JP2021075470A - 肺線維症の予防または治療のための医薬 - Google Patents

肺線維症の予防または治療のための医薬 Download PDF

Info

Publication number
JP2021075470A
JP2021075470A JP2019201606A JP2019201606A JP2021075470A JP 2021075470 A JP2021075470 A JP 2021075470A JP 2019201606 A JP2019201606 A JP 2019201606A JP 2019201606 A JP2019201606 A JP 2019201606A JP 2021075470 A JP2021075470 A JP 2021075470A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulmonary fibrosis
compound
fibrosis
drug
following formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019201606A
Other languages
English (en)
Inventor
吉川 公平
Kohei Yoshikawa
公平 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Tanabe Pharma Corp filed Critical Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Priority to JP2019201606A priority Critical patent/JP2021075470A/ja
Publication of JP2021075470A publication Critical patent/JP2021075470A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】肺線維症の予防または治療のための新規医薬の提供。【解決手段】下記の式(I)もしくは下記式(II):で示される化合物またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬とを有効成分として含有する、肺線維症の予防または治療のための医薬。

Description

本発明は、肺線維症の予防または治療のための医薬に関する。
肺線維症は、肺の高度な線維化を主体とし、拘束性換気障害をきたす肺疾患である。肺の線維化は、肺の間質に炎症が反復することにより、継続的な肺胞上皮細胞障害に対する異常な損傷修復反応が繰り返されることによって生じると考えられている。
肺間質の炎症は、感染、膠原病、放射線、薬剤、粉塵等その原因を特定できる場合と、原因が特定できない場合があるが、炎症組織が上記のように線維化した場合には、肺線維症へと進行する。ここで原因が特定できない場合の肺線維症は、特発性肺線維症と呼ばれる。特発性肺線維症は、頻度も高くその予後が不良であり、多くは50歳以降に発症し、肺に不可逆的に進行する線維化をきたし、呼吸機能が低下して致死的となる。
肺線維症の治療には、一般的にステロイド剤や免疫抑制剤が用いられて来た。しかし、とりわけ、特発性肺線維症については、ステロイド剤や免疫抑制剤を長期間に渡って使用すると線維症を却って悪化させるとの知見も蓄積されており、原因が多様もしくは不明な肺線維症においては、広く肺線維症全般の治療に推奨される薬物治療と言うことはできない。
近年、新しいタイプの特発性肺線維症治療薬として、抗線維化剤(例えば、ピルフェニドン、ニンテダニブ)が上市されてはいるが、両剤とも副作用が強い。例えば、ピルフェニドンに関しては、光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性を考慮して用いる必要がある等、この重症疾患では治療選択枝が未だ限定されているのが実情である。他方、ステロイド型ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)であるスピロノラクトンが、ブレオマイシン誘発肺線維症マウスにおいて、組織線維化の指標であるヒドロキシプロリンの蓄積を改善すること等が報告されている(非特許文献1〜3)。しかしながら、ステロイド系薬剤であることによる女性化乳房等の副作用が懸念されることも含めて、ヒトでの肺線維症(特に特発性肺線維症)への臨床上の有用性は未知である。
抗線維化剤の一つであるニンテダニブは、下記式(I)の構造を持ち、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α、β、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1、2、3および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする低分子チロシンキナーゼ阻害剤であり、2015年7月に医薬品として承認を受けている。
Figure 2021075470
抗線維化剤の一つであるピルフェニドンは、下記式(II)の構造を持ち、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6等)の産生抑制と抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生
亢進などの機能を持ち、作用が複合的に働き、抗線維化作用を示すとされ、2008年10月に医薬品として承認されている。
Figure 2021075470
MR拮抗薬に関連して、特許文献1には、1,4−ベンゾオキサジン化合物が記載され、MR拮抗薬として有用であることが記載されている。また、特許文献1に記載の下記式(III)で示される化合物が、特許文献2においては、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)等の治療に有用であることが記載されている。
Figure 2021075470
しかし、いずれの文献にも、上記式(III)で示される化合物に記載の化合物の肺線維症への適用に関しては具体的な言及はなされていない。
国際公開第2007/089034号 国際公開第2018/062134号
European Journal of Pharmacology, 718(2013), 290-298 PLOS ONE, 8(11)(2013), e81090 Nanomedicine (Lond.), 11(11)(2016), 1393-1406
上記の通り、肺線維症の薬物治療は未だ十分に確立されているとは言えない。本発明は、肺線維症の予防または治療のための新規医薬の提供を課題とする。
本発明者は、かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、下記式(I)もしくは下記式(I
I)で示される化合物またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬とを有効成分として含有する医薬が、肺線維症の予防または治療に有用であることを初めて見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕下記式(I)もしくは下記式(II):
Figure 2021075470

Figure 2021075470

で示される化合物またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬とを有効成分として含有する、肺線維症の予防または治療のための医薬。
〔2〕前記肺線維症が、線維化を伴う間質性肺疾患である、〔1〕に記載の医薬。
〔3〕前記線維化を伴う間質性肺疾患が、特発性肺線維症、疾患により誘発された肺線維症およびその他の原因により誘発された肺線維症からなる群より選ばれる疾患である、〔2〕に記載の医薬。
〔4〕前記ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬が、スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン、フィネレノンおよび下記式(III):
Figure 2021075470

で示される化合物からなる群より選ばれる化合物またはその医薬として許容される塩である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の医薬。
〔5〕下記式(I)もしくは下記式(II):
Figure 2021075470

Figure 2021075470

で示される化合物またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬とを有効成分として含有する医薬の予防または治療有効量を、その投薬を必要とする患者に投与することを含む、肺線維症の予防または治療方法。
〔6〕前記肺線維症が、線維化を伴う間質性肺疾患である、〔5〕に記載の方法。
〔7〕前記線維化を伴う間質性肺疾患が、特発性肺線維症、疾患により誘発された肺線維症およびその他の原因により誘発された肺線維症からなる群より選ばれる疾患である、〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬が、スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン、フィネレノンおよび下記式(III):
Figure 2021075470

で示される化合物からなる群より選ばれる化合物またはその医薬として許容される塩である、〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕肺線維症の予防または治療のための医薬を製造するための、下記式(I)もしくは下記式(II):
Figure 2021075470

Figure 2021075470

で示される化合物またはその医薬として許容される塩とミネラロコルチコイド受容体拮抗薬との使用。
〔10〕前記肺線維症が、線維化を伴う間質性肺疾患である、〔9〕に記載の使用。
〔11〕前記線維化を伴う間質性肺疾患が、特発性肺線維症、疾患により誘発された肺線維症およびその他の原因により誘発された肺線維症からなる群より選ばれる疾患である、〔10〕に記載の使用。
〔12〕前記ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬が、スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン、フィネレノンおよび下記式(III):
Figure 2021075470

で示される化合物からなる群より選ばれる化合物またはその医薬として許容される塩である、〔9〕〜〔11〕のいずれかに記載の使用。
本発明によれば、肺線維症の予防または治療に有効かつ安全に使用可能な医薬を提供することができる。
特に、上記式(I)もしくは上記式(II)で示される化合物またはその医薬として許容される塩が単独で使用される場合には、重篤な副作用(例えば、肝機能障害、下痢、悪心・嘔吐、光線過敏症等)が懸念されるが、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬との併用により、上記式(I)もしくは上記式(II)で示される化合物またはその医薬として許容される塩の肺線維症への効果がより低用量で得られ得るため、このような重篤な副作用
への懸念が低下し、医薬として高い安全性を有し得る。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては、生体において生じる「繊維」は全て「線維」と表記する。
本発明は、下記式(I)もしくは下記式(II):
Figure 2021075470

Figure 2021075470

で示される化合物またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬とを有効成分として含有する、肺線維症の予防または治療のための医薬である。
(有効成分について)
上記式(I)で示される化合物(本明細書では、「化合物(I)」と称することがある。)は、ニンテダニブとして公知の化合物である。
また、上記式(II)で示される化合物(本明細書では、「化合物(II)」と称することがある。)は、ピルフェニドンとして公知の化合物である。
また、本発明のミネラロコルチコイド受容体拮抗薬は、特に限定されないが、例えば、スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン、フィネレノンおよび特許文献1に記載された下記式(III)で示される化合物(本明細書では、「化合物(III)」と称することがある。)等が挙げられる。
Figure 2021075470
当業者であれば、公知の方法により化合物(I)、化合物(II)およびミネラロコルチコイド受容体拮抗薬を製造することができる。
化合物(III)を含む医薬は、一定の血漿中の薬物レベルを長期間維持できるとの体内動態上の特徴を有することから、低い用量でも持続的な効果を発揮し得るため、この観点からも低毒性で、かつ高い安全性を有する。そのため、化合物(III)を含む医薬は、本発明で使用されるミネラロコルチコイド受容体拮抗薬の好ましい一態様である。
さらに、化合物(III)は代謝経路がCYP3A4を介さないため、広範囲の他剤との併用が可能である。従って、化合物(I)もしくは化合物(II)またはその医薬として許容される塩、またはこれを有効成分として含む医薬と併用することができ、臨床現場における有用性が高いことも、好ましい一態様である理由である。
本発明の医薬の有効成分である化合物は、遊離の形態、またはその医薬として許容される塩の形態で使用することができる。
前記医薬として許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸との塩;酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、マレイン酸塩等の有機酸との塩等の酸との塩;およびナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等の塩基との塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸との塩等が挙げられる。
本発明の医薬の有効成分である化合物の一態様は、分子内塩およびその付加物を含み、またその溶媒和物および水和物も包む。
また、本発明の医薬の有効成分である化合物には結晶多型が存在し得るため、該結晶多型に基づくいかなる結晶形態のものをも使用することができる。
本発明の医薬は、化合物(I)もしくは化合物(II)またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬との混合医薬の態様であってよく、投与時には該混合医薬を投与する態様が例示できる。
ただし、当該態様に限らず、本発明の医薬は、化合物(I)もしくは化合物(II)またはその医薬として許容される塩を含有する第一の医薬と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬である第二の医薬とを別々に製剤化して得られる2種の医薬、例えば、組み合わせ医薬または医薬キットの態様であってもよい。
その場合、投与は、同一または異なる経路での同時投与または時間間隔をとった投与の態様が例示できる。第一の医薬と第二の医薬の投与順序は特に制限されないが、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬が先であることが好ましい。また、該時間間隔は、本発明の効果が得られる限り制限されないが、短いことが好ましい。好ましい態様は、医療現場の実態に応じて、適宜選択することができる。
(投与対象について)
本発明の医薬は、毒性が低く、かつ副作用も少ないことが期待でき、医薬品として優れる。従って、本発明の医薬は、哺乳動物(特に、ヒト)に対して安全に投与し得る。
(用途について)
本発明の医薬は、それが投与された対象における肺線維症の予防または治療に用いることができる。
本発明の「肺線維症」としては、好ましくは「線維化を伴う間質性肺疾患」が挙げられる。「線維化を伴う間質性肺疾患」としては、好ましくは「特発性肺線維症(Idiopathic
Pulmonary Fibrosis, IPF)」、「疾患により誘発された肺線維症(Disease Induced Lu
ng Fibrosis)」および「その他の原因により誘発された肺線維症(Other Factor Induced Lung Fibrosis)」が挙げられる。
「特発性肺線維症」とは、その原因が特定できない肺線維症をいう。
「疾患により誘発された肺線維症(Disease Induced Lung Fibrosis)」とは、肺線維症の内、疾患に併発して発生する肺線維症をいう。例えば、過敏性肺炎(Hypersensitivity Pneumonitis (HP))、関節リウマチ関連間質性肺疾患(Rheumatoid Arthritis-associated Interstitial Lung Disease (RA-ILD))、全身性強皮症関連間質性肺疾患(Systemic Sclerosis-associated Interstitial Lung Disease (SSc-ILD))、多発性筋炎/皮膚筋炎関連間質性肺疾患(Polymyositis/Dermato-myositis-associated Interstitial Lung Disease (PM/DM-ILD))、シェーグレン症候群関連間質性肺疾患(Sjogren's syndrome-associated Interstitial Lung Disease (Sjogren's ILD))、全身性エリテマトーデス関連間質性肺疾患(Systemic Lupus Erythematosus-associated Interstitial Lung Disease (SLE-ILD))、混合性結合組織病関連間質性肺疾患(Mixed Connective Tissue Disease-associated Interstitial Lung Disease, MCTD-ILD)、膠原病関連間質性肺疾患(connective tissue disease-associated Interstitial Lung Disease, CTD-ILD)、および肺サルコイドーシス(Sarcoidosis)からなる群より選ばれる一以上の疾患に併発して発生した肺線維症が挙げられる。
「その他の原因により誘発された肺線維症(Other Factor Induced Lung Fibrosis)」としては、例えば、特発性非特異性間質性肺炎(Idiopathic Non-specific Interstitial Pneumonia, iNSIP)や、無機物質暴露、有機物質暴露、薬剤または喫煙等を原因として発生した肺疾患から線維化が発症した肺線維症が挙げられる。
本明細書において、「治療」は、疾患(病態の全体、もしくは1つまたは複数の病態)の治癒、当該疾患の改善、および当該疾患の重篤度の進展の抑制を含む。「治療有効量」とは、かかる目的を達成するに足る、本発明の医薬の用量をいう。
本明細書の医薬は、予防薬として使用することも可能である。本明細書において、「予防」は、疾患(病態の全体、もしくは1つまたは複数の病態)の発症の防止、および当該疾患の発症の遅延を含む。「予防有効量」とは、かかる目的を達成するに足る、本発明の医薬の用量をいう。
(投与経路について)
本発明の医薬は、対象に対して経口的または非経口的に投与し得る。非経口的投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、および病巣等への投与が挙げられる。
(投与量について)
本発明の医薬の投与量は、投与対象、投与経路、対象者の年齢、対象の性別、症状、症状の程度、剤型、用法等によって適宜決定され、それが投与された対象の肺線維症の予防の効果または治療の効果が発揮される限り、特に限定されない。また、いずれの場合も1日1回又は複数回に分けて投与してもよい。
本発明の医薬の1日あたりの投与量は、例えば下記が挙げられる。
化合物(I)は、次第に好ましくなる順に、10mg以上、25mg以上、50mg以上、100mg以上であり、一方で、次第に好ましくなる順に、450mg以下、400mg以下、350mg以下、300mg以下である。
化合物(II)は、次第に好ましくなる順に、100mg以上、200mg以上、400mg以上、600
mg以上であり、一方で、次第に好ましくなる順に、2400mg以下、2200mg以下、2000mg以下、1800mg以下である。
ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬は、次第に好ましくなる順に、1.25mg以上、2.5mg以上、5mg以上、7.5mg以上であり、一方で、次第に好ましくなる順に、300mg以下、200mg以下、150mg以下、100mg以下である。
化合物(I)、化合物(II)およびミネラロコルチコイド受容体拮抗薬のいずれについても、例えば、上記投与量で、1日1回以上3回以下の投与スケジュールで投与し得る。対象としては肺線維症の成人患者(体重約40kg以上80kg以下、そのうち、例えば60kg)が例示でき、皮下投与が例示できる。
(製剤について)
製剤化では、医薬に通常使用される製剤担体を用いることができる。例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤を用いることができる。液状製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤および緩衝剤を用いることができる。必要により、他の添加剤(例えば、防腐剤等)を配合してもよい。
製剤担体の具体例としては、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤;水、エタノール、グリセリン等の注射剤用溶剤;ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤などが挙げられる。
剤型としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤液剤および乳剤が挙げられる。
本発明の医薬が、化合物(I)もしくは化合物(II)またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬との混合医薬である場合の、本発明の医薬全量に対する全医薬の総量は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、通常0.01% (w/w)以上、好ましくは0.1% (w/w)以上であり、一方で、通常99% (w/w)以下、好ましくは85% (w/w)以下である。
また、本発明の医薬における、化合物(I)もしくは化合物(II)またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬との含有比は、重量比で、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬が1に対して、化合物(I)もしくは化合物(II)またはその医薬として許容される塩が、好ましくは1以上、より好ましくは5以上であり、一方で、好ましくは240以下、より好ましくは200以下である。
本発明の医薬は、公知の方法により製造できる。本発明の医薬は、有効成分を含む徐放性製剤に成形してもよい。
(他剤との併用について)
本発明の医薬は、上記の通り毒性が極めて低いため、さらに他の薬剤と組み合わせて、肺線維症の予防または治療に用いることができ、他の薬剤との併用による優れた予防効果および/または治療効果が期待できる。また、かかる併用療法により他の薬剤の用量を下げて、これらが有する副作用を低減することも期待できる。
このような本発明の医薬と、さらに組み合わせて用いられ得る薬剤(以下、併用薬剤と略記する)としては、患者の疾患の種類、その症状の重篤度等に鑑みて適宜併用薬剤を選択することができ、例えば、ステロイド剤(例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等)、免疫抑制剤(例えば、シクロホスファミド、シクロスポリン等)が挙げられる。
以下、実施例に沿って本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲
を何ら限定するものではない。
〔実施例1〕ブレオマイシン気道内投与誘発マウス肺線維症モデルにおける抗線維化作用(1)試験方法
C57/BL6NTACマウス(雄、試験開始時点の体重25g)(Jackson Labs社製)を以下の4群(一群12匹)に群分けする。
第1群:正常群
第2群:薬剤無投与群(対照群)
第3群:薬剤(化合物(I)+エプレレノン)投与群
第4群:薬剤(化合物(I))投与群
第5群:薬剤(エプレレノン)投与群
試験開始日(Day0)に試験群である第2〜4群のマウスには、ブレオマイシン(3.25U/kg)を皮下投与する。正常群である第1群のマウスには、ブレオマイシンに代えて、生理食塩水を皮下投与する。
試験開始後7日目(Day7)に、午前と午後の1日2回の投与スケジュールで、下記の措置を行う。
第1群および第2群のマウスには、溶剤(Vehicle)(0.1% HCO60 + 0.5% CMC)の皮下投与を開始する。
第3群のマウスには、化合物(I)およびエプレレノンの溶液を調製して、それぞれ60mg/kgおよび50mg/kgの用量で皮下投与を開始する。
第4群のマウスには、化合物(I)の溶液を60mg/kgの用量で皮下投与を開始する。
第5群のマウスには、エプレレノンの溶液を50mg/kgの用量で皮下投与を開始する。
その後試験開始後21日目(Day21)まで同じ投与スケジュールで投与を継続する。投与終了後(Day21)、以下の評価項目について検討する。
a)肺機能の評価
以下の評価項目について、市販の呼吸・肺機能評価システムを用いて測定する(測定部位:気道周り)。
1)最大呼気量(inspiratory capacity; mL)
2)コンプライアンス(compliance; mL/cmH2O)
3)肺弾性抵抗(elastance; cmH2O/mL)
4)抵抗(resistance; cmH2O.s/mL)
の4項目の評価である。
「最大呼気量」は、ゆっくりと最後まで息を吐ききった段階で肺から排出される空気量に対応し、肺の容積の指標となる。肺線維化が進行し、肺が硬化することで、肺の容積は縮小し、最大呼気量は低下する。
「コンプライアンス」は、一定の圧変化による肺気量の変化を示す。コンプライアンスが大きいことは単位圧変化に対する肺の容積変化が大きいことを意味し、肺が伸びやすいことを表す。肺線維化が進行し、肺が硬化することにより、コンプライアンスは低下する。
「弾性抵抗」は、上記コンプライアンスの逆数で表される値であり、肺の伸びにくさを表す指標である。肺線維化が進行し、肺が硬化することにより、肺弾性抵抗は増大する。
「抵抗」は、気道抵抗を意味する。呼吸における気流が受ける抵抗であり、この数値が大きい程、気道を空気が流れにくいことになる。
b)肺病理組織の評価
(i)ピクロシリウスレッド染色による評価(肺左葉)
肺線維化は、活性化した線維芽細胞が線維化部位に集積し、I型コラーゲンを大量に産
生することが原因であるため、肺組織中のコラーゲン蓄積の程度により、肺の線維化の程度を評価することができる。ピクロシリウスレッド染色により組織中の、I型コラーゲンとIII型コラーゲンとが染色されるため、コラーゲンの蓄積状況を画像診断することができるとともに、染色陽性率を算出することにより定量的な評価も行うことができる。
具体的には、肺の組織切片において上記染色を行い、染色された部位(線維化部位)の面積を測定して評価する。
(2)試験結果
a)肺機能の評価
ブレオマイシンは、最大呼気量を減少させ、肺弾性抵抗を増大させる(第2群)。ブレオマイシンによるこのような肺機能の減弱を、化合物(I)を単独で投与した場合、およびエプレレノンを単独で投与した場合は有意に改善する(第4群、第5群)。
これに対して、化合物(I)とエプレレノンとを併用した場合は、いずれの肺機能をも有意に改善する効果を示すが、取り分け最大呼気量に関しては、エプレレノンを単独で投与した場合の効果をも上回って、有意に改善する(第3群)。
ブレオマイシンは、肺コンプライアンスを減少させ、抵抗を増大させる(第2群)。ブレオマイシンによるこのような肺機能の減弱を、化合物(I)を単独で投与した場合、およびエプレレノンを単独で投与した場合は有意に改善する(第4群、第5群)。
これに対して、化合物(I)とエプレレノンとを併用した場合は、いずれの肺機能をも有意に改善する効果を示すが、取り分け抵抗に関しては、化合物(I)を単独で投与した場合、およびエプレレノンを単独で投与した場合の効果をも上回って、非常に有意に正常群レベルまで改善する(第3群)。
以上より、本試験において、化合物(I)とエプレレノンとを併用した場合は、肺機能の観点から、肺線維化に対して、化合物(I)を単独で投与した場合、およびエプレレノンを単独で投与した場合と比較して、優れた改善効果を有することが確認される。
b)肺病理組織の評価
(i)ピクロシリウスレッド染色による評価(肺左葉)および(ii)ヒドロキシプロリン含有量(μg)の評価(肺下葉および肺中葉)
肺下葉および肺中葉におけるヒドロキシプロリン含有量(Hydroxyproline; μg)の増大と肺左葉でのピクロシリウスレッド染色における陽性率(PSR Positive; %)の増大により示されるように、ブレオマイシンは、肺におけるコラーゲン蓄積を増大させる(第2群)。ブレオマイシンによるこのような線維化を、化合物(I)を単独で投与した場合、およびエプレレノンを単独で投与した場合は有意に改善する(第4群、第5群)。
これに対して、化合物(I)とエプレレノンとを併用した場合は、いずれの評価項目においても、肺線維化を有意に改善する効果を示すが、取り分け肺組織のヒドロキシプロリン含有量に関しては、化合物(I)を単独で投与した場合、およびエプレレノンを単独で投与した場合の効果をも上回って、有意に改善する(第3群)。
以上より、本試験において、化合物(I)とエプレレノンとを併用した場合は、病理組織学的観点からも、肺線維化に対して、化合物(I)を単独で投与した場合、およびエプレレノンを単独で投与した場合と比較して、優れた改善効果を有する。
本発明は、肺線維症の予防または治療に有用である。

Claims (6)

  1. 下記式(I)もしくは下記式(II):
    Figure 2021075470

    Figure 2021075470

    で示される化合物またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬とを有効成分として含有する、肺線維症の予防または治療のための医薬。
  2. 前記肺線維症が、線維化を伴う間質性肺疾患である、請求項1に記載の医薬。
  3. 前記線維化を伴う間質性肺疾患が、特発性肺線維症、疾患により誘発された肺線維症およびその他の原因により誘発された肺線維症からなる群より選ばれる疾患である、請求項2に記載の医薬。
  4. 前記ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬が、スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン、フィネレノンおよび下記式(III):
    Figure 2021075470

    で示される化合物からなる群より選ばれる化合物またはその医薬として許容される塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬。
  5. 下記式(I)もしくは下記式(II):
    Figure 2021075470

    Figure 2021075470

    で示される化合物またはその医薬として許容される塩と、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬とを有効成分として含有する医薬の予防または治療有効量を、その投薬を必要とする患者に投与することを含む、肺線維症の予防または治療方法。
  6. 肺線維症の予防または治療のための医薬を製造するための、下記式(I)もしくは下記式(II):
    Figure 2021075470

    Figure 2021075470

    で示される化合物またはその医薬として許容される塩とミネラロコルチコイド受容体拮抗薬との使用。
JP2019201606A 2019-11-06 2019-11-06 肺線維症の予防または治療のための医薬 Pending JP2021075470A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019201606A JP2021075470A (ja) 2019-11-06 2019-11-06 肺線維症の予防または治療のための医薬

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019201606A JP2021075470A (ja) 2019-11-06 2019-11-06 肺線維症の予防または治療のための医薬

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021075470A true JP2021075470A (ja) 2021-05-20

Family

ID=75898955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019201606A Pending JP2021075470A (ja) 2019-11-06 2019-11-06 肺線維症の予防または治療のための医薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021075470A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113827597A (zh) * 2021-06-07 2021-12-24 天津济坤医药科技有限公司 化合物在制备治疗特发性肺纤维化的药物中的应用

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013039167A1 (ja) * 2011-09-14 2013-03-21 塩野義製薬株式会社 吸入用医薬組成物

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013039167A1 (ja) * 2011-09-14 2013-03-21 塩野義製薬株式会社 吸入用医薬組成物

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
GISSELA B LIEBER ET AL.: ""Mineralocorticoid receptor antagonists attenuate pulmonary inflammation and bleomycin-evoked fibros", EUROPEAN JOURNAL OF PHARMACOLOGY, vol. 718, JPN6023036273, 2013, pages 290 - 298, ISSN: 0005143756 *
SHIGEKI SAITO ET AL.: ""Pharmacotherapy and adjunctive treatment for idiopathic pulmonary fibrosis(IPF)"", JOURNAL OF THORACIC DISEASE, vol. Vol.11(suppl 14), JPN6023036274, September 2019 (2019-09-01), pages 1740 - 1754, ISSN: 0005143755 *
WEN-JIE JI ET AL.: ""Inflammatory monocyte/macrophage modulation by liposome-entrapped spironolactone ameliorates acute", NANOMEDICINE, vol. 11, no. 11, JPN6023036271, 2016, pages 1393 - 1406, ISSN: 0005143758 *
WEN-JIE JI ET AL.: ""Spironolactone Attenuates Bleomycin-Induced Pulmonary Injury Partially via Modulating Mononuclear P", PLOS ONE, vol. Vol.8, Issue 11, e81090, JPN6023036272, 2013, pages 1 - 14, ISSN: 0005143757 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113827597A (zh) * 2021-06-07 2021-12-24 天津济坤医药科技有限公司 化合物在制备治疗特发性肺纤维化的药物中的应用
CN113827597B (zh) * 2021-06-07 2023-06-20 天津济坤医药科技有限公司 化合物在制备治疗特发性肺纤维化的药物中的应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220008436A1 (en) Treprostinil administration by inhalation
JP2505944B2 (ja) (S)―α―フルオロメチル―ヒスチジン及びそのエステルを含有するぜん息治療用医薬組成物
JP2005511722A6 (ja) Birb796bsの投与方法
KR101951220B1 (ko) 조합 als 치료법
AU2017281941A1 (en) Compositions, devices, and methods for the treatment of alcohol use disorder
KR101621676B1 (ko) 천식의 병세악화를 예방 및/또는 치료하기 위한 포르모테롤 및 베클로메타손 디프로피오네이트를 포함하는 조성의 용도
KR20170003601A (ko) Copd의 치료를 위한 티오트로피움 브로마이드, 포르모테롤 및 부데소니드의 조합
CN113614070A (zh) 中性粒细胞弹性蛋白酶抑制剂在肝病中的用途
EP2752190B1 (en) Method for improving therapy for autoimmune diseases such as rheumatoid arthritis
JP2021075470A (ja) 肺線維症の予防または治療のための医薬
US20080138383A1 (en) Compositions and methods for treating seizures
AU2007234917B2 (en) Renin inhibitors for the treatment of hypertension
TW202339731A (zh) 用於治療進行性纖維化間質性肺病之新穎口服醫藥組合物及劑量療法
AU2009224801B2 (en) Modified release composition comprising doxofylline
US20220168314A1 (en) Medicament for prophylaxis or treatment of pulmonary fibrosis
CA3124202A1 (en) Compositions, devices, and methods for the treatment of overdose and reward-based disorders
AU2013368298B2 (en) Methods and compositions for administration of oxybutynin
RU2809024C2 (ru) Монтелукаст для лечения эрозивного остеоартрита кистей рук
JP4243701B2 (ja) ベンズアミド誘導体を有効成分とするリウマチ治療薬
KR20180030399A (ko) 네뷸라이저용 조성물
JPS6058726B2 (ja) プリン誘導体を有効成分として含有する抗アレルギ−,鎮痛,鎮静剤
JP2024520650A (ja) 特発性肺線維症の処置におけるカプサイシン誘導体
JP2024520567A (ja) 肺線維症の予防または治療用の薬学製剤
US20230405007A1 (en) Compound for use in and methods of treatment of fibrotic diseases
KR20220014025A (ko) 나파모스타트 메실레이트와 덱사메타손 또는 그 염을 유효성분으로 포함하는 약학적 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230905

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240305