JP2021077985A - 画像処理装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラインペアパターン画像に対してモアレの発生の抑制と文字や罫線などの線状画像の再現性の両方を従来よりも向上可能な画像処理装置を提供すること。【解決手段】ラインペアパターンの画像領域であるラインペア領域E内に、文字画像の一部の線分である線状画像Uが存在する場合、線状画像Uの領域をスムージング禁止領域Fに特定する。そして、ラインペア領域Eの画像データに対して、スムージング禁止領域Fをスムージング処理の対象から外してスムージング処理を行わず、これ以外の領域Hをスムージング対象領域としてスムージング処理を施した画像データを生成して出力する。【選択図】図7
Description
本開示は、画像処理装置およびこれを備える画像形成装置に関し、特にラインペアパターンの画像領域に対する画像処理の技術に関する。
複写機やMFP(Multi-Function Peripheral)などの画像形成装置は、原稿の画像を読み取り、読み取って得られた画像データに基づきシート上に画像を形成して出力する。
出力画像の品質を高めるために、読み取られた画像に含まれる領域、例えば中間調などの領域を判別して、判別した領域ごとにその領域に適した画像処理が実行される。
特許文献1には、原稿の画像データのうち中間調を表すラインペアパターンの画像領域に対してスムージング処理を施した上で印刷を行うことで、印刷画像におけるモアレの発生が防止されるとの記載がある。ここで、ラインペアパターンとは、黒色の細線と白色の細線とからなる直線の対が線幅方向に繰り返して現れるパターンをいう。
しかしながら、ラインペアパターンの画像領域の全体に対して一律にスムージング処理を施すと、例えば、ラインペアパターンの画像領域を背景にしてその上に文字や罫線など、ラインパターンとは異なる線状画像が書き込まれている場合、その線状画像にもスムージング処理が施されてしまい、線状画像がぼやけるといった問題が生じる。
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ラインペアパターンの画像に対してモアレの発生を抑制しつつ文字などの線状画像の再現性の低下を抑制できる画像処理装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る画像処理装置は、原稿の画像を読み取って画像データを得る読取手段と、読み取られた画像データから、ラインペアパターンの画像領域内に、当該ラインペアパターンとは異なる線状画像が重畳した状態で存在するか否を検出する検出手段と、前記線状画像の存在が検出された場合、前記ラインペアパターンの画像領域において、前記線状画像をスムージング処理の対象から外し、残りの領域に対してスムージング処理を施すスムージング処理手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記線状画像は、前記ラインペアパターンを構成するラインパターンの幅よりも太い線状画像、または、前記ラインパターンの方向と異なる方向を向いた線状画像であるとしても良い。
さらに、前記スムージング処理手段は、前記存在が検出された線状画像の長さが所定値Ebよりも短い場合、前記線状画像をスムージング処理の対象から外すことを禁止するとしても良い。
また、前記スムージング処理手段は、スムージング処理に用いられる平滑化フィルターの大きさに応じて決まる領域だけ前記線状画像を拡張した領域をスムージング処理の対象から外すとしても良い。
さらに、前記画像データから前記ラインペアパターンの画像領域を判定する判定手段を備え、前記検出手段は、前記判定されたラインペアパターンの画像領域に対して前記線状画像の検出を行うとしても良い。
また、前記ラインペアパターンは、複数個のドットが連結してなる線状のラインパターンが複数本、規則的に並んで構成されるとしても良い。
さらに、前記スムージング処理手段は、前記線状画像のうち、エッジ部分のみに対してスムージング処理を施さず、エッジ部分以外の部分に対して、前記残りの領域とともにスムージング処理を施すとしても良い。
本開示の別の一態様に係る画像形成装置は、上記の画像処理装置と、前記画像処理装置のスムージング処理手段によりスムージング処理が施された後のラインペアパターンの画像領域を示す画像データに基づき、シート上に画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴する。
上記の構成によれば、ラインペアパターンの画像領域内において、例えば文字などの一部を構成する線状画像がスムージング処理によりぼやけることによる再現性の低下を抑制でき、残りのラインペアパターンの領域についてはスムージング処理によりモアレの発生を抑制できる。
以下、本開示の一の実施形態に係る画像処理装置を備える画像形成装置について、タンデム型のカラー複合機(MFP)を例に、図面を参照しながら説明する。
〔1〕MFPの全体構成
図1は、MFP1の外観を示す図であり、MFP1は、スキャナー、プリンター及びコピー機の機能を有する。
図1は、MFP1の外観を示す図であり、MFP1は、スキャナー、プリンター及びコピー機の機能を有する。
MFP1は、筐体底部に、記録シートを収容し、給送する給紙部9が設けられている。給紙部9の上方には、電子写真方式により画像を形成する画像形成部8が設けられており、給紙部9と画像形成部8とでプリント部3を構成する。
プリント部3のさらに上方に、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部2(読取手段)が設けられている。画像読取部2は、自動原稿搬送装置5を有している。自動原稿搬送装置5は、原稿トレイにセットされた原稿7を、搬送路を介して、1枚ずつ原稿ガラス板へ搬送する。画像読取部2は、自動原稿搬送装置によって原稿ガラス板の所定位置に搬送された原稿、又は、利用者により原稿ガラス板の上に載置された原稿の画像をスキャナー6によって読み取り、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の多値デジタル信号からなる画像データ(輝度データ)を得る。
画像読取部2で得られた各色成分の輝度データは、画像処理部4においてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換され、各種のデータ処理を受ける。これにより、プリントに用いる濃度データ(プリントデータ)が生成される。
画像形成部8は、中間転写ベルト11と、中間転写ベルト11に対向して中間転写ベルト11の走行方向Aに沿って所定間隔で配置された作像部10Y、10M、10C、10K、定着部19等を備える。
作像部10Y、10M、10C、10Kは、Y、M、C、K色のトナー像を作像する。具体的には、各作像部は、像担持体である感光体ドラム、感光体ドラム表面を露光走査するためのLEDアレイ、帯電チャージャー、現像器、クリーナー及び一次転写ローラーなどからなる。
給紙部9は、サイズの異なる記録シートを収容する給紙カセット13、14、15と、この記録シートを各給紙カセットから搬送路に繰り出すためのピックアップローラー16、17、18とから構成されている。
作像部10Y〜10Kのそれぞれにおいて、感光体ドラムは、帯電チャージャーにより一様に帯電され、プリントデータに基づき駆動されたLEDアレイにより露光され、感光体ドラムの表面に、プリントデータの画像に基づく静電潜像が形成される。
静電潜像は、対応する色の現像器により現像され、対応する色(Y〜Kのいずれか)のトナー像が感光体ドラムの表面に形成される。各感光体ドラム上のトナー像は、中間転写ベルト11の裏面側に配設された各一次転写ローラーの静電作用により、周回走行している中間転写ベルト11の表面上に順次転写される。なお、中間転写ベルト11上で、Y〜K色のトナー像が多重転写されるように、各色の作像タイミングがずらされている。
一方、給紙部9のいずれかの給紙カセットから、作像部10Y〜10Kによる作像動作に合わせて、記録シートが給送される。給送された記録シートは、搬送路に沿って、二次転写ローラー12と中間転写ベルト11とが接する二次転写位置に向かい、二次転写位置を通過する際に、二次転写ローラー12の静電的作用により、中間転写ベルト11上に多重転写されたY〜K色のトナー像が記録シートへ二次転写される。Y〜K色のトナー像が二次転写された記録シートは、さらに定着部19まで搬送される。
定着部19に搬送された記録シートは、定着部19の加熱ローラー20とこれに圧接された加圧ローラー21との間に形成される定着ニップを通過する際に、加熱及び加圧により、記録シート上のトナー像が溶融して記録シートに定着される。定着部19を通過した記録シートは、排出トレイ22へ送出される。
〔2〕画像処理部の構成
図2は、画像処理部4の構成を示すブロック図である。
図2は、画像処理部4の構成を示すブロック図である。
同図に示すように画像処理部4は、輝度濃度変換部51と、ラインペア領域データ処理部52と、他の領域データ処理部53と、プリントデータ生成部54を備え、それぞれがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含む。
輝度濃度変換部51は、画像読取部2で読み取られた原稿7の画像データD1(輝度データ)を受け付けて、これをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データD2(濃度データ)に変換する。この変換は、原稿7のページ単位で行われる。変換後の画像データD2は、1ページ単位でラインペア領域データ処理部52と他の領域データ処理部53とプリントデータ生成部54に送られる。
ラインペア領域データ処理部52は、次の処理を実行する。
(a)画像データD2に基づき、色ごとに、1ページ単位で、1ページ内に存在するラインペアパターンの画像領域(以下、「ラインペア領域」という。)を判別する。なお、Y〜K色のどの色でも処理は同じなので、以下、K色について説明し、Y、M、C色に対する処理についてはその説明を省略する。
図3は、ラインペア領域100の例を示す図である。
同図に示すようにラインペア領域100は、一つの点(ドット)111(黒色)が多数個、一方向(同図の例では横方向)に連結してなる線状のラインパターン101、101・・・が複数本、規則的に並ぶことによって、1本のラインパターン101とこれに隣接する線状のライン間部(地肌部:白色)102とからなるラインペア103がラインの幅方向(同図の例では縦方向)に繰り返し現れる領域である。
ラインパターン101の幅の大きさとライン間部102の幅の大きさによって、疑似中間調の濃淡(階調)が表現される。同図は、ラインペア領域100内に文字画像105が書き込まれている原稿画像の例を示している。
図2に戻って、ラインペア領域データ処理部52は、次に(b)判別したラインペア領域100内の一部に、ラインペア103とは異なる文字や罫線などの線状画像が含まれていることを検出する。図3の例では、文字画像105がこの線状画像に相当する。
(c)ラインペア領域100内でその線状画像105の存する領域を特定する。
(d)そして、線状画像105についてはスムージング処理を行わず(禁止し)、これ以外の領域についてはスムージング処理を行ったものを画像データD3として出力する。
このように線状画像に対してスムージング処理を禁止するのは、上記の「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、プリント後の出力画像のモアレ発生を防止すべく、ラインペア領域100の全体に対してスムージング処理を一律に施すと、文字画像105についても輪郭(エッジ)がぼやけて再現されてしまうからである。このぼやける現象が発生する場面を以下、具体的に説明する。
図4(a)〜(c)は、文字画像がぼやけて再現される場合の例を示す図である。
図4(a)は、PC(パーソナルコンピューター)において文書作成用やイラスト作成用のアプリケーションを用いて作成した原稿画像190をPCのディスプレイに表示させた例を示している。ここで、原稿画像190は、中間調の背景領域191に4個の文字192が書き込まれてなる。文字192は、10ポイント程度のかなり小さな文字であり、同図では、拡大表示されている。
図4(b)は、原稿画像190を原画像としてこれの画像データをPCからプリンターに送ってプリント出力したシート上の画像190aを拡大して示す図である。
画像190aのうち、中間調の背景領域193は、複数本のラインペア103、103・・・からなるラインペア領域で再現されており、文字画像194は、ラインペア領域内でラインペアパターン103に重畳した状態になっている。画像190aが実質、ラインペア領域になるので、以下、ラインペア領域190aという。なお、文字画像194は、拡大表示のために少しぼやけて見えるが、実際の10ポイントの大きさでは目視するのに十分な再現性が確保されている。
図4(c)は、図4(b)に示すラインペア領域190aがプリントされた1枚のシートを原稿としてコピー(複写)した結果を示す図である。すなわち、その原稿をスキャナーで読み取り、読み取られた画像データに含まれるラインペア領域190aの全体にスムージング処理を施した上で用紙にプリント出力した場合における用紙上のラインペア領域190bを拡大して示している。
ラインペア領域190bのうち、文字画像196を除く背景領域195については、スムージング処理の平滑化によりラインペアパターン103の濃度変化が滑らかになってモアレの発生を防止できる状態になるが、文字画像196も平滑化されてしまうことにより、かなりぼやけた状態になっていることが判る。
そこで、本実施の形態では、図3に示すラインペア領域100において、ラインペア領域100内の文字や罫線などの線状画像についてはスムージング処理を禁止し、残りの領域についてスムージング処理を施すようにしている。これにより、文字や罫線などの線状画像がぼやけることが抑制され、これ以外の領域についてモアレの発生を防止できる。
図2に戻って、他の領域データ処理部53は、受信した画像データD2に基づき、色ごとに、例えばエッジ強調が必要な領域にエッジ強調処理を行ったものを画像データD4として出力する。
プリントデータ生成部54は、輝度濃度変換部51からの画像データD2に対して、色ごとに、ラインペア領域データ処理部52で判別されたラインペア領域については画像データD3に置き換え、これ以外の領域については画像データD4に置き換えたものを、当該ページのY〜K色のプリントデータD5としてプリント部3に出力する。プリント部3では、受信したプリントデータD5に基づき画像をプリント出力する。
〔3〕ラインペア領域データ処理部の構成
図5は、ラインペア領域データ処理部52の構成を示すブロック図である。
図5は、ラインペア領域データ処理部52の構成を示すブロック図である。
同図に示すようにラインペア領域データ処理部52は、2値化処理部60と、カウント部(0°)61と、カウント部(45°)62と、カウント部(90°)63と、カウント部(135°)64と、ライン判別結果記憶部65と、ラインペア領域判別部66と、線状画像検出部67と、スムージング禁止領域特定部68と、スムージング処理部69を備える。同図は、K色用のラインペア領域データ処理部52を示しており、他のY、M、C色用についても色ごとにラインペア領域データ処理部52と基本的に同じものが配されている。以下、K色についてのみ説明し、Y〜C色については説明を省略する。
2値化処理部60は、輝度濃度変換部51からの画像データD2(ここではK色を例とする)を画像単位で2値化したデータ(2値データ)を出力する。具体的に、画素単位で、画素の濃度値と閾値とを比較して、濃度が閾値以上の画素を処理対象の画素(=1)とし、濃度が閾値よりも低い画素を処理対象以外の背景(地肌)を表す画素(=0)として区別する。ここでは、例えば600dpiの解像度とされ、1画素の径が約42μmの大きさになる。
図6は、図7(a)に示すラインペア領域Eのうち、αで示す部分の画像データに対して2値化した結果の例を示す模式図であり、複数の画素P1、P2・・・PzがX−Y座標上で2次元展開された様子を示している。各画素のうち、斜線で示す画素が黒色の画素(=1)を示し、非斜線(白色)の画素が背景を表す白色の画素(=0)を示している。黒色の画素を黒画素、白色の画素を白画素という。
図5に戻って、カウント部(0°)61は、図8(a)に示す変化点カウントフィルター61aを用いて、2値化された画素P1、P2・・・を一つずつ順番に、その画素(注目画素)が黒画素の場合、X−Y軸の2次元座標上においてX軸と平行な方向(これを、角度0°方向という。)に並ぶ黒画素からなる黒画素列に含まれる画素であるか否かを判定し、その画素(注目画素)が白画素の場合、角度0°方向に並ぶ白画素からなる白画素列に含まれる画素であるか否かを判定する。
具体的には、図6において注目画素を例えば1番上の1行目T1に属する画素P1とすると、図9(a)に示すように変化点カウントフィルター61aの中央の画素61bが注目画素P1に重なるように適用して、注目画素P1を起点に角度0°方向に隣接する画素、この例では画素P2、これに隣接する画素P3、これに隣接する画素P4・・・というように、黒画素である注目画素P1からX軸の正方向(同図右方向)に連続する黒画素の数をカウントする。なお、画素P1に対してX軸の負方向(同図左方向)に隣接する画素がある場合には、負方向についても連続する黒色の画素数をカウントする。
図6の例では、画素P2、P3、P4、P5は、黒色の画素(=1)であるので、画素P5までのカウント値は5になる。
画素P1に対するカウントを終了すると、図9(b)に示すように変化点カウントフィルター61aを1画素分、X軸の正方向に動かして、中央の画素61bが画素P1に隣接する画素P2に重なるように適用して、画素P2を注目画素として、これを起点に角度0°方向に隣接する画素、この例では画素P3、これに隣接する画素P4、これに隣接する画素P5・・・というように、黒画素である注目画素P2からX軸の正方向に連続する黒色の画素数をカウントする。変化点カウントフィルター61aを1画素分ずつ動かして、画素P3、P4・・・の順に画素単位で上記のカウントを全画素について繰り返し行う。
図6において、例えば2行目T2に属する画素Pm+1を注目画素とすれば、画素Pm+1は白色の画素であるので、これを起点に角度0°方向に隣接する画素、この例では画素Pm+2、これに隣接する画素Pm+3・・・というように、白画素である注目画素Pm+1からX軸の正方向に連続する白色の画素数をカウントする。
また、画素Pm+7を注目画素とすれば、画素Pm+12まで連続する黒画素になるので、カウント値は6になる。画素Pm+12を注目画素とすれば、X軸の負方向に画素Pm+7まで連続する黒画素があるので、カウント値は6になる。
このカウントは、注目画素を起点に変化点カウントフィルター61aによりカウント可能な最大値に達するまで継続される。図8(a)では、変化点カウントフィルター61aが9×9画素のマトリクスからなる大きさの例を示しているが、これに限られず、より大きなサイズ、例えば34×34などを用いることもできる。
カウント部(0°)61は、画素単位で、黒色と白色の区別と、カウント値が閾値th1以上の場合、その画素(注目画素)が黒画素(または白画素)であれば、0°方向の黒画素列(または白画素列)に含まれる画素であり、カウント値が閾値th1よりも小さい場合、0°方向の黒画素列(または白画素列)に含まれない画素であると判定する。
上記の例では、1行目T1に属する画素P1〜Pmのそれぞれは、黒画素列に含まれる画素と判定される。2行目T2に属する画素Pm+1、Pm+2、Pm+3は、白画素列に含まれる画素と判定される。一方、画素Pm+7〜Pm+12のそれぞれは、黒画素であるが、カウント値が閾値th1よりも小さいとして、黒画素列に含まれない画素と判定される。0°方向の黒画素列に含まれない黒画素とは、例えば他の方向(45°、90°または135°)の黒画素列に含まれる画素である場合や黒の孤立点である場合などが想定される。
カウント部(0°)61は、画素ごとにその判定結果をライン判定結果記憶部65(図5)に設けられた判定結果記憶領域651に書き込む。
図10は、ライン判定結果記憶領域651の構成例を示す図であり、図6に対応するように画素P1、P2・・・ごとにその判定結果を書き込む記憶領域Q1、Q2・・・がX−Y座標上で2次元展開された構成になっている。図10では、画素Pの番号と記憶領域Qの番号とが1対1に対応している。
記憶領域Q1、Q2・・・には、角度(0°、45°、90°、135°)欄65aと、画素の色を区別する黒画素欄65bと白画素欄65cが設けられている。
角度欄65aの角度(0°、45°、90°、135°)は、カウント部(0°)61、カウント部(45°)62、カウント部(90°)63、カウント部(135°)64の角度に対応している。4個の角度ごとに、黒画素欄65bの記憶領域と白画素欄65cの記憶領域とが対応して設けられている。
カウント部(0°)61は、角度欄65aにおいて、自己の角度である0°の欄に対応する黒画素欄65bと白画素欄65cのうち、注目画素の色(黒または白)に対応する欄を選択する。
注目画素が黒画素の場合、黒画素欄65bを選択し、注目画素が0°方向の黒画素列に含まれる画素と判定すると、角度0°に対応する黒画素欄65bの記憶領域にフラグ1を書き込み、0°方向の黒画素列に含まれない画素と判定すると、その記憶領域にフラグ0を書き込む。
具体例としては、画素P1、P2、P7は、0°方向の黒画素列に含まれる黒画素と判定されたので、記憶領域Q1、Q2、Q7の角度0°に対応する黒画素欄65bにフラグ1を書き込む。
画素Pm+7は、黒画素であるが、0°方向の黒画素列に含まれないと判定されたので、記憶領域Qm+7の角度0°に対応する黒画素欄65bにフラグ0を書き込む。このことは、画素Pm+7〜Pm+12の全てについて同様である。
なお、画素P1に対して白画素欄65cにおいて、横線(−)が引かれている記憶領域は、空欄(Null)を示す。画素P1は、黒画素であり白画素ではないので、処理対象とはしないことを意味する空欄を設定するものである。横線(−)が処理対象としないことを示しているのは、他の画素についても同様である。
一方、注目画素が白画素の場合、白画素欄65cが選択され、注目画素が0°方向の白画素列に含まれる画素と判定すると、角度0°に対応する白画素欄65cにフラグ1を書き込み、0°方向の白画素列に含まれない画素と判定すると、フラグ0を書き込む。
具体例としては、画素Pm+1、Pm+2は、0°方向の白画素列に含まれる白画素と判定されたので、記憶領域Qm+1、Qm+2の角度0°に対応する白画素欄65cにフラグ1を書き込む。
図5に戻って、カウント部(45°)62は、2値化された画素P1、P2・・・の全画素について一つずつ順番に、その画素(注目画素)がX軸に対して45°の角度をもつ直線に平行な方向(45°方向)に並ぶ黒画素からなる黒画素列または白画素からなる白画素列に含まれる画素であるか否かを、図8(b)に示す変化点カウントフィルター62aを用いて判定する。
この判定は、カウント部(0°)61による判定と同様であり、注目画素を中心にして45°方向に隣接する同じ色の画素の連続数がカウントされ、カウント値が閾値th1以上であるか否かを判断することにより行われる。図6に示す例の場合、黒画素と白画素のいずれについても、45°方向に隣接する画素の連続数が最大でも閾値th1よりも小さくなり、45°方向の画素列に含まれる画素ではないと判定されるとする。
もし、注目画素が45°方向の黒画素列(または白画素列)に含まれる画素と判定された場合、カウント部(45°)62は、図10に示す判定結果記憶領域651内のその注目画素Pに対応する記憶領域Qにおいて角度欄65aの45°に対応する黒画素欄65bと白画素欄65cのうち、注目画素の色(黒または白)に対応する欄を選択する。
注目画素が黒画素の場合、黒画素欄65bが選択され、注目画素が45°方向の黒画素列に含まれる黒画素と判定されると、角度45°に対応する黒画素欄65bの記憶領域にフラグ1を書き込む。一方、黒画素である注目画素が45°方向の黒画素列に含まれない画素と判定されると、角度45°に対応する黒画素欄65bの記憶領域にフラグ0を書き込む。画素P1、P2、P7がこの例に相当する。なお、注目画素(黒画素)が45°方向の黒画素列に含まれない場合とは、例えば他の方向(0°や90°など)の黒画素列に含まれる画素である場合や黒の孤立点である場合などが想定される。
注目画素が白画素の場合、白画素欄65cが選択され、注目画素が45°方向の白画素列に含まれる白画素と判定されると、角度45°に対応する白画素欄65cの記憶領域にフラグ1を書き込む。一方、白画素である注目画素が45°方向の白画素列に含まれない画素と判定されると、角度45°に対応する白画素欄65cの記憶領域にフラグ0を書き込む。画素Pm+1、Pm+2がこの例に相当する。
図5に戻って、カウント部(90°)63は、2値化された画素P1、P2・・・の全画素について一つずつ順番に、その画素(注目画素)がX軸に対して90°の角度をもつ直線に平行な方向(90°方向)に並ぶ黒画素からなる黒画素列または白画素からなる白画素列に含まれる画素であるか否かを、図8(c)に示す変化点カウントフィルター63aを用いて判定する。
この判定は、カウント部(0°)61による判定と同様であり、注目画素を中心にして90°方向に隣接する同じ色の画素の連続数がカウントされ、カウント値が閾値th1以上であるか否かを判断することにより行われる。図6に示す例の場合、黒画素と白画素のいずれについても、90°方向に隣接する画素の連続数が最大でも閾値th1よりも小さくなり、90°方向の画素列に含まれる画素ではないと判定されるとする。
もし、注目画素が90°方向の黒画素列(または白画素列)に含まれる画素と判定された場合、カウント部(90°)63は、図10に示す判定結果記憶領域651内のその注目画素Pに対応する記憶領域Qにおいて角度欄65aの90°に対応する黒画素欄65bと白画素欄65cのうち、注目画素の色(黒または白)に対応する欄を選択する。
注目画素が黒画素の場合、黒画素欄65bが選択され、注目画素が90°方向の黒画素列に含まれる黒画素と判定されると、角度90°に対応する黒画素欄65bの記憶領域にフラグ1を書き込む。一方、黒画素である注目画素が90°方向の黒画素列に含まれない画素と判定されると、角度90°に対応する黒画素欄65bの記憶領域にフラグ0を書き込む。画素P1、P2、P7がこの例に相当する。
注目画素が白画素の場合、白画素欄65cが選択され、注目画素が90°方向の白画素列に含まれる白画素と判定されると、角度90°に対応する白画素欄65cの記憶領域にフラグ1を書き込む。一方、白画素である注目画素が90°方向の白画素列に含まれない画素と判定されると、角度90°に対応する白画素欄65cの記憶領域にフラグ0を書き込む。画素Pm+1、Pm+2がこの例に相当する。
図5に戻って、カウント部(135°)64は、2値化された画素P1、P2・・・の全画素について一つずつ順番に、その画素(注目画素)がX軸に対して135°の角度をもつ直線に平行な方向(135°方向)に並ぶ黒画素からなる黒画素列または白画素からなる白画素列に含まれる画素であるか否かを、図8(d)に示す変化点カウントフィルター64aを用いて判定する。
この判定は、カウント部(0°)61による判定と同様であり、注目画素を中心にして135°方向に隣接する同じ色の画素の連続数がカウントされ、カウント値が閾値th1以上であるか否かを判断することにより行われる。
注目画素が135°方向の黒画素列(または白画素列)に含まれる画素と判定された場合、カウント部(135°)64は、図10に示す判定結果記憶領域651内のその注目画素Pに対応する記憶領域Qにおいて角度欄65aの135°に対応する黒画素欄65bと白画素欄65cのうち、注目画素の色(黒または白)に対応する欄を選択する。
注目画素が黒画素の場合、黒画素欄65bが選択され、注目画素が135°方向の黒画素列に含まれる画素と判定されると、角度135°に対応する黒画素欄65bの記憶領域にフラグ1を書き込む。画素P7、Pm+7がこの例に相当する。一方、黒画素である注目画素が135°方向の黒画素列に含まれない画素と判定されると、角度135°に対応する黒画素欄65bの記憶領域にフラグ0を書き込む。画素P1、P2がこの例に相当する。
注目画素が白画素の場合、白画素欄65cが選択され、注目画素が135°方向の白画素列に含まれる白画素と判定されると、角度135°に対応する白画素欄65cの記憶領域にフラグ1を書き込む。一方、白画素である注目画素が135°方向の白画素列に含まれない画素と判定されると、角度135°に対応する白画素欄65cの記憶領域にフラグ0を書き込む。画素Pm+1、Pm+2がこの例に相当する。
カウント部(0°)61〜カウント部(135°)64のそれぞれごとに、全画素のうち一つずつの画素に対する画素列の含有の有無の判定が終了すると、図10に示す画素単位で記憶領域651に書き込まれたフラグを参照することで、各画素が黒色と白色のいずれであり、0°、45°、90°、135°のどの方向の画素列に含まれる画素であるかを判別できる。
例えば、画素P1、P2は、黒画素であり、角度0°欄にのみフラグ1が書き込まれているので、0°方向の黒画素列に含まれる画素であると判別できる。同様に、画素Pm+1、Pm+2は、白画素であり、角度0°欄にのみフラグ1が書き込まれているので、0°方向の白画素列に含まれる画素であると判別できる。
また、画素P7は、黒画素であり、角度0°と135°の両方の欄にフラグ1が書き込まれているので、0°方向の黒画素列に含まれる画素かつ135°方向の黒画素列に含まれる画素であると判別できる。この画素P7は、0°方向の黒画素列に135°方向の黒画素列が重複した状態を構成する画素といえる。さらに、画素Pm+7は、黒画素であり、角度135°欄にのみフラグ1が書き込まれているので、135°方向の黒画素列に含まれる画素であると判別できる。
上記では、ラインペア領域Eのうち、αで示す部分の画像データを2値化したデータについて、画素単位で黒色と白色のいずれであるか、および閾値th1に相当する長さ以上の画素列に含まれているか否かを判定する例を説明したが、αで示す部分だけではなく、ラインペア領域Eの全体に亘って、画素単位で上記同様の判定結果(フラグ)がライン判定結果記憶領域651に順次、書き込まれていく。
ラインペア領域Eの全体について、判定結果記憶領域651の各記憶領域Qに書き込まれているフラグを見れば、どの画素が黒と白のいずれの色に対する画素であり、画素ごとに、角度0°、45°、90°、135°のうちどの方向の画素列を構成する一画素であるかを判定できる。
図5に戻って、ラインペア領域判別部66は、ラインペア領域Eの全体に対するライン判定結果が書き込まれた判定結果記憶領域651を参照して、ラインペア領域を判別する。上記のようにラインペアパターンは、黒色のラインパターンと白色のラインパターンをペアとして、これが規則的に線幅方向に繰り返してなるパターンをいう。ここでは、黒色のラインパターンを構成する画素の連続数が所定値Ea(>閾値th1)以上であり、繰り返し回数Gが所定回数J以上の場合に、その黒色のラインパターンとこれに対応する白色のラインパターンとのペアが繰り返してなるラインペアパターンとみなし、ラインペアパターンの全体を囲む領域を1ページの画像に含まれるラインペア領域と判別する。
具体的には、図10に示す判定結果記憶領域651において、全画素(P1、P2・・・)のうち黒画素を特定し、特定した黒画素のそれぞれについて、角度0°、45°、90°、135°の順に、角度に対応してフラグ1が書き込まれている画素を特定する。
図11は、角度0°に対してフラグ1が書き込まれている黒画素だけを抜き出して斜線で示した模式図であり、1行目T1、3行目T3、5行目T5、7行目T7、9行目T9に属する黒画素が特定された様子を示している。
なお、画素Pm+7〜Pm+12は、2値化処理の時点で黒画素と判った画素であるが、2値化処理の後、上記のようにカウント部(0°)61が、画素Pm+7〜Pm+12については、閾値th1以上の個数の黒画素が0°方向に隣接してなる黒画素列に含まれない画素と判定したために、図10に示すように角度0°に対する黒画素欄65bにフラグ1が書き込まれていない。このため、上記の特定がなされず、図11では斜線で表されていない。つまり、0°方向の長さが閾値th1よりも短い(文字の線幅程度の長さしかない)黒画素列は、上記の特定から外されるようになっている。
そして、特定した黒画素P1、P2・・・からなる黒画素列の0°方向における黒画素の連続数をカウントする。このカウント数が所定値Ea以上になれば、その黒画素列を黒色のラインパターンとする。図11の例では、1行目T1に属する画素P1〜Pmに加えて、3行目T3、5行目T5、7行目T7、9行目T9の各行に属する黒画素からなる画素列が0°方向の黒色のラインパターンBpとされる。カウント数が所定値Eaより小さい場合、黒色のラインパターンBpとは判別されない。1行目T1、3行目T3、5行目T5・・・の各ラインパターンBpは、0°方向に直交する方向に一定のピッチで繰り返す複数本のラインパターンBpである。
ここでは、隣り合う2本のラインパターンBp、例えば1行目T1と3行目T3のラインパターンBpの間に存する2行目T2の画素列からなるラインパターンを1行目T1のラインパターンBpに対応する白色のラインパターンWpとみなして、これをラインペアパターンLpとする。
なお、2行目T2の画素列には、一部の画素、例えばPm+7〜Pm+12など実際には黒画素を含むが、画素Pm+7〜Pm+12は、0°方向の長さが短い(文字の線幅程度しかない)画素列ということで上記の特定から外されており、0°方向におけるラインパターンの判定対象から除かれた格好になっている。この画素Pm+7〜Pm+12は、135°方向の黒画素列を構成する画素であり、実質、0°方向の白画素列の上に重なって存在する、ラインペアパターンとは異なる黒画素とみなすことができる。
1行目と2行目と同様に、3行目の画素列Bpと4行目の画素列WpがラインペアパターンLpになる。5列目から10列目および図示していないが11列目、12列目・・・のそれぞれがラインペアパターンLpになり、このラインペアパターンLpの繰り返し回数Gが所定回数J以上になることで、図7(a)に示す領域Eがラインペア領域と判別される。
最初に、0°方向のラインペアパターンが判別されると、45°、90°、135°についてはラインペアパターンの判別を行わない。0°方向についてラインペアパターンが判別されなかった場合、次に45°についてラインペアパターンの判別を行う。
すなわち、角度45°に対応してフラグ1が書き込まれている画素を特定し、特定した黒画素からなる黒画素列の45°方向における黒画素の連続数をカウントする。このカウント数が所定値Ea以上になれば、その黒画素列を45°方向の黒色のラインパターンBpとする。図10の例では、角度45°に対応してフラグ1が書き込まれている画素が存在しないので、45°方向の黒色のラインパターンBpは判定されない。このことは、角度90°について同様である。
0°、45°、90°についてラインペアパターンが判別されなかった場合、最後に、角度135°に対応してフラグ1が書き込まれている画素を特定し、特定した黒画素からなる黒画素列の135°方向における黒画素の連続数をカウントする。
特定した黒画素列の135°方向における黒画素の連続カウント数が所定値Ea以上になれば、その黒画素列を黒色のラインパターンBpとする。図7(a)の例では、135°方向における黒画素の連続カウント数が所定値Eaよりも小さいとして、135°方向についてはラインペアパターンが判別されない。0°、45°、90°、135°のいずれの角度でもラインペアパターンが判別されない場合には、ラインペアパターンが存在しないと判定される。
図5に戻って、線状画像検出部67は、ラインペア領域判別部66がラインペアパターンと判定した黒画素列とは異なる線状画像、ここでは文字の一部をラインペアパターンに重畳した状態で存在している黒画素列を検出する。この検出は、判定結果記憶領域651を参照して行われる。
具体的には、図10に示す判定結果記憶領域651において、画素P1、P2・・・の全画素の黒画素のうち、判定されたラインパターンの方向(上記では0°方向)とは異なる方向を示す角度(上記では45°、90°、135°)ごとに、その角度に対応してフラグ1が書き込まれている黒画素を特定する。
図10の例では、角度45°にフラグ1が書き込まれている黒画素が存在しないので、45°方向の黒画素列は判別されない。90°方向についても同様である。135°方向については、フラグ1が書き込まれた黒画素P7、Pm+7などが特定される。
図12は、角度135°にフラグ1が書き込まれている黒画素だけを抜き出して斜線で示した模式図である。画素P6やP7は、0°方向の黒画素列を構成する画素であるが、135°方向の黒画素列を構成する画素でもあるので、角度135°にフラグ1が書き込まれている黒画素として特定される。
図12では、135°方向に傾斜した6列の黒画素列が隣接してなる画像Ecを示している。画像Ecを構成する黒画素のうち、ラインパターンの方向を示す角度0°に対してフラグ1が書き込まれた黒画素、かつ0°以外の角度、ここでは135°に対してフラグ1が書き込まれた黒画素P6〜P11、Pm+7〜Pm+12、Pm+β、Pm+γ・・・は、ラインペアパターンを構成する一画素であるとともにラインペアパターンとは異なる線状画像を構成する一画素である。一画素がラインペアパターンとこれとは異なる線状画像とに共用されている状態であることが上記の重畳した状態を意味する。
線状画像検出部67は、特定した黒画素からなる画像Ecに対して、公知の境界線(輪郭線)追跡を行う。特定した各画素のうち、境界線を構成する画素がエッジに相当する画素(以下、「エッジ画素」という。)になる。例えば、画素P6、P11、Pm+7、Pm+12、Pm+β、Pm+γ、Pm+β1、Pm+γ1などは、文字画像を構成する画素のうちのエッジ画素になる。境界線追跡によりエッジ画素を特定できる。
エッジ画素のうち、135°方向に連続するエッジ画素の連続数をカウントし、そのカウント値が所定値Eaよりも小さいが所定値Eb以上の場合に、画像Ecを線状画像U(図7(a))と判別する。所定値Ebは、黒色のラインパターンBpとは異なる文字画像の一部を構成する線状画像を判別するための閾値であり、所定値Eaよりもかなり小さくなる。なぜなら、ラインペア領域E内に存する文字を構成する画素列の一部であり、ラインペアパターンを判定する閾値としての所定値Eaよりも小さくなるはずであるからである。所定値Ebとの大小関係を判断するのは、カウント値が小さすぎるものは、長さが短いことに等しく、文字の一部ではなくノイズ成分の蓋然性が高く、これを除外するためである。閾値th1と所定値Ebは、ラインペアパターンと線状画像の判定に適した値として実験などにより予め決められる。他の閾値や所定値についても同様である。
線状画像Uの幅方向一方のエッジ画素と他方のエッジ画素との間の距離が線状画像Uの線幅の大きさになる。通常、黒色のラインパターンの線幅は、ラインペア領域に書き込まれている文字画像を構成する線分の線幅よりかなり狭い。ラインパターンの線幅は、再現しようとする中間調の濃淡によって大きくされたり小さくされたりするが、最大でも75μm程度になる。一方で、人の目視できる範囲の最小程度と想定される文字の大きさが7ポイントであった場合、その線幅は、238μm程度であり、ラインパターンの線幅の少なくとも3倍以上を有することになる。従って、ラインパターンの線幅に対して3倍以上の線幅を有するか否かによっても、黒色のラインパターンBpと異なる線状画像Uであるか否かを判別できる。
図7(a)に示すラインパターン(黒画素列)の線幅Waと線状画像Uの線幅Wbは、幅方向一方のエッジ画素から他方のエッジ画素までの画素数をカウントして、そのカウント値に一つの画素の径を乗算することにより得られる。図7(a)では、線状画像Uがラインパターンに対して斜行する例を示しているが、図7(c)に示すようにラインパターンと平行な線状画像Uでも線幅の比較でラインパターンと異なるか否かを判別できる。なお、線幅の検出方法は、他の公知のダイレーション処理などを用いることもできる。
図5に戻って、スムージング禁止領域特定部68は、ラインペア領域Eの全体のうち線状画像Uと判別された画像領域をスムージング禁止領域Fと特定する。図7(b)は、図7(a)に示すラインペア領域Eのうち、線状画像Uの画像領域をスムージング禁止領域Fと特定し、これ以外の領域Hをスムージング対象領域とする例を示す模式図である。
スムージング禁止領域Fの特定は、線状画像Uを構成する全画素(図12)についてX−Y軸の二次元平面座標上における座標位置を指定することで行われる。
スムージング処理部71は、ラインペア領域Eのうち、スムージング禁止領域Fをスムージング処理の対象から外し、これ以外の領域Hに対してスムージング(平滑化)処理を施す。具体的には、ラインペア領域Eを、スムージング禁止領域Fとこれ以外の領域Hとに分離する。分離した領域Hに属する各画素に対してスムージング処理を施す。スムージング処理を施していないスムージング禁止領域Fと、スムージング処理を施した後の領域Hとを合成する。これにより、合成後のラインペア領域Eの画像データは、スムージング禁止領域F、つまり文字の線部分を示す線状画像Uのみがスムージング処理前と同じ画像がそのまま残ったような画像データになる。
スムージング処理は、公知の平滑化フィルターなどが用いられるが、プリント出力されたラインペタパターンの画像領域にモアレが生じなければ良く、別の方法を用いても良い。文字画像領域としてのスムージング禁止領域Fに対してスムージング処理が施されない(禁止される)ので、従来のようにラインペア領域内に存在する文字画像がスムージング処理によってぼやけてしまうことが抑制される。
なお、スムージング禁止領域Fとこれ以外の領域Hとを分離する方法に代えて、例えば次の方法をとることもできる。すなわち、スムージング禁止領域Fを平滑化フィルターの大きさに応じて決まる領域だけ拡張し、拡張後のスムージング禁止領域Fをスムージング処理対象から外す構成とすることもできる。
ここで、平滑化フィルターの大きさに応じて決まる拡張領域とは、具体的に平滑化フィルターがm画素×m画素の2次元マトリクスからなる場合、スムージング禁止領域F(線状画像)に対してそのエッジ画素から(m/2)個の画素分、離れた位置の画素までの周辺領域、つまり線状画像からその個数の画素分だけ周辺に拡張した領域とする。
この拡張後のスムージング禁止領域Fをスムージング処理の対象から外せば、拡張後のスムージング禁止領域Fの周辺画素に平滑化フィルターを適用しても、拡張前の(本来の)スムージング禁止領域F内の各画素に対してはその平滑化フィルターが適用されなくなる。このことは、拡張前のスムージング禁止領域Fに属する文字を構成する黒画素が平滑化処理の影響を受けないことを意味する。もし、拡張しない場合に文字画像を構成する黒画素の濃度が平滑化フィルターの適用により大きく変わるような場合には、拡張領域の設定により、その濃度変化の抑制を図れる。
〔4〕ラインペア領域データ処理部によるラインペア領域処理
図13と図14は、ラインペア領域処理の内容を示すフローチャートである。
図13と図14は、ラインペア領域処理の内容を示すフローチャートである。
図13に示すように1ページの画像データD2を2値化する(ステップS1)。この2値化は、2値化処理部60により実行される。そして、フィルター処理を実行する(ステップS2)。
図15と図16は、フィルター処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。図15に示すように変化点カウントフィルターの角度を示す変数iを0°に設定し(ステップS51)、画素番号を示す変数nに1を設定する(ステップS52)。この画素番号は、上記の図6に示すように画像データD2の全画素について1番目から一つずつ順に連番を付して各画素を区別する場合におけるその番号を示す。
画素Pn、ここではP1が黒画素であるか否かを判断する(ステップS53)。この判断は、2値化の結果により行われる。
画素Pnが黒画素と判断すると(ステップS53で「Yes」)、黒画素Pnに角度i°の変化点カウントフィルターを適用し、黒画素Pnがi°方向に連続する黒画素列に含まれる画素か否か判断する(ステップS54)。
例えば、i=0°であり、画素PnがP1の場合、図9(a)に示すように変化点カウントフィルター61aを画素P1に適用して、注目画素である画素P1を中心に0°方向に隣接する黒画素の連続数がカウントされる。カウント値が閾値th1以上の場合、画素P1が黒画素列に含まれると判断され、閾値th1よりも小さい場合、黒画素列に含まれないと判断される。この判断は、カウント部(0°)61により行われる。
画素Pnが黒画素列に含まれる画素と判断すると(ステップS55で「Yes」)、判定結果記憶領域651における画素Pn、ここではP1に対応する記憶領域Q1(図10)に角度i°、ここでは0°方向に対応する黒画素欄65bに0°方向の黒画素列に含まれることを示すフラグ1を書き込んで(ステップS56)、ステップS62に進む。一方で、画素Pnが黒画素列に含まれない画素と判断すると(ステップS55で「No」)、0°方向に対応する黒画素欄65bに0°方向の黒画素列に含まれないことを示すフラグ0を書き込んで(ステップS57)、ステップS62に進む。
一方、画素Pnが黒画素ではない、つまり白画素と判断すると(ステップS53で「No」)、図16に示すステップS58において、白画素Pnに角度i°の変化点カウントフィルターを適用し、白画素Pnがi°方向に連続する白画素列に含まれる画素か否か判断する。例えば、i=0°であり、画素Pnが図6に示す画素Pm+1の場合、変化点カウントフィルター61aが適用され、画素Pm+1が白画素列に含まれると判断される。
画素Pnが白画素列に含まれる画素と判断すると(ステップS59で「Yes」)、判定結果記憶領域651における画素Pn、例えばPm+1に対応する記憶領域Qm+1(図10)において角度0°方向に対応する白画素欄65cに0°方向の白画素列に含まれることを示すフラグ1を書き込んで(ステップS60)、ステップS62に進む。一方、画素Pnが白画素列に含まれない画素と判断すると(ステップS59で「No」)、0°方向に対応する白画素欄65bに0°方向の白画素列に含まれないことを示すフラグ0を書き込んで(ステップS61)、ステップS62に進む。
図15に示すステップS62では、画素Pnが1ページ分の画像データD2を構成する全画素のうち1番目から数えて最後の番号のものか否かを判断する。否定的な判断をすると(ステップS62で「No」)、現在の変数nに「1」をインクリメントしたものを新たな変数nに更新して(ステップS63)、ステップS53に戻る。変数nが2の場合、画素P2に対してステップS53〜S62の処理が実行される。図10の例では、画素P2についても記憶領域Q2に角度0°方向に対応する黒画素欄65bにフラグ1を書き込まれる。
画素Pnが最後の画素と判断されるまで、全画素のそれぞれについてステップS53〜S63の処理が順次、実行されていく。これにより、図10に示すように判定結果記憶領域651の各画素P1、P2、P3・・・に対応する記憶領域Q1、Q2、Q3・・・に黒画素と白画素の区別と、0°方向の画素列に含まれる画素を示すフラグ1または含まれない画素を示すフラグ0が書き込まれる。
画素Pnが最後の画素と判断されると(ステップS62で「Yes」)、変数iが135°であるか否かを判断する(ステップS64)。否定的な判断をすると(ステップS64で「No」)、現在の変数iに「45」をインクリメントしたものを新たな変数iに更新して(ステップS65)、ステップS52に戻る。ここでは、i=45°になる。
ステップS52では、画素番号Pnを1に設定し、ステップS53では、画素Pnが黒画素か否かを判断する。そして、黒画素の場合(ステップS53で「Yes」)、角度i、ここでは45°方向に連続する黒画素の黒画素列に含まれる画素か否かを判断する。この判断は、カウント部(45°)62により行われる。
黒画素Pnが45°方向の黒画素列に含まれる画素と判断すると(ステップS55で「Yes」)、判定結果記憶領域651における画素Pnに対応する記憶領域Qn(図10)の角度45°に対応する黒画素欄65bに45°方向の画素列に含まれることを示すフラグ1を書き込んで(ステップS56)、ステップS62に進む。含まれない画素と判断すると(ステップS55で「No」)、記憶領域Qnの角度45°に対応する黒画素欄65bに45°方向の画素列に含まれないことを示すフラグ0を書き込んで(ステップS56)、ステップS62に進む。図10の例では、画素P1に対して45°に対応する黒画素欄65bにフラグ0が書き込まれる。
一方、白画素の場合(ステップS53で「No」)、図16のステップS58において、45°方向に連続する白画素列に含まれる画素か否かを判断する。この判断は、カウント部(45°)62により行われる。
白画素Pnが45°方向の白画素列に含まれる画素と判断すると(ステップS59で「Yes」)、判定結果記憶領域651における画素Pnに対応する記憶領域Qnの角度45°に対応する白画素欄65cに45°方向の画素列に含まれることを示すフラグ1を書き込んで(ステップS60)、ステップS62に進む。含まれない画素と判断すると(ステップS59で「No」)、記憶領域Qnの角度45°に対応する白画素欄65cに45°方向の画素列に含まれないことを示すフラグ0を書き込んで(ステップS61)、ステップS62に進む。図10の例では、画素Pm+1に対して45°に対応する白画素欄65cにフラグ0が書き込まれる。
ステップS62で画素Pnが最後の画素と判断されるまで、全画素のそれぞれごとにステップS53〜S63の処理において、黒画素と白画素の区別と、45°方向の画素列に含まれる画素であるか否かが判断され、判定結果記憶領域651において、45°方向に対応する黒画素欄65bまたは白画素欄65cにフラグ1または0が書き込まれる。
画素Pnが最後の画素と判断されると(ステップS62で「Yes」)、変数iが135°であるか否かを判断する(ステップS64)。否定的な判断をすると(ステップS64で「No」)、変数iに「45」をインクリメントして変数iを更新し(ステップS65)、ステップS52に戻る。ここでは、i=90°になる。
ステップ52〜S63において、再度、全画素のそれぞれごとに、90°方向の画素列に含まれる黒画素であるか白画素であるか否かが判断される。この判断は、カウント部(90°)63により行われる。90°方向の画素列に含まれるか否かが判断された黒画素または白画素について、対応する記憶領域Qにその判断結果としてのフラグ1または0が書き込まれる。
そして、画素Pnが最後の画素と判断されると(ステップS62で「Yes」)、変数iが135°であるか否かを判断する(ステップS64)。否定的な判断をすると(ステップS64で「No」)、変数iに「45」をインクリメントして変数iを更新して(ステップS65)、ステップS52に戻る。ここでは、i=135°になる。
ステップ53〜S63において、再度、全画素のそれぞれごとに、135°方向の画素列に含まれる黒画素であるか白画素であるか否かが判断される。この判断は、カウント部(135°)64により行われる。135°方向の画素列に含まれるか否かが判断された黒画素または白画素について、対応する記憶領域Qにその判断結果としてのフラグ1または0が書き込まれる。
これにより、全画素について、0°、45°、90°、135°のいずれかの黒画素列または白画素列に含まれるか、またはいずれの画素列にも含まれないかが判定されたことになる。
変数iが135°であることを判断すると(ステップS64で「Yes」)、図13に示すメインルーチンにリターンして、ラインパターン判定処理(ステップ3)に進む。
図17は、ラインパターン判定処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。まず、変数iを0に設定する(ステップS81)。そして、判定結果記憶領域651を参照して、i°方向、ここでは0°方向に所定値Ea以上の個数の画素が連続してなる黒画素列と白画素列が存在するか否か判断する(ステップS82)。具体的には、上記のように角度0°に対してフラグ1が書き込まれている黒画素と白画素を特定し、特定した黒画素と白画素の0°方向における連続数をカウントすることにより行われる。
肯定的な判断を行うと(ステップS83で「Yes」)、黒画素列と白画素列からなるラインペアパターンの、i°方向に対して直交する方向における繰り返し回数Gが所定回数J以上であるか否かを判断する(ステップS84)。図11に示す例では、繰り返し数Gが所定回数J以上であると判断される。
肯定的な判断を行うと(ステップS85で「Yes」)、判断された黒画素列と白画素列からなるラインペアパターンをi°方向、ここでは0°方向のラインペアパターンと判定し(ステップS86)、リターンする。
0°方向における画素列の存在が判断されない場合(ステップS82、S83で「No」)、ステップS87に進む。また、繰り返し数Gが所定回数Jよりも少ないことが判断されると(ステップS85で「No」)、ステップS87に進む。
ステップS87では、現在の変数iが135であるか否かを判断する。否定的な判断をすると(ステップS87で「No」)、現在の変数iに45°をインクリメントして、変数iを更新して(ステップS88)、ステップS82に戻る。ここでは、i=45°とする。
ステップS82では、45°方向に所定値Ea以上の個数の画素が連続してなる黒画素列と白画素列が存在するか否か判断する。肯定的な判断を行うと(ステップS83で「Yes」)、45°方向の黒画素列と白画素列からなるラインペアパターンの、45°方向に直交する方向における繰り返し回数Gが所定回数J以上であるか否かを判断する(ステップS84)。
肯定的な判断を行うと(ステップS85で「Yes」)、判断された黒画素列と白画素列からなるラインペアパターンを45°方向のラインペアパターンと判定し(ステップS86)、リターンする。45°方向における画素列の存在が判断されない場合(ステップS83で「No」)や繰り返し数Gが所定回数Jよりも少ない場合(ステップS85で「No」)、ステップS87に進む。
変数iが135ではないと判断すると(ステップS87で「No」)、現在の変数iに45°をインクリメントして、変数iを更新して(ステップS88)、ステップS82に戻る。ここでは、i=90°とする。
90°方向についても0°と同様に、ステップS82〜S87の処理を実行する。再度、ステップS87に進んだ場合、変数iが135ではないと判断し(ステップS87で「No」)、変数iを更新して(ステップS88)、ステップS82に戻る。ここでは、i=135°とする。
135°方向についても0°と同様に、ステップS82〜S87の処理を実行する。再度、ステップS87に進んだ場合、変数iが135と判断し(ステップS87で「Yes」)、リターンする。このように、0°、45°、90°、135°の順に、その角度を示す方向に所定値Ea以上の個数の画素が連続してなる黒画素列と白画素列からなるラインペアパターンの繰り返し数Gが所定回数J以上であることを条件に、その角度を示す方向のラインペアパターンが存在することを判定する。
図13に戻って、ステップS4では、ラインペアパターンの存在が判定されたか否かを判断する。肯定的な判断をすると(ステップS4で「Yes」)、ラインペアパターンと判定された画素列の全部を囲む領域をラインペア領域E(図7(a))と判定する(ステップS5)。
判定されたラインペア領域E内で、ラインペアパターンとは異なる黒色の画像Ecの有無を判断する(ステップS6)。この判断は、上記のように図10に示す判定結果記憶領域651を参照し、判定されたラインパターンの方向とは異なる方向を示す角度(上記例では45°、90°、135°)ごとに、その角度に対応してフラグ1が書き込まれている黒画素を特定することにより行う。上記の例では、135°方向に対してフラグ1が書き込まれている黒画素のみが存在するので、この黒画素が特定される。なお、45°や90°方向に対してフラグ1が書き込まれている黒画素が存在する場合、角度別にその黒画素が特定される。
画像Ecが存在することを判断すると(ステップS7で「Yes」)、特定した黒画素からなる画像Ecのエッジ画素のうち、ラインパターンの方向とは異なる方向、上記では135°方向に連続するエッジ画素の数をカウントする(ステップS8)。エッジ画素の特定は、上記のように境界線追跡により行われる。
カウント値が所定値Eb以上の場合(ステップS9で「Yes」)、画像Ecをラインペアパターンとは異なる線状画像U(図7(a))と判定する(ステップS10)。
続いて、図14に示すステップ11において、黒色のラインパターンBpの線幅Waを検出する。そして、判定結果記憶領域651を参照して、黒画素からなる画像であり、検出された線幅Waの3倍の線幅Wb以上を有し、ラインパターンと同じ方向、上記の例では0°方向の長さが所定値Ed以上の線状画像の有無を判断する(ステップS12)。
具体的には、次の(a)〜(e)を行う。
(a)角度0°に対してフラグ1が書き込まれている黒画素を特定する。
(b)特定した黒画素のうち、0°方向とこれに直交する方向とにマトリクス状に並ぶ黒画素群を構成する画素が存在していることを判定する。
(c)判定された黒画素群に対し、0°方向に直交する方向(線幅方向)に連続する画素数をカウントして、そのカウント値が線幅Wbに相当する数以上であるか否かを判断する。
(d)さらに、判定された黒画素群に対し、0°方向(線長方向)に連続する画素数をカウントして、そのカウント値が所定値Edの長さに相当する数以上であるか否かを判断する。所定値Edは、上記のラインパターン判定用の閾値である所定値Eaよりもかなり小さな値であり、上記の所定値Ebと同じ値としても良いし異なる大きさでも良い。
(e)そして、(c)と(d)の両方で肯定的な判断を行った場合に、線状画像の存在を判断する。
線状画像の存在を判断すると(ステップS13で「Yes」)、その線状画像をラインペアパターンとは異なる線状画像Uと判定して(ステップS14)、ステップS15に進む。一方、線状画像が存在しないことを判断すると(ステップS13で「No」)、ステップ14をスキップして、ステップS15に進む。
ステップS15では、判定された線状画像Uの有無を判断する。線状画像Uがあると判断すると(ステップS15で「Yes」)、ラインペア領域Eのうち、判定された線状画像Uの存在する領域をスムージング禁止領域Fに特定する(ステップS16)。この特定は、スムージング禁止領域特定部68により行われる。
そして、画像データD2に対し、判定されたラインペア領域Eのうち、スムージング禁止領域Fをスムージング処理の対象から外し(スムージング処理を実行せず)、これ以外の領域Hに対してのみスムージング処理を施したものを画像データD3として生成し(ステップS17)、生成した画像データD3を出力して(ステップS18)、当該処理を終了する。画像データD3の生成と出力は、スムージング処理部69により行われる。
なお、ステップS4で「No」と判断された場合、画像データD2にラインペアパターンが含まれていないことになるので、当該処理を終了する。また、ステップS7で「No」と判断された場合、ステップS11に進み、ステップS9で「No」と判断された場合もステップS11に進む。ここで、ステップS9で「No」と判断された場合とは、画像Ecの長さが所定値Ebよりも短い場合であり、ステップS10で線状画像Uとは判定されない画像になるので、この長さの短い画像Ecについては、スムージング処理の対象から外すことが禁止され、スムージング処理が施されることになる。
また、ステップS15で「No」と判断された場合、ラインペア領域E内にラインペアパターンに重畳した状態の文字画像が存在しないことになるので、画像データD2に対し、判定されたラインペア領域Eの全域にスムージング処理を施したものを画像データD3として生成し(ステップS19)、ステップS18に進む。
以上、説明したように本実施の形態では、ラインペア領域E内に文字などの線状画像が重畳した状態で存在する場合、その線状部分Uに対してスムージング処理を禁止して実行せず、これ以外の領域Hにスムージング処理を施すので、プリント出力後には、スムージング処理により文字画像のエッジがぼやけることを抑制しつつ、文字を除くラインペアパターンの画像領域についてモアレの発生を防止することができる。
本開示は、画像形成装置に限られず、画像処理部4(画像処理装置)における画像処理方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本開示に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。また、一部または全部の処理を専用ハードウェアを利用して実行させたり、ソフトウェアにより実行させたりすることができる場合もある。
〔5〕変形例
なお、本開示を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も含まれる。
なお、本開示を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も含まれる。
(5−1)上記実施の形態では、複数の画素(有色(K色、Y色など)の画素または無色(白色:下地)の画素)が連続してなる画素列の長さ方向を0°、45°、90°、135°の4方向について判断するとしたが、これに限られない。5方向以上、例えば0°、5°、10°・・・175°、180°というように5°異なる方向のそれぞれについて、その方向の画素列の有無を判定するとしても良いし、これに代えて、例えば異なる3方向や2方向、または1方向のみについて判断するとしても良い。
(5−2)また、入力画像D2に、ラインペア領域の座標を示す情報が含まれている場合には、その情報からラインペア領域を判別しても良い。また、上記では、文字画像の線分をその幅Wbとラインパターンの線幅Waとの大小関係からラインペアとは異なると判別する方法例を説明したが、これに限られない。例えば自動文字認識(OCR:Optical Character Recognition)技術を用いて、文字画像を認識し、ラインペア領域内において文字画像が占める領域(文字画像領域)を特定することもできる。
文字認識を行う場合、上記のようなラインペアパターンの判定、線状画像Uの検出をこの順に行う制御に代えて、まず文字認識を行い、その後、認識された文字画像に重畳するラインペアパターンの画像領域を判定する制御を行うこともできる。なお、ラインペアパターンの判定は、上記のフィルターを用いる方法に限られず、特許文献1に記載されている方法を含む別の方法を用いるとしても良い。
さらに、文字画像ではなくても、ラインペアパターンの画像領域E内に表などの罫線が重畳している状態の場合もこれを線状画像として判定してスムージング処理の対象から外して、スムージング処理を禁止することができる。
(5−3)上記実施の形態では、判定された線状画像Uの全体をスムージング禁止領域Fに特定して、スムージング処理の対象から外すとしたが、これに限られない。
例えば、線状画像Uのうち、その輪郭であるエッジ部分を除く内部の画像領域についてスムージング処理を行っても、記録シートにプリントされた線状画像がぼやけることによる画質低下にまで至らない場合もあり得る。このような場合、線状画像Uのうち、そのエッジ部分のみについてスムージング処理の対象から外し、他の部分(内部の画像領域)についてはスムージング処理を施す処理を行うこともできる。エッジ部分は、線状画像Uのエッジ画素の全部を特定するとしても良いし、これに代えて、線幅方向の一方のエッジ画素から他方のエッジ画素までの間に存する複数個の画素が連続してなる画素列において、エッジ画素とこれに隣接する画素、さらにこれに隣接する画素などエッジ画素から所定個数を数える画素までをエッジ部分に特定することもできる。
(5−4)上記の図11では、1列目T1の1本の黒画素列からなる黒色ラインパターンBpと、これに隣接する2列目T2の1本の白画素列からなる白色ラインパターンWpをラインペアパターンLpとする構成例を説明したが、これに限られない。
例えば、図11において仮に2列目T2が黒画素列であれば、1〜3列目の3本の黒画素列Bpが幅方向(画素列の長さ方向に対して直交する方向)に隣接した関係になり、この3本の黒画素列Bpからなる画素列群が1本の黒色ラインパターンになる。この1本の黒色ラインパターンと、4列目T4の1本の白画素列Wpからなる白色のラインパターンとがラインペアパターンを構成する。
このように複数本の黒画素列がその幅方向に隣接してなる画素列群を1本の黒色ラインパターンとし、複数本の白画素列がその幅方向に隣接してなる画素列群を1本の白色ラインパターンとする構成もあり得る。つまり、図3に示す黒色と白色のラインパターン101、102を構成する1ドット111が1画素の大きさの場合もあれば、m×n個の画素がマトリクス状に2次元平面上に並んでなる大きさの場合もあることになる。
幅方向に隣接する関係にある黒画素列Bp(または白画素列Wp)の本数を検出することで、何本の黒画素列Bp(または白画素列Wp)が1本の黒色ラインパターン(または白色ラインパターン)を構成しているかを判定できる。
(5−5)画像形成装置としては、画像処理装置としての画像処理部4を備えるものであればMFPに限られず、例えば複写機、プリンター、ファクシミリ装置等に適用できる。また、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
本開示に係る画像処理装置は、ラインペアパターンの画像領域にスムージング処理を施す技術として有用である。
1 MFP
2 画像読取部
4 画像処理部
52 ラインペア領域データ処理部
60 2値化処理部
61 カウント部(0°)
61a、62a、63a、64a 変化点カウントフィルター
62 カウント部(45°)
63 カウント部(90°)
64 カウント部(135°)
65 ライン判定結果記憶部
66 ラインペア領域判別部
67 線状画像検出部
68 スムージング禁止領域特定部
69 スムージング処理部
100、E ラインペア領域
101、Bp 黒色ラインパターン
102、Wp 白色ラインパターン
103、Lp ラインペアパターン
105 文字画像
651 判定結果記憶領域
H スムージング対象領域
T 画素列
F スムージング禁止領域
P 画素
Q 記憶領域
U 線状画像
Wa、Wb 線幅
2 画像読取部
4 画像処理部
52 ラインペア領域データ処理部
60 2値化処理部
61 カウント部(0°)
61a、62a、63a、64a 変化点カウントフィルター
62 カウント部(45°)
63 カウント部(90°)
64 カウント部(135°)
65 ライン判定結果記憶部
66 ラインペア領域判別部
67 線状画像検出部
68 スムージング禁止領域特定部
69 スムージング処理部
100、E ラインペア領域
101、Bp 黒色ラインパターン
102、Wp 白色ラインパターン
103、Lp ラインペアパターン
105 文字画像
651 判定結果記憶領域
H スムージング対象領域
T 画素列
F スムージング禁止領域
P 画素
Q 記憶領域
U 線状画像
Wa、Wb 線幅
Claims (8)
- 原稿の画像を読み取って画像データを得る読取手段と、
読み取られた画像データから、ラインペアパターンの画像領域内に、当該ラインペアパターンとは異なる線状画像が重畳した状態で存在するか否を検出する検出手段と、
前記線状画像の存在が検出された場合、前記ラインペアパターンの画像領域において、前記線状画像をスムージング処理の対象から外し、残りの領域に対してスムージング処理を施すスムージング処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記線状画像は、
前記ラインペアパターンを構成するラインパターンの幅よりも太い線状画像、または、前記ラインパターンの方向と異なる方向を向いた線状画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記スムージング処理手段は、前記存在が検出された線状画像の長さが所定値Ebよりも短い場合、前記線状画像をスムージング処理の対象から外すことを禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
- 前記スムージング処理手段は、スムージング処理に用いられる平滑化フィルターの大きさに応じて決まる領域だけ前記線状画像を拡張した領域をスムージング処理の対象から外すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記画像データから前記ラインペアパターンの画像領域を判定する判定手段を備え、
前記検出手段は、前記判定されたラインペアパターンの画像領域に対して前記線状画像の検出を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記ラインペアパターンは、複数個のドットが連結してなる線状のラインパターンが複数本、規則的に並んで構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記スムージング処理手段は、
前記線状画像のうち、エッジ部分のみに対してスムージング処理を施さず、エッジ部分以外の部分に対して、前記残りの領域とともにスムージング処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置のスムージング処理手段によりスムージング処理が施された後のラインペアパターンの画像領域を示す画像データに基づき、シート上に画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴する画像形成装置。
Priority Applications (1)
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