JP2021079790A - 車両用ピラー構造 - Google Patents
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図1、図2において、本実施形態に係る車両用ピラー構造10は、フレーム構造16と、補強部材の一例としての繊維強化プラスチック18と、を有している。
図4(A)〜図4(C)に示されるように、繊維強化プラスチック18としてシート状のプリプレグを用いてもよい。プリプレグとは、ガラスクロス、炭素繊維のような繊維状補強材に、エポキシなどの熱硬化性樹脂を均等に含浸させ、加熱又は乾燥して半硬化状態にした強化プラスチック成形材料である。プリプレグを用いる場合、繊維方向をピラー長手方向に合わせてもよい。
図5に示される例では、透明部材26が中空に構成されている。繊維強化プラスチック18の構成については、図2、図4に示される例と同様である。
図6に示される例では、透明部材26として、車両外側寄りに位置する外側部材26Aと車両内側寄りに位置する内側部材26Bが設けられている。透明部材26A,26Bは、例えばそれぞれ板状に構成されている。つまり、透明部材26が2枚の透明な板状部材である外側部材26A及び内側部材26Bにより構成されている。車両内外方向において、外側部材26Aは内側部材26Bから離れて配置されている。
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図2において、本実施形態に係る車両用ピラー構造10では、透明部材26の外部及び内部の少なくとも一方に、透明部材26を補強する繊維強化プラスチック18が設けられているので、質量の増加を抑制しつつ強度・剛性を向上させることができる。また、繊維強化プラスチック18は、車両内外方向に光を通す透過領域を確保しつつ透明部材26を補強しているので、フロントピラー14を通じた視認性を確保できる。
図7、図8において、本実施形態に係る車両用ピラー構造20では、透明部材26に対する補強部材が、フロントピラー14の幅方向における第1フレーム21と第2フレームの間の間隙に密に配置され、互いに結合されたパイプ部材48とされている。パイプ部材48は、第1フレーム21及び第2フレームにもそれぞれ結合されている。結合手段は、例えば溶接や接着である。
図10に示される例では、パイプ部材48の車両外側の端面が、平断面において車両前側に凸曲面とされている。これにより、フロントピラー14の車両外側の面が、第1フレーム21、パイプ部材48(透明部材26、)及び第2フレーム22にわたって、例えば連続的な曲面で形成されている。
図11に示される例では、図8の構成に加えて、パイプ部材48が配置された領域の車両外側に透明部材46が配置されている。透明部材46の車両外側の面は、平断面において車両前側に凸となる曲面とされている。これにより、フロントピラー14の車両外側の面が、第1フレーム21、透明部材46及び第2フレーム22にわたって、例えば連続的な曲面で形成されている。
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図8において、本実施形態に係る車両用ピラー構造20では、第1フレーム21及び第2フレーム22の間隙に互いに結合されたパイプ部材48が密に配置されている。個々のパイプ部材48が互いに結合されていない場合、曲げ剛性の断面中心は個々のパイプ部材48の図心となるため、フロントピラー14の曲げ剛性は、パイプ部材48の1本分の曲げ剛性にパイプ部材48の本数を掛けたものとなる。これに対し、本実施形態のようにパイプ部材48が互いに結合されている場合には、フロントピラー14の曲げ剛性の断面中心はパイプ部材48の全体の図心となり、曲げ剛性は飛躍的に向上する。一例として、3本のパイプ部材48同士を接着した部材の曲げ剛性は、3本のパイプ部材48を束ねた部材の曲げ剛性の11倍となることが知られている(「複合化の世界」、裳華房、p.9)。このため、質量の増加を抑制しつつ、フロントピラー14の強度と曲げ剛性を向上させることができる。
図12、図13において、本実施形態に係る車両用ピラー構造30では、透明部材26に対する補強部材が、透明部材26の車両外側の表面及び車両内側の表面、又は透明部材26の車両外側の内部及び車両内側の内部に設けられたエキスパンドメタル58とされている。エキスパンドメタル58は、略菱形の空孔を有するメッシュ構造を有している。メッシュ構造は、ジグザグ状に延びる線状のメッシュ要素58Aの屈曲部が、隣り合うメッシュ要素58Aの屈曲部に結合されて構成されている。メッシュ要素58Aがジグザグに延びる方向は、例えばフロントピラー14の長手方向である。
図14に示される例では、エキスパンドメタル58の外側部材60Aが、透明部材26の車両外側の表面に設けられている。また、エキスパンドメタル58の内側部材60Bが、透明部材26の車両内側の表面に設けられている。
図15に示される例では、透明部材26が中空に構成されている。エキスパンドメタル58の配置については、図13に示される例と同様である。
図16に示される例では、透明部材26が中空に構成されている。エキスパンドメタル58については、外側部材60Aが、透明部材26の車両外側の表面に設けられ、内側部材60Bが、透明部材26の車両内側の表面に設けられている。
図17に示される例では、第1実施形態の変形例3(図6)と同様に、透明部材26として、車両外側寄りに位置する外側部材26Aと車両内側寄りに位置する内側部材26Bが設けられている。エキスパンドメタル58の外側部材60Aは、透明部材26の外側部材26Aに埋設されている。エキスパンドメタル58の内側部材60Bは、透明部材26の内側部材26Bに埋設されている。
図18に示される例では、透明部材26として、車両外側寄りに位置する外側部材26Aと車両内側寄りに位置する内側部材26Bが設けられている。エキスパンドメタル58は、外側部材60Aが、透明部材26の車両外側の表面に設けられ、内側部材60Bが、透明部材26の車両内側の表面に設けられている。
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図13において、本実施形態に係る車両用ピラー構造30では、補強部材としてエキスパンドメタル58が用いられている。エキスパンドメタル58は、トラス構造と比較して、ジョイントや結合部を介さずにすべての部材が一体となっているため、受けた力を全体に分散させることができる。また、エキスパンドメタル58は、透明部材26の車両外側の表面及び車両内側の表面(図14、図16、図18)、又は透明部材26の車両外側の内部及び車両内側の内部(図13、図15、図17)に設けられているので、質量の増加を抑制できる。
12 車両
14 フロントピラー(ピラー)
16 フレーム構造
18 繊維強化プラスチック(補強部材)
18A 繊維又は繊維束
20 車両用ピラー構造
21 第1フレーム(強度骨格)
22 第2フレーム(強度骨格)
24 乗員
26 透明部材
30 車両用ピラー構造
46 透明部材
48 パイプ部材(補強部材)
58 エキスパンドメタル(補強部材)
58A メッシュ要素
A 標準瞳孔間距離
S 隙間
T 透過領域
W 繊維又は繊維束の幅
WI 車両内側の繊維又は繊維束の幅
WO 車両外側の維又は繊維束の幅
X メッシュ要素の幅
XI 車両内側のメッシュ要素の幅
XO 車両外側のメッシュ要素の幅
Claims (13)
- 車両のピラーの一部を構成し、強度骨格、及び乗員の視線方向に透明な透明部材が設けられたフレーム構造と、
透明部材の外部及び内部の少なくとも一方に設けられ、車両内外方向に光を通す透過領域を確保しつつ前記透明部材を補強する補強部材と、
を有する車両用ピラー構造。 - 前記補強部材は、繊維又は繊維束が互いに隙間を空けた状態で前記透明部材の少なくとも車両外側の表面と車両内側の表面に設けられた繊維強化プラスチックである請求項1に記載の車両用ピラー構造。
- 前記繊維強化プラスチックは、前記透明部材に巻き付けられている請求項2に記載の車両用ピラー構造。
- 平断面視における乗員の視線方向と直交する方向での前記繊維の幅又は前記繊維束の幅が、標準瞳孔間距離以下に設定されている請求項3に記載の車両用ピラー構造。
- 前記繊維又は前記繊維束の幅は、車両内側が車両外側より太い請求項4に記載の車両用ピラー構造。
- 前記強度骨格は、前記ピラーの幅方向に間隙を空けて配置され、
前記補強部材は、前記間隙に密に配置され互いに結合されたパイプ部材であり、
乗員の視線方向において、前記パイプ部材同士が重ならない透過領域が形成されている請求項1に記載の車両用ピラー構造。 - 乗員の視点からの距離に比例して前記パイプ部材の直径が大きく設定されている請求項6に記載の車両用ピラー構造。
- 前記透明部材は、前記強度骨格と前記パイプ部材により形成された空隙に充填されている請求項6又は請求項7に記載の車両用ピラー構造。
- 前記透明部材は、前記パイプ部材が配置された領域の車両外側に配置されている請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の車両用ピラー構造。
- 前記補強部材は、前記透明部材の車両外側の表面及び車両内側の表面、又は前記透明部材の車両外側の内部及び車両内側の内部に設けられたエキスパンドメタルである請求項1に記載の車両用ピラー構造。
- 平断面視における乗員の視線方向と直交する方向での前記エキスパンドメタルのメッシュ要素の幅が、標準瞳孔間距離以下に設定されている請求項10に記載の車両用ピラー構造。
- 前記メッシュ要素の幅は、車両内側が車両外側より太い請求項11に記載の車両用ピラー構造。
- 前記エキスパンドメタルのメッシュ要素がジグザグに延びる方向は、前記ピラーの長手方向である請求項10〜請求項12の何れか1項に記載の車両用ピラー構造。
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