はじめに、インクジェットヘッド100(以下、ヘッド100と略称する)の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、ヘッド100の一部を分解して示す斜視図、図2は、ヘッド100の前方部における横断面図、図3は、ヘッド100の前方部における縦断面図である。なお、ヘッド100は、長手方向を縦方向、長手方向に直交する方向を横方向とする。
図1に示すようにヘッド100は、長方形のベース基板9を有する。ヘッド100は、ベース基板9の前方側の上面に第1の圧電部材1を接合し、この第1の圧電部材1の上に第2の圧電部材2を接合する。接合された第1の圧電部材1と第2の圧電部材2とは、図2の矢印で示すように、板厚方向に沿って互いに相反する方向に分極する。
ベース基板9は、誘電率が小さく、かつ圧電部材1,2との熱膨張率の差が小さい材料を用いて形成する。ベース基板9の材料としては、例えばアルミナ(Al203)、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等がよい。一方、圧電部材1,2の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等が用いられる。
ヘッド100は、接合された圧電部材1,2の先端側から後端側に向けて、多数の長尺な溝3を設ける。各溝3は、間隔が一定でありかつ平行である。各溝3は、先端が開口し、後端が上方に傾斜する。このような多数の溝3の形成には、切削加工機を用いることができる。
図2,図3に示すようにヘッド100は、各溝3の隔壁に電極4を設ける。電極4は、ニッケル(Ni)と金(Au)との二層構造となっている。電極4は、例えばメッキ法によって各溝3内に均一に成膜される。電極4の形成方法は、メッキ法に限定されない。他に、スパッタ法や蒸着法等を用いることもできる。
図1に示すようにヘッド100は、各溝3の後端から第2の圧電部材2の後部上面に向けて引出し電極10を設ける。引出し電極10は、前記電極4から延出する。
図1,図3に示すようにヘッド100は、天板6とオリフィスプレート7とを備える。天板6は、各溝3の上部を塞ぐ。オリフィスプレート7は、各溝3の先端を塞ぐ。ヘッド100は、天板6とオリフィスプレート7とで囲まれた各溝3によって、複数の圧力室15を形成する。圧力室15は、例えば深さが300μmで幅が80μmの形状を有し、169μmのピッチで平行に配列される。ただし、切削加工機の特性に起因する製造時のばらつき等により、各圧力室15の形状が必ずしも均一になるとは限らない。例えば切削加工機は16本の圧力室15を一括して形成し、これを20回繰り返すことによって320本の圧力室15を形成する。このとき16本の圧力室15を形成する加工刃が個体差を持っていれば、各圧力室15の形状は周期性をもつことになる。しかも圧力室15の形状は、20回の繰り返し加工の際の加工温度の変化等に起因して僅かずつ変化していく。これらの圧力室15の微小な変化が最終的には印刷濃度の微小な周期的変化の原因のひとつとなる。
天板6は、その内側後方に共通インク室5を備える。オリフィスプレート7は、各溝3と対向する位置にノズル8を穿設する。ノズル8は、対向する溝3つまりは圧力室15と連通する。ノズル8は、圧力室15側から反対側のインク吐出側に向けて先細りの形状をなす。ノズル8は、隣り合う3つの圧力室15に対応したものを1セットとし、溝3の高さ方向(図2の紙面の上下方向)に一定の間隔でずれて形成される。なお、図2では、ノズル8の位置がわかるようにノズル8を模式的に図示している。ノズル8は、例えば、レーザ加工機により形成することができる。レーザ加工機が所定の位置にノズル8を形成する際、各ノズル8の加工位置を決める方法として、レーザービームの位置を光学的に設定する方法と、ワーク、すなわちオリフィスプレート7側を機械的に移動する方法とがある。ノズル8の数が多い場合には、2つの方法を併用すると都合がよい。しかしながら、光学的位置決め方法と機械的位置決め方法とを併用した穴加工を行うと、それぞれの加工毎の穴形状の微小変化によって穴形状に周期性が生じる。この穴形状の周期性も印刷濃度の微小な周期的変化の原因のひとつとなる。
図1に示すようにヘッド100は、ベース基板9の後方側の上面に、導電パターン13が形成されたプリント基板11を接合する。そしてヘッド100は、このプリント基板11に、後述するインクジェットヘッド駆動装置を実装したドライブIC12を搭載する。ドライブIC12は、導電パターン13に接続する。導電パターン13は、各引出し電極10とワイヤボンディングにより導線14で結合する。ドライブIC12は、一つで全てのノズル8に対応する電極を駆動するものであってもよい。しかし、一つのドライバIC当たりの回路数が多くなり過ぎると、いくつかのデメリットが生じる。例えば、チップサイズが大きくなり歩留まりが低下する、出力回路の配線が困難になる、駆動時の発熱が集中する、ドライバICの数を増減してノズル数の増減に対応することができない等である。このため、例えばノズル8の数が320のヘッドに対しては、出力数が80回路のドライバIC12を4つ使用すればよい。しかしながらその場合には、ドライバIC12内の配線抵抗の差異などに起因して出力波形がノズル8の並び方向に応じて空間的な周期を持つ。その周期性の強さはドライバIC12の個体差などに依存して変化する。この出力波形の空間的周期性もまた印刷濃度の微小な周期的変化の原因のひとつとなる。
次に、上記の如く構成されたヘッド100の動作原理について、図4及び図5を用いて説明する。
図4の(a)は、中央の圧力室15bと、この圧力室15bに隣接する両隣の圧力室15a,15cとの各壁面にそれぞれ配設された電極4の電位がいずれもグラウンド電位GNDである状態を示している。この状態では、圧力室15aと圧力室15bとで挟まれた隔壁16a及び圧力室15bと圧力室15cとで挟まれた隔壁16bは、いずれも何ら歪み作用を受けない。本明細書では、図4の(a)の状態を定常状態と称する。
図4の(b)は、中央の圧力室15bの電極4に負極性の電圧−Vが印加され、両隣の圧力室15a,15cの電極4の電位がいずれもグラウンド電位GNDのままである状態を示している。この状態では、各隔壁16a,16bに対して、圧電部材1,2の分極方向と直交する方向に電圧Vの電界が作用する。この作用により、各隔壁16a,16bは、圧力室15bの容積を拡張するようにそれぞれ外側に変形する。本明細書では、図4の(b)の状態を拡張状態と称する。
図4の(c)は、中央の圧力室15bの電極4に正極性の電圧+Vが印加され、両隣の圧力室15a,15cの電極4の電位がいずれもグラウンド電位GNDのままである状態を示している。この状態では、各隔壁16a,16bに対して、図4(b)のときとは逆の方向に電圧Vの電界が作用する。この作用により、各隔壁16a,16bは、圧力室15bの容積を収縮するようにそれぞれ内側に変形する。本明細書では、図4の(c)の状態を収縮状態と称する。
さて、圧力室15bに連通するノズル8からインク液滴を吐出させる場合、先ずヘッド100は、ステップS1として、圧力室15bを定常状態から拡張状態に変化させる。拡張状態になると、図4の(b)に示すように、圧力室15bの両側の隔壁16a,16bが、圧力室15bの容積を拡大するようにそれぞれ外側に変形する。この変形により、圧力室15b内の圧力が低下して、共通インク室5から圧力室15b内にインクが流れ込む。
次にヘッド100は、ステップS2として、圧力室15bを拡張状態から定常状態に戻す。定常状態に戻ると、図4の(a)に示すように、圧力室15bの両側の隔壁16a,16bが定常状態に復元される。この復元により、圧力室15b内の圧力が増大して、圧力室15bに対応したノズル8からインク液滴が吐出される。かくして、圧力室15a,15bを隔てる隔壁16aと、圧力室15b,15cを隔てる隔壁16bとは、当該隔壁16a,16bを壁面とする圧力室15bの内部に圧力振動を与えるためのアクチュエータとなる。
次にヘッド100は、ステップS3として、圧力室15bを定常状態から収縮状態に変化させる。収縮状態になると、図4の(c)に示すように、圧力室15bの両側の隔壁16a,16bが、圧力室15bの容積を縮小するようにそれぞれ内側に変形する。この変形により、圧力室15b内の圧力がさらに増大する。このため、インク液滴の吐出後に圧力室15b内に生じる圧力低下が緩和されて、圧力室15b内に残っていた圧力振動がキャンセルされる。
その後ヘッド100は、ステップS4として圧力室15bを収縮状態から定常状態に戻す。定常状態に戻ると、図4の(a)に示すように、圧力室15bの両側の隔壁16a,16bが定常状態に復元される。
図5は、上述したステップS1〜S4の動作を実現させるために、圧力室15bのアクチュエータに印加される駆動パルス信号Pの波形と、駆動パルス信号Pの生成に必要なDrawパルス信号d、Releaseパルス信号r及びPushパルス信号pの各波形とを示す。図5において、時間Tは、1滴のインク液滴を吐出するのに必要な時間である。時間Tは、インク引き込み時間Drawと、インク吐出時間Releaseと、キャンセル時間Pushとを含む。図5に示すように、インク引き込み時間DrawはDrawパルス信号dのパルス幅に相当し、インク吐出時間ReleaseはReleaseパルス信号rのパルス幅に相当し、キャンセル時間PushはPushパルス信号pのパルス幅に相当する。これらのパルス幅、すなわちインク引き込み時間Draw、インク吐出時間Release及びキャンセル時間Pushは、通常、ヘッド100毎に、使用するインクや温度等の条件により適切な値に設定される。
図5において、時点t1になると、ヘッド100では、Drawパルス信号dがオンする。そしてこのオン状態は、インク引き込み時間Drawだけ継続する。Drawパルス信号dがオンすると、駆動パルス信号Pは、圧力室15bの電極に負極性の電圧−Vを印加する。したがって、圧力室15bが定常状態から拡張状態に変化する(ステップS1)。
インク引き込み時間Drawが経過して時点t2になると、ヘッド100では、Releaseパルス信号rがオンする。そしてこのオン状態は、インク吐出時間Releaseだけ継続する。Releaseパルス信号rがオンすると、駆動パルス信号Pは、グラウンド電位GNDとなる。したがって、圧力室15bが拡張状態から定常状態に戻される(ステップS2)。
インク吐出時間Releaseが経過して時点t3になると、Pushパルス信号pがオンする。そしてこのオン状態は、キャンセル時間Pushだけ継続する。Pushパルス信号pがオンすると、駆動パルス信号Pは、圧力室15bの電極に正極性の電圧+Vを印加する。したがって、圧力室15bが定常状態から拡張状態に変化する(ステップS3)。
キャンセル時間Pushが経過して時点t4になると、駆動パルス信号Pは、グラウンド電位GNDとなる。したがって、圧力室15bが拡張状態から定常状態に戻される(ステップS4)。かくして時点t1から時間Tが経過するまでの期間内の駆動パルス信号Pにより、ヘッド100では、圧力室15bに連通するノズル8からインク液滴が1滴吐出される。
その後、時点t5になると、ヘッド100では、Drawパルス信号dが再びオンする。そして以後、時点t6,時点t7及び時点t8において、前述した時点t2,時点t3及び時点t3と同様にDrawパルス信号d、Releaseパルス信号r及びPushパルス信号pが順次オン、オフする。かくして時点t5から時間Tが経過するまでの期間内に生じる駆動パルス信号Pにより、ヘッド100では、圧力室15bに連通するノズル8から2滴目のインク液滴が吐出される。
このように、時点t5以降においても時点t1〜t4と同様な動作を繰り返すことにより、ノズル8からインク液滴を連続して吐出させることができる。ここで、インク液滴の吐出数は、図示しないイネーブル信号のオン時間によって決まる。例えば、イネーブル信号のオン時間が時間Tと等しければ吐出数は“1”となり、時間Tの2倍と等しければ吐出数は“2”となる。このようにイネーブル信号のオン時間を調整することによって、ヘッド100は、可変数のインク液滴で一つのドットを形成する、いわゆるマルチドロップ方式による階調印字が可能となる。
マルチドロップ方式では、印刷の濃淡をインク液滴の数によって調整する。しかし、各ノズル8から同じ数のインク液滴をそれぞれ吐出させて印刷を行っても、前述した製造上のばらつきに起因して濃度ムラを生じることがある。このような濃度ムラは、インク液滴の数を調整しても粗すぎて解消されない。
インク液滴の体積は、圧力室15b内にインクを引き込む時間、いわゆるインク引き込み時間Drawに依存することは知られている。例えば本願出願人による特許第5481317号には、インク液滴の体積とインク引き込み時間との関係について詳しく説明されている。それによると、インク引き込み時間Drawが圧力振動の半周期(AL)に等しいとき、インク液滴の体積は最大となり、圧力振動の半周期(AL)よりも短いとインク液滴の体積は小さくなる。
そこで本実施形態では、補正データによりインク引き込み時間Drawを調整して、各ノズル8から吐出されるインク液滴の体積を均一化することで、濃度ムラを解消する。図6は、インク引き込み時間Drawを調整する具体例を説明するためのタイミング図である。図6において、パルス波形Pa,Pb,Pcは、いずれも圧力室15bのアクチュエータに印加される駆動パルス信号Pの波形を示す。ここで説明の便宜上、パルス波形Paは、図5に示す駆動パルス信号Pと一致しており、このパルス波形Paを補正前の基準波形とする。
パルス波形Pa、Pb、Pcを対比すればわかるように、本実施形態では、時点t1のタイミングを、時間“−t”から“+t”の範囲内で変化させる。時点t1のタイミングをどの程度変化させるかについては、補正データによって決まる。例えば、補正データが時点t1のタイミングを早める方向、すなわち“−t”の方向に変化させるデータであると、基準波形よりもインク引き込み時間Drawが長くなる(Db>Da)。逆に、補正データが時点t1のタイミングを遅らす方向、すなわち“+t”の方向に変化させるデータであると、基準波形よりもインク引き込み時間Drawが短くなる(Da>Dc)。このように、時点t1のタイミングを“−t”の方向または“+t”の方向にずらすことによって、インク引き込み時間Drawを可変することができる。すなわち、ノズルから吐出されるインク液滴の体積を調整することができる。
なお、インク引き込み時間Drawが変わると、残留振動のキャンセル条件が変化する。このため、インク引き込み時間Drawの調整に応じてインク吐出時間Release及びキャンセル時間Pushも調整することが望ましい。しかし、インク引き込み時間Drawの調整範囲が小さければ、インク吐出時間Releaseとキャンセル時間Pushとの調整量は無視できるほど小さいものとなる。そこで本実施形態では、インク吐出時間Releaseとキャンセル時間Pushとは補正対象外とし、常に一定とする。
一方、インク引き込み時間Drawの調整をノズル単位で行うと、ノズルの数だけ補正データが必要となる。また、各補正データでインク引き込み時間Drawを調整するための回路もノズルの数だけ必要となる。このため、回路規模が膨大になる。そこで本実施形態では、連続する複数のノズルをグループ化し、このグループ毎にインク引き込み時間Drawを調整する。
以下、ノズルの数よりも少ない補正データで製造上のばらつき等に起因する濃度ムラを目立たなくすることができ、回路規模の縮小と補正データ設定作業の容易化を図り得るインクジェットヘッド駆動装置の実施形態(第1及び第2の実施形態)について説明する。
始めに、第1の実施形態について図7及び図8を用いて説明する。
図7は、第1の実施形態であるインクジェットヘッド駆動装置20(以下、駆動装置20と称する)のブロック図である。駆動装置20は、324個のノズルを一方向に配列してなるヘッド200に対応したものである。ただしこのようなヘッド200は、端部側のノズルでクロストークにより吐出量が多くなる現象が現れやすい。そこで図7に示すように、一方の端部にある3個のノズルと他方の端部にある3個のノズルとをそれぞれダミー(dummy)とする。そしてその間の318個のノズル(Nozzle#1〜Nozzle#318)からインク液滴を吐出して印刷を行うヘッド200を例示する。
駆動装置20は、ダミー(dummy)を含めて324個のノズルにそれぞれ対応させて、波形生成回路21と駆動回路22とを対にして設ける。すなわち駆動装置20は、324個の波形生成回路(波形生成回路#1〜#324)21と、同じく324個の駆動回路(駆動回路#1〜#324)22とを設ける。波形生成回路21は、対応するノズルのアクチュエータに印加される駆動パルス信号Pの波形を生成する回路である。駆動回路22は、波形生成回路21で生成された駆動波形の駆動パルス信号Pを対応するノズルのアクチュエータに出力して、当該アクチュエータを駆動させる回路である。
また駆動装置20は、駆動パルス信号Pの生成に必要なDrawパルス信号d、Releaseパルス信号r及びPushパルス信号pをそれぞれ発生する回路、すなわちDrawパルス発生回路23、Releaseパルス発生回路24及びPushパルス発生回路25を設ける。ここで本実施形態では、ダミーとしたノズルも含めて一方の端部から順に連続する6個のノズルをグループ化する。すなわち、324個のノズルを54個のノズル群にまとめる。そして、そのノズル群を単位としてインク引き込み時間Drawを調整する。このため駆動装置20は、図7に示すように、324個の波形生成回路21及び駆動回路22を、一方の端部のダミーとしたノズルに対応したものから順に6個ずつグループ化する。さらに駆動装置20は、波形生成回路21及び駆動回路22のグループに対応させて、54個のDrawパルス発生回路(Drawパルス発生回路#1〜#54)23を設ける。Releaseパルス発生回路24及びPushパルス発生回路25は、それぞれ1個ずつである。
各Drawパルス発生回路23には、それぞれ補正データdata1〜data54が入力される。補正データdata1は、一方の端部側の3つのダミーとしたノズルと1〜3番のノズルNozzle1〜Nozzle3とに対する補正データである。補正データdata2は、4〜9番のノズルNozzle4〜Nozzle9に対する補正データである。以下同様であり、補正データdata54は、316〜318番のノズルNozzle316〜Nozzle318と他方の端部側の3つのダミーとしたノズルとに対する補正データである。
各補正データdata1〜data54は、例えばヘッド200を搭載したプリンタのメモリに設定されている。あるいはヘッド200のドライブICに内蔵されたメモリに設定されていてもよい。各Drawパルス発生回路23は、それぞれ補正データdata1〜data54に従い、Drawパルス信号d1〜d54のオンタイミングを時間t1−t≦t1≦t1+tの範囲内で可変する。
駆動装置20は、各Drawパルス発生回路23からそれぞれ対応するグループに属する6つの波形生成回路21に対し、共通のDrawパルス信号d1〜d54が供給されるように配線されている。また駆動装置20は、Releaseパルス発生回路24及びPushパルス発生回路25から全ての波形生成回路21に対して、それぞれReleaseパルス信号r及びPushパルス信号pが供給されるように配線されている。
ここに、Releaseパルス発生回路24及びPushパルス発生回路25は、インクジェットヘッドのノズル列を形成する全てのノズルに対して共通の第1パルスを発生する第1パルス発生回路に相当する。また、各Drawパルス発生回路23は、前記ノズル列のうちの複数の連続するノズル群に対応して各々設けられ、前記ノズル群に対する補正データを入力し、その補正データに応じてパルス幅が変化する第2パルスを発生する複数の第2パルス発生回路に相当する。
図8は、1つの波形生成回路21と、その波形生成回路21と対になった駆動回路22との回路構成図である。他の波形生成回路21と駆動回路22との回路構成も図8と同様なので、ここでの説明は省略する。
波形生成回路21は、ドロップ数指定回路211、NAND回路212、及び2つのAND回路213、214を含む。ドロップ数指定回路211は、ノズル毎に1ドット内に吐出するドロップの数を指定する情報、いわゆるdrop数を入力する。drop数は、ヘッド200を搭載したプリンタのコントローラから印刷データに基づいて与えられる。ドロップ数指定回路211は、入力されたdrop数に応じてイネーブル信号Eのオン時間を決定する。そしてドロップ数指定回路211は、イネーブル信号EをNAND回路212及び2つのAND回路213、214に出力する。
NAND回路212は、イネーブル信号EとPushパルス信号pとを入力とし、その否定論理積信号を駆動回路22に出力する。一方のAND回路213は、イネーブル信号EとReleaseパルス信号rとを入力とし、その論理積信号を駆動回路22に出力する。他方のAND回路214は、イネーブル信号EとDrawパルス信号dm(m:1〜54)とを入力とし、その論理積信号を駆動回路22に出力する。
駆動回路22は、負論理入力のP型MOSFET221と、2つのN型MOSFET222,223とを含む。そして駆動回路22は、NAND回路212から出力される否定論理積信号をP型MOSFET221のゲート信号とする。また駆動回路22は、AND回路213から出力される論理積信号をN型MOSFET222のゲート信号とし、AND回路214から出力される論理積信号をN型MOSFET223のゲート信号とする。
駆動回路22において、P型MOSFET221は、ドレイン端子を+V電源端子に接続し、ソース端子をN型MOSFET222のドレイン端子に接続する。N型MOSFET222は、ソース端子を接地する。N型MOSFET223は、ドレイン端子をP型MOSFET221のソース端子とN型MOSFET222のドレイン端子との接続点に接続し、ソース端子をーV電源端子に接続する。そして駆動回路22は、P型MOSFET221のソース端子とN型MOSFET222及びN型MOSFET223の各ドレイン端子との接続点を駆動パルス信号Pの出力端子とし、この出力端子にノズルのアクチュエータ30を接続する。
かかる構成の波形生成回路21及び駆動回路22であれば、イネーブル信号Eがオンのとき、Drawパルス信号dmがオンすると、N型MOSFET223がオンするので、アクチュエータ30に−V電圧が印加される。Drawパルス信号dmがオフし、Releaseパルス信号rがオンすると、N型MOSFET223がオフし、N型MOSFET222がオンするので、アクチュエータ30に印加される電圧レベルがグラウンド電位GNDとなる。Releaseパルス信号rがオフし、Pushパルス信号pがオンすると、N型MOSFET222がオフし、P型MOSFET221がオンするので、アクチュエータ30に+V電圧が印加される。Pushパルス信号pがオフし、Releaseパルス信号rがオンすると、P型MOSFET221がオフし、N型MOSFET222がオンするので、アクチュエータ30に印加される電圧レベルがグラウンド電位GNDとなる。
したがって、駆動装置20は、図5に示すように、先ず、時点t1において54個のDrawパルス発生回路(Drawパルス発生回路#1〜#54)23からDrawパルス信号dmをインク引き込み時間Drawだけ出力する。次いで駆動装置20は、時点t2においてReleaseパルス発生回路24からReleaseパルス信号rをインク吐出時間Releaseだけ出力する。次いで駆動装置20は、時点t3においてPushパルス発生回路25からPushパルス信号pをキャンセル時間Push出力する。次いで駆動装置20は、時点t4においてReleaseパルス発生回路24からReleaseパルス信号rを時間t5までの時間だけ出力する。このような動作を駆動装置20が繰り返すことで、ドロップ数指定回路211に入力されたdrop数のインク液滴がノズルから連続して吐出される。
ここで、Drawパルス信号dmがオンするタイミングt1は、補正データによってt1−tからt1+tの範囲内で変化する。そして、−tの方向にオンタイミングが変化するDrawパルス信号dmが供給されたグループの各ノズルに対応した圧力室15のインク引き込み時間Drawは、時点t1のタイミングでDrawパルス信号dmがオンしたグループの各ノズルに対応した圧力室15のインク引き込み時間Drawよりも長くなる。逆に、+tの方向にオンタイミングが変化するDrawパルス信号dmが供給されたグループの各ノズルに対応した圧力室15のインク引き込み時間Drawは、時点t1のタイミングでDrawパルス信号dmがオンしたグループの各ノズルに対応した圧力室15のインク引き込み時間Drawよりも短くなる。
そこで、同一波形の駆動パルス信号Pが与えられた場合に、他のグループのノズル群よりもインク液滴の体積が小さくなるグループのノズル群に対しては、Drawパルス信号dmの出力タイミングがt1−tとなるような補正データをDrawパルス発生回路23に与える。逆に、他のグループのノズル群よりもインク液滴の体積が大きくなるグループのノズル群に対しては、Drawパルス信号dmの出力タイミングがt1+tとなるような補正データをDrawパルス発生回路23に与える。
このように複数の連続するノズルをまとめたグループを単位として適切な補正データを各Drawパルス発生回路23に与えることにより、ヘッド200のノズル列を形成する全てのノズルから吐出されるインク液滴の体積を均一化することができる。その結果、製造上のばらつき等に起因する濃度ムラを目立たなくすることができる。その際、補正データの数はグループの数であり、ノズルの数よりも大幅に少ない。したがって、補正データの数を減らすことができるので、補正データの設定に要する負担を軽減できる。また、Drawパルス発生回路23の数もグループの数で良いので、ノズルの数だけ必要な場合よりも回路規模を小さくすることができる。
図9は、Drawパルス発生回路23に補正データを与えずに各ノズルから吐出させたインク液滴から形成されるドットの径(4ドット移動平均(um))をノズル毎にグラフ化したものである。なお、図9において、白抜きの三角で表わしたマークは、6つの連続するノズルを1つのグループとしたときのそのグループに対する調整値を表す。一方、図10は、調整値を補正データとしてDrawパルス発生回路23に与えて各ノズルから吐出させたインク液滴から形成されるドットの径(4ドット移動平均(um))をノズル毎にグラフ化したものである。図9と図10とを比較すれば明らかなように、Drawパルス発生回路23に補正データを与えることにより、ドット径を均一化することができる。
ところで本実施形態では、連続する6つのノズルを1つのグループとし、そのグループ単位にインク引き込み時間Drawを補正する。ここで、何故1グループに属するノズルの数を6つとしたかについてその理由を説明する。
この種のヘッド200において濃度ムラが目立ちやすいのは、均一な階調値でベタ印字を行うときであり、特にベタ印字の中に数mmの周期をもって濃度ムラがあると目立ちやすいことが知られている。一方、グループに属するノズルの数を多くすればするほど、回路規模の縮小と補正データ設定作業の容易化というメリット大きくなる。しかしその場合には調整分解能が粗くなるため、均一な印刷結果を得るような調整ができなくなる。そこで、上述した濃度ムラの目立ちやすさの観点から、1つのグループに属するノズルの数は、連続するノズルによって印刷される領域の範囲が1mmとなる数以下とする。印刷範囲が1mm以下となるのは、150dpiのヘッド200の場合、6ノズル以下である。したがって本実施形態では、その最大値である6つのノズルを1つのグループとし、そのグループ単位にインク引き込み時間Drawを補正するようにしている。
次に、第2の実施形態について図11及び図12を用いて説明する。なお、第1の実施形態で説明した図7及び図8と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
図7は、第2の実施形態であるインクジェットヘッド駆動装置40(以下、駆動装置40と称する)のブロック図である。駆動装置40は、324個のノズルを一方向に配列してなるシェアドウォール方式のヘッド100に対応したものである。ヘッド100においても、端部側のノズルでクロストークにより吐出量が多くなる現象が現れやすい。そこで図11に示すように、一方の端部にある3個のノズルと他方の端部にある3個のノズルとをそれぞれダミー(dummy)とする。そしてその間の318個のノズル(Nozzle#1〜Nozzle#318)からインク液滴を吐出して印刷を行うシェアドウォール方式のヘッド100を例示する。
駆動装置40は、ダミー(dummy)を含めて324個のノズルにそれぞれ対応させて、駆動回路42を設ける。また駆動装置40は、連続する3つの駆動回路42毎に1つの波形生成回路41を設ける。すなわち駆動装置40は、324個の駆動回路(駆動回路#1〜#324)42と、108個の波形生成回路(波形生成回路#1〜#108)41とを設ける。波形生成回路41は、対応する3つのノズルのアクチュエータに印加される駆動パルス信号Pの波形をそれぞれ生成する回路である。駆動回路42は、波形生成回路41で生成された波形の駆動パルス信号Pを対応するノズルのアクチュエータに出力して、当該アクチュエータを駆動させる回路である。
シェアドウォール方式のヘッド100の場合、隣接するチャネルは原理的に同時に印刷できないため、ノズルの配置を千鳥配列として分割駆動を行う。分割数は“3”とするのが一般的である。3分割駆動の各ノズルを一方の端部から他方の端部に向けて順番に番号3n+1、番号3n+2、番号3n+3(nは整数)で区分すると、番号3n+1、番号3n+2、番号3n+3にそれぞれ対応するノズルは、順次駆動される。したがって、3つの連続するノズルのうち2以上のノズルに駆動パルス信号Pが同時に出力されることはない。そこで駆動装置40は、連続する3つの駆動回路42毎に1つの波形生成回路41を設けている。
また駆動装置40は、駆動装置20と同様に、54個のDrawパルス発生回路(Drawパルス発生回路#1〜#54)23と、それぞれ1つのReleaseパルス発生回路24及びPushパルス発生回路25とを設ける。そして駆動装置40は、各Drawパルス発生回路23からそれぞれ対応する2つの波形生成回路41に対し、共通のDrawパルス信号d1〜d54が供給されるように配線されている。また駆動装置40は、Releaseパルス発生回路24及びPushパルス発生回路25から全ての波形生成回路41に対して、それぞれReleaseパルス信号r及びPushパルス信号pが供給されるように配線されている。
ここに、第2の実施形態においても、Releaseパルス発生回路24及びPushパルス発生回路25は第1パルス発生回路に相当し、各Drawパルス発生回路23は第2パルス発生回路に相当する。
図12は、1つの波形生成回路41と、その波形生成回路41と対になった3つの駆動回路42との回路構成図である。他の波形生成回路41と駆動回路42との回路構成も図12と同様なので、ここでの説明は省略する。
波形生成回路41は、ドロップ数指定回路411、NOT回路412、及び第1〜第3の論理回路413を含む。ドロップ数指定回路411は、ノズル毎に1ドット内に吐出するドロップの数を指定する情報、いわゆるdrop数を入力する。drop数は、ヘッド100を搭載したプリンタのコントローラから印刷データに基づいて与えられる。ドロップ数指定回路411は、入力されたdrop数に応じてイネーブル信号Eのオン時間を決定する。そしてドロップ数指定回路411は、イネーブル信号Eを各論理回路413に出力する。
NOT回路412は、Releaseパルス信号rを入力とし、その否定信号を駆動回路42に出力する。
第1〜第3の論理回路413は、それぞれ3つのAND回路G1,G2,G3と負論理のNOT回路G4と、OR回路G5とを含む。AND回路G1は、イネーブル信号Eとともに、番号3n+1、番号3n+2、番号3n+3にそれぞれ対応するノズルの選択信号S1,S2,S3とを入力とする。具体的には、番号3n+1のノズルに対応した第1の論理回路413のAND回路G1は選択信号S1を入力とし、番号3n+2のノズルに対応した第2の論理回路413のAND回路G1は選択信号S2を入力とし、番号3n+3のノズルに対応した第3の論理回路413のAND回路G1は選択信号S3を入力とする。そしてAND回路G1は、イネーブル信号Eと選択信号S1,S2又はS3との論理積信号をAND回路G2とNOT回路G4とに出力する。AND回路G2は、AND回路G1の論理積信号とDrawパルス信号dm(m:1〜54)とを入力とし、その論理積信号をOR回路G5に出力する。NOT回路G4は、AND回路G1の論理積信号を入力とし、その論理積信号が負論理のとき否定信号をAND回路G3に出力する。AND回路G3は、否定回路G4の否定信号とPushパルス信号pとを入力とし、その論理積信号をOR回路G5に出力する。OR回路G5は、AND回路G2の論理積信号とAND回路G3の論理積信号とを入力とし、その論理和信号を駆動回路42に出力する。
各駆動回路42は、いずれも負論理入力のP型MOSFET421と、N型MOSFET422とを含む。そして各駆動回路42は、NOT回路412から出力される否定信号をP型MOSFET421のゲート信号とする。また各駆動回路42は、OR回路G5から出力される論理和信号をN型MOSFET422のゲート信号とする。
各駆動回路42において、P型MOSFET421は、ドレイン端子を+V電源端子に接続し、ソース端子をN型MOSFET422のドレイン端子に接続する。N型MOSFET422は、ソース端子を接地する。そして駆動回路42は、P型MOSFET421のソース端子とN型MOSFET422のドレイン端子との接続点を駆動パルス信号Pの出力端子とし、この出力端子に隣接するノズルが共有する2つのアクチュエータ50を接続する。
ここで、説明の便宜上、第1の論理回路413のOR回路G5から出力される論理和信号をゲート信号とするN型MOSFET422を有する駆動回路42を第1の駆動回路42と称する。同様に、第2の論理回路413のOR回路G5から出力される論理和信号をゲート信号とするN型MOSFET422を有する駆動回路42を第2の駆動回路42と称し、第3の論理回路413のOR回路G5から出力される論理和信号をゲート信号とするN型MOSFET422を有する駆動回路42を第3の駆動回路42と称する。
かかる構成の波形生成回路41及び駆動回路42であれば、例えば選択信号S2がオン、選択信号S1,S3がオフの場合において、Releaseパルス信号rがオンすると、第1〜第3の駆動回路42のP型MOSFET421がいずれもオンする。このとき、隣接する3つのノズルにそれぞれ対応したアクチュエータ50間で電位差が生じないので、各ノズルに対応した圧力室は定常状態である。
この状態で、イネーブル信号Eがオンし、Releaseパルス信号rがオフし、Drawパルス信号dmがオンすると、第2の論理回路413のAND回路G2の出力がハイレベルとなる。そうすると、第2の駆動回路42のN型MOSFET422がオンして、隣接する3つのノズルのうち中央のノズルに対応したアクチュエータ50の電位が、その両隣のノズルに対応したアクチュエータ50の電位よりも−Vだけ低くなる。その結果、中央のノズルに対応した圧力室が拡張状態となって、圧力室内にインクが流れ込む。
その後、Drawパルス信号dmがオフし、Releaseパルス信号rがオンすると、前述したように第1〜第3の駆動回路42のP型MOSFET421がいずれもオンする。したがって、中央のノズルに対応した圧力室が定常状態に戻る。その結果、中央のノズルからインク液滴が吐出される。
その後、Releaseパルス信号rがオフし、Pushパルス信号pがオンすると、第1及び第3の論理回路413のAND回路G3の出力がハイレベルとなる。そうすると、第1及び第3の駆動回路42のN型MOSFET422がオンして、隣接する3つのノズルのうち中央のノズルに対応したアクチュエータ50の電位が、その両隣のノズルに対応したアクチュエータ50の電位よりも+Vだけ高くなる。その結果、中央のノズルに対応した圧力室が収縮状態となって、圧力振動が抑制される。
したがって、駆動装置40は、例えば選択信号S2がオンしているときに、図5に示すように、先ず、時点t1において54個のDrawパルス発生回路(Drawパルス発生回路#1〜#54)23からDrawパルス信号dmをインク引き込み時間Drawだけ出力する。次いで駆動装置40は、時点t2においてReleaseパルス発生回路24からReleaseパルス信号rをインク吐出時間Releaseだけ出力する。次いで駆動装置40は、時点t3においてPushパルス発生回路25からPushパルス信号pをキャンセル時間Push出力する。次いで駆動装置20は、時点t4においてReleaseパルス発生回路24からReleaseパルス信号rを時間t5までの時間だけ出力する。このような動作を駆動装置40が繰り返すことで、ドロップ数指定回路411に入力されたdrop数のインク液滴がノズル番号3n+2のノズルから連続して吐出される。
このような作用は、他の選択信号S1又はS3がオンしている場合も同様である。すなわち、選択信号S1がオンしているときに同様な動作を駆動装置40が繰り返すと、ドロップ数指定回路411に入力されたdrop数のインク液滴がノズル番号3n+1のノズルから連続して吐出される。選択信号S3がオンしているときに同様な動作を駆動装置40が繰り返すと、ドロップ数指定回路411に入力されたdrop数のインク液滴がノズル番号3n+3のノズルから連続して吐出される。
ここで、第1の実施形態と同様に、Drawパルス信号dmがオンするタイミングt1は、補正データによってt1−tからt1+tの範囲内で変化する。したがって、第2の実施形態においても、グループを単位として適切な補正データを各Drawパルス発生回路23に与えることにより、ヘッド100のノズル列を形成する全てのノズルから吐出されるインク液滴の体積を均一化することができる。その結果、シェアドウォール方式のヘッド100に対しても、ノズルの数よりも少ない補正データで製造上のばらつき等に起因する濃度ムラを目立たなくすることができ、回路規模の縮小と補正データ設定作業の容易化を図り得る駆動装置40を提供できる。
なお、シェアドウォール方式のヘッド100に対しては、グループに属するノズルの数を分割数の整数倍とすることで、波形生成回路41及び駆動回路42の構成が最も簡単となる。このため、グループに属するノズルの数は分割数の整数倍であることが望ましい。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]インクジェットヘッドのノズル列を形成する全てのノズルに対して共通の第1パルスを発生する第1パルス発生回路と、前記ノズル列のうちの複数の連続するノズル群に対応して各々設けられ、前記ノズル群に対する補正データを入力し、その補正データに応じてパルス幅が変化する第2パルスを発生する複数の第2パルス発生回路と、前記第1パルスと前記第2パルスとを入力し、駆動波形を生成する波形生成回路と、前記駆動波形を入力し、前記ノズルからインク液滴を吐出させるためのアクチュエータを駆動する駆動回路と、を具備するインクジェットヘッド駆動装置。
[2]前記第2パルスは、前記インクジェットヘッドの圧力室を拡張させるパルスである、付記[1]記載のインクジェットヘッド駆動装置。
[3]前記インクジェットヘッドは、シェアドウォール式インクジェットヘッドであり、前記ノズル群のノズル数は、前記シェアドウォール式インクジェットヘッドの駆動分割数の整数倍である、付記[1]又は[2]記載のインクジェットヘッド駆動装置。
[4]前記ノズル列の両端部のノズルをダミーとし、残りのノズル列で前記ノズル群を設定する、付記[1]乃至[3]のうちいずれか1記載のインクジェットヘッド駆動装置。
[5]ノズル列と、前記ノズル列を形成する各ノズルからインクを吐出させるアクチュエータと、前記ノズル列を形成する全てのノズルに対して共通の第1パルスを発生する第1パルス発生回路と、前記ノズル列のうちの複数の連続するノズル群に対応して各々設けられ、前記ノズル群に対する補正データを入力し、その補正データに応じてパルス幅が変化する第2パルスを発生する複数の第2パルス発生回路と、前記第1パルスと前記第2パルスとを入力し、駆動波形を生成する波形生成回路と、前記駆動波形を入力し、前記アクチュエータを駆動する駆動回路と、を具備するインクジェットヘッド。
一実施形態において、インクジェットヘッド駆動装置は、第1パルス発生回路、複数の第2パルス発生回路、波形生成回路及び駆動回路を含む。第1パルス発生回路は、インクジェットヘッドのノズル列を形成する全てのノズルに対して共通の第1パルスを発生する。第2パルス発生回路は、前記ノズル列のうちノズル並び方向の複数の連続するノズルをグループ化したノズル群に対応して各々設けられ、前記ノズル群に対する補正データを入力し、その補正データに応じてパルス幅が変化する第2パルスを発生する。波形生成回路は、前記第1パルスと前記第2パルスとを入力し、駆動波形を生成する。駆動回路は、前記駆動波形を入力し、前記ノズルからインク液滴を吐出させるためのアクチュエータを駆動する。そして、前記グループ化したノズル群の1つのグループに属する前記ノズルの数は、連続する前記ノズルによって印刷される範囲が1mmとなる数以下とする。