置としたが、3レベルまたはマルチレベルの電力変換装置であっても構わないし、単相負荷に電力を供給する場合には単相のインバータに適用しても構わない。また、直流負荷等に電力を供給する場合にはDC/DCコンバータやAC/DCコンバータに適用することも可能である。
また、実施の形態1〜3に係る炭化珪素半導体装置を適用した電力変換装置は、上述した負荷が電動機の場合に限定されるものではなく、例えば、放電加工機、レーザー加工機、または誘導加熱調理器、非接触給電システムの電源装置として用いることもでき、さらには太陽光発電システムや蓄電システム等のパワーコンディショナーとして用いることも可能である。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 SiC基板、11 ゲート電極、151 ソース電極、152 ゲート配線、16 ショート防止膜、19 溝、191 開口部。
Claims (8)
- 炭化珪素半導体基板の厚み方向に主電流が流れる炭化珪素半導体装置であって、
前記炭化珪素半導体基板の前記主電流が流れる活性領域より外側に前記活性領域に沿って設けられたゲート配線と、
前記活性領域上に設けられ、前記ゲート配線に接続されたゲート電極と、
前記活性領域上に設けられ、前記ゲート電極とは電気的に分離された第1の主電極と、
前記炭化珪素半導体基板の前記第1の主電極が設けられた側とは反対側の主面に設けられた第2の主電極と、
前記ゲート配線と前記第1の主電極との間に設けられたショート防止膜と、を備える、炭化珪素半導体装置。 - 前記ショート防止膜は、
導電性窒化膜、または、窒化シリコン膜と前記導電性窒化膜との複合膜であって、
前記導電性窒化膜は、
Si3N4に比べてSi過剰の組成を有する、請求項1記載の炭化珪素半導体装置。 - )
前記ショート防止膜は、
剛性率が25.5×109N/m2より高い膜である、請求項2記載の炭化珪素半導体装置。 - 前記ショート防止膜は、
前記ゲート配線と前記第1の主電極との間、前記ゲート配線の前記第1の主電極に対向する端面から前記ゲート配線の上面の一部にかけて、および前記第1の主電極の前記ゲート配線に対向する端面から前記第1の主電極の上面の一部にかけて設けられる、請求項1記載の炭化珪素半導体装置。 - 前記ショート防止膜は、
前記ゲート配線と前記第1の主電極との間において前記ショート防止膜を貫通する少なくとも1本の溝を有する、請求項4記載の炭化珪素半導体装置。 - 前記ショート防止膜は、
前記ゲート配線と前記第1の主電極との間において前記ショート防止膜を貫通する複数の開口部を有する、請求項4記載の炭化珪素半導体装置。 - 前記複数の開口部は千鳥模様に配置される、請求項6記載の炭化珪素半導体装置。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置を有し、
入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記炭化珪素半導体装置を駆動する駆動信号を前記炭化珪素半導体装置に出力する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御信号を前記駆動回路に出力する制御回路と、を備えた電力変換装置。
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-
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