以下、添付の図面を参照して、実施形態に係るビードリング及びタイヤ加硫金型を説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るタイヤ加硫金型1の概略構成を示す断面図であり、タイヤ径方向の一方側(図1において右側)のみ示している。なお、図1には、タイヤ加硫金型1において加硫成形される空気入りタイヤTが、仮想線(二点鎖線)で併せて示されている。空気入りタイヤTは、グリーンタイヤをタイヤ軸線が上下方向に向くようにタイヤ加硫金型1にセットして加硫成形することによって製造される。
図1に示すように、タイヤ加硫金型1は、環状のセクターモールド2と、この内径側に位置する上下一対のサイドプレート3,3と、この更に内径側に位置する上下一対のビードリング4,4とを備え、これらの内側に空気入りタイヤTが加硫成形されるキャビティ5が画定されている。タイヤ加硫金型1は、所謂セグメンテッドモールドとして構成されている。
セクターモールド2、サイドプレート3,3、及びビードリング4,4のキャビティ5を画定する内壁面はそれぞれ、空気入りタイヤTのトレッド部T1、サイドウォール部T2、及びビード部T3をそれぞれ加硫成形する成形面として構成されている。
図2は、本実施形態のビードリング4の概略構成を示す断面図である。図2は、ビードリング4の周方向に直交する断面を示す。なお、図2には、タイヤ加硫金型1において加硫成形された空気入りタイヤTが、仮想線(二点鎖線)で併せて示されている。
図2を参照すると、ビードリング4は、その軸方向がタイヤ加硫金型1(図1に示す)にセットされた空気入りタイヤTのタイヤ幅方向と一致するように配置される。
本実施形態のビードリング4は、軸方向に分割されており、環状の本体10と、複数(本実施形態では4つ)の分割リング11〜14とから構成されている。また、本実施形態のビードリング4は、ビード部T3のビードヒールT31からビードトウT32の間のビード底面T33を成形するビード底成形面20を備える。ビード底成形面20には、複数(本実施形態では4つ)の凹部21〜24が設けられている。
分割リング11〜14は、本体10上に積層されている。また、分割リング11〜14は、タイヤ幅方向の外側から内側に向かって分割リング11〜14の順番で並んで配置されている。本体10と分割リング11〜14とは、例えば、軸方向に延びるネジ(図示せず)によって固定されている。
ビードリング4は、凹部21〜24のそれぞれから径方向内側に延びた分割部P1〜P4によって、分割されている。具体的には、本体10と分割リング11とは、凹部21から径方向内側に延びた分割部P1によって分割されている。分割リング11と分割リング12とは、凹部22から径方向内側に延びた分割部P2によって分割されている。分割リング12と分割リング13とは、凹部23から径方向内側に延びた分割部P3によって分割されている。また、分割リング13と分割リング14とは、凹部24から径方向内側に延びた分割部P4によって分割されている。
また、本体10と、分割リング11〜14とは、分割部P5によって径方向に分割されている。
ビード底成形面20は、ビードリング4の外周面の一部である。具体的には、ビードリング4の外周面のうち、タイヤ幅方向の内側の端辺(図2において点Aで示す)から、ビードヒールT31のタイヤ幅方向の外側の端部に対応する端辺(図2において点Bで示す)までの範囲である。
4つの凹部21〜24は、径方向内側に窪むようにビード底成形面20に設けられている。また、図示しないが、4つの凹部21〜24は、ビードリング4の全周に渡って設けられている。4つの凹部21〜凹部24は、タイヤ幅方向の外側から内側に凹部21〜凹部24の順番で設けられている。
また、ビードリング4は、ビード底成形面20に開口した排気通路E1〜E4と、ビードリング4のタイヤ幅方向内側の端面に開口した排気通路E5とを有する。排気通路E1〜E4と、排気通路E5とは、連通している。排気通路E1は、分割部P1において形成されており、凹部21に開口している。同様に、排気通路E2は、分割部P2において形成されており、凹部22に開口している。排気通路E3は、分割部P3において形成されており、凹部23に開口している。排気通路E4は、分割部P4において形成されており、凹部24に開口している。また、排気通路E5は、分割部P5において形成されている。
図3は、本実施形態のビードリング4の要部を示す断面図である。図3は、ビードリング4の周方向に直交する断面を示す。なお、図3には、タイヤ加硫金型1において加硫成形される空気入りタイヤTが、仮想線(二点鎖線)で併せて示されている。
図3を参照すると、本実施形態の本体10は、タイヤ幅方向外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向かって径方向内側に湾曲しながら延びた外周面10aと、外周面10aのタイヤ幅方向内側の端辺から径方向内側に延びた横壁10bとを備える。また、本体10は、横壁10bの径方向内側の端辺からタイヤ幅方向内側に向けて延びる縦壁10cと、縦壁10cのタイヤ幅方向内側の端辺から径方向内側に延びる内端面10dとを備える。本体10は、横壁10bと縦壁10cとによって一部が切り欠かれたように形成されており、分割リング11〜14は、この切り欠きを埋めるように配置されている。
分割リング11は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向けて径方向内側に傾斜して延びた外周面11aと、外周面11aのタイヤ幅方向内側の端辺から径方向内側に延びた内端面11bとを備える。分割リング11は、外周面11aのタイヤ幅方向外側の端辺から径方向外側に延びた外端面11cと、内端面11bの径方向内側の端辺と外端面11cの径方向内側の端辺とを接続する内周面11dとを備える。
分割リング11の外端面11cは、本体10の横壁10bと対向している。また、分割リング11の外端面11cは、本体10の横壁10bと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、本体10の横壁10bと、分割リング11の外端面11cとの間には隙間が形成されている。本実施形態では、本体10の横壁10bと分割リング11の外端面11cとの間に、シム(図示せず)が設けられている。このシムによって、本体10の横壁10bと、分割リング11の外端面11cとの間の間隔が調整されている。また、本体10の横壁10bと分割リング11の外端面11cとで分割部P1を構成している。
また、分割リング11の内周面11dは、本体10の縦壁10cと対向している。分割リング11の内周面11dは、本体10の縦壁10cと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、本体10の縦壁10cと、分割リング11の内周面11dとの間には、隙間が形成されている。また、本体10の縦壁10cと分割リング11の内周面11dとで分割部P5の一部を構成している。
分割リング12は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向けて径方向内側に傾斜して延びた外周面12aと、外周面12aのタイヤ幅方向内側の端辺から径方向内側に延びた内端面12bとを備える。分割リング12は、外周面12aのタイヤ幅方向外側の端辺から径方向外側に延びた外端面12cと、内端面12bの径方向内側の端辺と外端面12cの径方向内側の端辺とを接続する内周面12dとを備える。
分割リング12の外端面12cは、分割リング11の内端面11bと対向している。また、分割リング12の外端面12cは、分割リング11の内端面11bと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、分割リング11の内端面11bと、分割リング12の外端面12cとの間には隙間が形成されている。本実施形態では、分割リング11の内端面11bと分割リング12の外端面12cとの間に、シム(図示せず)が設けられている。このシムによって、分割リング11の内端面11bと、分割リング12の外端面12cとの間の間隔が調整されている。また、分割リング11の内端面11bと分割リング12の外端面12cとで分割部P2を構成している。
また、分割リング12の内周面12dは、本体10の縦壁10cと対向している。分割リング12の内周面12dは、本体10の縦壁10cと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、本体10の縦壁10cと、分割リング12の内周面12dとの間には、隙間が形成されている。また、本体10の縦壁10cと分割リング12の内周面12dとで分割部P5の一部を構成している。
分割リング13は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向けてタイヤ径方向内側に傾斜して延びた外周面13aと、外周面13aのタイヤ幅方向内側の端辺から径方向内側に延びた内端面13bとを備える。分割リング13は、外周面13aのタイヤ幅方向外側の端辺から径方向外側に延びた外端面13cと、内端面13bの径方向内側の端辺と外端面13cの径方向内側の端辺とを接続する内周面13dとを備える。
分割リング13の外端面13cは、分割リング12の内端面12bと対向している。また、分割リング13の外端面13cは、分割リング12の内端面12bと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、分割リング12の内端面12bと、分割リング13の外端面13cとの間には隙間が形成されている。本実施形態では、分割リング12の内端面12bと分割リング13の外端面13cとの間に、シム(図示せず)が設けられている。このシムによって、分割リング12の内端面12bと、分割リング13の外端面13cとの間の間隔が調整されている。また、分割リング12の内端面12bと分割リング13の外端面13cとで分割部P3を構成している。
また、分割リング13の内周面13dは、本体10の縦壁10cと対向している。分割リング13の内周面13dは、本体10の縦壁10cと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、本体10の縦壁10cと、分割リング13の内周面13dとの間には、隙間が形成されている。また、本体10の縦壁10cと分割リング13の内周面13dとで分割部P5の一部を構成している。
分割リング14は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向けてタイヤ径方向内側に傾斜して延びた外周面14aと、外周面14aのタイヤ幅方向内側の端辺から径方向内側に延びた内端面14bとを備える。分割リング14は、外周面14aのタイヤ幅方向外側の端辺から径方向外側に延びた外端面14cと、内端面14bの径方向内側の端辺と外端面14cの径方向内側の端辺とを接続する内周面14dとを備える。
分割リング14の内端面14bは、本体10の内端面10dと面一に設けられている。内端面14bと接続した外周面14aの端辺は、ビードトウT32に対応している。
分割リング14の外端面14cは、分割リング13の内端面13bと対向している。また、分割リング14の外端面14cは、分割リング13の内端面13bと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、分割リング13の内端面13bと、分割リング14の外端面14cとの間には隙間が形成されている。本実施形態では、分割リング13の内端面13bと分割リング14の外端面14cとの間に、シム(図示せず)が設けられている。このシムによって、分割リング13の内端面13bと、分割リング14の外端面14cとの間の間隔が調整されている。また、分割リング13の内端面13bと分割リング14の外端面14cとで分割部P4を構成している。
また、分割リング14の内周面14dは、本体10の縦壁10cと対向している。分割リング14の内周面14dは、本体10の縦壁10cと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、本体10の縦壁10cと、分割リング14の内周面14dとの間には、隙間が形成されている。また、本体10の縦壁10cと分割リング14の内周面14dとで分割部P5の一部を構成している。
ビード底成形面20は、本体10外周面10aと、分割リング11〜14の外周面11a,12a,13a,14aと、分割リング11〜13の外端面11c,12c,13c,14cとによって構成されている。ビード底成形面20は、本体10と分割リング11〜14とに跨がって設けられている。
凹部21は、径方向内側に窪むようにビード底成形面20に設けられている。凹部21は、図3に示す断面において、略三角形状に設けられている。凹部21は、本体10の外周面10aと、分割リング11の外端面11cとによって画定されている。これにより、凹部21は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向かって徐々に深くなるように設けられている。
凹部22は、径方向内側に窪むようにビード底成形面20に設けられている。凹部22は、図3に示す断面において、略三角形状に設けられている。凹部22は、分割リング11の外周面11aと、分割リング12の外端面12cとによって画定されている。これにより、凹部22は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向かって徐々に深くなるように設けられている。
凹部23は、径方向内側に窪むようにビード底成形面20に設けられている。凹部23は、図3に示す断面において、略三角形状に設けられている。凹部23は、分割リング12の外周面12aと、分割リング13の外端面13cとによって画定されている。これにより、凹部23は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向かって徐々に深くなるように設けられている。
凹部24は、径方向内側に窪むようにビード底成形面20に設けられている。凹部24は、図3に示す断面において、略三角形状に設けられている。凹部24は、分割リング13の外周面13aと、分割リング14の外端面14cとによって画定されている。これにより、凹部24は、タイヤ幅方向の外側(図3において下側)から内側(図3において上側)に向かって徐々に深くなるように設けられている。
本実施形態では、凹部21〜24の深さは、互いに異なるように設けられている。具体的には、本実施形態の凹部21〜24のうち、タイヤ幅方向の最も内側に配置された凹部21の深さが最も浅く形成されている。凹部21〜24のうち、凹部23の深さが最も深く形成されている。
ビード底成形面20には、凹部21〜24がタイヤ幅方向に連続して設けられることで、断面鋸歯状に形成された複数(本実施形態では4つ)の凸部25〜28が設けられている。これらの凸部25〜28は、径方向に対してタイヤ幅方向の外側に傾斜している。
本実施形態の凸部25は、分割リング11の一部によって構成されている。具体的には、凸部25は、分割リング11の外周面11aと外端面11cとによって画定されている。凸部25は、タイヤ幅方向の内側から外側に向かって突出量が徐々に増大するように設けられている。
本実施形態の凸部26は、分割リング12の一部によって構成されている。具体的には、凸部26は、分割リング12の外周面12aと外端面12cとによって画定されている。凸部26は、タイヤ幅方向の内側から外側に向かって突出量が徐々に増大するように設けられている。
本実施形態の凸部27は、分割リング13の一部によって構成されている。具体的には、凸部27は、分割リング13の外周面13aと外端面13cとによって画定されている。凸部27は、タイヤ幅方向の内側から外側に向かって突出量が徐々に増大するように設けられている。
本実施形態の凸部28は、分割リング14の一部によって構成されている。具体的には、凸部28は、分割リング14の外周面14aと外端面14cとによって画定されている。凸部28は、タイヤ幅方向の内側から外側に向かって突出量が徐々に増大するように設けられている。
ビードリング4によって成形される空気入りタイヤTのビード底面T33は、断面鋸歯状に形成された凹凸形状を有するビード底成形面20によって、断面鋸歯状に成形される。具体的には、ビードリング4によって成形される空気入りタイヤTのビード底面T33には、凹部21〜凹部24にそれぞれに対応した断面鋸歯状のリッジR1〜R4が形成される。これらのリッジR1〜R4のそれぞれは、径方向に対してタイヤ幅方向の内側に傾斜している。
排気通路E1は、本体10の横壁10bと、分割リング11の外端面11cとによって画定されている。言い換えれば、排気通路E1は、本体10の横壁10bと、分割リング11の外端面11cとの間に形成される隙間である。また、排気通路E1は、凹部21に開口している。
排気通路E2は、分割リング11の内端面11bと、分割リング12の外端面12cとによって画定されている。言い換えれば、排気通路E2は、分割リング11の内端面11bと、分割リング12の外端面12cとの間に形成される隙間である。また、排気通路E2は、凹部22に開口している。
排気通路E3は、分割リング12の内端面12bと、分割リング13の外端面13cとによって画定されている。言い換えれば、排気通路E3は、分割リング12の内端面12bと、分割リング13の外端面13cとの間に形成される隙間である。また、排気通路E3は、凹部23に開口している。
排気通路E4は、分割リング13の内端面13bと、分割リング14の外端面14cとによって画定されている。言い換えれば、排気通路E4は、分割リング13の内端面13bと、分割リング14の外端面14cとの間に形成される隙間である。また、排気通路E4は、凹部24に開口している。
排気通路E5は、本体10の縦壁10cと、分割リング11〜14の内周面11d,12d,13d,14dとによって画定されている。言い換えれば、排気通路E1は、本体10の縦壁10cと、分割リング11〜14の内周面11d,12d,13d,14dとの間に形成される隙間である。
この構成によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本発明に係るビードリング4を用いて製造された空気入りタイヤTのビード底面T33には、凹部21〜24に対応する断面鋸歯状のリッジR1〜R4(図3参照)が形成される。空気入りタイヤTがリム(図示せず)に組み付けられた状態で、タイヤ幅方向の外側から空気入りタイヤTに力が作用すると、ビード部T3が幅方向内側に移動して、リムから脱落することがある。これに対して、本発明では、ビード部T3がリムから脱落する方向への移動がリッジR1〜R4によって抑制されるので、ビード部T3のリムからの脱落を抑制できる。また、ビードリング4が凹部21〜24から径方向内側に延びた分割部P1〜P4によって分割されているので、加硫成形時に、凹部21〜凹部24内の空気が分割部P1〜P4を介して排出され、加硫成形後の空気入りタイヤTのビード底面T33にベアが発生することを抑制できる。
(2)また、本実施形態に係るビードリング4を用いて製造された空気入りタイヤTのビード底面T33には、ビード底成形面20の凹部21〜24と凸部25〜28とによって、径方向に対してタイヤ幅方向の内側に傾斜して延びた鋸歯状のリッジR1〜R4が形成される。これらのリッジR1〜R4は、タイヤ幅方向の外向きの力に対して変形し難く、タイヤ幅方向の内向きの力に対して変形し易い。これにより、空気入りタイヤTのリムへの組み付け後において、ビード部T3がリムから脱落する向き(タイヤ幅方向の内向き)に移動しようとすると、リッジR1〜R4がこの移動に抵抗するので、ビード部T3のリムからの脱落を効果的に抑制できる。一方で、空気入りタイヤTをタイヤ幅方向の内側からリムに組み付ける際に、ビード部T3をリムに組み付ける向き(タイヤ幅方向の外向き)に移動させたときに、リッジR1〜R4がこの移動には抵抗しないので、空気入りタイヤTのリムへの組み付けを容易にできる。その結果、リムに対して空気入りタイヤTを組み付ける際の組み付け性を阻害することなく、組み付け後は、ビード部T3がリムから脱落し難い。
(3)また、ビードリング4が凹部21〜24毎に分割されているので、本体10及び分割リング11〜14の形状を変更することで、凹部21〜凹部24の深さ又は形状をそれぞれ変更できる。これにより、ビードリング4を用いて製造される空気入りタイヤTに形成されるリッジR1〜R4の大きさ又は形状を変更できる。
(4)また、分割部P1〜P4のそれぞれにおいて、シム(図示せず)が設けられているので、シムが設けられていない場合と比較して、排気通路E1〜E5の通路面積が十分に確保されるので、加硫成形後の空気入りタイヤTのビード底面T33にベアが発生することを抑制できる。
(第2実施形態)
第2実施形態のビードリング104は、分割リングの数及び形状を除いて、第1実施形態のビードリング4(図2に示す)と同様の構成を有している。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同一の参照符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。
図4は、第2実施形態のビードリング104の要部を示す断面図である。図4は、ビードリング104の周方向に直交する断面を示す。なお、図4には、タイヤ加硫金型1において加硫成形される空気入りタイヤTが、仮想線(二点鎖線)で併せて示されている。
図4を参照すると、本実施形態のビードリング104は、軸方向に分割されており、環状の本体10と、分割リング111とから構成されている。本体10と分割リング111とは、例えば、軸方向に延びるネジ(図示せず)によって固定されている。また、本実施形態のビードリング104は、ビード部T3のビードヒールT31からビードトウT32の間のビード底面T33を成形するビード底成形面120を備える。ビード底成形面120には、複数(本実施形態では4つ)の凹部121〜124が設けられている。また、ビード底成形面120には、凹部121〜124がタイヤ幅方向に連続して設けられることで、断面鋸歯状に形成された複数(本実施形態では4つ)の凸部125〜128が設けられている。これらの凸部125〜128は、径方向に対してタイヤ幅方向の外側に傾斜している。
ビードリング104は、凹部121から径方向内側に延びた分割部P11によって、分割されている。言い換えれば、本体10と分割リング111は、凹部121から径方向内側に延びた分割部P11によって分割されている。
また、本体10と分割リング111とは、分割部P15によって径方向に分割されている。
また、ビードリング104は、ビード底成形面120に開口した排気通路E11と、タイヤ幅方向内側の端面に開口した排気通路E15とを有する。排気通路E11と、排気通路E15とは、連通している。排気通路E11は、分割部P11において形成されており、凹部121に開口している。また、排気通路E15は、分割部P15において形成されている。
分割リング111は、タイヤ幅方向の内側(図4において上側)から外側(図4において下側)に向けてタイヤ径方向の外側に傾斜して延びた外周面111aと、外周面111aのタイヤ幅方向内側の端辺から径方向内側に延びた内端面111bとを備える。分割リング111は、外周面111aのタイヤ幅方向外側の端辺から径方向外側に延びた外端面111cと、内端面111bの径方向内側の端辺と外端面111cの径方向内側の端辺とを接続する内周面111dとを備える。
分割リング111の外端面111cは、本体10の横壁10bと対向している。また、分割リング111の外端面111cは、本体10の横壁10bと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、本体10の横壁10bと、分割リング111の外端面111cとの間には隙間が形成されている。本実施形態では、本体10の横壁10bと分割リング111の外端面111cとの間に、シム(図示せず)が設けられている。このシムによって、本体10の横壁10bと、分割リング111の外端面111cとの間の間隔が調整されている。また、本体10の横壁10bと分割リング111の外端面111cとで分割部P11を構成している。
また、分割リング111の内周面111dは、本体10の縦壁10cと対向している。分割リング111の内周面111dは、本体10の縦壁10cと間隔を開けて配置されている。言い換えれば、本体10の縦壁10cと、分割リング111の内周面111dとの間には、隙間が形成されている。また、本体10の縦壁10cと分割リング111の内周面111dとで分割部P15を構成している。
凹部121は、径方向内側に窪むようにビード底成形面120に設けられている。凹部121は、図4に示す断面において、略三角形状に設けられている。凹部121は、本体10の外周面10aと、分割リング111の外端面111cとによって画定されている。これにより、凹部121は、タイヤ幅方向の外側(図4において下側)から内側(図4において上側)に向かって徐々に深くなるように設けられている。
凹部122〜124は、径方向内側に窪むようにビード底成形面120に設けられている。具体的には、凹部122〜124は、分割リング111の外周面111aに設けられている。凹部122〜124は、タイヤ幅方向の外側(図4において下側)から内側(図4において上側)に向かって徐々に深くなるように設けられている。
凸部125〜128は、径方向外側に突出するようにビード底成形面120に設けられている。具体的には、凸部125〜128は、分割リング111の外周面111aに設けられている。凸部125〜128は、タイヤ幅方向の内側(図4において上側)から外側(図4において下側)に向かって突出量が徐々に増大するように設けられている。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
以上より、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、分割部においてシムが挿入されることにより、隣接する分割リングが互いに間隔を開けて配置されていたが、これに限定されず、各分割リングは、分割部において隣接する分割リングと当接してもよい。この場合、隣接する分割リングの互いに対向する面に、凹部から本体の外側に延びる溝などが形成されることで、分割部において排気通路が形成されることが好ましい。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、4つの凹部が形成されていたが、これに限定されず、凹部は、1以上あればよい。また、凹部の形状、大きさ及びビード底成形面における位置も、適宜変更してもよい。