JP2021091861A - ポリアミド微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濃度のポリアミドの単量体から、真球状で、表面平滑性に優れ、均一な粒度分布を有し、中実なポリアミド微粒子を高収率で製造する方法の提供することができる。【解決手段】ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、ポリアミドの単量体(A)が40質量部以上90質量部未満であり、ポリマー(B)の存在下、(a)工程から(c)工程の順で実施しポリアミド微粒子を製造する方法であって、重合開始時にポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が均一に溶解しており、重合後にポリアミド微粒子が析出することを特徴とするポリアミド微粒子の製造方法。(a)加圧下、得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度で加熱する。(b)得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度を維持しながら、圧力を低減する。(c)得られるポリアミドの結晶化温度より高く、得られるポリアミドの融点+20℃以下の温度で重合する。【選択図】なし

Description

本発明は、高濃度のポリアミド単量体からポリアミド微粒子を効率よく高収率で製造する方法に関するものである。さらに詳しくは、真球状で、表面平滑性に優れ、均一な粒度分布を有し、中実なポリアミド微粒子を製造する方法に関するものである。
ポリアミド微粒子は、その素材の強度や適度な吸湿性などの特徴から、塗料や化粧品、3Dプリンタなどの分野で使用されている。
かかるポリアミド微粒子の製造方法には、一般的にポリアミド樹脂のペレットを機械的に粉砕する方法が用いられる。しかしながら、粉砕により得られる粒子は、真球度が低く、粒度分布が広くなることから、流動性が悪化する課題があった。また、従来のポリアミド微粒子の製造方法は、複雑なプロセスを要し、効率的に製造することが困難であった。
これらを改良する方法として、例えば、ポリアミドを溶媒に溶解した後に非溶媒と水を加え多孔質のポリアミド微粒子を製造する方法(特許文献1)、ポリアミドを媒体中で混合分散する方法(特許文献2)、さらにはポリアミドの単量体を他のポリマーと相溶させた状態から重合を行い、真球ポリアミド微粒子を得る方法などが開示されている(特許文献3)。
特開2010−053272号公報 特開昭60−040134号公報 国際公報第2018/207728号
しかしながら、特許文献1では、ポリアミド樹脂の良溶媒と貧溶媒を用いて粒子を析出させる手法をとるため、系に占めるポリアミド樹脂の単量体濃度を高くすることができず、効率的にポリアミド粒子を製造することが難しかった。さらに得られるポリアミド微粒子は歪んだ形状であり滑り性に劣る課題があった。
また、特許文献2では、ポリアミド樹脂と媒体の粘度差を小さくすることにより、小粒径の粒子が得られるが、この製法では高濃度化することが困難であり、効率的にポリアミド微粒子を製造できない課題があった。
また、特許文献3では、系に占めるポリアミド樹脂の単量体濃度は中程度であり、効率的にポリアミド微粒子を製造する方法としては不十分であった。
本発明では、高濃度のポリアミドの単量体から、真球状で、表面平滑性に優れ、均一な粒度分布を有し、中実なポリアミド微粒子を高収率で製造する方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のポリアミド微粒子の製造方法は以下のとおりである。すなわち、
(1)ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、ポリアミドの単量体(A)が40質量部以上90質量部未満であり、ポリマー(B)の存在下、(a)工程から(c)工程の順で実施しポリアミド微粒子を製造する方法であって、重合開始時にポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が均一に溶解しており、重合後にポリアミド微粒子が析出することを特徴とするポリアミド微粒子の製造方法。
(a)加圧下、得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度で加熱する。
(b)得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度を維持しながら、圧力を低減する。
(c)得られるポリアミドの結晶化温度より高く、得られるポリアミドの融点+20℃以下の温度で重合する。
(2)(a)工程でポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の混合物に、さらに水を存在させる、(1)に記載のポリアミド微粒子の製造方法。
(3)(b)工程で水を除去し常圧にすることを特徴とする、請求項(2)記載のポリアミド微粒子の製造方法。
(4)(c)工程での重合が常圧下行われることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のポリアミド微粒子の製造方法。
(5)ポリマー(B)がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールの共重合体、およびこれらのアルキルエーテル体である(1)から(4)のいずれかに記載のポリアミド微粒子の製造方法。
(6)ポリアミドの単量体(A)が、4−ブタンラクタム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、12−アミノドデカン酸、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、およびドデカンジアミンから選ばれる少なくとも1種である(1)から(5)のいずれかに記載のポリアミド微粒子の製造方法。
本発明によれば、高濃度のポリアミドの単量体から、真球状で、表面平滑性に優れ、均一な粒度分布を有し、中実なポリアミド微粒子を高収率で製造する方法の提供することができる。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明は、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、ポリアミドの単量体(A)が40質量部以上90質量部未満であり、ポリマー(B)の存在下、(a)工程から(c)工程の順で実施しポリアミド微粒子を製造する方法であって、重合開始時にポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が均一に溶解しており、重合後にポリアミド微粒子が析出する方法において、特に(a)加圧下、得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度で加熱する、(b)得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度を維持しながら、圧力を低減する、(c)得られるポリアミドの結晶化温度より高く、得られるポリアミドの融点+20℃以下の温度で重合する工程を含むことで、従来の方法では困難であった、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、ポリアミドの単量体(A)が40質量部以上90質量部未満の高濃度であっても、真球状で、表面平滑性に優れ、均一な粒度分布を有し、中実なポリアミド微粒子を、効率よく有利に作製できることを特徴とする。
本発明に用いるポリアミドの単量体(A)とは、重合することでポリアミドを生成する化合物を指す。具体的なポリアミドの単量体(A)を例示すると、4−ブタンラクタム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム類、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸類、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミンなどのジカルボン酸とジアミン類などがあげられる。これらの単量体(A)は、本発明を損なわない範囲であれば2種以上を使用してもよい。また、これらの成分に共重合することができる他の成分を含んでいても構わない。高濃度のポリアミドの単量体で高収率にポリアミド微粒子を製造できる観点から、ポリマー(B)との高い相溶性を有する、4−ブタンラクタム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムが好ましく、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムがより好ましく、ε−カプロラクタムが最も好ましい。
本発明のポリアミド微粒子を構成するポリアミドとは、アミド基を含む構造のポリマーを示す。ポリアミドの単量体(A)をポリアミドに重合する方法としては、例えばアミノ酸の重縮合反応、ラクタム類と開始剤によるアニオン開環重合、カチオン開環重合や水などによる加水分解後の開環重合、ジカルボン酸とジアミン、またはそれらの塩の重縮合反応など、またはこれらの組み合わせによって製造される。かかるラクタム類の場合、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属やブチルリチウム、ブチルマグネシウム、t−ブトキシカリウム、水素化ナトリウムなどの有機金属化合物などを開始剤として使用するアニオン開環重合、酸を開始剤とするカチオン開環重合や水などを使用する加水分解型の開環重合などが一般に使用される。開始剤の価格が安価であることからアニオン開環重合や、加水分解型の開環重合が好ましく、得られるポリアミドの結晶化温度以上の温度での重合において、開始剤によるポリアミドの着色、架橋反応によるゲル化や分解反応が抑制される観点から、加水分解型の開環重合がより好ましい。ラクタム類を加水分解で開環重合する方法としては、公知の方法であれば制限されないが、水の共存下に加圧し、ラクタムの加水分解を促進しながらアミノ酸を生成させ、その後、水を除去しながら開環重合と重縮合反応を行う方法が好ましい。
本発明の単量体(A)を重合することで得られるポリアミドの具体的な例としては、ポリアミド4、ポリアミド5、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド44、ポリアミド46、ポリアミド410、ポリアミド411、ポリアミド412、ポリアミド56、ポリアミド510、ポリアミド511、ポリアミド512、ポリアミド64、ポリアミド65、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド104、ポリアミド106、ポリアミド1010、ポリアミド1011、ポリアミド1012、ポリアミド124、ポリアミド125、ポリアミド126、ポリアミド1210、ポリアミド1212、ポリアミド6T、ポリアミド10T、ポリアミド12T、ポリアミド6I、ポリアミド10I、ポリアミド12Iなど、また例えばポリアミド6/ポリアミド66共重合体のような、これらのポリアミドをさらに共重合したものなどが挙げられる。これらは、本発明を損なわない範囲であれば、他の共重合可能な成分を含んでいても構わない。ポリマー(B)との相溶性が高く高濃度で粒子が製造可能な点から、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド1010、ポリアミド66及びこれらの共重合体から選ばれるいずれかであることが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66及びこれらの共重合体から選ばれるいずれかであることがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66及びこれらの共重合体から選ばれるいずれかがさらに好ましい。
本発明のポリアミド微粒子を構成するポリアミドの重量平均分子量の範囲は、8,000〜1,000,000が好ましい。分子量が8,000を下回る場合、生成したポリアミドとポリマー(B)が相分離しにくい。ポリマー(B)との相分離を誘起させる観点から、重量平均分子量は、10,000以上がより好ましく、特に好ましくは15,000以上であり、さらに好ましくは20,000以上である。分子量が1,000,000を超える場合、重合速度が落ち製造時間が長時間化し効率よく製造できないためポリアミドの重量平均分子量は500,000以下がより好ましく、300,000以下がさらに好ましく、200,000以下が特に好ましい。
なお、ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの重量平均分子量とは、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒にゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリメチルメタクリレートで換算した重量平均分子量を示す。
本発明におけるポリマー(B)とは、重合開始時点でポリアミドの単量体(A)と相溶するが、重合後にポリアミドとは相溶しないポリマーである。相溶とは、重合を開始する温度や圧力の条件下でポリマー(B)と単量体(A)が均一に溶解しているかどうかで判断する。ポリマー(B)とポリアミドとの非相溶は、重合後における温度や圧力の条件下で懸濁液または2相に分離しているかどうかで判断する。均一溶液や懸濁液、2相分離であるか否かの判断は、反応槽を目視で確認することで可能である。
さらに詳しく述べると、ポリマー(B)はポリアミドの単量体と非反応性であることが、均一な溶液からポリアミド微粒子を析出させる観点から好ましい。具体的には、ポリマー(B)がポリアミド中に含まれるアミド基を形成するカルボキシル基やアミノ基と反応する極性基を有していない、またはカルボキシ基やアミノ基との反応性が低い極性基を有しているものであることが好ましい。カルボキシ基やアミノ基と反応する極性基としては、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。カルボキシ基やアミノ基との反応性の低い極性基としては、水酸基、水硫基などが挙げられるが、中でも水酸基が最も好ましい。これらは架橋反応を抑制する観点から、ポリマー(B)中の極性基が4個以下であることが好ましく、3個以下がより好ましく、2個以下が最も好ましい。
このようなポリマー(B)の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール共重合とこれらの片末端、または両末端の水酸基をメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などで封鎖したアルキルエーテル体、オクチルフェニル基などで封鎖したアルキルフェニルエーテル体などが挙げられる。特に、ポリアミド単量体(A)との相溶性に優れ、高濃度のポリアミドの単量体を用いてポリアミド微粒子を製造できることから、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのアルキルエーテル体であることが好ましく、ポリアミド単量体(A)を加水分解による開環重合時に使用する水との相溶性にも優れる観点から、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、およびこれらのアルキルエーテル体がさらに好ましく、ポリエチレングリコールが最も好ましい。これらは、本発明を損なわない範囲で2種以上を同時に使用しても構わない。
ポリアミド微粒子を高濃度のポリアミド単量体を用いて安定に生産するには、ポリマー(B)がポリアミド微粒子の融着を抑制できることが重要である。一方、均一溶液の粘度が高くなり過ぎてポリアミドの重合反応速度が極端に遅くなることを防ぐ観点から、ポリマー(B)の重量平均分子量の好ましい上限は200,000であり、100,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましく、30,000以下が特に好ましい。分子量が1,000以下である場合、粒子の融着を抑制できず、微細な粒子を高濃度で製造できない観点から、ポリマー(B)の重量平均分子量は、好ましくは4,000以上、より好ましくは5,000以上である。
なお、ポリマー(B)の重量平均分子量とは、水を溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量を示す。ポリマー(B)が水に溶解しない場合は、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリスチレンで換算した重量平均分子量を示す。
本発明におけるポリアミドの単量体(A)は、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、40質量部以上90質量部未満の範囲である。一般的にポリマー(B)のような相分離剤の割合が少ない場合には、粒子が融着し塊状物の発生を抑制する観点から、ポリアミドの単量体(A)は85質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、75質量部以下がさらに好ましく、70質量部以下が特に好ましい。ポリアミド微粒子を効率的に製造する観点から、下限は、50質量部を超えることが好ましく、60質量部以上がより好ましい。
本発明は、重合開始時にポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が相溶していることが必須である。ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が相溶しているかどうかは、反応槽内の溶液透明であるかを目視で確認する。重合開始時にポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が均一に混合していなければ溶液が白濁して見えたり、2相以上に分離して見えたりする。この場合には重合時に塊状物が発生したり、粒子を得るために強攪拌が必要になる。ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が相溶しない場合、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の混合物に、さらに水を添加することで、均一化させ重合を開始しても良い。一方、重合後にポリアミド微粒子が析出しているかどうかは、反応槽内の溶液が重合終了時に懸濁しているかどうかを目視で確認する。重合終了時点で透明である場合、ポリアミドとポリマー(B)が均一に相溶していることを指す。この場合には、冷却等によって多孔質の粒子や凝集物が得られる。
本発明においてはポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の他に、これらの相溶性を改善するために水を存在させても良く、水の量としてはポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、1質量部以上600質量部以下が好ましい。1質量部未満であると、ラクタム類の加水分解が進行しにくく短時間で高収率を得られないため、1質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは10質量部以上である。水の量がポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し600質量部を超える場合には、加熱に必要以上の時間を要し、ポリアミドの濃度が希薄化することで、短時間に高収率で粒子を得られず生産効率を下げ、更に粒子径も大きくなるため、600質量部以下が好ましく、より好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。
本発明の効果を損なわない範囲で、重合促進剤を加えても構わない。促進剤としては、公知のものが使用でき、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物が挙げられる。これらは、2種類以上を使用しても構わない。添加量としては適宜選択できるが、ポリアミドの単量体(A)100質量部に対して1質量部以下添加することが好ましい。
また他の添加剤を加えることも可能であり、例えばポリアミド微粒子の粒径制御のための界面活性剤、分散剤、ポリアミド微粒子の特性を改質するためや、使用するポリマー(B)の安定性を向上するための酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。これらは2種以上を使用しても構わない。またポリアミドの単量体(A)やポリアミドを改質する目的と、ポリマー(B)を改質する目的で異なる物を2種以上使用しても構わない。添加量としては適宜選択できるが、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対して1質量部以下添加することが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子を製造する方法は、以下に示す(a)工程から(c)工程の順で実施する。すなわち、
(a)工程では、加圧下、得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度で加熱する。
かかる工程においては、ポリアミドの単量体(A)やポリマー(B)、得られるポリアミドを酸化による劣化させない観点からアルゴンや窒素などの不活性ガスの雰囲気下で実施することが好ましい。
加熱の際には電気ヒーターやスチーム、熱媒などを用いて、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の溶液を、得られるポリアミドの結晶化温度以上に加熱する。加熱時の温度が結晶化温度を下回る場合には、ポリアミドが生成と同時に結晶化析出することから、多孔かつ/又は歪な形状の粒子となる。加熱する温度は、真球状の粒子を得る観点から、得られるポリアミドの結晶化温度+45℃以上が好ましく、+50℃以上がより好ましく、+55℃以上がさらに好ましい。加熱温度の上限は、ポリマー(B)の分解抑制や得られるポリアミドの解重合抑制の観点から、得られるポリアミドの融点+40℃以下が好ましく、+20℃以下がより好ましく、+15℃以下がさらに好ましい。加熱により目的の温度に到達した後は、重合の進行により収率を向上させるために温度を維持しても構わない。目的の温度に到達後1時間以上その温度を維持するのが好ましい。より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。一方、長時間(a)工程で目的の温度に維持していると生産効率の低下とポリマー(B)の劣化の恐れがあるため、上限は好ましくは12時間以内、より好ましくは10時間以内、さらに好ましくは8時間以内である。
更に(a)工程では、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)に加えて水が存在していても良く、この場合には加熱によって内圧が上昇する。この際の圧力は、使用する水の量や加熱条件によって適宜調整できるため、圧力の上限は無いがポリマー(B)が劣化した結果、ポリアミド微粒子の収率が低下する懸念があるため、30MPa以下が好ましく、20MPa以下がより好ましく、10MPa以下がさらに好ましく、5MPa以下が特に好ましく、2MPa以下が著しく好ましい。一方で圧力が低すぎると、系外から大気中の酸素が流入しポリアミドやポリマー(B)が酸化劣化する恐れがあり、その場合ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の相溶性の低下やポリアミドの単量体(A)の加水分解が進行しない可能性があるため、下限は、0.1MPa以上が好ましく、0.3MPa以上がより好ましく、0.5MPa以上がさらに好ましい。加熱途中で随時放圧し水分を一部気散させても良いし、水を容器内に封じ込めたままにしておいても良い。加熱途中で放圧し水分を一部除去する場合には、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の相溶性が低くなることを防ぐため、最初に添加した水100質量部に対して、除去する水分量を70質量部以下とするのが好ましく、50質量部以下とするのがより好ましく、30質量部以下とするのがさらに好ましい。ポリアミドの単量体(A)としてラクタムを使用している場合には、開環を促進できる観点から水を容器内に封じ込めておくことが好ましい。
なお、ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの結晶化温度とは、DSC法を用いて、窒素雰囲気下、30℃からポリアミドの融点を示す吸熱ピークから30℃高い温度まで20℃/分の速度で昇温した後に1分間保持し、20℃/分の速度で30℃まで温度を冷却させる際に出現する発熱ピークの頂点を示す。また一旦冷却後、さらに20℃/分で昇温した際の吸熱ピークの頂点をポリアミド微粒子の融点とする。
(a)工程は容器の形状等により制限はないが、加圧するためオートクレーブ等の耐圧容器を用いることが好ましい。(a)工程における加熱の際には、温度分布を均一にするため撹拌を行っても構わない。撹拌装置としては、撹拌翼や溶融混練機、ホモジナイザーなど公知の装置を使用することが可能であり、例えば撹拌翼の場合、プロペラ、パドル、フラット、タービン、コーン、アンカー、スクリュー、ヘリカル型などが挙げられる。撹拌速度は、ポリマー(B)の種類、分子量によるが、大型装置でも熱を均質に伝える一方、壁面へ液が付着して配合比などが変化することを防ぐ観点から、0より大きく1,000rpm以下の範囲であることが好ましい。撹拌速度の下限としては、より好ましくは10rpm以上、さらに好ましくは30rpm以上、特に好ましくは50rpm以上であり、撹拌速度の上限としては、600rpm以下がより好ましく、400rpm以下がさらに好ましく、200rpm以下が特に好ましい。
次に、(b)工程では、本発明においては得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度を維持しながら圧力を低減する。
かかる(b)工程では圧力を低減する際に、原料中に僅かに残存していた水や、重合反応により生じた水、さらには(a)工程において水を存在させていた場合にはその水も同時に系外へ放出することで、重合をさらに進行させる。放圧後の内圧は残存水分が十分に少なくなる観点から1MPa以下が好ましく、より好ましくは0.5MPa以下、さらに好ましくは0.25MPa以下、特に好ましくは0.15MPa以下である。その下限は定義から0MPa以上である。また放圧の速度はあまりに速くすると内容物内に含まれる気体の急激な膨張等により内容物が飛散し、内壁に付くことで収率を下げる恐れがあるため、5MPa/時間以下が好ましく、3MPa/時間以下がより好ましく、2MPa/時間以下がさらに好ましく、1.5MPa/時間以下が特に好ましい。下限は定義から0MPa/時間であるが、遅いと製造効率が落ちるため、0.1MPa/時間以上が好ましく、0.5MPa/時間以上がより好ましく、0.8MPa/時間以上がさらに好ましい。また途中で放圧速度を変えても良い。
(b)工程における温度が結晶化温度以下である場合には、ポリアミドが生成した直後に結晶化析出するが、本発明においてはポリアミドの単量体(A)が50質量部を超える高濃度であるために凝集物となり、ポリアミド微粒子が得られないため、下限は得られるポリアミドの結晶化温度を超える温度とする必要がある。凝集物の生成を抑制し真球形状となる観点から、得られるポリアミドの結晶化温度よりも10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、25℃以上高いことがさらに好ましい。温度が高い場合、続く(c)工程において得られるポリアミドの融点+20℃を超え、粒子同士の融着や塊状物が生成しポリアミド微粒子を得られない恐れがあることから、加熱温度の上限は得られるポリアミドの融点+20℃以下が好ましく、融点+10℃以下がより好ましく、融点以下がさらに好ましく、融点より5℃低い温度以下が特に好ましい。
(b)工程における放圧の際には、温度分布を均一にし、突沸等を防ぐため撹拌を行っても構わない。撹拌装置としては、撹拌翼や溶融混練機、ホモジナイザーなど公知の装置を使用することが可能であり、例えば撹拌翼の場合、プロペラ、パドル、フラット、タービン、コーン、アンカー、スクリュー、ヘリカル型などが挙げられる。撹拌速度は、ポリマー(B)の種類、分子量によるが、大型装置でも熱を均質に伝える一方、壁面へ液が付着して配合比などが変化することを防ぐ観点から、0より大きく1,000pm以下であることが好ましい。撹拌速度の下限としては、より好ましくは10rpm以上、さらに好ましくは30rpm以上、特に好ましくは50rpm以上であり、撹拌速度の上限としては、600rpm以下がより好ましく、400rpm以下がさらに好ましく、200rpm以下が特に好ましい。
続いて(c)工程では、得られるポリアミドの結晶化温度より高く、得られるポリアミドの融点+20℃以下の温度で重合する。
かかる工程は(a)、(b)工程と同じ容器で、(b)工程の後に行われ、ポリアミドの重合を進行させる。(c)工程は得られるポリアミドの結晶化温度以下である場合、ポリアミドが生成した直後に結晶化析出するが、本発明においてはポリアミドの単量体(A)が50質量部を超える高濃度であるために凝集物となり、ポリアミド微粒子が得られない。重合を速く進行させるため、好ましくは得られるポリアミドの結晶化温度+30℃以上、より好ましくは+35℃以上、さらに好ましくは+40℃以上である。加熱温度の上限は得られるポリアミドの融点+20℃である。これ以上の温度となった場合、粒子同士の融着や塊状物が生成し真球状の粒子が得られない。安定に粒子化する観点から、加熱温度の上限は得られるポリアミド微粒子の融点+15℃以下が好ましく、得られるポリアミド微粒子の溶融完了温度以下がより好ましい。ここで、得られるポリアミド微粒子の溶融完了温度は、日本工業規格(JIS規格)JIS K7121(1987)に準じて測定される。また、得られるポリアミドの融点を下回っても良い。
(c)工程における圧力は特に制限がないが、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下、さらに好ましくは0.25MPa以下、特に好ましくは0.15MPa以下であり、著しく好ましくは0.1MPa以下、最も好ましくは0MPaである。下限は0MPaである。
また(c)工程においては不活性ガス雰囲気下が好ましい。これによってポリアミドやポリマー(B)の酸化を抑制することができる。さらに(c)工程において重縮合反応を進行させる場合、系内の不活性ガスを順次入れ替えることによって、重縮合により生成した水(縮合水)を系外に排出できる。
(c)工程の時間は目的の重合度が得られる範囲であればどのようでも良いが、重合が進行してポリアミド微粒子を得ることを担保する一方、3次元架橋などのポリアミドの副反応や着色、ポリマー(B)の劣化など進行を防ぐ観点から、上限として10時間以下が好ましく、6時間以下がより好ましく、3時間以下がさらに好ましい。下限は定義から0時間であるが、実用的な重合度を得るため、10分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、60分以上がさらに好ましい。
重合終了後のポリアミド微粒子とポリマー(B)の混合物からポリアミド微粒子を単離するには、重合終了時点の混合物を金属容器等に吐出して冷却した後にポリアミド微粒子の貧溶媒に分散させて単離する方法、混合物をポリアミド微粒子の貧溶媒に直接吐出して単離する方法、または反応槽中にポリアミド微粒子の貧溶媒を加えた後に単離する方法などが挙げられる。例えば、重合終了後の混合物を金属容器等に吐出して冷却する方法では、冷却時に風を当て急速に冷却したり、高温雰囲気で徐冷したりすることでポリアミド微粒子の結晶化度を調整することが可能である。例えば、混合物をポリアミド微粒子の貧溶媒中に直接吐出して単離する方法では、吐出と同時にポリマー(B)の除去が行えるため効率的なポリアミド微粒子の取り出しが可能となる。この場合、ポリアミド微粒子同士が溶融し、合着して粒度分布が広くなることを防ぐ観点から、ポリアミド微粒子の融点以下まで冷却した後に、混合物をポリアミド微粒子の貧溶媒に吐出することが好ましい。またこの場合吐出する貧溶媒の温度を調整することで、ポリアミドの結晶化度を調整することが可能である。ポリマー(B)を除去する効率が高いことから、重合終了後の反応物をポリアミド微粒子の貧溶媒に吐出することが好ましい。単離方法としては、減圧や加圧ろ過、デカンテーション、遠心分離、スプレードライなど公知の方法を適宜選択できる。
ポリアミド微粒子の貧溶媒としては、ポリアミドを溶解せず、さらには単量体(A)やポリマー(B)を溶解する溶媒であることが好ましい。このような溶媒としては適宜選択できるが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類や水が好ましい。
ポリアミド微粒子の洗浄、単離、乾燥は公知の方法で実施することが可能である。ポリアミド微粒子への付着物や内包物を除去するための洗浄方法としては、リスラリー洗浄などを使用することができ、適宜加温しても構わない。洗浄で使用する溶媒としては、ポリアミド微粒子を溶解せず、単量体(A)やポリマー(B)を溶解する溶媒であれば制限はなく、経済性の観点からメタノール、エタノール、イソプロパノールや水が好ましく、最も水が好ましい。単離は、減圧や加圧ろ過、デカンテーション、遠心分離、スプレードライなど適宜選択できる。乾燥は、ポリアミド微粒子の融点以下で実施するのが好ましく、減圧しても構わない。風乾、熱風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥や凍結乾燥など既知の手法が選択できる。
上記の方法によってポリアミド微粒子が製造されるが、特に本発明では、ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、重合開始時に50質量部を超える高濃度のポリアミドの単量体を高収率で重合粒子化し、真球形状で表面平滑かつ中実なポリアミド微粒子を非常に効率よく製造することが可能である。
本発明のポリアミド微粒子の数平均粒子径は、種々の用途に好適に利用できることから0.1μm以上300μmの範囲であることが好ましい。ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましく、30μm以下が著しく好ましい。数平均粒子径が0.1μm未満であると、粒子同士の凝集が発生する。ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、0.3μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましく、2μm以上が特に好ましく、3μm以上が最も好ましい。
本発明で得られるポリアミド微粒子の粒度分布を示す粒度分布指数としては、3.0以下であることが好ましい。粒度分布指数が3.0を超えると、化粧品用途や粉体塗装用途において流動性に劣る。粒度分布指数は2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましく、1.2以下が最も好ましい。また、その下限値は、その定義から1である。
なお、ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個の粒子直径を測定し、その算術平均を求めることにより算出することが出来る。上記写真において、真円状でない場合、即ち楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子径とする。粒子径を正確に測定するためには、粒子が300個以上2000個以下写るような倍率で測定する。また粒度分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき、決定される。
Figure 2021091861
なお、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒度分布指数とする。
本発明のポリアミド微粒子は、真球な形状に加えて表面が平滑な形態であるため、化粧品や塗料に良好な滑り性や流動性を付与することが可能である。
ポリアミド微粒子の真球性を示す真球度は、90以上である。真球度が90に満たない場合には、化粧品や塗料の用途において、より滑らかな感触を与えることができない場合がある。真球度は、好ましくは92以上、より好ましくは93以上、さらに好ましくは95以上である。またその上限値は定義から100である。
なお、ポリアミド微粒子の真球度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、その短径と長径から下記数式に従い、決定される。
Figure 2021091861
なお、S:真球度、a:長径、b:短径、n:測定数30とする。
ポリアミド微粒子表面の平滑性は、ポリアミド微粒子がアマニ油を吸収する量で表すことが可能である。即ち、表面が平滑であるほど表面に孔の存在しない微粒子となり、アマニ油の吸収量を示すアマニ油吸油量が少なくなる。本発明のポリアミド微粒子のアマニ油吸油量は、100mL/100g以下であることが好ましい。ポリアミド微粒子のアマニ油吸油量が100mL/100gを超えると、良好な流動性を与えることができない。ポリアミド微粒子のアマニ油吸油量は80mL/100g以下が好ましく、70mL/100g以下がより好ましく、60mL/100g以下がさらに好ましく、50mL/100g以下が特に好ましい。アマニ油吸油量の下限はその定義から0mL/100gである。
なお、アマニ油吸油量は、日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101「顔料試験方法 精製あまに油法」に準じて測定される。
また表面の平滑性は、ガス吸着によるBET比表面積によっても表すことが可能であり、表面が平滑であるほど、BET比表面積は小さくなる。具体的には、10m/g以下であることが好ましく、より好ましくは5m/g以下であり、さらに好ましくは3m/g以下であり、特に好ましくは1m/g以下であり、最も好ましくは0.5m/g以下である。なお、BET比表面積の下限は、その定義から0m/gである。
BET比表面積は、日本工業規格(JIS規格)JIS R1626(1996)「気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準じて測定される。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
実施例中、用いる測定は下記の通りである。
(1)数平均粒子径および粒度分布指数
ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個の粒子直径を特定し、その算術平均を求めることにより算出した。上記写真において、真円状でない場合、即ち楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子径とした。また粒度分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき算出した。
Figure 2021091861
なお、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数100 、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒度分布指数とする。
(2)真球度
ポリアミド微粒子の真球度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、その短径と長径から下記数式に従い算出した。
Figure 2021091861
なお、S:真球度、a:長径、b:短径、n:測定数30とする。
(3)アマニ油吸油量
日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101「 顔料試験方法 精製あまに油法」に準じ、ポリアミド微粒子約100mgを時計皿の上に精秤し、精製アマニ油(関東化学株式会社製)をビュレットで1滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで練りこんだ後に、試料の塊ができるまで滴下と練りこみを繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになった点を終点とし、滴下に使用した精製アマニ油の量から吸油量(mL/100g)を算出した。
(4)BET比表面積
日本工業規格(JIS規格)JIS R 1626(1996)「気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に従い、日本ベル製BELSORP−maxを用いて、ポリアミド微粒子約0.2gをガラスセルに入れ、80℃で約5時間減圧脱気した後に、液体窒素温度におけるクリプトンガス吸着等温線を測定し、BET法により算出した。
(5)ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの結晶化温度と融点、溶融完了温度
日本工業規格(JIS規格)JIS K7121(1987)“プラスチックの相転移温度測定方法”に準じ、TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSCQ20)を用いて、窒素雰囲気下、30℃からポリアミドの融点を示す吸熱ピークから30℃高い温度まで20℃/分の速度で昇温した後に1分間保持し、20℃/分の速度で30℃まで温度を冷却した。さらに30℃で1分間保持した後、再度吸熱ピークから20℃/分で昇温させた。この2回目の昇温の際に出現する吸熱ピークの頂点を融点とし、該吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、融解ピークの高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度を溶融完了温度、1回目の降温時に現れる発熱ピークの頂点を結晶化温度とした。測定に要したポリアミド微粒子は約8mgである。
(6)ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの分子量
ポリアミドの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリメチルメタクリレートによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。測定サンプルは、ポリアミド微粒子約3mgをヘキサフルオロイソプロパノール約3gに溶解し調整した。
装置:Waters e−Alliance GPC system
カラム:昭和電工株式会社製HFIP−806M×2
移動相:5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウム/ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:1.0mL/min
温度:30℃
検出:示差屈折率計
(7)ポリマー(B)の分子量
ポリマー(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。測定サンプルは、ポリマー(B)約3mgを水約6gに溶解し調整した。
装置:株式会社島津製作所製 LC−10Aシリーズ
カラム:東ソー株式会社製TSKgelG3000PWXL
移動相:100mmol/L塩化ナトリウム水溶液
流速:0.8mL/min
温度:40℃
検出:示差屈折率計
[実施例1]
3Lのオートクレーブにε−カプロラクタム(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)360g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール10,000、分子量9,000)240g、脱イオン水150gを加え密封後、窒素で1MPaまで加圧し0.1MPaまで放圧する工程を3回繰り返し、容器内を窒素置換した後、圧力を0.1MPaに調整し容器を密閉した。初めに(a)工程として、パドル型攪拌翼を用い90rpmで攪拌を開始し、温度を250℃まで昇温した。この際系内の圧力は2.7MPaであった。次に(b)工程として、0.02MPa/分の速度で放圧を行いながら温度を低下させ、常圧となった際の温度は212℃であった。最後に(c)工程として、重合温度220℃とし、窒素を流しながら1時間重合を行い、3Lの水に内容物を吐出し、ポリアミド微粒子のスラリーを得た。得られたスラリーのろ過を行い、ろ上物に水を1000mL加え、80℃で洗浄を行った。その後300μmの篩を通過させたスラリー液をろ過して単離したろ上物を80℃で12時間真空乾燥させ、粉末を292g(収率81%)得た。得られた粉末の融点はポリアミド6同等の215℃、溶融完了温度は232℃、結晶化温度は167℃であり、分子量は75,000であった。また走査型電子顕微鏡での観察からこの粉末は真球で表面平滑、中実な微粒子形状であり、数平均粒子径は28μm、粒度分布指数は1.32、真球度は96、アマニ油吸油量は56mL/100gであった。製造条件と得られたポリアミド微粒子の特性を表1および表2に示す。
[実施例2]
脱イオン水100g、攪拌速度60rpmに変更した以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径27μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例3]
分子量の異なるポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール35,000、分子量24,500)に変更した以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径5μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例4]
攪拌速度40rpmに変更した以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径68μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例5]
分子量の異なるポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール6,000、分子量7,700)、脱イオン水を50g、(a)工程の温度を230℃で3時間とした以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径50μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例6]
分子量の異なるポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール20,000、分子量18,600)、脱イオン水を150gに変更した以外は、実施例5と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径13μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例7]
ε−カプロラクタム(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)480g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール10,000、分子量9,000)120gに変更した以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径26μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例8]
ε−カプロラクタム(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)340g、アミノカプロン酸(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)20gに変更した以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径26μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例9]
ε−カプロラクタムを12−アミノドデカン酸(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)360g、脱イオン水300g、(a)工程の温度を210℃、(b)工程の最低温度を180℃、(c)工程での重合温度を190℃に変更した以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径30μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例10]
ε−カプロラクタム(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)480g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール10,000、分子量9,000)120g、脱イオン水を50gとした以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径5μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[実施例11]
ε−カプロラクタム(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)480g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール6,000、分子量7,700)120g、脱イオン水を100gとした以外は、実施例1と同様にし、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径48μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[比較例1]
(b)工程の最低温度を168℃、(c)工程の重合温度を208℃に変更した以外は、実施例1と同様にしたが、ガット状の塊状物となり粒子が得られなかった。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[比較例2]
(c)工程での重合温度を246℃に変更した以外は実施例1と同様にしたが、ガット状の塊状物となり粒子が得られなかった。製造条件と特性を表1および表2に示す。
[比較例3]
ε−カプロラクタム(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬特級)240g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬一級ポリエチレングリコール10,000、分子量9,000)360gとし、(a)工程と(b)工程を240℃、(c)を248℃とした以外は実施例1と同様に粒子化を行い、真球で表面平滑、中実な数平均粒子径28μmのポリアミド微粒子を得た。製造条件と特性を表1および表2に示す。
Figure 2021091861
Figure 2021091861

Claims (7)

  1. ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対し、ポリアミドの単量体(A)が40質量部以上90質量部未満であり、ポリマー(B)の存在下、(a)工程から(c)工程の順で実施しポリアミド微粒子を製造する方法であって、重合開始時にポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が均一に溶解しており、重合後にポリアミド微粒子が析出することを特徴とするポリアミド微粒子の製造方法。
    (a)加圧下、得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度で加熱する。
    (b)得られるポリアミドの結晶化温度より高い温度を維持しながら、圧力を低減する。
    (c)得られるポリアミドの結晶化温度より高く、得られるポリアミドの融点+20℃以下の温度で重合する。
  2. (a)工程でポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の混合物に、さらに水を存在させる、請求項1に記載のポリアミド微粒子の製造方法。
  3. (b)工程で水を除去し常圧にすることを特徴とする、請求項2記載のポリアミド微粒子の製造方法。
  4. (c)工程での重合が常圧下行われることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリアミド微粒子の製造方法。
  5. ポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量%に対し、ポリアミドの単量体(A)が50質量%超90質量%未満である、請求項1から4のいずれかに記載のポリアミド微粒子の製造方法。
  6. ポリマー(B)がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールの共重合体、およびこれらのアルキルエーテル体である請求項1から5のいずれかに記載のポリアミド微粒子の製造方法。
  7. ポリアミドの単量体(A)が、4−ブタンラクタム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、12−アミノドデカン酸、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、デカンジアミン、ウンデカンジアミンおよびドデカンジアミンから選ばれる少なくとも1種である請求項1から6のいずれかに記載のポリアミド微粒子の製造方法。
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