JP2021075666A - 防汚塗膜形成用組成物、防汚塗膜、及び防汚塗膜を付帯する産業資材シート - Google Patents

防汚塗膜形成用組成物、防汚塗膜、及び防汚塗膜を付帯する産業資材シート Download PDF

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Abstract

【課題】特に織物を芯材に含む産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)に適して用いられる堅牢な防汚塗膜を形成するための塗料組成物の提供と、この塗料組成物から形成された堅牢な防汚塗膜の提供、及びこの堅牢な防汚塗膜を付帯する産業資材シートの提供。【解決手段】有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有する組成物であって、変性セルロースナノ物質に、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化、イソシアネート化、シランカップリング剤処理、及び有機チタネート処理、から選ばれた1種以上とする防汚塗膜形成用組成物を用い、この防汚塗膜形成用組成物から転化した防汚塗膜を産業資材シート上に形成することで、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージのより少ない産業資材シートを得る。【選択図】なし

Description

本発明は、防汚塗膜を各種物品に形成するための組成物と、それから形成された防汚塗膜と、この防汚塗膜を付帯する産業資材シートに関し、具体的にフィルム、合成樹脂シート、化粧板、建材パネル、ガラス製品(部品)、プラスチック成型品(部品)など、特に織物を芯材に含む可撓性合成樹脂シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、などの産業資材シート)に適して用いられる防汚塗膜を形成するための組成物の発明と、この組成物から形成された防汚塗膜の発明、及びこの防汚塗膜を付帯する産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)の発明で、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージのより少ない産業資材シートの発明に関する。
大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテントなどの膜構造物を始め、建築養生シート、フレキシブルコンテナバッグなど、及びこれらに用いられるターポリン素材、また、トラック幌、トラック荷台シート、屋形テント、シートハウスなど、及びこれらに用いられる帆布素材、ビル建築養生の張囲に使用されるメッシュシートなどは、ポリエステル繊維などの織物の表面に軟質塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂層を被覆してなる産業用シート材が使用されている。特に大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテントなどの膜構造物には、美観を損なわずクリーンな外観を維持することが求められているため、これらの素材となるターポリンに防汚性の付与が不可欠となっている。
このような軟質塩化ビニル樹脂製を中心とする産業用シートに防汚性を付帯させる手段として、本出願人は、中・大型テント、テント倉庫、軒出しテント、トラック用の幌、看板用バックリットなどの産業資材用シートとして、有機シリケート及びその縮合体から選ばれた少なくとも1種を含む親水性被膜層を有する防汚性シート(特許文献1:請求項1)の提案を行った。この膜材の防汚層は確かに防汚性に優れ、親水性を発現することから雨筋汚れ防止にも効果的であったが、有機シリケートなどの加水分解物の縮合で形成された堅い被膜層は伸縮性を欠くため、膜厚が大きいほど亀裂が顕著となる欠点があった。屋外耐久性を必要とする産業資材シートでは、長期間の防汚効果を得るために防汚層をある程度厚く設ける必要がある。この要求にはカップリング剤を親水性被膜中に添加することで、親水性被膜層の膜厚限界(亀裂を発生せずに塗膜形成可能な最大膜厚)を高める手段についても段落〔0062〕に提案した。しかしこの対策でも産業資材シートの防汚層としての有機シリケートを用いた被膜層は依然、屈曲やはためきなどの伸縮ストレスに対して、亀裂を発生し易い脆い性状に変わりなかった。従って有機シリケートを用いた親水性被膜層は、基材が変形し難い、ガラスや金属製品、厚手のプラスチック製品などの堅い物品に対しては耐久性のある防汚塗膜を形成することが出来るが、可撓性、伸縮性を有するフィルムやシートの基材に対しては、親水性被膜層が基材の変形や伸びに追従出来ず、亀裂を生じて防汚効果を低下させる不適切なものであることが判明した。一方、アクリル樹脂エマルジョンに有機シリケート化合物、その部分加水分解縮合物などを配合した耐汚染性の水性樹脂組成物(特許文献2)のようなアクリル樹脂と有機シリケート化合物との併用が提案されている。確かにこのような併用系を産業資材シートの防汚層に適用すれば、屈曲やはためきなどの伸縮ストレスに対しての効果的対策となり得るが、有機シリケート化合物の親水性による本来の防汚性能(特に雨筋汚れ防止効果)が半減するデメリットを伴っている。従って、産業資材シートに適して用いられる防汚塗膜を形成するための組成物と、この組成物から形成された防汚塗膜と、さらにこの防汚塗膜を付帯する産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)において、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージのより少ない産業資材シートが望まれていた。
特開2003−191386号公報 特開2012−207115号公報
本発明は、特に織物を芯材に含む可撓性合成樹脂シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、などの産業資材シート)に適して用いられる堅牢な防汚塗膜を形成するための塗料組成物の提供と、この塗料組成物から形成された堅牢な防汚塗膜の提供、及びこの堅牢な防汚塗膜を付帯する産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)の提供を課題とし、特に屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージのより少ない産業資材シートの提供を課題とする。この課題が解決され、堅牢な防汚塗膜の形成可能な組成物が提供されれば、堅牢性に優れた防汚塗膜が得られるので、この防汚塗膜を産業資材シートに適用することで、耐屈曲性、耐折曲げ性、耐はためき性に優れた産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)を得ることができ、しかも防汚性かつ耐摩耗性に長期的に優れている。そして本発明の防汚塗膜形成用組成物としての塗料は、産業資材シートのみならず、フィルム、合成樹脂シート、化粧板、建材パネル、ガラス製品(部品)、プラスチック成型品(部品)など広い用途に適用し、堅牢な防汚塗膜を形成し、これを製品や部品などに付帯させることができる。
本発明は係る点を考慮して検討を重ねた結果、1)有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有する組成物を塗料とすること、2)有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有する防汚塗膜を用いること、及び3)有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有する防汚塗膜を付帯する産業資材シートを用いること、によって、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に亀裂などの損傷ダメージのより少ない堅牢な防汚塗膜が得られ、この防汚塗膜を産業資材シートに付帯させることで、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージのより少ない産業資材シートを得ることが出来、それによって産業資材シートの防汚効果が長期的に維持可能となることを見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の防汚塗膜形成用組成物は、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有する組成物であって、前記変性セルロースナノ物質が、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)、及び有機チタネート処理、から選ばれた1種以上であることが好ましい。この防汚塗膜形成用組成物を塗料に用いることによって得られる防汚塗膜は変性セルロースナノ物質を含有することで防汚塗膜自体の耐屈曲性、耐折曲げ性、耐はためき性、耐摩耗性に優れたものとする。そしてこの防汚塗膜形成用組成物を適用し、この組成物から形成された防汚塗膜を産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)に付帯させれば、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、変性セルロースナノ物質の存在(ストレス緩和効果、摺動効果)により防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージを受け難いものとすることができる。
本発明の防汚塗膜形成用組成物は、前記組成物が、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有することが好ましい。これらの光触媒性金属酸化物を防汚塗膜に含有することによって、光触媒活性による有機物(煤塵、タール、手垢、黴、藻など)の分解を促し、降雨によるセルフクリーニング防汚性が発現できる。
本発明の防汚塗膜は、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有する防汚塗膜であって、前記変性セルロースナノ物質が、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)、及び有機チタネート処理、から選ばれた1種以上であることが好ましい。これにより防汚塗膜(有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体)の縮合構造中に変性セルロースナノ物質を取り込むことで、防汚塗膜自体の耐屈曲性、耐折曲げ性、耐はためき性、耐摩耗性に優れたものとする。そしてこの防汚塗膜を付帯させた産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)では、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、変性セルロースナノ物質の存在(ストレス緩和効果、摺動効果)により防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージを受け難いものとすることができる。
本発明の防汚塗膜は、前記防汚塗膜が、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有することが好ましい。これらの光触媒性金属酸化物を防汚塗膜(有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体)の縮合構造中に含有することによって、光触媒活性による有機物(煤塵、タール、手垢、黴、藻など)の分解を促し、降雨によるセルフクリーニング防汚性が長期的に安定して発現できる。
本発明の防汚塗膜を付帯する産業資材シートは、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有する防汚塗膜を付帯する産業資材シートであって、前記変性セルロースナノ物質が、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)、及び有機チタネート処理、から選ばれた1種以上である防汚塗膜を付帯することが好ましい。防汚塗膜(有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体)の縮合構造中に変性セルロースナノ物質を取り込むことで、防汚塗膜自体の耐屈曲性、耐折曲げ性、耐はためき性、耐摩耗性に優れたものとするので、この防汚塗膜を付帯する産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)は、屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、変性セルロースナノ物質の存在(ストレス緩和効果、摺動効果)によって防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージを受け難い産業資材シートとすることができる。
本発明の防汚塗膜を付帯する産業資材シートは、前記防汚塗膜が、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有することが好ましい。これらの光触媒性金属酸化物を防汚塗膜(有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体)の縮合構造中に含有する防汚塗膜を産業資材シートに付帯することで、光触媒活性による有機物(煤塵、タール、手垢、黴、藻など)の分解を促し、降雨によるセルフクリーニング防汚性が長期的に安定して発現できる産業資材シートとすることができる。
本発明により、特に織物を芯材に含む可撓性合成樹脂シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、などの産業資材シート)に適して用いられる堅牢な防汚塗膜を形成するための塗料組成物の提供と、この塗料組成物から形成された堅牢な防汚塗膜の提供、及びこの堅牢な防汚塗膜を付帯する産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)提供が可能となり、特に屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージのより少ない産業資材シートの提供が可能となる。このような堅牢な防汚塗膜の形成可能な組成物の提供がなされ、堅牢性に優れた防汚塗膜を得ることが出来るので、この防汚塗膜を産業資材シートに適用することで、耐屈曲性、耐折曲げ性、耐はためき性に優れた産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)を得ることができ、しかも防汚性かつ耐摩耗性に長期的に優れたものとする。そして本発明の防汚塗膜形成用組成物は、産業資材シートのみならず、フィルム、合成樹脂シート、化粧板、建材パネル、ガラス製品(部品)、プラスチック成型品(部品)など広い用途に応用し、堅牢な防汚塗膜を付帯させることができるようになる。
1)本発明の防汚塗膜形成用組成物は、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有し、必要に応じて光触媒性金属酸化物を含有する塗料である。2)本発明の防汚塗膜は、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有し、必要に応じて光触媒性金属酸化物を含有してなる防汚塗膜形成用組成物を塗工し、これを乾燥して成るゾルゲル塗膜であり、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有し、必要に応じて光触媒性金属酸化物を含有する態様である。3)本発明の産業資材シートは、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有し、必要に応じて光触媒性金属酸化物を含有してなる防汚塗膜形成用組成物を産業資材シートの一面以上に塗工し、これを乾燥してゾルゲル塗膜を完成させて産業資材シートに防汚塗膜を付帯させたものであり、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有し、必要に応じて光触媒性金属酸化物を含有する態様である。
本発明の防汚塗膜形成用組成物は、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有し、必要に応じて光触媒性金属酸化物を含有する。有機シリケート化合物は、化学式:SiO(OR)で表される4官能加水分解性シラン化合物であり、式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基(特に炭素数1〜3の低級アルキル基)、またはアリール基(特にフェニル基)で具体的に、テトラメトキシシラン(Si(OCH):別名テトラメチルシリケート)、テトラエトキシシラン(Si(OC):別名テトラエチルシリケート)、テトラプロポキシシラン(Si(OC):別名テトラプロピルシリケート)、テトラブトキシシラン(Si(OC):別名テトラブチルシリケート)、テトラフェノキシシラン(Si(OC):別名テトラフェニルシリケート)、ジメトキシジエトキシシラン(Si(OCH)(OC):別名ジメチルジエチルシリケート)などである。有機シリケート化合物の多量体は、化学式:Sin−1(OR)2(n+1)で表される縮合体であり、式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基(特に炭素数1〜3の低級アルキル基)、またはアリール基(特にフェニル基)、nは4官能加水分解性シラン化合物の縮合分子数を表す多量化度(所謂n量体)で、nが2以上の有機シリケート化合物多量体は、4官能加水分解性シラン化合物が加水分解して生成するシラノール基同士の反応で2分子以上が縮合して生成する多量体であり、nの表す多量化度は多量体1分子中に含有するSi原子数を意味する。本発明においては多量化度2〜10、好ましくは4〜6の有機シリケート化合物多量体(Sin−1(OR)2(n+1))によるゾルゲル塗膜で、変性セルロースナノ物質を含む防汚塗膜が好ましい。この防汚塗膜の原子配列はヨコ軸とタテ軸からなる四角格子網目をモデルとすれば、ヨコ軸とタテ軸の交点にSi原子が配置され、上下左右に隣接するSi−Si原子間にO原子が配置されたイメージである。
本発明の防汚塗膜形成用組成物は、有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有し、必要に応じて光触媒性金属酸化物を含有する。有機チタネート化合物は、化学式:TiO(OR)で表される4官能加水分解性チタン化合物であり、式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基(特に炭素数1〜3の低級アルキル基)、またはアリール基(特にフェニル基)で具体的に、テトラメトキシチタン(Ti(OCH):別名テトラメチルチタネート)、テトラエトキシチタン(Ti(OC):別名テトラエチルチタネート)、テトラプロポキシチタン(Ti(OC):別名テトラプロピルチタネート)、テトラブトキシチタン(Ti(OC):別名テトラブチルチタネート)、テトラフェノキシチタン(Ti(OC):別名テトラフェニルチタネート)、ジメトキシジエトキシチタン(Ti(OCH)(OC):別名ジメチルジエチルチタネート)などのチタニウムアルコキシド化合物、さらにはトリブトキシチタンステアレート、イソプロポキシチタントリステアレートなどのチタニウムアシレート化合物:Ti(OOCR)、またさらにジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトナト、ジイソプロポキシチタンビスエチルアセトアセテートなどのチタニウムキレート化合物:(ROO)Ti(OR)錯体、その他、イソプロポキシチタントリイソステアレート、イソプロポキシチタンジメタクリレートイソステアレート、イソプロポキシチタントリスジオクチルホスフェート、ビスジオクチルホスフェートエチレングリコラートチタン、ジブトキシビストリエタノールアミナトチタンなどが例示できる。有機チタネート化合物の多量体は、化学式:Tin−1(OR)2(n+1)で表される縮合体であり、式中Rは炭素原子数1〜10のアルキル基(特に炭素数1〜3の低級アルキル基)、またはアリール基(特にフェニル基)、nは4官能加水分解性チタン化合物の縮合分子数を表す多量化度(所謂n量体)で、nが2以上の有機チタネート化合物多量体は、4官能加水分解性チタン化合物が加水分解して生成するチタノール基同士の反応で2分子以上が縮合して生成する多量体であり、nの表す多量化度は多量体1分子中に含有するTi原子数を意味する。本発明においては多量化度2〜10、好ましくは4〜6の有機チタネート化合物多量体(Tin−1(OR)2(n+1))によるゾルゲル塗膜で、変性セルロースナノ物質を含む防汚塗膜が好ましい。この防汚塗膜の原子配列はヨコ軸とタテ軸からなる四角格子網目をモデルとすれば、ヨコ軸とタテ軸の交点にTi原子が配置され、上下左右に隣接するTi−Ti原子間にO原子が配置されたイメージである。
防汚塗膜形成用組成物(水/アルコール溶媒)に含有する、有機シリケートまたは有機チタネート化合物の加水分解生成物の濃度は0.01〜30質量%、特に0.1〜5質量%の範囲が好ましい。またこの防汚塗膜形成用組成物中には防汚塗膜の耐摩耗性、及び耐久性をより増強するために無機コロイド(シリカゾル、アンチモンゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなど)を有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解生成物の濃度に対して0.1〜25質量%含むことができる。加水分解促進には、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウムなどの金属類にアルコキシ基が結合した金属アルコキシド、又はこれらの金属アルコキシドにケト・エノール互変異性体を構成しうる金属キレート化合物、無機酸(塩酸、硝酸、リン酸など)、有機酸(ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸など)、アンモニア、有機アミン、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクチエートなどの化合物を加水分解触媒として任意量使用することが好ましい。
また防汚塗膜を形成するための組成物には、防汚塗膜の耐摩耗性、及び耐久性をより増強するため、シランカップリング剤処理された変性セルロースナノ物質、有機チタネート処理された変性セルロースナノ物質、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化)された変性セルロースナノ物質を防汚塗膜(有機/無機縮合体)構造内に何らかの状態で取り込ませるために、シランカップリング剤(アルコキシシラン化合物)を、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解生成物の濃度に対して0.1〜25質量%併用することができる。有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解生成物、またはシラノール基含有有機シラン化合物とシランカップリング剤(アルコキシシラン化合物)、またはチタノール基含有有機チタン化合物とシランカップリング剤(アルコキシシラン化合物)などがゾル−ゲル重縮合して屈曲に強い防汚塗膜を形成する。シランカップリング剤、すなわちアルコキシシラン化合物は、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メルカプトシラン、イソシアヌレートシラン、イソシアネートシランなど、段落〔0020〕に記載のものが挙げられ、これらは複数種組み合わせ併用することもできる。
防汚塗膜形成用組成物に含まれる変性セルロースナノ物質は、防汚塗膜に対して0.01〜5質量%、特に0.1〜3質量%含有させることによって屈曲と摩耗の負荷に対する防汚塗膜の抵抗耐性を増強し、防汚塗膜防に亀裂などの劣化を容易に生じることがなく、また防汚塗膜が容易に摩滅、脱落することがなくなり、その結果防汚効果の長期持続を可能とする。変性セルロースナノ物質は、セルロース原料(化学処理パルプ・機械破砕パルプ・古紙パルプなど)を機械的に解繊(粗解繊・微解繊)し、繊維径をナノサイズ化して得られた、粉体、スラリー、または分散液状のセルロースナノファイバーで、特に化学変性されたものが好ましい。また、セルロース原料(木材・竹・植物パルプ、古紙パルプなど)を硫酸等の酸によって非結晶部分を除去した後、機械的解繊処理して得られる平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)50以下、平均繊維径10nm〜50nm、平均繊維長300nm〜500nmの短繊維で、粉体、スラリー、または分散液状のセルロースナノクリスタルで、特に化学変性されたものが好ましい。本発明に適した変性セルロースナノ物質の変性としては、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上の加水分解水溶液中で化学反応処理したもの)、及び有機チタネート処理(段落〔0016〕に記載の有機チタネート化合物の加水分解水溶液中で化学反応処理したもの)、が例示され、これらの変性を2種以上併用することもできる。特にカルボキシメチル化はセルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)を任意にカルボキシメチル化し、機械的に解繊したもので、また酸化変性はTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル)触媒を含む酸化触媒液により、セルロース分子中の1級水酸基(6位)のみを選択的にカルボキシ基に変換してCOOH基量1.3〜1.6mmol/gとし、機械的解繊したものである。特に変性セルロースナノファイバーの平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は50〜10000、平均繊維径は3nm〜100nm、平均繊維長は2μm〜100μmの繊維であることが、防汚塗膜形成用組成物中における分散性に優れ、かつ防汚塗膜内での存在を安定化する。
使用する変性セルロースナノ物質において、特にシランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)変性は、セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルなどを1種以上のシランカップリング剤を含む1〜10質量%濃度の水溶液で24時間処理し、シランカップリング剤の加水分解物:XR−Si(OH)(X、Yは下記に示す)が変性セルロースナノ物質の水酸基、カルボキシ基などに結合した1種以上の反応物である。このような反応物は2種のシランカップリング剤の併用による、ビニルシラン/メタクリルシラン変性、アミノシラン/メルカプトシラン変性などであってもよく、さらに3種以上のシランカップリング剤を併用による変性であってもよい。シランカップリング剤は一般式:XR−Si(Y)で表される分子中に2個以上の異なった反応基を有するアルコキシシラン化合物で、例えば、X=アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、クロル基、メルカプト基、イソシアヌレート基、イソシアネート基、など(R=アルキル鎖)、Y=メトキシ基、エトキシ基などである。ビニルシランとしては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど、エポキシシランとしては、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど、メタクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなど、アミノシランとしては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど、クロロシランとしては、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなど、メルカプトシランとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど、イソシアヌレートシランとしては、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなど、イソシアネートシランとしては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが例示できる。このようなシランカップリング剤処理による変性体を使用することによって、産業用シート材の防汚塗膜を構成するゾルゲル塗膜(原子配列はヨコ軸とタテ軸からなる四角格子網目をモデルとすれば、ヨコ軸とタテ軸の交点にSi原子が配置され、上下左右に隣接するSi−Si原子間にO原子が配置、またはヨコ軸とタテ軸の交点にTi原子が配置され、上下左右に隣接するTi−Ti原子間にO原子が配置)の一部にこれらのシランカップリング剤処理変性体が何らかの状態で取り込まれて格子網目構造とは異なる複雑構造に変化した状態を形成することによって、屈曲と摩耗の負荷に対する防汚塗膜の抵抗耐性を向上させ、防汚塗膜に亀裂などの損傷を容易に生じることなく、また防汚塗膜が容易に摩滅、脱落することなく、防汚効果の更なる長期持続を可能とする。また、有機チタネート処理による変性は、上記シランカップリング剤と同様の扱いで、段落〔0016〕に記載の有機チタネート化合物、特にトリブトキシチタンステアレート、イソプロポキシチタントリステアレートなどのチタニウムアシレート化合物:Ti(OOCR)、イソプロポキシチタントリイソステアレート、イソプロポキシチタンジメタクリレートイソステアレート、イソプロポキシチタントリスジオクチルホスフェート、ビスジオクチルホスフェートエチレングリコラートチタン、ジブトキシビストリエタノールアミナトチタンなどを1〜10質量%濃度の加水分解水溶液中でセルロースナノ物質を24時間化学反応処理したものである。
使用する変性セルロースナノ物質において、特にエステル化による変性のうち、ホウ酸エステル化は、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルをオルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸(HBO)などのホウ酸、及び四ホウ酸ナトリウム水和物(Na・10HO)、五ホウ酸ナトリウム(NaB)などの1〜10質量%濃度のホウ酸塩水溶液で24時間処理し、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルのカルボキシ基、カルボキシメチル基などにホウ酸成分を反応させた変性であり、またリン酸エステル化は、ナノセルロースやナノクリスタルをオルトリン酸(HPO)、ピロリン酸、ポリリン酸(HPO)n、亜リン酸、亜フォスフィン酸などのリン酸類、およびこれらリン酸から誘導される金属塩、アンモニウム塩などの1〜10質量%濃度のリン酸塩水溶液で24時間処理し、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルのカルボキシ基にリン酸成分を反応させた変性であり、またケイ酸エステル化は、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルをケイ酸、及びケイ酸ナトリウム(水ガラス)、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウムなどの1〜10質量%濃度のケイ酸塩水溶液で24時間処理し、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルのカルボキシ基にケイ酸成分を反応させた変性である。これらの変性は、ホウ酸塩水溶液とリン酸塩水溶液との併用処理によるホウ酸/リン酸エステル化、ホウ酸塩水溶液とケイ酸塩水溶液との併用処理によるホウ酸/ケイ酸エステル化、リン酸塩水溶液とケイ酸塩水溶液との併用処理によるリン酸/ケイ酸エステル化、などであってもよい。このようなエステル化処理による変性体を防汚塗膜形成用組成物に使用することによって、産業用シート材の防汚塗膜を構成するゾルゲル塗膜の分子構造(原子配列はヨコ軸とタテ軸からなる四角格子網目をモデルとすれば、ヨコ軸とタテ軸の交点にSi原子が配置され、上下左右に隣接するSi−Si原子間にO原子が配置、またはヨコ軸とタテ軸の交点にTi原子が配置され、上下左右に隣接するTi−Ti原子間にO原子が配置)の一部にこれらのエステル化変性体が何らかの状態で取り込まれて格子網目構造とは異なる複雑構造に変化した状態となることによって、屈曲と摩耗の負荷に対する防汚塗膜の抵抗耐性を向上させ、防汚塗膜に亀裂などの損傷を容易に生じることなく、また防汚塗膜が容易に摩滅、脱落することなく、防汚性の更なる長期持続を可能とする。またこれらの変性によってセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルに対して防腐性を付与することができる。
これらの防汚塗膜形成用組成物に、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の、平均粒子径50nm以下、特に20nm以下の光触媒性金属酸化物で、特にゾル状態の光触媒性金属酸化物を用い、この防汚塗膜形成用組成物から得られる防汚塗膜において、光触媒性金属酸化物の含有量を防汚塗膜に対して5〜50質量%含有させることで光触媒活性によるセルフクリーニング防汚効果を発現させることができる。これらの光触媒性金属酸化物には、Pt,Rh,RuO2 ,Nb,Cu,Sn,NiOなどの金属及び金属酸化物を相乗化剤として添加することができる。このような光触媒性金属酸化物を防汚塗膜形成用組成物に使用することによって、産業用シート材の防汚塗膜を構成するゾルゲル塗膜の分子構造(原子配列はヨコ軸とタテ軸からなる四角格子網目をモデルとすれば、ヨコ軸とタテ軸の交点にSi原子が配置され、上下左右に隣接するSi−Si原子間にO原子が配置、またはヨコ軸とタテ軸の交点にTi原子が配置され、上下左右に隣接するTi−Ti原子間にO原子が配置)の一部にこれらの光触媒性金属酸化物が何らかの状態で取り込まれて格子網目構造とは異なる複雑構造に変化した状態となることによって、屈曲と摩耗の負荷に対する防汚塗膜の抵抗耐性を向上させ、防汚塗膜が容易に摩滅、脱落することなく、防汚性の更なる長期持続を可能とする。セルフクリーニング防汚性とは、光触媒活性で手垢、煤塵、タール、鳥糞、黴、藻などの有機物汚れを活性酸素ラジカルで分解する機構と、光触媒による超親水化による機構とにより、分解された汚れ残滓が降雨で洗い流され易くなることで汚物が付着する以前の物品外観を取り戻す作用で、人手を借りない洗浄機構である。このような防汚塗膜を、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、などの膜構造物の素材となるターポリン(産業資材シート)に適用することで膜構造物の美観を損なわずクリーンな外観を維持することを可能とする。
本発明の防汚塗膜形成用組成物は、フィルム、合成樹脂シート、化粧板、建材パネル、ガラス製品(部品)、プラスチック成型品(部品)などの基材に堅牢な防汚塗膜を形成する。特にこの防汚塗膜は屈曲や摩耗に強く、亀裂を生じ難いので、基材の伸びや可撓性の有無、大小に関係なく広く適用可能である。中でも本発明の防汚塗膜形成用組成物は、織物を芯材に含む可撓性合成樹脂シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、などの産業資材シート)に適し、産業資材シートに本発明の防汚塗膜を形成することで、これら産業資材シートを用いて構築された大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)などの膜構造物の美観を長くクリーンな状態で維持することを可能とする。産業用シート材には、やや織目の空いた織物の表裏に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしてなるターポリン、織目の混んだ織物の表裏に熱可塑性樹脂を含侵コーティングしてなる帆布、織目が空いた織物全体に熱可塑性樹脂を含侵コーティングしてなるメッシュシート、織目の混んだ織物の片面に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしてなる合成皮革が挙げられる。
産業資材シートに用いる織物は、平織物(経/緯2軸織物、経/左上バイアス/右上バイアス3軸織物、経/緯/左上バイアス/右上バイアス4軸織物)、斜子織物、綾織物、朱子織物、及びもじり織物(紗織物、絽織物)、二重織物などの織物が使用できる。これら織物の目付量は100〜500g/m、空隙率は0〜25%が適しており、ターポリンの場合は空隙率5〜20%、帆布の場合は空隙率0〜5%、メッシュシートの場合は空隙率20〜50%が好ましい。これらの織物には精練、漂白、染色、柔軟化、撥水、防黴、防炎、カレンダー、などの公知の染色整理加工を施したものを使用することもできる。織物を構成する糸条は、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維、及びこれらの2種以上から成る混合繊維など、何れの繊維も使用できるが、汎用的には、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート:PET、ポリブチレンテレフタレート:PBT、ポリナフタレンテレフタレート:PNTなど)繊維、ナイロン繊維、及び、これらの混用繊維(混撚・合撚)などの合成繊維による繊度125〜2000デニール(139〜2222dtex)マルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条(10〜30番手単糸または15〜30番手双糸)、カバリング糸条などが使用できる。マルチフィラメント糸条はターポリン用織物、メッシュシート用織物に適し、短繊維紡績糸条、カバリング糸条は帆布用織物に適している、また国土交通大臣認定の不燃材料(テント構造物用不燃膜材)の用途のターポリン向けには、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭素繊維、及び、これらの混用繊維(混撚・合撚)などの無機マルチフィラメント糸条による織物が適している。
これらの織物の表裏にラミネートされる熱可塑性樹脂フィルム、織物の表裏に含侵コーティングされる熱可塑性樹脂、織物の全面に含侵コーティングされる熱可塑性樹脂は、具体的に、軟質塩化ビニル樹脂(可塑剤配合)、塩化ビニル系共重合体樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PP)、オレフィン系共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂など、ショアA硬度35〜85程度の熱可塑性樹脂、またはエラストマーである。エラストマーとは2種以上のモノマーからなるブロック共重合体樹脂で、個々のブロック成分がハードセグメント、及びソフトセグメントを構成する樹脂である。これらの熱可塑性樹脂には、安定剤、フィラー、着色剤、顔料、メタリック顔料、蓄光顔料、難燃剤、防炎剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、抗菌剤、帯電防止剤、架橋剤などの公知の添加剤を任意に組み合わせ用いることができる。
ターポリンを構成する表裏の熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂組成物(好ましくは塩化ビニル樹脂/可塑剤など)を熱混練し、カレンダー法、またはTダイス押出法で溶融圧延した厚さが100〜300μmのフィルム(シート)とし、これを目開き織物の表裏に熱ラミネートすることで厚さ0.4〜1.5mm、質量500〜2000g/mのターポリンを得る。ターポリンは大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、日除けテントなどの膜構造物を始め、建築養生シート、フレキシブルコンテナバッグなどに適する。一方、帆布を構成する表裏の熱可塑性樹脂含侵コーティングは、溶液状の熱可塑性樹脂組成物(好ましくは塩化ビニル樹脂/可塑剤などによるペースト)を織物の表裏にナイフコートなどのコーティング法により塗工し、これを加熱ゲル化させることによって、厚さ30〜150μmに被膜形成したもの、または溶液状の熱可塑性樹脂組成物(好ましくは塩化ビニル樹脂ペースト)を充填した液浴中に織物を浸漬し、これを引き上げると同時に1対のゴムロール間で圧搾し、直後に加熱ゲル化させるディッピング法によって、厚さ30〜150μmに被膜形成したものである。帆布は塩化ビニル樹脂/可塑剤などによるペーストによるディッピング法が適し、厚さ0.3〜0.8mm、質量400〜1000g/mのものが、トラック幌、トラック荷台シート、屋形テント、シートハウスなどの用途に適している。また、メッシュシートを構成する全面の熱可塑性樹脂含侵コーティングは、溶液状の熱可塑性樹脂組成物(好ましくは塩化ビニル樹脂ペースト)を充填した液浴中に織目の空いた織物を浸漬し、これを引き上げると同時に1対のゴムロール間で圧搾し、直後に加熱ゲル化させるディッピング法によって、厚さ30〜150μmに被膜形成したものである。メッシュシートは塩化ビニル樹脂/可塑剤などによるペーストによるディッピング法が適し、厚さ0.3〜0.8mm、質量200〜500g/mのものが建築現場の養生張囲シートなどの用途に適している。
本発明を下記の実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明の態様はこれらの例の範囲に限定されるものではない。
耐屈曲揉み性:JIS L1096 8.19.2 B法)スコット形法
シートから採取した2.5cm(タテ)×12cm(ヨコ)、及び2.5cm(ヨコ)×12cm(タテ)を試験片として、スコット形試験機に装着(ストローク4cm)し、1kgfg荷重×300回の屈曲揉みを施した後、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000:株式会社キーエンス)を使用して防汚塗膜の500倍の拡大画像観察を行い、防汚塗膜に亀裂の有無、及び剥離や脱落の有無を判定した。
1:防汚塗膜に亀裂、剥離、脱落の何れも認めない
2:防汚塗膜に亀裂を認めるが、剥離、脱落は認めない
3:防汚塗膜に亀裂、剥離、脱落を認める
耐摩耗性:JIS L1096 8.19.3 C法)テーバ形法
シートから採取した直径13cmの円盤を試験片として、テーバ形摩耗試験機に装着(摩耗輪CS-10)し、荷重2.45Nで50回転、及び100回転の摩耗を施した後、埼玉県草加市内、2019年7月〜9月の3ケ月間の屋外曝露を行い防汚塗膜(摩耗試験部分)の汚れ度合いを色差ΔE(JIS Z8730)で判定(清拭、洗浄なしの状態で測定)した。
1:ΔE=0〜2.9 初期状態を維持する好成績(問題なし)
2:ΔE=3〜4.9 やや薄黒いが気にならない(問題なし)
3:ΔE=5〜7.9 薄黒く、気になる
4:ΔE=8〜9.9 黒ずみ、汚らしい
5:ΔE=10〜 かなり黒ずんで、汚い
[実施例1]
〈織物〉
1000デニール(1111dtex)のポリエチレンテレタレート(PET)繊維(フィラメント数192本)からなり、S撚50T/mを施したPETマルチフィラメント糸条を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群は1インチ間16本の織組織とし、また緯糸群は1インチ間16本の織組織とする平織物を用いた。この織物の質量は150g/m、空隙率(目抜け部総和)は14%であった。
<ターポリン基材>
この織物を基材として、その両面に下記〔配合1〕の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mmのカレンダー成型フィルムを表裏の被覆層として、ラミネーターでの熱圧着による溶融ラミネートを施して、厚さ0.7mm、質量830g/mのターポリン基材を得た。
〔配合1〕:軟質塩化ビニル樹脂組成物(コンパウンド)
塩化ビニル樹脂(K値71.5) 100質量部
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)(可塑剤)
55質量部
リン酸トリクレジル(防炎可塑剤) 10質量部
エポキシ化大豆油(安定剤兼可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 5質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
<産業用シート(1):ターポリン>
下記〔配合2〕の組成を配合して防汚塗膜形成用組成物を得た。
次にターポリン基材の片表面上に、この防汚塗膜形成用組成物を100メッシユのグラビアロールによりグラビア塗工し、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥し、防汚塗膜形成用組成物をゾルゲル硬化させて有機/無機重合体による防汚塗膜を形成した。そしてこの防汚塗膜を付帯する「防汚塗膜〔配合2から転化〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.7mm、質量832g/mの産業用シート(1)を得た。
〔配合2〕防汚塗膜形成用組成物
エチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体
100質量部
加水分解触媒:2%塩酸 5質量部
光触媒性酸化チタンゾル 50質量部
硝酸酸性:粒子径10nm:固形分30質量%エタノール溶液
ビニル系シランカップリング剤 5質量部
※ビニルトリメトキシシラン
シリカゾル(粒子径12nm:固形分30質量%エタノール溶液) 50質量部
変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 500質量部
※3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)
の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング
処理変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm
[実施例2]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合3〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合3〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(2)を得た。
〔配合3〕防汚塗膜形成用組成物
エチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体
100質量部
加水分解触媒:2%塩酸 5質量部
光触媒性酸化チタンゾル 50質量部
硝酸酸性:粒子径10nm:固形分30質量%エタノール溶液
エポキシ系シランカップリング剤 5質量部
※3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
シリカゾル(粒子径12nm:固形分30質量%エタノール溶液) 50質量部
変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 500質量部
※3-アミノプロピルトリメトキシシラン(アミノ系シランカップリング剤)の加水分
解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性
体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm
[実施例3]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合4〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合4〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(3)を得た。
〔配合4〕防汚塗膜形成用組成物
エチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体
100質量部
加水分解触媒:2%塩酸 5質量部
光触媒性酸化チタンゾル 50質量部
硝酸酸性:粒子径10nm:固形分30質量%エタノール溶液
メタクリル系シランカップリング剤 5質量部
※3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
シリカゾル(粒子径12nm:固形分30質量%エタノール溶液) 50質量部
変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 500質量部
※3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(イソシアネート系シランカップリ
ング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカッ
プリング処理変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm
[実施例4]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合5〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合5〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(4)を得た。
〔配合5〕防汚塗膜形成用組成物
エチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体
100質量部
加水分解触媒:2%塩酸 5質量部
光触媒性酸化チタンゾル 50質量部
硝酸酸性:粒子径10nm:固形分30質量%エタノール溶液
ビニル系シランカップリング剤 5質量部
※ビニルトリメトキシシラン
シリカゾル(粒子径12nm:固形分30質量%エタノール溶液) 50質量部
変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 500質量部
※トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート(有機チタネート化合物)の加水分解物
をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体:繊
維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm
[実施例5]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合6〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合6〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(5)を得た。
〔配合6〕防汚塗膜形成用組成物
エチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体
100質量部
加水分解触媒:2%塩酸 5質量部
光触媒性酸化チタンゾル 50質量部
硝酸酸性:粒子径10nm:固形分30質量%エタノール溶液
エポキシ系シランカップリング剤 5質量部
※3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
シリカゾル(粒子径12nm:固形分30質量%エタノール溶液) 50質量部
変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 500質量部
※ジ−i−プロポキシチタンジステアレート(有機チタネート化合物)の加水分解物を
セルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体:繊維
幅3〜10nm:繊維長30〜100μm
[実施例6]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(6)を得た。
〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物におけるエチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体100質量部を、テトラ−i−プロポキシチタン[Ti(OCH(CH)]:TiO換算37質量%)5質量%、及びiC−[TiO(O−iC]−iCのテトラ−i−プロポキシチタン4量体が95質量%の混合体100質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例7]
実施例2の防汚塗膜形成用組成物〔配合3〕を〔配合8〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例2と同様として、〔配合8〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(7)を得た。
〔配合8〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合3〕の防汚塗膜形成用組成物におけるエチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体100質量部を、テトラ−i−プロポキシチタン[Ti(OCH(CH)]:TiO換算37質量%)5質量%、及びiC−[TiO(O−iC]−iCのテトラ−i−プロポキシチタン4量体が95質量%の混合体100質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合3〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例8]
実施例3の防汚塗膜形成用組成物〔配合4〕を〔配合9〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例3と同様として、〔配合9〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(8)を得た。
〔配合9〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合4〕の防汚塗膜形成用組成物におけるエチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体100質量部を、テトラ−i−プロポキシチタン[Ti(OCH(CH)]:TiO換算37質量%)5質量%、及びiC−[TiO(O−iC]−iCのテトラ−i−プロポキシチタン4量体が95質量%の混合体100質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合4〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例9]
実施例4の防汚塗膜形成用組成物〔配合5〕を〔配合10〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例4と同様として、〔配合10〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(9)を得た。
〔配合10〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合5〕の防汚塗膜形成用組成物におけるエチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体100質量部を、テトラ−i−プロポキシチタン[Ti(OCH(CH)]:TiO換算37質量%)5質量%、及びiC−[TiO(O−iC]−iCのテトラ−i−プロポキシチタン4量体が95質量%の混合体100質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合5〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例10]
実施例5の防汚塗膜形成用組成物〔配合6〕を〔配合11〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例5と同様として、〔配合11〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(10)を得た。
〔配合11〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合6〕の防汚塗膜形成用組成物におけるエチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)5質量%、及び
[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体が95質量%の混合体100質量部を、テトラ−i−プロポキシチタン[Ti(OCH(CH)]:TiO換算37質量%)5質量%、及びiC−[TiO(O−iC]−iCのテトラ−i−プロポキシチタン4量体が95質量%の混合体100質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合6〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例11]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合12〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合12〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(11)を得た。
〔配合12〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物における3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を、3質量%ホウ酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチル化)のカルボキシメチル基に反応させたホウ酸エステル化変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm(2質量%水溶液)500質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例12]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合13〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合12〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(12)を得た。
〔配合13〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物における3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を、3質量%リン酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチル化)のカルボキシメチル基に反応させリン酸エステル化変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm(2質量%水溶液)500質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例13]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物〔配合2〕を〔配合14〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例1と同様として、〔配合12〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(13)を得た。
〔配合14〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物における3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を、3質量%ケイ酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチル化)のカルボキシメチル基に反応させケイ酸エステル化変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm(2質量%水溶液)500質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合2〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例14]
実施例6の防汚塗膜形成用組成物〔配合7〕を〔配合15〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例6と同様として、〔配合15〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(14)を得た。
〔配合15〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物における3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を、3質量%ホウ酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチル化)のカルボキシメチル基に反応させたホウ酸エステル化変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm(2質量%水溶液)500質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例15]
実施例6の防汚塗膜形成用組成物〔配合7〕を〔配合16〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例6と同様として、〔配合16〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(15)を得た。
〔配合16〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物における3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を、3質量%リン酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチル化)のカルボキシメチル基に反応させたリン酸エステル化変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm(2質量%水溶液)500質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
[実施例16]
実施例6の防汚塗膜形成用組成物〔配合7〕を〔配合17〕の防汚塗膜形成用組成物に変更した以外は実施例6と同様として、〔配合17〕の防汚塗膜形成用組成物から形成した防汚塗膜を付帯する厚さ0.7mm、質量832g/mの産業用シート(16)を得た。
〔配合17〕の防汚塗膜形成用組成物は、〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物における3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を、3質量%ケイ酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチル化)のカルボキシメチル基に反応させたケイ酸エステル化変性体:繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm(2質量%水溶液)500質量部に変更したもので、この変更以外は〔配合7〕の防汚塗膜形成用組成物と同様である。
Figure 2021075666
Figure 2021075666
Figure 2021075666
本発明の防汚塗膜形成用組成物(実施例1〜16)は、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を含有し、さらに光触媒性金属酸化物を含有する塗料である。この防汚塗膜形成用組成物(実施例1〜16)をターポリン基材上に塗工し、これをゾルゲル硬化して成る防汚塗膜(実施例1〜16)は、有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、変性セルロースナノ物質を含有し、さらに光触媒性金属酸化物を含有する塗膜で、この防汚塗膜形成用組成物(実施例1〜16)のターポリン基材上への塗工により、防汚塗膜を付帯する産業資材シート(実施例1〜16)が得られる。これら実施例1〜16の産業資材シート(タ−ポリン)は、屈曲と摩耗の負荷に対する防汚塗膜の抵抗耐性が向上し、防汚塗膜に亀裂などの損傷を容易に生じるようなことが無いことをJIS L1096 8.19.2 B法:スコット形法による耐屈曲揉み試験にて確認できた。また防汚塗膜が容易に摩滅、脱落することなく、防汚性の維持が可能であることをJIS L1096 8.19.3 C法:テーバ形法による耐摩耗性試験後の試料での屋外曝露(夏季3ケ月間)で確認できた。これは実施例1〜5,11〜13の防汚塗膜において原子配列モデルがヨコ軸とタテ軸からなる四角格子網目状とするとき、ヨコ軸とタテ軸の交点にSi原子が配置され、上下左右に隣接するSi−Si原子間にO原子が配置された構造で、この格子網目構造モデルの一部に変性セルロースナノ物質が何らかの状態で取り込まれて格子網目構造とは異なる複雑な構造に変化した状態、さらに光触媒性金属酸化物が何らかの状態で取り込まれて格子網目構造とは異なる複雑な構造に変化した状態となることによって得られた効果と考察する。同様に実施例6〜10,14〜16の防汚塗膜において原子配列モデルがヨコ軸とタテ軸からなる四角格子網目をモデルとするとき、ヨコ軸とタテ軸の交点にTi原子が配置され、上下左右に隣接するTi−Ti原子間にO原子が配置された構造であって、この格子網目構造モデルの一部に変性セルロースナノ物質が何らかの状態で取り込まれて格子網目構造とは異なる複雑な構造に変化した状態、さらに光触媒性金属酸化物が何らかの状態で取り込まれて格子網目構造とは異なる複雑な構造に変化した状態となることによって得られた効果と考察する。また実施例1〜16の産業用シート(1〜16)に、市販の油性ペン(赤)でABCDEの文字を描き、室温60秒乾燥後にDRYティシュペーパー拭取除去(擦り取り往復10回)を行い、これらシート材の防汚性を評価した。この結果、産業用シート材1〜16では、やや赤インク痕が残るものであったが、次いでWETティシュペーパー拭取除去性(擦り取り往復10回)を追加した結果、赤インク痕は完全に除去された。これとは別にABCDEを市販の油性ペン(赤)で描いたシート片をキセノンウエザーメーターで120時間の耐候性促進試験(JIS K5600-7-7)を実施したところ、光触媒性酸化チタンを防汚塗膜に含有する産業用シート材1〜16は赤インク文字がほぼ消失していた。従って、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)などの膜構造物などの屋外恒久用途に、実施例1〜16の産業用シート材が好適であることが明らかとなった。
[比較例1]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物[配合2]から、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を省略し、水500質量部と置き換えた[配合18]とした以外は実施例1と同様として、0.7mm、質量832g/mのターポリンを得た。実施例1〜16のターポリンと比較して、防汚塗膜の防汚性能に遜色は見られなかったが、変性セルロースナノ物質を省略したことにより、スコット式耐屈曲揉み試験での防汚塗膜(−Si−O−系ゾルゲル縮合体)への影響は顕著となり、防汚塗膜に亀裂、剥離、脱落の異常が確認された。またテーバ摩耗試験(50回転、100回転)での摩耗ダメージが実施例1の防汚塗膜[配合2からの転化]よりも大きく、ターポリン基材表面が露出するほどまでに防汚塗膜が欠落し、屋外曝露では汚れ付着量が顕著に増して黒く汚れていた。すなわち産業資材シートの縫製時、及び施工時に擦れや引き摺りを受ける物件では、防汚性持続に不安を有するものであった。
[比較例2]
実施例6の防汚塗膜形成用組成物[配合7]から、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を省略し、水500質量部と置き換えた[配合19]とした以外は実施例6と同様として、0.7mm、質量832g/mのターポリンを得た。実施例1〜16のターポリンと比較して、防汚塗膜の防汚性能に遜色は見られなかったが、変性セルロースナノ物質を省略したことにより、スコット式耐屈曲揉み試験での防汚塗膜(−Ti−O−系ゾルゲル縮合体)への影響は顕著となり、防汚塗膜に亀裂、剥離、脱落の異常が確認された。またテーバ摩耗試験(50回転、100回転)での摩耗ダメージが実施例1の防汚塗膜[配合2からの転化]よりも大きく、ターポリン基材表面が露出するほどまでに防汚塗膜が欠落し、屋外曝露では汚れ付着量が顕著に増して黒く汚れていた。すなわち産業資材シートの縫製時、及び施工時に擦れや引き摺りを受ける物件では、防汚性持続に不安を有するものであった。
[比較例3]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物[配合2]で用いた3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を省略し、シランカップリング処理変性がなされる前のセルロースナノファイバー(繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm)の2質量%水溶液500質量部と置き換えた[配合20]とした以外は実施例1と同様として、0.7mm、質量832g/mのターポリンを得た。実施例1〜16のターポリンと比較して、防汚塗膜の防汚性能に遜色は見られなかったが、シランカップリング処理変性を省略したセルロースナノファイバーを用いたことにより、スコット式耐屈曲揉み試験での防汚塗膜(−Si−O−系ゾルゲル縮合体)への影響が観察され、防汚塗膜に軽微な剥離、脱落の異常と、無数の亀裂の存在が確認された。これは−Si−O−系ゾルゲル縮合体の化学構造中に何らかの状態で、セルロースナノファイバーが取り込まれていないことが原因であると考察する。またシランカップリング処理変性を省略したセルロースナノファイバーを用いたことにより、テーバ摩耗試験(100回転)での摩耗ダメージが実施例1の防汚塗膜[配合2からの転化]よりも大きく、ターポリン基材表面が露出するほどまでに防汚塗膜が欠落し、屋外曝露では汚れ付着量が顕著に増して黒く汚れていた。これも−Si−O−系ゾルゲル縮合体の化学構造中に何らかの状態で、セルロースナノファイバーが取り込まれていないことが原因であると考察する。すなわち産業資材シートの縫製時、及び施工時に極度の擦れや引き摺りを受ける物件では、防汚性持続に不安を有するものであった。
[比較例4]
実施例6の防汚塗膜形成用組成物[配合7]で用いた3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(メルカプト系シランカップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシランカップリング処理変性体(2質量%水溶液)500質量部を省略し、シランカップリング処理変性がなされる前のセルロースナノファイバー(繊維幅3〜10nm:繊維長30〜100μm)の2質量%水溶液500質量部と置き換えた[配合21]とした以外は実施例6と同様として、0.7mm、質量832g/mのターポリンを得た。実施例1〜16のターポリンと比較して、防汚塗膜の防汚性能に遜色は見られなかったが、シランカップリング処理変性を省略したセルロースナノファイバーを用いたことにより、スコット式耐屈曲揉み試験での防汚塗膜(−Ti−O−系ゾルゲル縮合体)への影響が観察され、防汚塗膜に軽微な剥離、脱落の異常と、無数の亀裂の存在が確認された。これは−Ti−O−系ゾルゲル縮合体の化学構造中に何らかの状態で、セルロースナノファイバーが取り込まれていないことが原因であると考察する。またシランカップリング処理変性を省略したセルロースナノファイバーを用いたことにより、テーバ摩耗試験(100回転)での摩耗ダメージが実施例1の防汚塗膜[配合2からの転化]よりも大きく、ターポリン基材表面が露出するほどまでに防汚塗膜が欠落し、屋外曝露では汚れ付着量が顕著に増して黒く汚れていた。これも−Ti−O−系ゾルゲル縮合体の化学構造中に何らかの状態で、セルロースナノファイバーが取り込まれていないことが原因であると考察する。すなわち産業資材シートの縫製時、及び施工時に極度の擦れや引き摺りを受ける物件では、防汚性持続に不安を有するものであった。
[参考例1]
実施例1の防汚塗膜形成用組成物[配合2]から、光触媒性酸化チタンゾル50質量部を省略し、シリカゾル50質量部と置き換えた[配合22]とした以外は実施例1と同様として、0.7mm、質量832g/mのターポリンを得た。実施例1〜16のターポリンと比較して、防汚塗膜の防汚性能(油性インク拭き取り試験)に遜色は見られなかったが、光触媒性酸化チタンゾルを省略したことにより、ターポリンに描いた油性ペン(赤)の文字(インク)がキセノンウエザーメーターで120時間の耐候性促進試験(JIS K5600-7-7)でも完全に消えずに色褪せてくっきりと残存していた。また屋外曝露では光触媒性酸化チタンを防汚塗膜に含有しないことでセルフクリーニング効果が発現されず、防汚塗膜に汚れ付着が蓄積する一方となるため、定期的な洗浄作業の手間を必要とするものであった。
Figure 2021075666
特に織物を芯材に含む可撓性合成樹脂シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、などの産業資材シート)に適して用いられる堅牢な防汚塗膜を形成するための塗料組成物の提供と、この塗料組成物から形成された堅牢な防汚塗膜の提供、及びこの堅牢な防汚塗膜を付帯する産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)提供が可能となり、特に屈曲、折曲げ、はためきなどのストレスを受けた際に、防汚塗膜に亀裂などの損傷ダメージのより少ない産業資材シートの提供が可能となる。このような堅牢な防汚塗膜の形成可能な組成物の提供がなされ、堅牢性に優れた防汚塗膜を得ることが出来るので、この防汚塗膜を産業資材シートに適用することで、耐屈曲性、耐折曲げ性、耐はためき性に優れた産業資材シート(ターポリン、帆布、メッシュシート、合成皮革、など)を得ることができ、しかも防汚性かつ耐摩耗性に長期的に優れたものとする。そして本発明の防汚塗膜形成用組成物は、産業資材シートのみならず、フィルム、合成樹脂シート、化粧板、建材パネル、ガラス製品(部品)、プラスチック成型品(部品)など広い用途に応用し、堅牢な防汚塗膜を付帯させることができるようになる。

Claims (6)

  1. 有機シリケート化合物または有機チタネート化合物、及び変性セルロースナノ物質を少なくとも含有する組成物であって、前記変性セルロースナノ物質が、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)、及び有機チタネート処理、から選ばれた1種以上であることを特徴とする防汚塗膜形成用組成物。
  2. 前記組成物が、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有する請求項1に記載の防汚塗膜形成用組成物。
  3. 有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有する防汚塗膜であって、前記変性セルロースナノ物質が、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)、及び有機チタネート処理、から選ばれた1種以上であることを特徴とする防汚塗膜。
  4. 前記防汚塗膜が、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有する請求項3に記載の防汚塗膜。
  5. 有機シリケート化合物または有機チタネート化合物の加水分解縮合体に、少なくとも変性セルロースナノ物質を含有する防汚塗膜を付帯する産業資材シートであって、前記変性セルロースナノ物質が、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)、及び有機チタネート処理、から選ばれた1種以上である、防汚塗膜を付帯する産業資材シート。
  6. 前記防汚塗膜が、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有する請求項5に記載の産業資材シート。
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