JP2021075824A - ワイヤロープ用心材およびワイヤロープ - Google Patents

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Abstract

【課題】適切な伸び特性を持つワイヤロープを提供するための心材を提供する。【解決手段】ワイヤロープ1は,中実な樹脂によって作られる心材3と,心材3の周囲にらせん状に撚り合わされる6本のストランド2とから構成される。心材3と心材3の周囲に撚り合わされるストランド2との接触比と心材の圧縮応力との積をA,ワイヤロープ1のポアソン比をBとした場合にB=−0.1×A+6.0によって表されるBの値が,2以上5未満である。【選択図】図1

Description

この発明は,クレーン,リフト,その他の設備ないし施設において特に動索として用いられるワイヤロープ用の心材およびワイヤロープに関する。
合成樹脂に代表される非金属製心材を備えるワイヤロープは,金属製心材を備えるワイヤロープ(たとえば,IWRC(Independent Wire Rope Core)を備えるもの)に比べて摩耗(特にフレッティング摩耗)が少ない。しかしながら,使用を続けると,ワイヤロープを構成する複数のストランドが心材を締め付けることでロープ直径が次第に細くなると同時に,長手方向に伸びが生じる。ワイヤロープの伸びは,ワイヤロープがクレーン,リフト等の動索として用いられる場合に発生しやすく,特にリフトで用いられるものは,両端を繋いで輪の状態で使用するため,長手方向に生じた伸びは切り詰めなければならない。また,伸びが生じることによってワイヤロープの径が細くなり,ワイヤロープは初期状態よりも破断しやすくなることから,リフトの規格を超える伸び(たとえば0.5%の伸び)が生じた場合には一般にワイヤロープは新しいものに交換される。
特許文献1はワイヤロープの心材に樹脂心を用いるものを記載する。樹脂心は周囲から締め付けられたときの減径が小さく,したがって樹脂心を用いたワイヤロープは長手方向の伸びが少ない。所定の伸びに到達するまでに時間を要するので,比較的長期間にわたって使用し続けることができる(いわゆるロープ寿命が長い)。
特開2015−229544号公報
ワイヤロープが引っ張られることによって(ステップ1),ストランドによって樹脂心が周囲から締め付けられて潰され(ステップ2),樹脂心が潰されることでワイヤロープに伸びが生じ(ステップ3),ワイヤロープに伸びが生じることでワイヤロープが減径し(ステップ4),ワイヤロープが減径することで樹脂心がさらに潰される(ステップ2),の繰り返しが,ワイヤロープには作用する。
ワイヤロープの伸びを抑制するには,周囲から強い力で締め付けられても潰れにくい,換言すると圧縮応力の高い樹脂心を用いることが適当である。
圧縮応力が高ければ高いほど樹脂心は潰れにくく,結果としてワイヤロープの伸びの抑制に大きく貢献する。しかしながら,圧縮応力が高すぎると樹脂心は脆くなり,曲げることができなくなってしまう(曲げたときに折れて(破断して)しまう)。樹脂心の折れはワイヤロープの伸びに直結するので絶対に避けなければならない。逆に樹脂心の圧縮応力が低すぎると,当然に周囲から締め付けられたときの減径の程度も大きくなり,ワイヤロープの伸びが生じやすくなるから,これも避ける必要がある。
樹脂心を潰れの程度に関連する要因として,上述した樹脂心の圧縮応力に加えて,樹脂心とその周囲に撚り合わされるストランドとの接触面の大きさも考慮に値する。樹脂心とストランドとを狭く接触させると締め付け力が狭い範囲に集中して加わり,樹脂心は潰れやすくなる。樹脂心とストランドとを広く接触させることで,ストランドによる締め付け力が分散され,結果的に樹脂心は潰れにくくなる。
この発明は「心材とストランドとの接触比」および「心材の圧縮応力」の2つのパラメータに着目して,適切な伸び特性を実現するためにワイヤロープが有するべき上記接触比および上記圧縮応力を導き出すことを目的とする。
この発明によるワイヤロープ用心材は,非金属製材料によって作られ,複数本の金属製ストランドが周囲にらせん状に撚り合わされるものであって,心材と心材の周囲に撚り合わされるストランドとの接触比(以下,「接触比」と呼ぶ)と心材の圧縮応力(以下,「圧縮応力」と呼ぶ)との積をA,ワイヤロープのポアソン比(横ひずみ/縦ひずみ)をBとした場合にB=−0.1×A+6.0(以下「共通特性式」という)によって表されるBの値が,2以上5以下(以下「共通特性範囲」という)であることを特徴とする。
物体に弾性限界内で応力を加えたときに,応力に直角方向に発生するひずみ(横ひずみ)と応力方向に沿って発生するひずみ(縦ひずみ)の比(横ひずみ/縦ひずみ)である「ポアソン比」は,物体の材質によって定まる。ワイヤロープについてもポアソン比はワイヤロープに固有とも考えられる。しかしながら,非金属製材料,たとえば合成樹脂製の心材(樹脂心)を中心に備え,その周囲に複数本のストランドが撚り合わされることによって構成されるワイヤロープでは,引っ張られることで,ワイヤロープを構成する樹脂心に対し樹脂心のポアソン比にしたがって径方向にひずみ(横ひずみ)が発生するとともに,これに重畳してストランドによって周囲から締め付けられることによるひずみ(減径)も発生する。このため,樹脂心を中心に備えるワイヤロープについては,材質のみによってはポアソン比を定めることはできない。この意味では,ワイヤロープを引っ張ったときにワイヤロープに生じる横ひずみと縦ひずみの比を「ポアソン比」を呼ぶことは用語の定義からすると正確ではないが,応力が加えられたときに互いに直交する方向に発生する2つのひずみを用いて算出される値であることは共通するから,この明細書において,ワイヤロープを引っ張ったときにワイヤロープに生じる横ひずみと縦ひずみの比を「ポアソン比」を呼ぶ。
様々な非金属製材料から心材を作製し,作製した心材の周囲に複数本の鋼製ストランドを撚り合わせた複数種類のワイヤロープを作製し,それらのワイヤロープのポアソン比と,接触比および圧縮応力との関係を種々検討したところ,ワイヤロープのポアソン比は,接触比と圧縮応力を乗算した値によって整理することができた。このポアソン比と,接触比および圧縮応力(これらの乗算値)との関係が,上述した「共通特性式」である。共通特性式にしたがうことによって,非金属製心材を備えるワイヤロープは,そのポアソン比を,接触比および圧縮応力によって知る(予測する)ことができる。逆にポアソン比を定めることで,そのポアソン比を持つことになるワイヤロープが備えるべき接触比および心材が備えるべき圧縮応力を求めることができる。
ワイヤロープの伸び特性(引っ張られたときに伸びにくいこと)および心材の破損の抑制を考慮すると,ワイヤロープのポアソン比は,所定の値の範囲内に収めるべきである。ポアソン比が小さすぎると,それはワイヤロープが硬い(変形しづらい)ことを意味し,心材が硬すぎることに起因する。ワイヤロープのポアソン比を2以上とすることによって柔軟性を有し,かつ心材に破壊が生じにくいワイヤロープを規定することができる。逆にポアソン比が大きすぎると,それはワイヤロープが柔らかく(変形が大きい),伸びが生じやすいことを意味する。ワイヤロープのポアソン比を5以下とすることによって伸びの抑制されたワイヤロープを規定することができる。共通特性範囲(ポアソン比が2以上5以下であること)は,このような観点から規定される。
このようにこの発明によると,非金属製心材を中心にしてその周囲に複数本の金属製ストランドを撚り合わせることによって製造されるワイヤロープのポアソン比は,上述した共通特性式の下,心材とストランドとの接触比(すなわち心材の構造),および心材の圧縮応力(心材の材質の種類)の2つのパラメータによって制御することできる。共通特性式によって算出される値が2以上5未満となるように接触比および圧縮応力の少なくともいずれか一方を制御する,具体的には心材の形状の調整し(接触比の制御)および心材の材質を選択する(圧縮応力の制御)ことで,伸び特性が良好で,かつ心材の破壊が生じにくい高機能のワイヤロープを提供することができる。共通特性式および共通特性範囲を利用することによって,ワイヤロープを構成する心材の材質の種類の選択の幅を広げることができる。心材として採用される特定の材質の圧縮応力に応じて,適切な心材の構造(接触比)を決定することができる。
接触比については,非金属製心材,たとえば樹脂製心材を加熱することによって柔らかくし,柔らかくした心材にストランドを撚り合わせることによって最大値とすることができる。しかしながら,心材を加熱するには手間と時間がかかり,加熱することで柔らかくされた心材が冷やされて硬化するまでに時間もかかる。他方,加熱処理を行わない心材を用いることで,加熱処理を行う心材を用いる場合に比べると接触比は小さくなり,これによってワイヤロープのポアソン比が大きくはなる。しかしながら,他方のパラメータである圧縮応力を調整することによって,加熱処理を行う心材を用いたワイヤロープに匹敵するポアソン比を,加熱処理を行わない心材を用いたワイヤロープにおいても持たせることができる。
好ましくは,上記非金属材料が中実な樹脂である。選択する樹脂によって心材の圧縮応力を調整することができるので,上述した共通特性式および共通特性範囲を満たすワイヤロープ用心材を製造しやすくなる。
さらに好ましくは,上記心材の外周面に,複数本のストランドのそれぞれを収めて撚り合わせるためのらせん状の複数の溝が形成されている。らせん状の溝に沿ってストランドを心材の周囲に撚り合わせることができ,接触比を大きくする(すなわちワイヤロープのポアソン比を小さくする)ことができる。らせん状の複数の溝は,あらかじめ(ストランドを撚り合わせる前)に形成しておいてもよいし,ストランドを撚り合わせたときにらせん状の溝が形付けられるものであってもよい。たとえば,心材の材料に熱可塑性樹脂を採用し,加熱することで柔らかくされた心材のストランドをらせん状に撚り合わせ,その後に熱可塑性樹脂を硬化させる(冷却する)ことによって,心材の外周面にらせん状の複数の溝を形成することができる。
一実施態様では,心材の圧縮応力が10MPa以上40MPa以下である。心材の圧縮応力を10MPa以上とすることによってストランドが心材に食い込んでワイヤロープが減径することが防止される。40MPa以下とすることによってワイヤロープの屈曲に心材が耐えきることができずに折れてしまうことが防止される。
この発明は,上述したワイヤロープ用心材と,上記ワイヤロープ用心材の周囲にらせん状に撚り合わされた複数本の金属製ストランドと,を備えているワイヤロープも提供する。
らせん状の溝を備える樹脂心を備えるワイヤロープの横断面図である。 ワイヤロープを構成する樹脂心の斜視図である。 断面円形の樹脂心を備えるワイヤロープの断面図である。 横軸を樹脂心の圧縮応力,縦軸をワイヤロープのポアソン比とするグラフであり,5種類のワイヤロープのそれぞれについての測定値をプロットによって示すものである。 横軸を接触比×圧縮応力,縦軸をワイヤロープのポアソン比とするグラフであり,5種類のワイヤロープのそれぞれについての測定値をプロットによって示し,かつプロットの近似直線を示すものである。
図1はワイヤロープの横断面を概略的に示している。図2はワイヤロープの中心に設けられる樹脂心の拡大斜視図である。図1において6本のストランドのうちの1本についてその断面詳細が示されている。
図1に示すワイヤロープ1は,樹脂心3と,樹脂心3の周囲に撚り合わされた6本の金属製(鋼製)ストランド2とを備えている。横断面から見ると,ワイヤロープ1は,樹脂心3を中心にして,6本の断面円形のストランド2が樹脂心3を取り囲んでいるように見える。
ストランド2は,ここでは,合計19本の鋼製素線をシール形で撚り合わせたものである。ストランド2を構成する鋼製素線の本数,撚り合わせの構造,さらにはワイヤロープ1を構成するストランド2の数は,適宜変更することができる。
樹脂心3は高密度ポリエチレン製のもので,押出し成形または引出し成形によって中実に作られる。樹脂心3の外周面には6本のらせん状の溝4が形成されており,6本のらせん状溝4のそれぞれにストランド2が収められることで,樹脂心3の周囲に6本のストランド2が撚り合わされたワイヤロープ1となる。
樹脂心3に形成されるらせん状の溝4はその横断面が円弧となるようにつくられる。図1を参照して,らせん状の溝4の円弧は,ストランド2の横断面におけるα=120°分に相当する長さ(ストランド2の周長の1/3の長さ)を持てば,溝4とストランド2とを最大面積で接触させることができる。
図3は断面が真円である樹脂心3Aを備えるワイヤロープ1Aを参考までに示している。ワイヤロープ1Aにおいて,ストランド2は樹脂心3Aに最小面積で線接触することになる。
以下の説明において,樹脂心3とストランド2との「接触面積比」を考え,図2に示すように樹脂心3とストランド2とが最大面積で接触するときの接触面積比を「1」に,図3に示すように樹脂心3Aとストランド2とが最小面積で接触する(線接触する)ときの接触面積比を「0」に正規化する。後述するように,樹脂心3Aとストランド2との「接触面積比」は伸びが生じにくい(ポアソン比が小さい)ワイヤロープ1を規定するためのパラメータとして用いられ,その詳細は後述する。
接触面積比(以下,単に「接触比」と言う)は,たとえば樹脂心3に形成されるらせん状の溝4の深さによって調整することができる。
上述したように,この実施例のワイヤロープ1が備える樹脂心3は高密度ポリエチレン(HDPE)製であり,その圧縮応力は20MPa程度である。樹脂心3の圧縮応力が高ければ高いほど樹脂心3はストランド2によって強く締め付けられたとして潰れにくく,結果としてワイヤロープ1に伸びは生じにくくなる。上述した樹脂心3とストランド2との「接触比」に加えて,樹脂心3の「圧縮応力」も,伸びが生じにくいワイヤロープを規定するためのパラメータとして用いることができる。
樹脂心3の圧縮応力は,樹脂心3の材料を異ならせることによって選択ないし調整することができる。上述した高密度ポリエチレン以外の樹脂のいくつかを例を挙げると,低密度ポリエチレン(LDPE)の圧縮応力は15MPa程度,ポリプロピレン(PP)の圧縮応力は30MPa〜50MPa程度,ポリオキシメチレン(POM)の圧縮応力は110MPa 程度,ポリアミド(PA6)の圧縮応力は47MPa程度である。
表1は,サンプル1〜サンプル5の5つのワイヤロープについての疲労試験の結果を示している。疲労試験では,所定の緊張力を加えながら直径3000mmのシーブにかけたワイヤロープを繰り返し移動させ,ワイヤロープがシーブを1回通過したときを曲げ回数1回とカウントして,30万回の曲げをワイヤロープに加え,その後にワイヤロープの直径および長さを測定した。表1には,疲労試験前のワイヤロープの直径および長さと,疲労試験後に測定されたワイヤロープの直径および長さを用いて,ワイヤロープの横ひずみ(=(伸びた後(疲労試験後)の直径−元の直径)/元の直径)と,ワイヤロープの縦ひずみ(=(伸びた後(疲労試験後)の長さ−元の長さ)/元の長さ)が示されている。
Figure 2021075824
サンプル1〜サンプル5は,いずれも心材と心材の周囲に6本のストランドを撚り合わせることによって作製したもので,ストランドには共通のものを用い,心材をそれぞれ異ならせて作製したものである。
サンプル1は,熱可塑性樹脂である高密度ポリエチレン製の断面円形の中実な心材を加熱処理し,加熱によって柔らかくされた心材の周囲にストランドを撚り合わせることによって作製されたワイヤロープである(以下,「加熱型」と呼ぶ)。撚り合わされたストランドの外周面に沿って心材が変形するので,ストランドと心材とを最大に接触させることができる(接触比=1.00)。
サンプル2も,サンプル1と同様,高密度ポリエチレン製の断面円形の中実な心材を加熱処理し,加熱によって柔らかくされた心材の周囲にストランドを撚り合わせることによって作製された加熱型ワイヤロープであるが,サンプル1とは異なる製造会社製の高密度ポリエチレンを用いて作製したものである。具体的にはサンプル1の心材の圧縮応力(22MPa)に比べてわずかに低い圧縮応力(20MPa)の高密度ポリエチレン製心材を用いたものである。サンプル2のワイヤロープもストランドと心材とは最大に接触する(接触比=1.00)。
サンプル3は,サンプル1と同じ高密度ポリエチレン製の中実な心材であるが,加熱処理をせず,心材の外周面にらせん状の溝を形成し,らせん状の溝に沿ってストランドを撚り合わせることによって作製されたワイヤロープである(以下,「非加熱溝型」という)。加熱型ワイヤロープ(サンプル1およびサンプル2)と比べてストランドと心材との接触比は小さくなる(接触比=0.60)。
サンプル4は,サンプル1およびサンプル3と同じ高密度ポリエチレン製の中実な心材であるが,加熱処理をせず,かつ心材の外周面にらせん状の溝も形成せず,横断面が円形の心材にストランドを撚り合わせることによって作製されたワイヤロープである(以下,「非加熱丸型」という)。ストランドと心材との接触比は大幅に低くなる(接触比=0.05)。
サンプル5は,サンプル1〜4と異なり,中実な心材ではなく,直径の細いフィラメントを多数本束ねることによって構成される繊維心にストランドを撚り合わせることによって作製されたワイヤロープである(以下,「繊維心型」という)。
図4は,横軸を心材の圧縮応力,縦軸をワイヤロープのポアソン比(横ひずみ/縦ひずみ)とするグラフに,上述した表1におけるサンプル1〜5のそれぞれの値をプロットしたものである。
ポアソン比は,ワイヤロープの横ひずみ((伸びた後の直径−元の直径)/元の直径)を,ワイヤロープの縦ひずみ((伸びた後の長さ−元の長さ)/元の長さ)によって除算した値であるので,ポアソン比が大きいほどそのワイヤロープは柔らかく,減径することでワイヤロープに大きな伸びが生じると言える。逆にポアソン比が小さいと,そのワイヤロープは比較的硬く大きな伸びは生じないと言える。
図4を参照して,圧縮応力の大きな心材を用いることによって(サンプル1〜サンプル4),圧縮応力の小さい心材を用いる場合に比べて(サンプル5),ワイヤロープのポアソン比を小さくすることができる。しかしながら,サンプル4(非加熱丸型)については心材の圧縮応力は大きいものの(22MPa),その心材を備えるワイヤロープのポアソン比は比較的大きい(5.79)。サンプル1〜サンプル4を比較すると,心材の圧縮応力がほぼ同じではあるが(20〜22MPa),ワイヤロープのポアソン比は相違する(3.35〜5.79)。
図5は,横軸を,ワイヤロープを構成するストランドと心材との接触比×心材の圧縮応力,縦軸をワイヤロープのポアソン比(横ひずみ/縦ひずみ)とするグラフに,上述したサンプル1〜5のそれぞれの値をプロットし,かつ5つのプロットの近似直線を描いたものである。
ワイヤロープのポアソン比は,図5に示すように,ワイヤロープを構成するストランドと心材との接触比と心材の圧縮応力とを乗算した値(接触比×圧縮応力)によって整理することができ,接触比×圧縮応力が大きければ大きいほど,これに比例してワイヤロープのポアソン比を小さくすることができると考えられる。
図5に示す近似直線は,傾きを−0.1168,切片を5.9451とする1次関数であり,以下のように表すことができる。
ワイヤロープのポアソン比(横ひずみ/縦ひずみ)=−0.1(接触比×圧縮応力)+6.0
この関係式は,非金属製の心材を備え,その周囲に複数本の金属製ストランドを撚り合わせることによって構成されるワイヤロープであれば,心材が加熱型であっても(サンプル1,サンプル2),非加熱溝型(サンプル3)または非加熱丸型(サンプル4)であっても,繊維心型(サンプル5)であっても成立する。上記関係式は,接触比と圧縮応力の2つのパラメータを考慮することによって,非金属製心材を備えるワイヤロープのポアソン比を制御できることを意味する。すなわち,接触比および圧縮応力の2つのパラメータの少なくともいずれか一方を制御することによって目標とするポアソン値を有するワイヤロープを製造することができる。ワイヤロープのポアソン比と接触比および圧縮応力との関係を規定する上述の関係式を,以下「共通特性式」と呼ぶ。
たとえば,心材に使用する材料が決まっているのであれば接触比および圧縮応力の2つのパラメータのうちの圧縮応力については固定されるので,残りの制御可能なパラメータは接触比のみとなる。接触比を制御することによって,共通特性式にしたがって,目標とするポアソン比を有するワイヤロープを製造することができる。逆に接触比が決まっているたとえば加熱型とすることによって接触比が 1.0になることが決まっていれば,2つのパラメータのうちの接触比については固定されるので,残りの制御可能なパラメータは圧縮応力のみとなる。心材の材質の種類の選択の幅を広げることができる。
上述したように,ポアソン比が大きいワイヤロープは,減径することでワイヤロープに大きな伸びが生じる。たとえば,ポアソン比が 5.0以下となるように接触比および圧縮応力を調整することによって,使用を続けても比較的伸びの生じにくいワイヤロープが提供される。上述したサンプル1〜5のうちサンプル1〜3がポアソン比 5.0以下のものである。
心材に用いる素材の圧縮応力が大きければ大きいほどポアソン比は小さくなる。接触比の最大値は 1.0であるから,心材の圧縮応力がワイヤロープのポアソン比を小さくするための主要パラメータとなる。しかしながら,圧縮応力が高すぎると,そのような心材は脆くなり,曲げることができなくなってしまう(曲げたときに折れて(破断して)しまう)。心材の折れはワイヤロープの強度低下に直結するので絶対に避けなければならない。
心材の折れを防止する観点からすると,ワイヤロープのポアソン比は 2.0以上,心材の圧縮応力は40MPa以下とするのが適当である。また,心材にストランドが食い込みすぎるのを防止するには心材の圧縮応力は10MPa以上とするのが適当である。
1 ワイヤロープ
2 ストランド
3 心材
4 溝

Claims (5)

  1. 非金属製材料によって作られ,複数本の金属製ストランドが周囲にらせん状に撚り合わされるワイヤロープ用心材あって,
    心材と心材の周囲に撚り合わされるストランドとの接触比と心材の圧縮応力との積をA,ワイヤロープのポアソン比をBとした場合にB=−0.1×A+6.0によって表されるBの値が2以上5以下であることを特徴とする,
    ワイヤロープ用心材。
  2. 上記非金属材料が中実な樹脂である,
    請求項1に記載のワイヤロープ用心材。
  3. 上記心材の外周面に,複数本のストランドのそれぞれを収めて撚り合わせるためのらせん状の複数の溝が形成されている,
    請求項1または2に記載のワイヤロープ用心材。
  4. 上記心材の圧縮応力が10MPa以上40MPa以下である,
    請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤロープ用心材。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤロープ用心材と,
    上記ワイヤロープ用心材の周囲にらせん状に撚り合わされた複数本の金属製ストランドと,を備えている,
    ワイヤロープ。
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