JP2021088060A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents
液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021088060A JP2021088060A JP2019217804A JP2019217804A JP2021088060A JP 2021088060 A JP2021088060 A JP 2021088060A JP 2019217804 A JP2019217804 A JP 2019217804A JP 2019217804 A JP2019217804 A JP 2019217804A JP 2021088060 A JP2021088060 A JP 2021088060A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- flow path
- liquid
- bypass
- ink
- pressure chamber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
【課題】構造の複雑化や大型化を抑制しつつ、駆動回路が搭載された配線基板の温度上昇を適切に抑えることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。【解決手段】圧力室12を含む複数の個別流路が形成された流路基板と、圧力室12内の液体に圧力変化を生じさせる複数のエネルギー発生素子300と、エネルギー発生素子300に電気的に接続される配線基板130と、を備える液体噴射ヘッド1であって、個別流路200の一方側から供給される液体が流通する液体供給路を備えると共に、配線基板130に対して熱的に接続され、液体供給路から個別流路130を通らずに液体が流通するバイパス流路250を備えている構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
液滴を噴射する液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドともいう)としては、例えば、圧力室が形成された流路基板と、流路基板の一方面側に設けられる圧電アクチュエーターを具備し、この圧電アクチュエーターの変位によって圧力室内に圧力を付与することで、ノズルからインク滴を噴射するものがある。
またインクジェット式記録ヘッドは、駆動ICに代表される駆動回路が設けられた配線基板を備えており、複数の圧電アクチュエーターは、この駆動回路を介して電力が供給されることで適宜駆動される。
ここで、インクジェット式記録ヘッドにおいては、圧電アクチュエーターの駆動時に、駆動回路が発熱して比較的高温になることがあり、このことに起因して記録ヘッドに故障が発生する虞がある。特に、比較的ノズル数が多い大型のインクジェット式記録ヘッドでは、駆動回路の発熱量が大きく、記録ヘッドの温度が高温になり易い。
このような問題を解消するために、インクによって駆動回路の冷却を行うことで、記録ヘッドの温度上昇を抑制するようにしたものがある。
具体的には、例えば、ピエゾ素子等により吐出液を吐出する液体吐出ヘッドと、ピエゾ素子を駆動するための駆動ICに代表されるヘッド駆動素子とを備える液滴吐出装置において、ヘッド駆動素子に熱的に接続されると共に、吐出液を流通させてヘッド駆動素子を冷却する吐出液流通流路を内部に有する放熱ブロックを備えるようにしたものがある(特許文献1参照)。
また例えば、インクを噴射させる駆動素子と、ノズルからインクを吐出するための駆動信号を駆動素子に印加するヘッド制御部と、を備える画像形成装置において、ヘッド制御部に接触するチューブを有し、このチューブ内を通るインクによってヘッド制御部を冷却するようにしたものがある(特許文献2参照)。
このように駆動ICやヘッド制御部等を含む駆動回路を冷却することで、ヘッドの温度上昇を抑制することができる。
ところで、インクジェット式記録ヘッドにおいては、例えば、上述のような駆動回路の発熱等によって流路基板の温度が上昇し、それに伴い、圧力室を含む流路に流通されたインクの温度が上昇してしまうことがある。インクの温度が上昇すると、それに伴って、各ノズルから吐出されるインク滴の噴射特性や噴射品質も変化する。このため、例えば、インクの温度が大きく変化した場合、ノズルから噴射されるインク滴の噴射特性や噴射品質を均一に保つことができない虞がある。
このような問題を解決するために、インクタンクから記録ヘッドの流路内に供給されるインクを循環させる循環系を形成し、ノズルから噴射されるインク滴の噴射品質を均一に保つようにしたものがある。例えば、個別流路に共通する共通液室として第1共通液室と第2共通液室とを設け、第1共通液室から個別流路を通って第2共通液室にインクを流す、いわゆる循環方式を採用したインクジェット式記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このような循環方式を採用し、循環系を備えた記録ヘッドにおいても、上述したような駆動回路の発熱の問題は生じ得る。そこで、循環系を備えた記録ヘッドにおいても、インクによって駆動回路の冷却を行うことは考えられる。
しかしながら、循環系を備える記録ヘッドは、循環系を備えていない記録ヘッドに比べて大型化し易く、上述のような駆動回路を冷却するための手段を別途設けようとすると、記録ヘッドがさらに大型化してしまい好ましくない。
また、圧力室にインクを供給するための供給路の一部を駆動回路の冷却に用いた場合、圧力室に供給されるインクの温度が変動してしまいインク滴の噴射特性や噴射品質を均一に保つことができない虞がある。
さらに近年は、インクジェット式記録ヘッドの高解像度化や小型化が図られており、駆動回路と各圧電アクチュエーターとを繋ぐ配線の間隔が狭くなっているせいか、発熱の問題は、駆動回路だけでなく、配線基板の圧電アクチュエーターとの接続部においても起こりうる。
なお、上記のような問題は、あらゆる構成のインクジェット式記録ヘッドで起こり得るものであり、またインクを噴射するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、構造の複雑化や大型化を抑制しつつ、駆動回路が搭載された配線基板の温度上昇を適切に抑えることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、圧力室を含む複数の個別流路が形成された流路基板と、前記圧力室内の液体に圧力変化を生じさせる複数のエネルギー発生素子と、前記エネルギー発生素子に電気的に接続される配線基板と、を備える液体噴射ヘッドであって、前記個別流路の一方側から供給される液体が流通する液体供給路を備えると共に、前記配線基板に熱的に接続され、前記液体供給路から前記個別流路を通らずに前記液体が流通するバイパス流路を備えていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
また本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(−)方向として説明する。またX方向、Y方向又はZ方向に見るとは、X方向、Y方向又はZ方向からの平面視のことである。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の短手方向の断面図である。図2は、実施形態1に係る圧電アクチュエーターを示す図であり、図1の要部を拡大した断面図である。また図3は、インクジェット式記録ヘッドの流路を示す図であり、図1のA−A´線断面図である。
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の短手方向の断面図である。図2は、実施形態1に係る圧電アクチュエーターを示す図であり、図1の要部を拡大した断面図である。また図3は、インクジェット式記録ヘッドの流路を示す図であり、図1のA−A´線断面図である。
図示するように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1は、流路基板として、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30、ケース部材40等の複数の部材を備える。
流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方側である+Z方向側の面には、酸化シリコンからなる弾性膜51が設けられている。また弾性膜51上には酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52が設けられている。すなわち流路形成基板10の一方の面には、弾性膜51と絶縁体膜52とからなる振動板50が形成されている。
また流路形成基板10には、個別流路200を構成する圧力室12が、複数の隔壁によって区画されて複数設けられている。詳しくは、流路形成基板10には、複数の第1圧力室12aが、+Y方向に亘って略直線状に整列して設けられている。また複数の第1圧力室12aの長手方向一方側である+X方向側には、複数の第2圧力室12bが、+Y方向に亘って略直線状に整列して設けられている。
すなわち流路形成基板10には、複数の第1圧力室12aが+Y方向で並設された第1圧力室列120Aと、複数の第2圧力室12bが+Y方向で並設された第2圧力室列120Bとが、+X方向で隣接して設けられている。なお複数の第1圧力室12aと、複数の第2圧力室12bとは、+Y方向の位置が同一となるように設けられている。
さらに流路形成基板10の第1圧力室12aの長手方向の一端部側である−X方向側には、後述する個別流路200を構成する流入路14aが設けられている。第1圧力室12aは、この流入路14aを介してマニホールド100aと連通している。マニホールド100aは、第1圧力室列120Aを構成する各第1圧力室12aに共通する共通液体室である。
一方、流路形成基板10の第2圧力室12bの長手方向の他端部側である+X方向側には、個別流路200を構成する流出路14bが設けられている。第2圧力室12bは、この流出路14bを介してマニホールド100bと連通している。マニホールド100bは、第2圧力室列120Bを構成する各第2圧力室12bに共通する共通液体室である。
さらに、流路形成基板10の第1圧力室12aと第2圧力室12bとの間には、バイパス流路250の一部を構成するバイパス溝251が形成されている。詳しくは後述するが、バイパス流路250は、個別流路200を通らずにインク供給路(液体供給路)からインク排出路(液体排出路)に液体であるインクを流通させるための流路である。
流路形成基板10の開口面側である−Z方向側には、連通板15が接着剤や熱溶着フィルム等を介して設けられており、第1圧力室12a及び第2圧力室12bの下方側である−Z方向側は連通板15で封止されている。
連通板15の第1圧力室12aの+X方向側の端部及び第2圧力室12bの−X方向側の端部に対向する部分には、連通板15を厚さ方向に貫通した連通孔16(16a,16b)が設けられている。連通孔16aは、第1圧力室12a毎に独立して設けられ、連通孔16bは、第2圧力室12b毎に独立して設けられている。
また連通板15の連通孔16aと連通孔16bとの間には、流路形成基板10とは反対側の面から厚さ方向の半分程度まで貫通した連通路17が設けられている。連通路17は、第1圧力室列120Aと、第2圧力室列120Bとの間に設けられ、連通路17の下側である−Z方向側はノズルプレート20で封止されている。連通路17は、第1圧力室12a及び第2圧力室12bの並設方向である+Y方向に沿って、第1圧力室12a及び第2圧力室12b毎に独立して設けられている。連通路17の一方端側である−X方向側は、連通孔16aを介して第1圧力室12aに連通し、他方端側である+X方向側は、連通孔16bを介して第2圧力室12bに連通する。
連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有している。つまり連通板15は流路形成基板10よりも大きな接合面を有している。連通板15上には、流路形成基板10の流入路14a及び流出路14bの外側において、ケース部材40との間でマニホールド100a,100bを画成する。このため、連通板15は、ノズルプレート20側の面である−Z方向側の面からの平面視において、ケース部材40と略同じ面積を有している。
連通板15の流路形成基板10とは反対側である−Z方向側には、ノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等によって接合されている。連通板15に形成された連通路17の一方側である−Z方向側の面は、このノズルプレート20によって封止されている。
このように流路形成基板10等の複数部材で構成される流路基板には、圧力室12を含む複数の個別流路200が形成されている。本実施形態では、各個別流路200は、圧力室12(第1圧力室12a及び第2圧力室12b)と、流入路14aと、流出路14bと、連通孔16a,16bと、連通路17とによって構成されている。
またノズルプレート20には、各個別流路200のそれぞれに対応する複数のノズル21が形成されている。これらのノズル21は、本実施形態では、第2圧力室12bに連通する連通孔16bに対向する位置に設けられている。なおノズルプレート20は、ステンレス鋼等の金属や、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板等からなる。
流路形成基板10の一方面側である+Z方向側には、上述のように振動板50が形成され、この振動板50上の第1圧力室12a及び第2圧力室12bに対応する位置には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが成膜及びリソグラフィー法によって積層されて圧電アクチュエーター300(第1圧電アクチュエーター300a及び第2圧電アクチュエーター300b)が形成されている。
ここで、圧電アクチュエーター300は、圧電素子とも言い、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分を言う。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
なお上述した例では、流路形成基板10上に、弾性膜51及び絶縁体膜52からなる振動板50を形成したが、振動板として機能すればこの構成に限定されない。例えば、弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電アクチュエーター300の個別電極である第2電極80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続されており、このリード電極90を介して各圧電アクチュエーター300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、流路形成基板10の他方面である−Z方向側の面には、保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300に対向する領域に、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電アクチュエーター保持部31を備えている。圧電アクチュエーター保持部31は、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の大きさの空間を有していればよく、密封されていても密封されていなくてもよい。圧電アクチュエーター300は、圧電アクチュエーター保持部31内に形成されていることで、外部環境の影響を殆ど受けない状態に保護されている。
また、圧電アクチュエーター保持部31は、第1圧力室列120A及び第2圧力室列120Bに対応する領域にそれぞれ設けられ、第1圧力室列120A及び第2圧力室列120Bをそれぞれ一体的に覆う大きさで形成されている。勿論、圧電アクチュエーター保持部31は、全ての圧電アクチュエーター300を一体的に覆うものであってもよいし、各圧電アクチュエーター300を個別に覆うものであってもよく、さらには、X方向で並設された2以上の圧電アクチュエーター300で構成される群毎に覆うものであってもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30をZ方向に貫通する貫通孔32が設けられている。そして、各圧電アクチュエーター300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔32内に露出するよう延設されており、この貫通孔32内で、フレキシブル配線であるCOF等の配線基板130と電気的に接続されている。すなわち配線基板130は、流路形成基板10上に設けられる接続部131にて、圧電アクチュエーター300と接続されている。なお配線基板130には、圧電アクチュエーター300を駆動するための駆動IC等の駆動回路132が設けられている。
本実施形態では、配線基板130の接続部131は、各圧電アクチュエーター300から引き出されたリード電極90に接続されており、駆動回路132からの駆動信号は、配線基板130及びリード電極90を介して各圧電アクチュエーター300に出力される。
また、保護基板30の流路形成基板10とは反対面側には、マニホールド100a,100bを構成するケース部材40が接合されている。
ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30を内部に保持する凹部41を有する。凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い面積を有し、流路形成基板10と保護基板30とを接合して合わせた厚さと略同じ深さを有する。
そして、凹部41の開口面を連通板15で封止することで、凹部41内に保護基板30及び流路形成基板10が保持される。すなわち、凹部41の内面に保護基板30の流路形成基板10とは反対側の面が接合されていると共に、ケース部材40の凹部41が開口する面、つまり凹部41の周囲の面に連通板15の流路形成基板10側の面が接合されている。
これにより、凹部41内に流路形成基板10及び保護基板30が保持されると共に、これら流路形成基板10及び保護基板30には、流入路14a及び流出路14b側の外側に、ケース部材40と連通板15とによって画成された空間であるマニホールド100a,100bが形成される。本実施形態では、ケース部材40の凹部41の中央部に保護基板30及び流路形成基板10を保持させて、保護基板30及び流路形成基板10の両側に、第1圧力室12aがそれぞれ連通するマニホールド100aと、第2圧力室12bがそれぞれ連通するマニホールド100bとを形成した。
またケース部材40には、マニホールド100aに連通してマニホールド100aにインクを供給する供給孔42と、マニホールド100bに連通してマニホールド100bからインクを流出する流出孔43とが設けられている。
供給孔42は、流路形成基板10の第1圧力室12aの長手方向の一方側である−X方向側の端部に設けられたマニホールド100aの上部の中央部、つまり連通板15とは反対側の中央部に連通するように配置されている。一方、流出孔43は、第2圧力室12bの並設方向において、供給孔42とは反対側に配置されている。
このような供給孔42及び流出孔43には、例えば、紫外線硬化型インク等のインクが貯留されたインクタンク5に接続されたチューブ等の管状部材である供給管8及び流出管9が接続されている。
具体的には、供給管8は、一端部がインクタンク5に接続されると共に、他端部が供給孔42に接続されており、インクタンク5に貯留されたインクが、供給管8及び供給孔42を介してマニホールド100aに供給される。そして本実施形態では、これら供給管8、供給孔42及びマニホールド100aが、個別流路200の一方側である流入路14a側から供給されるインクが流通するインク供給路として機能する。
また流出管9は、一端部がインクタンク5に接続されると共に、他端部が流出孔43に接続されており、マニホールド100bから流出孔43及び流出管9を介してインクがインクタンク5に戻される。そして本実施形態では、マニホールド100b、流出孔43及び流出管9が、個別流路200の他方側である流出路14b側から排出されるインクが流通するインク排出路として機能する。
このように本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1は、いわゆる循環方式を採用しており、インクタンク5内のインクを個別流路200を介して循環させる循環系を備えている。具体的には、インクタンク5に接続される供給管8、供給孔42、マニホールド100a、各個別流路200、マニホールド100b、流出孔43及び流出管9等によって循環系が形成されている。
そして、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1では、第1圧電アクチュエーター300a及び第2圧電アクチュエーター300bに、所定の駆動信号を印加し、これら第1圧電アクチュエーター300a及び第2圧電アクチュエーター300bを所定のタイミングで駆動させることで、上記循環系にてインクを循環させ、また各ノズル21からインク滴を噴射させる。すなわち、第1圧力室12a及び第2圧力室12bを所定のタイミングで膨張又は収縮させることで、上記循環系にてインクを循環させ、また各ノズル21からインク滴を噴射させる。
また、必要に応じて流出管9の途中にポンプ等の液体循環手段を設け、この液体循環手段の圧力によってマニホールド100bからインクタンク5にインクが戻されるようにしてもよい。
なおケース部材40の凹部41の保護基板30が接合される底面には、封止膜45が設けられている。封止膜45は、剛性が低く可撓性を有する材料、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等からなり、この封止膜45によってマニホールド100a,100bの一部が封止されている。
ケース部材40のマニホールド100a,100bに相対向する領域は、凹形状を有する空間部46となっているため、マニホールド100a,100bのケース部材40側(連通板15とは反対側)の一部は、封止膜45のみで封止された撓み変形可能な可撓部47となっている。
またケース部材40には、厚さ方向に貫通して、保護基板30の貫通孔32に連通する接続口48が設けられている。この接続口48に挿通された配線基板130の接続部131が、保護基板30の貫通孔32に挿通されて、流路形成基板10上にてリード電極90と接続される。また、ケース部材40の凹部41が開口する面とは反対面の接続口48の開口縁部には、壁部49が設けられている。この壁部49には、配線基板130と、配線基板130に接続される接続基板133とが保持されている。接続基板133は、外部配線が接続されるコネクター134が設けられたリジット基板からなり、リード電極90に接続された配線基板130が電気的に接続される。そして、接続基板133のコネクター134に、図示しない外部配線が接続されることで、外部配線からの印刷信号を配線基板130に出力する。
ところで、本発明に係るインクジェット式記録ヘッド1は、液体供給路から個別流路200を通らずに液体が流通するバイパス流路250を備えている。本実施形態では、バイパス流路250は、インク供給路を構成する供給管8と、インク排出路を構成する流出管9とを繋いで設けられている。
詳しくは、流路形成基板10の第1圧力室12aと第2圧力室12bとの間には、上述のようにバイパス溝251が設けられている。すなわちバイパス溝251は、流路基板の厚さ方向であるZ方向において配線基板130と圧電アクチュエーター300とが接続される部分と重なる位置、本実施形態では、圧電アクチュエーター300から引き出された各リード電極90との接続部131と重なる位置に設けられている。
バイパス溝251は、流路形成基板10の振動板50とは反対側の面に、厚さ方向の半分程度の深さで形成され、その開口は連通板15によって封止されている。またバイパス溝251は、配線基板130の各リード電極90との接続部131の並び方向、つまり第1圧力室12a及び第2圧力室12bの並設方向であるY方向に沿って連続して設けられている。バイパス溝251の両端部は、第1圧力室列120A及び第2圧力室列120Bの外側に位置している。そしてバイパス溝251の両端部に対向する位置には、流路形成基板10及び振動板50を貫通してバイパス溝251に繋がる接続孔252,253がそれぞれ設けられている。
接続孔252には、チューブ等の管状部材である第1バイパス管254の一端側が接続され、第1バイパス管254の他端側は、供給管8の途中に接続されている。また接続孔253には、チューブ等の管状部材である第2バイパス管255の一端側が接続され、第2バイパス管255の他端側は、流出管9の途中に接続されている。
すなわち本実施形態では、第1バイパス管254と、流路形成基板10に設けられたバイパス溝251と、第2バイパス管255と、第1バイパス管254及び第2バイパス管255とバイパス溝251とを接続する接続孔252,253によってバイパス流路250が構成されている。
上記循環系にインクが流通する際には、このバイパス流路250にもインクが流通する。すなわち、第1圧電アクチュエーター300a及び第2圧電アクチュエーター300bを適宜駆動させ上記循環系にてインクを循環させる際、或いは各ノズル21からインク滴を噴射させる際には、このバイパス流路250にもインクが流通する。
そして、このバイパス流路250の少なくとも一部は、配線基板130に対して熱的に接続されている。本実施形態では、バイパス流路250を構成するバイパス溝251が、配線基板130の接続部131に対して熱的に接続されている。
ここで、要素Aと要素Bとが「熱的に接続される」とは、
(1)要素Aと要素Bとが直接的に接触している状態、または、
(2)熱伝導率が10W・m−1・K−1以上である要素Cが要素Aと要素Bとの間に介在し、かつ、要素Aと要素Bとの間に存在する間隙が50μm以下である状態
を意味する。
また、「間隙」は、要素Aと要素Bとの間において熱伝導率が10W・m−1・K−1未満である部分を意味し、典型的には空間、すなわち空気層である。
(1)要素Aと要素Bとが直接的に接触している状態、または、
(2)熱伝導率が10W・m−1・K−1以上である要素Cが要素Aと要素Bとの間に介在し、かつ、要素Aと要素Bとの間に存在する間隙が50μm以下である状態
を意味する。
また、「間隙」は、要素Aと要素Bとの間において熱伝導率が10W・m−1・K−1未満である部分を意味し、典型的には空間、すなわち空気層である。
本実施形態において、バイパス溝251と配線基板130の接続部131との間には、流路形成基板10、振動板50及びリード電極90が介在している。しかしながら、バイパス溝251と配線基板130の接続部131との接続状態は、上記(2)の条件を満たしている。したがって、バイパス溝251は、配線基板130の接続部131に対して熱的に接続されている。
このようにバイパス溝251が接続部131に熱的に接続されていることで、バイパス流路250を流通するインクによって配線基板130の接続部131を冷却することができる。つまりバイパス溝251を流通するインクによって配線基板130の接続部131の熱が奪われるため、配線基板130の接続部131の温度上昇を抑制することができる。ひいてはインクジェット式記録ヘッド1の温度上昇を抑制することができる。
また圧力室12を含む個別流路200とは別流路であるバイパス流路250によって配線基板130の接続部131を冷却しているため、圧力室12を含む個別流路200に流通するインクの温度に対する影響は少ない。すなわちノズル21から噴射されるインクの温度に対する影響は少ない。
配線基板130の接続部131は、接触抵抗が高くなり易く、それに伴い発熱が起こり易いが、バイパス流路250によって接続部131を冷却することで、各リード電極90に対応する接続部131での温度バラツキを小さくできる。これにより、記録ヘッド1内の温度バラツキを小さくでき、各ノズル21での噴射速度や噴射量といった噴射特性のバラツキも小さく抑えることができる。逆に言うと、接続部131を冷却することで、接続部131の接触抵抗を高くすることができるため、接触面積を小さくして小型化を図ることができる。
またインクジェット式記録ヘッド1では、例えば、紫外線硬化型インク等の比較的高粘度のインクを噴射させる場合、一般的に、使用時にインクを加熱して低粘度化させている。本実施形態では、インクを加熱するための加熱手段であるヒーター400が、流出管9の第2バイパス管255との合流部よりも下流側、すなわち合流部よりもインクタンク5側に設けられている。
ただし、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1では、インクがバイパス流路250を流通する際に接続部131の熱によりインクの温度が上昇すると、バイパス流路250よりも下流側に配置されているヒーター400を通過するインクの温度も上昇する。そして、そのインクがインクタンク5に戻されることでインク全体が温められる。したがって、例えば、紫外線硬化型インクを用いる場合でも、インクの加熱が不要になることもあり、省エネ化を図ることができる。
また本発明に係るインクジェット式記録ヘッド1は、循環系を備え、その途中にバイパス流路250を設けているため、バイパス流路250にインク又はインクとは別の冷却液を流通させるための複雑な機構を必要とすることなく、記録ヘッド1の温度上昇を適切に抑制することができる。
なお本実施形態では、バイパス流路250は供給管8と流出管9とに接続されているが、バイパス流路250は、液体供給路及び液体排出路に接続されていればよい。例えば、バイパス流路250は、液体供給路を構成するマニホールド100aと液体排出路を構成するマニホールド100bとに接続されていてもよい。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図4は、本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1は、バイパス流路250のインク流量を調整するバイパス流量調整手段として、例えば、電磁弁等からなる流量調整弁500と、この流量調整弁500の動作を制御する制御部510と、を備えている。さらに記録ヘッド1は、配線基板130の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ520を備えている。本実施形態では、温度センサ520、配線基板130の接続部131の近傍に設けられ、実質的に接続部131の温度を検出する。なお温度センサ520は、配線基板130の温度を検出することができれば、必ずしも配線基板130に設けられていなくてもよく、例えば、流路形成基板10上や、ケース部材40等に設けられていてもよい。
制御部510は、インクジェット式記録ヘッド1がノズル21からインク滴を噴射する液体噴射時と、例えば、待機状態である場合等、ノズル21からインク滴を噴射していない液体非噴射時とで、バイパス流路250のインク流量を適宜調整する。具体的には、制御部510は、流量調整弁500を制御して、液体非噴射時よりも液体噴射時においてバイパス流路250のインク流量が多くなるようにする。つまり制御部510は、液体非噴射時よりも液体噴射時において流量調整弁500の開度が大きくなるようにする。
また制御部510は、温度センサ520によって配線基板130の温度が所定温度以上となったことが検出されると、流量調整弁500の開度を大きくしてバイパス流路250のインク流量を増大させる。液体非噴射時であっても配線基板130の温度が所定温度以上となった場合には、流量調整弁500の開度を大きくしてバイパス流路250のインク流量を増大させる。
これにより、配線基板130の発熱を抑制することができる。その結果、配線基板130の接続部131の過熱による配線抵抗の増大等に起因して、圧電アクチュエーター300の駆動特性が低下するのを抑制でき、また各ノズル21におけるインク滴の噴射特性のばらつきを抑制することができる。
なお個別流路200のインク流量は、バイパス流路250のインク流量に拘わらず、所定の流量となるように適宜調整することが好ましい。個別流路200のインク流量の調整方法は、特に限定されないが、例えば、圧電アクチュエーター300の変位量や変位のタイミング等を適宜変更することで、個別流路200のインク流量を調整することができる。
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。図6及び図7は、実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの流路を示す図であり、図6は、図5のB−B´線断面図であり、図7は、図5のC−C´線断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図5は、本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。図6及び図7は、実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの流路を示す図であり、図6は、図5のB−B´線断面図であり、図7は、図5のC−C´線断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、流路形成基板10には、複数の第1圧力室12aが+Y方向に亘って略直線状に整列して設けられている。また複数の第1圧力室12aの長手方向一方側である+X方向側には、複数の第2圧力室12bが、+Y方向に亘って略直線状に整列して設けられている。
本実施形態では、第1圧力室12aが並設された第1圧力室列120Aと第2圧力室12bが並設された第2圧力室列120Bとは、圧力室12の並設方向であるY方向で圧力室12の隣り合う間隔の半分だけずれた位置に配置されている。
流路形成基板10には、第1圧力室12aの長手方向の一端部側である−X方向側に、流入路14cが設けられている。同様に、第2圧力室12bの長手方向の他端側である+X方向側には、流入路14dが設けられている。マニホールド100Aからのインクは、これら流入路14c,14dを介して第1圧力室12a及び第2圧力室12bに供給される。なお、流入路14c,14dは、圧力室12よりも狭い幅で形成されており、マニホールド100Aから各圧力室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
流路形成基板10の開口面側には、連通板15が設けられ、連通板15の流路形成基板10とは反対側の面には、複数のノズル21が形成されたノズルプレート20が設けられている。
連通板15には、各圧力室12に連通する厚さ方向に貫通した連通孔16Aが設けられている。連通孔16Aは、圧力室12の長手方向において、流入路14c,14dと連通する端部とは反対側の端部に連通して設けられている。また、連通孔16Aは、各圧力室12毎に独立して設けられている。
また連通板15には、複数の個別流路200が接続され、インク排出路の一部を構成する共通液室としての循環流路18が設けられている。循環流路18は、連通板15のノズルプレート20側に、厚さ方向に貫通することなく設けられている。また循環流路18は、第1圧力室列120Aと第2圧力室列120Bとの間に、圧力室12の並設方向に沿って、複数の圧力室12に亘って設けられている。
そして、この循環流路18には、連通板15の各連通孔16Aが、ノズルプレート20側に開口する凹形状を有する循環連通路19を介してそれぞれ連通されている。また循環流路18には、第1圧力室12a及び第2圧力室12bのそれぞれが各連通孔16Aを介して連通されている。
ここで、上述の実施形態ではマニホールド100(100a,100b)は、第1圧力室12aと、第2圧力室12bのそれぞれに対応して設けられていたが、本実施形態では、マニホールド100Aは、第1圧力室12a及び第2圧力室12bに共通して設けられている。そしてケース部材40には、マニホールド100Aに連通してマニホールド100Aにインクを供給する供給孔42Aと、循環流路18に連通して循環流路18からインクを流出させる流出孔43Aと、が設けられている。
流出孔43Aは、圧力室12の並設方向において、供給孔42Aとは反対側に配置されている。また、流路形成基板10、保護基板30及び封止膜45には、ケース部材40の流出孔43Aと循環流路18とを連通する連通流出孔44が設けられている。
供給孔42A及び流出孔43Aには、上述の実施形態と同様に、供給管8及び流出管9が接続されている。また流出管9の途中には、ポンプ530が設けられており、インクタンク5内のインクは、このポンプ530の圧力によってインクジェット式記録ヘッド1とインクタンク5との間で循環するようになっている。
このような本実施形態の記録ヘッド1では、圧力室12(12a,12b)と、流入路14c,14dと、連通孔16Aと、循環連通路19とが、個別流路200を構成する。また供給管8、供給孔42A及びマニホールド100Aが、個別流路200の一方側である流入路14c,14d側から供給されるインクが流通するインク供給路として機能する。また循環流路18、流出孔43A及び流出管9が、個別流路200の他方側、すなわち循環連通路19側から排出されるインクが流通するインク排出路として機能する。
また本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1も、個別流路200を通らずにインク供給路からインク排出路にインクを流通させるバイパス流路250を備えている。流路形成基板10の第1圧力室12aと第2圧力室12bとの間には、バイパス溝251が設けられている。すなわちバイパス溝251は、流路形成基板10の循環連通路19に対向する領域に、流路基板の厚さ方向であるZ方向において配線基板130の各リード電極90との接続部131と重なる位置に設けられている。
バイパス溝251の両端部は、第1圧力室列120A及び第2圧力室列120Bの外側に位置している。そしてバイパス溝251の両端部に対向する位置には、流路形成基板10及び振動板50を貫通してバイパス溝251に繋がる接続孔252,253がそれぞれ設けられている。
接続孔252には、第1バイパス管254の一端側が接続され、第1バイパス管254の他端側は、供給管8の途中に接続されている。また接続孔253には、第2バイパス管255の一端側が接続され、第2バイパス管255の他端側は、流出管9の途中に接続されている。
第1バイパス管254と、流路形成基板10に設けられたバイパス溝251と、第2バイパス管255と、第1バイパス管254及び第2バイパス管255とバイパス溝251とを接続する接続孔252,253によってバイパス流路250が構成されている。
そして、本実施形態においても、バイパス流路250の少なくとも一部は、配線基板130に対して熱的に接続されている。本実施形態では、バイパス流路250を構成するバイパス溝251が、配線基板130の接続部131に対して熱的に接続されている。
これにより、バイパス流路250を流通するインクによって配線基板130の接続部131を冷却することができる。つまりバイパス溝251を流通するインクによって配線基板130の接続部131の熱が奪われるため、配線基板130の接続部131の温度上昇を抑制することができる。
また本実施形態においても、インクジェット式記録ヘッド1は、循環系を備え、その途中にバイパス流路250を設けているため、バイパス流路250にインク又はインクとは別の冷却液を流通させるための複雑な機構を必要とすることなく、記録ヘッド1の温度上昇を適切に抑制することができる。
(実施形態4)
図8は実施形態4に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1は、バイパス流路250の構成が異なる以外は、実施形態3と同様である。実施形態1では、流路形成基板10にバイパス溝251が形成されていたが、本実施形態では、図8に示すように、流路形成基板10にバイパス溝251は形成されておらず、その代わりに、バイパス冷却管256が設けられている。
図8は実施形態4に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1は、バイパス流路250の構成が異なる以外は、実施形態3と同様である。実施形態1では、流路形成基板10にバイパス溝251が形成されていたが、本実施形態では、図8に示すように、流路形成基板10にバイパス溝251は形成されておらず、その代わりに、バイパス冷却管256が設けられている。
バイパス冷却管256は、バイパス流路250の一部を構成する管状部材であり、配線基板130の接続部131の流路形成基板10とは反対側に設けられている。この例では、バイパス冷却管256は、保護基板30の貫通孔32内に設けられている。
またバイパス冷却管256は、熱伝導率が比較的大きい材料、例えば、熱伝導率が10W・m−1・K−1以上の材料で形成されており、本実施形態では、各リード電極90と接続される接続部131に対して直接的に接触して設けられている。つまりバイパス冷却管256は、配線基板130の接続部131に対して熱的に接続された状態となっている。
なおバイパス冷却管256の一端側には第1バイパス管254が接続され、バイパス冷却管256の他端側には第2バイパス管255が接続されている。本実施形態では、これら第1バイパス管254、バイパス冷却管256及び第2バイパス管255によってバイパス流路250が構成されている。
このような本実施形態の構成においても、上述の実施形態と同様に、バイパス流路250を流通するインクによって配線基板130の接続部131を冷却することができる。つまりバイパス冷却管256を流通するインクによって配線基板130の接続部131の熱が奪われるため、配線基板130の接続部131の温度上昇を抑制することができる。
また本実施形態においても、インクジェット式記録ヘッド1は、循環系の途中にバイパス流路250が設けられているため、複雑な機構を必要とすることなく、記録ヘッド1の温度上昇を適切に抑制することができる。
さらに配線基板130の接続部131が、流路基板の厚さ方向であるZ方向において、共通液室である循環流路18と重なる位置に設けられている。これにより、配線基板130の接続部131は、バイパス冷却管256を流通するインクによって冷却され、さらに循環流路18を流通するインクによっても冷却される。したがって、記録ヘッド1の温度上昇をより確実に抑制することができる。
なお接続部131は、共通液室である循環流路18と重なる位置に設けられているが、圧力室12よりも下流側であれば、個別流路200と重なる位置に設けられていてもよい。
また本実施形態では、バイパス流路250を構成するバイパス冷却管256が、配線基板130の接続部131に対して熱的に接続されているが、バイパス流路250は、配線基板130に対して熱的に接続されていればよく、必ずしも接続部131に熱的に接続されていなくてもよい。例えば、図9に示すように、バイパス流路250を構成するバイパス冷却管256が、ケース部材40の接続口48内に、配線基板130が備える駆動回路132に対して接触して設けられていてもよい。すなわちバイパス冷却管256が、駆動回路132に対して熱的に接続されていてもよい。
このような構成とすることで、バイパス流路250を流通するインクによって駆動回路132を冷却することができる。つまりバイパス冷却管256を流通するインクによって駆動回路132の熱が奪われるため、駆動回路132の発熱が比較的大きい場合でも、記録ヘッド1の温度上昇を抑制することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、バイパス流路が液体供給路と液体排出路とに接続された構成を例示したが、バイパス流路は、必ずしも液体排出路に接続されていなくてもよい。例えば、バイパス流路の一端側は液体供給路に接続され、液体供給路とは反対側である他端側は、液体排出路に接続されることなくインクタンクに直接接続されていてもよい。また例えば、バイパス流路の他端側は、インクタンクとは別の容器に接続され、バイパス流路を通過したインクはこの容器に収容されるようにしてもよい。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、バイパス流路が液体供給路と液体排出路とに接続された構成を例示したが、バイパス流路は、必ずしも液体排出路に接続されていなくてもよい。例えば、バイパス流路の一端側は液体供給路に接続され、液体供給路とは反対側である他端側は、液体排出路に接続されることなくインクタンクに直接接続されていてもよい。また例えば、バイパス流路の他端側は、インクタンクとは別の容器に接続され、バイパス流路を通過したインクはこの容器に収容されるようにしてもよい。
また例えば、上述の実施形態では、個別流路を介してインクを循環させる循環系を備えたインクジェット式記録ヘッドを例示して本発明を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの構成はこれに限定されるものではない。つまり本発明は、あらゆるタイプのインクジェット式記録ヘッドに適用することができる。本発明は、例えば、個別流路を介さずにマニホールド内のインクを循環させる循環系を備えるインクジェット式記録ヘッドや、インクを循環させる循環系を備えていないインクジェット式記録ヘッドにも適用することができる。
また例えば、上述の実施形態では、配線基板としてフレキシブル配線基板であるCOF基板を例示したが、配線基板の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、シリコン基板に配線を設けたものであってもよい。
また例えば、上述した実施形態では、圧力室に圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーターとして、薄膜型の圧電アクチュエーターを用いて説明したが、圧電アクチュエーターの構成は特に限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーター等を使用することができる。
またエネルギー発生素子として、圧力室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーター等を使用することもできる。
また、これら上述したインクジェット式記録ヘッド1は、インクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図10は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
本実施形態のインクジェット式記録装置は、装置本体にインクジェット式記録ヘッド1を固定し、ノズル21の並設方向に対して直交する方向に記録用紙等の被噴射媒体を搬送することで被噴射媒体への印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット式記録装置である。
具体的には、図10に示すように、インクジェット式記録装置Iは、インクジェット式記録ヘッド1を具備するインクジェット式記録ヘッドユニット2と、装置本体3と、被記録媒体である記録シートSを給紙するローラー4と、液体貯留手段であるインクタンク5とを備えている。
インクジェット式記録ヘッドユニット2(以下、ヘッドユニット2とも言う)は、複数のインクジェット式記録ヘッド1と、複数のインクジェット式記録ヘッド1を保持する板状のベースプレート6と、を具備する。このヘッドユニット2は、ベースプレート6に取り付けられたフレーム部材7を介して装置本体3に固定されている。
また、装置本体3にはローラー4が設けられている。ローラー4は、装置本体3に給紙された被噴射媒体である紙等の記録シートSを搬送し、記録シートSをインクジェット式記録ヘッド1のインクの吐出面側を通過させる。
また、上述したように、各インクジェット式記録ヘッド1には、装置本体3に固定されてインクを貯留するインクタンク5がフレキシブルチューブ等の供給管8及び流出管9を介して接続されている。インクは、インクタンク5から供給管8を介して各インクジェット式記録ヘッド1に供給され、インクジェット式記録ヘッド1で吐出されなかったインクは流出管9を介してインクタンク5に回収される。
このようなインクジェット式記録装置Iでは、ローラー4により搬送方向に記録シートSが搬送されると共に、ヘッドユニット2のインクジェット式記録ヘッド1によってインクが吐出されて記録シートSに画像等が印刷される。
なお、上述した例では、複数のインクジェット式記録ヘッド1を具備するヘッドユニット2をインクジェット式記録装置Iに1つだけ設けるようにしたが、インクジェット式記録装置Iに搭載するヘッドユニット2を2つ以上設けてもよい。また、インクジェット式記録装置Iに直接インクジェット式記録ヘッド1を搭載するようにしてもよい。
また、上述した例では、インクジェット式記録ヘッド1が固定されて記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット式記録装置Iを例示して本発明を説明したが、インクジェット式記録装置Iの構成は、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、記録シートSの搬送方向と交差する方向である主走査方向に移動するキャリッジにインクジェット式記録ヘッド1を搭載し、インクジェット式記録ヘッド1を主走査方向に移動させながら印刷を行う、いわゆるシリアル型のインクジェット式記録装置にも適用することができる。
また、本実施形態では、インクタンク5が装置本体3に固定されたタイプのインクジェット式記録装置Iを例示して本発明を説明したが、本発明は、例えば、インクカートリッジ等の液体貯留手段を各インクジェット式記録ヘッド1、インクジェット式記録ヘッドユニット2又はキャリッジ等に固定するタイプのインクジェット式記録装置にも適用することができる。
さらに本実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。
その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップの製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、2…インクジェット式記録ヘッドユニット、3…装置本体、4…ローラー、5…インクタンク、6…ベースプレート、7…フレーム部材、8…供給管、9…流出管、10…流路形成基板、12a…第1圧力室、12b…第2圧力室、14a…流入路、14b…流出路、14c,14d…流入路、15…連通板、16…連通孔、17…連通路、18…循環流路、19…循環連通路、20…ノズルプレート、21…ノズル、30…保護基板、31…圧電アクチュエーター保持部、32…貫通孔、40…ケース部材、41…凹部、42…供給孔、43…流出孔、44…連通流出孔、45…封止膜、46…空間部、47…可撓部、48…接続口、49…壁部、50…振動板、51…弾性膜、52…絶縁体膜、60…第1電極、70…圧電体層、80…第2電極、90…リード電極、100…マニホールド、120A…第1圧力室列、120B…第2圧力室列、130…配線基板、131…接続部、132…駆動回路、133…接続基板、134…コネクター、200…個別流路、250…バイパス流路、251…バイパス溝、252,253…接続孔、254…第1バイパス管、255…第2バイパス管、256…バイパス冷却管、300…圧電アクチュエーター、400…ヒーター、500…流量調整弁、510…制御部、520…温度センサ、530…ポンプ
Claims (12)
- 圧力室を含む複数の個別流路が形成された流路基板と、
前記圧力室内の液体に圧力変化を生じさせる複数のエネルギー発生素子と、
前記エネルギー発生素子に電気的に接続される配線基板と、を備える液体噴射ヘッドであって、
前記個別流路の一方側から供給される液体が流通する液体供給路を備えると共に、
前記配線基板に熱的に接続され、前記液体供給路から前記個別流路を通らずに前記液体が流通するバイパス流路を備えている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記個別流路の他方側から排出される流体が流通する液体排出路を備え、
前記バイパス流路が、前記液体供給路と前記液体排出路とに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記配線基板は、前記流路基板上で前記エネルギー発生素子と電気的に接続され、
前記バイパス流路の一部は、前記流路基板の厚さ方向において前記配線基板の前記エネルギー発生素子との接続部と重なる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記バイパス流路は、前記接続部の並び方向に延設されている
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記バイパス流路の一部が、前記流路基板に形成されている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記配線基板には、前記エネルギー発生素子を駆動するための駆動回路が設けられており、
前記バイパス流路が、前記駆動回路に対して熱的に接続されている
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記流路基板には、複数の前記個別流路が接続されて前記個別流路の他方側から排出される流体が流通する液体排出路の一部を構成する共通液室が形成されており、
前記接続部は、前記流路基板の厚さ方向において前記共通液室と重なる位置又は前記個別流路の前記圧力室よりも前記共通液室側と重なる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記バイパス流路の液体流量を調整するバイパス流量調整手段を備え、
前記バイパス流量調整手段は、液体非噴射時よりも液体噴射時において前記バイパス流路の液体流量が多くなるようにする
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記液体が紫外線硬化型インクである
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記液体排出路の前記バイパス流路との合流部よりも下流側に設けられ、当該液体排出路を流通する前記液体を加熱する加熱手段を備えている
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記バイパス流路の液体流量を調整するバイパス流量調整手段と、前記配線基板の温度を検出する温度検出手段と、を有し、
前記バイパス流量調整手段は、前記温度検出手段によって前記配線基板の温度が所定温度以上になったことが検出されると、前記バイパス流路の液体流量を増大させる
ことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 請求項1〜11の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019217804A JP2021088060A (ja) | 2019-12-02 | 2019-12-02 | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019217804A JP2021088060A (ja) | 2019-12-02 | 2019-12-02 | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021088060A true JP2021088060A (ja) | 2021-06-10 |
Family
ID=76219003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019217804A Pending JP2021088060A (ja) | 2019-12-02 | 2019-12-02 | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021088060A (ja) |
-
2019
- 2019-12-02 JP JP2019217804A patent/JP2021088060A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5750753B2 (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP5668482B2 (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP5569092B2 (ja) | 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置 | |
JP5962935B2 (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP5928700B2 (ja) | 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 | |
JP6253460B2 (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP6090560B2 (ja) | 液体噴射装置 | |
US20110242237A1 (en) | Liquid ejecting head, liquid ejecting unit, and liquid ejecting apparatus | |
US9193162B2 (en) | Liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus with a rib which divides the flow of the liquid inside the manifold in two | |
CN111347788B (zh) | 液体喷射头以及液体喷射装置 | |
JP6135887B2 (ja) | 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置並びに液体吐出方法 | |
US8398213B2 (en) | Liquid ejecting head unit | |
JP5929479B2 (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
CN112172344B (zh) | 液体喷射头以及液体喷射系统 | |
JP2021088060A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
CN111347786B (zh) | 液体喷射头以及液体喷射装置 | |
JP2010089402A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2020100053A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2019127020A (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタ | |
JP2023077729A (ja) | 液体吐出ヘッド | |
JP2020100137A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2023057887A (ja) | 液体吐出ヘッドおよび液体を吐出する装置 | |
JP2021084415A (ja) | 液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置 | |
CN117621657A (zh) | 液体喷出头 | |
JP2019199015A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD07 | Notification of extinguishment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7427 Effective date: 20200818 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20210914 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20211101 |