JP2021091881A - プロピレン系重合体組成物及び成形品 - Google Patents

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【課題】バイオマスポリエチレンを含有しても剛性に優れ割れない成形品を与える、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物及びその成形品を提供する。【解決手段】条件(H−i)〜(H−ii)を満たすプロピレン系(共)重合体(a)26〜87重量部、条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系共重合体(b)3〜25重量部及びバイオマスポリエチレン(c)10〜49重量部を含有する合計100重量部であり、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物。(H−i)プロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が1重量%未満のプロピレン系共重合体(H−ii)MFRが0.5〜100g/10分(A−i)メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A−ii)α−オレフィン含有量が3〜17重量%(A−iii)MFRが0.5〜80g/10分【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物及びその成形品に関し、詳しくは、バイオマスポリエチレンを含有しても剛性に優れ割れない成形品を与えるプロピレン系重合体組成物に関する。本発明において、「割れる」とは、力が加えられて、いくつかの部分に分かれることを意味する。また、「割れない」とは、次のいずれかを意味する。
(1)割れ目(裂け目、クラック)ができずに、いくつかの部分に分かれない。
(2)割れ目(裂け目、クラック)ができるが、いくつかの部分に分かれない。
プロピレン系樹脂は、剛性、耐熱性、成形性、透明性、耐薬品性に優れるという特徴により、各種工業材料、自動車関連部品、医療向けや化粧品向けなどの各種容器、日用品、フィルム及び繊維など様々な用途に幅広く使用されている。
一方、近年、プラスチックの環境汚染が問題となっており、その対応は課題となっている。その対応の1つとして、カーボンニュートラルとなる植物由来のプラスチック(バイオマスプラスチック)を使用することが挙げられる。植物由来のポリプロピレンも検討されているが、現在、上市されておらず、ポリプロピレンにバイオマスポリエチレンを添加する検討が実施されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかし、ポリプロピレンとバイオマスポリエチレンとを混合し、溶融混練してなる混合物は混和性に劣るので、その混合物から得られる成形品は割れることが課題となっている。このため、バイオマスポリエチレンを含有しても混和性に優れたポリプロピレン組成物が要望されている。
特開2019−34519号公報 特開2016−27171号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の状況において、バイオマスポリエチレンを含有しても剛性に優れ割れない成形品を与える、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物及びその成形品を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を行い、特定のプロピレン系重合体混合物を用いることで、バイオマスポリエチレンを含有しても剛性に優れ割れない成形品を与える、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物及びその成形品を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のバイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物及びその成形品を提供するものである。
[1]下記条件(H−i)〜(H−ii)を満たすプロピレン系(共)重合体(a)26〜87重量部、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系共重合体(b)3〜25重量部及びバイオマスポリエチレン(c)10〜49重量部を含有する合計100重量部であり、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物。
(H−i)プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が1重量%未満のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体である。
(H−ii)JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(以下、MFRと略称することがある。)が0.5〜100g/10分の範囲である。
(A−i)メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
(A−ii)α−オレフィン含有量が3〜17重量%の範囲である。
(A−iii)MFRが0.5〜80g/10分の範囲である。
[2]プロピレン系共重合体(b)が、下記条件(B−i)〜(B−ii)を満たすプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)30〜70重量%と下記条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)30〜70重量%とからなる[1]に記載のプロピレン系重合体組成物。
(B−i)メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体である。
(B−ii)エチレン含有量が7〜25重量%の範囲である。
(C−i)メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
(C−ii)融解ピーク温度(Tm)が125〜145℃の範囲である。
(C−iii)α−オレフィン含有量が1〜5重量%の範囲である。
[3][1]又は[2]に記載のプロピレン系重合体組成物100重量部に対し、造核剤を0.01〜0.6重量部含有するプロピレン系重合体組成物。
[4]JIS K7171(ISO178)に準拠した曲げ弾性率が500MPa以上である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体組成物。
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体組成物を用いて得られた成形品。
本発明のバイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物を用いて製造した成形品は、環境負荷低減に寄与し、バイオマスポリエチレンを含有しても剛性に優れ割れない成形品を与えるため有用である。特に射出成形品は、非常に有用である。
図1は、TREFによる溶出量及び溶出量積算を示す図である。 図2は、120mm×120mm×2mmの射出試験片に切り込みを入れて実施するMD、TD方向の割れ試験の図である。
本発明のプロピレン系重合体組成物は、下記条件(H−i)〜(H−ii)を満たすプロピレン系(共)重合体(a)26〜87重量部、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系共重合体(b)3〜25重量部及びバイオマスポリエチレン(c)10〜49重量部を含有する合計100重量部であり、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物であり、環境負荷低減に寄与し、性能低下しないことを特徴とする。
(H−i)プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が1重量%未満のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体である。
(H−ii)JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(以下、MFRと略称することがある。)が0.5〜100g/10分の範囲である。
(A−i)メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
(A−ii)α−オレフィン含有量が3〜17重量%の範囲である。
(A−iii)MFRが0.5〜80g/10分の範囲である。
以下、本発明のプロピレン系重合体組成物及び成形品について、詳細に説明する。
プロピレン系重合体組成物を構成する成分
プロピレン系(共)重合体(a)
(i)プロピレン系(共)重合体(a)のα−オレフィン
本発明のプロピレン系重合体組成物に用いられるプロピレン系(共)重合体(a)は、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレンと含有量が1重量%未満のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体又はこれらの混合物である。
プロピレン系(共)重合体(a)は、剛性の観点では単独重合体が望ましく、透明性の観点ではプロピレンとα−オレフィンとからなるランダム共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、1−ブテンが好適である。より好ましくはエチレンが好適である。また、これらプロピレン系重合体は、二種以上混合して使用してもよい。また、α−オレフィンの含有量が1重量%未満であると剛性の観点から好ましい。
プロピレン系共重合体の具体的な例としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体などのような、共単量体を任意に若干量組み合わせた二元又は三元共重合体が例示できる。
プロピレン系(共)重合体(a)に用いられるα−オレフィン含有量は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.8重量%未満、更に好ましくは0.5重量%未満である。α−オレフィンの含有量が1重量%未満であると、剛性が向上し、容器を積み重ねた際に変形を起こす恐れがない。
ここで、プロピレン及びα−オレフィンの各含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子(株)製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
(ii)プロピレン系(共)重合体(a)のメルトフローレート(MFR)
本発明で用いられるプロピレン系(共)重合体(a)は、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFR)が0.5〜100g/10分の範囲のものであり、5〜60g/10分が好ましく、10〜40g/10分が更に好ましい。メルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上では、成形加工性の向上をもたらし製品として満足できるものが得られる。また、100g/10分以下であると、機械的強度の向上がもたらされる。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン系(共)重合体(a)の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
(iii)プロピレン系(共)重合体(a)の立体規則性
本発明で用いられるプロピレン系(共)重合体(a)がプロピレン単独重合体の場合は、アイソタクチックペンタッド分率は0.90以上が好ましく、より好ましくは0.94〜0.98である。アイソタクチックペンタッド分率が0.90以上であると、剛性が満足できる。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率は、13C−NMRを用いたプロトンデカップリング法で測定する値である。
(iv)プロピレン系(共)重合体(a)の触媒
本発明に用いるプロピレン系(共)重合体(a)は、用いる触媒としては、特に限定されないが、立体規則性触媒を使用する方が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、担持型のものが好ましい。
担持型メタロセン触媒の特に好ましい例としては、担体が助触媒の機能を兼ねたイオン交換性層状ケイ酸塩が挙げられる。具体的には、以下に述べる成分[A]、成分[B]及び必要に応じて添加される成分[C]を組み合わせて得られる。
・成分[A]メタロセン錯体
共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期表第4〜6族の遷移金属化合物
・成分[B]助触媒
イオン交換性層状ケイ酸塩
・成分[C]有機アルミニウム化合物
・成分[A]メタロセン錯体
上記の成分[A]としては、具体的には、次の式[I]で表される化合物を使用することができる。
Q(C4−a )(C4−b )MXY ・・・[I]
式[I]において、Qは、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を表す。
Mは、周期表第4〜6族遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
X及びYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。
及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR又は2個のRがそれぞれ結合してC〜C10環を形成していてもよい。特には、6員環、7員環を形成して、上記共役五員環と共に、インデン環、アズレン環を形成することが好ましい。
a及びbは、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Qは、例として、アルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。特には、シリレン基が好ましい。
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を好ましく挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が好ましく挙げられる。本発明の触媒成分及び触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
・成分[B]助触媒(イオン交換性層状ケイ酸塩)
イオン交換性層状ケイ酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。イオン交換性層状ケイ酸塩として粘土化合物を使用することができ、粘土化合物の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(ア)1:1型構造が主要な構成層であるディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族
(イ)2:1型構造が主要な構成層であるモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群
本発明で使用する珪酸塩は、上記(ア)、(イ)の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。
本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトであることが特に好ましい。
これら珪酸塩を酸、塩、アルカリ、酸化剤、還元剤、有機溶剤などで化学処理することにより活性向上を図ることができる。
酸処理は、イオン交換性層状珪酸塩粒子の表面の不純物を除く、又は層間陽イオンの交換を行うほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などが挙げられるが、好ましくは無機酸、特に好ましくは硫酸である。
酸処理条件に特に制限はないが、好ましくは5〜50重量%の酸の水溶液を60〜100℃の温度で1〜24時間反応させるような条件であり、その途中で酸の濃度を変化させてもよい。酸処理した後、通常洗浄が行われる。洗浄とは処理系内に含まれる酸をイオン交換性層状珪酸塩から分離除去する操作である。
塩類処理で用いられる塩類としては、特定の陽イオンを含有するものを選択して使用することが好ましい。陽イオンの種類については1から4価の金属陽イオンが好ましく、特にLi、Ni、Zn、Hfの陽イオンが好ましい。
具体的な塩類としては、次のものを例示することができる。
陽イオンがLiのものとしては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、Li(ClO)、Li(C)、LiNO、Li(OOCCH)、Li(C)等を挙げることができる。
陽イオンがNiのものとしては、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等を挙げることができる。
陽イオンがZnのものとしては、Zn(OOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI等を挙げることができる。
陽イオンがHfのものとしては、Hf(OOCCH、Hf(CO、Hf(NO、Hf(SO、HfOCl、HfF、HfCl、HfBr、HfI等を挙げることができる。
化学処理後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は100〜800℃で実施可能であり、構造破壊を生じるような高温条件(加熱時間にもよるが、例えば800℃以上)は好ましくない。構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下である。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
・成分[C]有機アルミニウム化合物
成分[C]の有機アルミニウム化合物は、必要に応じて任意的に使用される成分であり、下記式[II]で示される化合物が最適である。
(AlR 3−p・・・[II]
式[II]中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは1〜3の、qは1〜2の整数である。
としては、アルキル基が好ましく、またXは、それがアルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。
これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウム及びp=2、q=1のジアルキルアルミニウムヒドリドである。更に好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
有機アルミニウム化合物は、単独又は複数種混合して、又は併用して使用することができる。また、有機アルミニウム化合物は、触媒調製時だけでなく、予備重合又は本重合時にも添加して使用することができる。
(v)プロピレン系(共)重合体(a)の製造方法
プロピレン系(共)重合体(a)の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー重合法、溶液重合法、実質的に溶媒を用いない気相重合法又は重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるプロピレン系(共)重合体(a)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。更に重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
メタロセン触媒を用いる場合は、本重合が行われる前に予備重合処理することが望ましい。予備重合に供されるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、1,3−ブタジエン等のジエン化合物、スチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物を用いることができる。
この予備重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒(成分[A]と成分[B]の合計)1g当たり、0.01〜1,000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、又は不存在下に行われる。本発明においては、固体触媒(固体触媒を予備重合処理した場合は、予備重合で生成した重合体を含まない。)当たりのポリマー生成量をできるだけ大きくすることが望ましい。ポリマー生成量を大きくするために、重合温度、重合圧力はいずれも高めに設定することが望ましい。
通常、重合温度は60〜90℃、重合圧力は1.5〜4MPa程度から選択される。特に、バルク重合法の場合、重合温度は60〜80℃で、重合圧力は温度と相関して2.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。一方、気相重合法の場合は、重合温度は70〜90℃で、1.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。
更に、固体触媒の滞留時間を長くすることによっても、固体触媒当たりのポリマー生産量を上げることが可能であるが、あまり長くし過ぎると生産性に影響を与える。好ましい滞留時間は、1〜8時間、更に好ましくは1〜6時間である。担体を含めた固体触媒1g当たりのポリマー生産量は20kg以上、好ましくは25kg以上、更に好ましくは30kg以上となるように、重合条件を設定することが望ましい。
また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。更に、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。
本発明においては、重合終了後、得られたプロピレン系(共)重合体(a)を、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性飽和炭化水素溶剤や液状α−オレフィンなどを用いて、更に好ましくは炭素数3又は4の不活性炭化水素溶剤や液状α−オレフィンを用いて、洗浄を行うことが好ましい。
洗浄方法としては、特に制限はなく、撹拌槽での接触処理後上澄みのデカンテーション、向流洗浄、サイクロンによる洗浄液との分離など、公知の方法を用いることができる。
また、洗浄前又は洗浄と同時に、失活剤を添加してもよい。失活剤に関しては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類など、又はこれらの混合物を用いることができる。
このようなプロピレン系共重合体(a)としては、市販のものを用いることができ、例えば、日本ポリプロ(株)製の商品名:ウィンテック(WINTEC)、ノバテック PP(NOVATEC PP)などを挙げることができる。
(vi)プロピレン系(共)重合体(a)の分子量分布(Mw/Mn)及び重量平均分子量(Mw)
本発明に用いるプロピレン系(共)重合体(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕は1.5〜7.0が好ましい。
分子量分布の下限は好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上であり、上限は好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下である。
分子量分布の下限が一定以上であると、プロピレン系(共)重合体(a)の製造や精製の条件範囲が広がるため生産効率が向上し好ましい。また、上限が一定以下であると、分子鎖の長さが非常に揃っていることを示し、揮発性成分の発生の原因になると考えられる未反応モノマー、ダイマー、低分子量化合物、非晶質成分、オリゴマーなどの、比較的低分子量の成分の含有量が少なくなるため好ましい。
また、本発明に用いるプロピレン系(共)重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は、10万〜60万の範囲であることが好ましい。重量平均分子量Mwが60万以下であると成形が容易になる。一方、重量平均分子量Mwが10万以上では、低結晶成分が減少し、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出等を抑制する上、成形品の耐衝撃性が向上するため、実用的である。
(vii)プロピレン系(共)重合体(a)の平均溶出温度(T50)及び溶出分散度(σ)
メタロセン触媒を用いる場合は、本発明に用いるプロピレン系(共)重合体(a)の平均溶出温度(T50)は90〜105℃が好ましく、溶出分散度(σ)は9℃以下が好ましい。
ここで、平均溶出温度は、o−ジクロロベンゼンを溶媒とする温度上昇溶離分別法による重合体の溶出曲線に基づく値であり、溶出重合体の積算質量が50質量%となるときの温度を表す。溶出分散度は、温度上昇溶離分別法による溶出量が溶出温度に対して正規確率分布に従うと仮定し、質量積算溶出量I(t)が下記の数式(1)で表されると定義した際のσの値である。
Figure 2021091881
・・・数式(1)
溶出分散度は具体的には、σ=T50−T15.9である。なお、T15.9は積算質量が15.9質量%となるときの温度を示す。
平均溶出温度が90〜105℃であることにより、プロピレン系(共)重合体(a)の分子量及び融点を成形のために適切なものとすることができ、寸法精度を向上させることができる。平均溶出温度が90℃以上のときにはプロピレン系(共)重合体(a)の分子量及び融点が低くなり過ぎることはなく、成形品の寸法精度が良好となり、105℃以下のときにはプロピレン系樹脂の分子量及び融点が高くなり過ぎることはなく好ましい。
また、溶出分散度(σ)が9℃以下であることにより、温度上昇に伴う成分の溶出を抑えることができると共に、寸法精度を高めることができる。溶出分散度(σ)はより好ましくは7℃以下、更に好ましくは6℃以下である。
このようなメタロセン触媒を用いるプロピレン系(共)重合体(a)としては、市販のものを用いることができ、例えば、日本ポリプロ(株)製の商品名:ウィンテック(WINTEC)などを挙げることができる。
(2)プロピレン系共重合体(b)
(i)プロピレン系共重合体(b)の触媒
プロピレン系共重合体(b)は、メタロセン触媒を重合触媒として用いて製造されていれば、製造方法としては特に限定はなく、通常、プロピレン系共重合体を製造するためのあらゆる方法を用いてよい。メタロセン触媒としては、前述に挙げられたものと同一のものである。プロピレン系共重合体(b)は、メタロセン触媒以外の触媒、例えば、チーグラー触媒を用いると得られるプロピレン系共重合体はベタツキが激しく成形性が悪く、製品としてもブリードなどが懸念される。
(ii)プロピレン系共重合体(b)のα−オレフィン
本発明で用いられるプロピレン系共重合体(b)のα−オレフィン含有量が3重量%以上であると耐衝撃性が十分となり、17重量%以下であると剛性に優れ相分離が起こりにくく透明性が良好となる。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、1−ブテンが好適である。より好ましくはエチレンが好適である。また、これらプロピレン系共重合体は、二種以上混合して使用してもよい。
プロピレン系共重合体の具体的な例としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体などのような、共単量体を任意の量組み合わせた二元又は三元共重合体が例示できる。
このようなプロピレン系共重合体(b)は、メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である条件を満たす。メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体とは、メタロセン触媒を用いて重合して得られたプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
また、本発明で用いられるプロピレン系共重合体(b)は、下記条件(B−i)〜(B−ii)を満たすプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)30〜70重量%と下記条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)30〜70重量%とからなることが好ましい。
(B−i)メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体である。
(B−ii)エチレン含有量が7〜25重量%の範囲である。
(C−i)メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
(C−ii)融解ピーク温度(Tm)が125〜145℃の範囲である。
(C−iii)α−オレフィン含有量が1〜5重量%の範囲である。
メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体とは、メタロセン触媒を用いて主成分であるプロピレン及びα−オレフィンとしてエチレンを重合して得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)である。メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体とは、メタロセン触媒を用いて重合して得られたプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)である。
本発明で用いられるプロピレン系共重合体(b)を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)の含有量が30重量%以上であると透明性改良効果が十分となり、70重量%以下であると剛性が十分となる。より好ましくは30〜60重量%であり、更に好ましくは40〜60重量%である。
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)のエチレン含有量が7重量%以上であると透明性改良効果が十分となり、25重量%以下であると剛性に優れ相分離が起こりにくく透明性が良好となる。より好ましくは7〜20重量%であり、更に好ましくは8〜15重量%である。
このようなプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)としては、市販のものを用いることができ、例えば、Dow社製の商品名:ヴァーシィファイ(Versify)やエクソン・モービル社製の商品名:ビスタマックスなどを挙げることができる。
本発明で用いられるプロピレン系共重合体(b)を構成するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)の含有量が30重量%以上であると剛性の維持が期待でき、70重量%以下であると(α)成分の増加による透明性改良効果が期待される。より好ましくは40〜70重量%であり、更に好ましくは40〜60重量%である。
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)のエチレン含有量が1重量%以上であると透明性改良効果が十分となり、5重量%以下であると剛性が十分となる。より好ましくは2〜4重量%であり、更に好ましくは2〜3重量%である。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)を製造するためにプロピレンとの共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、1−ブテンが好適である。より好ましくはエチレンが好適である。また、これらプロピレン系重合体は、二種以上混合して使用してもよい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)の具体的な例としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体などのような、共単量体を任意に若干量組み合わせた二元又は三元共重合体が例示できる。
(iii)プロピレン系共重合体(b)のMFR
プロピレン系共重合体(b)のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)は0.5〜80g/10分の範囲である。
本発明で用いられるプロピレン系共重合体(b)のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分以上であると成形が容易となり、80g/10分以下であるとプロピレン系共重合体(b)中の比較的低分子量の成分が成形品の表面にブリードしにくくなり外観が良好となる。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン系共重合体(b)の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
(iv)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)のTm
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)の融解ピーク温度(Tm)は、好ましくは125〜145℃の範囲であり、融解ピーク温度(Tm)が125℃以上であると剛性や成形性が良好となり、145℃以下であると透明性改良効果が十分となる。より好ましくは125〜140℃であり、更に好ましくは130〜140℃である。
融解ピーク温度(Tm)の具体的測定方法は、示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とする。
(v)プロピレン系共重合体(b)の含有量
本発明のプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系(共)重合体(a)26〜87重量部、プロピレン系共重合体(b)3〜25重量部及びバイオマスポリエチレン(c)10〜49重量部を含有する合計100重量部である。プロピレン系共重合体(b)は、プロピレン系(共)重合体(a)26〜87重量部及びバイオマスポリエチレン(c)10〜49重量部に対して、3〜25重量部を加えたものである。但し、プロピレン系(共)重合体(a)、プロピレン系共重合体(b)及びバイオマスポリエチレン(c)を含有するものであるプロピレン系重合体組成物は100重量部となる。
プロピレン系共重合体(b)の含有量が3重量部以上であると耐衝撃性が向上し、25重量部以下であると剛性が向上し好ましい。
(vi)プロピレン系共重合体(b)の製造方法
プロピレン系共重合体(b)の製造方法としては、メタロセン触媒を用いていれば、特に限定はなく、通常、プロピレン系共重合体を製造するためのあらゆる方法を用いてよい。メタロセン触媒としては、前述に挙げられたものと同一のものである。
このようなプロピレン系共重合体(b)としては、市販のものを用いることができ、例えば、エクソン・モービル社製の商品名:ビスタマックスや日本ポリプロ(株)製の商品名:ウェルネクス(WELNEX)などを挙げることができる。
(3)バイオマスポリエチレン(c)
本発明で用いられるバイオマスポリエチレン(c)の原料モノマーである植物由来エチレンは、サトウキビ等の植物原料に微生物を作用させて発酵させることにより生成したエタノールを、触媒存在下で加熱して分子内脱水反応を行うことにより得ることができる。
バイオマスポリエチレン(c)は、植物由来エチレンを主成分として含むモノマーを重合させて得られたポリマーである。バイオマスポリエチレン(c)の原料モノマーは、植物由来エチレンを100%含むものでなくてもよい。モノマーの一部を植物由来エチレンとすることによっても環境負荷を低減することができるためである。
バイオマスポリエチレン(c)としては、植物由来エチレンを単独重合させて得られたホモポリマーや、植物由来エチレンとα−オレフィンとを共重合させて得られたコポリマーを使用することもできる。α−オレフィンの炭素数は特に限定されないが、1−ブテン、1−ヘキセン又は1−オクテンであることが好ましい。更に、石油由来エチレンを含んでいてもよい。
バイオマスポリエチレン(c)として用いられるポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を挙げることができる。これらのポリエチレンは、1種又は2種以上をブレンドして用いることができる。
高密度ポリエチレンの密度としては、好ましくは0.940〜0.965g/cmであり、この範囲であると、剛性が向上し好ましい。また、中密度ポリエチレンの密度としては、好ましくは0.925〜0.940g/cmであり、この範囲であると剛性が向上し好ましい。
上記ポリエチレンの中でも低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの内、少なくとも1種を用いるのが好ましい。これにより、透明性改良効果が十分となる。
低密度ポリエチレンの密度としては、好ましくは0.910〜0.920g/cmであり、より好ましくは0.913〜0.917g/cmである。密度が0.910g/cm以上であると剛性が向上し好ましく、密度が0.920g/cm以下であると透明性改良効果が十分となり好ましい。
また、直鎖状低密度ポリエチレンの密度としては、好ましくは0.895〜0.925g/cmであり、より好ましくは0.900〜0.917g/cmである。密度が0.895g/cm以上であると剛性が向上し好ましく、密度が0.925g/cm以下であると透明性改良効果が十分となり好ましい。
バイオマスポリエチレン(c)中の全炭素量に対する植物由来の炭素の割合は、バイオ度数と呼ばれ、バイオマスポリエチレン(c)中に含まれる14Cの濃度を測定することによって求めることができる。すなわち、大気中には一定割合の14Cが含まれる一方、石油由来の樹脂の炭素には14Cが含まれていないことから、バイオマスポリエチレン(c)中に含まれる14Cの濃度を測定することによってバイオ度数を求めることができる。具体的に、バイオマスポリエチレン(c)中の炭素が全て石油由来である場合にはバイオ度数は0%となり、バイオマスポリエチレン(c)中の炭素が全て植物由来である場合にはバイオ度数は100%となる。この14Cの濃度を測定する試験方法としてはASTM D6866が挙げられる。
バイオマスポリエチレン(c)は、ASTM D1238(190℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.21〜72g/10分の範囲のものが好ましく用いられる。
プロピレン系共重合体に用いるバイオマスポリエチレン(c)の重量割合は、10〜49重量部であり、好ましくは、15〜40重量部である。10重量部以上であると、環境負荷低減効果が期待でき、49重量部以下であると、製品の剛性が十分に得られる。(ここで、プロピレン系(共)重合体(a)26〜87重量部、プロピレン系共重合体(b)3〜25重量部及びバイオマスポリエチレン(c)10〜49重量部を含有するプロピレン系重合体組成物は100重量部となる。)
このようなバイオマスポリエチレン(c)としては、例えば「Green PE」(Braskem社製商品名)が挙げられる。
(4)バイオマス度
本発明におけるバイオマス度(%)は、下記の数式により算出される数値である。
バイオマス度(%)=[{A×(B÷100)}/C]×100 ・・・数式(2)
A:バイオマスポリエチレン(c)の重量
B:使用するバイオポリエチレンのバイオ度数(%)
C:プロピレン系重合体組成物の重量
なお、バイオマスポリエチレン(c)のバイオ度数(%)は、ASTM D6866にて測定し算出できる。
(5)曲げ弾性率
本発明のプロピレン系重合体組成物は、JIS K7171(ISO178)に準拠した曲げ弾性率が500MPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が500MPa以上であると、成形品としての強度が十分となる。より好ましくは800MPa以上であり、更に好ましくは1000MPa以上である。
(6)造核剤
本発明のプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体組成物100重量部に対して、造核剤を好ましくは0.01〜0.6重量部含有することができる。
一般的な各種の公知の造核剤が使用可能であり、例えば、立体障害性アミド化合物、有機ジカルボン酸金属塩、有機モノカルボン酸金属塩、ソルビトール系若しくはその誘導体、ノニトール系若しくはその誘導体、ジテルペン酸類の金属塩又はポリマー核剤等が挙げられる。
その中でも特に下記式(1)で表される造核剤を含有することは透明性の発現において好ましい。
Figure 2021091881
・・・(1)
(式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル又はフェニルであり、Rは、炭素数1〜20のアルキルである。)
式(1)で表される造核剤のうち、市販品として入手できる代表的なものは、ミラッドNX8000J(ミリケン・アンド・カンパニー社製)などが挙げられる。その化学構造式は、下記式(1−1)のとおりである。この造核剤の分子量は484である。この物質は、熱的・化学的にきわめて安定であるため、成形温度においてもほとんど熱分解しないという非常に優れた特徴がある。分解物が成形品の表面にブリードアウトして外観を悪化させるという問題が生じないため、非常に好ましい。












Figure 2021091881
・・・(1−1)
本発明のプロピレン系重合体組成物に含有される式(1)で表される造核剤の含有量は、プロピレン系重合体組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜0.6重量部、より好ましくは0.2〜0.4重量部、更に好ましくは0.3〜0.4重量部の範囲である。式(1)で表される造核剤の含有量が0.1重量部以上であると剛性や透明性の発現が期待でき、0.6重量部以下であると、成形品表面へのブリードの懸念が少なくなり、剛性や透明性についての費用対効果(コスト・パフォーマンス)及び溶出性の点から有利である。
(7)その他添加剤
本発明のプロピレン系重合体組成物においては、上述した成分に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤や、紫外線吸収剤、光安定剤、中和剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
更に、耐NOxガス変色性が良好な下記式(2)や下記式(3)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系酸化防止剤、下記式(4)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
Figure 2021091881
・・・(2)
Figure 2021091881
・・・(3)
Figure 2021091881
・・・(4)
中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A、協和化学工業(株)製の下記式(5)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業(株)製の下記式(6)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(5)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(6)
[式中、Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
更に、その他に、既知の各種添加剤、例えば帯電防止剤、滑剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、染料、顔料等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明のプロピレン系重合体組成物の性質、機能などの特性を損なわない範囲で、プロピレン系(共)重合体(a)とプロピレン系重合体(b)及びバイオポリエチレン(c)以外の他の重合体、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、アクリレート重合体、のような一元、二元、三元共重合体を、プロピレン系重合体組成物100重量部に対して、1〜30重量部を任意に添加することができる。同様に、天然ゴム、ブチルゴム、ジエン系ゴム、EPR、EPDMのような、エラストマーをブレンドすることも可能である。更に、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、石膏、マイカ、のような汎用の無機フィラーを併用することも可能である。
[2]プロピレン系重合体組成物の製造方法
本発明のプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系(共)重合体(a)、プロピレン系共重合体(b)及びバイオマスポリエチレン(c)、並びに、必要に応じて他の添加剤の各所定量を、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
[3]プロピレン系重合体組成物を用いて得られた成形品
本発明のプロピレン系重合体組成物を用いた成形品を製造するには、プロピレン系重合体組成物を射出成形法等により所望形状の成形品に成形する。
成形品の用途としては、特に限定されないが、各種工業材料、自動車関連部品、医療向けや化粧品向けなどの各種容器、日用品、フィルム及び繊維など様々な用途に幅広く使用できる。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例で限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例において、プロピレン系(共)重合体(a)、プロピレン系共重合体(b)及びプロピレン系重合体組成物の物性測定は下記の方法に従ったものである。
<1.測定の方法>
メルトフローレート(MFR):
JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)プロピレン系(共)重合体(a)及びプロピレン系共重合体(b)のエチレン含有量の算出
13C−NMRにより組成を検定したエチレン・プロピレンランダムコポリマーを基準物質として733cm−1の特性吸収帯を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含有量を測定した。ペレットをプレス成形により約500μmの厚さのフィルムとしたものを用いた。
(3)分子量及び分子量分布の測定:
プロピレン系(共)重合体(a)及びプロピレン系共重合体(b)の分子量分布Mw/Mnは、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、算出した。測定条件は以下のとおりである。
装置:WATERS社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工(株)製AD806M/S(3本直列)
移動相溶媒:ο−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
(4)融解ピーク温度(融点)(Tm、単位:℃):
示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、一旦200℃まで温度を上げて、熱履歴を消去した後、200℃で5分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させて結晶化させ、再び昇温速度10℃/分にて測定して融解させた際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度(融点)(Tm)とした。
(5)プロピレン系共重合体(b)の各成分量の算出
温度昇温溶離分別(TREF)を用いて、算出した。
プロピレン−エチレンランダム共重合体(α)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)の特定は、製造時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析を用いることが望ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布をTREFにより評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明におけるプロピレン系共重合体(b)は、プロピレン−エチレンランダム共重合体(α)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)の各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く判別することが可能である。
具体的な方法を図1のTREFによる溶出量及び溶出量積算を示す図を用いて説明する。TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、プロピレン−エチレンランダム共重合体(α)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)は結晶性の違いにより各々T(α)とT(β)にその溶出ピークを示し、その差は十分大きいため、中間の温度T(C)(={T(α)+T(β)}/2)においてほぼ分離が可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(α)の結晶性が非常に低い又は非晶性成分の場合には本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある。(この場合には、測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(α)の濃度は検出される。)
このとき、T(α)は測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することが出来ないため、このような場合にはT(α)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(C)までに溶出する成分の積算量をW(α)重量%、T(C)以上で溶出する部分の積算量をW(β)重量%と定義すると、W(α)は結晶性が低い又は非晶性の成分(α)の量とほとんど対応しており、T(C)以上で溶出する成分の積算量W(β)は結晶性が比較的高い成分(β)の量とほぼ対応している。TREFによって得られる溶出量曲線と、そこから求められる上記の各種の温度や量の算出の方法は図1に例示するように行う。
[装置]
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ × 150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学(株)製 SSC−3461ポンプ
[測定条件]
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速 :1mL/分
(6)曲げ弾性率
JIS K7171に準拠して測定した。
(7)シャルピー衝撃強度
JIS K7111に準拠して23℃のシャルピー衝撃強度を測定した。
(8)ヘイズ値
厚さ2mmのシート片を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。
(9)MD、TD方向の割れ試験
120mm×120mm×2mmの試験片を射出成形(成形温度:200℃、金型温度:40℃)し、図2の様に剪定ばさみで幅1.5cmとなる様に長さ3cmほどの切り込みをそれぞれ入れ、その部分を手で折り曲げて、以下の基準で割れを評価した。
◎:90度以上折り曲げても割れ目(裂け目、クラック)ができずに、いくつかの部分に分かれない。(割れない)
○:90度以上折り曲げても割れ目(裂け目、クラック)ができるが、いくつかの部分に分かれない。(割れない)
×:90度以上折り曲げるといくつかの部分に分かれる。(割れる)
樹脂、添加剤>
2−1.プロピレン系(共)重合体(a)の製造
(1)製造例1
(i)固体触媒の調製
攪拌翼、温度計、ジャケット、冷却コイルを備えた100リッターの反応器に、Mg(OEt):30molを仕込み、次いで、Ti(OBu)を、仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)/Mg=0.60(m.r.(モル比))となるように仕込んだ。更に、トルエン(TOL)を19.2kg仕込み、攪拌しながら昇温した。139℃で3時間反応させた後、130℃に降温して、MeSi(OPh)のトルエン溶液を、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、MeSi(OPh)/Mg=0.67(m.r.)になるように添加した。なお、ここで用いたトルエン量は、7.8kgであった。添加終了後、130℃で2時間反応させ、その後、室温に降温し、Si(OEt)を添加した。Si(OEt)の添加量は、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、Si(OEt)/Mg=0.056(m.r.)となるようにした。
次に、得られた反応混合物に対して、マグネシウム濃度が、0.58(mol/L−TOL)になるように、トルエンを添加した。更に、フタル酸ジエチル(DEP)を、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、DEP/Mg=0.10(m.r.)になるように添加した。得られた混合物を、引き続き攪拌しながら10℃に冷却し、TiClを2時間かけて滴下して均一溶液を得た。なお、TiClは、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、TiCl/Mg=4.0(m.r.)になるようにした。TiCl添加終了後、攪拌しながら0.5℃/minで15℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。次いで、再び0.5℃/minで50℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。更に、1℃/minで118℃まで昇温し、同温度で1時間処理を行った。処理終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/73(トルエン/固体成分の体積比)になるように洗浄し、固体成分のスラリーを得た。
次に、ここで得られたスラリーに、室温で、トルエンとTiClを添加した。なお、TiClは、先に仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、TiCl/Mg(OEt)=5.0(m.r.)となるようにした。また、トルエンは、TiCl濃度が、2.0(mol/L−TOL)になるように調整した。このスラリーを攪拌しながら昇温し、118℃で1時間反応を行った。反応終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/150(トルエン/固体成分の体積比)となるように洗浄し、固体成分のスラリーを得た。
(ii)固体触媒成分(A)の調製
(i)で得られた固体成分のうち、400gを、攪拌翼、温度計、冷却ジャケットを有する別の反応器に移送し、ノルマルヘキサンを加えて、固体成分の濃度として5.0(g/l)になるように希釈した。得られたスラリーを攪拌しながら、15℃で、トリメチルビニルシラン、TEA及びTBMDESを添加した。TEAはトリエチルアルミニウムを示し、TBMDESはt−ブチルメチルジエトキシシランを示し、t−ブチルは、ターシャリーブチル基を示す。なお、TEA、トリメチルビニルシラン、TBMDESの添加量は、それぞれ、固体触媒成分(A)中の固体成分1gに対して、0.475g、0.137g、0.167gとなるようにした。添加終了後、引き続き攪拌しながら、15℃で1時間保持し、更に、30℃に昇温して、同温度で2時間攪拌した。次に、再び15℃に降温し、同温度を保持しながら、反応器の気相部に、4.8kgのプロピレンガスを8時間かけて定速でフィードして予備重合を行った。フィード終了後、攪拌を停止して上澄み液を除去した後、ノルマルヘキサンで洗浄を行い、固体触媒成分(A)のスラリーを得た。なお、残液率は、1/12(ノルマルヘキサン/固体触媒成分(A)の体積比)とした。得られた固体触媒成分(A)は、固体触媒成分(A):1g当たり、12.0gのプロピレン重合体を有していた。
(iii)プロピレン−エチレン共重合体の製造
内容積0.4mの攪拌装置付き液相重合槽の後流に二重管式熱交換器と流動フラッシュ槽からなる脱ガスシステムを組み込んだプロセスにより、プロピレン−エチレン共重合体の連続製造を実施した。液相重合槽には、液化プロピレン、エチレン、水素、TEA、TBEDMSを連続的にフィードした。TBEDMSはt−ブチルエチルジメトキシシランを示し、t−ブチルは、ターシャリーブチル基を示す。なお、液化プロピレン、TEA、TBEDMSのフィード量は、それぞれ、163kg/hr、8.86g/hr、1.37g/hrであり、水素は気相の濃度が6.15mol%に、エチレンは気相の濃度が0.74mol%にそれぞれなるようにフィードした。更に、上記(ii)で得られた固体触媒成分(A)を、(A)中に含まれる固体成分として、0.13g/hrとなるようにフィードした。また、重合温度が70℃となるように、液相重合槽を冷却した。この液相重合槽で重合したスラリーは、2重管式熱交換器により加熱され、流動フラッシュ槽に抜き出した。スラリーの抜き出しレートは、該スラリーに含まれるポリプロピレン粒子として、約24kg/hrになるように調節した。該ポリプロピレン粒子の液相重合槽における平均滞留時間は1.4時間であった。抜き出したポリプロピレンを分析したところ、MFRは25.0g/10分、エチレンの含有量は0.7重量%、分子量分布(Mw/Mn)は5.7、Tmは156℃であった。
(2)製造例2
(i)固体触媒の調製
十分に窒素置換した内容積50Lの攪拌機付槽に、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20Lを導入し、次いで塩化マグネシウム(MgCl)を10モル、テトラブトキシチタン〔Ti(O−n−C〕を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、メチルヒドロポリシロキサン〔動粘度:20センチストークス(cSt)=2×10−5/sのもの〕を12L導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
続いて、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5L導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5Lにテトラクロルシラン(SiCl)5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次に、前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5L導入し、フタル酸クロリド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。続いて、テトラクロルチタン(TiCl)を2L導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(b)を調製するための固体成分(b1)を得た。この固体成分(b1)のチタン含有量は、2.0重量%であった。
その後、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8L、上記で合成した固体成分(b1)を400g導入し、成分(b2)としてSiClを0.6L導入して、90℃で2時間反応させた。反応終了後、更に成分(b3)としてビニルトリメチルシラン〔(CH=CH)Si(CH〕を0.54モル、成分(b4)としてt−ブチルメチルジメトキシシラン〔(t−C)(CH)Si(OCH〕0.27モル及び成分(b5)としてトリエチルアルミニウム〔Al(C〕1.5モルを順次導入して、30℃で2時間接触させた。
接触終了後、n−ヘプタンで十分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(b)390gを得た。この固体触媒成分(b)のチタン含有量は、1.8重量%であった。
(ii)予備重合
上記で得られた固体触媒成分(b)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒成分(b)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、Al(Cのn−ヘプタン希釈液をAl(Cとして10g添加し、210gのプロピレンを4時間かけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30分間反応を継続した。
次いで、気相部を窒素で十分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで十分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って予備重合された固体触媒成分(B)を得た。この固体触媒成分(B)は、固体触媒成分(B)1gあたり2.0gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(B)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0重量%、(i−CSi(OCHが8.2重量%含まれていた。
(iii)プロピレン単独重合体の製造
内容積230Lの流動床式反応器を連続反応装置として用いてプロピレン重合を行った。反応器が、重合温度85℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量調整剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.010となるように、プロピレン及び水素を連続的に供給した。更に、トリエチルアルミニウムを5.25g/時間、上記記載の予備重合された固体触媒成分(B)0.50gをプロピレン重合速度が20kg/時間になるように供給し、プロピレン単独重合体を製造した。
反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン単独重合体を得た。
このプロピレン単独重合体のMFRは9g/10分であった。
2−2.プロピレン系共重合体(b)の製造
(1)製造例3
(i)予備重合触媒の調製
珪酸塩の化学処理:10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、更にモンモリロナイト(水澤化学工業(株)製ベンクレイSL;平均粒径=50μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。
触媒の調製:内容積3リットルの撹拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、更にトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調整した。次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕(特開平10−226712号公報実施例に従って合成した。)2177mg(3mmol)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌した。
予備重合:続いて、窒素で十分置換を行った内容積10リットルの撹拌式オートクレーブに、ノルマルヘプタン2.1リットルを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、更に2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄み約3リットルをデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M)のヘプタン溶液9.5ml、更に混合ヘプタンを5.6リットル添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5.6リットル除いた。更にこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中のZr存在量(重量比)は、0.018重量%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M)のヘプタン溶液17.0ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが2.16gを含む予備重合触媒が得られた。
この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体とからなるプロピレン系共重合体(b)の製造を行った。
(ii)プロピレン系共重合体(b)の製造
撹拌機を備えた2台の横型重合槽からなる連続気相重合反応器を用いた。第1の反応器(内容積40m)に上記で得た予備重合触媒を130g/Hr、またトリイソブチルアルミニウムを1.0kg/Hrで連続的に供給した。また、重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が1.6×10−4モル比となるように水素を、エチレン濃度のプロピレン濃度に対する比が5.8×10−4モル比となるようにエチレンを、重合器内の圧力が2.25MPa、温度が62℃を保つようにプロピレンモノマーをそれぞれ重合器内に供給し第1の重合反応を行った。
尚、反応熱は原料液化プロピレンの気化熱にて除去した。
重合器内で生成したプロピレン−エチレンランダム共重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の45容量%となるように連続的に抜出し、第2重合工程の重合器に供給した。
第1の重合反応で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体(プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β))を分析したところ、重合体の固体触媒1g当たりの収量は29kg、エチレン含有量=1.9重量%、MFR=6.9g/10分、分子量分布(Mw/Mn)=2.3、Tm=133℃であった。
第2の反応器(内容積40m)では、第1重合工程からの重合体、また重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が4.3×10−4モル比となるように水素を、エチレン濃度のプロピレン濃度に対する比が0.36モル比となるようにエチレンを、重合器内の圧力が2.2MPa、温度が70℃を保つようにプロピレンモノマーをそれぞれ重合器内に供給し第2の重合反応を行った。
尚、第1の重合反応と第2の重合反応より得られる各重合体の重合量は重合活性抑制剤を供給することで調整した。また反応熱は原料液化プロピレンの気化熱にて除去した。
第2重合工程で生成したプロピレン系共重合体(b)は、重合体の保有レベルが反応容積の55容量%となるように重合器から連続的に抜き出した。
得られたプロピレン系共重合体(b)を分析したところ、重合体の固体触媒1g当たりの収量は52kg、MFRは7.2g/10min、エチレン含有量は6.2重量%であった。尚、第2の重合反応により得たプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)は、MFRは7.6g/10min、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、エチレン含有量は11.6重量%であり、第2の重合反応より得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)がプロピレン系共重合体(b)に占める割合は44.3重量%であった。
2−3.プロピレン系(共)重合体(a)
(PP−1)製造例1で重合して得られたプロピレン系樹脂
(PP−2)製造例2で重合して得られたプロピレン系樹脂
2−4.プロピレン系共重合体(b)
(PP−3)製造例3で重合して得られたプロピレン系樹脂
2−5.バイオマスポリエチレン(c)
低密度ポリエチレン(LDPE)
(PE−1)Braskem社製商品名「Green PE SPB608」
密度:0.915g/cm、ASTM D1238(190℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが30g/10分、バイオ度数:95%。(いずれの特性もメーカーカタログ値を示す。)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
(PE−2)Braskem社製商品名「Green PE SLL118」
密度:0.916g/cm、ASTM D1238(190℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが1g/10分、バイオ度数:87%。(いずれの特性もメーカーカタログ値を示す。)
高密度ポリエチレン(HDPE)
(PE−3)Braskem社製商品名「Green PE SGM9450F」
密度:0.952g/cm、ASTM D1238(190℃、5kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.33g/10分、バイオ度数:96%。(いずれの特性もメーカーカタログ値を示す。)
2−6.その他添加剤
(A−1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤「IR1010」テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン。BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」。
(A−2)リン系酸化防止剤「IF168」トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト。BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」。
(B−1)中和剤「CAST」ステアリン酸カルシウム。日油(株)製。
(N−1)造核剤「NX8000J」1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロルフェニル)メチレン]−ノニトール。ミリケン・アンド・カンパニー社製、商品名「ミラッドNX8000J」。
<3.実施例1〜7、比較例1〜8>
各重合体及び添加剤を表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械製TEM−35B二軸押出機を用いて、窒素雰囲気下ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを用いて、物性を測定した。それらの評価結果を表1に示す。

Figure 2021091881
表1より明らかなように、実施例1〜7は、本発明にかかわるプロピレン系(共)重合体(a)、プロピレン系共重合体(b)及びバイオマスポリエチレン(c)を規定量含有したもので、環境負荷低減できる材料であり、剛性に優れ割れないことが判る。実施例1は、バイオマスポリエチレン(c)としてLDPEを規定量含有したもので、更に透明性にも優れていることが判る。実施例2は、実施例1の組成においてバイオマスポリエチレン(c)LDPEの含有量を減らしたものであるが、実施例1よりも更に剛性と透明性にも優れていることが判る。実施例3及び4は、バイオマスポリエチレン(c)としてLLDPE、HDPEをそれぞれ使用したもので、実施例5〜7は、プロピレン系(共)重合体(a)としてプロピレン単独重合体を使用したものである。
一方、比較例1は、プロピレン系共重合体(b)を含有しないものであり、剛性や透明性が実施例1よりも若干優れるものの、TD方向の割れ試験によって割れることが判る。比較例2及び3は、PP−1又はPP−3を単独に含有した組成の物性であるがバイオマス度が0%である。比較例4は、PE−1を単独に含有した組成の物性で剛性不足である。比較例5は、プロピレン系共重合体(b)の含有量が少ないため、TD方向が割れてしまい、比較例8は、プロピレン系共重合体(b)の含有量が多いため、剛性不足となる。比較例6は、バイオマスポリエチレン(c)の含有量が少ないため、バイオマス度が低すぎ、比較例7は、プロピレン系共重合体(b)を使用しなかったため、TD方向の割れ試験によって割れることが判る。
本発明のプロピレン系重合体組成物は、バイオマスポリエチレンを含有しても割れない成形品を与える、バイオマス度が8.4〜49%で環境負荷低減に利用でき有用である。

Claims (5)

  1. 下記条件(H−i)〜(H−ii)を満たすプロピレン系(共)重合体(a)26〜87重量部、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系共重合体(b)3〜25重量部及びバイオマスポリエチレン(c)10〜49重量部を含有する合計100重量部であり、バイオマス度が8.4〜49%であるプロピレン系重合体組成物。
    (H−i)プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が1重量%未満のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体である。
    (H−ii)JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(以下、MFRと略称することがある。)が0.5〜100g/10分の範囲である。
    (A−i)メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
    (A−ii)α−オレフィン含有量が3〜17重量%の範囲である。
    (A−iii)MFRが0.5〜80g/10分の範囲である。
  2. プロピレン系共重合体(b)が、下記条件(B−i)〜(B−ii)を満たすプロピレン−エチレンランダム共重合体(α)30〜70重量%と下記条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(β)30〜70重量%とからなる請求項1に記載のプロピレン系重合体組成物。
    (B−i)メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体である。
    (B−ii)エチレン含有量が7〜25重量%の範囲である。
    (C−i)メタロセン系プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
    (C−ii)融解ピーク温度(Tm)が125〜145℃の範囲である。
    (C−iii)α−オレフィン含有量が1〜5重量%の範囲である。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のプロピレン系重合体組成物100重量部に対して、造核剤を0.01〜0.6重量部含有するプロピレン系重合体組成物。
  4. JIS K7171(ISO178)に準拠した曲げ弾性率が500MPa以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体組成物を用いて得られた成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023050399A (ja) * 2021-09-30 2023-04-11 株式会社プライムポリマー バイオマス由来オレフィンと化石燃料由来オレフィンとを含むオレフィン混合物から得られるプロピレン系重合体、および該プロピレン系重合体の製造方法

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