JP2017014450A - 押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)プロピレン系樹脂、(B)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体、(C)トリアリールトリアジン系化合物、(D)ヒンダードアミン系光安定剤及び(E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を含有し、MFRが2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
特に、農業用フィルムや建築、土木用途でのフィルムやシートには高い耐候性能が要求されている。この様なフィルムやシートへ使用されている樹脂には、ポリエチレンやポリプロピレンをベースとして、各種の耐候性安定剤が配合されている。耐候性に関してはフィルムやシートの劣化を防止し、より長寿命で性能の良いフィルムやシートを得るために、種々の開発がなされてきた。
これら耐候性安定剤は、単独または併用して用いられるが、特にフィルムやシートが他の基材との積層体であったり、内包するものを光劣化から保護する必要のある場合には、光安定剤と紫外線吸収剤を必ず併用する必要がある。しかしながら、上記紫外線吸収剤も、光安定剤も長期使用すると、樹脂中から表面へブリードアウトし、フィルムやシートの表面から洗い流される等により当初の配合濃度よりも低い濃度となり、結果として長期耐候性能としては不満足な性能しか得られなかった。従って、長期耐候性能が必要な場合は、高濃度の光安定剤や紫外線吸収剤を予め配合しておく必要があるが、フィルムやシートの表面にブリードアウトした紫外線吸収剤や光安定剤により、フィルムやシートが白く濁るなど透明性が損なわれる問題もあった。特に他のポリオレフィン系基材フィルムやシートと積層されて使用される場合においては、添加剤のブリードアウトにより基材との界面接着強度が落ちる、ということが問題となっていた。
また、例えば、特許文献2などに示されるように特定のポリプロピレンと紫外線吸収剤および光安定剤を添加することで耐候性と耐白化性は改善されたが、耐変色性に劣っていた。
本発明は、以下の構成からなる押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
(A)MFRが1〜50g/10分のプロピレン系樹脂
(B)コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体
(C)式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5以上、10.5以下である。
(ii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
[3] さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(v)に規定する要件を満たすことを特徴とする[1]または[2]に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(v)ME(メモリーエフェクト)とMFRが以下の式を満たす。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
[4] さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vi)に規定する要件を満たすことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(vi)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。
[5] さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vii)に規定する要件を満たすことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(vii)MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1g/10分以上、30g/10分以下である。
[7] プロピレン系樹脂(A)の融点が110〜155℃のプロピレン・αオレフィン共重合体であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[8] プロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン共重合体であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[9] さらに、有機過酸化物(F)を、(A)〜(E)の合計100重量部に対して、0.005〜0.1重量部配合し、溶融混練してなることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[プロピレン系樹脂(A):ポリプロピレン、プロピレン系ランダム共重合体]
プロピレン系樹脂(A)としては、MFRが1〜50g/10分のポリプロピレン及び/又はプロピレンランダム共重合体を用いる。
プロピレン系樹脂(A)は、ポリプロピレンのホモポリマーであってもよいし、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体であってもよいし、またはそれらの複数の成分の混合物でも良い。プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体を用いる場合は、コモノマーとしてのエチレンやα−オレフィンの重量分率は、好ましくは5重量%まで、より好ましくは8重量%までのものが好適に用いられる。
なお、融点は示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。Mw/Mnは前述と同じ方法によって求める。
これらの内、インデニル基又はアズレニル基を珪素又はゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が特に好ましい。
本発明で使用するプロピレン系重合体(B)は、コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、好ましくは伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である、長鎖分岐型のプロピレン系重合体である。
上記各特性及びプロピレン系重合体(B)の製造方法などについて、以下、具体的に説明する。
本発明で使用するプロピレン系重合体(B)は、コモノマーとして、エチレン及び/又は1−ブテンを、総量として10.0モル%以下含有しうる。
ポリプロピレンに少量のコモノマーを共重合するいわゆるランダム共重合体は、プロピレン単独重合体とくらべて、コモノマーによって結晶性が低下するため、柔軟性、透明性が向上するという利点があり、透明性の必要な場合には、コモノマーとして、エチレン又は1−ブテンを含有させたランダム共重合体にすることが好ましい。
そこで柔軟性、透明性と、耐熱性、溶融物性のバランスよいプロピレン系重合体(B)とするためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、10モル%以下のランダム共重合体にすることが必要であり、好ましくは7.0モル%以下であり、更に好ましくは5.0モル%以下である。
したがって、エチレン/プロピレンランダム共重合体の他に、エチレンの一部を、もしくはすべてを1−ブテンに変えたエチレン/1−ブテン/プロピレンランダム共重合体、1−ブテン/プロピレンランダム共重合体にすることが好ましい。この場合には、コモノマーの1−ブテンを10.0モル%以下含有するように使用することがよく、好ましくは7.0モル%以下であり、更に好ましくは5.0モル%以下である。
また、上記に示した物性を損なわない限り、エチレン、1−ブテン以外のコモノマー、例えば、1−ヘキセンや3−メチル−1−ペンテン等、を使用することが出来る。
エチレン含量および1−ブテン含量の測定は、13C−NMRを用い、後述するmm測定で得られた13C−NMRスペクトルを用いて行う。
本発明のプロピレン系重合体(B)は、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)がそれ自体で1.1以上であるか、またはポリプロピレン及び/またはプロピレンランダム共重合体(A)との樹脂組成物として1.1以上であることが必要である。
したがって、プロピレン系重合体(B)の歪硬化度は1.1以上が必要であり、好ましくは2.0以上、より好ましくは4.0に好ましくは6.0以上である。
または、プロピレン系重合体(B)とポリプロピレン及び/またはプロピレンランダム共重合体(A)との樹脂組成物の歪硬化度は1.1以上が必要であり、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上である。
また、この歪硬化度は、伸長粘度の非線形性を表す指標であり、通常、分子の絡み合いが多いほど、この値が大きくなると言われている。分子の絡み合いは、分岐の量、分岐鎖の長さに影響を受ける。したがって、分岐の量、分岐の長さが長いほど、歪硬化度は、大きくなる。
また、現時点において分岐を評価する上で最も感度が高い手法と考えられており、13C−NMRで直接分岐構造を評価するのが難しい為に、その手法に替えて、歪硬化度を分岐の指標として用いた。
したがって、プロピレン系重合体(B)の分岐鎖長は、好ましくは骨格炭素数500(ポリプロピレン分子量換算:1.1万)以上であり、より好ましくは骨格炭素数1000(ポリプロピレン分子量換算:2.1万)以上であり、更に好ましくは骨格炭素数2000(ポリプロピレン分子量換算:4.2万)以上である。
ここでいうポリプロピレン分子量換算値は、厳密にはGPCで測定される分子量値とは異なるものであるが、GPCで測定される数平均分子量(Mn)に近似している。
したがって、プロピレン系重合体(B)の分岐鎖長は、GPCで測定される数平均分子量(Mn)で好ましくは1.1万以上、より好ましくは2.1万以上、さらに好ましくは4.2万以上と、置き換えて考えられる。
装置:Rheometorics社製 Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:東洋精機社製キャピログラフを用い、180℃で内径3mmのオリフィスを用いて、速度10〜50mm/minで押し出しストランドを作成する。
歪み速度:0.1/secの場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
なお、歪速度は、0.001/sec〜10.0/secの範囲で測定可能であり、歪硬化度は歪速度の違いで変化する。この歪硬化度の歪速度依存性は、導入された分岐の形態や長さで変化すると考えられる。
また、重合時において、水素を添加すると重合体中に相対的に高分子量成分が少なくなり、一本鎖当たりの分岐数が減少することによりλmaxは徐々に小さくなる。また、重合時にエチレンを添加するとマクロマーの重合速度が相対的に低下することにより分岐数が減少しλmaxの値は小さくなる。また、ブテンなどの他のコモノマーを用いた場合にも同様にマクロマーの重合速度が相対的に低下して分岐数が減少することによりλmaxの値は小さくなる。
以上言い換えると、触媒合成時に、適切な2種類の錯体の量、比を選択し、予備重合を適切に行い、重合時に水素を用いて分子量、分子量分布を調整し、エチレンやブテンといったコモノマーの量を適宜選択することにより、所望のλmaxの重合体を得ることが可能である。
(i)GPCで測定する分子量分布(Mw/Mn)
プロピレン系重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、3.5以上、10.5以下の範囲であることが好ましい。
Mw/Mnは、分子量分布の広がりを表す指標であり、この値が大きいほど、分子量分布が広いことを意味する。Mw/Mnが3.5以上であると、分布が最適なために、溶融延展性と加工性のバランスが良好となる。したがって、Mw/Mnは3.5以上が好ましく、より好ましくは4.0より大きい値である。さらに好ましくは4.5より大きい値である。一方、Mw/Mnが10.5以下であると、必要としない(低)分子量成分の量が減少して、満足する物性のものが得られる。したがって、Mw/Mnは、10.5以下が好ましく、より好ましくは8.0未満であり、更に好ましくは7.5未満である。
プロピレン系重合体(B)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、重合体全量に対して、分子量(M)が200万以上の成分の比率(W(200万以上))が0.4重量%以上、10重量%未満であることが好ましい。
上記200万以上の比率(W(200万以上))は、重合体中に含まれる非常に高い分子量成分の比率を示す指標である。非常に高い分子量成分の比率であるW(200万以上)は、GPCによって得られる積分分子量分布曲線(全量を1に規格化)において、分子量(M)が200万(Log(M)=6.3)以下までの積分値を、よく知られるように、1から減じた値として定義される。
したがって、プロピレン系重合体(B)は、好ましくはそのW(200万以上)が0.4重量%以上であり、より好ましくは1.0重量%以上であり、更に好ましくは2.0重量%以上である。
また、この成分の比率が10重量%未満であると、流動性が良好となり、ゲルの生成が抑制され、外観や溶融延展性も良好となる。
そこで、プロピレン系重合体(B)は、好ましくは、W(200万以上)が10重量%未満であり、より好ましくは6.0重量%未満、更に好ましくは5.0重量%未満である。
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
プロピレン系重合体(B)は、昇温溶出分別(TREF)測定によって得られる溶出曲線において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下であることが好ましい。
40℃以下の温度で溶出する成分は、低結晶性成分であり、この成分の量が少ないと、結晶性が向上し、強度が向上しやすい。したがって、この量が3.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0重量%以下であり、更に好ましくは1.0重量%以下あり、特に好ましくは0.5重量%以下である。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器、FOXBORO社製、MIRAN、1A
測定波長:3.42μm
プロピレン系重合体(B)は、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上の立体規則性を有するものであることが好ましい。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。
mm分率がこの値より大きいと、機械的物性が向上する。従って、mm分率は、好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
また、主鎖および側鎖の立体規則性は、後述するプロピレン系重合体の製造方法で用いられる触媒成分[G−1]および[G−2]のもつ立体規則能力によって決まる。側鎖の立体規則性が低いと、例え主鎖の結晶性が高くても全体の結晶性を落としてしまう。そこでより高剛性の重合体であるためには側鎖、主鎖とも立体規則性が高いことが好ましい。その値としては、主鎖、側鎖ともmm分率で95%以上である。特に好ましくは96%以上であり、更に好ましくは97%以上である。
なお、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法は、よく知られているとおりであり、具体的には特開2009−275207号公報に記載の方法に従う。
プロピレン系重合体(B)は、メモリーエフェクト(ME)が下記式(1)を満たすことが望ましい。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9 (1)
[式中、MEは、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
MEは、ポリマーの非ニュートン性を表す指標であり、MEが大きいことは、その重合体に緩和時間の長い成分が存在することを示している。すなわち、同一のMFRでMEが大きい場合には、より長期緩和成分が重合体に分布していることを意味する。
また、MEは、Log(MFR)と、1次の相関を有することが経験的に知られており、一般には、分子量が大きくなるほど(すなわちMFRの値が小さくなるほど)、MEの値は大きくなる。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.20 (2)
更に好ましくは下記式(I−3)を満足することである。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.40 (3)
プロピレン系重合体(B)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。ここで、α/βは、分子量分布の広がりの高分子量側への偏りを表す指標である。
なお、ここにいう分子量(MW)とは、プロピレン単独重合体を構成する個々の分子の分子量であって、プロピレン単独重合体の重量平均分子量(Mw)とは、異なるものである。図1は、分子量分布曲線の一例を示すグラフ図である。作成したグラフからαおよびβが求められる。本発明においては、上記のように、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。
したがって、プロピレン系重合体(B)の分子量分布は、単一活性点で均一な重合をした重合体の分子量分布と比べて、より高分子量側に一層広がっていることを意味している。
α/βが0.9より大きいと、相対的に高分子量成分の量が十分となるため、溶融張力が大きくなり、成形性が向上するので、分子量分布は、低分子量側よりも高分子量側において、より一層広がっていることが重要である。
したがって、本発明のプロピレン系重合体は、α/βが0.9より大きいことが好ましく、より好ましくは1.0以上であり、更に好ましくは1.1以上である。
したがって、プロピレン系重合体(B)は、α/βが2.0未満であることが好ましく、より好ましくは1.7未満であり、更に好ましくは1.6未満である。
なお、分子量分布曲線において、ピークが2つ以上現れることがある。その場合は、最大ピークを本発明におけるピークと置き換えることができる。また、H50が2つ以上現れる場合は、一番高分子量側の分子量で置き換えることができる。同様に、L50が2つ以上現れる場合は、一番低分子量側の分子量で置き換えることができる。
プロピレン系重合体(B)は、温度230℃、2.16kg荷重で測定するメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上、30g/10分以下であることが好ましい。
MFRは、流動性を示す指標であり、重合体の分子量が大きくなると、この値が小さくなり、一方、分子量が小さくなると、この値は大きくなる。一般的に、この値が大きいと、流動性が向上して、各種成形が容易となる。したがって、MFRは、0.1g/10分以上が好ましく、より好ましくは0.2g/10分以上、さらに好ましくは、0.3g/10分以上である。
また、一般的に、この値が小さいと、流動性が低下するものの、分子量が大きくなることにより、成形体にした場合に衝撃強度が向上するという機械物性の好適化をもたらす。したがって、MFRは、30g/10分以下が好ましく、より好ましくは20g/10分以下、更に好ましくは15g/10分以下である。
また、プロピレン系重合体(B)を重合した後に有機過酸化物減成による調整を行うこともでき、またはプロピレン系重合体(B)とプロピレン系樹脂(A)をブレンドした後に有機過酸化物減成による調整を行うこともできる。その際に使用する有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ))−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチル−ハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチル−ジパーオキシフタレート、t−ブチルパ−オキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、イソプロピルパーカーボネート等が挙げられる。
一方、重合温度を上げる、モノマー分圧を下げる方法でも、MFRを上げることが可能であり、その場合には、分子量(M)が200万以上の成分の比率は低下するが、Mn/Mnとα/βはあまり影響を受けない。また、MFRに対する分子量(M)が200万以上の成分の比率は、高分子量側を生成するメタロセン錯体の量や種類を変えることで制御することがすることができる。この様に、使用する触媒や重合条件を変化させることで、これら規定の制御が可能である。
プロピレン系重合体(B)を製造する方法については、上記の溶融延展性や溶融張力を制御した、物性と加工性のバランスに優れる長鎖分岐型のプロピレン系重合体が得られる方法であればよく、特に制限はないが、例えば、制御した分岐成分を導入する方法としては、下記のような複数の錯体を用いる方法を挙げることができる。
プロピレン重合触媒として、下記の触媒成分(G)、(H)及び(I)を用いることを特徴とするプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(G):下記一般式(g1)で表される化合物である成分[G−1]から少なくとも1種類、および一般式(g2)で表される化合物である成分[G−2]から少なくとも1種類、選んだ2種以上の周期律表4族の遷移金属化合物
成分[G−1]:一般式(g1)で表される化合物
成分[G−2]:一般式(g2)で表される化合物
(H):イオン交換性層状珪酸塩
(I):有機アルミニウム化合物
(1)触媒成分(G)
(i)成分[G−1]:一般式(g1)で表される化合物
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
R13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジ−t−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14が互いに同一である場合が好ましい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
ただし、以下には煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載しており、本発明に用いる分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)の製造方法において、成分[G−2]はこれら化合物に限定して解釈されるものではない。また中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、同様のジルコニウム化合物も使用可能であり、種々の配位子や架橋結合基又は補助配位子を任意に使用しうることは自明である。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などが挙げられる。
次に、触媒成分(H)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
原料として使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、成分(B)に含まれる。
尚、原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。それらを含んでもよい。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
触媒成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C2O4、ClO4、OOCCH3、CH3COCHCOCH3、OCl2、O(NO3)2、O(ClO4)2、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH、OOCCH2CH3、C2H4O4およびC5H5O7から成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
また、Ti(OOCCH3)4、Ti(CO3)2、Ti(NO3)4、Ti(SO4)2、TiF4、TiCl4、Zr(OOCCH3)4、Zr(CO3)2、Zr(NO3)4、Zr(SO4)2、ZrF4、ZrCl4、ZrOCl2、ZrO(NO3)2、ZrO(ClO4)2、ZrO(SO4)、HF(OOCCH3)4、HF(CO3)2、HF(NO3)4、HF(SO4)2、HFOCl2、HFF4、HFCl4、V(CH3COCHCOCH3)3、VOSO4、VOCl3、VCl3、VCl4、VBr3等が挙げられる。
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などが例示される。
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHg(0.13kPa)の条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
触媒成分(I)は、有機アルミニウム化合物である。成分(I)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR11 qZ3-q)pで示される化合物が適当である。
この式で表される化合物を単独で、複数種混合して又は併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R11は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。R11としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
触媒は、上記の各成分を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、又は一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば次の通りである。
成分(I)を使用する場合、成分(G)と成分(H)を接触させる前に、成分(G)と、又は成分(H)と、または成分(G)及び成分(H)の両方に成分(I)を接触させること、または、成分(G)と成分(H)を接触させるのと同時に成分(I)を接触させること、または、成分(G)と成分(H)を接触させた後に成分(I)を接触させることが可能であるが、好ましくは、成分(G)と成分(H)を接触させる前に、成分(I)といずれかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[G−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[A−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。より高い歪硬化のプロピレン系重合体を製造するために、通常0.30以上であり、好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上限に関しては0.99以下であり、高い触媒活性で効率的にプロピレン系重合体を得るためには、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[G−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
重合様式は、前記成分(G)、成分(H)及び成分(I)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法又は実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75度以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10-6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10-5以上であり、さらに好ましくは1.0×10-4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10-2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10-2以下であり、更に好ましくは0.8×10-2以下である。
本発明で用いられるトリアリールトリアジン系化合物(C)は、紫外線吸収剤であって、式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である。
上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物は、通常のトリアリールトリアジンの合成方法により、容易に合成することが可能である。例えば、2,4,6−トリクロロトリアジンにルイス酸触媒の存在下でキシレン2モルと3−アルコキシフェノール1モルを付加させてもよく、また、2,6−ジメチルベンズアミジンのハロゲン化水素酸塩とハロゲン化ギ酸エステルより2−ヒドロキシ−4,6−ジアリールトリアジンを合成し、次いで塩化チオニルで処理して2−クロロ−4,6−ジアリールトリアジンとしたのち3−アルコキシフェノールとルイス酸触媒で反応してもよい。
また、上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物は、市販のものを使用することもできる。
本発明で用いられる光安定剤は、ヒンダードピペリジン構造を含む化合物で、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、ビス−(1,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミツクスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2−4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いても2種類以上の混合物として用いてもよい。
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、BASF社の商品名:Tinuvin 622 、Chimassorb 944、Chimassorb 119、Chimassorb 2020、Tinuvin 765 、Tinuvin 144 、Tinuvin 123 、Sanol LS 2626 、Uvinul 4049H、Uvinul 4050H、Uvinul 5050H、Cytex 社のCyasorb 3346、Cyasorb UV 500等が挙げられる。
本発明で用いられるジアルキルヒドロキシルアミン系化合物としては、N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンが好ましく、一般式R1R2NOH(式中、R1及びR2は各々独立してアルキルを表す。)で示される化合物である。式中、好ましいR1またはR2は、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヘプタデシル基のものが好ましい。特に好ましいジアルキルヒドロキシルアミンはN,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミンおよびN,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミンまたはこれらの混合物であり、市販品として、イルガスタブFS042(BASF社製)、イルガスタブFS301(リン系酸化防止剤とFS042の1:1(重量比)のブレンド品、BASF社製)等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物においては、必要に応じて、有機過酸化物(E)を配合することができる。有機過酸化物(E)を配合して溶融混練することにより、本発明のポリオレフィン樹脂組成物のMFR及びスウェル比を特定の範囲に容易に制御することができる。
有機過酸化物(E)としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイド群に含まれるものが挙げられる。具体的には、例えば、ハイドロパーオキサイド群にはキュメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が含まれ、ジアルキルパーオキサイド群にはジクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイドなどがあり、ジアシルパーオキサイド群にはラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が含まれる。同様にパーオキシエステル群にはターシャリーパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエイト等が、さらにケトンパーオキサイド群にはシクロヘキサノンパーオキサイド等がある。これらで例示されている有機過酸化物のうち1種又は数種を同時に用いていよい。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、上述した紫外線吸収剤及び光安定剤に加えて、他の付加的成分を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤を挙げることができる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物における上記各成分の配合割合は、(A)〜(E)の合計量100重量%に対して、次の範囲である。
プロピレン系樹脂(A)の含有割合は、50〜96.89重量%、好ましくは60〜90重量%である。(A)の割合が上記範囲内であれば耐候性、押出ラミネート加工性に優れるので好ましい。
分岐構造を有するプロピレン系重合体(B)の含有割合は、3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。(B)の割合が上記範囲内であれば成形加工性が優れるので好ましい。
トリアリールトリアジン系化合物(C)の含有割合は、好ましくは0.1〜5重量%である。(C)の割合が上記範囲内であれば耐候性に優れるので好ましく、色相、経済性の点でも好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤(D)の含有割合は、成分(A)〜(E)100重量%に対して好ましくは0.005〜1重量%であり、より好ましくは、0.01〜0.5重量%である。含有量が上記範囲内であると、耐候性が十分であり、フィルム表面へのブルーミング現象が起こりにくく好ましい。
ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物の含有量は、成分(A)〜(E)100重量%に対して好ましくは0.005〜1重量%である。含有量が上記範囲内であると、溶融加工時の熱安定性や電子線照射時の変色耐性が優れ、経済性の点でも好ましい。より好ましい含有量は、0.01〜0.5重量部である。
有機過酸化物(F)の配合割合は、(A)〜(E)の合計100重量部に対し、好ましくは0.005〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.05重量部である。(E)の割合が上記範囲内であると押出ラミネート加工時の高速成形性に優れるので好ましく、材料強度が向上するほか、押出ラミネート加工時のネックインが小さくなり、好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上記必須成分(A)〜(E)、必要に応じて配合される成分(F)及び付加的成分とを混合し、溶融混練することにより得られる。溶融混練については、例えば粉末状、ペレット状等の形状の各成分を一軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、小型バッチミキサー、連続ミキサー、ミキシングロール等の混練機を使用して行う。混練温度は、一般に180〜270℃で行われる。また、混練機は上述したものを二種以上を組み合わせることもできる。
有機過酸化物(E)を加えた溶融混練は、上記成分(A)〜(E)を配合するときに、同時に行うこともできる。さらに、(A)と(B)に(F)を加えて溶融混練し変性を行った後に、(C)、(D)、(E)及び付加的成分を加えることもできる。
上記のようにして得られた本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、次の物性を有している。
MFR(JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値)は、2〜10g/10分、好ましくは4〜10g/10分である。MFRが上記範囲内であれば良好な押出ラミネート加工性が得られ、透明性が良好となる等の点で好ましい。また、Tダイ幅方向の肉厚調整が容易となり、加工時に圧着ロールへ付着しにくくなり作業性が向上する、材料強度が向上する等の点で好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、押出ラミネート加工性に優れ、かつブリードアウトしにくい耐候剤を配合しているため、長期耐候性に優れ、しかも耐白化性及び耐変色性に優れており良好な表面外観を有している。よって、フィルム又はシート状に押出し、他の基材とラミネートしてラミネート成形品とするのに適している。
(1)メルトフローレートMFR(単位:g/10分)
JIS K6921−2:1997の付属書準拠、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。なお、ポリエチレン系樹脂については、測定温度は190℃である。
(2)分子量分布Mw/Mn
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(3)GPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(4)昇温溶出分別(TREF)40℃以下の温度での溶出量(単位:wt%)
前述した方法に従って、TREF測定により求めた。
(5)mm分率(単位:wt%)
日本電子社製超伝導核磁気共鳴装置GSX−400(400MHz)、FT−NMRを用い、特開平2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に記載の方法で測定した。
(6)歪み硬化度λmax
伸張粘度測定は以下の条件で行った。
・装置:Rheometorics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
λmaxの算出法の詳細は、前述した通りである。
(7)ME(メモリーエフェクト)
タカラ社製のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、エタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値として算出した。この値は、Log(MFR)と相関する値であり、この値が大きいと、スウェルが大きく射出成形したときの製品外観がよくなることを示す。
(8)α/β
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(9)融点(単位:℃)
示差操作熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。
(11)耐候性1:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートをサンシャインウェザーメーター(槽内ブラックパネル温度63℃、JIS−B7753)で照射し、目視 観察により、前記シート表面において該表面積の50%に亀裂が発生するまでの時間を測定した。長期耐候性能としては、本評価において4000時間以上であることが望ましい。
(12)耐候性2:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成シートを(2)と同様にサンシャインウェザーメータで照射し2000〜5000時間後のシートのUV吸光度をUV分光光度計(島津製作所(株)社製UV1600PC)にて500〜250nmの範囲で測定し、下記の評価基準にて○〜×にて評価した。長期耐候性能としては、本評価にて5000時間でも○であることが望ましい。
○:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が95%以上
△:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が70〜95%未満
×:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が70%未満
(13)透明性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを(2)と同様にサンシャインウェザーメーターで照射し、2000時間〜5000時間後のシートをプラスチックの光学的特性試験方法(JIS−K7105 ヘーズ A法)にてヘーズを測定し、以下の評価基準にて○〜×にて評価した。長期耐候性能としては、本評価において5000時間後でも○であることが望ましい。
○:照射前からのヘーズの変化が3%未満
△:照射前からのヘーズの変化が3〜5%未満。
×:照射前からのヘーズの変化が5%以上。
(14)耐白化性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを10cm×10cmに切り出した。切り出したシートを0℃の雰囲気下で2つ折にした。ガラス板の上で2kgの重さの金属板で折り目を10往復擦った。折り目を平面に戻した後、偏光顕微鏡を用いて20倍の倍率で観察し、折り目の状態を下記の基準で判定して耐白化評価とした。耐白化性能としては、本評価において○であることが望ましい。
○:折り目が白化していない
△:折り目がやや白化している
×:折り目が著しく白化している
(15)耐変色性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを40℃のオーブンに入れ、1か月後の変色状態を以下の評価基準にて○〜×にて目視評価した。耐変色性能としては、本評価において○であることが望ましい。
○:変色がない。
△:わずかに変色。
×:著しく変色。
[(A)成分]
A−1;日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックEA9H[チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体]
MFR=1.3(230℃、2.16kg荷重、JIS−K6921−2:1997付属書準拠)、Tm=165℃
A−2;日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックEG7F[チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体]
MFR=1.4、Tm=143℃
A−3;日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテックWFX6[メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体]
MFR=2.0、Tm=125℃
PE−1;日本ポリエチレン(株)製、商品名:「ノバテックLD・LC604」
MFR(190℃)=8g/10分(190℃、2.16kg荷重、JIS−K6922−2:1997付属書)、融点=107℃
[(C)成分]
C−1;サイテック社製、商品名「サイアソーブ UV−1164G」
式(1)におけるR1が3−エチル−1−ヘキシル基である誘導体49モル%、4−メチル−1−ヘプチル基である誘導体20モル%、3−エチル−4−メチル−1−ペンチル基である誘導体19モル%、2−エチル−1−ヘキシル基である誘導体10モル%を含有する誘導体組成物、イソオクチル誘導体の合計量は98モル%である。
D−1;BASF社製「Chimassorb2020」
D−2;BASF社製「Chimassorb944」
D−3;BASF社製「Tinuvin622」
[(LS)成分]
LS−1;BASF社製「Uvinul3034」(ベンゾトリアゾール系光安定剤)
[(E)成分]
E−1;BASF社製「FS301」
[(F)成分]
F−1;ジ−t−ブチルパーオキサイド
[触媒成分[G−1]の合成例1]
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体1)の合成):
(1−1)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン19.8g(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
500mlのガラス製反応容器に、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についての1H−NMRによる同定値を以下に記す。
1H−NMR(C6D6)同定結果
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
(1)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−2](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様に、実施した。
イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水2,264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製、商品名ベンクレイSL:平均粒径19μm)400gを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーに蒸留水4,000gを加えた後に、ろ過したところ、ケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1,924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ状固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4Lを加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイト220gを得た。
この化学処理モンモリロナイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理モンモリロナイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を68.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[G−1]の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(210μmol)をトルエン(42mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[G−2]の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(90μmol)をトルエン(18mL)に溶解した(溶液2)。
その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.36mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.50mL)を加えた後上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを338mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を17.0mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒56.4gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.82であった(予備重合触媒1)。
内容積200リットルの撹拌式オートクレー部内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに水素4.7NL(0.42g)、エチレン0.56kgを添加し、トリイソブチルアルミニウム(0.12mol:濃度50g/Lのヘプタン溶液を0.47L)を加えた後、内温を70℃まで昇温した。次いで予備重合触媒1を1.9g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を70℃に維持した。2時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のモノマーをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流化で1時間乾燥し、22.3kgの重合体を得た。
触媒活性は10600gPP/g触媒であった。MFRは2.1g/10分、ポリマー中のエチレン含量は0.93wt%であった。
上記製造例1で製造したプロピレン系重合体(B1)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサー、商品名)を用い室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、プロピレン系重合体(B)のペレット(B−1)を得た。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、210、230(以降、ダイス出口まで同温度)℃設定とした。
エチレン含量=0.93重量%、MFR=2.1g/10min、Mw/Mn=4.0、GPC分子量200万以上成分量=1.7重量%、TREF40℃以下溶出量=0.3重量%、mm=98.5%、λmax=10.4、ME=2.3、−0.26×log(MFR)+0.9=1.07、α/β=1.2であった。
プロピレン系樹脂(A−1)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
プロピレン系樹脂(A−3)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.07重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−2)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−3)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
プロピレン系樹脂(A−2)95.3重量%、ポリエチレン樹脂(PE−1)4重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、光安定剤(LS−1)4重量%からなる組成物100重量部に対し、0.05重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=6g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
プロピレン系樹脂(A−2)69.3重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するプロピレン系重合体(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(LS−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=9g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
Claims (9)
- 下記の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(以下、「MFR」と略称することがある。)が2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(A)MFRが1〜50g/10分のプロピレン系樹脂
(B)コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体
(C)式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物
(D)ヒンダードアミン系光安定剤
(E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物 - プロピレン系重合体(B)が下記(i)〜(iv)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5以上、10.5以下である。
(ii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。 - さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(v)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(v)ME(メモリーエフェクト)とMFRが以下の式を満たす。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。] - さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vi)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(vi)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。 - さらに、プロピレン系重合体(B)が、下記(vii)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(vii)MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1g/10分以上、30g/10分以下である。 - プロピレン系樹脂(A)がプロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
- プロピレン系樹脂(A)の融点が110〜155℃のプロピレン・αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
- プロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
- さらに、有機過酸化物(F)を、(A)〜(E)の合計100重量部に対して、0.005〜0.1重量部配合し、溶融混練してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
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