JP2017014450A - 押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

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Koichi Hirayama
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Abstract

【課題】フィルムやシートに加工した際に高濃度で配合しても添加剤が表面へブリードアウトして透明性を損なうことなく、長期使用しても添加剤濃度が変化せず、従って長期耐候性能に優れ、且つ耐白化性、耐変色性や押出ラミネート加工性に優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)プロピレン系樹脂、(B)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体、(C)トリアリールトリアジン系化合物、(D)ヒンダードアミン系光安定剤及び(E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を含有し、MFRが2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、押出ラミネート成形加工性に優れ、また高濃度で耐候剤を配合してもラミネート加工したときに耐候剤の揮散ブリードアウトが防止され、透明性の低下や長期耐候性能の低下がなく、耐白化特性や耐変色性に優れた押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物に関する。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂シートやフィルムの耐候性を向上させるために、ヒンダードアミン系の光安定剤や紫外線吸収剤を配合することは、広く実施されている。
特に、農業用フィルムや建築、土木用途でのフィルムやシートには高い耐候性能が要求されている。この様なフィルムやシートへ使用されている樹脂には、ポリエチレンやポリプロピレンをベースとして、各種の耐候性安定剤が配合されている。耐候性に関してはフィルムやシートの劣化を防止し、より長寿命で性能の良いフィルムやシートを得るために、種々の開発がなされてきた。
フィルムやシートは、空気中の酸素の存在下、太陽光中の紫外線により劣化し、強伸度が低下し破損する。これの改良のために種々の耐候性安定剤が配合されている。配合される耐候性安定剤を大別してみると、紫外線吸収剤と光安定剤とに分けられる。紫外線吸収剤については、従来はニッケル系化合物が中心であったが、近年、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等の紫外線吸収剤が開発され、種々の用途へ展開されている。また、光安定剤については立体障害性アミン系化合物が開発されており、これらはその優れた性能から、現在の耐候性安定剤の主流となっている。
これら耐候性安定剤は、単独または併用して用いられるが、特にフィルムやシートが他の基材との積層体であったり、内包するものを光劣化から保護する必要のある場合には、光安定剤と紫外線吸収剤を必ず併用する必要がある。しかしながら、上記紫外線吸収剤も、光安定剤も長期使用すると、樹脂中から表面へブリードアウトし、フィルムやシートの表面から洗い流される等により当初の配合濃度よりも低い濃度となり、結果として長期耐候性能としては不満足な性能しか得られなかった。従って、長期耐候性能が必要な場合は、高濃度の光安定剤や紫外線吸収剤を予め配合しておく必要があるが、フィルムやシートの表面にブリードアウトした紫外線吸収剤や光安定剤により、フィルムやシートが白く濁るなど透明性が損なわれる問題もあった。特に他のポリオレフィン系基材フィルムやシートと積層されて使用される場合においては、添加剤のブリードアウトにより基材との界面接着強度が落ちる、ということが問題となっていた。
例えば、特許文献1などに示されるように特定のトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を添加することで上記問題はかなり改善されたが、耐白化性に劣り、特に低温での折り曲げ加工で問題が生じることが発生していた。
また、例えば、特許文献2などに示されるように特定のポリプロピレンと紫外線吸収剤および光安定剤を添加することで耐候性と耐白化性は改善されたが、耐変色性に劣っていた。
特開2004−43596号公報 特開平11−147981号公報
本発明の目的は、前述の問題点に鑑み、フィルムやシートに加工した際に高濃度で配合しても添加剤が表面へブリードアウトして透明性を損なうことなく、長期使用しても添加剤濃度が変化せず、従って長期耐候性能に優れ、且つ耐白化性、耐変色性や押出ラミネート加工性に優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリオレフィン樹脂組成物に特定の光安定剤と特定の紫外線吸収剤とジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を含有し、さらに必要に応じて、有機過酸化物を配合して溶融混練することにより、押出ラミネート加工性に優れ、フィルムやシートに加工しても添加剤がブリードアウトして透明性を損なうことなく、長期使用しても耐候性能が低下することがなく、耐白化性や耐変色性に優れた押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物が得られることを見出し本発明を完成した。
本発明は、以下の構成からなる押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
[1] 下記の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(以下、「MFR」と略称することがある。)が2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(A)MFRが1〜50g/10分のプロピレン系樹脂
(B)コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体
(C)式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物
Figure 2017014450
(式中、R1はイソオクチル基)
(D)ヒンダードアミン系光安定剤
(E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物
[2] プロピレン系重合体(B)が下記(i)〜(iv)に規定する要件を満たすことを特徴とする[1]に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5以上、10.5以下である。
(ii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
[3] さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(v)に規定する要件を満たすことを特徴とする[1]または[2]に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(v)ME(メモリーエフェクト)とMFRが以下の式を満たす。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
[4] さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vi)に規定する要件を満たすことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(vi)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。
[5] さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vii)に規定する要件を満たすことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(vii)MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1g/10分以上、30g/10分以下である。
[6] プロピレン系樹脂(A)がプロピレン単独重合体であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[7] プロピレン系樹脂(A)の融点が110〜155℃のプロピレン・αオレフィン共重合体であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[8] プロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン共重合体であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[9] さらに、有機過酸化物(F)を、(A)〜(E)の合計100重量部に対して、0.005〜0.1重量部配合し、溶融混練してなることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、特定のプロピレン系樹脂と特定の構造のプロピレン系重合体に特定のトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤およびジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を組み合わせることにより、ブリードアウトを抑制し透明性や長期耐候性に優れ、さらに、押出ラミネート加工性に優れ、しかも耐白化性及び耐変色性に優れており良好な表面外観を有しており、フィルム又はシート状に押出し、他の基材とラミネートしてラミネート成形品とするのに適している。
図1は、GPCにおける分子量分布曲線の一例を示すグラフ図である。
以下、各成分、製造方法、用途について説明する。
[プロピレン系樹脂(A):ポリプロピレン、プロピレン系ランダム共重合体]
プロピレン系樹脂(A)としては、MFRが1〜50g/10分のポリプロピレン及び/又はプロピレンランダム共重合体を用いる。
プロピレン系樹脂(A)は、ポリプロピレンのホモポリマーであってもよいし、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体であってもよいし、またはそれらの複数の成分の混合物でも良い。プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体を用いる場合は、コモノマーとしてのエチレンやα−オレフィンの重量分率は、好ましくは5重量%まで、より好ましくは8重量%までのものが好適に用いられる。
プロピレン系樹脂(A)のMFRは、1〜50g/10分であることが必要であり、好ましくは3〜40g/10分、より好ましくは5〜30g/10分である。MFRが1〜50g/10分の範囲にあることでプロピレン系重合体(B)との相溶性が良いものとなり、押出ラミネート加工の加工性が良好であり、延展性に優れ高速での押出ラミネートが可能となる。
プロピレン系樹脂(A)の融点は、好ましくは130〜170℃、より好ましくは135〜168℃、また、分子量分布はMw/Mnで好ましくは3.0〜10.0、より好ましくは3.2〜8.0の範囲のものが好適に用いることができる。
なお、融点は示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。Mw/Mnは前述と同じ方法によって求める。
プロピレン系樹脂(A)は、その製造法に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒で製造されたものでもよく、メタロセン系触媒により製造されたものでもよい。
チーグラー・ナッタ系触媒は、たとえば「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20〜57ページ)に概説されているような触媒系のことであり、例えば、三塩化チタンとハロゲン化有機アルミニウムからなる三塩化チタニウム系触媒や、塩化マグネシウム、ハロゲン化チタン、電子供与性化合物を必須として含有する固体触媒成分と有機アルミニウムと有機珪素化合物からなるマグネシウム担持系触媒や、固体触媒成分を有機アルミニウム及び有機珪素化合物を接触させて形成した有機珪素処理固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒のことを指す。
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されているもの等が好ましく使用できる。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。
上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。また、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することも好ましい。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基又はアズレニル基を珪素又はゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が特に好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO2、Al23、シリカアルミナ、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が好ましく挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が好ましく挙げられる。
上記のうち、ポリプロピレンはチーグラー・ナッタ系触媒で製造されたものがこのましく、プロピレン系ランダム共重合体はメタロセン系触媒により製造されたものを使用することが好ましい。
プロピレン系樹脂(A)の製造方法については、特に制限はなく、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等のいずれでも製造可能であり、また、範囲内であれば、多段重合法を利用して、ポリプロピレン及びプロピレン系ランダム共重合体を製造することも可能である。
[プロピレン系重合体(B)]
本発明で使用するプロピレン系重合体(B)は、コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、好ましくは伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である、長鎖分岐型のプロピレン系重合体である。
上記各特性及びプロピレン系重合体(B)の製造方法などについて、以下、具体的に説明する。
[プロピレン系重合体(B)のコモノマー]
本発明で使用するプロピレン系重合体(B)は、コモノマーとして、エチレン及び/又は1−ブテンを、総量として10.0モル%以下含有しうる。
ポリプロピレンに少量のコモノマーを共重合するいわゆるランダム共重合体は、プロピレン単独重合体とくらべて、コモノマーによって結晶性が低下するため、柔軟性、透明性が向上するという利点があり、透明性の必要な場合には、コモノマーとして、エチレン又は1−ブテンを含有させたランダム共重合体にすることが好ましい。
しかしながら、多量にコモノマーが存在すると、結晶性が低下しすぎて融点が低下し、耐熱性を悪化させるという問題が生じてしまう。また、重合時にコモノマーが存在すると、コモノマーへの連鎖移動がβメチル脱離反応と競合し、マクロマーの生成効率が低下してしまい、結果として、溶融物性が損なわれてしまうという問題が生じる。
そこで柔軟性、透明性と、耐熱性、溶融物性のバランスよいプロピレン系重合体(B)とするためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、10モル%以下のランダム共重合体にすることが必要であり、好ましくは7.0モル%以下であり、更に好ましくは5.0モル%以下である。
また、コモノマーとして、エチレンと1−ブテンを比較した場合、同じモル%含量であっても、エチレンの方が結晶性を低下させ、融点を低下させる効果が大きい。すなわち、コモノマーが1−ブテンの場合には、エチレンの場合とくらべて、融点、耐熱性見合いでコモノマー含量を高くできる。
また、1−ブテンをコモノマーとして用いた場合には、エチレンの場合と比べて、融点見合いで、歪硬化度(λmax)でみる溶融物性の低下が小さい。その理由は、必ずしも明確ではないが、エチレンと比較して1−ブテンへの連鎖移動速度が小さいことにより、1−ブテンの場合には、コモノマー含量が高くても、マクロマー生成効率の低下が小さいためと、推定している。
したがって、エチレン/プロピレンランダム共重合体の他に、エチレンの一部を、もしくはすべてを1−ブテンに変えたエチレン/1−ブテン/プロピレンランダム共重合体、1−ブテン/プロピレンランダム共重合体にすることが好ましい。この場合には、コモノマーの1−ブテンを10.0モル%以下含有するように使用することがよく、好ましくは7.0モル%以下であり、更に好ましくは5.0モル%以下である。
また、上記に示した物性を損なわない限り、エチレン、1−ブテン以外のコモノマー、例えば、1−ヘキセンや3−メチル−1−ペンテン等、を使用することが出来る。
エチレン含量および1−ブテン含量の測定は、13C−NMRを用い、後述するmm測定で得られた13C−NMRスペクトルを用いて行う。
[伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)]
本発明のプロピレン系重合体(B)は、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)がそれ自体で1.1以上であるか、またはポリプロピレン及び/またはプロピレンランダム共重合体(A)との樹脂組成物として1.1以上であることが必要である。
歪硬化度(λmax)は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、例えば、ラミネート成形時にドローレゾナンスが起きにくい。
したがって、プロピレン系重合体(B)の歪硬化度は1.1以上が必要であり、好ましくは2.0以上、より好ましくは4.0に好ましくは6.0以上である。
または、プロピレン系重合体(B)とポリプロピレン及び/またはプロピレンランダム共重合体(A)との樹脂組成物の歪硬化度は1.1以上が必要であり、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上である。
また、この歪硬化度は、伸長粘度の非線形性を表す指標であり、通常、分子の絡み合いが多いほど、この値が大きくなると言われている。分子の絡み合いは、分岐の量、分岐鎖の長さに影響を受ける。したがって、分岐の量、分岐の長さが長いほど、歪硬化度は、大きくなる。
また、現時点において分岐を評価する上で最も感度が高い手法と考えられており、13C−NMRで直接分岐構造を評価するのが難しい為に、その手法に替えて、歪硬化度を分岐の指標として用いた。
一般的に、高い歪硬化度を示すには、分岐の長さとして、ポリプロピレンの絡みあい分子量である7,000以上が必要とされる。骨格炭素数に換算すると、約400以上に相当する。ここでいう骨格炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。分岐長がより長くなると、溶融物性は、より向上すると考えられる。特により長い分岐鎖が導入されると、伸長粘度の測定において、より遅い歪速度領域においても、歪硬化が検出されるようになると考えられている。
したがって、プロピレン系重合体(B)の分岐鎖長は、好ましくは骨格炭素数500(ポリプロピレン分子量換算:1.1万)以上であり、より好ましくは骨格炭素数1000(ポリプロピレン分子量換算:2.1万)以上であり、更に好ましくは骨格炭素数2000(ポリプロピレン分子量換算:4.2万)以上である。
ここでいうポリプロピレン分子量換算値は、厳密にはGPCで測定される分子量値とは異なるものであるが、GPCで測定される数平均分子量(Mn)に近似している。
したがって、プロピレン系重合体(B)の分岐鎖長は、GPCで測定される数平均分子量(Mn)で好ましくは1.1万以上、より好ましくは2.1万以上、さらに好ましくは4.2万以上と、置き換えて考えられる。
ここで、歪硬化度の測定方法は、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られるが、例えば、測定方法及び測定機器の詳細は、文献Polymer 42(2001)8663に記載の方法があるが、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
測定方法1:
装置:Rheometorics社製 Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
測定方法2:
装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:東洋精機社製キャピログラフを用い、180℃で内径3mmのオリフィスを用いて、速度10〜50mm/minで押し出しストランドを作成する。
算出方法:
歪み速度:0.1/secの場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
なお、歪速度は、0.001/sec〜10.0/secの範囲で測定可能であり、歪硬化度は歪速度の違いで変化する。この歪硬化度の歪速度依存性は、導入された分岐の形態や長さで変化すると考えられる。
プロピレン系重合体の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)は、プロピレン重合に使用する触媒を構成する二種類のメタロセン錯体の選択やその量比を制御することにより、1.1以上と大きくすることができる。すなわち、2種類のメタロセン錯体の一方は、マクロマーを生成し易いものとし、もう一方は、マクロマーを重合体に取り込み易く且つ高分子量の重合体を生成可能なものを選択する。この時、マクロマー生成錯体の比率を大きくすることで、マクロマーの量を増やすことにより、λmaxを大きくすることができる。また共重合錯体として共重合性のよい錯体を選ぶことでλmaxを大きくすることができる。更に、予備重合を行うことにより、重合体粒子間で長鎖分岐を均一に分布させることでλmaxの値を大きくすることができる。λmaxの値を小さくする場合にはこの逆の操作を行う。
また、重合時において、水素を添加すると重合体中に相対的に高分子量成分が少なくなり、一本鎖当たりの分岐数が減少することによりλmaxは徐々に小さくなる。また、重合時にエチレンを添加するとマクロマーの重合速度が相対的に低下することにより分岐数が減少しλmaxの値は小さくなる。また、ブテンなどの他のコモノマーを用いた場合にも同様にマクロマーの重合速度が相対的に低下して分岐数が減少することによりλmaxの値は小さくなる。
以上言い換えると、触媒合成時に、適切な2種類の錯体の量、比を選択し、予備重合を適切に行い、重合時に水素を用いて分子量、分子量分布を調整し、エチレンやブテンといったコモノマーの量を適宜選択することにより、所望のλmaxの重合体を得ることが可能である。
プロピレン系重合体(B)は、さらに以下に示す(i)〜(vii)の特性・性状を有することが好ましい。
(i)GPCで測定する分子量分布(Mw/Mn)
プロピレン系重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、3.5以上、10.5以下の範囲であることが好ましい。
Mw/Mnは、分子量分布の広がりを表す指標であり、この値が大きいほど、分子量分布が広いことを意味する。Mw/Mnが3.5以上であると、分布が最適なために、溶融延展性と加工性のバランスが良好となる。したがって、Mw/Mnは3.5以上が好ましく、より好ましくは4.0より大きい値である。さらに好ましくは4.5より大きい値である。一方、Mw/Mnが10.5以下であると、必要としない(低)分子量成分の量が減少して、満足する物性のものが得られる。したがって、Mw/Mnは、10.5以下が好ましく、より好ましくは8.0未満であり、更に好ましくは7.5未満である。
プロピレン系重合体のGPCで測定する平均分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Mw/Mn)は、プロピレン重合の温度や圧力条件を変えるか、または、最も一般的な手法としては、水素等の連鎖移動剤をプロピレン重合時に添加する方法により、容易に調整を行なうことができる。さらに、使用するメタロセン錯体の種類、錯体を2種以上使用する場合は、その量比を変えることで制御することができる。
(ii)GPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率
プロピレン系重合体(B)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、重合体全量に対して、分子量(M)が200万以上の成分の比率(W(200万以上))が0.4重量%以上、10重量%未満であることが好ましい。
上記200万以上の比率(W(200万以上))は、重合体中に含まれる非常に高い分子量成分の比率を示す指標である。非常に高い分子量成分の比率であるW(200万以上)は、GPCによって得られる積分分子量分布曲線(全量を1に規格化)において、分子量(M)が200万(Log(M)=6.3)以下までの積分値を、よく知られるように、1から減じた値として定義される。
高分子量成分の量が足りないと、溶融張力やスウェル比が小さくなるので、分子量の高い成分が必要であり、中でも非常に分子量の高い成分を少量含有することにより、効率的に成形性が改善される。この非常に分子量の高い成分には、分岐成分を含んでいると考えられる。
したがって、プロピレン系重合体(B)は、好ましくはそのW(200万以上)が0.4重量%以上であり、より好ましくは1.0重量%以上であり、更に好ましくは2.0重量%以上である。
また、この成分の比率が10重量%未満であると、流動性が良好となり、ゲルの生成が抑制され、外観や溶融延展性も良好となる。
そこで、プロピレン系重合体(B)は、好ましくは、W(200万以上)が10重量%未満であり、より好ましくは6.0重量%未満、更に好ましくは5.0重量%未満である。
プロピレン系重合体(B)のGPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率は、使用するメタロセン錯体として高分子量のポリマーが製造可能なものを選択したうえで、低分子量側を製造するメタロセン錯体に対する量比、プロピレン重合時に添加する水素量や重合温度の制御により、容易に調整を行なうことができる。
上記で定義される重量平均分子量(Mw)、Mw/Mn、α/β、及びW(200万以上)の値は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるものであるが、その測定法、測定機器の詳細は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製は、試料をODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して、溶解させて行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10-4、α=0.7
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
(iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)
プロピレン系重合体(B)は、昇温溶出分別(TREF)測定によって得られる溶出曲線において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下であることが好ましい。
40℃以下の温度で溶出する成分は、低結晶性成分であり、この成分の量が少ないと、結晶性が向上し、強度が向上しやすい。したがって、この量が3.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0重量%以下であり、更に好ましくは1.0重量%以下あり、特に好ましくは0.5重量%以下である。
プロピレン系重合体(B)のオルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)は、メタロセン錯体を用いることにより、一般的に低く抑えることが可能であるが、触媒の純度を一定以上に保つことに加え、触媒の製造方法や重合時の反応条件を、極端に高温にしないことやメタロセン錯体に対する有機アルミの量比を上げすぎないことが必要である。
昇温溶出分別(TREF)による溶出成分の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器、FOXBORO社製、MIRAN、1A
測定波長:3.42μm
(iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)
プロピレン系重合体(B)は、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上の立体規則性を有するものであることが好ましい。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。
mm分率がこの値より大きいと、機械的物性が向上する。従って、mm分率は、好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
また、主鎖および側鎖の立体規則性は、後述するプロピレン系重合体の製造方法で用いられる触媒成分[G−1]および[G−2]のもつ立体規則能力によって決まる。側鎖の立体規則性が低いと、例え主鎖の結晶性が高くても全体の結晶性を落としてしまう。そこでより高剛性の重合体であるためには側鎖、主鎖とも立体規則性が高いことが好ましい。その値としては、主鎖、側鎖ともmm分率で95%以上である。特に好ましくは96%以上であり、更に好ましくは97%以上である。
プロピレン系重合体の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)は、使用するメタロセン錯体の選択や重合温度により、容易に調整を行なうことができる。
なお、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法は、よく知られているとおりであり、具体的には特開2009−275207号公報に記載の方法に従う。
(v)メモリーエフェクト(ME)
プロピレン系重合体(B)は、メモリーエフェクト(ME)が下記式(1)を満たすことが望ましい。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9 (1)
[式中、MEは、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
プロピレン系重合体(B)は、ポリマー中の高分子量成分の存在比率を表す指標となるメモリーエフェクト(ME)とポリマーの平均分子量を表す指標であるMFRとの相関が上記式(1)の関係にあることが好ましい。
MEは、ポリマーの非ニュートン性を表す指標であり、MEが大きいことは、その重合体に緩和時間の長い成分が存在することを示している。すなわち、同一のMFRでMEが大きい場合には、より長期緩和成分が重合体に分布していることを意味する。
また、MEは、Log(MFR)と、1次の相関を有することが経験的に知られており、一般には、分子量が大きくなるほど(すなわちMFRの値が小さくなるほど)、MEの値は大きくなる。
プロピレン系重合体(B)は、ポリマー鎖に分岐成分が存在することにより、MFR見合いでのMEが従来公知のポリマーと比較して大きく、長期緩和成分の量が多いと成形特性に優れる。より好ましくは、下記式(2)、さらには下記式(3)を満足することが好ましい。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.20 (2)
更に好ましくは下記式(I−3)を満足することである。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.40 (3)
メモリーエフェクト(ME)の測定方法としては、タカラ社製のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、エタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値とする。
プロピレン系重合体(B)のメモリーエフェクト(ME)は、プロピレン系重合体の重合に使用される、後述のメタロセン錯体の選択やその組み合わせ、およびその量比、ならびに予備重合条件を制御することにより、調整を行なうことができる。
(vi)GPCによる分子量分布曲線から得られる分子量分布の広がりの高分子量側への偏り
プロピレン系重合体(B)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。ここで、α/βは、分子量分布の広がりの高分子量側への偏りを表す指標である。
分子量分布の広がり方に関しては、GPCによって得られる分子量分布曲線で示される。すなわち、分子量(MW)の常用対数を横軸として、縦軸に、当該MWに相当する分子の相対微分質量をプロットしたグラフが作成される。
なお、ここにいう分子量(MW)とは、プロピレン単独重合体を構成する個々の分子の分子量であって、プロピレン単独重合体の重量平均分子量(Mw)とは、異なるものである。図1は、分子量分布曲線の一例を示すグラフ図である。作成したグラフからαおよびβが求められる。本発明においては、上記のように、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。
通常、単一活性点を持つ触媒で均一な重合を行った場合、分子量分布は最も確からしい分布の形状となる。この最も確からしい分布のα/βは、0.9と算出される。
したがって、プロピレン系重合体(B)の分子量分布は、単一活性点で均一な重合をした重合体の分子量分布と比べて、より高分子量側に一層広がっていることを意味している。
α/βが0.9より大きいと、相対的に高分子量成分の量が十分となるため、溶融張力が大きくなり、成形性が向上するので、分子量分布は、低分子量側よりも高分子量側において、より一層広がっていることが重要である。
したがって、本発明のプロピレン系重合体は、α/βが0.9より大きいことが好ましく、より好ましくは1.0以上であり、更に好ましくは1.1以上である。
一方、α/βが2.0未満であると、高分子量成分の量が適量となり、流動性が良好となる。また、成形時に高速で延伸した場合に溶融体が破断を起こすという、いわゆる溶融延展性の悪化が回避される。
したがって、プロピレン系重合体(B)は、α/βが2.0未満であることが好ましく、より好ましくは1.7未満であり、更に好ましくは1.6未満である。
なお、分子量分布曲線において、ピークが2つ以上現れることがある。その場合は、最大ピークを本発明におけるピークと置き換えることができる。また、H50が2つ以上現れる場合は、一番高分子量側の分子量で置き換えることができる。同様に、L50が2つ以上現れる場合は、一番低分子量側の分子量で置き換えることができる。
プロピレン系重合体(B)のGPCによる分子量分布曲線から得られる分子量分布の広がりの高分子量側への偏りは、2種使用するメタロセン錯体の一方として高分子量のポリマーが製造可能なものを選択したうえで、重合時に添加する水素添加量の制御により容易に調整を行なうことができる。また、使用する2種のメタロセン錯体の量比を変えることでも調整することができる。
(vii)メルトフローレート(MFR)
プロピレン系重合体(B)は、温度230℃、2.16kg荷重で測定するメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上、30g/10分以下であることが好ましい。
MFRは、流動性を示す指標であり、重合体の分子量が大きくなると、この値が小さくなり、一方、分子量が小さくなると、この値は大きくなる。一般的に、この値が大きいと、流動性が向上して、各種成形が容易となる。したがって、MFRは、0.1g/10分以上が好ましく、より好ましくは0.2g/10分以上、さらに好ましくは、0.3g/10分以上である。
また、一般的に、この値が小さいと、流動性が低下するものの、分子量が大きくなることにより、成形体にした場合に衝撃強度が向上するという機械物性の好適化をもたらす。したがって、MFRは、30g/10分以下が好ましく、より好ましくは20g/10分以下、更に好ましくは15g/10分以下である。
なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS K6921−2の「プラスチック−ポリプロピレン(PP)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び性質の求め方」に準拠して、試験条件:230℃、荷重2.16kgfで測定した値である。
プロピレン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、プロピレン重合の温度や圧力条件を変えるか、または、最も一般的な手法としては水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法により、容易に調整を行なうことができる。
また、プロピレン系重合体(B)を重合した後に有機過酸化物減成による調整を行うこともでき、またはプロピレン系重合体(B)とプロピレン系樹脂(A)をブレンドした後に有機過酸化物減成による調整を行うこともできる。その際に使用する有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ))−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチル−ハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチル−ジパーオキシフタレート、t−ブチルパ−オキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、イソプロピルパーカーボネート等が挙げられる。
これらは、1種に限らず2種以上を組み合せて使用することができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンが特に好ましい。
減成方法は、有機過酸化物を、樹脂組成物100重量部当たり、0.005〜0.1重量部用いて、両者を該樹脂の溶融温度以上の温度、例えば180〜300℃で、加熱混練すればよく、その方法としてはどのような方法も採用できるが、特に押出機中で行うのが好適である。又、有機過酸化物が結晶性ポリプロピレン樹脂に均一に分散するように、両者を加熱混練する前に、予め両者をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の混合機を用いて充分混合しても良い。更に、有機過酸化物の分散性を向上するために、有機過酸化物を適当な媒体に混合したものも使用することができる。
また、これまでにMFR、Mw/Mn、α/βおよび分子量(M)が200万以上の成分の比率等のプロピレン系重合体の分子量に関する調整方法について説明してきたが、例えば、共通する制御法として、水素量の制御を挙げることができる。水素量を増やすとプロピレン系重合体のMFRは上がり、Mn/Mn、α/β、分子量(M)が200万以上の成分の比率は低下する傾向を示す。
一方、重合温度を上げる、モノマー分圧を下げる方法でも、MFRを上げることが可能であり、その場合には、分子量(M)が200万以上の成分の比率は低下するが、Mn/Mnとα/βはあまり影響を受けない。また、MFRに対する分子量(M)が200万以上の成分の比率は、高分子量側を生成するメタロセン錯体の量や種類を変えることで制御することがすることができる。この様に、使用する触媒や重合条件を変化させることで、これら規定の制御が可能である。
[プロピレン系重合体(B)の製造方法]
プロピレン系重合体(B)を製造する方法については、上記の溶融延展性や溶融張力を制御した、物性と加工性のバランスに優れる長鎖分岐型のプロピレン系重合体が得られる方法であればよく、特に制限はないが、例えば、制御した分岐成分を導入する方法としては、下記のような複数の錯体を用いる方法を挙げることができる。
すなわち、上記の長鎖分岐型のプロピレン系重合体を製造する方法であって、
プロピレン重合触媒として、下記の触媒成分(G)、(H)及び(I)を用いることを特徴とするプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(G):下記一般式(g1)で表される化合物である成分[G−1]から少なくとも1種類、および一般式(g2)で表される化合物である成分[G−2]から少なくとも1種類、選んだ2種以上の周期律表4族の遷移金属化合物
成分[G−1]:一般式(g1)で表される化合物
成分[G−2]:一般式(g2)で表される化合物
(H):イオン交換性層状珪酸塩
(I):有機アルミニウム化合物
以下、触媒成分(G)、(H)及び(I)について、詳細に説明する。
(1)触媒成分(G)
(i)成分[G−1]:一般式(g1)で表される化合物
Figure 2017014450
[一般式(g1)中、各々R11およびR12は、独立して、炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を示す。また、各々R13およびR14は、独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、X11及びY11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。]
上記R11およびR12の炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基は、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記R13およびR14の炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、又は、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジ−t−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(g1)中、X11およびY11は、補助配位子であり、成分(H)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X1とY1は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
一般式(g1)中、Q11は、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(g1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
(ii)成分[G−2]:一般式(g2)で表される化合物
Figure 2017014450
[一般式(g2)中、各々R21およびR22は、独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、R23およびR24は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基である。X21及びY21は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。M21は、ジルコニウムまたはハフニウムである。]
上記R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R23およびR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24の、ハロゲン、ケイ素、又は、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としてはフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
また、上記X21及びY21は、補助配位子であり、成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX21及びY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
また、上記Q21は、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基又は置換ゲルミレン基である。ケイ素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
さらに、上記M21は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(g2)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
ただし、以下には煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載しており、本発明に用いる分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)の製造方法において、成分[G−2]はこれら化合物に限定して解釈されるものではない。また中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、同様のジルコニウム化合物も使用可能であり、種々の配位子や架橋結合基又は補助配位子を任意に使用しうることは自明である。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などが挙げられる。
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
(2)触媒成分(H)
次に、触媒成分(H)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
原料として使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、成分(B)に含まれる。
尚、原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。それらを含んでもよい。
珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
原料として使用する珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
(ii)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
触媒成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
<酸処理>:
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
<塩類処理>:
塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C24、ClO4、OOCCH3、CH3COCHCOCH3、OCl2、O(NO32、O(ClO42、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH、OOCCH2CH3、C244およびC557から成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
このような塩類の具体例としては、LiF、LiCl、LiBr、LiI、Li2SO4、Li(CH3COO)、LiCO3、Li(C657)、LiCHO2、LiC24、LiClO4、Li3PO4、CaCl2、CaSO4、CaC24、Ca(NO32、Ca3(C6572、MgCl2、MgBr2、MgSO4、Mg(PO42、Mg(ClO42、MgC24、Mg(NO32、Mg(OOCCH32、MgC444等が挙げられる。
また、Ti(OOCCH34、Ti(CO32、Ti(NO34、Ti(SO42、TiF4、TiCl4、Zr(OOCCH34、Zr(CO32、Zr(NO34、Zr(SO42、ZrF4、ZrCl4、ZrOCl2、ZrO(NO32、ZrO(ClO42、ZrO(SO4)、HF(OOCCH34、HF(CO32、HF(NO34、HF(SO42、HFOCl2、HFF4、HFCl4、V(CH3COCHCOCH33、VOSO4、VOCl3、VCl3、VCl4、VBr3等が挙げられる。
また、Cr(CH3COCHCOCH33、Cr(OOCCH32OH、Cr(NO33、Cr(ClO43、CrPO4、Cr2(SO43、CrO2Cl2、CrF3、CrCl3、CrBr3、CrI3、Mn(OOCCH32、Mn(CH3COCHCOCH32、MnCO3、Mn(NO32、MnO、Mn(ClO42、MnF2、MnCl2、Fe(OOCCH32、Fe(CH3COCHCOCH33、FeCO3、Fe(NO33、Fe(ClO43、FePO4、FeSO4、Fe2(SO43、FeF3、FeCl3、FeC657等が挙げられる。
また、Co(OOCCH32、Co(CH3COCHCOCH33、CoCO3、Co(NO32、CoC24、Co(ClO42、Co3(PO42、CoSO4、CoF2、CoCl2、NiCO3、Ni(NO32、NiC24、Ni(ClO42、NiSO4、NiCl2、NiBr2等が挙げられる。
さらに、Zn(OOCCH32、Zn(CH3COCHCOCH32、ZnCO3、Zn(NO32、Zn(ClO42、Zn3(PO42、ZnSO4、ZnF2、ZnCl2、AlF3、AlCl3、AlBr3、AlI3、Al2(SO43、Al2(C243、Al(CH3COCHCOCH33、Al(NO33、AlPO4、GeCl4、GeBr4、GeI4等が挙げられる。
<アルカリ処理>:
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などが例示される。
<有機物処理>:
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して成分(B)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHg(0.13kPa)の条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
以上のように、成分(H)として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する成分(I)で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する成分(I)の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
また、成分(H)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば、天然物又は市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
(3)触媒成分(I)
触媒成分(I)は、有機アルミニウム化合物である。成分(I)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR11 q3-qpで示される化合物が適当である。
この式で表される化合物を単独で、複数種混合して又は併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R11は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。R11としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、p=1、q=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R11が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
(4)触媒の形成・予備重合について
触媒は、上記の各成分を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、又は一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば次の通りである。
成分(I)を使用する場合、成分(G)と成分(H)を接触させる前に、成分(G)と、又は成分(H)と、または成分(G)及び成分(H)の両方に成分(I)を接触させること、または、成分(G)と成分(H)を接触させるのと同時に成分(I)を接触させること、または、成分(G)と成分(H)を接触させた後に成分(I)を接触させることが可能であるが、好ましくは、成分(G)と成分(H)を接触させる前に、成分(I)といずれかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
使用する触媒成分(G)、(H)および(I)の使用量は任意である。例えば、触媒成分(H)に対する触媒成分(G)の使用量は、触媒成分(H)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。また触媒成分(G)に対する触媒成分(I)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×106、特に好ましくは0.1〜1×104の範囲内が好ましい。
成分[G−1]と成分[G−2]の割合は、プロピレン系重合体の特性を満たす範囲において任意であるが、各成分[G−1]と[G−2]の合計量に対する[G−1]の遷移金属のモル比で、好ましくは0.30以上、0.99以下である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[G−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[A−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。より高い歪硬化のプロピレン系重合体を製造するために、通常0.30以上であり、好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上限に関しては0.99以下であり、高い触媒活性で効率的にプロピレン系重合体を得るためには、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[G−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。その理由としては、本重合を行った際の重合体粒子間で長鎖分岐が均一に分布させることができるためと、考えられ、また、そのことにより溶融物性を向上することができる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的に又は定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(H)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に成分(I)を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
(5)触媒の使用/プロピレン重合について
重合様式は、前記成分(G)、成分(H)及び成分(I)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法又は実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75度以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対してモル比で1.0×10-6以上、1.0×10-2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10-6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10-5以上であり、さらに好ましくは1.0×10-4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10-2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10-2以下であり、更に好ましくは0.8×10-2以下である。
またプロピレンモノマー以外に、用途に応じて、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンコモノマー、例えば、エチレン及び/又は1−ブテンをコモノマーとして使用する共重合をおこなってもよい。
そこで触媒活性と溶融物性のバランスよいプロピレン系重合体(B)を得るためには、また、ヒートシールと歪硬化度(λmax)のよいバランスの重合体を得るためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、プロピレンに対して0.5モル%以上用いるのがよく、好ましくは1.0モル%以上であり、更に好ましくは1.5モル%以上である。ある程度の歪硬化度をもたせるためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、プロピレンに対して15モル%以下で使用することが必要であり、好ましくは10.0モル%以下であり、更に好ましくは7.0モル%以下である。ただし、高い結晶性で、前述したように高い歪硬化度(λmax)の重合体を得るためにはコモノマーを用いない重合が好ましい。
[トリアリールトリアジン系化合物(C)]
本発明で用いられるトリアリールトリアジン系化合物(C)は、紫外線吸収剤であって、式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である。
Figure 2017014450
ここで、式(1)中、R1はイソオクチル基である。かかる特定構造の紫外線吸収剤は、従来ポリオレフィン系樹脂には使用されていなかったが、本発明ではこれをポリオレフィン系樹脂に含有することにより、ポリオレフィン系樹脂に一般的に使用されているベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系、更には上記式(1)においてR1がノルマルオクチル基であるようなトリアリールトリアジン系の紫外線吸収剤を用いた場合に比べて、高濃度でも格段にブリードアウトを抑制することができる。上記式(1)において、R1がノルマルオクチル基では、超長期ではブリードアウトによる白化が生じやすくなるので好ましくなく、イソオクチル基以外のイソアルキル基でも、紫外線吸収性能とブリード性のバランスが得られないので好ましくない。
上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤としては、R1が1種類のイソオクチル基でも構わないし、2種類以上のイソオクチル基からなる混合物でも構わないが、2種類以上のイソオクチル基からなる混合物が好ましい。用いられるイソオクチル基としては、2−オクチル基、2−メチル−1−ヘプチル基、3−メチル−1−ヘプチル基、4−メチル−1−ヘプチル基、5−メチル−1−ヘプチル基、6−メチル−1−ヘプチル基、3−オクチル基、2−エチル−1−ヘキシル基、3−エチル−1−ヘキシル基、4−エチル−1−ヘキシル基、4−オクチル基、2−プロピル−1−ペンチル基、2−メチル−3−ヘプチル基、2−イソプロピル−1−ペンチル基、2−メチル−2−ヘプチル基、3−メチル−2−ヘプチル基、4−メチル−2−ヘプチル基、5−メチル−2−ヘプチル基、6−メチル−2−ヘプチル基、2,2−ジメチル−1−ヘキシル基、2,3−ジメチル−1−ヘキシル基、2,4−ジメチル−1−ヘキシル基、2,5−ジメチル−1−ヘキシル基、3,3−ジメチル−1−ヘキシル基、3,4−ジメチル−1−ヘキシル基、3,5−ジメチル−1−ヘキシル基、4,4−ジメチル−1−ヘキシル基、4,5−ジメチル−1−ヘキシル基、5,5−ジメチル−1−ヘキシル基、3−メチル−3−ヘプチル基、3−エチル−2−ヘキシル基、4−エチル−2−ヘキシル基、2−メチル−2−エチル−1−ペンチル基、2−メチル−3−エチル−1−ペンチル基、3−メチル−3−エチル−1−ペンチル基、4−メチル−3−ヘプチル基、5−メチル−3−ヘプチル基、6−メチル−3−ヘプチル基、2−エチル−3−メチル−1−ペンチル基、2−エチル−4−メチル−1−ペンチル基、3−エチル−4−メチル−1−ペンチル基、3−エチル−3−ヘキシル基、4−エチル−3−ヘキシル基、2,2−ジエチル−1−ブチル基、4−メチル−4−ヘプチル基、3−メチル−4−ヘプチル基、2−メチル−4−ヘプチル基、2,3−ジメチル−3−ヘキシル基、2,4−ジメチル−3−ヘキシル基、2,5−ジメチル−3−ヘキシル基、2,3−ジメチル−2−エチル−1−ブチル基、2−イソプロピル−3−メチル−1−ブチル基、3,3,4−トリメチル−1−ペンチル基、2−メチル−3−ヘプチル基などがある。
上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物は、通常のトリアリールトリアジンの合成方法により、容易に合成することが可能である。例えば、2,4,6−トリクロロトリアジンにルイス酸触媒の存在下でキシレン2モルと3−アルコキシフェノール1モルを付加させてもよく、また、2,6−ジメチルベンズアミジンのハロゲン化水素酸塩とハロゲン化ギ酸エステルより2−ヒドロキシ−4,6−ジアリールトリアジンを合成し、次いで塩化チオニルで処理して2−クロロ−4,6−ジアリールトリアジンとしたのち3−アルコキシフェノールとルイス酸触媒で反応してもよい。
また、上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物は、市販のものを使用することもできる。
本発明で用いるトリアリールトリアジン誘導体には、本発明の効果を阻害しない範囲で、R1として、イソオクチル基以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であるトリアリールトリアジン誘導体が含まれていても構わない。R1として、イソオクチル基以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であるトリアリールトリアジン誘導体の許容量は、トリアリールトリアジン誘導体の種類によって異なるが、全トリアリールトリアジン誘導体に対しておおよそ30モル%未満である。
[ヒンダードアミン系光安定剤(D)]
本発明で用いられる光安定剤は、ヒンダードピペリジン構造を含む化合物で、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、ビス−(1,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミツクスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2−4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いても2種類以上の混合物として用いてもよい。
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、BASF社の商品名:Tinuvin 622 、Chimassorb 944、Chimassorb 119、Chimassorb 2020、Tinuvin 765 、Tinuvin 144 、Tinuvin 123 、Sanol LS 2626 、Uvinul 4049H、Uvinul 4050H、Uvinul 5050H、Cytex 社のCyasorb 3346、Cyasorb UV 500等が挙げられる。
[ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E)]
本発明で用いられるジアルキルヒドロキシルアミン系化合物としては、N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンが好ましく、一般式R12NOH(式中、R1及びR2は各々独立してアルキルを表す。)で示される化合物である。式中、好ましいR1またはR2は、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヘプタデシル基のものが好ましい。特に好ましいジアルキルヒドロキシルアミンはN,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミンおよびN,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミンまたはこれらの混合物であり、市販品として、イルガスタブFS042(BASF社製)、イルガスタブFS301(リン系酸化防止剤とFS042の1:1(重量比)のブレンド品、BASF社製)等が挙げられる。
[有機過酸化物(F)]
本発明のポリオレフィン樹脂組成物においては、必要に応じて、有機過酸化物(E)を配合することができる。有機過酸化物(E)を配合して溶融混練することにより、本発明のポリオレフィン樹脂組成物のMFR及びスウェル比を特定の範囲に容易に制御することができる。
有機過酸化物(E)としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイド群に含まれるものが挙げられる。具体的には、例えば、ハイドロパーオキサイド群にはキュメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が含まれ、ジアルキルパーオキサイド群にはジクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイドなどがあり、ジアシルパーオキサイド群にはラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が含まれる。同様にパーオキシエステル群にはターシャリーパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエイト等が、さらにケトンパーオキサイド群にはシクロヘキサノンパーオキサイド等がある。これらで例示されている有機過酸化物のうち1種又は数種を同時に用いていよい。
[その他の配合成分]
本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、上述した紫外線吸収剤及び光安定剤に加えて、他の付加的成分を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤を挙げることができる。
(7)各成分の配合割合
本発明のポリオレフィン樹脂組成物における上記各成分の配合割合は、(A)〜(E)の合計量100重量%に対して、次の範囲である。
プロピレン系樹脂(A)の含有割合は、50〜96.89重量%、好ましくは60〜90重量%である。(A)の割合が上記範囲内であれば耐候性、押出ラミネート加工性に優れるので好ましい。
分岐構造を有するプロピレン系重合体(B)の含有割合は、3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。(B)の割合が上記範囲内であれば成形加工性が優れるので好ましい。
トリアリールトリアジン系化合物(C)の含有割合は、好ましくは0.1〜5重量%である。(C)の割合が上記範囲内であれば耐候性に優れるので好ましく、色相、経済性の点でも好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤(D)の含有割合は、成分(A)〜(E)100重量%に対して好ましくは0.005〜1重量%であり、より好ましくは、0.01〜0.5重量%である。含有量が上記範囲内であると、耐候性が十分であり、フィルム表面へのブルーミング現象が起こりにくく好ましい。
ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物の含有量は、成分(A)〜(E)100重量%に対して好ましくは0.005〜1重量%である。含有量が上記範囲内であると、溶融加工時の熱安定性や電子線照射時の変色耐性が優れ、経済性の点でも好ましい。より好ましい含有量は、0.01〜0.5重量部である。
有機過酸化物(F)の配合割合は、(A)〜(E)の合計100重量部に対し、好ましくは0.005〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.05重量部である。(E)の割合が上記範囲内であると押出ラミネート加工時の高速成形性に優れるので好ましく、材料強度が向上するほか、押出ラミネート加工時のネックインが小さくなり、好ましい。
(8)ポリオレフィン樹脂組成物の製造
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上記必須成分(A)〜(E)、必要に応じて配合される成分(F)及び付加的成分とを混合し、溶融混練することにより得られる。溶融混練については、例えば粉末状、ペレット状等の形状の各成分を一軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、小型バッチミキサー、連続ミキサー、ミキシングロール等の混練機を使用して行う。混練温度は、一般に180〜270℃で行われる。また、混練機は上述したものを二種以上を組み合わせることもできる。
有機過酸化物(E)を加えた溶融混練は、上記成分(A)〜(E)を配合するときに、同時に行うこともできる。さらに、(A)と(B)に(F)を加えて溶融混練し変性を行った後に、(C)、(D)、(E)及び付加的成分を加えることもできる。
(9)ポリオレフィン樹脂組成物の物性
上記のようにして得られた本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、次の物性を有している。
MFR(JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値)は、2〜10g/10分、好ましくは4〜10g/10分である。MFRが上記範囲内であれば良好な押出ラミネート加工性が得られ、透明性が良好となる等の点で好ましい。また、Tダイ幅方向の肉厚調整が容易となり、加工時に圧着ロールへ付着しにくくなり作業性が向上する、材料強度が向上する等の点で好ましい。
MFRが高い樹脂材料は、一般に機械的強度が低く、長期耐候性に劣る傾向にある。一方、MFRの低い樹脂材料は機械的強度及び長期耐候性に優れるものの、樹脂の流れ性が悪く、加工速度が遅く押出ラミネート加工性に劣る傾向にある。これに対し、本発明のポリオレフィン樹脂組成物では、MFRが低く、しかもスウェル比が一定範囲にあるネックインの良好な押出ラミネート加工性に優れた樹脂組成物であり、この樹脂組成物は、高い機械的強度、長期耐候性、及び押出ラミネート加工性のいずれをもバランス良く備えた樹脂材料である。
(10)ポリオレフィン樹脂組成物の用途
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、押出ラミネート加工性に優れ、かつブリードアウトしにくい耐候剤を配合しているため、長期耐候性に優れ、しかも耐白化性及び耐変色性に優れており良好な表面外観を有している。よって、フィルム又はシート状に押出し、他の基材とラミネートしてラミネート成形品とするのに適している。
押出ラミネート加工する方法としては、従来公知のいずれの方法を採用してもよい。例えば、原料樹脂を押出機で加熱、溶融及び混練した後、Tダイよりフィルム状に押出し、一方基材原反部より繰り出された基材表面にこのフィルム状樹脂を被覆し、ゴムロールと冷却ロールとで圧着し、冷却してから巻取部に巻き取る方法、又は冷却ロール側から第二の基材を通し、上記フィルム状樹脂でサンドイッチされた三層被覆物を得る方法、又は2台の押出機を同時に併用して両面被覆加工を行うタンデム方式等の方法が挙げられる。ラミネート加工の対象となる基材は特に限定されず、例えばセロハン、紙、他の樹脂材料、金属等が挙げられる。
また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、特定の紫外線吸収剤、光安定剤およびジアルキルヒドロキシルアミン系化合物とを組み合わせることにより、ブリードアウトを抑制したままさらに格段に耐候性と耐変色性を高めることができる。よって、該ポリオレフィン樹脂組成物からなるフィルム又はシートそれ自身の劣化が防止されるだけではなく、該フィルム又はシートを透過する光によりラミネートした基材が劣化するのを有効に防止することができる。また、ラミネート成形品を包装材料として用いた場合に内包物の劣化を有効に防止することもできる。よって、かかる用途において本発明の効果が特に発揮される。また、ブリードアウトが抑えられ基材との接着性が低下しないという利点も有する。
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における樹脂組成物の特性評価方法及び実施例で使用した樹脂は次の通りである。
1.評価方法
(1)メルトフローレートMFR(単位:g/10分)
JIS K6921−2:1997の付属書準拠、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。なお、ポリエチレン系樹脂については、測定温度は190℃である。
(2)分子量分布Mw/Mn
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(3)GPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(4)昇温溶出分別(TREF)40℃以下の温度での溶出量(単位:wt%)
前述した方法に従って、TREF測定により求めた。
(5)mm分率(単位:wt%)
日本電子社製超伝導核磁気共鳴装置GSX−400(400MHz)、FT−NMRを用い、特開平2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に記載の方法で測定した。
(6)歪み硬化度λmax
伸張粘度測定は以下の条件で行った。
・装置:Rheometorics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
λmaxの算出法の詳細は、前述した通りである。
(7)ME(メモリーエフェクト)
タカラ社製のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、エタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値として算出した。この値は、Log(MFR)と相関する値であり、この値が大きいと、スウェルが大きく射出成形したときの製品外観がよくなることを示す。
(8)α/β
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(9)融点(単位:℃)
示差操作熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。
(10)押出ラミネート加工性(引き取り速度、ネックイン):ポリオレフィン樹脂組成物を、Tダイスから押し出される樹脂の温度が250℃になるように設定した押出ラミネート装置(押出機90mmφ)を用い、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅560mm、ダイリップ開度0.7mmで、引き取り加工速度が80m/分の場合に被覆厚みが80μmになるように押出量を調整して押し出し、幅500mm、厚み25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に、引き取り速度を20m/分から上昇させながら押出ラミネート加工を行い、安定して被覆加工ができる最高加工速度を測定し、また加工速度が80m/分で被覆厚みが80μmの時のネックインを測定した。押出ラミネート加工性としては、本評価において最高引き取り速度が130m/分以上、且つネックインが100mm以下であることが望ましい。
(11)耐候性1:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートをサンシャインウェザーメーター(槽内ブラックパネル温度63℃、JIS−B7753)で照射し、目視 観察により、前記シート表面において該表面積の50%に亀裂が発生するまでの時間を測定した。長期耐候性能としては、本評価において4000時間以上であることが望ましい。
(12)耐候性2:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成シートを(2)と同様にサンシャインウェザーメータで照射し2000〜5000時間後のシートのUV吸光度をUV分光光度計(島津製作所(株)社製UV1600PC)にて500〜250nmの範囲で測定し、下記の評価基準にて○〜×にて評価した。長期耐候性能としては、本評価にて5000時間でも○であることが望ましい。
○:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が95%以上
△:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が70〜95%未満
×:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が70%未満
(13)透明性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを(2)と同様にサンシャインウェザーメーターで照射し、2000時間〜5000時間後のシートをプラスチックの光学的特性試験方法(JIS−K7105 ヘーズ A法)にてヘーズを測定し、以下の評価基準にて○〜×にて評価した。長期耐候性能としては、本評価において5000時間後でも○であることが望ましい。
○:照射前からのヘーズの変化が3%未満
△:照射前からのヘーズの変化が3〜5%未満。
×:照射前からのヘーズの変化が5%以上。
(14)耐白化性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを10cm×10cmに切り出した。切り出したシートを0℃の雰囲気下で2つ折にした。ガラス板の上で2kgの重さの金属板で折り目を10往復擦った。折り目を平面に戻した後、偏光顕微鏡を用いて20倍の倍率で観察し、折り目の状態を下記の基準で判定して耐白化評価とした。耐白化性能としては、本評価において○であることが望ましい。
○:折り目が白化していない
△:折り目がやや白化している
×:折り目が著しく白化している
(15)耐変色性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを40℃のオーブンに入れ、1か月後の変色状態を以下の評価基準にて○〜×にて目視評価した。耐変色性能としては、本評価において○であることが望ましい。
○:変色がない。
△:わずかに変色。
×:著しく変色。
2.試料
[(A)成分]
A−1;日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックEA9H[チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体]
MFR=1.3(230℃、2.16kg荷重、JIS−K6921−2:1997付属書準拠)、Tm=165℃
A−2;日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックEG7F[チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体]
MFR=1.4、Tm=143℃
A−3;日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテックWFX6[メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体]
MFR=2.0、Tm=125℃
[(PE)成分]
PE−1;日本ポリエチレン(株)製、商品名:「ノバテックLD・LC604」
MFR(190℃)=8g/10分(190℃、2.16kg荷重、JIS−K6922−2:1997付属書)、融点=107℃
[(C)成分]
C−1;サイテック社製、商品名「サイアソーブ UV−1164G」
式(1)におけるR1が3−エチル−1−ヘキシル基である誘導体49モル%、4−メチル−1−ヘプチル基である誘導体20モル%、3−エチル−4−メチル−1−ペンチル基である誘導体19モル%、2−エチル−1−ヘキシル基である誘導体10モル%を含有する誘導体組成物、イソオクチル誘導体の合計量は98モル%である。
[(D)成分]
D−1;BASF社製「Chimassorb2020」
D−2;BASF社製「Chimassorb944」
D−3;BASF社製「Tinuvin622」
[(LS)成分]
LS−1;BASF社製「Uvinul3034」(ベンゾトリアゾール系光安定剤)
[(E)成分]
E−1;BASF社製「FS301」
[(F)成分]
F−1;ジ−t−ブチルパーオキサイド
[製造例1(プロピレン系重合体B1の製造)]
[触媒成分[G−1]の合成例1]
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体1)の合成):
(1−1)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
(1−2)2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
(1−3)2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン19.8g(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
(1−4)ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
(1−5)ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドの合成:
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についての1H−NMRによる同定値を以下に記す。
1H−NMR(C66)同定結果
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
[触媒成分[G−2]の合成例2]:
(1)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−2](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様に、実施した。
[触媒成分[H]の合成例]
イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水2,264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製、商品名ベンクレイSL:平均粒径19μm)400gを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーに蒸留水4,000gを加えた後に、ろ過したところ、ケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1,924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ状固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4Lを加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイト220gを得た。
この化学処理モンモリロナイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
[触媒調製及び予備重合]
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理モンモリロナイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を68.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[G−1]の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(210μmol)をトルエン(42mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[G−2]の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(90μmol)をトルエン(18mL)に溶解した(溶液2)。
先ほどの化学処理モンモリロナイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.84mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を1.2mL)を加えた後、上記溶液1を加えて20分間室温で撹拌した。
その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.36mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.50mL)を加えた後上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを338mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を17.0mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒56.4gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.82であった(予備重合触媒1)。
[重合例1]
内容積200リットルの撹拌式オートクレー部内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに水素4.7NL(0.42g)、エチレン0.56kgを添加し、トリイソブチルアルミニウム(0.12mol:濃度50g/Lのヘプタン溶液を0.47L)を加えた後、内温を70℃まで昇温した。次いで予備重合触媒1を1.9g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を70℃に維持した。2時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のモノマーをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流化で1時間乾燥し、22.3kgの重合体を得た。
触媒活性は10600gPP/g触媒であった。MFRは2.1g/10分、ポリマー中のエチレン含量は0.93wt%であった。
[プロピレン系重合体B1のペレット(B−1)の製造]
上記製造例1で製造したプロピレン系重合体(B1)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサー、商品名)を用い室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、プロピレン系重合体(B)のペレット(B−1)を得た。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、210、230(以降、ダイス出口まで同温度)℃設定とした。
このペレット(B−1)について、前記した各種の評価を行った。
エチレン含量=0.93重量%、MFR=2.1g/10min、Mw/Mn=4.0、GPC分子量200万以上成分量=1.7重量%、TREF40℃以下溶出量=0.3重量%、mm=98.5%、λmax=10.4、ME=2.3、−0.26×log(MFR)+0.9=1.07、α/β=1.2であった。
[実施例1]
プロピレン系樹脂(A−1)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例2]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例3]
プロピレン系樹脂(A−3)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.07重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例4]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−2)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例5]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−3)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例1]
プロピレン系樹脂(A−2)95.3重量%、ポリエチレン樹脂(PE−1)4重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、光安定剤(LS−1)4重量%からなる組成物100重量部に対し、0.05重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=6g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例2]
プロピレン系樹脂(A−2)69.3重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例3]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(LS−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
Figure 2017014450
表1より明らかなように、実施例1〜5では押出ラミネート加工性、耐候性、透明性、耐白化性および耐変色性に優れていた。一方、ポリエチレンを使用すると耐白化性に劣る(比較例1)。ヒンダードアミン系光安定剤を使用してかつジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を使用しないと耐変色性に劣る(比較例2)。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤を用いたポリオレフィン樹脂組成物は耐候性、透明性、耐変色性に劣った(比較例3)。

Claims (9)

  1. 下記の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(以下、「MFR」と略称することがある。)が2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (A)MFRが1〜50g/10分のプロピレン系樹脂
    (B)コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体
    (C)式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物
    Figure 2017014450
    (式中、Rはイソオクチル基)
    (D)ヒンダードアミン系光安定剤
    (E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物
  2. プロピレン系重合体(B)が下記(i)〜(iv)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5以上、10.5以下である。
    (ii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
    (iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
    (iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
  3. さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(v)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (v)ME(メモリーエフェクト)とMFRが以下の式を満たす。
    (ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
    [式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
  4. さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vi)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (vi)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。
  5. さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vii)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (vii)MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1g/10分以上、30g/10分以下である。
  6. プロピレン系樹脂(A)がプロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
  7. プロピレン系樹脂(A)の融点が110〜155℃のプロピレン・αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
  8. プロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
  9. さらに、有機過酸化物(F)を、(A)〜(E)の合計100重量部に対して、0.005〜0.1重量部配合し、溶融混練してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
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