JP2021071440A - 機能性ペースト用機能性粉末の評価方法及び機能性ペースト用機能性粉末の製造方法 - Google Patents

機能性ペースト用機能性粉末の評価方法及び機能性ペースト用機能性粉末の製造方法 Download PDF

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【課題】簡易でありながら精度よく分散性を評価できる、機能性ペースト用機能性粉末の評価方法、及びこの評価方法を用いた機能性ペースト用機能性粉末の製造方法を提供すること。【解決手段】機能性ペースト用機能性粉末の評価方法であって、以下の工程;少なくとも、金属粉末及び/又はセラミック粉末からなる機能性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤を準備する工程と、前記機能性粉末とバインダー樹脂と有機溶剤とを自公転ミキサーを用いて混合及び混練して、機能性粉末の含有量が0.1〜2.0体積%であるペーストを作製する工程と、前記ペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜にする工程と、前記塗膜をミクロトームを用いて切削加工して塗膜断面を露出させる工程と、前記塗膜断面を光学顕微鏡で観察して機能性粉末の分散性を評価する工程と、を有する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、機能性ペースト用機能性粉末の評価方法及び機能性ペースト用機能性粉末の製造方法に関する。
携帯電話及びデジタル機器などの電子機器の小型化及び高性能化に伴い、電子部品等の部品の小型化及び高特性化が求められている。このような部品の多くは、電極層(導電層)、電気抵抗層、磁性層、光散乱層、熱伝導層及び/又は熱遮蔽層などの機能層を備えている。この機能層は、機能性ペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜とし、これを焼成して作製される。このような機能性ペーストの典型的な構成成分を図1に模式的に示す。図1に示されるように、機能性ペースト(1)は、機能性粉末(2)、バインダー樹脂(3)、有機溶剤(4)及び必要に応じて添加剤(5)を含み、これらの成分を混合及び混練して作製される。
例えば積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、機能性ペーストである導電性ペーストを用いてその内部電極層が形成される。具体的には、ニッケル粉末等の導電性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤等を混合及び混練して導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを、チタン酸バリウム(BaTiO)等のセラミック粉末から作製した誘電体グリーンシートの表面にパターン印刷して印刷済み誘電体グリーンシートとする。複数の印刷済み誘電体グリーンシートを積層及び圧着後に個片に切断し、得られた個片に脱バインダー処理及び焼成処理を施して焼成チップを作製する。最後に焼成チップの両端部に外部電極を設けて、積層セラミックコンデンサとする。
機能性ペーストに含まれる機能性粉末は、ペースト中で均一に分散していること、すなわち分散性の高いことが要求される。ペースト中での分散性が悪いと、緻密な機能層にすることが困難となり、機能層及び電子部品の特性劣化につながるからである。
従来は、機能性粉末の分散性評価の指標として、塗膜の表面粗さを用いていた。すなわち、機能性粉末を含む機能性ペーストを作製し、この機能性ペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜を作製し、この塗膜の表面粗さを測定していた。この評価では、塗膜の表面粗さが小さければ、機能性粉末の分散性が良好であると判断していた。
例えば、特許文献1には積層セラミックコンデンサの内部電極として好適に用いることができるニッケル粉末の製造方法に関して、ニッケル粉末には、さまざまな特性が求められているが、その中でも導電性ペーストを形成した際の分散性は重要な特性である旨、ニッケル粉末の分散性は、ペーストを作製し、そのペーストを用いた塗膜の表面粗さをもって評価した旨が記載されている(特許文献1の[0001]、[0006]及び[0056])。
また特許文献2には、積層セラミック電子部品用導電性ペーストに含まれるニッケル粉末の製造方法に関して、導電性ペースト中でのニッケル粉末の分散性を向上させることができ、積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品の歩留まりを向上させることができる旨、印刷塗膜の表面粗さ(Ra)は、その大小が粉末の分散度を表わす指標となる旨が記載されている(特許文献2の[0001]、[0125]及び[0142])。
特開2015−160988号公報 特開2004−076107号公報
機能性ペースト用機能性粉末を製造する上で、製造された粉末の特性が常に一定であることが望まれる。その一方で、現実の製造においては、機能性粉末製造に用いる原料ロットの違いや、製造時の環境(気温、湿度等)変動などの要因により、得られた粉末の特性、特に分散性が安定しないことがある。機能性粉末の分散性が安定していないと、機能性ペーストを用いて作製される機能層及びこれを含む電子部品の特性バラツキにつながる。そのため機能性粉末を製造する際には、その分散性を常に管理することが望ましい。
従来は、プラントで製造された機能性粉末を随時サンプリングしてその分散性を評価していた。具体的には、特許文献1や特許文献2に開示されるように、サンプリングした粉末試料からペーストを作製し、このペーストを塗布及び乾燥して得られた塗膜の表面粗さを指標にして、粉末の分散性を管理していた。
しかしながら、このような従来の分散性評価手法は改良の余地があった。すなわち従来の評価手法では、多量の粉末をサンプリングしなければならないとともに、評価試料の作製に手間がかかり、簡便とは言い難かった。また表面粗さを指標とする従来の評価手法では、その精度に限界があった。
このような従来の問題点を解決するために本発明者が検討を行った結果、機能性粉末から所定の手法で塗膜を作製し、この塗膜断面を光学顕微鏡で観察するという簡易な手法で、機能性粉末の分散性を精度よく評価できるとの知見を得た。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、簡易でありながら精度よく分散性を評価できる、機能性ペースト用機能性粉末の評価方法、及びこの評価方法を用いた機能性ペースト用機能性粉末の製造方法の提供を課題とする。
本発明は、下記(1)〜(4)の態様を包含する。なお本明細書において「〜」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち「X〜Y」は「X以上Y以下」と同義である。
(1)機能性ペースト用機能性粉末の評価方法であって、以下の工程;
少なくとも、金属粉末及び/又はセラミック粉末からなる機能性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤を準備する工程と、
前記機能性粉末とバインダー樹脂と有機溶剤とを自公転ミキサーを用いて混合及び混練して、機能性粉末の含有量が0.1〜2.0体積%であるペーストを作製する工程と、
前記ペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜にする工程と、
前記塗膜をミクロトームを用いて切削加工して塗膜断面を露出させる工程と、
前記塗膜断面を光学顕微鏡で観察して機能性粉末の分散性を評価する工程と、
を有する方法。
(2)前記機能性ペーストが導電性ペーストであり、前記機能性粉末が導電性粉末である、上記(1)の方法。
(3)前記導電性粉末が、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)及びこれらの合金からなる群から選ばれる1種以上の金属を含む、上記(2)の方法。
(4)機能性ペースト用機能性粉末の製造方法であって、以下の工程;
機能性粉末を作製する工程と、
上記(1)〜(3)のいずれかの方法で前記機能性粉末を評価する工程と、
前記評価の結果に基づき、前記機能性粉末に表面改質処理を施すか否かを決定する工程と、
表面改質処理を施すことを決定した場合には、前記機能性粉末に表面改質処理を施す工程と、
を有する方法。
本発明によれば、簡易でありながら精度よく分散性を評価できる、機能性ペースト用機能性粉末の評価方法、及びこの評価方法を用いた機能性ペースト用機能性粉末の製造方法が提供される。
機能性ペーストの構成成分を模式的に示す。 塗膜断面の光学顕微鏡像を示す。 塗膜断面の光学顕微鏡像を示す。
本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
1.機能性ペースト用機能性粉末の評価方法
本実施形態の機能性ペースト用機能性粉末の評価方法は、以下の工程;少なくとも、金属粉末及び/又はセラミック粉末からなる機能性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤を準備する工程(準備工程)と、機能性粉末とバインダー樹脂と有機溶剤とを自公転ミキサーを用いて混合及び混練して、機能性粉末の含有量が0.1〜2.0体積%であるペーストを作製する工程(ペースト化工程)と、このペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜にする工程(塗膜化工程)と、この塗膜をミクロトームを用いて切削加工して塗膜断面を露出させる工程(加工工程)と、この塗膜断面を光学顕微鏡で観察して機能性粉末の分散性を評価する工程(観察評価工程)と、を有する。各工程の詳細を以下に説明する。
<準備工程>
準備工程では、少なくとも機能性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤を準備する。機能性粉末は、金属粉末及び/又はセラミック粉末からなり、機能性ペーストを塗布、乾燥及び焼成して作製した機能層の機能発現の主体となる粉末である。機能層の種類に応じて機能性粉末を選択すればよい。例えば機能層が電極層(導電層)である場合には、金属粉末等の導電性粉末を選択すればよい。機能層が電気抵抗層である場合には、酸化ルテニウム(RuO)粉末等の絶縁性粉末を選択すればよい。機能層が磁性層である場合には、フェライト粉末等の磁性粉末を選択すればよい。機能層が光散乱層である場合には、アルミニウム(Al)粉末及び銀(Ag)粉末等の高散乱性粉末を選択すればよい。機能層が熱伝導層である場合には、銅(Cu)粉末、銀(Ag)粉末及び窒化アルミニウム(AlN)粉末等の高熱伝導性粉末を選択すればよい。
機能性粉末は、好ましくは導電性粉末である。導電性粉末は、特に限定されず、例えばニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)及びこれらの合金からなる群から選ばれる1種以上の金属を主として含む。これらの中でも、導電性、耐食性及びコストの観点から、ニッケル(Ni)又はその合金の粉末が好ましい。ニッケル(Ni)合金としては、例えば、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)及びパラジウム(Pd)からなる群より選択される少なくとも1種以上の元素とニッケル(Ni)との合金を用いることができる。ニッケル合金におけるニッケル含有量は、例えば50質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、ニッケル粉末は数百ppm程度の硫黄(S)を含んでもよい。この硫黄(S)は、脱バインダー処理の際にバインダー樹脂の部分的な熱分解による急激なガス発生を抑制する効果がある。
導電性粉末の平均粒径は、好ましくは0.05μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。導電性粉末の平均粒径が上記範囲である場合、薄膜化した積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストとして好適に用いることができ、例えば、乾燥膜の平滑性及び乾燥膜密度が向上する。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、粒度分布における積算値50%の粒径をいう。
バインダー樹脂としては、特に限定されず。公知の樹脂を用いることができる。ただし機能性ペーストに用いられるバインダー樹脂と同一の樹脂が好ましい。これにより機能性粉末の分散状態を、より実際の製品での状態に近づけて評価することが可能になる。バインダー樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂などが挙げられる。この中でも、溶剤への溶解性、燃焼分解性の観点などからエチルセルロースを含むことが好ましい。また、内部電極用ペーストとして用いる場合、グリーンシートとの接着強度を向上させる観点から、バインダー樹脂として、ブチラール樹脂を含む、又は、ブチラール樹脂を単独で使用してもよい。バインダー樹脂は、1種類を用いてもよく、又は、2種類以上を用いてもよい。
有機溶剤としては、特に限定されず、上記バインダー樹脂を溶解することができる公知の有機溶剤を用いることができる。ただし機能性ペーストに用いられる有機溶剤と同一の樹脂が好ましい。これにより機能性粉末の分散状態を、より実際の製品での状態に近づけて評価することが可能になる。このような有機溶剤としては、例えば、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート、イソボルニルイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシー3−メチルブチルアセテート、1−メトキシプロピル−2−アセテートなどのアセテート系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタン、イソホロンなどのケトン系溶剤、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのテルペン系溶剤、トリデカン、ノナン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤、エチレングリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤等が挙げられる。なお、有機溶剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
<ペースト化工程>
ペースト化工程では、準備した機能性粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合及び混練してペーストを作製する。本実施形態は、ペースト中の機能性粉末の含有量が0.1〜2.0体積%である点に特徴がある。機能性ペーストは、一般には、その機能性粉末の含有量が10〜50体積%と高い。機能性粉末が少ないと、ペーストから作製した塗膜を脱バインダー処理する際に、多量の熱エネルギーを加える必要があるとともに、緻密な機能層を得ることが困難になるからである。これに対して、本実施形態では、塗膜の脱バインダー処理及び焼成は必要ではないため、機能性粉末の量を少なくしても問題は生じない。それどころか機能性粉末を少なくすることで、後続する観察評価工程で塗膜中の機能性粉末の分散状態を精度よく調べることができるという利点がある。ペースト中の機能性粉末の含有量は、好ましくは0.3〜0.6体積%である。
本実施形態は、ペースト作製時の混合及び混練を自公転ミキサーを用いて行う点にも特徴がある。ペーストの混練は、一般には、均一分散が可能な3本ロールミルが用いられる。しかしながら3本ロールミルによる混練を行うには、多量の材料が必要である。例えば小型の3本ロールミルでも数百g程度の材料が必要である。これに対して、自公転ミキサーは、数十g程度の材料で十分である。そのため分散性評価のためのサンプリング量を少なくすることができる。また自公転ミキサーは、材料の入った容器を自転させると同時に公転させることで遠心力を連続的に発生させて材料の混合及び撹拌を行う装置であり、大きな遠心力が加わることから、3本ロールミルと遜色のない均一分散したペーストの作製が可能である。自公転ミキサーによる混合は、好ましくは500〜5000rpm、より好ましくは1000〜3000rpmの回転数で行う。また混合時間は、特に限定されないが、典型的には1〜10分程度で十分である。混合時に1個又は複数個の粉砕メディアを自公転ミキサーの容器に加えてもよい。より強い衝撃力がペーストに加わり、より効果的に均一分散が行われる。粉砕メディアとして、例えばφ1cmのアルミナボールが例示される。
必要に応じて、機能性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤以外の他の成分をペーストに加えてもよい。このような成分として、消泡剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤、増粘剤が挙げられる。また分散剤として、酸系分散剤、塩基系分散剤、非イオン系分散剤、両性分散剤などが挙げられる。さらに必要に応じて、セラミック粉末からなる共材をペーストに加えてもよい。セラミック粉末としては、チタン酸バリウム(BaTiO)などのペロブスカイト型複合酸化物粉末が挙げられる。 本実施形態の導電性ペーストは、必要に応じて、上記の成分以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、消泡剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤、増粘剤などの従来公知の添加物を用いることができる。
<塗膜化工程>
塗膜化工程では、得られたペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜にする。基材として、その上にペーストを塗布でき、乾燥工程での加熱に耐えうるものであれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の支持フィルムが挙げられる。塗布は公知の手法で行えばよく、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷といった印刷法が挙げられる。ドクターブレードやアプリケータを用いた手法であってもよい。また乾燥も公知の手法で行えばよく、その条件は使用される有機溶剤の種類に応じて設定すればよい。例えば100〜150℃の温度で5分間〜2時間の乾燥を行うことが挙げられる。さらに塗膜の厚さは、その断面を後続する観察評価工程で観察できる限り限定されない。例えば厚さは5〜50μmであってよく、5〜20μmであってもよい。
<加工工程>
加工工程では、得られた塗膜を切削加工して塗膜断面を露出させる。このように塗膜断面を露出させることで、後続する観察評価工程で、塗膜内部における機能性粉末の状態を精度よく調べることができる。すなわち断面を観察することで、塗膜内部の粉末の分散状態を観察できるとともに、厚さ方向の状態変化を知ることができる。これに対して、塗膜表面にはしわがあり、塗膜表面を観察しても正確な状態を調べることは困難である。
本実施形態は、切削加工の際にミクロトームを用いる点にも特徴がある。ミクロトームはサンプルから極薄片を切り出す器具である。ミクロトームを用いることで、マイクロメートルから数十ナノメートルオーダーの厚さの薄片を均質に切り出すことが可能である。この薄片はその表面が平滑であり状態観察に適している。またミクロトームを用いた加工ではサンプルに熱が加わらない。そのため後続する観察評価工程で塗膜中の機能性粉末の分散状態を精度よく調べることが可能になる。これに対して集束イオンビーム(FIB)を用いた加工では、加工時の熱により塗膜中の樹脂が溶融する恐れがある。塗膜中の樹脂が溶融してしまうと、機能性粉末の分散状態が変化してしまい、これを精度よく調べることができない。
<観察評価工程>
観察評価工程では、加工により得られた塗膜断面を光学顕微鏡で観察して機能性粉末の分散性を評価する。光学顕微鏡で観察することで、機能性粉末の塗膜中での分散状態を精度よく調べることが可能である。機能性粉末は金属やセラミックからなる無機粉末である。そのため有機成分たるバインダー樹脂とは区別し得る。特に機能性粉末が金属粉末である場合には、その光反射率が高いためバインダー樹脂とは明確に区別し得る。光学顕微鏡は公知の装置を用いればよい。また機能性粉末の分散状態に応じて、倍率を適宜設定すればよい。倍率は、例えば200倍〜1500倍である。
本実施形態の評価方法によれば、塗膜断面の光学顕微鏡観察という簡易な方法で、機能性粉末の分散性を評価できる。そのため、従来の手法のように多量のサンプリング粉末を準備する必要がなく、また評価試料の作製に手間がかからない。さらに表面粗さによる評価とは異なり、光学顕微鏡観察では、塗膜内部での機能性粉末の分布をミクロな状態で調べることができる。例えば塗膜の厚さ方向での機能性粉末の分布や、機能性粉末の局所的な偏析を調べることができる。そのため機能性粉末の分散状態を精度よく評価することが可能となる。
分散性の評価手法は特に限定されない。例えば塗膜断面の光学顕微鏡像を得て、この顕微鏡像における機能性粉末の分散状態を目視により評価してもよい。あるいは光学顕微鏡像を画像解析して分散状態を数値化し、得られた数値に基づき評価してもよい。いずれの手法であっても、機能性粉末の分散性を評価できればよい。
2.機能性ペースト用機能性粉末の製造方法
本実施形態の機能性ペースト用機能性粉末の製造方法は、以下の工程;機能性粉末を作製する工程(作製工程)と、作製した機能性粉末を評価する工程(評価工程)と、この評価の結果に基づき、機能性粉末に表面改質処理を施すか否かを決定する工程(判定工程)と、表面改質処理を施すことを決定した場合には、機能性粉末に表面改質処理を施す工程(表面改質工程)と、を有する。また機能性粉末を評価する際に、上述した評価方法を用いる。各工程の詳細を以下に説明する。
<作製工程>
作製工程では、機能性粉末を作製する。作製方法は公知の手法でよく、機能性粉末の種類に応じて決めればよい。一例として導電性粉末であるニッケル(Ni)粉末の作製手法を以下に説明する。
ニッケル(Ni)粉末の合成には、原材料を気化させた後にニッケル粉末を合成するCVD法、噴霧熱分解法、PVD法といった気相法、液体の原材料を用いてニッケル粉末を得る湿式法、固相のニッケル化合物を還元雰囲気下で加熱及び還元させる固相法といった手法が知られている。また融液状のニッケル化合物を気相中で熱分解する方法も知られている。本実施形態ではいずれの手法を採用してもよい。
CVD法は、ニッケル塩もしくは硫黄を含むニッケル塩の結晶を乾燥させ結晶水を除去したニッケル塩を得た後に、CVD粉末製造装置の蒸発部にニッケル塩をセットし、その後、昇温し、ニッケル塩を気化させたキャリアガスである窒素ガスと混合し、反応部に移送し、1000〜1200℃に制御された反応部で還元ガスである水素とニッケル塩蒸気を混合及び還元して、ニッケル粉末を得る方法である。
噴霧熱分解法は、熱分解性のニッケル化合物の溶液を噴霧して熱分解する方法である。原料である熱分解性のニッケル化合物として、具体的には、ニッケルの硝酸塩、硫酸塩、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩、アルオキシ化合物などの1種又は2種以上を使用できる。このニッケル化合物を含む溶液を噴霧して微細な液滴を作るが、このときの溶媒としては、水、アルコール、アセトン、エーテルなどが用いられる。また噴霧は、超音波又は二重ジェットノズル等を用いた方法により行う。このようにして微細な液滴とし、高温で加熱しニッケル化合物を熱分解して、金属ニッケル粉末を生成させる。このときの加熱温度はニッケル化合物が熱分解する温度以上であり、好ましくはニッケルの融点付近である。
PVD法は、高周波プラズマを点火して水素や希ガスを最適化して安定したプラズマ炎を得て、そのプラズマ炎の中にニッケル原料を投入し、ニッケル粉末を得る方法である。プラズマ炎は10000℃以上となりニッケル原料中の硫黄は硫化物として残留する。
湿式法には、(A)ニッケル塩の水溶液とヒドラジン等の還元剤の水溶液とを混合し、ニッケル粒子に還元してニッケル粉末を得る方法(湿式還元法)、(B)アルカリ性溶液とニッケル塩とを混合し、ニッケル水酸化物を合成した後にガスを用いて焙焼還元してニッケル粉末を得る方法、(C)酸化ニッケルやニッケル水酸化物と多価アルコールとを混合してニッケル粉末を得る方法などがある。
湿式還元法によるニッケル粉末の製造について説明する。まずニッケル塩水溶液を調整する。ニッケル塩水溶液は、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルなどのニッケル塩化合物から適宜選べばよい。少なからず合成されたニッケル粉末には、選ばれたニッケル塩の陰イオンに起因する元素が残留するため、残留しても構わない元素からニッケル塩を選べばよい。塩化ニッケルの塩素イオンは、ニッケル粉末の内部に取り込まれにくく、洗浄によって除去しやすいので、塩化ニッケルが好ましい。また、湿式還元後の廃液の処理の観点からも、塩化ニッケルが好ましい。
塩化ニッケルを選択した場合、その塩化ニッケル水溶液の濃度は、含まれるニッケルの濃度が50〜200g/Lの範囲に調整されるような濃度が望ましい。このニッケルの濃度が低すぎると、相対的に大型の設備が必要となることや廃液量が増えるので効率的ではない。一方で、濃度が高すぎると、還元反応の制御が難しくなる。
次に得られたニッケル塩水溶液に湿式還元処理を施す。湿式還元工程では、ニッケル塩水溶液に粒径制御剤を添加した後、還元剤を添加し、還元処理を行う。ニッケル粉末の粒径制御剤となる金属は、ニッケルよりもイオン化傾向が小さい銅、パラジウム、プラチナ、ロジウムなどから選べばよく、ニッケルと固溶するパラジウムや銅が望ましい。粒径制御剤となる金属は、ニッケル塩からニッケル粉末が合成される際の核として作用し、核数を制御することでニッケル粉末の粒径を制御することができる。ニッケルと固溶しない元素であっても、核として作用する金属と固溶できるのであれば、核を微細化し、一つのニッケル粒子に含まれるニッケル以外の金属含有量を減らすことができ、ニッケル粉末の高純度化が可能となるため、これを添加することが望ましい。
ニッケルと固溶する元素の添加量は、全ニッケル量に対して500質量ppmよりも多く添加してもニッケル粉末は微細化できないので、500質量ppm以下であればよい。銅やパラジウムといった核となる元素と固溶する元素は、全ニッケル量に対して50質量ppm以下であればよい。それ以上の量で添加しても、核を微細化してニッケル粉末を微細化する効果は得られない。
核となる金属の微粒子は単分散していることが望ましい。凝集していると実質的に核として作用する核数が少なくなり、一つのニッケル粉末の粒子に含まれる量が多くなることによってニッケル粉末の純度が下がり、さらにはニッケル粉末の平均粒径が大きくなってしまうためである。核となる金属の微粒子の凝集を抑制して単分散を保持するためには、保護コロイド作用を有する分子が添加されていることが望ましい。保護コロイド作用を有する材料としては、ゼラチンやポリビニルピロリドンといった高分子材料や界面活性剤が適している。添加する量は、ニッケルに対して0.0025〜0.5質量%以下であることが望ましい。多すぎるとニッケルイオンの還元を阻害してしまうことがあり、少なすぎると所望の保護コロイド効果が得られないためである。
さらに、湿式還元工程でのニッケル塩水溶液には、ニッケルイオンと錯形成する錯化剤を添加することは有益である。錯化剤は、ニッケル錯体が形成できればよく、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、アルキル基などを有した化合物が適している。錯化剤の添加でニッケルが錯イオンを形成すると、還元工程を経て得られるニッケル粉末の形状が球状となる。
<評価工程>
評価工程では作製した機能性粉末を評価する。この工程の詳細は、機能性ペースト用機能性粉末の評価方法で説明したとおりである。すなわち、機能性粉末とともに、バインダー樹脂及び有機溶剤を準備し、これらを自公転ミキサーを用いて混合及び混練してペーストを作製し、このペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜とし、この塗膜をミクロトームを用いて切削加工して塗膜断面を露出させ、この塗膜断面を光学顕微鏡で観察して機能性粉末の分散性を評価する。
<判定工程>
判定工程では、評価工程で得られた評価の結果に基づき、機能性粉末に表面改質処理を施すか否かを決定する。すなわち塗膜中の機能性粉末の分散性が不十分である場合には、機能性粉末に表面改質処理を施すと決定することができる。一方で機能性粉末の分散性が十分である場合には、表面改質処理が不要であると決定することができる。表面改質処理の要否を判定する際の基準となる分散状態は、一概に限定されるものではなく、求められる機能性粉末の特性や機能層の状態に応じて決めればよい。また判定の手法も一概に限定されるものではない。例えば光学顕微鏡像に表される分散状態を目視にて評価し、この評価に基づき判定してもよい。あるいは光学顕微鏡像を画像解析して分散状態を数値化し、得られた数値に基づきコンピュータを用いて自動判定してもよい。
<表面改質工程>
表面改質工程では、判定工程での決定に基づき、必要な場合には機能性粉末に表面改質処理を施す。すなわち、分散状態が不十分であり表面改質処理を行う必要があると決定した場合には、機能性粉末に表面改質処理を行う。これにより機能性粉末の分散性を改良することができる。一方で表面改質処理を行う必要がないと決定した場合には、表面改質処理は行わない。
表面改質処理は、機能性粉末の分散性が改良される限り、その手法は限定されない。一例としてメカノケミカル処理と化学処理が挙げられる。メカノケミカル処理は、機能性粉末に対して反応性をもつ酸素や水蒸気などの気体を含む雰囲気中で機能性粉末に対して分散力とせん断力を加えて、機能性粉末表面を改質する手法である。この手法では、機能性粉末に対して分散力とせん断力がかかるヘンシェルミキサーなどの装置を用いることができる。化学処理は、機能性粉末表面に対して化学反応性をもつ試薬を含む溶液中に機能性粉末を添加及び混合して処理する手法である。化学反応性をもつ試薬として、シランカップリング剤、ホスホン酸化合物、防錆剤などが挙げられる。
このようにして機能性粉末が製造される。本実施形態の製造方法では、機能性粉末の分散性を簡易且つ精度よく管理することが可能である。そのため分散性に優れた粉末を安定的に供給することができ、製造コスト低減の効果がある。
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明する。しかしながら本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
実験例1では湿式還元法でニッケル粉末を作製し、その評価を行った。
(1)ニッケル粉末の作製
ニッケル粉末を次のようにして作製した。まず塩化ニッケル六水和物405gとニッケルよりも貴な金属の金属塩である塩化パラジウム(II)アンモニウム2.41mgとを純水1880mLに溶解し、核剤を含有するニッケル塩水溶液を調製した。還元剤として抱水ヒドラジンを純水で1.67倍に希釈した60%抱水ヒドラジン215gを秤量し、還元剤溶液を調製した。水酸化ナトリウム230gを純水560mLに溶解して、主成分としての水酸化ナ卜リウ厶を含有する水溶液である水酸化アル力リ溶液を用意した。エチレンジアミン2.048gを純水18mLに溶解して、アミン化合物溶液を用意した。塩化ニッケルとパラジウム塩とを純水に溶解したニッケル塩溶液を撹拌羽根付テフロン(登録商標)被覆ステンレス容器内に入れ、液温75℃になるように撹拌しながら加熱した。その後、液温25℃でヒドラジンと水とを含む上記還元剤溶液を添加し、20秒間混合してニッケル塩還元剤含有液とした。このニッケル塩還元剤含有液に、液温25℃で水酸化アル力リと水を含む上記水酸化アル力リ溶液を添加し、80秒間混合して、液温63℃の反応液(塩化ニッケル+パラジウム塩+ヒドラジン+水酸化ナ卜リウ厶)を調合した。この操作により、還元反応(晶析反応)が開始した(反応開始温度63℃)。反応液が暗灰色に変化した反応開始後8分後から18分後までの10分間にかけて上記アミン化合物溶液を上記反応液に滴下混合して、ヒドラジンの自己分解を抑制しながら還元反応を進めて、ニッケル晶析粉を反応液中に析出させた。反応開始から90分以内には、反応液の上澄み液は透明で、反応液中のニッケル成分はすべて金属ニッケルに還元されていることを確認した。二ッケル晶析粉を含む反応液はスラリー状であり、このニッケル晶析粉含有スラリーにメルカプト酢酸の水溶液を加えて、ニッケル晶析粉の表面処理を施した。表面処理後、導電率が1μS/cmの純水を用い、二ッケル晶析粉含有スラリーからろ過したろ液の導電率が10μS/cm以下になるまでろ過洗浄して固液分離した。その後、150℃の温度に設定した真空乾燥器中で乾燥して、ニッケル粉末を得た。晶析工程に引き続いて、ニッケル粉末に、乾式解砕方法であるスパイラルジエツ卜解砕処理を施し、ニッケル粒子が連結して形成された粗大粒子の低減を図った。得られたニッケル粉末は、その平均径が0.2μmであった。
(2)ニッケル粉末の評価
例1−A
作製したニッケル粉末を用いて、その評価を以下の工程にしたがい行った。
<準備工程>
上記ニッケル粉末に加えて、バインダー樹脂及び有機溶剤を準備した。バインダー樹脂としてセルロース系樹脂であるエチルセルロース(EC;日新化成株式会社、ETHOCEL300)を用い、また有機溶剤としてターピネオール(TPO)を用いた。また添加剤として、添加剤Aと添加剤Bとを準備した。
<ペースト化工程>
次にニッケル粉末が5体積部、エチルセルロース(EC)が86体積部、添加剤Aが2体積部及び添加剤Bが6体積部、ペースト中のターピネオール(TPO)量が85〜90体積%となるように秤量し、これらを自公転ミキサー(株式会社シンキー、あわとり練太郎)のベッセル(内容量100mL)に入れた。またベッセルに2個のアルミナボール(φ1cm)を入れた。2000rpmの回転数で4分間の混合を行った後、2200rpmの回転数で1分間の脱泡を行い、ペーストを作製した。
<塗膜化工程>
得られたペーストをアプリケータを用いてPETフィルム上に塗布した。塗布後膜厚(wet膜厚)は254μmであった。塗布した有機ビヒクルを熱対流オーブンで乾燥して、塗膜を作製した。乾燥は120℃で40分間保持する条件で行った。
<加工工程>
PETフィルム上の乾燥した塗膜を固定治具に装着し、ミクロトーム(Leica Microsystems社、Leica EM FC6)を用いて切削した、これにより塗膜の平滑な断面を露出させた。
<観察工程>
露出させた塗膜断面を光学顕微鏡を用いて観察した。観察は200倍から1500倍の倍率で行った。
例1−B
バインダー樹脂としてアセタール系樹脂であるポリビニルブチラール(PVB;積水化学工業株式会社、BM−SZ)を用い、ペースト化工程で、ポリビニルブチラール(PVB)が86体積部となるように混合及び混練を行った。それ以外は例1−Aと同様にしてニッケル粉末の評価を行った。
例1−C
バインダー樹脂としてエチルセルロース(EC)とポリビニルブチラール(PVB)の両方を用い、ペースト化工程で、エチルセルロース(EC)が51体積部、ポリビニルブチラール(PVB)が36体積部となるように混合及び混練を行った。それ以外は例1−Aと同様にしてニッケル粉末の評価を行った。
(3)評価の結果
例1−A、例1−B及び例1−Cについて、それぞれの塗膜断面の光学顕微鏡像を図2(A)〜(C)に示す。バインダーとしてエチルセルロース(EC)のみを用いた場合、ニッケル粉末は均一に分散して分布していた(図2(A))。一方でバインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)のみを用いた場合には、ニッケル粉末は凝集していた(図2(B))。バインダーとしてエチルセルロース(EC)とポリビニルブチラール(PVB)の混合物を用いた場合には、ニッケル粉末は環状に凝集していた(図2(C))。
[実験例2]
実験例2では融液状ニッケル化合物を熱分解させる方法でニッケル粉末を作製し、その評価を行った。
(1)ニッケル粉末の作製
ニッケル粉末を次のようにして作製した。硝酸ニッケル六水和物の粉末を約80℃に加熱して溶融して融液とした。二流体スプレーノズルを用いてこの融液を液滴にし、これを電気炉内に導入してニッケル粉末を得た。導入の際には、3%水素を含有する窒素をキャリアガスとし、これを300L/分の流量で流した。また電気炉内の酸素分圧は10−7〜10−8Paに維持した。得られたニッケル粉末はバグフィルターで捕集した。
(2)ニッケル粉末の評価
例2−A〜例2−C
作製したニッケル粉末を用いて、その評価を実験例1の例1−A〜例1−Cと同様にして行った。すなわちバインダー樹脂として、例1−Aではエチルセルロース(EC)を用い、例2−Bではポリビニルブチラール(PVB)を用い、例2−Cではエチルセルロース(EC)とポリビニルブチラール(PVB)の両方を用いた。
(3)評価の結果
例2−A、例2−B及び例2−Cについて、それぞれの塗膜断面の光学顕微鏡像を図3(A)〜(C)に示す。バインダーとしてエチルセルロース(EC)のみを用いた場合、例1−Aとほぼ同様にニッケル粉末は均一に分散して分布していた(図3(A))。一方でバインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)のみを用いた場合には、例1−Bと比較して粒子の凝集が顕著に見られた(図3(B))。バインダーとしてエチルセルロース(EC)とポリビニルブチラール(PVB)の混合物を用いた場合、例1−Cと比較してやや分散してニッケル粉末が分布しており、一部は環状に凝集していた(図3(C))。
1 機能性ペースト
2 機能性粉末
3 バインダー樹脂
4 有機溶剤
5 添加剤

Claims (4)

  1. 機能性ペースト用機能性粉末の評価方法であって、以下の工程;
    少なくとも、金属粉末及び/又はセラミック粉末からなる機能性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤を準備する工程と、
    前記機能性粉末とバインダー樹脂と有機溶剤とを自公転ミキサーを用いて混合及び混練して、機能性粉末の含有量が0.1〜2.0体積%であるペーストを作製する工程と、
    前記ペーストを基材上に塗布及び乾燥して塗膜にする工程と、
    前記塗膜をミクロトームを用いて切削加工して塗膜断面を露出させる工程と、
    前記塗膜断面を光学顕微鏡で観察して機能性粉末の分散性を評価する工程と、
    を有する方法。
  2. 前記機能性ペーストが導電性ペーストであり、前記機能性粉末が導電性粉末である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記導電性粉末が、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)及びこれらの合金からなる群から選ばれる1種以上の金属を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 機能性ペースト用機能性粉末の製造方法であって、以下の工程;
    機能性粉末を作製する工程と、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法で前記機能性粉末を評価する工程と、
    前記評価の結果に基づき、前記機能性粉末に表面改質処理を施すか否かを決定する工程と、
    表面改質処理を施すことを決定した場合には、前記機能性粉末に表面改質処理を施す工程と、
    を有する方法。
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