JP2021076141A - シール装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】組付けの際シールリングの位置合わせが容易であり、迅速かつ正確に回転軸上に設置できるシール装置を提供する。【解決手段】ケーシング3とメイティングリング4間に形成される凹部33にシールリング5が内装されて用いられるシール装置1であって、メイティングリング4の開口42とシールリング5の開口57に挿嵌される薄肉のガイド片14を有し、該ガイド片14の内側部に回転軸貫通部16を備えるセットリング10と、メイティングリング4と、シールリング5と、を備え、セットリング10のガイド片14がメイティングリング4の開口42に挿嵌されるとともに、シールリング5の弾性により該シールリング5の開口57に圧巻状態で挿嵌されている。【選択図】図1
Description
本発明は、シール装置に係り、特に船舶等に適用できるシール装置に関する。
シール装置は、流体機器のケーシングと該ケーシングを貫通するように配置される回転軸との間を回転可能に軸封するものである。このようなシール装置は各種流体機器と外気間において多用されるものの、船舶内部から水中に延出するプロペラ軸等にも利用されている。
特許文献1には、船体内の船尾管に接続されるケーシングと、該ケーシングの船首側に固定され船尾側に摺動面を有するメイティングリングと、回転軸に外嵌により取り付けられ船首側に摺動面を有しメイティングリングと摺接可能な端面シールであるシールリングと、により主に構成されるシール装置が開示されている。このようなシール装置は、船体に対して次のように装着される。回転軸が挿通される船尾管にはケーシングが密封状態で接続されており、この回転軸に弾性を有する環状のシールリングが圧巻状態で装着される。この環状のシールリングの回転軸への装着にはメイティングリングが利用されており、回転軸に遊嵌させたメイティングリングをシールリングに当接させ、このシールリングがケーシング内部の凹部に収納されるまでその背後から押し込み、メイティングリングがケーシングに当接した状態でメイティングリングがケーシングにボルト止めされ固定される。
このようなシール装置にあっては、シールリングが回転軸と一体に回転し、シールリングとケーシングと一体のメイティングリングとが、共に回転軸を直角に横切り、摺動面同士の摺接状態が維持される場合、摺動面を冷却及び潤滑する液体の漏洩を可能な限り防止できることになる。
しかしながら、前述したシールリング組付け工程にあっては、回転軸に当初から圧巻状態で装着されている環状のシールリングを、回転軸に遊嵌させたメイティングリングでケーシング内部の凹部に収納されるまでその背後から押し込むようになっている。この場合、回転軸にはグリースなどの潤滑剤が塗布され圧巻状態で回転軸に装着されている環状のシールリングも回転軸に沿って移動はするが、潤滑剤の塗ムラや移動の手際などによりケーシング内部の凹部に収納されるまでの圧入工程においてシールリングに捻れや捲れが起き易く、シールリングの姿勢を傾倒させずに回転軸の規定の位置に移動させる作業工程に時間と手間がかかってしまい、シール装置の組付けが極めて煩雑となるといった問題があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、組付けの際シールリングの位置合わせが容易であり、迅速かつ正確に回転軸上に設置できるシール装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のシール装置は、
ケーシングとメイティングリング間に形成される凹部にシールリングが内装されて用いられるシール装置であって、
前記メイティングリングの開口と前記シールリングの開口に挿嵌される薄肉のガイド片を有し、該ガイド片の内側部に回転軸貫通部を備えるセットリングと、前記メイティングリングと、前記シールリングと、を備え、前記セットリングのガイド片が前記メイティングリングの開口に挿嵌されるとともに、前記シールリングの弾性により該シールリングの開口に圧巻状態で挿嵌されている。
これによれば、セットリングのガイド片の外周側にメイティングリングとシールリングを保持した状態で、ガイド片は回転軸貫通部が回転軸に挿通して移動できるため、シールリングに対して回転軸との摩擦力が直接加わらず、ケーシングを流体機器に取り付けた所定位置において、シールリングとメイティングリングとを残すようにセットリングを取り外すだけで、該シールリングは自己の弾性力により回転軸に対して圧巻状態となり適正位置に位置決めされることになる。
ケーシングとメイティングリング間に形成される凹部にシールリングが内装されて用いられるシール装置であって、
前記メイティングリングの開口と前記シールリングの開口に挿嵌される薄肉のガイド片を有し、該ガイド片の内側部に回転軸貫通部を備えるセットリングと、前記メイティングリングと、前記シールリングと、を備え、前記セットリングのガイド片が前記メイティングリングの開口に挿嵌されるとともに、前記シールリングの弾性により該シールリングの開口に圧巻状態で挿嵌されている。
これによれば、セットリングのガイド片の外周側にメイティングリングとシールリングを保持した状態で、ガイド片は回転軸貫通部が回転軸に挿通して移動できるため、シールリングに対して回転軸との摩擦力が直接加わらず、ケーシングを流体機器に取り付けた所定位置において、シールリングとメイティングリングとを残すようにセットリングを取り外すだけで、該シールリングは自己の弾性力により回転軸に対して圧巻状態となり適正位置に位置決めされることになる。
前記セットリングの前記ガイド片は、前記メイティングリングの抜け落ちを防止するストッパーを有していてもよい。
これによれば、セットリングのガイド片とメイティングリングとを一体に移動でき、作業性が向上する。
これによれば、セットリングのガイド片とメイティングリングとを一体に移動でき、作業性が向上する。
前記セットリングの前記ガイド片は、前記メイティングリングに緊合状態で内嵌可能であってもよい。
これによれば、セットリングの内径中心とメイティングリングの内径中心とが揃うことから、メイティングリングの内径中心と回転軸の径中心を揃えることができるため、メイティングリングの心出し調整が不要となり、シール装置の組付け時間を短縮することができる。
これによれば、セットリングの内径中心とメイティングリングの内径中心とが揃うことから、メイティングリングの内径中心と回転軸の径中心を揃えることができるため、メイティングリングの心出し調整が不要となり、シール装置の組付け時間を短縮することができる。
前記セットリングの前記ガイド片は、前記シールリングの内周面に当接可能で周方向に連続する第1環状板部を有していてもよい。
これによれば、第1環状板部の強度が保たれるため、セットリングが確実にシールリングに内嵌可能となる。
これによれば、第1環状板部の強度が保たれるため、セットリングが確実にシールリングに内嵌可能となる。
前記セットリングの前記ガイド片は、前記メイティングリング挿嵌される第2環状板部を有しており、該第2環状板部は前記第1環状板部よりも厚肉であってもよい。
これによれば、メイティングリングと回転軸との離間距離を長くすることができ、メイティングリングが運転時の回転軸に接触するのを防止できる。また、第1環状板部が相対的に薄肉でありセットリングがシールリングに圧巻された状態でのシールリングの圧巻力の差が小さいため、セットリングをシールリングから引き抜き易く、かつ、第2環状板部が相対的に厚肉であるため、セットリング自体の強度を高められる。
これによれば、メイティングリングと回転軸との離間距離を長くすることができ、メイティングリングが運転時の回転軸に接触するのを防止できる。また、第1環状板部が相対的に薄肉でありセットリングがシールリングに圧巻された状態でのシールリングの圧巻力の差が小さいため、セットリングをシールリングから引き抜き易く、かつ、第2環状板部が相対的に厚肉であるため、セットリング自体の強度を高められる。
前記セットリングは、前記メイティングリング方向に引っ張るための係止部を有してもよい。
これによれば、セットリングがメイティングリングを貫通してシールリングに内嵌したまま回転軸に外挿された状態で、セットリングをシールリングから引き抜き易い。
これによれば、セットリングがメイティングリングを貫通してシールリングに内嵌したまま回転軸に外挿された状態で、セットリングをシールリングから引き抜き易い。
前記ケーシングと、前記ケーシングに締結手段により締結された前記メイティングリングと、前記シールリングと、前記セットリングとは、ユニット化されていてもよい。
これによれば、予めケーシングを含めたシール装置をユニット化できるため、シール装置の組付けを容易にすることができる。
これによれば、予めケーシングを含めたシール装置をユニット化できるため、シール装置の組付けを容易にすることができる。
前記セットリングは、軸方向に延びる割れが1または2以上形成されていてもよい。
これによれば、セットリングがC字状に割れるまたは複数に分割されるため、セットリングがメイティングリングを貫通してシールリングに内嵌したまま回転軸に外挿された状態で、シールリングをメイティングリング方向にスライドさせた後回転軸から外径方向に取り外せるため、セットリングの取り外しが容易となる。
これによれば、セットリングがC字状に割れるまたは複数に分割されるため、セットリングがメイティングリングを貫通してシールリングに内嵌したまま回転軸に外挿された状態で、シールリングをメイティングリング方向にスライドさせた後回転軸から外径方向に取り外せるため、セットリングの取り外しが容易となる。
本発明に係るシール装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施例に係るシール装置につき、図1から図8を参照して説明する。以下、本実施例においては、図1の紙面左側を船尾側またはケーシング側、紙面右側を船首側またはメイティングリング側として説明する。
シール装置1は、船舶のプロペラとモータとを接続する回転軸2が貫通する筒状の流体機器としての船尾管に適用されるものである。図1に示されるようにシール装置1はケーシング3と、該ケーシング3の船首側側端に固定されるメイティングリング4と、回転軸2に外嵌して用いられるシールリング5と、メイティングリング4及びシールリング5に取り外し可能に内嵌されるセットリング10(図5(a)参照。)とを備え、これらケーシング3、メイティングリング4、シールリング5及びセットリング10はセットリング10により一時的なユニット化が可能となっている。尚、流体機器は船舶に用いられるものに限らず、自動車や一般産業機械等に用いられる流体機器であってもよい。
ケーシング3は、筒状部31と該筒状部31の船首側から外径方向に延伸するフランジ部32とを有し、フランジ部32の内径側には船首側端部から船尾側に凹む凹部33が形成されている。また、筒状部31の摺動面34は組付け後回転軸2に摺接(図5(c)参照。)可能となっている。ケーシング3は潤滑性の良い軸受用の樹脂材製であり、例えば、エポキシ樹脂(ER)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルエーテルケント(PEEK)またはこれらの樹脂に強化繊維を複合した樹脂材を用いるとよく、その他硬質ゴム、アルミニウム、銅合金、含油焼結軸受等を利用することもできる。尚、ケーシング3の内径は回転軸2の外径よりも大きく筒状部31の内周面は組付け後回転軸2に摺接しなくてもよい。
また、ケーシング3のフランジ部32には、凹部33から外径側に延びて形成される連通路35が、接続手段36を介してケーシング3の外部に接続されている。組付け後においてケーシング3の外部から連通路35を通して凹部33に冷却水が供給されるようになっており、冷却水は、それぞれ運転時に摺動関係にある回転軸2及び摺動面34と、メイティングリング4及びシールリング5と、を冷却でき、かつこれらの摺動面間を円滑に潤滑させることができる(図1参照。)。
メイティングリング4は金属製または樹脂材製であり、中心に開口42を形成する薄板円盤状を成している。またメイティングリング4は、その外径側がケーシング3の船首側端面に当接した状態で、周方向に亘って等間隔で複数箇所ケーシング3に対して締結手段としてのボルトナット8によって締結されており(図1では1箇所のみ図示。)、メイティングリング4の内径側の船尾側面が摺動面41となっている。また、ケーシング3の船首側端面に周方向に亘って形成されたリング溝37にはOリング9が嵌入されており、メイティングリング4がケーシング3にボルトナット8によってボルト止めされることで、ケーシング3とメイティングリング4とを密封できるようになっている。尚、メイティングリング4はケーシング3に対してボルトナット8による締結に限らず、例えば溶接固定による締結であってもよい。
シールリング5は弾性を有するゴム材製または樹脂材製で回転軸2の外径より僅かに内径が小さくなっており、基部51と、該基部51から船首側に向いて延びる2条のリップ部52,53とを有し、該2条のリップ部52,53の船首側端面が摺動面52a,53aとなっており、基部51の内周には回転軸2に当接し得る内周面としての当接面54が形成されている。また、シールリング5の外径側に形成された断面U字状の背面溝55には、ガータスプリング56が外嵌されており、回転軸2に外嵌して取り付けられているシールリング5の圧巻力を向上させている。また組付け後において、シールリング5が収容されたケーシング3の凹部33は冷却水で満たされ、冷却水の水圧がシールリング5の圧巻力を向上させるように加わる。尚、リップ部52,53は2条に限らず1条または3条以上であってもよい。さらに尚、背面溝55にガータスプリング56を外嵌する代わりに他の緊定手段例えば結束バンドで締結してもよく、またガータスプリング56等の緊定手段は必須ではない。
セットリング10は金属製または樹脂製であり、薄肉のガイド片14と、該ガイド片14の船首側端部から外径方向に延伸する係止部としてのフランジ片15とを有し、ガイド片14の内側部に軸方向に平行に延びる回転軸貫通部16が形成されている。ガイド片14は、船尾側から船首側にかけて、第1環状板部11と、該第1環状板部11より厚肉な第2環状板部12と、該第2環状板部12より厚肉な第3環状板部13とを具え、これら第1環状板部11、第2環状板部12及び第3環状板部13は断面視段状を成しており、第3環状板部13の船尾側の側面はメイティングリング4と当接し得るストッパー13aとなっている。また、第1環状板部11及び第2環状板部12の船尾側の角は、セットリング10をメイティングリング4及びシールリング5にスムーズに内嵌できるよう面取り加工が施されている。また、セットリング10の内径は回転軸2の外径よりも僅かに大きいため、セットリング10を回転軸2に外挿させることができる(図6(a)参照。)。尚、第1環状板部11は周方向に連続するものに限らず、例えば周方向に亘って各櫛が軸方向に延びる櫛状に形成されていてもよい。さらに尚、セットリング10の内径は回転軸2の外径と同径であってもよい。
図2,3により、シール装置1のユニット化について説明する。まず、セットリング10のガイド片14の第1環状板部11及び第2環状板部12の外面に図示しないグリースを塗布し余分なグリースを除去した後、メイティングリング4の摺動面41にグリースが付着していないか確認し必要なら脱脂する。その後図2(a),(b)に示されるように、メイティングリング4の開口42に船首側からセットリング10のガイド片14を挿入し、第3環状板部13のストッパー13aがメイティングリング4に当接するまで押し込む。第2環状板部12及びメイティングリング4は軸方向寸法が略同一であり、かつ第2環状板部12の外径及びメイティングリング4の内径は略同一であるため、第2環状板部12は軸方向に亘ってメイティングリング4に隙間なく内嵌される。尚、グリースの塗布及び余剰分の除去は第1環状板部11の外面だけでもよい。
次いで、シールリング5のリップ部52,53の摺動面52a,53aにグリースが付着していないか確認し必要なら脱脂し、その後図2(b)に示されるように、シールリング5を拡径させながら開口57に船首側からセットリング10のガイド片14を挿入し、シールリング5がメイティングリング4に当接するまで押し込むことで、メイティングリング4はシールリング5とセットリング10の第3環状板部13のストッパー13aとによって挟持されてこれらは一体となる。このときグリースの潤滑作用により、シールリング5の開口57にセットリング10をスムーズに挿入することができる。また、第1環状板部11及びシールリング5は軸方向寸法が略同一であるため、第1環状板部11は軸方向に亘ってシールリング5に内嵌される。
次いで図3(a)に示されるように、シールリング5の背面溝55にグリースを塗布した後、該背面溝55にガータスプリング56を拡開させて外嵌させる。その後、グリースを塗布したOリング9を該ケーシング3のリング溝37に収納させた後、図3(b)に示されるようにケーシング3及びメイティングリング4をボルトナット8によって締結させる。このようにしてシール装置1が分離せずにユニット状態を維持できるため、シール装置1のユニットごと運搬することができる。また、メイティングリング4はシールリング5とセットリング10の第3環状板部13のストッパー13aとによって挟持されて一体となっているため、メイティングリング4の摺動面41とシールリング5のリップ部52,53の摺動面52a,53aとが当接した状態を維持できる。
図4に示されるように、ユニット化されたシール装置1のケーシング3は、船尾管に接続可能となるように、船尾側にジョイントホース6が取り付けられる。具体的には、ケーシング3の筒状部31及びジョイントホース6に筒状のゴム管7が外嵌され、さらに各々2つの締結バンド71,72によって圧巻されることで、ケーシング3及びジョイントホース6を連結している。尚、締結バンド71,72は各々2つに限らず、また圧巻する手段はこれに限らない。さらに尚、ジョイントホース6の取り付けはケーシング3にメイティングリング4をボルト締結する直前に行ってもよく、その場合ジョイントホース6をユニットの一部として扱ってもよい。
次いで、ユニット状態のシール装置1の組付けについて説明する。図5(a)に示されるように、ユニット状態のシール装置1を回転軸2に船首側から外挿させ、予め回転軸2に外挿され船尾管側に配置されている図示しない船尾管にジョイントホース6を接続させる。これにより、ケーシング3はジョイントホース6及びゴム管7を介して船尾管に接続されることで、シール装置1は回転軸2に対し軸方向における所定の位置に固定されるようになっている(図5(b)参照。)。このとき、シールリング5及びガータスプリング56の圧巻力はセットリング10が受け回転軸2にはかからないため、セットリング10を回転軸2上で簡単に移動させることができる。
その後、メイティングリング4及びシールリング5に内嵌したまま回転軸2に外挿されたセットリング10を、そのフランジ片15を把持し船首側に引いて取り外す(図5(c)参照。)。このとき、シールリング5はセットリング10に追従してメイティングリング4に押し付けられながら縮径するため(図6(a),(b)参照。)、シールリング5のリップ部52,53の摺動面52a,53aはメイティングリング4の摺動面41と当接状態を維持しながら回転軸2上の適正な位置に圧巻されるようになっている(図6(c)参照。)。尚、セットリング10の内径は回転軸2の外径よりも僅かに大きく、ガイド片14は回転軸貫通部16が回転軸2に挿通して軸方向に移動できるため、セットリング10をスムーズに取り外すことができる。さらに尚、セットリング10の第1環状板部11に図示しないグリースが塗布されているため、シールリング5をスムーズにセットリング10から取り外すことができる。
また、ユニット状態においてメイティングリング4はシールリング5とセットリング10の第3環状板部13のストッパー13aとによって挟持されているため、セットリング10を引き抜いた後シールリング5はメイティングリング4との当接状態を維持したまま回転軸2に外嵌される。これにより、メイティングリング4及びシールリング5の当接具合を調整する手間が省け、組付けが容易となる。
また、シールリング5は当接面54にグリースが一部残留したまま回転軸2に外嵌されることから、運転中に回転軸2が軸方向に変位してもシールリング5は回転軸2とともに軸方向に移動しにくくなっているため、メイティングリング4とシールリング5との摺接状態を維持できる。
また、メイティングリング4の摺動面41及びシールリング5のリップ部52,53の摺動面52a,53aは、シール装置1をユニット化させる際互いに脱脂状態であることを確認されており、組付け後も脱脂状態を維持しているため、摺動面同士の損傷を防止できる。さらに、組付け時の限られた空間での脱脂作業を省略でき、組付け作業を簡略化できる。
また、シール装置1をユニット化させる際グリースの塗布及び余剰分の除去を予め行うため、組付け時の限られた空間でのグリースの塗布及び余剰分の除去の作業を省略でき、組付け作業を簡略化できる。さらに他の機器にグリースが付着するような作業ミスを防止することができる。
また、シール装置1をユニット化させる際Oリング9をケーシング3のリング溝37に嵌入させるため、組付け時の限られた空間でのOリング9の嵌入作業を省略でき、組付け作業を簡略化できる。
また、運搬中にシール装置1をユニット化しない場合にも適用可能であり、この場合組付け直前にシール装置1をユニット化することで、組付けを容易にすることができる。
以上説明したように、メイティングリング4の開口とシールリング5の開口に挿嵌される薄肉のガイド片14を有し、該ガイド片14の内側部に回転軸貫通部16を備えるセットリング10と、メイティングリング4と、シールリング5と、を備え、セットリング10のガイド片14がメイティングリング4の開口に挿嵌されるとともに、シールリング5の弾性によりシールリング5の開口に圧巻状態で挿嵌されている。そのため、セットリング10のガイド片14の外周側にメイティングリング4とシールリング5を保持した状態で、ガイド片14は回転軸貫通部16が回転軸2に挿通して移動できるため、シールリング5に対して回転軸2との摩擦力が直接加わらず、ケーシング3を船尾管に取り付ける所定位置において、シールリング5とメイティングリング4とを残すようにセットリング10を取り外すだけで、該シールリング5は自己の弾性力により回転軸2に対して圧巻状態となり適正位置に位置決めされることになる。
また、セットリング10のガイド片14は、メイティングリング4の抜け落ちを防止するストッパー13aを有しているため、セットリング10のガイド片14とメイティングリング4とを一体に移動でき、作業性が向上する。
また、セットリング10のガイド片14は、メイティングリング4に緊合状態で可能であることから、メイティングリング4の内径中心と回転軸2の径中心を揃えることができるため、メイティングリング4の心出し調整が不要となり、シール装置1の組付け時間を短縮することができる。
また、セットリング10のガイド片14は、シールリング5の当接面54に当接可能で周方向に連続する第1環状板部11を有しているため、第1環状板部11の強度が保たれ、セットリング10が確実にシールリング5に内嵌可能となる。
また、セットリング10のガイド片14は、メイティングリング4に挿嵌される第2環状板部12を有しており、該第2環状板部12は第1環状板部11よりも厚肉である。そのため、メイティングリング4と回転軸2との離間距離を長くすることができ、メイティングリング4が運転時の回転軸2に接触するのを防止できる。また、第1環状板部11が相対的に薄肉でありセットリング10がシールリング5に圧巻された状態でのシールリング5の圧巻力の差が小さいため、セットリング10をシールリング5から引き抜き易く、かつ、第2環状板部12が相対的に厚肉であるため、セットリング10自体の強度を高められる。
また、セットリング10は、船首側に引っ張るためのフランジ片15を有しているため、セットリング10がメイティングリング4を貫通してシールリング5に内嵌したまま回転軸2に外挿された状態で、セットリング10をシールリング5から引き抜き易い。
また、ケーシング3と、ケーシング3にボルトナット8により締結されたメイティングリング4と、シールリング5と、セットリング10とは、ユニット化されているため、予めケーシング3を含めたシール装置1をユニット化でき、シール装置1の組付けを容易にすることができる。
実施例の変形例1について説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一のものについては、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施例において、図7(a)に示されるように割れのないセットリング10を示したが、図7(b),(c)に示されるように、セットリング110,210に軸方向に延びる1つまたは2つの割れ117,217が形成されていてもよい。これによれば、セットリング110はC字状に割れることができ、またセットリング210は2つに分割することができるため、シール装置1の組付けにおいてセットリング110,210を船首側に引っ張った後、回転軸2から外径方向に取り外せるため、セットリング110,210の取り外しが容易となる。尚、割れの数は3つ以上あってもよい。
実施例の変形例2について説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一のものについては、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施例において、図7(a)に示されるように船首側にフランジ片15を有するセットリング10を示したが、係止部はフランジ状以外であってもよい。例えば図8(a)のようにセットリング310の第3環状板部13から任意の2箇所で船首側に延出する係止部としての円環係止片315でもよく、図8(b)のようにセットリング410の第3環状板部13から任意の2箇所で船首側に延出する延出片に形成された孔に相通する係止部としての環状ヒモ415をでもよく、図8(c)のようにセットリング510の第3環状板部13から任意の2箇所で船首側に延出する係止部としてのC字係止片515でもよい。
このようなセットリング310,410,510は、第3環状板部13から船首側に延出する構造であるため、径方向にスリムであり、組付け作業のスペースを確保し易い。尚、各セットリングに2つの係止部を有すると説明したが、これに限らず1つまたは3つ以上でもよい。さらに尚、図7(a)〜(c)において2つの割れが形成されているが、割れが1つまたは3つ以上形成されていてもよく、また割れがなくてもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、シール装置1はジョイントホース6を備えると説明したが、これに限らずケーシング3がジョイントホース6を介さず直接的または間接的に船尾管と接続されていてもよい。
また、メイティングリング4の摺動面41及びシールリング5の2条のリップ部52,53の摺動面52a,53aは平坦面を成すものでも、凹み部が設けられているものでもよい。
また、第1環状板部11及び第2環状板部12の船尾側の角は面取り加工が施されていると説明したが、これに限らず面取り加工が施されていなくてもよい。
また、第1環状板部11及びシールリング5は軸方向寸法は略同一であると説明したが、これに限らず第1環状板部11の軸方向寸法が相対的に長くても短くてもよい。
また、第2環状板部12は第1環状板部11より厚肉であり、かつ第2環状板部12の外径及びメイティングリング4の内径は略同一であると説明したが、これに限らず第2環状板部12は第1環状板部11と略同一の厚肉でよいし、または第2環状板部12の外径がメイティングリング4の内径より小さくてもよい。
また、セットリングの係止部としてフランジ片15、円環係止片315、環状ヒモ415、C字係止片515を例に挙げたが、係止部は必須の部材ではない。
1 シール装置
2 回転軸
3 ケーシング
4 メイティングリング
5 シールリング
8 ボルトナット(締結手段)
10 セットリング
11 第1環状板部
12 第2環状板部
13 第3環状板部
13a ストッパー
14 ガイド片
15 フランジ片(係止部)
16 回転軸貫通部
33 凹部
42 開口
54 当接面(内周面)
57 開口
110 セットリング
117 割れ
210 セットリング
217 割れ
310 セットリング
315 円環係止片(係止部)
410 セットリング
415 環状ヒモ(係止部)
510 セットリング
515 C字係止片(係止部)
2 回転軸
3 ケーシング
4 メイティングリング
5 シールリング
8 ボルトナット(締結手段)
10 セットリング
11 第1環状板部
12 第2環状板部
13 第3環状板部
13a ストッパー
14 ガイド片
15 フランジ片(係止部)
16 回転軸貫通部
33 凹部
42 開口
54 当接面(内周面)
57 開口
110 セットリング
117 割れ
210 セットリング
217 割れ
310 セットリング
315 円環係止片(係止部)
410 セットリング
415 環状ヒモ(係止部)
510 セットリング
515 C字係止片(係止部)
Claims (8)
- ケーシングとメイティングリング間に形成される凹部にシールリングが内装されて用いられるシール装置であって、
前記メイティングリングの開口と前記シールリングの開口に挿嵌される薄肉のガイド片を有し、該ガイド片の内側部に回転軸貫通部を備えるセットリングと、前記メイティングリングと、前記シールリングと、を備え、前記セットリングのガイド片が前記メイティングリングの開口に挿嵌されるとともに、前記シールリングの弾性により該シールリングの開口に圧巻状態で挿嵌されているシール装置。 - 前記セットリングの前記ガイド片は、前記メイティングリングの抜け落ちを防止するストッパーを有している請求項1に記載のシール装置。
- 前記セットリングの前記ガイド片は、前記メイティングリングに緊合状態で内嵌可能である請求項1または2に記載のシール装置。
- 前記セットリングの前記ガイド片は、前記シールリングの内周面に当接可能で周方向に連続する第1環状板部を有している請求項1ないし3のいずれかに記載のシール装置。
- 前記セットリングの前記ガイド片は、前記メイティングリング挿嵌される第2環状板部を有しており、該第2環状板部は前記第1環状板部よりも厚肉である請求項4に記載のシール装置。
- 前記セットリングは、前記メイティングリング方向に引っ張るための係止部を有している請求項1ないし5のいずれかに記載のシール装置。
- 前記ケーシングと、前記ケーシングに締結手段により締結された前記メイティングリングと、前記シールリングと、前記セットリングとは、ユニット化されている請求項1ないし6のいずれかに記載のシール装置。
- 前記セットリングは、軸方向に延びる割れが1または2以上形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載のシール装置。
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JP2019201234A JP2021076141A (ja) | 2019-11-06 | 2019-11-06 | シール装置 |
US17/086,262 US20210131564A1 (en) | 2019-11-06 | 2020-10-30 | Seal device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019201234A JP2021076141A (ja) | 2019-11-06 | 2019-11-06 | シール装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=75687105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019201234A Pending JP2021076141A (ja) | 2019-11-06 | 2019-11-06 | シール装置 |
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Country | Link |
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CN117280121A (zh) * | 2021-04-30 | 2023-12-22 | 塑形科技集团有限公司 | 高压密封组件 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5387494A (en) * | 1976-12-20 | 1978-08-01 | Henrii Kotsukusu Jieemusu | Seal assembly for marine propeller shaft |
JPS58211069A (ja) * | 1982-05-27 | 1983-12-08 | サンドストランド・コ−ポレ−シヨン | 面シ−ル組立体及びその使用方法 |
WO2016021433A1 (ja) * | 2014-08-08 | 2016-02-11 | イーグルブルグマンジャパン株式会社 | 密封装置 |
-
2019
- 2019-11-06 JP JP2019201234A patent/JP2021076141A/ja active Pending
-
2020
- 2020-10-30 US US17/086,262 patent/US20210131564A1/en not_active Abandoned
Patent Citations (3)
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JPS5387494A (en) * | 1976-12-20 | 1978-08-01 | Henrii Kotsukusu Jieemusu | Seal assembly for marine propeller shaft |
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