JP2021088474A - ガラス物品の製造方法、及びガラス物品 - Google Patents

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【課題】光学特性の均一性の低下を抑えることのできるガラス物品の製造方法、及び光学特性を好適に発揮させることのできるガラス物品を提供する。【解決手段】ガラス物品11の製造方法は、ガラスGを切断する工程を備える。ガラス物品11の製造方法は、ガラスGの切断予定線PLに沿ってレーザー光Lを走査しつつ、ガラスGの内部にレーザー光Lの光軸方向に沿った複数の加工痕Mを形成する第1工程と、ガラスGに機械的な外力を加えて複数の加工痕Mを進展させることでガラスGを切断する第2工程とを備える。第1工程では、ガラスGの厚さを1mmとした場合、90%以上の透過率となる波長のレーザー光Lをガラスに照射する。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス物品の製造方法、及びガラス物品に関する。
従来、特許文献1,2に開示されるように、レーザー光をガラスの内部に集光させてガラスの内部に改質された加工痕を形成した後、その加工痕を進展させてガラスを切断する方法が知られている。このようにガラスに形成した加工痕を進展させる方法としては、延伸性を有する樹脂フィルム(エキスパンド用のテープ)をガラスに貼り付けた後、その樹脂フィルムを延伸することで加工痕に機械的な外力を加える方法が知られている。
特開2014−148454号公報 特開2013−157545号公報
上記のように、レーザー光を照射することでガラスの内部に加工痕を形成した後、その加工痕を進展させることでガラスを切断する方法では、レーザー光の照射によってガラスが加熱されることにより、ガラスの照射箇所近傍に局所的なガラスに歪が生じる。このようなガラスの歪が過大である場合、ガラスを切断して得られるガラス物品の端面付近における光学特性(例えば、リタデーション等)に影響を与える。すなわち、従来のレーザー光を用いてガラスを切断する方法では、レーザー光照射による局所歪が大きくなり易く、ガラス物品の全体における光学特性の均一性が低下し易い。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学特性の均一性の低下を抑えることのできるガラス物品の製造方法、及び光学特性を好適に発揮させることのできるガラス物品を提供することにある。
上記課題を解決するガラス物品の製造方法は、ガラスを切断する工程を備えるガラス物品の製造方法であって、前記ガラスの切断予定線に沿ってレーザー光を走査しつつ、前記ガラスの内部に前記レーザー光の光軸方向に沿った複数の加工痕を形成する第1工程と、前記ガラスに機械的な外力を加えて前記複数の加工痕を進展させることで前記ガラスを切断する第2工程と、を備え、前記第1工程では、前記ガラスの厚さを1mmとした場合、90%以上の透過率となる波長のレーザー光を前記ガラスに照射する。
この方法によれば、第1工程においてガラスに対するレーザー光の吸収が抑えられるため、ガラスが過剰に加熱され難くなる。また、第2工程では、ガラスに熱衝撃を与えずに、ガラスに機械的な外力を加えてガラスを切断している。このような第1工程及び第2工程により、ガラス物品の端面付近に加熱を要因として残留する歪を抑えることができる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記第1工程では、波長が1000nm以上であり、パルスエネルギーが260μJ以下であり、かつ繰り返し周波数が9kHz以下のレーザー光を前記ガラスに照射することが好ましい。
この方法によれば、ガラス物品の端面付近に加熱を要因として残留する歪をより抑えることができる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記第1工程における前記レーザー光のパルス幅は、19ps以下であることが好ましい。
この方法によれば、ガラス物品の端面付近に加熱を要因として残留する歪をさらに抑えることができる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記第1工程では、前記ガラスの切断予定線に沿って前記レーザー光を1回走査することが好ましい。
この方法によれば、複数の加工痕の形状を安定化することができる。これにより、第2工程において切断した切断面、すなわちガラス物品の端面の平滑性を高めることができる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記ガラスは、厚さが0.5mm以上の板状のガラスであってもよい。
上記ガラス物品の製造方法において、前記ガラスは、結晶化ガラスであってもよい。
ガラス物品は、厚さが0.5mm以上の結晶化ガラスを有し、リタデーションの最大値が1.0nm以下であることが好ましい。
この構成によれば、光学特性を好適に発揮させることができる。
上記ガラス物品において、前記結晶化ガラスは、算術平均高さ(Sa)が1.0μm以下である端面を有することが好ましい。
上記ガラス物品において、前記結晶化ガラスの組成は、質量%で、SiO:55〜75%、Al:20.5〜27%、LiO:2%以上、TiO:1.5〜3%、TiO+ZrO:3.8〜5%、及びSnO:0.1〜0.5%を含有し、3.7≦LiO+0.741MgO+0.367ZnO≦4.5とSrO+1.847CaO≦0.5との関係を満たすことが好ましい。
本発明によれば、光学特性の均一性の低下を抑えることができる。
実施形態におけるガラス物品の製造方法を説明する概略斜視図である。 ガラス物品の製造方法を説明する概略断面図である。 ガラス物品の製造方法を説明する概略断面図である。 ガラス物品の製造方法を説明する概略断面図である。 ガラス物品の製造方法を説明する概略斜視図である。 ガラス物品の製造方法の変更例を説明する概略斜視図である。
以下、ガラス物品の製造方法、及びガラス物品の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
図1〜図5に示すように、ガラス物品11の製造方法は、ガラスGを切断する工程を備える。図1〜図4に示すように、ガラス物品11の製造方法は、ガラスGの切断予定線PLに沿ってレーザー光Lを走査しつつ、ガラスGの内部にレーザー光Lの光軸方向(照射深さ方向)に沿った複数箇所に複数の加工痕Mを形成する第1工程を備えている。図5に示すように、ガラス物品11の製造方法は、ガラスGに機械的な外力を加えて複数の加工痕Mを進展させることでガラスGを切断する第2工程をさらに備えている。
ガラス物品11の製造方法に用いるガラスGは、例えば、厚さが0.5mm以上の板状のガラスであることが好ましい。さらに、ガラスGは、厚さが0.7mm以上の板状のガラスであることがより好ましく、より好ましくは0.8mm以上の板状のガラスである。ガラスGの厚さの上限は、特に限定されないが、例えば、30mm以下である。
ガラス物品11の製造方法に用いるガラスGとしては、例えば、ソーダガラス、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス、アルカリ含有ガラス、無アルカリガラス、結晶化ガラス等が挙げられる。ガラスGは、強化ガラスであってもよいし、未強化ガラスであってもよい。ガラスGは、機能性の被膜が積層された膜付きガラスであってもよい。
ガラス物品11の製造方法に用いるガラスGは、例えば、結晶化ガラスが好適である。結晶化ガラスとしては、例えば、LiO−Al−SiO系結晶化ガラスが挙げられる。LiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、β−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を主結晶として含有する。
好ましい結晶化ガラスとしては、ガラス組成として質量%でSiO:55〜75%、Al:20.5〜27%、LiO:2%以上、TiO:1.5〜3%、TiO+ZrO:3.8〜5%、及びSnO:0.1〜0.5%を含有し、3.7≦LiO+0.741MgO+0.367ZnO≦4.5とSrO+1.847CaO≦0.5との関係を満たすガラスを挙げることができる。MgOとZnOの係数は、各成分の含有量をLiOモル換算にするためのものである。また、CaOの係数は、SrOモル換算にするためのものである。ガラス組成は、合計を100質量%とするものであり、合計が100質量%を超える組成を含まない。
第1工程では、ガラスGの厚さを1mmとした場合、90%以上の透過率となる波長のレーザー光LをガラスGに照射する。これにより、ガラスGへのレーザー光Lの吸収を抑えることでガラスGが過剰に加熱されることを抑えることができる。透過率は、内部透過率であり、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計UH−4150によって測定することができる。
レーザー光Lの波長は、例えば、1000nm以上であることが好ましい。
レーザー光Lのパルスエネルギーは、ガラスGの加熱をより抑えるという観点から、260μJ以下であることが好ましく、より好ましくは250μJ以下であり、さらに好ましくは240μJ以下である。また、レーザー光Lのパルスエネルギーの値をより小さくすることで、ガラス物品11の端面の平滑性を高めることが可能となる。
レーザー光Lのパルスエネルギーは、より進展し易い加工痕Mを形成するという観点から、80μJ以上であることが好ましく、より好ましくは90μJ以上であり、さらに好ましくは100μJ以上である。
レーザー光Lの繰り返し周波数は、ガラスGの加熱をより抑えるという観点から、9kHz以下であることが好ましく、より好ましくは8kHz以下であり、さらに好ましくは7kHz以下である。また、レーザー光Lの繰り返し周波数の値をより小さくすることで、ガラス物品11の端面の平滑性を高めることが可能となる。
レーザー光Lの繰り返し周波数は、より進展し易い加工痕Mを形成するという観点から、5kHz以上であることが好ましく、より好ましくは5.5kHz以上であり、さらに好ましくは6kHz以上である。
レーザー光Lのパルス幅は、ガラスGの加熱をより抑えるという観点から、19ps(ピコ秒)以下であることが好ましく、より好ましくは17ps以下であり、さらに好ましくは15ps以下である。レーザー光Lのパルス幅は、より進展し易い加工痕Mを形成するという観点から、5ps以上であることが好ましく、より好ましくは7ps以上であり、さらに好ましくは9ps以上である。
レーザー光Lの平均出力は、ガラスGの加熱をより抑えるという観点から、2.4W以下であることが好ましく、より好ましくは2W以下であり、さらに好ましくは、1.7W以下である。レーザー光Lの平均出力は、より進展し易い加工痕Mを形成するという観点から、0.4W以上であることが好ましく、より好ましくは0.5W以上であり、さらに好ましくは0.6W以上である。
レーザー光Lの走査速度は、例えば、ガラス物品11の生産効率を高めるという観点から、10mm/s以上であることが好ましく、より好ましくは15mm/s以上である。レーザー光Lの走査速度は、より進展し易い加工痕Mを形成するという観点から、50mm/s以下であることが好ましく、より好ましくは40mm/s以下である。
第1工程において、ガラスGの切断予定線PLに沿ったレーザー光Lの走査回数は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。ここで、レーザー光Lの走査回数が複数回の場合、レーザー光Lの集光点の位置が複数回の走査において互いに異なり易く、これにより複数の加工痕Mの形状が不規則となる結果、切断面の平滑性が低下するおそれがある。このため、レーザー光Lの走査回数は、複数の加工痕Mの形状を安定化し、切断面の平滑性を高めるという観点から、1回であることが好ましい。
レーザー光Lの光軸方向、すなわちガラスGの厚さ方向における複数の加工痕Mの間隔(ピッチ)は、10μm以上、200μm以下の範囲内であることが好ましい。
図3及び図4では、X軸方向に沿って延びる切断予定線PLに沿ってレーザー光Lを走査したガラスGを模式的に示している。図3に示すように、切断予定線PL(レーザー光Lの走査方向)に沿って連続した加工痕MをガラスGに形成してもよいし、図4に示すように、X軸方向に延びる切断予定線PLに沿って配列(点在)した複数の加工痕MをガラスGに形成してもよい。例えば、第1工程の時間を短縮するという観点から、切断予定線PLに沿って配列した複数の加工痕MをガラスGに形成することが好ましい。このように切断予定線PLに沿って複数の加工痕MをガラスGに形成する場合、レーザー光Lの走査方向に沿った複数の加工痕Mの間隔(ピッチ)は、1μm以上、100μm以下の範囲内であることが好ましい。
図1に示すように、第1工程におけるレーザー光Lは、レーザーユニット12を用いて照射する。レーザーユニット12は、光源13と多焦点光学系14とを備えている。光源13としては、超短パルスレーザー光を発生する光源を好適に用いることができる。光源13としては、例えば、ツリウム(Tm)含有のファイバーレーザー(中心波長:1.95μm)を発生する光源が挙げられる。
ガラスGは、図示を省略した支持台上に配置される。支持台とレーザーユニット12とは、図示を省略した移動機構により、XYZ軸に沿った方向に相対移動可能に構成されている。
第2工程においてガラスGに機械的な外力を加える方法は、特に限定されない。第2工程は、例えば、延伸性を有する樹脂フィルム(エキスパンド用のテープ)をガラスGに貼り付けた後、その樹脂フィルムを延伸することでガラスGに外力を加える方法により行うことができる。また、第2工程は、ガラスの一部を押圧する押圧部材を備えた周知の割断装置を用いて行ってもよい。
次に、ガラス物品11の一例について説明する。
ガラス物品11は、厚さが0.5mm以上の結晶化ガラスを有している。結晶化ガラスは、温度変化による膨張や収縮の量が極めて小さいため、温度変化の比較的大きい環境での使用に好適である。また、例えば、可視光の光透過性が求められる用途では、β−石英固溶体を主結晶として含むLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを好適に用いることができる。
ガラス物品11のリタデーションの最大値は、1.0nm以下である。リタデーションの最大値が小さくなるほど、ガラス物品11の光学特性の均一性が高まるため、ガラス物品11を光学用途に好適に用いることができる。リタデーションは、複屈折(Δn)と厚さ(d)の積(Δnd)であり、リタデーションの最大値は、市販の複屈折測定装置で測定可能である。複屈折測定装置としては、例えば、ユニオプト社製の複屈折測定装置を利用可能であり、この複屈折測定装置は、光ヘテロダイン法による共通光路干渉計とフーリエ解析法を利用している。リタデーションの最大値は、0.9nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8nm以下である。なお、ガラス物品11のリタデーションの最大値の下限は、0nmを超え、例えば、0.01nm以上である。
上記のガラス物品11の製造方法では、ガラスGを切断して形成される端面の平滑性を高めることもできる。ガラス物品11の結晶化ガラスは、例えば、算術平均高さ(Sa)が1.0μm以下の端面を有することが好ましい。ガラス物品11の端面の算術平均高さ(Sa)は、0.8μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、0.6μm以下である。算術平均高さ(Sa)は、ISO25178に準拠して測定することができる。
なお、上記のガラス物品11の製造方法における第1工程で形成される加工痕Mは、レーザー光Lの照射による加熱溶融により形成されるため、ガラス物品11の端面は、加工痕Mに基づく火造り面を含む。
ガラス物品11としては、例えば、光透過性を有するカバー部材、光透過性を有する基板等が挙げられる。カバー部材の用途としては、例えば、レーザーモジュール、LED光源、光センサ、撮像素子、光スイッチ等の光学デバイス、液晶表示部、有機EL表示部等の表示部等を覆う用途が挙げられる。基板としては、例えば、透明電極を有する基板が挙げられる。
(試験例)
次に、試験例について説明する。
試験例1〜7では、表1に示す条件で板状のガラスに加工痕を形成する第1工程を行った。試験例1〜6で用いたレーザー光の波長は、ガラスの厚さを1mmとした場合、90%以上の透過率となる波長である。試験例7で用いたレーザー光Lの波長は、ガラスの厚さを1mmとした場合、90%未満の透過率となる波長である。試験例1〜7において、ガラスの切断予定線に沿ったレーザー光の走査回数は1回である。
試験例1〜4,6,7で用いたガラスは、β−石英固溶体を主結晶として含有するLiO−Al−SiO系結晶化ガラスであり、組成として、質量%でSiO:65.75%、Al:22.3%、LiO:3.6%、TiO:2.0%、ZrO:2.2、TiO+ZrO:4.2%、及びSnO:0.2%を含有し、“LiO+0.741MgO+0.367ZnO”は、4.1であり、“SrO+1.847CaO”は、0である。試験例5で用いたガラスは結晶を含まず、ガラスの組成として、質量%でSiO:65.4%、Al:8.0%、B:8.9%、CaO:3.2%、ZnO:0.9%、NaO:13.3%、SnO:0.3%を含むガラスである。
次に、試験例1〜7のガラスを手で折り割る第2工程を行うことで、ガラス物品のサンプルを作製した。この第2工程を行った際に、ガラスを折り割る際に必要な力に基づいて、切断の容易性について評価した。また、試験例1〜7のガラス物品のサンプルについて、リタデーション(Δnd)の最大値、及び端面の算術平均高さ(Sa)を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2021088474
試験例1〜6におけるガラス物品のサンプルでは、試験例7におけるガラス物品のサンプルよりもリタデーション(Δnd)の最大値が低い。すなわち、試験例1〜6では、試験例7よりも光学特性の均一性の低下を抑えることができることが分かる。試験例1〜5におけるガラス物品のサンプルでは、試験例6におけるガラス物品のサンプルよりも端面の算術平均高さ(Sa)が低い。すなわち、試験例1〜5では、試験例6よりもガラス物品の端面の平滑性を高めることができることが分かる。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)ガラス物品11の製造方法は、ガラスGの切断予定線PLに沿ってレーザー光Lを走査しつつ、ガラスGの内部にレーザー光Lの光軸方向に沿った複数の加工痕Mを形成する第1工程と、ガラスGに機械的な外力を加えて複数の加工痕Mを進展させることでガラスGを切断する第2工程とを備えている。ガラス物品11の製造方法における第1工程では、ガラスGの厚さを1mmとした場合、90%以上の透過率となる波長のレーザー光LをガラスGに照射している。
この方法によれば、第1工程においてガラスGに対するレーザー光の吸収が抑えられるため、ガラスGが過剰に加熱され難くなる。また、第2工程では、ガラスGに熱衝撃を与えずに、ガラスGに機械的な外力を用いてガラスGを切断している。このような第1工程及び第2工程により、ガラス物品11の端面付近に加熱を要因として残留する歪を抑えることができる。従って、光学特性の均一性の低下を抑えることができる。
(2)ガラス物品11の製造方法における第1工程では、波長が1000nm以上であり、パルスエネルギーが260μJ以下であり、かつ繰り返し周波数が9kHz以下のレーザー光LをガラスGに照射することが好ましい。この場合、ガラス物品11の端面付近に加熱を要因として残留する歪をより抑えることができる。従って、光学特性の均一性の低下をより抑えることができる。また、ガラスGの切断面、すなわちガラス物品11の端面の平滑性を高めることもできる。
(3)第1工程におけるレーザー光Lのパルス幅は、19ps以下であることが好ましい。この場合、ガラス物品11の端面付近に加熱を要因として残留する歪をさらに抑えることができる。従って、光学特性の均一性の低下をさらに抑えることができる。
(4)第1工程では、ガラスGの切断予定線PLに沿ってレーザー光Lを1回走査することが好ましい。この場合、複数の加工痕Mの形状を安定化することができる。これにより、第2工程において切断した切断面、すなわちガラス物品11の端面の平滑性を高めることができる。
(5)厚さが0.5mm以上の板状のガラスをカッター等で切削することでスクライブ線を形成し、そのスクライブ線に沿ってガラスを割断する切断方法では、スクライブ線が任意の方向に進展し易く、切断予定線PLに沿った切断が極めて困難である。本実施形態のガラス物品11の製造方法では、厚さが0.5mm以上の板状のガラスGであっても、ガラスGの内部の複数の加工痕Mが所定の方向に進展し易いため、ガラスGを切断予定線PLに沿って容易に切断することができる。従って、例えば、ガラス物品11の歩留まりを向上させることが可能となる。
(6)ガラス物品11は、例えば、厚さが0.5mm以上の結晶化ガラスを有し、結晶化ガラスのリタデーションの最大値が1.0nm以下である。この構成によれば、ガラス物品11の光学特性を好適に発揮させることができる。また、ガラス物品11を温度変化の比較的大きい環境で使用することも可能である。このガラス物品11の結晶化ガラスは、算術平均高さ(Sa)が1.0μm以下である端面を有することで、例えば、ガラス物品11の組み付け精度を高めることができる。
(変更例)
ガラス物品11の外形は、四角形状に限定されず、四角形状以外の多角形状であってもよいし、曲線を有していてもよい。また、ガラスGの切断予定線PLは、連続した環状の切断予定線であってもよい。例えば、図6に示すように、ガラスGの切断予定線PLを曲線状かつ連続した環状の切断予定線PLに変更することもできる。この場合、ガラス物品11の製造方法をガラスGの穴開け加工に適用し、貫通孔11aを有するガラス物品11を得ることができる。また、例えば、曲線状の外形を有するガラス物品11を得ることもできる。
11…ガラス物品、G…ガラス、L…レーザー光、M…加工痕、PL…切断予定線。

Claims (9)

  1. ガラスを切断する工程を備えるガラス物品の製造方法であって、
    前記ガラスの切断予定線に沿ってレーザー光を走査しつつ、前記ガラスの内部に前記レーザー光の光軸方向に沿った複数の加工痕を形成する第1工程と、
    前記ガラスに機械的な外力を加えて前記複数の加工痕を進展させることで前記ガラスを切断する第2工程と、を備え、
    前記第1工程では、前記ガラスの厚さを1mmとした場合、90%以上の透過率となる波長のレーザー光を前記ガラスに照射する、ガラス物品の製造方法。
  2. 前記第1工程では、波長が1000nm以上であり、パルスエネルギーが260μJ以下であり、かつ繰り返し周波数が9kHz以下のレーザー光を前記ガラスに照射する、請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. 前記第1工程における前記レーザー光のパルス幅は、19ps以下である、請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
  4. 前記第1工程では、前記ガラスの切断予定線に沿って前記レーザー光を1回走査する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。
  5. 前記ガラスは、厚さが0.5mm以上の板状のガラスである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。
  6. 前記ガラスは、結晶化ガラスである、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。
  7. 厚さが0.5mm以上の結晶化ガラスを有し、前記結晶化ガラスのリタデーションの最大値が1.0nm以下である、ガラス物品。
  8. 前記結晶化ガラスは、算術平均高さ(Sa)が1.0μm以下である端面を有する、請求項7に記載のガラス物品。
  9. 前記結晶化ガラスの組成は、質量%で、SiO:55〜75%、Al:20.5〜27%、LiO:2%以上、TiO:1.5〜3%、TiO+ZrO:3.8〜5%、及びSnO:0.1〜0.5%を含有し、3.7≦LiO+0.741MgO+0.367ZnO≦4.5とSrO+1.847CaO≦0.5との関係を満たす、請求項7又は請求項8に記載のガラス物品。
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