JP2021091819A - 焼結用インク、その製造方法、金属粒子、その製造方法、および、回路基板の製造方法 - Google Patents

焼結用インク、その製造方法、金属粒子、その製造方法、および、回路基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼結後の配線にクラックが発生するのを抑制可能な焼結用インクを提供する。【解決手段】焼結用インクは、金属粒子が溶媒に分散されたものである。金属粒子は、示差熱分析法により加熱しながら基準物質との温度差を求めた場合、温度と温度差との関係を示す示差熱分析チャートが、200℃以下にピークを有し、100℃から、ピークの頂点温度までの温度範囲において、変曲点を持たず、かつ、100℃から、少なくともピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲において、線形である。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性粒子が溶媒に分散されたインクを焼結して配線パターンを形成する技術に関する。
導電性粒子を溶媒に分散させたペースト状の組成物(インク)を基材に塗布し、加熱することにより溶媒を蒸発させるとともに導電性粒子を焼結し、配線等を基材上に形成する技術が知られている。導電性粒子として、数nm〜数十μmの微粒子を用いることにより、比較的低温で導電性粒子を焼結することができるため、樹脂製の基材を用いることも可能である。
特許文献1には、製造時の導電性粒子の凝集防止のために有機物でその表面を覆い、さらにその有機物を、酸性および塩基性官能基を有する高分子分散剤に置換することが開示されている。これにより、低温度で焼結でき、かつ、基材への接着性が十分に得られるペースト状組成物を得ることができると特許文献1には記載されている。なお、置換の程度は、導電性微粒子の示差熱分析結果に上記有機物の熱分解による発熱ピークが検出されなくなる程度とされている。
また、特許文献2には、加熱に伴う体積収縮率を小さくして焼結体に割れが生じるのを抑制しつつ、耐食性を向上させるため、平均一次粒子径が1〜150nmの導電性粒子と、1〜10μmの導電性粒子とを所定の比率で混合したものを、還元性を有する有機溶媒に分散させたペーストが開示されている。マイクロサイズの導電性粒子が、ナノサイズの導電性微粒子の自由な移動を制限することで、体積収縮率が小さくなり、粗大ボイドやクラックの発生が抑制される。また、有機分散剤で被覆されたナノサイズの導電性粒子を用いることにより、焼結体表面に有機化合物層が残存し、耐食性が向上する。
特開2014−55332号公報 特開2015−11899号公報
大電流を供給可能にするために、厚膜(例えば厚さ10μm以上)の配線パターンを、導電性粒子を焼結して形成することが望まれている。しかしながら、発明者らの実験によると、導電性粒子を溶媒に分散させた組成物(ペースト)を基板に厚く塗布した後、加熱することにより焼結して厚膜の配線を形成した場合、配線にクラックが発生しやすく、配線の耐熱衝撃性が低下することがわかった。
また、特許文献2の技術のように、ナノサイズの導電性粒子にマイクロサイズの金属微粒子を混合した組成物は、マイクロサイズの導電性粒子を焼結するために焼結温度を高くする必要があり、基板の材質として耐熱性の高いものを用いなければならないという制約がある。
本発明の目的は、焼結後の配線にクラックが発生するのを抑制可能な焼結用インクを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、金属粒子が溶媒に分散された焼結用インクであって、金属粒子は、示差熱分析法により加熱しながら基準物質との温度差を求めた場合、温度と前記温度差との関係を示す示差熱分析チャートが、200℃以下にピークを有し、100℃から、前記ピークの頂点温度までの温度範囲において、変曲点を持たず、かつ、100℃から、少なくとも前記ピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲において、線形である。
本発明の焼結用インクを塗布して焼結して配線を製造した場合、クラックの発生が抑制され、断線等を防ぎ信頼性を向上させることができる。
(a)実施例9のTG/DTAチャート、(b)比較例10のTG/DTAチャート。 実施例9,10および比較例9,10のTG/DTAチャート。 実施例1−10および比較例1−10の銀粒子で製造した焼結体の画像とクラック面積率を示す説明図。 (a)実施例9の焼結用インクを用いて製造した配線の写真、(b)比較例10の焼結用インクを用いて製造した配線の写真。
本発明の一実施形態について以下に説明する。まず、実施形態の焼成用インクについて説明する。
<<焼結用インク>>
本実施形態の焼結用インクは、金属粒子が溶媒に分散されたものである。この焼結用インクを基板上に所望の形状に塗布して膜を形成し、所定の温度まで加熱することにより、焼結用インクに含まれる金属粒子を焼結し、配線を形成することができる。以下、詳しく説明する。
[金属粒子]
焼結用インクに分散されている金属粒子は、本実施形態では、製造時の凝集を防止するため、表面が有機分散剤で被覆されている。
この表面が有機金属分散材で被覆された金属粒子は、示差熱分析(DTA)法により加熱しながら基準物質との温度差を求めた場合、示差熱分析チャートは、一例を図1(a)に示すように、200℃以下にピークP1を有する。また、示差熱分析チャートは、100℃から、ピークP1の頂点温度までの温度範囲において、変曲点を持たず、かつ、100℃から、少なくともピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲において、線形である。なお、200℃以下にピークが複数ある場合、最も低温側のピークについて、上記特徴を備えている。
上記DTA法の基準物質は、加熱炉の温度に追従して温度変化する物質であり、DTAで一般的に用いられる基準物質を用いる。
ここでいう、変曲点とは、曲線が凹から凸へ、または、凸から凹へと変化する点であると定義される一般的な変曲点のほか、傾斜が変化する点を含む。したがって、本実施形態において、示差熱分析チャートが変曲点を持たないとは、チャートの傾斜が一定(線形)もしくは、なだらかな変化のみであることを言い、傾斜が急激に大きくなったり、傾斜が2段になったりしていないことを言う。
示差熱分析チャートの線形である部分の傾きは、1μV/℃以下であることが望ましく、特に、0.5μV/℃以下であることが望ましく、さらに0.3μV/℃以下であることが望ましい。なお、測定に用いた試料重量は平均10mgで、5〜15mgに調整したサンプルを用いて計測している。
なお、ピークP1の頂点付近の傾斜は、それよりも低い温度の傾斜よりも緩やかになっていてもよい。すなわち、ピークの頂点温度より20℃低い温度から、ピークの頂点温度までの温度範囲における温度差(示差熱)の変化の傾きは、100℃から、ピークの頂点の温度より20℃低い温度までの温度範囲における温度差の変化の傾きよりも緩やかであってもよい。
金属粒子は、銀粒子、銅粒子および金粒子のいずれかであることが望ましく、特に銀粒子であることが望ましい。また、金属粒子を被覆する有機分散剤は、ポリビニルピロリドンであることが望ましい。
金属粒子の粒径は、250nm以下であることが望ましく、200nm以下である場合、さらに望ましい。
なお、粒径は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)により測定した観察像より算出したものである。
[インク用溶媒]
金属粒子を分散させる溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコールやプロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼンジオールなどのジオール、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのエーテルを用いることができる。特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールが好適である。
このような金属粒子が分散された焼結用インクは、配線形状の膜状に塗布して200℃まで加熱して焼結した場合、焼結後の配線にクラックが発生するのを抑制できる。その理由は、金属粒子は、図1(a)に示すように、傾斜が一定で緩やかな発熱反応を生じ、これにより、ゆっくりと焼結が進むため、金属粒子の収縮(焼き縮み)が小さくなるためであると推測される。
<<焼結用インクの製造方法>>
つぎに、本実施形態の焼結用インクの製造方法について説明する。
まず、金属粒子の製造方法について説明する。
[金属粒子の製造方法]
まず、溶媒に有機分散剤を溶解した有機分散剤溶液を、予め定めた反応温度(170℃未満)に加熱する。
つぎに、有機分散剤溶液に金属イオンを含む金属イオン溶液を滴下することにより、有機分散剤に被覆された金属粒子を析出させる。
そして、有機分散剤溶液から金属粒子を取り出す。これにより、有機分散剤に被覆された金属粒子を製造することができる。
溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコールや、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼンジオールなどのジオール、アミン、アルコール、エーテル、芳香族、ケトン、ニトリルなどの有機溶媒や、水などを用いることができる。特に、エチレングリコール、ジエチレングリコールやプロパンジオールであることが好ましい。
溶媒の沸点は、260℃未満であることが望ましい。ここでいう溶媒の沸点とは、例えば、示差熱分析装置によって測定した、溶媒と基準物質との温度差がピークとなる温度である。
有機分散剤としては、ポリビニルピロリドンやポリビニルアルコール(PVA)などのポリマーや、オレイルアミンやブチルアミンなどのアミンや、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の官能基を含む化合物などを用いることができる。特に、ポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
発明者らは、金属イオンを滴下する際の、有機分散剤溶液を170℃未満に設定することにより、示差熱分析した場合に、200℃以下にピークP1を有し、100℃から、ピークP1の頂点温度までの温度範囲における、基準物質との温度差の変化が、温度の上昇に対して線形であるという特徴を示す金属粒子を製造することができることを見出したものである。
[インク用溶媒への金属粒子の分散]
上記製造方法により製造された金属粒子を、インク用溶媒へ分散させる。
インク用溶媒としては、上述したものを用いる。インク用溶媒に対する金属粒子の分散濃度としては、例えば10wt%〜95wt%程度とすることができる。このとき、インクジェット方式等に用いられる焼結用インクは低濃度とし、スクリーン印刷等に用いられる焼結用インクは、高濃度にすることが好ましい。特に、厚い配線を形成する場合は、高濃度に調整した焼結用インクを用いてスクリーン印刷する事が好ましい。また、必要に応じてインク溶媒中に、金属粒子の分散性向上させる高分子・有機物などを添加しても良い。
以上により、焼結用インクを製造することができる。
なお、焼結用インクから金属粒子を取り出すことも可能である。具体的には、インク用溶媒を溶解する溶媒を焼結用インクに混合してインク用溶媒を溶解した後、フィルタや遠心分離にかけることより、金属粒子を取り出すことができる。取り出された金属粒子は、有機分散材で被覆された状態であるため、示差熱分析を行うことにより、DTAチャートを得た場合、上述の200℃以下にピークP1を有し、その立ち上がりの傾斜が上述のように線形の特徴を持つものと考えられる。
<<回路基板の製造方法>>
本実施形態の焼結用インクを用いて回路基板を製造する方法について説明する。
基板の上に、焼結用インクを配線の形状に塗布して配線形状の膜を形成する。塗布方法としては、例えば、インクジェット、ディスペンス、フレキソ、グラビア、グラビアオフセット、スクリーン印刷方法を用いることができる。膜厚は、焼結後に所望の厚さになるように、予め求めておいた厚さに塗布する。塗布後に、次工程の焼結工程の温度よりも低い温度で加熱してインクの溶媒を蒸発させてもよいし、濃縮される程度に溶媒を蒸発させても良い。
つぎに、配線形状の膜を、ピークの頂点温度以上の予め定めた温度(例えば、200℃)まで加熱する。これにより焼結用インクに含まれる金属粒子を焼結する。このとき、金属粒子は、100℃から、200℃以下のピークの頂点温度までの温度範囲におけるDTAの基準物質との温度差(示差)が、温度の上昇に対して線形であるため、焼結はゆっくり進行すると推測される。
上記工程により、基板上にクラックが抑制された配線が形成され、回路基板を製造することができる。特に、配線の厚さは、10μm以上であってもクラックの発生を抑制することができる。
上記回路基板に用いる基板の材質としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル、エポキシ、シリコーン、液晶ポリマー、ガラスエポキシ、紙フェノール、セラミック、ガラス含有シリコーンガラス、ガラス等の他、表面を絶縁層で被覆した金属などを用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
<銀粒子の合成>
まず、実施例および比較例の金属粒子として銀粒子を合成した。この銀粒子は、製造過程における凝集を防止するため、表面が有機分散剤であるポリビニルピロリドンで被覆されている。
(実施例1−10)
銀粒子は、ポリオール法により合成した。まず、ポリビニルピロリドン(分子量10000、PVPと称す)10g〜30gと、溶媒であるジエチレングリコール200gとを撹拌して、PVPを溶媒に溶解させ、このPVP溶液を150℃または160の反応温度まで加熱した。
硝酸銀8gとジエチレングリコール40gとを撹拌し、硝酸銀をジエチレングリコールに溶解させ、銀イオン含有溶液を用意した。
銀イオン含有溶液を、反応温度まで加熱したPVP溶液に滴下した後、溶液を所定時間、反応温度に保ちながら撹拌し続けた。
反応後、降温させ、銀粒子を回収し、アルコールなどで希釈後、フィルタや遠心分離を行うことで、PVPで被覆された銀粒子を得た。遠心分離は不要物を除去するために行うものであり、ろ過などの方法を用いることもできる。
実施例1−10のそれぞれのPVPの量および反応温度は、表1に示した通りである。
Figure 2021091819
(比較例1−10)
比較例1−10では、反応温度を170℃または180℃にした。それ以外は、実施例1−10と同様に銀粒子を製造した。
比較例1−10のそれぞれのPVPの量および反応温度は、表1に示した通りである。
<粒径の測定>
実施例9、10、比較例9、10の銀粒子を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)により、10,000〜100,000倍程度で撮影し、得られた画像を解析することにより、銀粒子の粒径を測定した。実施例9は、15nm〜70nm、実施例10は、15nm〜80nm、比較例9は、15nm〜80nm、比較例10は、15nm〜85nmであった。
<TG/DTA装置による熱分析>
実施例9〜10および比較例9〜10の焼結用組成物(導電性インク)を基準物質とともにTG/DTA装置の加熱炉内に配置し、5℃/minの昇温速度で加熱し、30℃〜600℃の範囲における重量減少率と、30℃〜600℃の範囲におけるTG/DTAチャートをそれぞれ測定した。TG/DTA装置としては、示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所製 DTG−60A 型)を用い、雰囲気は(大気)とした。リファレンスは、空のアルミカップを用いた(すなわち、基準物質は空気とした)。なお、ここでは基準物質を空気としたが、一般的に示差熱分析において用いられる基準物質を用いることももちろん可能であり、例えば酸化アルミニウム(α−アルミナ)や塩化カリウムを用いることができる。
実施例9と比較例10のTGチャートとDTAチャートを図1(a),(b)に示す。
実施例1−10の銀粒子の特徴として、200℃以下に立上りの緩やかな傾きを持つDTAピークP1(発熱反応)を持っていた。実施例1−10のように、銀粒子の製造時、反応温度を150℃もしくは160℃に設定して製造した銀粒子は、200℃以下になだらかなDTAピークしか出来なかった。しかし、比較例1−10のように、反応温度を170℃もしくは180℃に設定して製造した銀粒子は、200℃以下に立上りのきつい(2段の傾きを持つ)発熱反応が存在し、重量比も、この発熱反応において低下する。これは、PVP量(10〜30g)と反応温度(150〜180℃)の組み合わせの20条件(実施例1−10および比較例1−10)の全てに共通する特徴であった。
なお、200℃以下の立上りの傾きの緩やかな発熱反応の部分は、金属粒子の焼結による。比較例1−10のように傾きが2段階で、そのうちの急な傾きの部分は、金属粒子の周りに付着したPVPの影響が、金属粒子の焼結の発熱反応に対して大きく表れているものと考えられる。例えば、金属粒子の周りに付着しているPVPが変質しているため、傾きが2段階になった可能性が推測される。また、理由は不明だが、粒子表面のPVPの燃焼温度は、銀粒子の合成時の反応温度によって変動すると考えられる。
また、実施例1−10の銀粒子のDTAチャートについて、100℃から、ピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲のDTAチャートの傾斜を算出したところ、表1に示す通り、0.18μV/℃以上0.21μV/℃以下であった。
これに対し、比較例1−10の銀粒子のDTAチャートについて、100℃から、ピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲のDTAチャートの傾斜を算出したところ、表1に示す通り、0.23以上0.25以下であり、実施例1−10の傾斜より急な傾きであった。また、比較例1−10の銀粒子のDTAチャートは、ピークの頂点温度より13℃から23℃低い温度に変曲点(傾斜が変化する点)を有していた。さらに、ピークの頂点温度より20℃低い温度からピークの頂点温度の範囲のDTAチャートの傾斜を算出したところ、表1に示す通り、0.88以上1.98以下であり、実施例1−10の傾斜よりも急な傾きであった。
なお、反応温度によって、200℃以下のDTAピークの傾斜がなだらかになったり、急傾斜(2段の傾きを持つ)になる理由は解明できていないが、銀粒子の周りに付着するPVPが影響しており、条件によってPVPに変質が生じたり、付着の仕方が異なったりするためと考えられる。
<焼結用インクの製造>
つぎに、実施例1−10および比較例1−10の銀粒子を用いて焼結用インクを製造した。
溶媒であるポリエチレングリコール(平均分子量200)に、Ag濃度が85wt%−88wt%になるよう銀粒子を加え撹拌した。これにより、実施例1−10および比較例1−10の焼結用インクを製造した。
<配線基板の製造>
実施例1−10および比較例1−10の銀粒子を含む焼結用組成物インクを基板上にスクリーン印刷し、温度200℃で1時間加熱して銀粒子を焼結し、配線を形成した。厚みは、焼結後に10μm以上となるようにした。
<クラックの測定>
焼結した焼結物(配線)を実体顕微鏡で撮影した。これにより、焼結物にクラックが発生しているかどうかを確認した。また、クラックの面積を画像上で求めることにより、焼結物全体に占めるクラックの面積を算出した。焼結物(配線)の画像と、クラックの面積率を図3に示す。
図3のように実施例1−10の焼結用インクで製造した配線には、クラックは全く発生していなかった。比較例1−10は、クラックが13%以上の面積率で発生していた。
このようにクラックの発生に実施例1−10と比較例1−10とで大きな差が生じたのは、DTAチャートにおいて、200℃以下のDTAピークの傾き度合いが異なるためであると考えられる。すなわち、200℃以下のDTAピークの傾斜がきつい比較例1−10の銀粒子は、加熱されることにより、急激に発熱し、急激な焼結を生じることによりクラックが発生しやすくなっていると考えられる。
さらに説明すると、200℃以下になだらかなDTAピークを持つ銀粒子を含有した実施例1−10の焼結用インクを200℃の条件で焼結する場合と、200℃以下に立上りの傾斜のきつい(2段の傾きを持つ)DTAピークを持つ銀粒子を含有した比較例1−10の焼結用インクを200℃の条件で焼結する場合では、比較例1−10の焼結用インクの方が、急激に焼結されるため、焼結時のストレスが大きく、配線にクラックが現れやすくなる。一方、なだらかな傾きを持つDTAピークを持つ実施例1−10の焼結用インクは、ゆっくり焼結されるため焼結時のストレスを低くしたまま焼結体を作成出来るため、配線にクラックが発生しにくくなると考えられる。
<空隙率の測定>
また、実施例9と比較例10の配線のクラックが発生していない領域のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を撮影した。その画像を図4に示す。この画像から銀粒子と銀粒子の間に空隙が存在していることが確認できる。全体に占める空隙の面積の割合(空隙率)を算出したところ、実施例9は14.5%であったのに対し、比較例10は4.9%であった。
実施例9の焼結インクで製造した配線は、緩やかに焼結されたため焼き縮みが少なく、比較例10の焼結インクで製造した配線は、急激に焼結されたため焼き縮みが大きいため空隙率に差が生じたためであると推察される。
上述してきた実施形態および実施例の銀粒子を用いて焼結物を製造することにより、クラックが発生しにくいため、プリンテッドエレクトロニクス関連に使用される配線や、タッチパネルならびに透明スクリーンなど配線や、車載機器、照明装置、通信装置、遊技機、OA機器、産業機器、一般民生家電機器などの回路基板の配線を形成する用途に好適である。
また、実施形態および実施例の銀粒子は、配線だけでなく、接合部に使用することにより、クラック発生率の低い接合体が作製可能になる。例えば、LEDの接合部に用いることにより、順方向電圧VFが低くなり、熱抵抗が低くなり、LEDからの発熱量も低減出来る。

Claims (21)

  1. 金属粒子が溶媒に分散された焼結用インクであって、
    前記金属粒子は、示差熱分析法により温度を上昇させながら基準物質との温度差を求めた場合、温度と前記温度差との関係を示す示差熱分析チャートが、200℃以下にピークを有し、100℃から、前記ピークの頂点温度までの温度範囲において、変曲点を持たず、かつ、100℃から、少なくとも前記ピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲において、線形であることを特徴とする焼結用インク。
  2. 金属粒子が溶媒に分散された焼結用インクであって、
    前記金属粒子は、示差熱分析法により温度を上昇させながら基準物質との温度差を求めた場合、温度と前記温度差との関係を示す示差熱分析チャートに前記金属粒子の焼結を示すピークを有し、100℃から、前記ピークまでの温度範囲において、変曲点を持たず、かつ、100℃から、少なくとも前記ピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲において、線形であることを特徴とする焼結用インク。
  3. 請求項1または2に記載の焼結用インクであって、前記金属粒子は、有機分散剤によって被覆されており、
    前記基準物質との温度差は、前記有機分散剤で被覆された状態で加熱されて求められたものであることを特徴とする焼結用インク。
  4. 請求項1に記載の焼結用インクであって、示差熱分析チャートの200℃以下に前記ピークが複数ある場合、前記ピークの頂点温度は、最も低温側のピークの頂点温度であることを特徴とする焼結用インク。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の焼結用インクであって、前記示差熱分析チャートの前記線形である部分の傾きは、1μV/℃以下であることを特徴とする焼結用インク。
  6. 請求項5に記載の焼結用インクであって、前記示差熱分析チャートの前記線形である部分の傾きは、0.5μV/℃以下であることを特徴とする焼結用インク。
  7. 請求項6に記載の焼結用インクであって、前記示差熱分析チャートの前記線形である部分の傾きは、0.3μV/℃以下であることを特徴とする焼結用インク。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の焼結用インクであって、前記示差熱分析チャートにおいて、前記ピークの頂点温度より20℃低い温度から、前記ピークの頂点温度までの温度範囲における傾きは、前記100℃から、前記ピークの頂点の温度より20℃低い温度までの温度範囲における傾きよりも緩やかであることを特徴とする焼結用インク。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の焼結用インクであって、前記金属粒子は、銀粒子、銅粒子および金粒子のいずれかであることを特徴とする焼結用インク。
  10. 請求項3に記載の焼結用インクであって、前記有機分散剤は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする焼結用インク。
  11. 溶媒に有機分散剤を溶解した有機分散剤溶液を、予め定めた反応温度に加熱する工程と、
    金属イオンを含む金属イオン溶液を前記有機分散剤溶液に滴下することにより、前記有機分散剤に被覆された金属粒子を析出させる工程と、
    前記有機分散剤溶液から前記有機分散剤に被覆された金属粒子を取り出す工程と、
    前記有機分散剤に被覆された金属粒子をインク用溶媒に分散させる工程とを含み、
    前記有機分散剤は、ポリビニルピロリドンであり、前記反応温度は、170℃未満であることを特徴とする焼結用インクの製造方法。
  12. 溶媒に有機分散剤を溶解した有機分散剤溶液を、予め定めた反応温度に加熱する工程と、
    金属イオンを含む金属イオン溶液を前記有機分散剤溶液に滴下することにより、前記有機分散剤に被覆された金属粒子を析出させる工程と、
    前記有機分散剤溶液から前記有機分散剤に被覆された金属粒子を取り出す工程と、
    前記有機分散剤に被覆された金属粒子をインク用溶媒に分散させる工程とを含む、請求項1または請求項2に記載の焼結用インクの製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の焼結用インクの製造方法であって、前記金属イオンは、銀イオン、銅イオン、および、金イオンのうちのいずれかであることを特徴とする焼結用インクの製造方法。
  14. 請求項12に記載の焼結用インクの製造方法であって、前記有機分散剤は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする焼結用インクの製造方法。
  15. 示差熱分析法により加熱しながら基準物質との温度差を求めた場合、温度と前記温度差との関係を示す示差熱分析チャートが、200℃以下にピークを有し、100℃から、前記ピークの頂点温度までの温度範囲において、変曲点を持たず、かつ、100℃から、少なくとも前記ピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲において、線形であることを特徴とする金属粒子。
  16. 示差熱分析法により加熱しながら基準物質との温度差を求めた場合、温度と前記温度差との関係を示す示差熱分析チャートが、当該金属粒子の焼結を示すピークを有し、100℃から、前記ピークの頂点温度までの温度範囲において、変曲点を持たず、かつ、100℃から、少なくとも前記ピークの頂点温度より20℃低い温度の範囲において、線形であることを特徴とする金属粒子。
  17. 溶媒に有機分散剤を溶解した有機分散剤溶液を、予め定めた反応温度に加熱する工程と、
    金属イオンを含む金属イオン溶液を前記有機分散剤溶液に滴下することにより、前記有機分散剤に被覆された金属粒子を析出させる工程と、
    前記有機分散剤溶液から前記有機分散剤に被覆された金属粒子を取り出す工程とを含み、
    前記有機分散剤は、ポリビニルピロリドンであり、前記反応温度は、170℃未満であることを特徴とする金属粒子の製造方法。
  18. 溶媒に有機分散剤を溶解した有機分散剤溶液を、予め定めた反応温度に加熱する工程と、
    金属イオンを含む金属イオン溶液を前記有機分散剤溶液に滴下することにより、前記有機分散剤に被覆された金属粒子を析出させる工程と、
    前記有機分散剤溶液から前記有機分散剤に被覆された金属粒子を取り出す工程とを含む、請求項15または請求項16に記載の金属粒子の製造方法。
  19. 請求項1または請求項2に記載の焼結用インクを、基板の上に塗布して膜を形成する工程と、
    前記膜を予め定めた温度まで加熱することにより前記焼結用インクに含まれる前記金属粒子を焼結し、配線を形成する工程とを
    含むことを特徴とする回路基板の製造方法。
  20. 請求項19に記載の回路基板の製造方法であって、前記予め定めた温度は、前記ピークの頂点温度以上であることを特徴とする回路基板の製造方法。
  21. 請求項19または20に記載の回路基板の製造方法であって、前記配線の厚さは、10μm以上であることを特徴とする回路基板の製造方法。
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