JP2021081559A - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラビング耐性が優れる液晶配向膜を得る液晶配向剤、この液晶配向剤を得ることができる重合体、この重合体の原料となる新規なジアミン化合物を提供する。
【解決手段】液晶配向剤が式(1)で表される環状アセタール基を有する重合体を含有する。
Figure 2021081559

(Rは水素又は一価の有機基を表し、nは0〜2の整数であり、*は他の基に結合する部位を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、該液晶配向剤から得られる液晶配向膜、及び該液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
現在、液晶表示素子はデジタルカメラ、パソコン、携帯型端末、テレビなど、多くの機器における画像表示部分に広く使用されている。この様な液晶表示素子は、流動性がある液晶組成物を二枚の支持基板で挟み封じ込めた構造をしており、前記基板の液晶に接する面には、液晶分子を配向させるための液晶配向膜が設けられている。液晶配向膜は一般的に前記基板上に液晶配向剤を塗布する工程を経て作製される。また、液晶分子を基板の面内方向に配向させる場合は、液晶配向剤から得られた塗膜に対して、ラビング処理や光配向処理などが行われる。
液晶配向膜に求められる特性は、種々存在する。ラビング処理に対する耐性(ラビング耐性)はそのうちの重要な特性の一つである。ラビング処理は、液晶表示素子の製造過程において、基板上に形成された高分子膜から液晶配向膜を形成する方法として知られ、現在も工業的に広く用いられている。
このラビング処理では、液晶配向膜が削れることで発生する粉塵や傷が表示素子の表示品位を低下させる問題が知られている。そのため、液晶配向膜には、ラビング処理に伴って生じる粉塵や液晶配向膜への損傷が少ない、高いラビング耐性が求められている。例えば特許文献1、2には、ラビング処理による塗膜の削れや損傷が起こりにくい液晶配向膜を提供することを目的とした液晶配向剤が開示されている。また特許文献3には、液晶配向膜のラビング耐性に加えて、高温でも液晶表示素子の電圧保持率が高く、イオン密度が低い信頼性の高い液晶配向膜の提供を目的とした液晶配向剤が開示されている。
特開2008−203332号公報 国際公開公報2010/053128 国際公開公報2010/050523
近年の液晶表示素子の益々の高性能化に伴い、液晶配向膜には種々の特性を今までよりも高いレベルで実現することが求められている。例えば、液晶表示素子が高精細化したことにより、ラビング耐性に関しては従来よりも塗膜の削れや損傷が少ない液晶配向膜が必要とされるようになってきた。以上のことから、本発明は、ラビング耐性に優れる液晶配向膜及び液晶配向剤の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明に到達したものであり、本発明は、下記の態様を有する。
(1)下記式(1)で表される環状アセタール基を有する重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
Figure 2021081559

(Rは水素又は一価の有機基を表し、nは0〜2の整数であり、*は他の基に結合する部位を表す。)
(2)前記式(1)で表される環状アセタール基を有する重合体が、後述する式(2)で表されるジアミンに由来する重合体である、上記(1)に記載の液晶配向剤。
(3)前記環状アセタール基を有する重合体が、下記式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(1)に記載の液晶配向剤。
Figure 2021081559

(Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基を表す。Yは式(1)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
(4)前記式(3)中、Xの構造が下記構造中から選ばれる少なくとも1種である、上記(3)に記載の液晶配向剤。
Figure 2021081559
Figure 2021081559

(5)前記式(3)で表される構造単位が、前記重合体の全構造単位に対して10モル%以上である、請求項4又は5に記載の液晶配向剤。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
(7)上記(6)に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
(8)下記式(2)で表される環状アセタール基を有するジアミン。
Figure 2021081559

(各記号の定義は、後記する通りである。)
(9)上記(8)に記載のジアミンを由来とする環状アセタール基を有する重合体。
(10)前記環状アセタール基を有する重合体が、下記式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドである、上記(9)に記載の重合体。
Figure 2021081559

(各記号の定義は、上記(4)における記載と同じである。)
(11)前記式(3)中、Xの構造が下記構造中から選ばれる少なくとも1種である、上記(10)に記載の重合体。
Figure 2021081559
Figure 2021081559

(12)前記式(3)で表される構造単位が、前記重合体の全構造単位に対して10モル%以上である、上記(10)又は(11)に記載の重合体。
本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜はラビング耐性に優れ、該液晶配向膜を具備する液晶表示素子は高性能な液晶表示素子を提供できる。
本発明において、上記式(1)で表される環状アセタール基を有する重合体を含有する液晶配向剤を用いることで、ラビング耐性に優れた液晶配向膜が得られるメカニズムについては必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
環状アセタールは、アルデヒドの保護基として働く。環状アセタール部位は、配向膜の加熱焼成時に、アルデヒドとジオールに分解する。生成したアルデヒドは、液晶配向剤中のアミン部位等と縮合して、ポリマー間で結合を形成すると考えられる。この結合形成のため、ラビング耐性に優れた液晶配向膜が得られると考えられる。
本発明の液晶配向剤は、下記式(1)で表される構造を有する重合体(以下、特定重合体とも言う)を含有する液晶配向剤である。
<特定構造>
Figure 2021081559

上記式(1)において、Rは水素又は一価の有機基を表し、nは0〜2の整数であり、*は他の基に結合する部位を表す。本発明における特定重合体は、上記式(1)の構造を有するジアミンから得られる重合体であるのが好ましい。
<特定ジアミン>
上記式(1)で表される環状アセタール基を有するジアミン(以下、特定ジアミンともいう。)は、下記式(2)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2021081559

上記式(2)中、Rおよびnの定義は、上記式(1)と同様である。Arはフェニレン、ナフチレン、ビフェニレンから選ばれる芳香族炭化水素基を示し、それらには有機基が置換していても良く、水素原子はハロゲン原子に置き換わっていても良い。T、Tはそれぞれ独立して、単結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−CHO−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−の結合基であり、Wは単結合もしくは非置換もしくはフッ素原子によって置換されている炭素原子数1〜20のアルキレン基(ただしアルキレン基の-CH-または-CF-は-CH=CH-で任意に置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられていてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、二価の炭素環、二価の複素環。)である。
上記式(2)のジアミンの具体例としては以下が例示される。
Figure 2021081559

上記式中、Rの定義は、上記式(1)におけるものと同じであり、特に、水素原子、メチル基(Me)又はエチル基(Et)が好ましい。Rは水素、又は一価の有機基を表し、特に、水素原子、Me基又はEt基が好ましい。nの定義は、上記式(1)におけるものと同じであり、特に、0又は1が好ましい。mは1〜20の整数を表す。
<特定ジアミンの合成方法>
本発明における特定ジアミンを合成する方法は例えば、下記式(4)で表されるジニトロ化合物を合成し、さらにニトロ基を還元してアミノ基に変換する方法を挙げることができる。
Figure 2021081559

上記式(4)中、R、n、Ar、T、T及びWの定義は上記式(2)におけるものと同じである。
上記ニトロ基の還元反応に用いられる触媒は、市販品として入手できる活性炭担持金属が好ましく、例えば、パラジウム−活性炭、白金−活性炭、ロジウム−活性炭などが挙げられる。また、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケルなど必ずしも活性炭担持型の金属触媒でなくてもよい。なかでも、パラジウム−活性炭が好ましい。
上記還元反応をより効果的に進行させるため、活性炭の共存下で反応を実施することもある。この時、使用する活性炭の量は、ジニトロ化合物に対して1〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。同様な理由により、加圧下で反応を実施する場合もある。この場合、ベンゼン核の還元を避けるため、好ましくは20気圧以下であり、より好ましくは10気圧までの範囲で反応を実施する。
上記還元反応における溶媒は、各原料と反応しない溶媒であれば、制限なく使用することができる。例えば、非プロトン性極性有機溶媒(DMF、DMSO、DMAc、NMPなど);エーテル類(EtO、i−PrO、TBME、CPME、THF、ジオキサンなど);脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど);芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど);ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど);低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等);ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等);などが使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択でき、2種以上混合して用いることができる。必要に応じて、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて溶媒を乾燥し、非水溶媒として用いることもできる。溶媒の使用量(反応濃度)は、ジニトロ化合物に対し、0.1〜100質量倍であり、好ましくは0.5〜30質量倍であり、さらに好ましくは1〜10質量倍である。
反応温度は、−100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、−50〜150℃である。反応時間は、通常0.05〜350時間、好ましくは0.5〜100時間である。
[式(4)の製法]
式(4)を合成する方法に特に制限はない。例えば、文献(L. Fan et al., Organic & Biomolecular Chemistry, 17, 5121 (2019))を参考に下記反応式で表すように、アルデヒド化合物とジオール化合物を酸の存在下で反応させることで式(4)を得ることができる。
Figure 2021081559
上記アルデヒド基の保護に用いる酸触媒としては、塩化水素(あるいは塩酸)、硫酸、p‐トルエンスルホン酸、リン酸、トリメチルシリルトリフラート、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、タングストリン酸、タングストケイ酸などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはp‐トルエンスルホン酸である。
上記反応における溶媒は、各原料と反応しない溶媒であれば、制限なく使用することができる。例えば、エーテル類(EtO、i−PrO、TBME、CPME、THF、ジオキサンなど);脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサンなど);芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど);ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど);ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等);などが使用できる。これらのうち、好ましくはトルエン、シクロヘキサンである。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択でき、2種以上混合して用いることができる。必要に応じて、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて溶媒を乾燥し、非水溶媒として用いることもできる。溶媒の使用量(反応濃度)は、アルデヒド化合物に対し、0.1〜100質量倍であり、好ましくは0.5〜30質量倍であり、さらに好ましくは1〜10質量倍である。
反応温度は、−100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、−50〜150℃である。反応時間は、通常0.05〜350時間、好ましくは0.5〜100時間である。
<重合体>
本発明の環状アセタール基を有する重合体は、上記式(1)で表される構造を有する。具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリアミドなどが挙げられる。液晶配向剤としての観点から、下記式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
Figure 2021081559

上記式(3)中、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(1)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Rは、加熱によるイミド化のしやすさの点から、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。
<テトラカルボン酸二無水物>
上記式(3)のポリイミド前駆体中のXは、重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に1種類であってもよく、2種類以上が混在していても良い。
の具体例を示すならば、国際公開公報2015/119168の13項〜14項に掲載される、式(X−1)〜(X−46)の構造などが挙げられる。
以下に、好ましいXの構造を示す。
Figure 2021081559
上記のうち、(A−1)、(A−2)はラビング耐性の更なる向上という観点から特に好ましく、(A−4)は蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましく、(A−15)〜(A−17)などは、液晶配向性と蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましい。
また、上記のうち、(A−1)、(A−4)、(A−5)、(A−7)は電圧保持率の更なる向上という観点から好ましい。
<ジアミン>
上記式(3)において、Yの具体例としては前記式(2)のジアミンから2つのアミノ基を除いた構造を挙げることができる。
<重合体(その他の構造単位)>
式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体は、本発明の効果を損なわない範囲において、下記式(5)で表される構造単位を含んでいても良い。
Figure 2021081559

式(5)において、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(1)の構造を含まないジアミンに由来する2価の有機基であり、Rは、前記式(3)の定義と同じであり、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、2つあるRの少なくとも一方は水素原子であることが好ましい。
の具体例としては、好ましい例も含めて式(3)のXで例示したものと同じ構造を挙げることができる。また、ポリイミド前駆体中のYは式(1)の構造を含まないジアミンに由来する二価の有機基であり、その構造は特に限定されない。また、Yは重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に2種類以上が混在していても良い。
の具体例を示すならば、国際公開公報2015/119168の4項に掲載される式(2)の構造、及び、8項〜12項に掲載される、式(Y−1)〜(Y−97)、(Y−101)〜(Y−118)の構造;国際公開公報2013/008906の6項に掲載される、式(2)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2015/122413の8項に掲載される式(1)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2015/060360の8項に掲載される式(3)の構造;日本特開公報2012−173514の8項に記載される式(1)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2010−050523の9項に掲載される式(A)〜(F)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基、などが挙げられる。
<その他ジアミン>
上記ジアミン成分に加え、その他ジアミンとして、下記に示すジアミン成分を使用することができる。
<その他ジアミン:式(0)の構造を有するジアミン>
その他ジアミンは、下記式(0)の構造を有する。
Figure 2021081559
上記式(0)中、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。上下基板を張り合わせるシール材中の官能基との反応性の点から、単結合又はメチレン基が好ましい。
上記式(0)中、A及びAは、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくはメチレン基又はエチレン基である。Aは、炭素数1〜6のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、シール材中の官能基との反応性の点から、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
上記式(0)中、B及びBは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−又は−N(CH)COを表す。得られる液晶配向膜の配向性の点から、単結合又は−O−が好ましい。
上記式(0)中、Dは、熱により水素原子に置き換わる保護基を表す。Dは、アミノ基の保護基として機能するものであり、熱により水素原子に置き換わる官能基である。液晶配向剤の保存安定性の点から、Dは室温において脱離しないことが好ましく、80℃以上の熱で脱離する保護基がより好ましく、100℃以上、特に120℃以上の熱で脱離する保護基が更に好ましい。脱離する温度は、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。高すぎる脱離する温度は重合体の分解を招く可能性がある。このようなDの例としては、tert−ブトキシカルボニル(t−Boc)基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等が挙げられる。なかでも、温度による脱離性の点から、t−Boc基が好ましい。
上記式(0)中、aは0又は1である。A及びA(aが1の場合)、A及びA(aが1の場合)、又はA及びA(aが0の場合)は、互いに結合しない。つまり、aが1の場合、A及びA、A及びAにより環は形成されず、Dに結合するN原子が該環の一部を構成しない。同様に、aが0の場合、A及びAにより環は形成されず、Dに結合するN原子が該環の一部を構成しない。
上記式(0)中、*は他の基に結合する部位を表す。*から見て、ベンゼン環に対するA及び/又はAの結合位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよいが、液晶配向膜の液晶配向性の点から、パラ位が好ましい。すなわち、上記式(0)は、下記式(0’)又は下記式(0’’)であるのが好ましい。
Figure 2021081559

上記式(0’)及び上記式(0’’)中、A〜A、B、B、D、a並びに*は、上記式(0)の場合と同様である。
このような特定ジアミンの具体例としては、例えば、下記式(0−1)〜(0−21)で表されるジアミンが挙げられる。
Figure 2021081559
<その他ジアミン:垂直配向性を発現する特定側鎖構造を有するジアミン>
VA方式の液晶表示素子における液晶配向剤として用いる場合、垂直配向能を発現する特定側鎖構造を有するジアミンを用いて特定重合体を調製することが好ましい。この特定側鎖構造を有するジアミンは、下記式[S1]〜[S3]で表される群から選ばれる少なくとも1種の側鎖構造を有する。以下、かかる特定側鎖構造を有するジアミンの例である、式[S1]〜[S3]で表されるジアミンについて順に説明する。
[A]:下記式[S1]で表される特定側鎖構造を有するジアミン
Figure 2021081559

上記式[S1]中、X及びXは、それぞれ独立して、単結合、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−、−NH−、−O−、−COO−、−OCO−又は−((CHa1−Am1−を表す。このうち、複数のa1はそれぞれ独立して1〜15の整数であり、複数のAはそれぞれ独立して酸素原子又は−COO−を表し、m1は1〜2である。
なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、X及びXは、それぞれ独立して、単結合、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−又は−COO−が好ましく、単結合、−(CH−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CHO−又は−COO−がより好ましい。
上記式[S1]中、G及びGは、それぞれ独立して、炭素数6〜12の2価の芳香族基又は炭素数3〜8の2価の脂環式基から選ばれる2価の環状基を表す。該環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。m及びnは、それぞれ独立して、0〜3の整数であって、m及びnの合計は1〜4である。
上記式[S1]中、Rは、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ又は炭素数2〜20のアルコキシアルキルを表す。Rを形成する任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。このうち、炭素数6〜12の2価の芳香族基の例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレン等が挙げられる。また、炭素数3〜8の2価の脂環式基の例としては、シクロプロピレン、シクロヘキシレン等が挙げられる。
上記式[S1]の好ましい具体例として、下記式[S1−x1]〜[S1−x7]があげられる。
Figure 2021081559
上記式[S1−x1]〜[S1−x7]中、Rは、上記式[S1]の場合と同様である。Xは、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−、−NH−、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−を表す。Aは、酸素原子又は−COO−*(「*」を付した結合手が(CHa2と結合する)を表す。Aは、酸素原子又は*−COO−(「*」を付した結合手が(CHa2と結合する)を表す。aは0又は1の整数であり、aは2〜10の整数である。Cyは1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表す。
[B]:下記式[S2]で表される特定側鎖構造を有するジアミン
Figure 2021081559

上記式[S2]中、Xは単結合、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−、−NH−、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−を表す。なかでも、液晶配向剤の液晶配向性の点から、Xは−CONH−、−NHCO−、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−が好ましい。
上記式[S2]中、Rは、炭素数1〜20のアルキル又は炭素数2〜20のアルコキシアルキルを表す。Rを形成する任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。なかでも、液晶配向剤の液晶配向性の点から、Rは炭素数3〜20のアルキル又は炭素数2〜20のアルコキシアルキルが好ましい。
[C]:下記式[S3]で表される特定側鎖構造を有するジアミン
Figure 2021081559

上記式[S3]中、Xは−CONH−、−NHCO−、−O−、−COO−又は−OCO−を表す。Rはステロイド骨格を有する構造を表す。ここでのステロイド骨格は、3つの六員環及び1つの五員環が結合した下記式(st)で表される骨格を有する。
Figure 2021081559
上記式[S3]の例として下記式[S3−x]が挙げられる。
Figure 2021081559

上記式[S3−x]中、Xは、上記式[X1]又は[X2]を表す。また、Colは、上記式[Col1]〜[Col4]からなる群から選ばれる少なくとも1種を表し、Gは、上記式[G1]又は[G2]を表す。*は他の基に結合する部位を表す。
上記式[S3−x]における、X、Col及びGの好ましい組合せの例としては、例えば、下記の組合せが挙げられる。すなわち、[X1]と[Col1]と[G1]、[X1]と[Col1]と[G2]、[X1]と[Col2]と[G1]、[X1]と[Col2]と[G2]、[X1]と[Col3]と[G2]、[X1]と[Col4]と[G2]、[X1]と[Col3]と[G1]、[X1]と[Col4]と[G1]、[X2]と[Col1]と[G2]、[X2]と[Col2]と[G2]、[X2]と[Col2]と[G1]、[X2]と[Col3]と[G2]、[X2]と[Col4]と[G2]、[X2]と[Col1]と[G1]、[X2]と[Col4]と[G1]である。
上記式[S3]の具体的としては、日本特開平4−281427号公報の段落[0024]に記載のステロイド化合物から水酸基(ヒドロキシ基)を除いた構造、同公報の段落[0030]に記載のステロイド化合物から酸クロライド基を除いた構造、同公報の段落[0038]に記載のステロイド化合物からアミノ基を除いた構造、同公報の段落[0042]にステロイド化合物からハロゲン基を除いた構造、及び日本特開平8−146421の段落[0018]〜[0022]に記載の構造等が挙げられる。
ステロイド骨格の代表例としては、コレステロール(上記式[S3−x]における[Col1]及び[G2]の組み合わせ)が挙げられるが、該コレステロールを含まないステロイド骨格を利用することもできる。すなわち、ステロイド骨格を有するジアミンとして、例えば3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル等が挙げられるが、かかるコレステロール骨格を有するジアミンを含まないジアミン成分とすることも可能である。また、特定側鎖構造を有するジアミンとして、ジアミンと側鎖との連結位置にアミドを含まないものを利用することもできる。このようなジアミンを利用しても、本実施形態においては、コレステロール骨格を有するジアミンを含まないジアミン成分を利用しても、長期に渡って高い電圧保持率を確保できる液晶配向膜や液晶表示素子を得ることができる液晶配向剤を提供できる。
上記式[S1]〜[S3]で表される側鎖構造を有するジアミンは、それぞれ、下記式[1−S1]−[1−S3]の構造で表される。
Figure 2021081559

上記式[1−S1]中、X、X、G、G、R、m及びnは、上記式[S1]における場合と同様である。上記式[1−S2]中、X及びRは、上記式[S2]における場合と同様である。上記式[1−S3]中、X及びRは、上記式[S3]における場合と同様である。
<その他のジアミン:垂直配向性を発現する二側鎖型の特性側鎖構造を有するジアミン>
VA方式の液晶表示素子における晶配向剤として用いる場合、垂直配向性の特定側鎖構造を2つ有する二側鎖型のジアミンを用いて特定重合体を調製することもできる。
かかるジアミン成分として含まれていてもよい二側鎖ジアミンは、例えば下記式[1]で表される。
Figure 2021081559

上記式[1]中、Xは、単結合、−O−、−C(CH−、−NH−、−CO−、−NHCO−、−COO−、−(CH−、−SO−又はそれらの任意の組み合わせからなる2価の有機基を表す。なかでも、Xは、単結合、−O−、−NH−、−O−(CH−O−であるのが好ましい。「それらの任意の組み合わせ」の例としては、−O−(CH−O−、−O−C(CH−、−CO−(CH−、−NH−(CH−、−SO−(CH−、−CONH−(CH−、−CONH−(CH−NHCO−、−COO−(CH−OCO−等が挙げられる。mは1〜8の整数である。
上記式[1]中、2つのYは、それぞれ独立して、下記式[1−1]の構造を表す。
Figure 2021081559

上記式[1−1]中、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−を表す。Yは単結合又は−(CH−(bは1〜15の整数である)を表す。ただし、Y又はYが単結合又は−(CH−である場合、Yは単結合である。また、Yが−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−であるか、及び/又はYが−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−である場合、Yは単結合又は−(CH−である。
式[1−1]中、Yは、ベンゼン環、シクロヘキサン環及び複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の環状基又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の2価の有機基を表す。該環状基を形成する任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
上記式[1−1]中、Yは、ベンゼン環、シクロヘキサン環及び複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状基を表す。該環状基を形成する任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
上記式[1−1]中、Yは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基及び炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。nは0〜4の整数である。
上記式[1]中、Yは、Xの位置からメタ位であってもオルト位であってもよいが、好ましくはオルト位がよい。すなわち、上記式[1]は、下記式[1’]であるのが好ましい。
Figure 2021081559
上記式[1]中、2つのアミノ基(−NH)の位置は、ベンゼン環上のいずれの位置であってもよいが、下記式[1]−a1〜[1]−a3で表される位置が好ましく、下記式[1]−a1であるのがより好ましい。下記式中、Xは、上記式[1]における場合と同様である。なお、下記式[1]−a1〜[1]−a3は、2つのアミノ基の位置を説明するものであり、上記式[1]中で表されていたYの表記が省略されている。
Figure 2021081559
従って、上記式[1’]及び[1]−a1〜[1]−a3に基づけば、上記式[1]は、下記式[1]−a1−1〜[1]−a3−2から選ばれるいずれかの構造であるのが好ましく、下記式[1]−a1−1で表される構造がより好ましい。下記式中、X及びYは、それぞれ式[1]における場合と同様である。
Figure 2021081559
上記式[1−1]の例として、下記式[1−1]−1〜[1−1]−22が挙げられる。このうち、上記式[1−1]の例としては、下記式[1−1]−1〜[1−1]−4、[1−1]−8又は[1−1]−10が好ましい。なお、下記式中、*は、上記式[1]、[1’]及び[1]−a1〜[1]−a3におけるフェニル基との結合位置を表す。
Figure 2021081559
Figure 2021081559
ジアミン成分が、所定構造を有する二側鎖ジアミンを含有することで、過度の加熱にさらされた場合でも、液晶を垂直に配向させる能力が低下し難くなる液晶配向膜となる。また、ジアミン成分が該二側鎖ジアミンを含有することで、膜に何らかの異物が接触し、傷ついた際も、液晶を垂直に配向させる能力が低下し難くなる液晶配向膜となる。すなわち、ジアミン成分が該二側鎖ジアミンを含有することで、各種の上記特性に優れた液晶配向膜が得られる液晶配向剤を提供できるようになる。
<その他のジアミン:光反応性側鎖を有するジアミン>
PSA方式の液晶表示素子における液晶配向剤として用いる場合、重合性化合物の反応性を高める目的で光反応性側鎖を有するジアミンを用いて特定重合体を調製することもできる。
かかるジアミン成分は、その他のジアミンとして、光反応性側鎖を有するジアミンを含有してもよい。ジアミン成分が、光反応性側鎖を有するジアミンを含有することで、特定重合体やそれ以外の重合体に、光反応性側鎖を導入できるようになる。
光反応性側鎖を有するジアミンとしては、例えば、下記式[VIII]又は[IX]で表されるものが挙げられる。
Figure 2021081559
上記式[VIII]及び[IX]中、2つのアミノ基(−NH)の位置は、ベンゼン環上のいずれの位置であってもよく、例えば、側鎖の結合基に対し、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置又は3,5の位置が挙げられる。ポリアミック酸を合成する際の反応性の点から、2,4の位置、2,5の位置又は3,5の位置が好ましい。ジアミンを合成する際の容易性の点も加味すると、2,4の位置又は3,5の位置がより好ましい。
上記式[VIII]中、Rは単結合、−CH−、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−CHO−、−N(CH)−、−CON(CH)−又は−N(CH)CO−を表す。特に、Rは単結合、−O−、−COO−、−NHCO−又は−CONH−であるのが好ましい。
上記式[VIII]中、Rは、単結合又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。ここでのアルキレン基の−CH−は、−CF−又は−CH=CH−で任意に置換されていてもよく、次のいずれかの基が互いに隣り合わない場合、これらの基に置換されていてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、二価の炭素環又は複素環。なお、この二価の炭素環又は複素環は、具体的には下記式(1a)のものを例示することができる。
Figure 2021081559
上記式[VIII]中、Rは、通常の有機合成的手法で形成させることができるが、合成の容易性の点から、単結合又は炭素数1〜12のアルキレン基が好ましい。
上記式[VIII]中、R10は、下記式(1b)からなる群から選択される光反応性基を表す。なかでも、R10は、光反応性の点から、メタクリル基、アクリル基又はビニル基が好ましい。
Figure 2021081559
上記式[IX]中、Yは、−CH−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−、−NH−又は−CO−を表す。Yは、炭素数1〜30のアルキレン基、二価の炭素環又は複素環を表す。ここでのアルキレン基、二価の炭素環又は複素環における、1つ又は複数の水素原子は、フッ素原子又は有機基で置換されていてもよい。Yは、次の基が互いに隣り合わない場合、−CH−がこれらの基に置換されていてもよい;−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−CO−。
上記式[IX]中、Yは、−CH−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−、−NH−、−CO−又は単結合を表す。Yはシンナモイル基を表す。Yは単結合、炭素数1〜30のアルキレン基、二価の炭素環又は複素環を表す。ここでのアルキレン基、二価の炭素環又は複素環における、1つ又は複数の水素原子は、フッ素原子又は有機基で置換されていてもよい。Yは、次の基が互いに隣り合わない場合、−CH−がこれらの基に置換されていてもよい;−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−OCO−、−NH−、−NHCONH−、−CO−。Yはアクリル基又はメタクリル基等の光重合性基を表す。
上記式[VIII]又は[IX]で表される光反応性側鎖を有するジアミンの具体例としては、下記式(1c)が挙げられる。
Figure 2021081559

上記式(1c)中、X及びX10は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−、−NHCO−又は−NH−である結合基を表す。Yは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。
光反応性側鎖を有するジアミンとしては、下記式[VII]のジアミンも挙げられる。式[VII]のジアミンは、ラジカル発生構造を有する部位を側鎖に有している。ラジカル発生構造においては、紫外線照射により分解しラジカルが発生する。
Figure 2021081559

上記式[VII]中、Arはフェニレン、ナフチレン及びビフェニレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族炭化水素基を表し、それらの環の水素原子はハロゲン原子に置換されていてもよい。カルボニルが結合しているArは、紫外線の吸収波長に関与するため、長波長化する場合、ナフチレンやビフェニレンのような共役長の長い構造が好ましい。一方、Arがナフチレンやビフェニレンのような構造になると、溶解性が悪くなる場合があり、この場合、合成の難易度が高くなる。紫外線の波長が250nm〜380nmの範囲であればフェニル基でも十分な特性が得られるため、Arはフェニル基が最も好ましい。
上記Arにおいて、芳香族炭化水素基には置換基が設けられていてもよい。ここでの置換基の例としては、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基等、電子供与性の有機基が好ましい。
上記式[VII]中、R1及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、ベンジル基又はフェネチル基を表す。アルキル基やアルコキシ基の場合、R及びRにより環が形成されていてもよい。
上記式[VII]中、T及びTは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−CHO−、−N(CH)−、−CON(CH)−又は−N(CH)CO−の結合基を表す。
式[VII]中、Sは単結合、非置換又はフッ素原子によって置換されている炭素原子数1〜20のアルキレン基を表す。ここでのアルキレン基の−CH−又は−CF−は、−CH=CH−で任意に置換されていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わない場合、これらの基に置換されていてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、二価の炭素環、二価の複素環。
式[VII]中、Qは、下記式(1d)から選ばれる構造を表す。
Figure 2021081559

上記式(1d)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。Rは、−CH−、−NR−、−O−、又は−S−を表す。
上記式[VII]中、Qは、電子供与性の有機基が好ましく、上記Arの例でも挙げたような、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基等が好ましい。Qがアミノ誘導体の場合、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の重合の際に、発生するカルボン酸基とアミノ基が塩を形成するなどの不具合が生じる可能性があるため、ヒドロキシル基又はアルコキシ基がより好ましい。
上記式[VII]中、2つのアミノ基(−NH)の位置は、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン又はp−フェニレンジアミンのいずれでもよいが、酸二無水物との反応性の点では、m−フェニレンジアミン又はp−フェニレンジアミンが好ましい。
上記式[VII]の好ましい具体的としては、合成の容易さ、汎用性の高さ、特性等の点から、下記式が挙げられる。なお、下記式中、nは2〜8の整数である。
Figure 2021081559
これらの上記式[VII]、[VIII]又は[IX]で表される光反応性側鎖を有するジアミンは、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。液晶配向膜とした際の液晶配向性、プレチルト角、電圧保持特性、蓄積電荷等の特性、液晶表示素子とした際の液晶の応答速度等に応じて、1種単独か2種以上混合して用いるか、また、2種以上混合して用いる場合にはその割合等、適宜調整すればよい。
<その他のジアミン:上記以外のジアミン>
特定重合体を得るためのジアミン成分に含まれていてもよい上記以外のジアミンは、上記特定構造を有するジアミン等に限定されない。これらの上記以外のジアミンの例としては、下記式[2]で表されるものが挙げられる。
Figure 2021081559
上記式[2]中、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数2〜5のアルキニル基を表す。なかでも、モノマーの反応性の点から、A及びAは、水素原子又はメチル基が好ましい。また、Y11の構造を例示すると、下記式(Y−1)〜(Y−178)が挙げられる。
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559
Figure 2021081559

上記式中、特にnの範囲の記載が無いものについては、nは1〜6の整数である。また、上記式中、Meはメチル基を表す。
Figure 2021081559
Figure 2021081559

上記式中、Bocは、tert−ブトキシカルボニル基を表す。
以上説明した上記以外のジアミンは、2種以上組み合わせて用いることができる。ジアミン成分が上記以外のジアミンを含有する場合、特定重合体における、その他のジアミンに対する特定ジアミンは、特定ジアミンが5〜70mol%、好ましくは10〜50mol%、より好ましくは10〜40mol%となる量がよい。
本発明に用いるポリイミド前駆体は、ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体との反応から得られるものであり、ポリアミック酸やポリアミック酸エステル等が挙げられる。
式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体が、式(5)で表される構造単位を同時に含む場合、式(3)で表される構造単位は、式(3)と式(5)の合計に対して10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは30モル%以上である。
本発明に用いるポリイミド前駆体の分子量は、重量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。
式(1)で表される1価の基を有するポリイミドとしては、前記のポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドが挙げられる。このポリイミドにおいては、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整できる。
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、又はポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記の特定重合体を含有するが、異なる構造の特定重合体を2種以上含有していてもよい。また、特定重合体に加えて、その他の重合体、すなわち式(1)で表される1価の基を有さない重合体を含有していてもよい。重合体の形式としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン又はその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。本発明の液晶配向剤がその他の重合体を含有する場合、全重合体成分に対する特定重合体の割合は5質量%以上が好ましく、例えば5〜95質量%が挙げられる。
液晶配向剤は、均一な薄膜を形成させるという点から、一般的には塗布液の形態をとる。本発明の液晶配向剤も、上記重合体成分と、この重合体成分を溶解させる有機溶媒とを含有する塗布液であることが好ましい。その際、液晶配向剤中の重合体の濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更できる。均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、1質量%以上が好ましく、溶液の保存安定性の点から、10質量%以下が好ましい。特に好ましい重合体の濃度は、2〜8質量%である。
液晶配向剤に含有される有機溶媒は、重合体成分が均一に溶解するものであれば特に限定されない。具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等である。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有される有機溶媒は、上記溶媒に加えて、液晶配向剤を塗布する際の塗布性や塗膜の表面平滑性を向上させる溶媒を用いることもできる。かかる有機溶媒の具体例を下記に挙げる。
例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、4,6−ジメチル−2−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、上記式[D−1]〜[D−3]で表される溶媒等を挙げることができる。
なかでも、有機溶媒は、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノブチルエーテル又はジプロピレングリコールジメチルエーテルを用いることが好ましい。このような溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤の塗布装置、塗布条件、塗布環境等に応じて適宜選択される。
本発明の液晶配向剤は、重合体成分及び有機溶媒以外の成分を追加的に含有してもよい。このような追加成分としては、液晶配向膜と基板との密着性や、液晶配向膜とシール材との密着性を高めるための密着助剤、液晶配向膜の強度を高めるための架橋剤、液晶配向膜の誘電率や電気抵抗を調整するための誘電体や導電物質等が挙げられる。これら追加成分の具体例としては、国際公開第2015/060357号の53頁段落[0104]〜60頁段落[0116]に開示される貧溶媒や架橋性化合物が挙げられる。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物としては、官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられ、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン又はN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
本発明の液晶配向剤は、液晶配向膜の機械的強度を上げるために以下のような添加物を含有していてもよい。
Figure 2021081559
上記の添加剤は、液晶配向剤に含有される重合体成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると効果が期待できず、30質量部を超えると液晶の配向性を低下させるため、より好ましくは0.5〜20質量部である。
本発明の液晶配向剤には、上記の他、本発明に記載の特定重合体以外の重合体、液晶配向膜の誘電率や導電性等の電気特性を変化させる目的の誘電体、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる目的のシランカップリング剤、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物、更には塗膜を焼成する際にポリイミド前駆体の加熱によるイミド化を効率よく進行させる目的のイミド化促進剤等を含有せしめてもよい。
<液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、前記液晶配向剤から得られる。液晶配向剤から液晶配向膜を得る方法の一例を挙げるなら、塗布液形態の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られた膜に対して、ラビング処理法又は光配向処理法で配向処理を施す方法が挙げられる。なお、VA方式においては、配向処理を施さずに、そのまま用いることもできる。
液晶配向剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板、ポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などが一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブン等の加熱手段により、溶媒を蒸発させ、焼成する。液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択できる。乾燥の工程は、必ずしも必要とされないが、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合、又は塗布後ただちに焼成されない場合には、乾燥工程を行うことが好ましい。この乾燥は、基板の搬送等により塗膜形状が変形しない程度に溶媒が除去されていればよく、その乾燥手段については、例えば、温度40℃〜150℃、好ましくは60℃〜100℃のホットプレート上で、0.5分〜30分、好ましくは1分〜5分乾燥させる方法が挙げられる。
液晶配向剤を塗布することにより形成された塗膜の焼成温度は、例えば100〜350℃、好ましくは120〜300℃であり、さらに好ましくは150℃〜250℃である。焼成時間は5分〜240分、好ましくは10分〜90分であり、より好ましくは20分〜90分である。加熱は、通常公知の方法、例えば、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などで行うことができる。
焼成後の液晶配向膜の厚みは、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nmであることが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理を実施する。配向能付与処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理、塗膜に対して偏光又は非偏光の放射線を照射する光配向処理などが挙げられる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用できるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。
光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、LEDランプなどを使用することができる。好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。放射線の照射量は、好ましくは100〜50,000J/mであり、より好ましくは300〜20,000J/mである。
塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。加温の際の温度は、通常30〜250℃であり、好ましくは40〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。
光配向処理は、光照射時に加熱処理を施してもよく、光配向処理後に加熱処理を行っても良い。このときの加熱温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。加熱時間は、好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。また、前記加熱処理の代わりに、有機溶媒や水による洗浄処理を行ってもよく、洗浄処理と加熱処理を組み合わせても良い。
ラビング処理後の液晶配向膜に対して更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA(Polymer Sustained Alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。
本発明の液晶配向膜は、IPS方式やFFS(Fringe Field Switching)方式などの横電界方式の液晶表示素子の液晶配向膜としても好適であり、VA方式、特にPSAモードの液晶表示素子の液晶配向膜としても有用である。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して素子としたものである。作製可能な液晶表示素子の具体例としては、対向するように配置された2枚の基板と、基板間に設けられた液晶層と、基板と液晶層との間に設けられ本発明の液晶配向剤により形成された上記液晶配向膜と、を有する液晶セルを具備する液晶表示素子である。より具体的には、本発明の液晶配向剤を2枚の基板上に塗布して焼成することにより液晶配向膜を形成し、この液晶配向膜が対向するように2枚の基板を配置し、この2枚の基板の間に液晶で構成された液晶層を挟持し、すなわち、液晶配向膜に接触させて液晶層を設けた液晶表示素子であり、PSAモードにおいては、さらに液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射することで作製される液晶セルを具備する液晶表示素子である。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。具体的には、透明な基板を準備し、次に、前記のような条件で、各基板の上に液晶配向膜を形成する。基板は上記のとおり、通常は、基板上に液晶を駆動するための透明電極が形成された基板である。具体例としては、上記液晶配向膜で記載した基板と同様のものを挙げることができる。
一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO−TiOからなる膜とすることができる。
PSAモードの液晶表示素子においては、片側基板に例えば1〜10μmのライン/スリット電極パターンを形成し、対向基板にはスリットパターンや突起パターンを形成していない構造においても動作可能であり、この構造の液晶表示素子によって、製造時のプロセスを簡略化でき、高い透過率を得ることができる。
IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板の電極形成面と、電極が設けられていない対向基板の一面とに液晶配向剤をそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用できる。
TFT型の素子のような高機能素子においては、液晶駆動のための電極と基板の間にトランジスタの如き素子が形成されたものが用いられる。
透過型の液晶表示素子の場合は、上記の如き基板を用いることが一般的であるが、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な基板も用いることが可能である。その際、基板に形成された電極には、光を反射するアルミニウムの如き材料を用いることもできる。
垂直配向方式の液晶表示素子の液晶層を構成する液晶材料は特に限定されず、従来の垂直配向方式で使用される液晶材料、例えば、メルク社製のMLC−6608やMLC−6609、MLC−3022などのネガ型の液晶を用いることができる。また、PSAモードでは、重合性化合物を含有する液晶であるMLC−3023を用いることが出来る。その他にも、例えば下記式で表されるような重合性化合物含有の液晶を使用することができる。
Figure 2021081559
IPSやFFS等の水平配向方式の液晶表示素子の液晶層を構成する液晶材料は、従来水平配向方式で使用される液晶材料、例えば、メルク社製のMLC−2003やMLC−2041などのネガポジ型の液晶やMLC−6608などのネガ型の液晶も用いることができる。
液晶層を2枚の基板の間に挟持させる方法としては、公知の方法を挙げることができる。例えば、液晶配向膜が形成された1対の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜上にビーズ等のスペーサーを散布し、液晶配向膜が形成された側の面が内側になるようにしてもう一方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法が挙げられる。また、液晶配向膜が形成された1対の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜上にビーズ等のスペーサーを散布した後に液晶を滴下し、その後液晶配向膜が形成された側の面が内側になるようにしてもう一方の基板を貼り合わせて封止を行う方法でも液晶セルを作製できる。上記スペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
PSAモード方式に於いては、液晶を挟持させた後、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射することにより液晶セルを作製する。この工程としては、例えば基板上に設置されている電極間に電圧をかけることで液晶配向膜及び液晶層に電界を印加し、この電界を保持したまま紫外線を照射する方法が挙げられる。ここで、電極間にかける電圧としては、例えば5〜30Vp−p又はDC2.5〜15V、好ましくは10〜30Vp−p又はDC5〜15Vである。また、照射する光としては、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、前記のとおりである。紫外線の照射量は、例えば、1〜60J、好ましくは40J以下であり、紫外線照射量が少ないほうが、液晶表示素子を構成する部材の破壊により生じる信頼性低下を抑制でき、かつ紫外線照射時間を減らせることで製造効率が上がるので好適である。
上記のように、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射すると、重合性化合物が反応して重合体を形成し、この重合体により液晶分子が傾く方向が記憶されることで、得られる液晶表示素子の応答速度を速くすることができる。また、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射すると、液晶を垂直に配向させる側鎖と、光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体が有する光反応性の側鎖同士や、重合体が有する光反応性の側鎖と重合性化合物が反応するため、得られる液晶表示素子の応答速度を速くすることができる。
以上の工程が終了した後、液晶セルに偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付けることが好ましい。
本発明の液晶配向膜及び液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤を用いている限り限定されるものでは無く、その他の公知の手法で作製されたものであっても良い。液晶配向剤から液晶表示素子を得るまでの工程は、例えば、日本特開公報2015-135393の17頁[0074]〜19頁[0081]に開示されている。
本発明の液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置に用いることができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例において使用した化合物の略号の意味を以下に示す。
(酸二無水物)
BODA:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
(ジアミン)
PDA:p−フェニレンジアミン
下記式DA−1〜DA−4で表される側鎖型ジアミン
Figure 2021081559

<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
<添加剤>
3AMP:3−ピコリルアミン
<ポリイミドの分子量測定>
測定装置:センシュー科学社製 常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(SSC−7200)、
カラム:Shodex社製カラム(KD−803、KD−805)、カラム温度:50℃、溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)、
流速:1.0ml/分、
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量約9000,000、150,000、100,000、30,000)、および、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
<イミド化率の測定>
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d、0.05%TMS混合品)1.0mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム社製NMR測定器(JNW−ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。
(化学)イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミック酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。なお、式中、xはアミック酸のNH基由来のプロトンピーク積算値であり、yは基準プロトンのピーク積算値であり、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミック酸のNH基のプロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
DA−1は文献等未公開の新規化合物であり、以下に合成法を詳述する。
下記合成例1に記載の生成物は1H−NMR分析により同定した(分析条件は下記の通り)。
装置:Varian NMR System 400 NB (400 MHz)
測定溶媒:DMSO−d
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0 ppm for H)
<<合成例1 DA−1の合成>>
Figure 2021081559
<化合物[1]の合成>
4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド(25.0g,0.150mol)に対し、テトラヒドロフラン(130g)、トリエチルアミン(19.8g,0.196mol)を仕込み、50 ℃で加熱撹拌した。滴下ロートに、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(31.0g,0.167mol)、テトラヒドロフラン(25.0g)を仕込み、滴下し、50 ℃で終夜撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られたクルードにメタノール/水=1/1混合溶媒(110g)を加えてスラリー洗浄した。これを濾過し、メタノール(50g)でケーキ洗浄した。得られた結晶に対し、テトラヒドロフラン(200g)を加え55 ℃で加熱撹拌し、室温に冷却しながらメタノール(200g)を加えて晶析させた。これを濾過し、メタノール(100g)でケーキ洗浄し、得られた結晶を乾燥させ、化合物[1]を得た(収量:48.4g,0.146mol,収率97%)。
H−NMR(400MHz) in DMSO−d:9.89(s,1H),8.78(d,J=2.8Hz,1H),8.56−8.53(m,1H),7.89−7.87(m,2H),7.69(d,J=9.6Hz,1H),7.19−7.16(m,2H),4.75−4.74(m,2H),4.51−4.50(m,2H).
<化合物[2]の合成>
化合物[1](15.0g,0.0451mol)に対し、パラ−トルエンスルホン酸一水和物(0.088g,0.463mmol)、エチレングリコール(6.26g,0.101mol)、トルエン(91.5g)を仕込み、ディーン・スターク装置を用いて加熱還流条件で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温に戻すと目的物が結晶化したため、得られた結晶にトルエン/水=1/1混合溶媒(180g)を加えてスラリー洗浄し、濾過し、得られた結晶をトルエン(180g)でケーキ洗浄した。得られた結晶を乾燥させ、化合物[2]を得た(収量:16.9g,0.0448mol,収率99%)。
H−NMR(400MHz) in DMSO−d:8.78(s,1H),8.55−8.52(m,1H),7.70−7.67(m,1H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),6.97(d,J=8.8Hz,2H),5.66(s,1H),4.71−4.69(m,2H),4.39−4.37(m,2H),4.08−4.00(m,2H),3.96−3.88(m,2H).
<DA−1の合成>
化合物[2](15.9g,0.0423mol)に対し、テトラヒドロフラン(477g)を加え、窒素置換した後、5%パラジウムカーボン(含水品)(1.27g)を加え窒素置換し、水素テドラーバッグを取り付け40 ℃で加熱、終夜撹拌した。反応終了後、メンブレンフィルターに通しパラジウムカーボンを除去後、濾液を濃縮したところ結晶が析出した。得られた結晶に対し、ヘキサン(200g)を加えてスラリー洗浄し、濾過し、ヘキサン(100g)でケーキ洗浄した。得られた結晶を乾燥させ、DA−1を得た(収量:12.1g,0.0381mol,収率96%)。
H−NMR(400MHz) in DMSO−d:7.38−7.34(m,2H),7.00−6.96(m,2H),6.55(d,J=8.4Hz,1H),5.94(d,J=2.4Hz,1H),5.76−5.74(m,1H),5.66(s,1H),4.48(br,2H),4.42(br,2H),4.25−4.22(m,2H),4.09−4.07(m,2H),4.06−4.02(m,2H),3.93−3.90(m,2H).
<実施例1>
BODA(3.75g、15.0mmol)、DA−1(4.75g、15.0mmol)、DA−3(5.71g、15.0mmol)をNMP(56.8g)中で溶解し、60℃で5時間反応させたのち、CBDA(2.88g、14.7mmol)とNMP(11.5g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA)溶液(10g)にNMP(10.0g)BCS(13.3g)を加え6重量%に希釈し、室温で3時間攪拌し、液晶配向剤(A−1)を調製した。
<実施例2>
実施例1で得られたポリアミック酸溶液(50g)にNMPを加え8質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(8.9g)、およびピリジン(2.8g)を加え、70℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(550ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(P−1)を得た。このポリイミドのイミド化率は75%であり、数平均分子量は18000、重量平均分子量は38000であった。
得られたポリイミド粉末(P−1)(3.0g)にNMP(22.0g)を加え、70℃にて20時間攪拌して溶解させた。この溶液に3AMP(1質量%NMP溶液)3.0g、NMP(2.0g)、BCS(20.0g)を加え、室温で5時間攪拌することにより液晶配向剤(S−1)を得た。
<比較例1〜4>
使用するモノマーの種類及び量を下記の表1に記載の通り変更した点以外は実施例1、実施例2と同様にして液晶配向剤(A−2、A−3)、(S−2、S−3)を調製した。
Figure 2021081559
<比較例5>
BODA(3.75g、15.0mmol)、DA−4(4.78g、15.0mmol)、DA−3(5.71g、15.0mmol)をNMP(91.7g)中で溶解し、60℃で5時間反応させたのち、CBDA(2.88g、14.7mmol)とNMP(21.1g)を加え、40℃で10時間反応させたところ、反応溶液がゲル化した。
<ラビング耐性の評価>
液晶配向剤を、全面にITO電極が付いたガラス基板のITO面にスピンコートし、70℃のホットプレート上で90秒仮乾燥させた。その後、230℃のIR式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させて、液晶配向膜付き基板を得た。この液晶配向膜を、レーヨン布でラビング(ローラー直径:120mm、ローラー回転数:1000rpm、移動速度:20mm/sec、押し込み長:0.6mm)した。本基板を顕微鏡にて観察を行い、膜面にラビングによるスジや削れカスが全く見られなかったものを「優良」、わずかにカスが見えたものを「良好」、酷いスジや削れカスがみられたものを「不良」として評価した。
液晶配向剤A−1〜S−3について、上記ラビング耐性の評価を実施した。結果を下記表2に示す。
Figure 2021081559
表2に示されるように、環状アセタール基を有するジアミンを用いた重合体では、ラビング処理によるスジはみられず非常に良好であった。一方、環状アセタール基を含まない比較例は、ラビングによるスジや削れカスが多くみられた。
これは配向膜の焼成時にアルデヒド基が発生し、ポリマー間で架橋反応が起こったためであると考えられる。
また、比較例5で示されるように、アルデヒド保護基の部位が環状でない場合は、重合時の酸や熱によってアルデヒドが生じ、アミンと反応することで3次元架橋してゲル化してしまう。そのため、アルデヒド保護基の部位は環状である必要がある。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される環状アセタール基を有する重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
    Figure 2021081559

    (Rは水素又は一価の有機基を表し、nは0〜2の整数であり、*は他の基に結合する部位を表す。)
  2. 前記式(1)で表される環状アセタール基を有する重合体が、下記式(2)で表されるジアミンに由来する重合体である、請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2021081559

    (Rおよびnの定義は、上記式(1)と同様である。Arはフェニレン、ナフチレン、ビフェニレンから選ばれる芳香族炭化水素基を示し、それらには有機基が置換していても良く、水素原子はハロゲン原子に置き換わっていても良い。T、Tはそれぞれ独立して、単結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−CHO−、−N(CH)−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−の結合基であり、Wは単結合もしくは非置換もしくはフッ素原子によって置換されている炭素原子数1〜20のアルキレン基(ただしアルキレン基の-CH-または-CF-は-CH=CH-で任意に置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられていてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、二価の炭素環、二価の複素環。)である。)
  3. 前記環状アセタール基を有する重合体が、下記式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2021081559

    (Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基を表す。Yは式(1)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
  4. 前記式(3)中、Xの構造が下記構造中から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の液晶配向剤。
    Figure 2021081559

    Figure 2021081559
  5. 前記式(3)で表される構造単位が、前記重合体の全構造単位に対して10モル%以上である、請求項3又は4に記載の液晶配向剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
  7. 請求項6に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
  8. 下記式(2)で表される環状アセタール基を有するジアミン。
    Figure 2021081559

    (各記号の定義は、請求項2における記載と同じである。)
  9. 請求項8に記載のジアミンを由来とする環状アセタール基を有する重合体。
  10. 前記環状アセタール基を有する重合体が、下記式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドである、請求項9に記載の重合体。
    Figure 2021081559

    (各記号の定義は、請求項3における記載と同じである。)
  11. 前記式(3)中、Xの構造が下記構造中から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の重合体。
    Figure 2021081559

    Figure 2021081559
  12. 前記式(3)で表される構造単位が、前記重合体の全構造単位に対して10モル%以上である、請求項10又は11に記載の重合体。
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