JP2021089021A - 動力伝達装置及びそれを用いた回転駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直接又は間接駆動ができ、負荷変動が駆動源に直接的に伝達されることのない、かつ自動的に無段変速機能を得ることができると共に、耐久性を向上することができる動力伝達装置を提供する。【解決手段】駆動源によって回転する駆動回転軸10と、一端が駆動回転軸10に一方向回転機構を介して装着され、駆動回転軸10と共に回転する回転アーム12と、駆動回転軸10と同一軸線上の出力回転軸に設けられた出力回転体30と、駆動回転軸10と平行であり、出力回転体30の外周部に均等に設けられた複数の回転軸40a他と、複数の回転軸40a他の各々を支点として回動可能であり、複数の一方向回転機構をそれぞれ介して複数の回転軸40a他に設けられ、先端部が回転アーム12の他端に当接可能な複数の回動アーム60a他とから構成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、駆動源からの回転運動を出力回転体へ伝達する動力伝達装置及びそれを用いた回転駆動装置に関する。
この種の動力伝達装置として、特許文献1及び2には、駆動源によって回動する回転盤の周端部にこの回転盤の放射方向に移動自在とした連結ピンを設け、この連結ピンとギアボックスとを連結扞によって連結枢支し、ギアボックスの上下内面に互い違いの板歯車を形成し、これら板歯車にそれぞれ歯合する歯車が装着された出力回転軸がギアボックスに貫通支持され、この出力回転軸はギアボックスのピストン運動により、一方向にのみ回転するように構成された動力伝達装置が記載されている。
このような動力伝達装置によれば、連結ピンを回転盤の放射方向に移動することにより、駆動源からの回転運動を無段変速して出力回転軸へ伝達することが可能である。
また、本出願人は、負荷変動が駆動源に直接的に伝達されることのない動力伝達装置が提案した(特許文献3)。この動力伝達装置は、出力回転軸を支点として回動可能であり、一方向回転機構としてのワンウェイクラッチをそれぞれ介して出力回転軸に連結された4つのアームと、4つのアームをワンウェイクラッチの動力伝達方向にそれぞれ付勢する弾性体としての4つの引張りコイルバネと、出力回転軸と平行であり、駆動源によって回転する駆動回転軸と、駆動回転軸と共に回転するように駆動回転軸に平行に連結され、4つのアームの先端部にそれぞれ当接可能な4つのピンとを備えている。
しかしながら、これら特許文献1及び2に記載された動力伝達装置によると、駆動源と出力回転軸とが、連結扞、板歯車及び歯車によって機械的に遊び無く連結されているため、出力回転軸に印加される負荷のトルク変動が駆動源に直接的に逆伝達され、駆動源は負荷変動の影響を大きく受けてしまう。このため、駆動源として、出力側のこのような負荷変動を吸収できるだけの充分に大きな出力トルク特性を有するものを使用するか、又は途中に設けられた変速機構を操作することによって出力回転軸に伝達されるトルクを負荷変動に応じて変化させる必要がある。
また、特許文献3に記載された本出願人の提案した動力伝達装置は、駆動源によって回転する際に、4つのワンウェイクラッチが常に動作するため、ワンウェイクラッチの寿命が動力伝達装置の耐久性が低いという欠点があった。
本発明は従来技術の上述したような不都合を解消するものであり、その目的は、直接又は間接駆動ができ、かつ負荷変動が駆動源に直接的に伝達されることのない動力伝達装置及びそれを用いた回転駆動装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、手動で操作することなく自動的に無段変速機能を得ることのできると共に、耐久性を向上することができる動力伝達装置及びそれを用いた回転駆動装置を提供することにある。
本発明によれば、駆動源によって回転する駆動回転軸と、一端が駆動回転軸に一方向回転機構を介して装着され、駆動回転軸と共に回転する回転アームと、駆動回転軸と同一軸線上の支持軸に設けられた出力回転体と、駆動回転軸と平行であり、出力回転体の外周部に均等に設けられた複数の回転軸と、複数の回転軸の各々を支点として回動可能であり、複数の一方向回転機構をそれぞれ介して複数の回転軸に設けられ、先端部が回転アームの他端に当接可能な複数の回動アームと、複数の回動アームを一方向回転機構の動力伝達方向にそれぞれ付勢する複数の弾性体と、複数の回転軸にそれぞれ設けられた複数の第1の歯車と、出力回転体に設けられ、複数の歯車とかみ合わせ可能な第2の歯車とを備えており、複数の回動アームの各々は、出力回転体に所定値以上の負荷がかかった場合、回転アームの先端が当接した際は該回転アームの押圧によって複数の弾性体の各々の付勢力に対抗する方向に押し戻されて弾性体に弾性エネルギを蓄積し、回転アームの先端が当接から外れた際は複数の弾性体の各々の蓄積された弾性エネルギによる付勢力によって一方向回転機構の動力伝達方向に回動駆動され、該回動の動力が複数の第1の歯車と第2の歯車とを介して出力回転体に伝達されるように構成されている動力伝達装置が提供される。
これにより、駆動源と弾性体とのハイブリッド効果で、出力回転体にかかる負荷が増加する際に、弾性体に蓄積されたエネルギが放出されて出力トルクが発生するため、負荷変動が駆動源に直接的に伝達されることのない動力伝達装置を実現することができる。また、出力回転体にかかる負荷が大きくなって弾性体による回動アームの回転が遅くなるとその回動アームが戻る前に回転アームの先端が次の回動アームに当接し、トルクが自動的に大きくなるため、手動で操作することなく自動的に無段変速機能を得ることができる。さらに、出力回転体にかかる負荷がある程度大きくなるまで、ワンウェイクラッチが動作しないため、ワンウェイクラッチの寿命が長く、動力伝達装置の耐久性を向上することができる。
駆動回転軸に対する複数のピンの取り付け角度間隔は、360/N度(ただし、Nはピンの数)であることが好ましい。これにより、複数のピンが均等の時間間隔で複数のアームの先端部にそれぞれ当接することができ、安定した回転出力を得ることができる。
複数の弾性体の弾性力を可変調整可能な弾性力調整機構をさらに備えていることが好ましい。弾性体の弾性力を調整することで、駆動源から動力伝達装置に入力するエネルギを調節できる。これにより、最大出力値や変速機能が作動する閾値を調節できる。
複数の弾性体の各々が少なくとも1つの引張りコイルバネを備えていることが好ましい。これにより、容易に装着することができ、アームに対して一定の弾性力で付勢することができる。
複数の回動アームの各々の回動を所定範囲に制限する複数のストッパをさらに備えていることが好ましい。
本発明によれば、上述した動力伝達装置を用いた回転駆動装置が提供される。
本発明によれば、出力回転体にかかる負荷が所定値以上に大きくなると、複数のアームの各々は、回転アームの先端が当接した際は先端の押圧によって複数の弾性体の各々の付勢力に対抗する方向に押し戻されて弾性体に弾性エネルギを蓄積し、回転アームの先端が当接から外れた際は複数の弾性体の各々の蓄積された弾性エネルギによる付勢力によって一方向回転機構の動力伝達方向に回動駆動されるように構成されていることで、負荷変動が駆動源に直接的に伝達されることのない動力伝達装置を実現することができる。また、手動で操作することなく自動的に無段変速機能を得ることができる。さらに、出力回転体にかかる負荷がある程度(弾性体の予引張力)大きくなるまで、ワンウェイクラッチが動作しないため、ワンウェイクラッチの寿命が長く、動力伝達装置の耐久性を向上することができる。
また、本発明に係る動力伝達装置がコンパクトでタイヤのホイール等に装着でき、かつ負荷変動が駆動源に直接的に伝達されることのない回転駆動装置を容易に構成される。
以下、本発明に係る動力伝達装置(無段変速装置)の実施形態について説明する。図1は本発明に係る動力伝達装置100の構成を概略的に示しており、図2は動力伝達装置100の構成を示す分解斜視図である。図3は動力伝達装置100において、回転アーム12の先端が当接から外れた際の状態を示している。
図1に示すように、本実施形態の動力伝達装置100は、駆動源によって回転する駆動回転軸10と、一方向回転機構としてのワンウェイクラッチ11と、一端が駆動回転軸10にワンウェイクラッチ11を介して装着され、駆動回転軸10と共に回転する回転アーム12と、駆動回転軸10と同一軸線上に配置される支持軸20と、支持軸20に設けられた出力回転体(円盤部材)30と、出力回転体30の外周部に均等に設けられた4つの回転軸40a、40b、40c及び40dと、複数の一方向回転機構として4つのワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dをそれぞれ介して回転軸40a、40b、40c及び40dに設けられ、先端部が回転アーム12の他端に当接可能な4つの回動アーム60a、60b、60c及び60dと、4つの回動アーム60a、60b、60c及び60dをワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dの動力伝達方向にそれぞれ付勢する4つの弾性体70a、70b、70c及び70dと、4つの回転軸40a、40b、40c及び40dにそれぞれ設けられた4つの第1の歯車80a、80b、80c及び80dと、出力回転体30に設けられ、4つの第1の歯車80a、80b、80c及び80dとかみ合わせ可能な第2の歯車90とを備えている。
駆動回転軸10は、駆動源としてのモータに(必要に応じて変速ギアを介して)連結されており、支持軸20と同一軸線上に配置されている。この駆動回転軸10は、定速回転するモータによって駆動され所定の回転速度で回転する。即ち、変速ギアを介す場合、モータの回転がギアに伝達され、必要に応じて変速されて駆動回転軸10が回転駆動される。なお、モータ以外に、スターリングエンジン等を駆動源として用いても良い。
ワンウェイクラッチ11は、回転アーム12の回転を一方向回転運動に変換するものであり、外周が回転アーム12の一端12aに連結され、中心に駆動回転軸10が装着されている。
回転アーム12は、例えば、角棒状等の材料から形成され、一端12aがワンウェイクラッチ11に固定され、他端12bが自由端とされている。回転アーム12の他端12bには、回動アーム60a、60b、60c及び60dの先端部と当接するための当接部13が設けられている。当接部13は回転自在の回転ローラである。
支持軸20は、駆動負荷(例えば、車輪等)に連結されており、図示しない支持体(フレーム、シャーシ、枠等)によって固定又は逆回転防止のワンウェイクラッチを介して支持されて、駆動回転軸10と同一軸線上に配置されている。この支持軸20には、出力回転体30と第2の歯車90とが設けられている。
出力回転体30は、1対の円板30a及び30bと、スペーサ31a、31b、31c及び31dとから構成されている。出力回転体30の外周部には、4つの回転軸40a、40b、40c及び40dが均等に設けられている。また、スペーサ31a、31b、31c及び31dの一端が弾性体固定部32a、32b、32c及び32dとして、円板30aを挿通して4つの弾性体70a、70b、70c及び70dのそれぞれの一端が固定されている。また、円板30aの表面には、回動アーム60a、60b、60c及び60dの各々の回動を所定範囲に制限する4つのストッパ33a、33b、33c及び33dが設けられている。ストッパ33a、33b、33c及び33dは、例えば、回転軸40a、40b、40c及び40dと平行に配置された棒状部材である。
回転軸40a、40b、40c及び40dは、出力回転体30の外周部に均等に(90度間隔に)設けられている。回転軸40a、40b、40c及び40dには、回動アーム60a、60b、60c及び60dと、第1の歯車80a、80b、80c及び80dとが各々設けられている。例えば、回動アーム60a、60b、60c及び60dは、円板30aの外側回転軸40a、40b、40c及び40dの端部に設けられ、第1の歯車80a、80b、80c及び80dは、1対の円板30aと30bとの間に位置するように構成されている。
ワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dは、回動アーム60a、60b、60c及び60dの回動を一方向回転運動に変換するものであり、外周が回動アーム60a、60b、60c及び60dの一端部に連結され、中心に回転軸40a、40b、40c及び40dが装着されている。
回動アーム60a、60b、60c及び60dは、例えば、丸棒又は角棒状材料から形成され、一端はそれぞれワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dに固定され、他端は自由端とされている。回動アーム60a、60b、60c及び60dの他端には、弾性体70a、70b、70c及び70dの一端が連結されている。回動アーム60a、60b、60c及び60dの反時計回り方向の回転はストッパ33a、33b、33c及び33dにより所定範囲に制限されている。回動アーム60a、60b、60c及び60dの取り付け角度間隔は、360/4=90度である。即ち、駆動回転軸10が90度を回転するごとに回転アーム13が回動アーム60a、60b、60c及び60dにそれぞれ当接するように構成されている。
弾性体70a、70b、70c及び70dは、例えば、引張りコイルバネからなる。回動アーム60a、60b、60c及び60dをワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dの動力伝達方向に付勢する弾性体として、一端がそれぞれ回動アーム60a、60b、60c及び60dに連結され、他端が弾性体固定部32a、32b、32c及び32dに連結されている。
第1の歯車80a、80b、80c及び80dは、回転軸40a、40b、40c及び40dにそれぞれ装着され、回転軸40a、40b、40c及び40dと共に回転する。また、4つの第1の歯車80a、80b、80c及び80dの各々は、第2の歯車90とかみ合わせ可能である。第1の歯車80a、80b、80c及び80dの各々は、第2の歯車90とかみあいながら回転軸40a、40b、40c及び40dと共に回転する際に、出力回転体30と一緒に回転するように構成されている。
第2の歯車90は、支持軸20に設けられ、支持軸20と共に回転するように構成されている。また、4つの第1の歯車80a、80b、80c及び80dの各々とかみ合わせ可能である。
次に、本実施形態における動力伝達装置100の動作を説明する。図3は動力伝達装置100の動作状態を示している。図3において、回転アーム12が回動アーム60aに当接し始めた状態(図中2点破線)から、出力回転体30にかかった負荷が大きくなって、回転アーム12が当接から外れた状態を示している。
図3に示すように、モータ等の動力源の駆動により駆動回転軸10が図中矢印の方向に回転すると、回転アーム12も回転し、出力回転体30にかかった負荷が弾性体1本分の張力より小さい時、回転アーム12の他端12bに設けられた当接部13が回動アーム60aに当接し、回転エネルギを出力回転体30から出力する(直接駆動)。このように回転する際に、出力回転体30にかかる負荷が大きくなると、回転アーム12の当接部13が回動アーム60aの先端部を押圧することにより、回動アーム60aは時計回りに回動する。この回動によっては、ワンウェイクラッチ50aが空転状態となるため、動力伝達が行われず、弾性体70aが引っ張られるのみとなる。駆動回転軸10がさらに回転して当接部13が回動アーム60aの先端部から離れると、回動アーム60aは、弾性体70aの付勢力により付勢されて反時計回りに回動し、ストッパ33aに当接する位置で回動を停止する。この回動はワンウェイクラッチ50aを実回転させ動力伝達が行われて第1の歯車80aを介して出力回転体30が回転し動力を出力する。駆動回転軸10がさらに回転し、回転アーム12の当接部13が回動アーム60bの先端部を押圧すると、回動アーム60bが上述した回動アーム60aと同様な動作を行う。駆動回転軸10がさらに回転し、回転アーム12の当接部13が回動アーム60cの先端部を押圧すると、回動アーム60cが上述した回動アーム60aと同様な動作を行う。駆動回転軸10がさらに回転し、回転アーム12の当接部13が回動アーム60dの先端部を押圧すると、回動アーム60dが上述した回動アーム60aと同様な動作を行う。このように、駆動回転軸10が回転運動することにより、回動アーム60a、60b、60c及び60dが交互に回動せしめられ、出力回転体30が回転し動力を出力する(間接駆動)。
このように、駆動回転軸10が回転運動することにより、回転アーム12の当接部13が、順次、回動アーム60a、60b、60c及び60dの先端部にそれぞれ当接し、これら回動アーム60a、60b、60c及び60dを時計回り方向へ押圧して順次回動させる。この時計回りの回動によっては、ワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dが空転するので動力伝達が行われない。しかしながら、この回動により弾性体70a、70b、70c及び70dがそれぞれ引っ張られるので、回動アーム60a、60b、60c及び60dを反時計回り方向に付勢する弾性エネルギが蓄積される。出力回転体30にかかった負荷が所定値(弾性体1本分の張力)以上に大きくなると、回転アーム13の当接部14が回動アーム60a、60b、60c及び60dの先端部の各々との当接から外れた際は、弾性体70a、70b、70c及び70dの各々の蓄積された弾性エネルギによる付勢力によって回動アーム60a、60b、60c及び60dを反時計回り方向に回転せしめられ、ワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dが反時計回り方向(動力伝達方向)に回動駆動されるので動力伝達が行われ、回転運動は出力回転体30を介して出力される。この場合、回転アーム13の当接部14が回動アーム60a、60b、60c及び60dの先端部の各々との当接し始めた際の弾性体70a、70b、70c及び70dの各々の張力は小さいが、その後の張力は徐々に大きくなり、これにより、駆動源に対して瞬間的に大きい負荷をかけることなく、安定した駆動ができる。一方、回転アーム12の当接部13が回動アーム60a、60b、60c及び60dの先端部との当接から外れた際は、回動アーム60a、60b、60c及び60dが弾かれるため、より大きな出力トルクを得ることができる。
即ち、動力伝達装置100において、駆動源の力を複数の弾性体70a、70b、70c及び70dに分けて保存される。貯めた力を放出するタイミングは出力回転体30にかかった負荷によって自動的に変化する。また、出力回転体30にかかった負荷が所定値(弾性体4本分の張力)以上に大きくなると、回転アーム12の回転によって回動アーム60b、60c及び60dも回動アーム60aと同様に当接から外れた位置になり、駆動回転軸10が空回転し、出力回転体30にかかった負荷が駆動源に直接的に伝達されず、エネルギが弾性体70a、70b、70c及び70dに蓄積されている。出力回転体30にかかった負荷が所定値以下になると、弾性体70a、70b、70c及び70dに蓄積されたエネルギが放出されて出力回転体30が回転し出力トルクが発生する。
図4は動力伝達装置100の入力及び負荷と出力との関係を示している。図4において、駆動回転軸10の入力が一定であり、また、横軸が回転数及びトルクで、縦軸(図中(C)から(E)に対して)が負荷である。同図(A)は駆動回転軸10の入力(即ち、動力源の出力の回転数)を示しており、(B)は出力回転体30にかかった負荷が弾性体1本分の張力より小さい時出力回転体30の出力(回転数及びトルク)を示しており、この場合、駆動回転軸10の入力がそのまま出力回転体30の出力となり、変速効果は発生しない。(C)から(E)は出力回転体30にかかった負荷が弾性体1本分の張力より大きい時出力回転体30の出力を示しており、この場合、出力回転体30の出力と駆動回転軸10の入力とは異なり、変速効果が発生する。また、負荷の大小によって出力回転体30の回転数及びトルクが変わる。即ち、出力回転体30にかかる負荷が大きくなると、弾性体による回動アームの回転が遅くなり、その回動アームが戻る前に回転アーム13が他の回動アームに当接し、複数の弾性体にエネルギが蓄積されて、これが一時に放出されるため、弾性体の数が多いほど蓄積されたエネルギが大きくなり、瞬時に出力されるトルクが大きくなる。また、図4に示すように、出力回転体30にかかる負荷が小さい時、出力回転体30の回転数が高い。出力回転体30にかかる負荷が大きい時、出力回転体30の回転数が低い。
以上説明したように、動力伝達装置100は、駆動回転軸10と、ワンウェイクラッチ11と、回転アーム12と、駆動回転軸10と同一軸線上に配置される支持軸20と、出力回転体30と、4つの回転軸40a、40b、40c及び40dと、4つのワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dと、4つの回動アーム60a、60b、60c及び60dと、4つの弾性体70a、70b、70c及び70dと、4つの第1の歯車80a、80b、80c及び80dと、第2の歯車90とを備えている。
これにより、駆動回転軸10の回転が出力回転体30を直接又は間接的に駆動するができ、かつ負荷変動が駆動源に直接的に伝達されることのない動力伝達装置100を実現することができる。また、手動で操作することなく自動的に無段変速機能を得ることができる。さらに、出力回転体30にかかる負荷がある程度(弾性体の予引張力)大きくなるまで、ワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dが動作しないため、ワンウェイクラッチ50a、50b、50c及び50dの寿命が長く、動力伝達装置の耐久性を向上することができる。
以下、本発明に係る動力伝達装置100用いた回転駆動装置の構成例について説明する。図5は動力伝達装置100を用いた二輪車(自転車又は自動二輪車)100Aの構成を概略的に示している。同図において、二輪車100Aの駆動側の車輪を示している。図5に示すように、動力伝達装置100は、二輪車100Aの駆動側の車輪中に装着されており、その外周部はタイヤで覆われている。動力伝達装置100の駆動回転軸10は、チェーンやギアなどにより回転駆動される。また、駆動回転軸10は、フレームに回転自在に装着されている。支持軸20Aは、逆回転防止のワンウェイクラッチを介してフレームに装着されている。この場合、動力伝達装置100及びタイヤの回転により駆動回転軸10の回転動力を伝達し出力する。
図6は動力伝達装置100を用いた自動車100Bの構成を概略的に示している。図6に示すように、動力伝達装置100は、フライホイールに装着されており、出力回転体30から、チェーンやギアなどを介して回転出力を駆動輪の回転軸に伝達するように構成されている。なお、動力伝達装置100自体がフライホイールとして利用しても良い。
図7は動力伝達装置100を用いたドリル100Cの構成を概略的に示している。図7に示すように、動力伝達装置100は、フライホイールに装着されており、出力回転体30から、チェーンやギアなどを介して回転出力をドリルの回転軸に伝達するように構成されている。なお、動力伝達装置100自体がフライホイールとして利用しても良い。
なお、上述した動力伝達装置100において、弾性体70a、70b、70c及び70dの張力(弾性力)を調整する弾性力調整機構を有するようにしても良い。例えば、弾性体固定部32a、32b、32c及び32dが、回転又は変位によって弾性体弾性体70a、70b、70c及び70dの張力(弾性力)を調整する。この弾性力調整機構により、弾性体70a、70b、70c及び70dの張力(弾性力)を調整することで、駆動源から動力伝達装置100に入力するエネルギを調節できる。これにより、最大出力値や変速機能が作動する閾値を調節できる。
また、上述した動力伝達装置100において、弾性体70a、70b、70c及び70dは、引張りコイルバネを用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ゴム等の材料から構成するようにしても良い。
また、上述した動力伝達装置100において、4つの回動アーム60a、60b、60c及び60dを有する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。任意の数の回動アームを有するようにしても良い。
また、上述した動力伝達装置100において、出力回転体30は、1対の円板30a及び30bを用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの円板を用いても良い。
さらに、上述した動力伝達装置100の応用例として、二輪車100A、四輪自動車100B及びドリル100Cの例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エレベーター、ミキサー等の負荷変動の大きい回転装置に用いても良い。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明の動力伝達装置は、必要なトルクが不規則に絶えず変化する物に最適であり、車両、エレベーター、エスカレーター、ドリル又はミキサー等の動力伝達に利用することができる。
10 駆動回転軸
11、50a、50b、50c、50d ワンウェイクラッチ
12 回転アーム
13 当接部
20、20A 支持軸
30 出力回転体(円盤部材)
31a、31b、31c、31d スペーサ
32a、32b、32c、32d 弾性体固定部
40a、40b、40c、40d 回転軸
60a、60b、60c、60d 回動アーム
70a、70b、70c、70d 弾性体
80a、80b、80c、80d 第1の歯車
90 第2の歯車
80 ストッパ
100 動力伝達装置
100A 二輪車(回転駆動装置)
100B 自動車(回転駆動装置)
100C ドリル(回転駆動装置)
11、50a、50b、50c、50d ワンウェイクラッチ
12 回転アーム
13 当接部
20、20A 支持軸
30 出力回転体(円盤部材)
31a、31b、31c、31d スペーサ
32a、32b、32c、32d 弾性体固定部
40a、40b、40c、40d 回転軸
60a、60b、60c、60d 回動アーム
70a、70b、70c、70d 弾性体
80a、80b、80c、80d 第1の歯車
90 第2の歯車
80 ストッパ
100 動力伝達装置
100A 二輪車(回転駆動装置)
100B 自動車(回転駆動装置)
100C ドリル(回転駆動装置)
Claims (6)
- 駆動源によって回転する駆動回転軸と、
一端が前記駆動回転軸に一方向回転機構を介して装着され、前記駆動回転軸と共に回転する回転アームと、
前記駆動回転軸と同一軸線上の支持軸に設けられた出力回転体と、
前記駆動回転軸と平行であり、前記出力回転体の外周部に均等に設けられた複数の回転軸と、
前記複数の回転軸の各々を支点として回動可能であり、複数の一方向回転機構をそれぞれ介して前記複数の回転軸に設けられ、先端部が前記回転アームの他端に当接可能な複数の回動アームと、
前記複数の回動アームを前記一方向回転機構の動力伝達方向にそれぞれ付勢する複数の弾性体と、
前記複数の回転軸にそれぞれ設けられた複数の第1の歯車と、
前記出力回転体に設けられ、前記複数の歯車とかみ合わせ可能な第2の歯車とを備えており、
前記複数の回動アームの各々は、前記出力回転体に所定値以上の負荷がかかった場合、前記回転アームの先端が当接した際は該前記回転アームの押圧によって前記複数の弾性体の各々の付勢力に対抗する方向に押し戻されて前記弾性体に弾性エネルギを蓄積し、前記回転アームの先端が当接から外れた際は前記複数の弾性体の各々の前記蓄積された弾性エネルギによる付勢力によって前記一方向回転機構の前記動力伝達方向に回動駆動され、該回動の動力が前記複数の第1の歯車と前記第2の歯車とを介して出力回転体に伝達されるように構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 前記駆動回転軸に対する前記複数の回転軸の取り付け角度間隔は、360/N度(ただし、Nは回転軸の数)であることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
- 前記複数の弾性体の弾性力を可変調整可能な弾性力調整機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力伝達装置。
- 前記複数の弾性体の各々が少なくとも1つの引張りコイルバネを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
- 前記複数の回動アームの各々の回動を所定範囲に制限する複数のストッパをさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の動力伝達装置を用いたことを特徴とする回転駆動装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019219252A JP2021089021A (ja) | 2019-12-04 | 2019-12-04 | 動力伝達装置及びそれを用いた回転駆動装置 |
PCT/JP2020/043193 WO2021111889A1 (ja) | 2019-12-04 | 2020-11-19 | 動力伝達装置及び動力伝達装置を用いた回転駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019219252A JP2021089021A (ja) | 2019-12-04 | 2019-12-04 | 動力伝達装置及びそれを用いた回転駆動装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021089021A true JP2021089021A (ja) | 2021-06-10 |
Family
ID=76219762
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019219252A Pending JP2021089021A (ja) | 2019-12-04 | 2019-12-04 | 動力伝達装置及びそれを用いた回転駆動装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021089021A (ja) |
WO (1) | WO2021111889A1 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50129772U (ja) * | 1974-04-11 | 1975-10-24 | ||
JPS5042296Y1 (ja) * | 1969-11-29 | 1975-12-01 | ||
JP5945584B2 (ja) * | 2014-12-01 | 2016-07-05 | 賢一 小谷 | 動力伝達装置 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50129772A (ja) * | 1974-04-03 | 1975-10-14 |
-
2019
- 2019-12-04 JP JP2019219252A patent/JP2021089021A/ja active Pending
-
2020
- 2020-11-19 WO PCT/JP2020/043193 patent/WO2021111889A1/ja active Application Filing
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5042296Y1 (ja) * | 1969-11-29 | 1975-12-01 | ||
JPS50129772U (ja) * | 1974-04-11 | 1975-10-24 | ||
JP5945584B2 (ja) * | 2014-12-01 | 2016-07-05 | 賢一 小谷 | 動力伝達装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2021111889A1 (ja) | 2021-06-10 |
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