JP2021075582A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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和樹 丸茂
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Abstract

【課題】本発明の目的は、摩耗防止性能に優れつつ、酸化安定性に優れ、かつ触媒被毒等の原因となるリン蒸発を抑制できる潤滑油組成物を提供することにある。【解決手段】本発明の潤滑油組成物は、特定のモリブデンジチオホスフェート(a−1)と、特定のモリブデンジチオカルバメート(a−2)とを、モリブデン原子基準で100:0〜50:50の質量比で含むモリブデン系添加剤(A)と、特定のジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)と、基油(C)とを含む潤滑油組成物であって、潤滑油組成物中のモリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子の含有量が200〜1800質量ppmであり、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比が35:65〜60:40であり、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の合計量が300〜800質量ppmであり、潤滑油組成物中のリン原子含有量が300〜800質量ppmであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、摩耗防止性能に優れつつ、酸化安定性に優れ、かつ触媒被毒等の原因となるリン蒸発を抑制できる潤滑油組成物に関する。
内燃機関用潤滑油や工業用潤滑油には、その潤滑性や摩擦・摩耗特性を向上するため、各種添加剤が用いられている。このような添加剤としては、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンジチオカルバメート等の有機モリブデン化合物(特許文献1〜2)や、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(特許文献3)等が知られている。
これらの中でも、摩耗防止特性の観点からは、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が広く用いられているが、潤滑油等に用いた際、ジアルキルジチオリン酸亜鉛に含まれるリンが蒸発することにより排気ガス浄化触媒等として使用されている三元触媒や酸化触媒が被毒劣化したり、リン化合物が分解・蒸発することにより金属部材が腐食劣化したりすることが知られている。この対策として、特許文献4には、潤滑油基油と、特定のリン化合物の金属塩を、リン元素換算で0.005〜0.5質量%含有する潤滑油組成物が提案されている。
しかし、特許文献4に記載の特定のリン化合物は、従来の耐摩耗剤であるジアルキルジチオリン酸亜鉛と比べて耐摩耗性が明確に劣っており、高い水準で摩耗低減特性及びリン蒸発抑制性を発揮する潤滑油組成物を得ることはできず、また、高い酸化安定性を有することが求められていた。よって市場では、実用的な水準で摩耗低減特性、酸化安定性及びリン蒸発抑制性を有する潤滑油組成物の開発が求められている。
特開昭61−087690号公報 特開昭52−019702号公報 特開昭47−032005号公報 特開2008−266367号公報
従って、本発明の目的は、摩耗防止性能に優れつつ、酸化安定性に優れ、かつ触媒被毒等の原因となるリン蒸発を抑制できる潤滑油組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の潤滑油組成物が優れた摩耗防止性能を発揮しつつ、酸化安定性に優れ、かつ触媒被毒等の原因となるリン蒸発を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表されるモリブデンジチオホスフェート(a−1)と、下記の一般式(2)で表されるモリブデンジチオカルバメート(a−2)とを、モリブデン原子基準で100:0〜50:50の質量比で含むモリブデン系添加剤(A)と、下記の一般式(3)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)と、基油(C)と、を含む潤滑油組成物であって、潤滑油組成物中のモリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子の含有量が200〜1800質量ppmであり、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比が35:65〜60:40であり、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の合計量が300〜800質量ppmであり、潤滑油組成物中のリン原子含有量が300〜800質量ppmである、潤滑油組成物である:
Figure 2021075582
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数4〜14の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表す。)
Figure 2021075582
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数4〜14の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表す。)
Figure 2021075582
(式中、R〜R12は、それぞれ独立して炭素数2〜12の炭化水素基を表す。)
本発明によれば、摩耗防止性能に優れつつ、酸化安定性に優れ、かつ触媒被毒等の原因となるリン蒸発を抑制できる潤滑油組成物を提供することができる。
本発明に用いるモリブデンジチオホスフェート(a−1)は、下記の一般式(1)で表されるモリブデンジチオホスフェートである:
Figure 2021075582
一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数4〜14の炭化水素基を表す。炭素数4〜14の炭化水素基としては、炭素数4〜14の直鎖アルキル基、炭素数4〜14の分岐アルキル基、炭素数4〜14の脂環式アルキル基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、特に優れた摩耗防止性能を発揮する観点から、R〜Rは、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、2級ブチル基、イソブチル基、2級ペンチル基、イソペンチル基、2級ヘキシル基、イソヘキシル基、2級ヘプチル基、イソヘプチル基、2級オクチル基、イソオクチル基、2級ノニル基、イソノニル基、2級デシル基、イソデシル基、2級ウンデシル基、イソウンデシル基、2級ドデシル基、イソドデシル基、2級トリデシル基、イソトリデシル基、2級テトラデシル基、イソテトラデシル基等の炭素数4〜14の直鎖又は分岐アルキル基であることが好ましく、炭素数4〜10の直鎖又は分岐アルキル基であることがより好ましく、炭素数6〜8の直鎖又は分岐アルキル基であることが更により好ましい。R〜Rの構造は、モリブデンジチオホスフェートの製造に用いる原料の選定等により調節することができる。
一般式(1)において、X〜Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。潤滑油組成物の摩耗防止性能の観点から、X〜Xのうち2〜3つが硫黄原子で残りが酸素原子であることが好ましく、硫黄原子と酸素原子でそれぞれ2であることが更に好ましく、X〜Xが硫黄原子でX〜Xが酸素原子であることが最も好ましい。
一般式(1)で表されるモリブデンジチオホスフェートとしては、炭化水素基が対称型のモリブデンジチオホスフェートであってもよく、炭化水素基が非対称型のモリブデンジチオホスフェートであってもよい。対称型のモリブデンジチオホスフェートとしては、R〜Rがすべて同一の炭化水素基であるモリブデンジチオホスフェート、又は、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRがR及びRとは異なる同一の炭化水素基であるモリブデンジチオホスフェートが挙げられる。非対称型のモリブデンジチオホスフェートとしては、R〜Rがすべて異なる炭化水素基であるモリブデンジチオホスフェート、R〜Rが同一の炭化水素基でありRが異なる炭化水素基であるモリブデンジチオホスフェート、少なくともRとRが異なる炭化水素基であるか、RとRが異なる炭化水素基であるモリブデンジチオホスフェート(例えば、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRが異なる炭化水素基であるモリブデンジチオホスフェート)等が挙げられる。これらの中でも、摩耗防止性能の観点から、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRが同一の炭化水素基(このときRとRは同一でも異なっていてもよい)である対称型のモリブデンジチオホスフェートであることが好ましい。
潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)の含有量は特に限定されないが、潤滑油組成物の摩耗防止性能、酸化安定性及びリン蒸発抑制性の観点から、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)に含まれるリン原子含有量が105〜480質量ppmとなる量であることが好ましく、160〜450質量ppmとなる量であることがより好ましく、200〜400質量ppmとなる量であることが更により好ましい。また、摩耗防止性能、酸化安定性及びリン蒸発抑制性の観点から、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)に含まれるモリブデン原子含有量が100〜1800質量ppmとなる量であることが好ましく、200〜1400質量ppmとなる量であることがより好ましく、300〜1000質量ppmとなる量であることが更により好ましい。
一般式(1)で表されるモリブデンジチオホスフェートの製造方法は特に限定されないが、例えば、特開昭61−087690号公報等に記載の公知のモリブデンジチオホスフェートの製造方法において、炭化水素基の構造が特定の構造となるように原料を適宜変更して製造する方法が挙げられる。
本発明に用いるモリブデンジチオカルバメート(a−2)は、下記の一般式(2)で表されるモリブデンジチオカルバメートである:
Figure 2021075582
一般式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数4〜14の炭化水素基を表す。炭素数4〜14の炭化水素基としては、炭素数4〜14の直鎖アルキル基、炭素数4〜14の分岐アルキル基、炭素数4〜14の脂環式アルキル基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、特に優れた摩耗防止性能を発揮する観点から、R〜Rは、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、2級ブチル基、イソブチル基、2級ペンチル基、イソペンチル基、2級ヘキシル基、イソヘキシル基、2級ヘプチル基、イソヘプチル基、2級オクチル基、イソオクチル基、2級ノニル基、イソノニル基、2級デシル基、イソデシル基、2級ウンデシル基、イソウンデシル基、2級ドデシル基、イソドデシル基、2級トリデシル基、イソトリデシル基、2級テトラデシル基、イソテトラデシル基等の炭素数4〜14の直鎖又は分岐アルキル基であることが好ましく、炭素数8〜14の直鎖又は分岐アルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜13の直鎖又は分岐アルキル基であることが更により好ましい。R〜Rの構造は、モリブデンジチオカルバメートの製造に用いる原料の選定等により調節することができる。
一般式(2)において、X〜Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。潤滑油組成物の摩耗防止性能の観点から、X〜Xのうち2〜3つが硫黄原子で残りが酸素原子であることが好ましく、硫黄原子と酸素原子でそれぞれ2であることが更に好ましく、X〜Xが硫黄原子でX〜Xが酸素原子であることが最も好ましい。
一般式(2)で表されるモリブデンジチオカルバメートとしては、炭化水素基が対称型のモリブデンジチオカルバメートであってもよく、炭化水素基が非対称型のモリブデンジチオカルバメートであってもよい。炭化水素基が対称型のモリブデンジチオホスフェートとしては、R〜Rがすべて同一の炭化水素基であるモリブデンジチオカルバメート、又は、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRがR及びRとは異なる同一の炭化水素基であるモリブデンジチオカルバメートが挙げられる。炭化水素基が非対称型のモリブデンジチオカルバメートとしては、R〜Rがすべて異なる炭化水素基であるモリブデンジチオカルバメート、R〜Rが同一の炭化水素基でありRが異なる炭化水素基であるモリブデンジチオカルバメート、少なくともRとRが異なる炭化水素基であるか、RとRが異なる炭化水素基であるモリブデンジチオカルバメート(例えば、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRが異なる炭化水素基であるモリブデンジチオカルバメート)等が挙げられる。これらの中でも、潤滑油組成物の摩耗防止性能の観点から、RとRが同一の炭化水素基であり、RとRが同一の炭化水素基(このときRとRは同一でも異なっていてもよい)である対称型 のモリブデンジチオカルバメートであることが好ましい。
潤滑油組成物中のモリブデンジチオカルバメート(a−2)の含有量は特に限定されないが、潤滑油組成物の摩耗防止性能等の観点から、潤滑油組成物中のモリブデンジチオカルバメート(a−2)に含まれるモリブデン原子含有量が0〜900質量ppmとなる量であることが好ましく、0〜700質量ppmとなる量であることがより好ましく、0〜600質量ppmとなる量であることが更により好ましい。
一般式(2)で表されるモリブデンジチオカルバメートの製造方法は特に限定されないが、例えば、特開昭52−019702号公報等に記載の公知のモリブデンジチオカルバメートの製造方法において、炭化水素基の構造が特定の構造となるように原料を適宜変更して製造する方法が挙げられる。
本発明に用いるモリブデン系添加剤(A)は、前述したモリブデンジチオホスフェート(a−1)とモリブデンジチオカルバメート(a−2)とを、モリブデン原子基準で100:0〜50:50の質量比で含むモリブデン系添加剤である。本発明の潤滑油組成物は、モリブデン系添加剤(A)としてこのような比率でモリブデンジチオホスフェート(a−1)とモリブデンジチオカルバメート(a−2)とを含むことで、摩耗防止性能、酸化安定性及びリン蒸発抑制性に優れる。より摩耗防止性能、酸化安定性及びリン蒸発抑制性を高める観点から、モリブデン系添加剤(A)は、前述したモリブデンジチオホスフェート(a−1)とモリブデンジチオカルバメート(a−2)とを、モリブデン原子基準で100:0〜60:40の質量比で含むことが好ましく、100:0〜70:30の質量比で含むことがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中のモリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子の含有量が200〜1800質量ppmである。本発明の潤滑油組成物は、モリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子の含有量がこの範囲であることにより、摩耗防止性能に優れる。潤滑油組成物の摩耗防止性能をより高める観点から、潤滑油組成物中のモリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子の含有量は、250〜1600質量ppmであることが好ましく、300〜1400質量ppmであることがより好ましく、400〜1200質量ppmであることが更により好ましい。
本発明に用いるジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)は、下記の一般式(3)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛である:
Figure 2021075582
一般式(3)において、R〜R12はそれぞれ独立して炭素数2〜12の炭化水素基を表す。このような基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、炭素数2〜12の直鎖アルケニル基、炭素数2〜12の分岐アルケニル基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。本発明の潤滑油組成物の摩耗防止性能の観点から、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)として、一般式(3)においてR〜R12がそれぞれ炭素数3〜12の炭化水素基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いることが好ましく、R〜R12がそれぞれ炭素数3〜10の炭化水素基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いることがより好ましく、R〜R12がそれぞれ炭素数4〜8の炭化水素基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いることが更により好ましく、R〜R12がそれぞれ炭素数4〜8の直鎖又は分岐アルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いることが特に好ましい。
潤滑油組成物中のジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)の含有量は特に限定されないが、潤滑油組成物の摩耗防止性能及びリン蒸発抑制性の観点から、潤滑油組成物中のジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)に含まれるリン原子含有量が120〜520質量ppmとなる量であることが好ましく、160〜500質量ppmとなる量であることがより好ましく、200〜450質量ppmとなる量であることが更により好ましい。
一般式(3)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開昭47−032005号公報等に記載の公知のジアルキルジチオリン酸亜鉛の製造方法において、炭化水素基の構造が特定の構造となるように原料を適宜変更して製造する方法が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比が35:65〜60:40である。本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比がこの範囲であることにより、摩耗防止性能、酸化安定性及びリン蒸発抑制性に優れる。潤滑油組成物の摩耗防止性能、酸化安定性及びリン蒸発抑制性をより高める観点から、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比は、35:65〜55:45であることが好ましく、36:64〜50:50であることがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の合計量が300〜800質量ppmである。本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の合計量がこの範囲であることにより、摩耗防止性能及びリン蒸発抑制性に優れる。潤滑油組成物の摩耗防止性能及びリン蒸発抑制性をより高める観点から、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の合計量は、350〜760質量ppmであることが好ましく、400〜720質量ppmであることがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中のモリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子含有量と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比[Mo/P]は特に限定されないが、潤滑油組成物の摩耗防止性能、酸化安定性及びリン蒸発抑制性の観点から、[Mo/P]は1.0〜4.0であることが好ましく、1.2〜3.6であることがより好ましく、1.5〜3.2であることが更により好ましく、1.9〜3.0であることが特に好ましい。
本発明に用いる基油(C)は、使用目的や条件に応じて適宜、鉱物基油、化学合成基油、動植物基油及びこれらの混合基油等から選ぶことができる。ここで、鉱物基油としては、例えば、パラフィン基系原油、ナフテン基系原油、中間基系原油、芳香族基系原油があり、更にこれらを常圧蒸留して得られる留出油、或いは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油があり、また更にこれらを常法に従って精製することによって得られる精製油、具体的には溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油及び白土処理油等が挙げられる。
化学合成基油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン及びGTL基油等が挙げられる。これらの中でも、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル及びポリオールエステル等は汎用的に使用することができる。ポリ−α−オレフィンとしては例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン及び1−テトラデセン等をポリマー化又はオリゴマー化したもの、或いはこれらを水素化したもの等が挙げられる。ジエステルとしては例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等の2塩基酸と、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール及びトリデカノール等のアルコールのジエステル等が挙げられる。ポリオールエステルとしては例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等のポリオールと、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等の脂肪酸とのエステル等が挙げられる。
動植物基油としては、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、綿実油及びヤシ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油及び鯨油等の動物性油脂が挙げられる。上記に挙げたこれらの各種基油は、一種を用いてもよく、二種以上を適宜組み合せて用いてもよい。
本発明においては、得られる潤滑油組成物の摩耗防止性能及びリン蒸発抑制性の観点から、基油(C)として、鉱物基油又は化学合成基油を少なくとも含んでなる基油を使用することが好ましく、パラフィン系の高度精製鉱物油、ポリ−α−オレフィン系又は、GTL系の化学合成基油を含んでなる基油を使用することがより好ましい。このとき、パラフィン系の高度精製鉱物油、ポリ−α−オレフィン系、GTL系の化学合成基油を、合計量で、基油(C)の全量のうち50質量%以上含んでなることで、潤滑油組成物の摩耗防止性能をより発揮できるため好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。また、本発明の潤滑油組成物中の基油(C)の含有量は特に限定されず、使用目的によって調整することができるが、潤滑油組成物の低温安定性等の観点から、例えば、潤滑油組成物全量に対して20〜98質量%であることが好ましい。
基油(C)の粘度は特に限定されないが、潤滑油組成物の摩耗防止性能等の観点から、100℃の動粘度が0.8〜8.0mm/sであることが好ましく、1.0〜8.0mm/sであることがよりに好ましく、1.2〜6.0mm/sであることが更により好ましい。なお、本発明において、100℃動粘度は、JIS K 2283に記載の方法により測定して得られる値である。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中のリン原子含有量が300〜800質量ppmである。本発明の潤滑油組成物は、モリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子の含有量がこの範囲であることにより、摩耗防止性能及びリン蒸発抑制性に優れる。潤滑油組成物の摩耗防止性能及びリン蒸発抑制性をより高める観点から、潤滑油組成物中のリン原子含有量は、350〜800質量ppmであることが好ましく、400〜800質量ppmであることがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、JIS K 2283に記載の方法により測定される100℃動粘度が3.0〜16.0mm/sであることが好ましい。潤滑油組成物の摩耗防止性能の観点からは、本発明の潤滑油組成物は、100℃動粘度が5.0〜14.0mm/sであることが好ましく、5.6〜13.0mm/sであることがより好ましく、6.1〜12.5mm/sであることが更により好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、硫酸灰分が0.90質量%以下である。本発明において、硫酸灰分とは、JIS K 2272:1998に準拠して測定される値である。本発明の潤滑油組成物は、硫酸灰分がこの範囲であることで、本発明の効果を高めることができる。より本発明の効果を高める観点から、潤滑油組成物中の硫酸灰分は、0.20〜0.85質量%であることが好ましく、0.30〜0.80であることがより好ましく、0.40〜0.80質量%であることが更により好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、モリブデン系添加剤(A)と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)と、基油(C)とを公知の方法により混合することで製造することができる。この際の混合条件は特に限定されないが、例えば、常温〜150℃で混合する方法等を用いることができる。
本発明の潤滑油組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の潤滑油添加剤を使用目的に応じて適宜使用することが可能であり、例えば、金属系清浄剤、酸化防止剤、耐摩擦摩耗剤[但し、一般式(1)〜(3)で表される化合物を除く]、極圧剤、無灰分散剤、油性向上剤、防錆剤、粘度指数向上剤、金属不活性化剤、消泡剤、固体潤滑剤等が挙げられる。これら添加剤は、それぞれ1種又は2種以上の化合物を使用してもよい。
金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属ホスホネート等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより高める観点から、カルシウム系清浄剤及びマグネシウム系清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの金属系清浄剤を用いることが好ましく、1種以上のカルシウム系清浄剤及び1種以上のマグネシウム系清浄剤を用いることがより好ましく、カルシウムサリシレート及びマグネシウムスルホネートを含むことが更により好ましい。潤滑油組成物中の金属系清浄剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、カルシウム原子とマグネシウム原子の合計で、潤滑油組成物全量に対し、0.05〜0.50質量%含有することが好ましく、0.10〜0.40質量%含有することがより好ましい。潤滑油組成物が、カルシウムサリシレート及びマグネシウムスルホネートを含む場合の、カルシウムサリシレートとマグネシウムスルホネートの含有質量比は特に限定されないが、本発明の効果をより高める観点から、95:5〜40:60であることが好ましく、90:10〜60:40であることがより好ましい。また、金属系清浄剤のTBNは特に限定されないが、例えば、50〜500mgKOH/gであることが好ましく、100〜450mgKOH/gであることがより好ましい。このうち、金属系清浄剤がカルシウムサリシレートである場合は、TBNは100〜300mgKOH/gであることが更により好ましく、マグネシウムスルホネートである場合は、TBNは200〜400mgKOH/gであることが更により好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、フェノチアジン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられ、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤からなる群からなる少なくとも1つの酸化防止剤を用いることが好ましい。潤滑油組成物中の酸化防止剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜10質量%含有することができる。
耐摩擦摩耗剤としては、例えば、有機ホスフィン、有機ホスフィンオキシド、有機ホスフィナイト、有機ホスホナイト、有機ホスフィネート、有機ホスファイト、有機ホスホネート、有機ホスフェート、有機ホスホロアミデート等のリン系耐摩耗剤等が挙げられる。潤滑油組成物中の耐摩擦摩耗剤[一般式(1)〜(3)で表される化合物を除く]の含有量は特に限定されないが、例えば、潤滑油組成物全量に対して0.01〜10質量%含有することができる。
極圧剤としては、例えば、硫化油脂、硫化鉱油、有機モノ又はポリスルフィド、ポリオレフィンの硫化物、1,3,4―チアジアゾール誘導体、チウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸エステル等の硫黄系極圧剤、有機トリチオホスファイト、有機チオホスフェート等のチオリン酸系極圧剤等が挙げられる。潤滑油組成物中の極圧剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜10質量%含有することができる。
無灰分散剤としては、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸無水物、アルケニルコハク酸エステル、アルキルメタクリレート系ポリマー、高分子量アミド及びポリアミド、ポリエステル、ポリビニルポリステアレート、マンニッヒ塩基系分散剤、ポリステアルアミド、及びこれらをホウ酸等で変性した変性物等が挙げられる。潤滑油組成物中の無灰分散剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜10質量%含有することができる。
油性向上剤としては、例えば、脂肪酸、油脂或いはこれらの水素添加物又は部分ケン化物、エポキシ化エステル、ヒドロキシステアリン酸の重縮合物又は該重縮合物と脂肪酸とのエステル、高級アルコール、高級アミド、グリセリド、ポリグリセリンエステル、ポリグリセリンエーテル、及び上記の化合物にα−オレフィンオキシドを付加したもの等が挙げられる。潤滑油組成物中の油性向上剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜30質量%含有することができる。
防錆剤としては、例えば、酸化パラフィンワックスカルシウム塩、酸化パラフィンワックスマグネシウム塩、牛脂脂肪酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアミン塩、アルケニルコハク酸又はアルケニルコハク酸ハーフエステル(アルケニル基の分子量は100〜300程度)、ソルビタンモノエステル、ペンタエリスリトールモノエステル、グリセリンモノエステル、ノニルフェノールエトキシレート、ラノリン脂肪酸エステル、ラノリン脂肪酸カルシウム塩等が挙げられる。潤滑油組成物中の防錆剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜20質量%含有することができる。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ(C1〜18)アルキルメタクリレート、(C1〜18)アルキルアクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ジエチルアミノエチルメタクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、エチレン/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸アミド共重合体、スチレン/ブタジエン水素化共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体等が挙げられ、平均分子量は10,000〜1,500,000程度であってもよい。潤滑油組成物中の粘度指数向上剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜20質量%含有することができる。
金属不活性化剤としては、例えば、N,N’−サリチリデン−1,2−プロパンジアミン、アリザリン、テトラアルキルチウラムジスルフィド、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾチアゾール、2−(N,N−ジアルキルチオカルバモイル)ベンゾチアゾール、2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジアルキルチオカルバモイル)−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。潤滑油組成物中の金属不活性化剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.1〜10質量%含有することができる。
消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、トリフルオロプロピルメチルシリコーン、コロイダルシリカ、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、アルコールエトキシ/プロポキシレート、脂肪酸エトキシ/プロポキシレート、ソルビタン部分脂肪酸エステル等が挙げられる。潤滑油組成物中の消泡剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜10質量%含有することができる。
固体潤滑剤としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、脂肪酸アルカリ土類金属塩、雲母、二塩化カドミウム、二ヨウ化カドミウム、フッ化カルシウム、ヨウ化鉛、酸化鉛、チタンカーバイド、窒化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化アンチモン、フッ化セリウム、ポリエチレン、ダイアモンド粉末、窒化ケイ素、窒化ホウ素フッ化炭素、メラミンイソシアヌレート等が挙げられる。潤滑油組成物中の固体潤滑剤の含有量は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、潤滑油組成物全量に対し、0.01〜5質量%含有することができる。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油用途であれば特に限定されず使用することができるが、例えば、内燃機関用潤滑油(例えば、自動車やオートバイ等のガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油等)、工業用潤滑油(例えば、ギヤ油、タービン油、コンプレッサー油、油膜軸受油、絶縁油、冷凍機油、作動油、真空ポンプ油、ロックドリル油、圧縮用潤滑油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、多目的潤滑油等)等として使用することができる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから、ガソリンエンジンやディーセルエンジン等の内燃機関用潤滑油として使用することが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の実施例中、「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
<潤滑油組成物の調製>
以下の化合物を用いて、表1に記載の組成の潤滑油組成物を調製した。なお、表1において、モリブデンジチオホスフェートの含有量は潤滑油組成物中のリン原子質量ppm及びモリブデン原子質量ppmで、モリブデンジチオカルバメートの含有量は潤滑油組成物中のモリブデン原子質量ppmで、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は潤滑油組成物中のリン原子質量ppmで示している。
モリブデンジチオホスフェート1:一般式(1)において、R〜Rが炭素数8の直鎖 アルキル基であり、X〜Xが硫黄原子でX
が酸素原子であるモリブデンジチオホスフェート
モリブデンジチオカルバメート1:一般式(2)において、R〜Rが2−エチルヘキ シル基であり、X〜Xが硫黄原子でX〜Xが 酸素原子であるモリブデンジチオカルバメート
ジアルキルジチオリン酸亜鉛1:一般式(3)において、R〜R10が炭素数4の分岐 アルキル基であり、R11〜R12が炭素数6の分岐ア ルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
基油1:パラフィン基系鉱物基油(100℃動粘度:4.2mm/s)
粘度指数向上剤1:ポリメタクリレート系粘度指数向上剤
酸化防止剤1:フェノール系酸化防止剤
酸化防止剤2:アミン系酸化防止剤
金属系清浄剤1:カルシウムサリシレート(TBN=165mgKOH/g)
金属系清浄剤2:マグネシウムスルホネート(TBN=400mgKOH/g)
無灰分散剤1:アルケニルコハク酸イミド
Figure 2021075582
<摩耗防止性能評価>
調製した潤滑油組成物それぞれについて、シェル式高速四球試験機を用い、以下条件で摩耗痕径を測定し、測定された摩耗痕径について下記評価基準に基づき摩耗防止性能を評価した。各評価結果を表1に示す。
試験条件
荷重 40kg
回転数 1,200rpm
温度 75℃
時間 60分
摩耗防止性能評価基準
○:摩耗痕径が0.50mm未満
△:摩耗痕径が0.50mm以上0.80mm未満
×:摩耗痕径が0.80mm以上
<リン蒸発抑制性評価>
調製した潤滑油組成物それぞれについて、ASTM D 5800に記載のNoack法に準拠し、空気フロー中で165℃の環境下に16時間静置した。次に、静置後の各潤滑油組成物中のカルシウム原子含有濃度及びリン原子含有濃度をASTM D 5185に準拠しICP発光分光分析により測定し、潤滑油組成物中のカルシウム含有量は静置前後で変化しないとの前提に基づき、下記の式によりリン原子残存率を測定し、下記評価基準に基づきリン発生抑制性を評価した。各評価結果を表1に示す。
リン原子残存率(%)=(初期カルシウム原子濃度/静置後カルシウム原子濃度)/(初 期リン原子濃度/静置後リン原子濃度)×100
リン蒸発抑制性評価基準
○:リン原子残存率が95%以上
×:リン原子残存率が95%未満
<硫酸灰分測定>
調製した潤滑油組成物それぞれについて、JIS K 2272:1998に準拠し、硫酸灰分を測定した。測定結果を表1に示す。
<酸化安定性評価>
調製した潤滑油組成物それぞれについて、CEC L−85−T−99に記載の方法に準拠し、加圧示差走査熱量測定により酸化誘導期間を測定し、測定された酸化誘導期間について下記評価時間に基づき酸化安定性を評価した。各評価結果を表1に示す。
試験条件
圧力:0.69MPa
温度:210℃
酸化安定性評価基準
○:酸化誘導期間が90分以上
×:酸化誘導期間が90分未満
表1から明らかなように、本発明の潤滑油組成物は、摩耗防止性能に優れつつ、酸化安定性に優れ、触媒被毒等の原因となるリン蒸発を抑制できることがわかる。よって本発明の潤滑油組成物は、摩耗防止性能、酸化安定性に優れ、触媒被毒や金属腐食等の発生を低減した潤滑油組成物として、各種用途に用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記の一般式(1)で表されるモリブデンジチオホスフェート(a−1)と、下記の一般式(2)で表されるモリブデンジチオカルバメート(a−2)とを、モリブデン原子基準で100:0〜50:50の質量比で含むモリブデン系添加剤(A)と、下記の一般式(3)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)と、基油(C)と、を含む潤滑油組成物であって、潤滑油組成物中のモリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子の含有量が200〜1800質量ppmであり、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比が35:65〜60:40であり、潤滑油組成物中のモリブデンジチオホスフェート(a−1)由来のリン原子の含有量とジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の合計量が300〜800質量ppmであり、潤滑油組成物中のリン原子含有量が300〜800質量ppmである、潤滑油組成物:
    Figure 2021075582
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数4〜14の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表す。)
    Figure 2021075582
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数4〜14の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表す。)
    Figure 2021075582
    (式中、R〜R12は、それぞれ独立して炭素数2〜12の炭化水素基を表す。)
  2. モリブデンジチオホスフェート(a−1)が、一般式(1)のR〜Rがそれぞれ炭素数6〜8の直鎖又は分岐アルキル基であるモリブデンジチオホスフェートを含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. モリブデンジチオカルバメート(a−2)が、一般式(2)のR〜Rがそれぞれ炭素数8〜14の直鎖又は分岐アルキル基であるモリブデンジチオカルバメートを含む、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. ジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)が、一般式(3)のR〜R12がそれぞれ炭素数4〜6の直鎖又は分岐アルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  5. 潤滑油組成物中のモリブデン系添加剤(A)由来のモリブデン原子含有量と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(B)由来のリン原子の含有量の質量比[Mo/P]が1.0〜4.0である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  6. 金属系清浄剤、酸化防止剤、耐摩擦摩耗剤[但し、一般式(1)〜(3)で表される化合物を除く]、極圧剤、無灰分散剤、油性向上剤、防錆剤、粘度指数向上剤、金属不活性化剤、消泡剤及び固体潤滑剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  7. 硫酸灰分が0.90質量%以下である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
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