JP2021075596A - インクジェット用の活性線硬化型インクおよび画像形成方法 - Google Patents

インクジェット用の活性線硬化型インクおよび画像形成方法 Download PDF

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【課題】白色顔料を含む画像のひび割れの発生を抑制できるインクジェット用の活性線硬化型インクを提供すること。【解決手段】本願発明のインクジェット用の活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物、白色顔料、ワックス、および添加剤を含むインクジェット用の活性線硬化型インクであって、前記添加剤は、多価アルコールをエステル化した化合物であり、前記添加剤は、アルキル鎖を分子内に有し、前記添加剤が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と、前記ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差は4以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット用の活性線硬化型インクおよび画像形成方法に関する。
インクジェット法は、簡便かつ安価に画像を作製できるため、各種印刷、マーキング、細線形成、カラーフィルター等の特殊印刷を含む様々な印刷分野に応用されている。特に、インクジェット法は、版を用いずデジタル印刷が可能であるため、多様な画像を少量ずつ形成するような用途に特に好適である。
インクジェット方式による画像形成方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェット用のインクの一種として、活性線が照射されることで硬化する活性線重合性化合物および重合開始剤を含有するインク(以下、単に「活性線硬化型インク」ともいう)が知られている。活性線硬化型インクの液滴を記録媒体の表面に付着させ、付着した液滴に活性線を照射すると、インクが硬化してなる硬化膜が記録媒体の表面に形成される。この硬化膜を形成していくことで、所望の画像を形成することができる。また、活性線硬化型インクによる画像形成方法は、記録媒体の吸水性にかかわらずに高い密着性を有する画像を形成できることから、注目されている。
また、上記活性線硬化型のカラーインクおよび白色インクを併用することによって所望の美観を作り出す画像形成方法が知られている。このとき、白色インクを温度変化によってゾルゲル相転移可能な活性線硬化型インクとすることによって、画像形成をより簡単な方法で行うことが可能となる。また、白色インクは、カラーインクを用いた画像形成の上塗りまたは下塗り用に使用して、背景色を形成することもできる。
たとえば、特許文献1には、白色顔料、活性線重合性化合物、ワックスを含む照射硬化性相変化インクであって、白色顔料に酸化チタンを用いた照射硬化性相変化インクが開示されている。特許文献1によると、上記照射硬化性相変化インクは、貯蔵安定性、低いニュートン粘性、および良好な硬化性を有するとされている。
特開2009−41015号公報
本願発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の白色インクは、良好な硬化性を有するものの、上記白色インクを硬化してなる硬化膜(画像)にひび割れが生じてしまい所望の美観を有する画像を得られないことがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、白色顔料を含む画像のひび割れの発生を抑制できるインクジェット用の活性線硬化型インクを提供すること、および当該活性線硬化型インクを用いる画像形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係るインクジェット用の活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物、白色顔料、ワックス、および添加剤を含むインクジェット用の活性線硬化型インクであって、前記添加剤は、多価アルコールをエステル化した化合物であり、前記添加剤は、アルキル鎖を分子内に有し、前記添加剤が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と、前記ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差は4以下である。
また、本発明の一実施の形態に係る画像形成方法は、インクジェットヘッドから、上記インクジェット用の活性線硬化型インクを吐出して、前記吐出されたインクジェット用の活性線硬化型インクを、記録媒体または中間転写体の表面に着弾させる工程と、前記着弾したインクジェット用の活性線硬化型インクに活性線を照射する工程と、を含む。
本発明によれば、白色顔料を含む画像のひび割れの発生を抑制できるインクジェット用の活性線硬化型インクを提供すること、および当該活性線硬化型インクを用いる画像形成方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
1.活性線硬化型インク
本発明の一実施の形態に係るインクジェット用の活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物、白色顔料、ワックス、および添加剤を含む。
1−1.活性線重合性化合物
本実施の形態に係る活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物を含む。上記活性線重合性化合物は、活性線の照射により架橋または重合する化合物である。活性線の例には、紫外線、電子線、エックス線、α線およびγ線などが含まれる。上記活性線の中では、紫外線が好ましい。上記活性線重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、またはそれらの混合物が含まれる。上記活性線重合性化合物の中では、ラジカル重合性化合物が好ましい。なお、上記活性線重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーおよびこれらの混合物のいずれであってもよい。
ラジカル重合性化合物とは、分子中にエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物である。上記ラジカル重合性化合物は、単官能または多官能の化合物でありうる。ラジカル重合性化合物の例には、不飽和カルボン酸エステル化合物である、(メタ)アクリレートが含まれる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸およびt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。
多官能の(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレートなどの2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート;ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、ならびにこれらの変性物などが含まれる。上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)アクリレート、およびプロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)アクリレートが含まれる。
また、カチオン重合性化合物とは、分子中にカチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物の例には、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物などが含まれる。
上記エポキシ化合物の例には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサンおよびビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルなどの脂環式エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種類または2種類以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドなど)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどを含む脂肪族エポキシ化合物、ならびに、ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、およびノボラック型エポキシ樹脂などを含む芳香族エポキシ化合物などが含まれる。
上記ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、およびオクタデシルビニルエーテルなどを含むモノビニルエーテル化合物、ならびにエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびトリメチロールプロパントリビニルエーテルなどを含むジまたはトリビニルエーテル化合物などが含まれる。
上記オキセタン化合物の例には、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ベンジルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシブチル−3−メチルオキセタン、1,4ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンおよびジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどが含まれる。
上記活性線重合性化合物の含有量は、例えば、活性線硬化型インクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下とすることがより好ましい。
1−2.重合開始剤
本実施の形態に係る活性線硬化型インクは、重合開始剤を含むことができる。上記重合開始剤は、活性線の照射により、上記活性線重合性化合物の重合を開始できるものであればよい。たとえば、上記活性線硬化型インクがラジカル重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光ラジカル開始剤とすることができ、上記活性線硬化型インクがカチオン重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光カチオン開始剤(光酸発生剤)とすることができる。
ラジカル重合開始剤には、分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤と分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤とが含まれる。
分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、および2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンなどを含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテルなどを含むベンゾイン類、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドなどを含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ならびに、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどを含むベンゾフェノン系の開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどを含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどを含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、ならびにカンファーキノンなどが含まれる。
カチオン系の重合開始剤の例には、光酸発生剤が含まれる。光酸発生剤の例には、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、およびホスホニウムなどを含む芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩など、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、ならびに鉄アレン錯体などが含まれる。
上記重合開始剤の含有量は、紫外線の照射によって活性線硬化型インクが十分に硬化し、かつ活性線硬化型インクの射出性を低下させない範囲において、任意に設定することができる。たとえば、上記重合開始剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上12質量%以下であることがより好ましい。
1−3.白色顔料
本実施の形態に係る活性線硬化型インクは、白色顔料を含む。上記白色顔料の例には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、白色の中空樹脂粒子および高分子粒子が含まれる。上記白色顔料の中では、酸化チタン、酸化ジルコニウムが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
上記白色顔料として使用できる酸化チタンの結晶形態には、ルチル型、アナターゼ型およびブルーカイト型などがある。比重が小さく、小粒径化しやすい観点からは、アナターゼ型が好ましく、可視光領域における屈折率が大きく、隠蔽性が高い観点からは、ルチル型が好ましい。上記活性線硬化型インクには、上記結晶形態の酸化チタンから1種類を用いてもよいし、結晶形態の異なる酸化チタンを組み合わせて用いてもよい。
上記活性線硬化型インクは、上記酸化チタンを上記活性線硬化型インクの全質量に対して、2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。上記酸化チタンを5質量%以上とすることで、十分に白い硬化膜(画像)を得ることができる。一方、上記酸化チタンを30質量%以下とすることで、上記活性線硬化型インクを安定して吐出することができ、十分な隠蔽性を有する画像を形成することができる。
上記酸化チタンの重量平均径は、50nm以上500nm以下であることが好ましく、100nm以上300nm以下であることがより好ましい。酸化チタンの重量平均径を50nm以上とすることで、十分な隠蔽性を有するインクが得られる。一方、酸化チタンの重量平均径を500nm以下とすることで、酸化チタンを安定して分散させることができ、インクの保存安定性や射出安定性を高めることができる。
また、本発明に用いることのできる市販の酸化チタンの例には、CR−EL、CR−50、CR−80、CR−90、R−780およびR−930(いずれも石原産業株式会社製)、TCR−52、R−25、R−32およびR−310(いずれも堺化学工業株式会社製)、KR−310、KR−380およびKR−380N(いずれもチタン工業株式会社)等が含まれる。
また、上記白色顔料として使用できる酸化ジルコニウムの例には、市販品のZirconeo(株式会社アイテック製、「Zirconeo」は同社の登録商標)が含まれる。
1−4.ワックス
本発明の一実施の形態に係るインクジェット用の活性線硬化型インクは、ワックスを含む。ワックスは、常温では固体であるが、加熱すると液体となることにより、活性線硬化型インクを温度変化に応じてゾルゲル相変移させることができる有機物である。
また、上記ワックスは、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ここで、ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、インクがゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、例えば、レオメータMCR300(Anton Paar社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
上記ワックスの例には、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−(2−エチルヘキサノイル)−L−グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物;1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール等のジベンジリデンソルビトール類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;12−ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等のN−置換脂肪酸アミド;N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N’−キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸エステル;ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス;重合性ワックス;ダイマー酸;ダイマージオール等が含まれる。これらのワックスは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態に係るワックスは、以下の式(1)で表されるケトン化合物、または式(2)で表されるエステル化合物であることが好ましい。
式(1) R−(C=O)−R
式(2) R−(C=O)−O−R
(式(1)および式(2)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数が8以上24以下の直鎖部分または分岐鎖部分を含むアルキル基を表す)
上記式(1)において、RおよびRで表されるアルキル基は、特に制限されないが、炭素数が8以上25以下の直鎖のアルキル基であることが好ましく、14以上24以下の直鎖のアルキル基であることがより好ましい。また、上記式(1)において、RおよびRで表される炭素数は同じ数であってもよいし、異なる数であってもよい。
上記式(1)で表されるケトン化合物の例には、脂肪族ケトンワックスが含まれる。上記脂肪族ケトンワックスの例には、ジラウリルケトン(C12−C12)、ジミリスチルケトン(C14−C14)、ジパルミチルケトン(C16−C16)、18−ペンタトリアコンタノン(C17−C17)、ジステアリルケトン(C18−C18)、ジエイコシルケトン(C20−C20)、ジベヘニルケトン(C22−C22)、ジリグノセリルケトン(C24−C24)ミリスチルパルミチルケトン(C14−C16)およびパルミチルステアリルケトン(C16−C18)、バルミチルベヘニルケトン(C16−C22)、ステアリルベヘニルケトン(C18−C22)が含まれる。なお、上記括弧内のC−Cは、カルボニル基で分断される2つのアルキル基(R、R)それぞれの炭素数を表す。
上記式(2)において、RおよびRで表されるアルキル基は、特に制限されないが、炭素数が8以上25以下の直鎖のアルキル基であることが好ましく、14以上24以下の直鎖のアルキル基であることがより好ましい。
上記式(2)で表されるエステル化合物の例には、脂肪族エステルワックスが含まれる。脂肪族エステルワックスの例には、ミリスチン酸ミリスチル(C13−C14)、ミリスチン酸セチル(C13−C16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(C13−C20)、パルミチン酸セチル(C15−C16)、パルミチン酸ステアリル(C15−C18)、ステアリン酸ステアリル(C17−C18)、ステアリン酸パルミチル(C17−C16)、ステアリン酸ラウリル(C17−C12)、オレイン酸ステアリル(C17−C18)、リノール酸ステアリル(C17−C18)、リノール酸アラキジル(C17−C20)、ステアリン酸ベヘニル(C17−C22)、オレイン酸ベヘニル(C18−C22)、イコサン酸イコシル(C19−C20)、ベヘン酸ベヘニル(C21−C22)、エルカ酸ステアリル(C21−C18)、セロチン酸ミリシル(C25−C16)、モンタン酸ステアリル(C27−C18)、モンタン酸ベヘニル(C27−C22)、トリアコンタン酸パルミチル(C29−C16)が含まれる。なお、上記括弧内のC−Cは、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
上記活性線硬化型インクは、上記脂肪族ケトンワックスのうち1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上を含んでいてもよい。また、上記脂肪族エステルワックスのうち1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上を含んでいてもよい。または、上記脂肪族ケトンワックスと上記脂肪族エステルワックスとの両方を含んでいてもよい。上記活性線硬化型インクにおいては、ワックスとして、脂肪族ケトンワックスおよび脂肪族エステルワックスを含んでいることが好ましい。異なる種類のワックスを含むことにより、相転移特性を制御して、ピニング性やレベリング性をコントロールすることができる。
上記ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と、添加剤(後述)が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差は4以下であり、0以上4以下であることがより好ましく、0以上2以下であることがさらに好ましい。上記ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と、上記添加剤が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差を4以下とすることにより、添加剤が白色顔料として用いられる親水性の酸化チタンと疎水性のワックスとの親和性を高めることができるため、得られる白色硬化物(画像)にひび割れが生じるのを抑制する。これにより、所望する美観を有する画像を得ることができる。
なお、炭素数の異なる複数のワックスを含む場合には、ワックスがそれぞれ有する直鎖のアルキル基の炭素原子数のうちどれか1つでも、添加剤が有する直鎖のアルキル基の炭素原子数との差が4以下であればよい。
また、上記ワックスの含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.01質量%以上7質量%以下であることが好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して0.2質量%以上6.8質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
上記ワックスの含有量を0.01質量%以上することで、分散されている白色顔料(例えば酸化チタン)同士の凝集を抑制できる。また、2質量%以上とすることにより、白色硬化物(画像)のひび割れが生じるのを顕著に抑制することができ、7質量%以下とすることでワックスの結晶成長が抑制されるので形成される画像表面の凹凸を小さくできる。これにより、光沢性が高まる。
また、上記ワックスの含有量を0.01質量%以上7質量%以下とすることで、カードハウス構造が形成され、液体である活性線重合性化合物が、ワックスによって形成された三次元空間に保持されるため、インクが付着して形成されたドットがより濡れ広がりにくくなるので、インクのピニング性がより高まり、インクが記録媒体に付着して形成されたドット同士が合一しにくくなる。これにより、高精細な画像を得ることができる。ここで、カードハウス構造とは、ワックスがインク中で結晶化すると、板状に結晶化したワックス(ゲル化剤)によって形成された三次元空間に活性線重合性化合物が内包される構造のことをいう。
1−5.添加剤
本発明の一実施の形態に係るインクジェット用の活性線硬化型インクは、添加剤を含む。上記添加剤は、多価アルコールをエステル化した化合物である。
上記添加剤が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と上記ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差を4以下とすることにより、上記添加剤が白色顔料(酸化チタン)と上記ワックスとの親和性を高めることができるため、ワックスが画像表面に析出するのが抑制されるので、得られる硬化物(画像)にひび割れが生じにくくなる。これにより、所望する美観を有する画像を得ることができる。
上記多価アルコールの例には、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2,4−ブタントリオールが含まれる。
上記カルボン酸の例には、ブチル酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、エナント酸(C7)、カプリル酸(C8)、ペラルゴン酸(C9)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ヘンイコシル酸(C21)、ベヘン酸(C22)、リグノセリン酸(C24)、セロチン酸(C26)、モンタン酸(C28)、メリシン酸(C30)が含まれる。上記カルボン酸の中では、ラウリン酸(C12)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)が好ましい。なお、括弧内のCは炭素数を示す。
上記多価アルコールをエステル化する方法として、公知の方法(例えば、フィッシャーエステル合成反応)を用いることができる。フィッシャーエステル合成反応とは、アルコールとカルボン酸とを酸触媒を用いて反応させてエステルを合成する方法のことをいう。
上記添加剤は、分子内にエステル化されていない少なくとも1つの水酸基を含むことが好ましく、1つ以上5つ以下の水酸基を含むことがより好ましい。分子内に含まれる水酸基の数を1つ以上とすることにより、親水性の酸化チタン(白色顔料)との親和性を高めることができる。また、分子内に含まれる水酸基を5つ以下とすることにより、疎水性のワックスとの親和性を高めることができる。つまり、上記添加剤の分子内に含まれる水酸基の数を1つ以上5つ以下にすることにより、親水性および疎水性のバランスを適切な状態にすることができるようになる。
また、上記添加剤の分子内に含まれる水酸基の数を1つ以上5つ以下にすることにより、親水性および疎水性のバランスを適切な状態にすることで、高温で保管した場合にインクに含まれる酸化チタンの粒度分布の変動を小さくすることができるので、保存安定性が向上する。
上記添加剤の分子内に含まれる水酸基の数を求める方法には、中和滴定法、電位差滴定法、ピリジン−塩化アセチル法があり、JISK0070(1992)に準拠して求めることができる。
また、上記添加剤(多価アルコールをエステル化した化合物)は、エチレンオキサイド構造、またはプロピレンオキサイド構造を繰り返し構造単位として含むことが好ましく、プロピレンオキサイド構造を繰り返し構造単位として含むことがより好ましい。上記添加剤が、エチレンオキサイド構造、またはプロピレンオキサイド構造を繰り返し構造単位として含むことにより、添加剤のHLB値を調整しやすくなる。
上記エチレンオキサイド構造を繰り返し構造単位として含むエステル化合物の例には、ポリエチレングリコールとベヘン酸とのエステル化合物、ポリエチレングリコールとステアリン酸とのエステル化合物、ポリエチレングリコールとアラキジン酸とのエステル化合物、ポリエチレングリコールとヘンイコシル酸とのエステル化合物、ポリエチレングリコールとベヘン酸とのエステル化合物が含まれる。また、プロピレンオキサイド構造を繰り返し構造単位として含むエステル化合物の例には、ポリグリセリンとステアリン酸とのエステル化合物、ポリグリセリンとアラキジン酸とのエステル化合物、ポリグリセリンとヘンイコシル酸とのエステル化合物、ポリグリセリンとベヘン酸とのエステル化合物が含まれる。
また、上記添加剤のHLB値は、1以上7以下であることが好ましく、2以上4以下であることがより好ましい。上記HLB値を1以上とすることにより、上記白色顔料(酸化チタン)と上記ワックスとの親和性が高まり、画像表面にワックスが過度に析出するのを抑制できるので、上記活性線硬化型インクを硬化してなる硬化物(白色画像)にひび割れが生じること抑制することができる。また、上記HLB値を7以下とすることにより、白色の活性線硬化型インク(白色インク)を硬化して得られる白色硬化膜の界面にワックスが存在することができるので、白色以外の色インクの硬化膜との間に相互作用を生じさせて、密着性を向上させることができる。これにより、白色画像の表面に白色以外の色インクを重ねて印刷した場合であっても、色インクがはじかれることがないので所望する美観を有する画像を形成することができる。なお、HLB値とは、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値である。
上記HLB値は、以下の式(3)で求めることができる。なお、S(エステルのけん化価)およびN(構成する脂肪酸の酸価)はJIS K0070(1992)に準拠して求めることができる。
式(3) HLB=(1−S/N)
S:エステルのけん化価
N:構成する脂肪酸の酸価
また、上記添加剤の含有量は、上記インクジェット用の活性線硬化型インクの全質量に対して0.04質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.5質量%以下であることがより好ましい。上記添加剤の含有量を0.04質量%以上とすることにより白色硬化物(画像)にひび割れが生じること抑制することができる。また、5質量%以下とすることにより白色インクの表面に他の色インクを重ね得て印刷した場合に色が混ざるのを抑制することができる。
1−6.その他の成分
上記活性線硬化型インクには、必要に応じて他の成分がさらに含まれていてもよい。他の成分は、カチオン性の活性線重合性化合物、光酸発生剤、各種添加剤や他の樹脂等であってよい。添加剤の例には、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、インクの保存安定性を高めるための塩基性化合物等も含まれる。塩基性化合物の例には、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが含まれる。他の樹脂の例には、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、およびゴム系樹脂等の硬化膜の物性を調整するための樹脂などが含まれる。
1−7.活性線硬化型インクの物性
上記活性線硬化型インクの粘度は、40℃において、1×10mPa・s以上5×10mPa・s未満であることが好ましく、3×10mPa・s以上1×10mPa・s未満であることがより好ましい。インク付与時の中間転写体の温度における粘度が1×10mPa・s以上であると、記録媒体に付与された活性線硬化型インクの液滴が広がり難く、液滴同士が合一し難い。一方で、インク付与時の記録媒体の温度における粘度が5×10mPa・s未満であると、インクジェットヘッドからの吐出性が良好となる。
また、インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、上記活性線硬化型インクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。80℃における粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下であると、インクジェットヘッドからの上記活性線硬化型組成物の射出時に組成物がゲル化しにくいため、より安定して上記活性線重合性化合物を射出することができる。また、活性線硬化型インクがゲル化剤を含有している場合には、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点から、上記活性線硬化型インクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。25℃における粘度が1000mPa・s以上であると、記録媒体に付与されたインク液滴が過剰に広がり難く、液滴同士が合一し難い。
上記活性線硬化型インクの40℃および80℃における粘度は、レオメータにより、活性線硬化型インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータ(Anton Paar社製、Physica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°))によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して得られた粘度の温度変化曲線において40℃および80℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求める。
1−8.活性線硬化型インクの調製方法
上記活性線硬化型インクは、前述の活性線重合性化合物、白色顔料、ワックス、添加剤と、任意のその他の成分とを、加熱下において混合することにより調製することができる。この際、得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。なお、顔料を含有するインクを調製する際は、白色顔料、活性線重合性化合物を含む顔料分散液を調製し、その後、顔料分散液と他の成分とを混合することが好ましい。顔料分散液は、分散剤をさらに含んでもよい。
上記顔料分散液は、活性線重合性化合物に顔料を分散して調製することができる。顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカーなどを用いて行えばよい。このとき、分散剤を添加してもよい。
2.画像形成方法
本発明の実施の形態に係る画像形成方法は、インクジェットヘッドから、上記インクジェット用の活性線硬化型インクを吐出して、前記吐出されたインクジェット用の活性線硬化型インクを、記録媒体の表面に着弾させる工程と、前記着弾したインクジェット用の活性線硬化型インクに活性線を照射する工程と、を含む。
インクジェット用の活性線硬化型インクを吐出して、記録媒体の表面に着弾させる工程では、上述した活性線硬化型インクを、インクジェットヘッドから吐出する。
インクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(「バブルジェット」はキヤノン株式会社の登録商標)型を含む電気−熱変換方式等が含まれる。
また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
また、白色の活性線硬化型インク(以下、単に「白色インク」ともいう)の吐出性を高めるためには、インクジェットヘッド内の白色インクの温度を、白色インクのゲル転移温度より10〜30℃高い温度に設定することが好ましい。インクジェットヘッド内のインク温度を、ゲル化温度+10℃以上とすることで、インクジェットヘッド内もしくはノズル表面での白色インクのゲル化を防止し、白色インクの液滴を安定して吐出することができる。一方、インクジェットヘッド内のインクの温度を、ゲル化温度+30℃以下とすることで、白色インクが高温になることによるインク成分の劣化を防ぐことができる。白色インクは、画像形成装置のインクジェットヘッド、インクジェットヘッドに接続したインク流路、またはインク流路に接続したインクタンク等で加熱することができる。
インクジェットヘッドから吐出される白色インク1滴あたりの液滴量は、白色インクの粘度等にもよるが、0.5〜10plであることが好ましく、所望の領域のみに吐出するためには、0.5〜4.0plであることがより好ましく、1.5〜4.0plであることがさらに好ましい。このような量のインクを塗布しても、本発明の白色インクではゾルゲル相転移が行われるため、インクが過剰に濡れ広がらず、所望の箇所にのみ吐出することができる。
インクジェットヘッドから吐出された白色インクは、記録媒体の表面に着弾される。
記録媒体上に付着した白色インクの液滴は冷却されてゾルゲル相転移により速やかにゲル化する。これにより、白色インクの液滴が過剰に濡れ広がらずに、ピニングすることができる。さらに、液滴が速やかにゲル化するため、液滴中に酸素が入り込みにくく、活性線重合性化合物の硬化が酸素によって阻害されにくい。
また、白色インクの液滴が付着する際の記録媒体の温度は、当該インクのゲル化温度よりも10〜20℃低い温度に設定されていることが好ましい。記録媒体の温度が低すぎると、白色インクの液滴が過剰に迅速にゲル化してピニングしてしまう。一方で、記録媒体の温度が高すぎると、インク液滴がゲル化しにくくなり、インク液滴の隣り合うドット同士が混じりあうことがある。記録媒体の温度を適切に調整することで、インク液滴の隣り合うドット同士が混じり合わない程度の適度な平滑性(レベリング)と、適切なピニングとが実現される。
記録媒体は、インクジェット法で画像を形成できる媒体であればよく、例えば、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙およびキャスト紙を含む塗工紙ならびに非塗工紙を含む吸収性の媒体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブタジエンテレフタレートを含むプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体、中間転写体ならびに金属類およびガラス等の非吸収性の無機記録媒体とすることができる。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PPフィルム、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムが使用できる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類等が使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。
着弾したインクジェット用の活性線硬化型インクに活性線を照射する工程では、上記白色インクが着弾した記録媒体の表面に活性線を照射する。上記活性線の例には、紫外線、電子線、エックス線、α線およびγ線などが含まれる。これらのうち、取り扱いの容易さおよび人体への影響の少なさの観点から、紫外線を照射することが好ましく、活性線硬化型インクを硬化させやすくする観点からは、電子線を照射することが好ましい。光源の輻射熱によって活性線硬化型インクが溶けることによる活性線硬化型インクの硬化不良の発生を抑制する観点から、紫外線の光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。インクを硬化させるための活性線を照射することができるLED光源の例には、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製、Heraeus社製、京セラ株式会社製、HOYA株式会社製、およびIntegration Technology社製が含まれる。
照射される活性線のエネルギーは、200mJ/cm以上1000mJ/cmであることが好ましい。上記エネルギーが200mJ/cm以上だと、活性線重合性化合物を十分に重合および架橋させることができる。上記エネルギーが1000mJ/cm以下だと、照射される活性線の熱によるワックスの再溶解によるピニング性の低下が生じにくくなる。上記観点からは、照射される活性線のエネルギーは300mJ/cm以上800mJ/cm以下であることがより好ましく、350mJ/cm以上500mJ/cm以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施の形態に係る画像形成方法において、白色インクのみを用いた画像形成方法について説明したが、これに限定されない。記録媒体上にすでに付着している白色インクの上に白色以外の色インクを付着させて画像を形成してもよいし、色インクの上に白色インクを付着させて画像を形成してもよい。
3.画像形成装置
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の例示的な構成を示す模式図である。
本実施の形態に係る画像形成装置100は、白色の活性線硬化型インク(以下、単に「白色インク」ともいう)用のインクジェットヘッド110a、白色インク以外の活性線硬化型インク(以下、単に「ゲルインク」ともいう)用のインクジェットヘッド110b、搬送路120、白色インクに活性線を照射する活性線照射部130a、ゲルインクに活性線を照射する活性線照射部130b、温度制御部140を有する。なお、図1において、矢印Aは記録媒体150の搬送方向を示す。インクジェットヘッド110a、活性線照射部130a、インクジェットヘッド110b、および活性線照射部130bは、記録媒体の搬送方向上流側から下流側にかけて搬送路120に接してこの順に配置されている。
本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、上述した活性線硬化型インクを用いて画像を形成する、画像形成装置である。
上記白色インクの付着および定着、ならびに上記ゲルインクの付着および定着を単一の画像形成装置で行う場合、図1に示されるような構成の画像形成装置100を用いることができる。なお、活性線硬化型インクジェット方式の画像形成装置には、ライン記録方式(シングルパス記録方式)のものと、シリアル記録方式のものとがある。求められる画像の解像度や記録速度に応じていずれの方式を選択してもよいが、高速記録の観点では、ライン記録方式(シングルパス記録方式)が好ましい。
具体的には、本発明の画像形成装置100は、インクジェットヘッド110a、110bから、40〜120℃に加熱された活性線硬化型インクを吐出する、インク吐出部と、吐出された活性線硬化型インクを付着させる記録媒体150を搬送して、その表面温度が60℃以下である記録媒体150の表面に上記インクを付着させる、搬送路120と、付着した白色インクまたはゲルインクに活性線を照射する活性線照射部130a、130bと、記録媒体150を所定の温度に維持するための温度制御部140と、を含む、画像形成装置である。
図1に示されるように、画像形成装置100は、さらに、白色インク用のインクジェットヘッド110aを収容するヘッドキャリッジ160a、およびゲルインク用の複数のインクジェットヘッド110bを収容するヘッドキャリッジ160bと、ヘッドキャリッジ160aに接続したインク流路170aとインク流路170aを通じて供給する白色インクを貯留するインクタンク180aと、ヘッドキャリッジ160bに接続したインク流路170bとインク流路170bを通じて供給するインクを貯留するインクタンク180bとを有する。
ヘッドキャリッジ160aはインクジェットヘッド110aを、ヘッドキャリッジ160bはインクジェットヘッド110bを、それぞれ収容する。ヘッドキャリッジ160bには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色用のインクジェットヘッドが含まれる。ヘッドキャリッジ160aおよび170bは、例えば、記録媒体150の全幅を覆うように固定配置される。
インクジェットヘッド110aには、インクタンク180aから白色インクが供給され、インクジェットヘッド110bには、インクタンク180bからゲルインクが供給されるようになっている。
記録媒体150の搬送方向Aに配置されるインクジェットヘッド110a、110bの数は、インクジェットヘッド110a、110bのノズル密度と、印刷画像の解像度によって設定される。たとえば、液滴量2pl、ノズル密度360dpiのインクジェットヘッド110a、110bを用いて1440dpiの解像度の画像を形成する場合には、記録媒体150の搬送方向Aに対してそれぞれ4つのインクジェットヘッド110a、110bをずらして配置すればよい。また、液滴量6pl、ノズル密度360dpiのインクジェットヘッド110a、110bを用いて720×720dpiの解像度の画像を形成する場合には、それぞれ2つのインクジェットヘッド110a、110bをずらして配置すればよい。dpiとは、1インチ(2.54cm)当たりのインク液滴(ドット)の数を表す。
インクタンク180aは、ヘッドキャリッジ160aにインク流路170aを介して接続され、インクタンク180bは、ヘッドキャリッジ160bに、インク流路170bを介して接続されている。インク流路170aは、インクタンク180a中の白色インクをヘッドキャリッジ160aに供給する経路であり、インク流路170bは、インクタンク180b中のゲルインクをヘッドキャリッジ160bに供給する経路である。インク液滴を安定して吐出するため、インクタンク180a、180b、インク流路170a、170b、ヘッドキャリッジ160a、160bおよびインクジェットヘッド110a、110bのインクを所定の温度に加熱して、ゲル状態を維持することが好ましい。
活性線照射部130aおよび130bは、記録媒体150の全幅を覆い、かつ記録媒体150の搬送方向Aについて、それぞれヘッドキャリッジ160a、160bの下流側に配置されている。活性線照射部130aおよび130bは、インクジェットヘッド110a、110bによりそれぞれ吐出されて、記録媒体150の上に付着したインク液滴に光を照射し、液滴を硬化させる。
温度制御部140は、記録媒体150の下面に配置されており、記録媒体150を所定の温度に維持する。温度制御部140は、例えば、図1に示すように、ヘッドキャリッジ160a側と、ヘッドキャリッジ160b側とで、分割されていてもよい。温度制御部140は、例えば、各種ヒータ等でありうる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置100は上記構成に限定されない。たとえば、白色インク、ゲルインクに活性線を照射している間の酸素濃度を調整するための酸素濃度調整部を有していてもよい。また、本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、白色画像を形成する構成のみを有していてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、nは繰り返し単位を表す。
1.インクジェット用のインクの調製
1−1.添加剤の調製
(添加剤1の調製)
フィッシャーエステル合成反応にならい、酸触媒存在下加熱条件で、アラキジン酸と1,16−ヘキサデカンジオールを反応させることにより、添加剤1を得た。上記添加剤のHLB値は1.5であった。
(添加剤2の調製)
デカグリセリンデカエステル(SYグリスター「DAS−7S」、阪本薬品工業株式会社製)を添加剤2とした。上記添加剤2のHLB値は3.8であった。添加剤2は、ポリグリセリン(n=10)とステアリン酸とのエステル化合物である。
(添加剤3の調製)
フィッシャーエステル合成反応にならい、酸触媒存在下加熱条件で、ベヘン酸とポリエチレングリコール(n=10)を反応させることにより、添加剤3を得た。上記添加剤のHLB値は4.0であった。
(添加剤4の調製)
デカグリセリンドデカエステル(SYグリスター「DDB−750」、阪本薬品工業株式会社製)を添加剤4とした。上記添加剤4のHLB値は2.5であった。添加剤4は、ポリグリセリン(n=10)とベヘン酸とのエステル化合物である。
(添加剤5の調製)
テトラグリセリンモノエステル(SYグリスター「MS−3S」、阪本薬品工業株式会社製)を添加剤5とした。上記添加剤5のHLB値は8.4であった。添加剤5は、ポリグリセリン(n=4)とステアリン酸とのエステル化合物である。
(添加剤6の調製)
フィッシャーエステル合成反応にならい、酸触媒存在下加熱条件で、ラウリン酸とポリグリセリン(n=10)を反応させることにより、添加剤6を得た。上記添加剤のHLB値は5.0であった。
上記HLB値は、以下の式(3)で求めた。なお、S(エステルのけん化価)およびN(構成する脂肪酸の酸価)はJIS K0070(1992)に準拠して求めた。
式(3) HLB=(1−S/N)
S:エステルのけん化価
N:構成する脂肪酸の酸価
上記添加剤1〜6の組成を表1に示す。なお、表1中のカルボン酸の炭素原子数は、アルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数を示す。
また、表1中の多価アルコールの略語は以下のとおりである。
HDD :1,16−ヘキサデカンジオール
PEG :ポリエチレングリコール
GOL(4) :テトラグリセリン
GOL(10) :デカグリセリン
Figure 2021075596
1−2.ワックス
ワックスは、ベヘン酸ベヘニル(C21−C22)および18−ペンタトリアコンタノン(C17−C17)を用いた。
1−3.白色顔料分散体の調製
(白色顔料分散体1)
トリプロピレングリコールジアクリレート(Miramer M200:Miwon社製、「Miramer」は同社の登録商標)70.7質量%と、分散剤(BYKJET−9151:BYK社製、「BYKJET」は同社の登録商標)8質量%と、をステンレス鋼製のビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間撹拌した。
得られた液体を室温まで冷却した後、顔料として酸化チタン(TCR−52;堺化学工業株式会社製)21.3質量%を加えた。混合液を直径0.5mmのジルコニアビーズ220gと共にガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した。分散液からジルコニアビーズを除去して、白色顔料分散体1を得た。
(白色顔料分散体2)
トリプロピレングリコールジアクリレート(Miramer M200:Miwon社製、「Miramer」は同社の登録商標)70.7質量%と、分散剤(BYKJET−9151:BYK社製、「BYKJET」は同社の登録商標)8質量%と、をステンレス鋼製のビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間撹拌した。
得られた液体を室温まで冷却した後、顔料として酸化ジルコニウム(Zirconeo、株式会社アイテック製)21.3質量%を加えた。混合液を直径0.5mmのジルコニアビーズ220gと共にガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した。分散液からジルコニアビーズを除去して、白色顔料分散体2を得た。
(白色顔料分散体3)
トリプロピレングリコールジアクリレート(Miramer M200:Miwon社製、「Miramer」は同社の登録商標)85.8質量%と、分散剤(BYKJET−9151:BYK社製、「BYKJET」は同社の登録商標)8質量%と、をステンレス鋼製のビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間撹拌した。
得られた液体を室温まで冷却した後、顔料として酸化チタン(TCR−52;堺化学工業株式会社製)6.2質量%を加えた。混合液を直径0.5mmのジルコニアビーズ220gと共にガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した。分散液からジルコニアビーズを除去して、白色顔料分散体3を得た。
1−4.インクの調製
2質量%のワックス(0.6質量%のベヘン酸ベヘニルと、1.4質量%の18−ペンタトリアコンタノン)と、10質量%の4EO変性ヘキサンジオールジアクリレートと、28.1質量%の6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートと、22質量%のトリプロプレングリコールジアクリレートと、2質量%の重合開始剤「DAROCURE TPO」(BASF社製、「DAROCURE」は同社の登録商標)と、2.5質量%の重合開始剤「Irgacure 819」(BASF社製)と、0.2質量%の重合禁止剤「Irgastab UV−10」(BASF社製)と、0.1質量%の界面活性剤「KF−352」(信越化学工業株式会社製)と、33質量%の白色顔料分散体1をステンレスビーカーに入れ、これを80℃のホットプレートで加熱しながら1時間撹拌した。得られた溶液を加熱しながら、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過することによりインク1を得た。
表2にインク1〜11の各成分の含有量(単位は質量%)を示す。なお、表2中の炭素数の差は、添加剤が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と、ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差である。
表2で示される各略号は次のとおりである。
6EO−TMPTA :6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
4EO−HDDA :4EO変性ヘキサンジオールジアクリレート
TPGDA :トリプロピレングリコールジアクリレート
TPO :DAROCURE TPO
819 :Irgacure 819
UV10 :Irgastab UV10
Figure 2021075596
2.評価
インク1〜インク11を用いて画像形成を行い、ひび割れ評価、白色度評価、保存安定性評価、画質評価、光沢評価、および平滑性評価を下記条件で行った。
2−1.画像形成方法
インク1〜11を、それぞれ、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェットヘッドを有するシングルパスのインクジェット画像形成装置に装填した。インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェットヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、およびインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドの温度を80℃に設定した。インクジェットヘッドは、解像度が600dpiであるコニカミノルタ社製インクジェット(ピエゾ式)を、2ヘッドを1セット(1200dpi)としたヘッドモジュールを用いた。インクをインクジェットヘッドのノズルから射出して、アルミ蒸着PET紙(SPECIALITIES No.314−400、五條製紙株式会社製)に、10g/mの付き量で着弾させた。着弾後1秒以内に、LEDランプ(395nm、8W/cm、Phoseon Technology社製)を照射して白色の100%ベタ画像(以下、単に「白色画像」ともいう)を得た(解像度:1200×1200dpi)。
2−2.ひび割れ評価
(評価方法)
上記画像形成方法で得られた白色硬化膜をそれぞれ目視で観察した。
(評価基準)
◎:ひび割れが全く観察されない
○:ひび割れがわずかに観察されるが、実用上問題がない
△:ひび割れが観察され、実用上問題となる可能性がある
×:ひび割れが目立ち、実用上問題がある
2−3.白色度評価
記録媒体をPETフィルム(OZK、膜厚100μm、ダイニック株式会社製)に変更して、上記画像形成方法で白色画像を記録媒体上に形成した。上記白色画像が形成された記録媒体を、ザンダースメタリック ブラック(ザンダース社製)の上に置き、蛍光分光濃度計「FD−7」(コニカミノルタ株式会社製)を用いて、上記白色画像の明度指数L値を測定した。
(評価基準)
70以上 :十分に白く、きれいな画像である
60以上70未満:やや白さに欠け、他色と重ね印刷を行うと十分なコントラストが得られない可能性がある
60未満 :白さに欠け、十分なコントラストを得られない
2−4.保存安定性評価
(評価方法)
インク1〜インク11をそれぞれ耐熱試験管に入れ、100℃で2週間保存した。保存試験前後におけるインク1〜インク11をそれぞれトリプロピレングリコールジアクリレートで400倍に希釈して、ゼータサイザーナノS90(Malvern Panalytical社製)を用いてZ平均粒子径を測定した。
(評価基準)
◎:保存試験前後のインクの重量平均径の差が5%以下である
○:保存試験前後のインクの重量平均径の差が5%以上10%未満である
△:保存試験前後のインクの重量平均径の差が10%以上15%未満である
×:保存試験前後のインクの重量平均径の差が15%以上である
2−5.画質評価
(評価方法)
上記画像形成方法で得られた白色硬化膜の表面に、8g/mの付き量となるように黒インクを吐出してカラー画像を作製した。得られたカラー画像を目視で評価した。
(評価基準)
○:きれいに画像を形成している
△:黒色画像部に若干ムラがある
×:黒色画像部にムラがあり、まだら状に見える
上記評価結果を表3に示す。
Figure 2021075596
表3に示される結果より、添加剤が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と、ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差が4以下となるように、添加剤とワックスを組み合わせることで、白色硬化膜のひび割れが抑制されることがわかった。また、保存安定性が高まることがわかった。これは、上記添加剤が酸化チタンとワックスとの親和性を高めることができるためであると考えられる。
本発明の白色の活性線硬化型インクは、単体のみでの使用だけでなく、画像形成の際の上塗りまたは下塗り用のインクとしても用いることができる。そのため、本発明は、インクジェット法による印刷の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
100 画像形成装置
110a、110b インクジェットヘッド
120 搬送路
130a、130b 活性線照射部
140 温度制御部
150 記録媒体
160a、160b ヘッドキャリッジ
170a、170b インク流路
180a、180b インクタンク

Claims (9)

  1. 活性線重合性化合物、白色顔料、ワックス、および添加剤を含むインクジェット用の活性線硬化型インクであって、
    前記添加剤は、多価アルコールをエステル化した化合物であり、
    前記添加剤は、アルキル鎖を分子内に有し、
    前記添加剤が有するアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数と、前記ワックスの分子内に含まれるアルキル鎖の直鎖部分の炭素原子数との差は4以下である、
    インクジェット用の活性線硬化型インク。
  2. 前記白色顔料は、酸化チタンである、請求項1に記載のインクジェット用の活性線硬化型インク。
  3. 前記ワックスは、以下の式(1)で表されるケトン化合物、または式(2)で表されるエステル化合物である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット用の活性線硬化型インク。
    式(1) R−(C=O)−R
    式(2) R−(C=O)−O−R
    (式(1)および式(2)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数が8以上25以下の直鎖部分または分岐鎖部分を含むアルキル基を表す)
  4. 前記添加剤のHLB値は、1以上7以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用の活性線硬化型インク。
  5. 前記添加剤は、分子内に少なくとも1つの水酸基を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用の活性線硬化型インク。
  6. 前記添加剤は、エチレンオキサイド構造、またはプロピレンオキサイド構造を繰り返し構造単位として含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット用の活性線硬化型インク。
  7. 前記添加剤は、プロピレンオキサイド構造を繰り返し構造単位として含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット用の活性線硬化型インク。
  8. 前記添加剤の含有量は、前記インクジェット用の活性線硬化型インクの全質量に対して0.04質量%以上5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット用の活性線硬化型インク。
  9. インクジェットヘッドから、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット用の活性線硬化型インクを吐出して、前記吐出されたインクジェット用の活性線硬化型インクを、記録媒体または中間転写体の表面に着弾させる工程と、
    前記着弾したインクジェット用の活性線硬化型インクに活性線を照射する工程と、
    を含む、画像形成方法。
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