JP2021081003A - 空気ばね - Google Patents
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Abstract
【課題】さらなる構造工夫により、より大きな大荷重や捻り荷重にも耐えての性能向上が図れるように、ピストンと筒状ゴム膜との連結部の気密性がさらに改善された空気ばねを提供する。【解決手段】筒状ゴム膜1と、これの軸心P方向の一端部1Aに気密接合される板状基盤2と、筒状ゴム膜1の軸心P方向の他端部1Bに気密接合されるピストン3とが備えられ、筒状ゴム膜1の弾性変形に伴って他端部側が折り返されて成る裏返し筒部分1Cを転動案内可能な周面3cがピストン3に形成されている空気ばねであって、ピストン3におけるゴム膜1の他端部1Bが気密接合されるピストン嵌合面3Kに、リング状の弾性シートSが設けられている。【選択図】図1
Description
本発明は、バス、トラック自動車、或いは鉄道車両等に好適に用いられる空気ばね、いわゆるローリング型のダイヤフラムを有する空気ばねに関するものである。
この種の空気ばね、即ち、筒状ゴム膜と、これの軸心方向の一端部に気密接合される大径板状部材と、筒状ゴム膜の軸心方向の他端部に気密接合されるピストンとを有し、筒状ゴム膜の弾性変形に伴って他端部側が折り返されて成る裏返し筒部分を転動案内可能な周面が前記ピストンに形成されている空気ばねは、特許文献1において開示されている。
空気ばねにおいては、内圧を封じ込めて使用するため、安定した気密性が保持されることが求められる。特に、ピストンと筒状ゴム膜との連結部は、自動車のホイールとタイヤのように圧入的に嵌め合わせる構造で気密性を保持しなければならない。
例えば、より多くの乗員を乗せるバスや積載荷重を増大したトラックに適用可能となるように、空気ばねを、その大きさや仕様を変えずに、より大荷重に耐えるものとすることが今後の技術課題となることが予測される。
例えば、より多くの乗員を乗せるバスや積載荷重を増大したトラックに適用可能となるように、空気ばねを、その大きさや仕様を変えずに、より大荷重に耐えるものとすることが今後の技術課題となることが予測される。
また、特許文献1の図2右側に描かれたように、低床バスなどに採用される空気ばねは、ローリング軸心(25)から上方及び横側方の双方に離れた箇所に配置されるので、クッションに伴い空気ばね(1)には単純な上下荷重だけでなく捻り荷重も作用する。従って、筒状ゴム膜とピストンとの連結部には、より厳しい気密性が求められる。
本発明の目的は、構造工夫により、より大きな大荷重や捻り荷重にも耐えての性能向上が図れるように、ピストンと筒状ゴム膜との連結部の気密性がさらに改善された空気ばねを提供する点にある。
本発明は、筒状ゴム膜1と、これの軸心P方向の一端部1Aに気密接合される板状基盤2と、前記筒状ゴム膜1の軸心P方向の他端部1Bに気密接合されるピストン3とが備えられ、前記筒状ゴム膜1の弾性変形に伴って前記他端部側が折り返されて成る裏返し筒部分1Cを転動案内可能な周面3cが前記ピストン3に形成されている空気ばねにおいて、
前記ピストン3における前記筒状ゴム膜1の他端部1Bが気密接合されるピストン嵌合面3Kに、リング状の弾性シートSが設けられていることを特徴とする。
前記ピストン3における前記筒状ゴム膜1の他端部1Bが気密接合されるピストン嵌合面3Kに、リング状の弾性シートSが設けられていることを特徴とする。
前記ピストン嵌合面3Kは、前記筒状ゴム膜1の他端部1Bが外嵌される外周面3tと、前記軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で前記外周面3tに続くフランジ側周面3sとを有し、
前記弾性シートSは、前記フランジ側周面3s及び/又は前記外周面3tに設けられていると好都合である。
前記弾性シートSは、前記フランジ側周面3s及び/又は前記外周面3tに設けられていると好都合である。
また、前記ピストン3は、前記筒状ゴム膜1の他端部1Bが外嵌される側周壁3fと、前記軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で前記側周壁3fの一端部側に続くフランジ部3eと、前記軸心Pに対する径方向の内側に広がる状態で前記側周壁3fの他端部側に続く底壁3gとを有し、
前記ピストン嵌合面3Kは、前記側周壁3fの外周面3tと、前記フランジ部3eにおける底壁側の面であるフランジ側周面3sとから形成さるように構成しても好都合である。
この場合、前記弾性シートSは、前記外周面3tから前記底壁3gの外面3vにまで延長形成されているとより好都合である。
前記ピストン嵌合面3Kは、前記側周壁3fの外周面3tと、前記フランジ部3eにおける底壁側の面であるフランジ側周面3sとから形成さるように構成しても好都合である。
この場合、前記弾性シートSは、前記外周面3tから前記底壁3gの外面3vにまで延長形成されているとより好都合である。
そして、前記弾性シートはゴム製であるのがよく、また、前記弾性シートは加硫接着により前記ピストン嵌合面3Kに取り付けられていると好都合である。
本発明によれば、ピストン嵌合面にリング状の弾性シートが設けられていて、筒状ゴム膜の他端部と弾性シートとが圧入嵌合されるので、筒状ゴム膜の他端部が金属製の台座部に圧入嵌合される従来構造のものよりも、ピストンと筒状ゴム膜との摩擦力が強く(摩擦係数が高く)なる。つまり、ピストンと筒状ゴム膜との外れ難さが従来の空気ばねよりも増すので、サイズを変えずに空気ばねとしての耐荷重が増えるとか、従来の空気ばねより大きな捻り荷重(図4参照)に耐えられるといった効果を得ることができる。
その結果、さらなる構造工夫により、より大きな大荷重や捻り荷重にも耐えての性能向上が図れるように、ピストンと筒状ゴム膜との連結部の気密性がさらに改善された空気ばねを提供することができる。
以下に、本発明による空気ばねの実施の形態を、バスやトラック自動車に適したものとして、特に低床バスに好適なものについて図面を参照しながら説明する。
実施形態1による空気ばねAは、図1に示されるように、縦向きの軸心Pを有するダイヤフラム(筒状ゴム膜の一例)1と、これの上端である上ビード部(軸心P方向の一端部の一例)1Aに気密接合される軸心Yを有する例えば板金製のアッパープレート(板状基盤の一例)2と、ダイヤフラム1の下端である下ビード部(軸心P方向の他端部の一例)1Bに気密接合されるピストン3とを有して構成されている。ピストン3には、ダイヤフラム1の弾性変形に伴って下端部側が折り返されて成る裏返し筒部分1Cを転動案内可能な周面3cが形成されている。ピストン3は、空気ばねAを構成する下部構造体aに含まれる部品である。
上記空気ばねAは、例えば図6に示されるように、低床バス(鉄道車両、トラック等でも良い)において用いられる。即ち、車体10におけるタイヤハウス部分11の下面11aにフレーム(ばね上側部材)Fを介してアッパープレート2が取付けられている。一つ又は複数の固定ボルト4などを有するアッパープレート2(図3を参照)には、ダイヤフラム1の上ビード部1A(図1参照)が支持されており、前記固定ボルト4によってフレームFに取付けられている。
アクスル12上の脚部材13に取付けられるピストン3は、図1に示されるように、比較的肉厚の薄い本体筒部3Aと、比較的肉厚の厚い台座部3Bとの二つの部材の一体化により構成されている。
本体筒部3Aは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが載せ付けられるリング状の窪み上壁3aと、その外周から一端上に上がるように続く頂環部3b、頂環部3bから続く若干下拡がり状の周面(周壁)3c、周面3cから続いて大きく下拡がりしているテーパ周壁3dとを有する状態に形成されている。
本体筒部3Aは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが載せ付けられるリング状の窪み上壁3aと、その外周から一端上に上がるように続く頂環部3b、頂環部3bから続く若干下拡がり状の周面(周壁)3c、周面3cから続いて大きく下拡がりしているテーパ周壁3dとを有する状態に形成されている。
台座部3Bは、下ビード部1Bが外嵌される側周壁3fと、軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で側周壁3fの上端部側(一端部側)に続くフランジ部3eと、軸心Pに対する径方向の内側に広がる状態で側周壁3fの下端部側(他端部側)に続く底壁3gとを有する深皿状のような形状を呈する部材に形成されている。
互いに独立した部材である本体筒部3Aと台座部3Bとは、下ビード部1Bを介して一体化されている。すなわち、フランジ部3eに当て付けられる状態で周側壁3fに圧入外嵌されている下ビード部1Bを、周側壁3fを外囲する状態の窪み上壁3aで下から支えるように本体筒部3Aと台座部3Bとが相対配置されている。
底壁3gの下面側には、円筒状の下パイプ材5を介して軸心Pを中心とする抜き孔6a付きの底板6が溶接などにより一体化されている。底板6は、複数のボルト7が固定されており、それらボルト7により、例えば、図6に示すように、脚部材13に螺着により固定される。脚部材13に取り付けられた空気ばねAでは、台座部3Bは、フランジ部3eと脚部材13との間で挟まれて支持されており、下ビード部1Bが若干上下に圧縮されることによる弾性を用いてよりしっかりと位置固定されると好都合である。
底壁3gの上面側には、下パイプ材5と同じ材料による上パイプ材8が立設状態で溶接などにより一体化されており、その上端には厚肉の支持板9が溶接などにより一体化されている。支持板9には、その上に載せ付けられる厚肉の偏芯板18を介してストッパ14が取付けられている。弾性材製のストッパ14は、底板6、下パイプ材5、上パイプ材8、ピストン3、ボルト7などからなる下部構造体aに載置支持されている。
なお、下部構造体aは、図示は省略するが、底壁3gを中心の大孔を有する環状のものとし、上パイプ材8と下パイプ材5とに相当する1個のパイプ材を底壁3gの前記大孔を通して配置する構造のものとすることは可能である。この場合、図1に示される構造の下部構造体aのように、ピストン3の内外が密封されているのと同じにするには、大孔付き底壁と1個のパイプ材とを全周溶接などによって密閉すればよい。
ストッパ14は、図1,2に示されるように、偏芯板18を介して支持板9に単一の取付ボルト15により取付けられる板金製のベース板16と、このベース板16上に一体化されるゴム製の弾性部17とを有して構成されている。ストッパ14は、軸心Pに対して横方向に所定の間隔dだけ寄せられた軸心Xを持つ偏芯状態で下部構造体aに装備されている。
弾性部17は軸心X(P)方向視で円形ドーナツ状であり、かつ、偏り方向である左右方向Rに関して軸心P側となる端面がカットされたD形状を呈するものに形成されている。弾性部17は、これと同様のD形状に形成されているベース板16に加硫接着などにより一体化されている。
弾性部17は軸心X(P)方向視で円形ドーナツ状であり、かつ、偏り方向である左右方向Rに関して軸心P側となる端面がカットされたD形状を呈するものに形成されている。弾性部17は、これと同様のD形状に形成されているベース板16に加硫接着などにより一体化されている。
図1、図2、図5に示されるように、弾性部17の中心空所17Aに配置される軸心P方向に向く取付ボルト15は、ベース板16の中心1箇所に形成されている孔16B、及び偏芯板18の孔18Aを通して支持板9の雌ねじ部9aに、平ワッシャやばねワッシャを伴うことある状態で螺着されている。この、軸心Pから左右方向に離れた軸心Xを中心とする1箇所のボルト止め構造により、ストッパ14はピストン3に(下部構造体aに)支持されている。
支持板9は、図2(A),(B)に示されるように、軸心P方向視で前記間隔dを有する長円(角丸長方形)に形成されており、軸心X方向視でベース板16と同じD形の偏芯板18が溶接などにより一体化されている。なお、偏芯板18に、取付ボルト15に対する雌ねじ部を設けてもよい。
支持板9は、図2(A),(B)に示されるように、軸心P方向視で前記間隔dを有する長円(角丸長方形)に形成されており、軸心X方向視でベース板16と同じD形の偏芯板18が溶接などにより一体化されている。なお、偏芯板18に、取付ボルト15に対する雌ねじ部を設けてもよい。
図2、図3(A),(B)に示されるように、アッパープレート2には、前述の固定ボルト4と、ダイヤフラム1の内部へのエア流通用の筒状部材19とが、軸心P(Y)に対して径方向に離れる状態に振り分けて配備されている。
上方突出する固定ボルト4は、その頭部4aがアッパープレート2の下面2aの側に位置する状態で貫通配備され、同じく上方突出するとともに外周に雄ねじ19aを有する筒状部材19は、その下端大径部19bがアッパープレート2の下面2aの下側に位置する状態で貫通配備されている。アッパープレート2は、これら2個のボルトとして機能する固定ボルト4及び筒状部材19を用いてフレームFに固定される(図6参照)。
上方突出する固定ボルト4は、その頭部4aがアッパープレート2の下面2aの側に位置する状態で貫通配備され、同じく上方突出するとともに外周に雄ねじ19aを有する筒状部材19は、その下端大径部19bがアッパープレート2の下面2aの下側に位置する状態で貫通配備されている。アッパープレート2は、これら2個のボルトとして機能する固定ボルト4及び筒状部材19を用いてフレームFに固定される(図6参照)。
図1、図2、図5に示されるように、ストッパ14の上端部に、薄肉で板状のシート状体20を設ける構成を取ることもできる。シート状体20は、例えばフッ素樹脂からなる厚さ1mm前後の滑り促進シートであって、接着剤による接着及び/又は加硫接着により弾性部17の上面に一体化されている。中心空所17Aに対応する通孔20Aが形成されているシート状体20は、弾性部17の形状に合わせた平面視形状とされているが、その限りではない。シート状体20は、これとアッパープレート2との摩擦力が弾性部17とアッパープレート2との摩擦力よりも小となる材料製である。当然ながら、シート状体20を有さないストッパ14でも良い。
図2に示されるように、ストッパ14は、軸心P(Y)に対して、固定ボルト4及び筒状部材19の振り分け方向である前後方向Qと直交する左右方向(交差する方向)Rに偏らせて配置されている。従って、図2(A)に示されるように、軸心P(Y)方向視において、ストッパ14はアッパープレート2に対して左右方向Rに偏って配置される構成の空気ばねAとされている。その理由は次に述べるとおりである。
ストッパ14は、主として、ダイヤフラム1がデフレート状態(空気抜き時やパンクなど)になったときに、ダイヤフラム1の空気による懸架作用(エアサス)に代わってアッパープレート2を弾性支持するものである。また、沈み方向に過剰にクッションされたときに、下部構造体aがアッパープレート2をダイレクトに突き上げて、空気ばねAを損壊するおそれが起きないようにする保護部材としても機能する。
図1の空気ばねAは、裏返し筒部分1Cが周面3cに位置している状態を示しており、アッパープレート2の軸心Yとピストン3の軸心(下部構造体aの軸心)Pとが一直線上にあって一致している状態を示している。
図1の空気ばねAは、裏返し筒部分1Cが周面3cに位置している状態を示しており、アッパープレート2の軸心Yとピストン3の軸心(下部構造体aの軸心)Pとが一直線上にあって一致している状態を示している。
さて、図6に示される低床バスへの装着例において、床壁10Aの直下にあるローリング軸心Kを中心に車体10がローリングした場合についての変化挙動の要部のみが図4に示されている。
図4は、図1に示す空気ばねAの要部を描いて検討されたものであり、車体10のセンターラインZ上に設定されるローリング軸心Kに関するローリングに伴う空気ばねAの変化を、位置固定されたアッパープレート2に対するピストン3の動きとして描いてある。
ダイヤフラム1及びピストン3として仮想線で描かれているのが標準状態(自由状態)であり、その上側の実線で描かれているのがクッション状態(車体が沈み込む状態)をそれぞれ示している。
図4は、図1に示す空気ばねAの要部を描いて検討されたものであり、車体10のセンターラインZ上に設定されるローリング軸心Kに関するローリングに伴う空気ばねAの変化を、位置固定されたアッパープレート2に対するピストン3の動きとして描いてある。
ダイヤフラム1及びピストン3として仮想線で描かれているのが標準状態(自由状態)であり、その上側の実線で描かれているのがクッション状態(車体が沈み込む状態)をそれぞれ示している。
空気ばねAは、標準状態においてはアッパープレート2の軸心Yとピストン3の軸心Pとが同一線上にある(図1参照)が、ピストン3がアッパープレート2に対して上がるクッション状態では、互いの軸心どうしY,Pが左右方向(横方向)に離れ、かつ、捩れた関係になる。ある程度のクッション状態では、図4に示されるように、ストッパ14は、その上端であるシート状体20がアッパープレート2の下面2aに当接して弾性部17が若干圧縮されており、アッパープレート2とストッパ14とは側面視で平行ではなく、相対角度差が付くとともに水平方向に位置ずれする。
つまり、大きくクッションしてストッパ14がアッパープレート2に当接する状態では、図4において、弾性部17の上端であるシート状体20の左側からアッパープレート2の下面2aに当接し、かつ、ストッパ14は上ビード部1Aに左右方向で近づくように横移動する。従って、ストッパ14の形状としては、図2に示されるように、横移動による上ビード部1Aとの当接おそれを回避しながら上下方向の弾性作用を得るべく、弾性部17及びシート状体20の左側部分がカットされたような平面視でD形のものが有効である。
このように、ストッパ14の弾性部17の上端に摩擦係数の小なるシート状体20が装備されていて、大荷重時などの空気ばねAが大きくクッションした場合には、ストッパ14は、その上端のシート状体20がアッパープレート2の下面2aに擦れながら圧縮、即ち引き摺られ当接する。
シート状体20とアッパープレート2との摩擦力(摩擦係数)は極低いものになり、弾性部17の捩じられながらの圧縮変形挙動が抵抗少なく円滑に行われるようになる。弾性部17とアッパープレート2とが当接する場合は、弾性による強い引き摺り(圧縮)と弾性解放による瞬発的な相対移動とが繰り返されてギシギシと不安定で振動のある当接状態となり、乗り心地(乗車感)に悪影響が出るが、本願の空気ばねAでは、弾性部17の捩じられながらの圧縮変形挙動が抵抗少なく円滑に行われて前述の悪影響が改善されるので、乗り心地を向上させることができる。
ストッパ14とアッパープレート2とが上下に圧縮されながら左右にずれ移動(スリップ)するので、場合によっては異音や騒音(スリップ音)の生じるおそれがあるが、本発明による空気ばねAでは、その異音や騒音のおそれが抑制又は回避されるようにもなる。また、弾性部17はアッパープレート2に間接的に当接されることになるので、引き摺られ当接による弾性部17の亀裂や破損のおそれが解消される利点もある。
図2、図5に示されるように、ベース板16に一体形成される平面視で円形の突起16Aと、支持板9に形成される平面視で円形の孔(穴や凹部でも良い)9Aとの嵌合により、取付ボルト15に起因する支持板9とベース板16(ピストン3とストッパ14)との軸心Xに関する相対回動移動を阻止する回り止め機構rが構成されている。「取付ボルト15に起因する…相対回動移動」とは、回し操作による締付けトルクに伴う連れ回り現象や、走行振動による軸心X回りの相対回動移動又はそのおそれ、或いは取付ボルト15の緩みに伴う相対回動移動などである。
空気ばねAにおいては、図1,2に示されるように、ストッパ14は、そのピストン3に対する軸心P周り(軸心X周り)の向きを定めて支持板9に取付ボルト15で取付ける必要がある。回り止め機構rが設けられているので、前述の回動移動の不都合が生じないとともに位置決め機能も発揮される。
シート状体20の材料であるフッ素樹脂種類は、PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFE、ECTFEなどが挙げられる。アッパープレート2の(下面2aの)に表面処理を施す場合は、電気亜鉛めっき、塗装(カチオン電着塗装、亜鉛めっき後シリコン樹脂塗装)などが挙げられる。
図4、図7に示されるように、ピストン3におけるダイヤフラム1の下ビード部1Bが気密接合されるピストン嵌合面3Kに、リング状の弾性シートSが設けられている。ピストン嵌合面3Kは、側周壁3fの外周面3tと、フランジ部3eにおける底壁3g側の面であるフランジ側周面3sとから形成されるとともに、弾性シートSは、外周面3tから底壁3gの外面(底面)3vにまで延長形成されている。
図7に示されるように、ゴム膜でなる弾性シートSは、フランジ部3eの外周から上面に回り込むまで上方で径内側に延び、かつ、外周面3tと外面3vとの間の湾曲角面3wを含んで外面3v(の外周部)まで延びる状態で台座部3Bに取り付けられている。弾性シートSは、接着剤による接着や加硫接着などにより台座部3Bに一体化されている。
下ビード部1Bと金属製の台座部3Bとが直接嵌合(当接)される場合より、ゴム製の弾性シートSと下ビード部1Bとが嵌合(当接)されるほうが、ピストン3とダイヤフラム1との摩擦力が強くなる(摩擦係数が高くなる)ので、下ビード部1Bが台座部3Bから外れ難くなる効果が得られる。従って、サイズを変えずに空気ばねAとしての耐荷重を増やせるとか、従来の空気ばねより大きな捻り荷重(図4参照)にも耐えられるといった好ましい効果を得ることができる。
〔別実施形態1〕
図8(A)に示されるように、ピストン嵌合面3Kは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが外嵌される外周面3tと、軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で外周面3tに続くフランジ側周面3sとを有し、弾性シートSは、フランジ側周面3sにのみ設けられる構成でもよい。弾性シートSは、平板リング状を呈するものに形成されている。
図8(A)に示されるように、ピストン嵌合面3Kは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが外嵌される外周面3tと、軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で外周面3tに続くフランジ側周面3sとを有し、弾性シートSは、フランジ側周面3sにのみ設けられる構成でもよい。弾性シートSは、平板リング状を呈するものに形成されている。
〔別実施形態2〕
図8(B)に示されるように、ピストン嵌合面3Kは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが外嵌される外周面3tと、軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で外周面3tに続くフランジ側周面3sとを有し、弾性シートSは、フランジ側周面3s及び外周面3tに設けられる構成でもよい。正確には、弾性シートSは、フランジ側周面3sと、外周面3tの上端部と、フランジ側周面3sと外周面3tとの間の内湾曲面3qとに亘る状態の嵌合面Kに取り付けられている。
図8(B)に示されるように、ピストン嵌合面3Kは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが外嵌される外周面3tと、軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で外周面3tに続くフランジ側周面3sとを有し、弾性シートSは、フランジ側周面3s及び外周面3tに設けられる構成でもよい。正確には、弾性シートSは、フランジ側周面3sと、外周面3tの上端部と、フランジ側周面3sと外周面3tとの間の内湾曲面3qとに亘る状態の嵌合面Kに取り付けられている。
〔別実施形態3〕
図示は省略するが、ピストン嵌合面3Kは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが外嵌される外周面3tと、軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で外周面3tに続くフランジ側周面3sとを有し、弾性シートSが外周面3tのみに設けられる構成でもよい。
図示は省略するが、ピストン嵌合面3Kは、ダイヤフラム1の下ビード部1Bが外嵌される外周面3tと、軸心Pに対する径方向の外側に広がる状態で外周面3tに続くフランジ側周面3sとを有し、弾性シートSが外周面3tのみに設けられる構成でもよい。
〔作用効果について〕
空気ばねAが、その取付け対象(脚部材13など)に組付けられた装着状態では、台座部3Bの外周面3tに下ビード部1Bが圧入外嵌され、かつ、本体筒部3Aの窪み上壁3aとフランジ側周面3sとの間で下ビード部1Bが密に当接されるか軽く圧縮されている。ピストン嵌合面Kに弾性シートSが取り付けられているので、弾性シートSが無い場合に比べて下ビード部1Bと嵌合面Kとの摩擦力が強く(摩擦係数が高く)なるので、下ビード部1Bとピストン3との外れ限界荷重が高く(大きく)なっての性能向上が確認された。
空気ばねAが、その取付け対象(脚部材13など)に組付けられた装着状態では、台座部3Bの外周面3tに下ビード部1Bが圧入外嵌され、かつ、本体筒部3Aの窪み上壁3aとフランジ側周面3sとの間で下ビード部1Bが密に当接されるか軽く圧縮されている。ピストン嵌合面Kに弾性シートSが取り付けられているので、弾性シートSが無い場合に比べて下ビード部1Bと嵌合面Kとの摩擦力が強く(摩擦係数が高く)なるので、下ビード部1Bとピストン3との外れ限界荷重が高く(大きく)なっての性能向上が確認された。
前記性能向上の度合いは、図8(A)に示される別実形態1による空気ばねAよりも、図8(B)に示される別実形態2による空気ばねAの方が強いことが確認された。また、図7に示される本実施形態による空気ばねAでは、弾性シートSの厚み分、外周面3tと下ビード部1Bとの圧入代が増すので、そのことによっても前記性能向上が図れられることが確認された。
下ビード部1Bを台座部3Bに圧入する際には、下ビード部1Bは湾曲角面3w又は外周面3tの下端から圧入され始めるので、弾性シートSが外周面3tに設けられている場合には、圧入に伴って下ビード部1Bに押される弾性シートSが皴になったり捲れたりするおそれがある。本実施形態による空気ばねでは、図7に示されるように、弾性シートSが湾曲角面3wを覆うまで延ばされて台座部3Bに一体化されているので、圧入に伴って下ビード部1Bに押されて皴になったり捲れたりするおそれなく、良好に圧入嵌合される利点がある。
この場合、図8(A)に示される別実施形態1による空気ばねAでは、弾性シートSは外周面3tには設けられていないので、圧入に伴う弾性シートSに皴や捲れが生じることはない。また、図8(B)に示される別実施形態2による空気ばねAでは、弾性シートSが外周面3tの上端(又は内湾曲面3qの下端)にまで設けられているが、圧入操作の最後において弾性シートSの下端部が若干上下に押されるに止まるので、皴や捲れの不都合は生じないと考えて差し支えない。
〔別実施例〕
弾性シートSの厚みは0.2mm〜1.5mmなど、種々に変更設定が可能である。また、弾性シートSの厚みと圧入代や下ビード部1Bの内径との寸法関係についても適宜に設定される。弾性シートSを、焼き付けやその他の一体化手段によりによりピストン嵌合面3Kに設けてもよい。
弾性シートSの厚みは0.2mm〜1.5mmなど、種々に変更設定が可能である。また、弾性シートSの厚みと圧入代や下ビード部1Bの内径との寸法関係についても適宜に設定される。弾性シートSを、焼き付けやその他の一体化手段によりによりピストン嵌合面3Kに設けてもよい。
1 筒状ゴム膜
1A 一端部(上ビード部)
1B 他端部(下ビード部)
1C 裏返し筒部分
2 板状基盤
3 ピストン
3K ピストン嵌合面
3e フランジ部
3f 側周壁
3g 底壁
3c 周面
3s フランジ側周面
3t 外周面
3v 底壁の外面
P 軸心
S 弾性シート
1A 一端部(上ビード部)
1B 他端部(下ビード部)
1C 裏返し筒部分
2 板状基盤
3 ピストン
3K ピストン嵌合面
3e フランジ部
3f 側周壁
3g 底壁
3c 周面
3s フランジ側周面
3t 外周面
3v 底壁の外面
P 軸心
S 弾性シート
Claims (6)
- 筒状ゴム膜と、これの軸心方向の一端部に気密接合される板状基盤と、前記筒状ゴム膜の軸心方向の他端部に気密接合されるピストンとが備えられ、前記筒状ゴム膜の弾性変形に伴って前記他端部側が折り返されて成る裏返し筒部分を転動案内可能な周面が前記ピストンに形成されている空気ばねであって、
前記ピストンにおける前記筒状ゴム膜の他端部が気密接合されるピストン嵌合面に、リング状の弾性シートが設けられている空気ばね。 - 前記ピストン嵌合面は、前記筒状ゴム膜の他端部が外嵌される外周面と、前記軸心に対する径方向の外側に広がる状態で前記外周面に続くフランジ側周面とを有し、
前記弾性シートは、前記フランジ側周面及び/又は前記外周面に設けられている請求項1に記載の空気ばね。 - 前記ピストンは、前記筒状ゴム膜の他端部が外嵌される側周壁と、前記軸心に対する径方向の外側に広がる状態で前記側周壁の一端部側に続くフランジ部と、前記軸心に対する径方向の内側に広がる状態で前記側周壁の他端部側に続く底壁とを有し、
前記ピストン嵌合面は、前記側周壁の外周面と、前記フランジ部における底壁側の面であるフランジ側周面とから形成されている請求項1に記載の空気ばね。 - 前記弾性シートは、前記外周面から前記底壁の外面にまで延長形成されている請求項3に記載の空気ばね。
- 前記弾性シートはゴム製である請求項1〜4の何れか一項に記載の空気ばね。
- 前記弾性シートは加硫接着により前記ピストン嵌合面に取り付けられている請求項5に記載の空気ばね。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019209104A JP2021081003A (ja) | 2019-11-19 | 2019-11-19 | 空気ばね |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019209104A JP2021081003A (ja) | 2019-11-19 | 2019-11-19 | 空気ばね |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021081003A true JP2021081003A (ja) | 2021-05-27 |
Family
ID=75964936
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019209104A Pending JP2021081003A (ja) | 2019-11-19 | 2019-11-19 | 空気ばね |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021081003A (ja) |
-
2019
- 2019-11-19 JP JP2019209104A patent/JP2021081003A/ja active Pending
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