JP2021071359A - 基板検査装置、基板処理装置および基板検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】実際に取得される画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制された基板検査装置を提供する。【解決手段】基板の一面を含む画像を実画像として表す実画像データが取得される。複数の候補しきい値の各々を用いることにより、取得された実画像データの実画像から、当該実画像において基板の外周端部を表すと仮定される輪郭が候補しきい値ごとに検出される。検出された複数の輪郭の非平滑度がそれぞれ取得される。複数の輪郭の非平滑度に基づいて複数の輪郭から基板の外周端部の形状に最も近似する輪郭が選択される。選択された輪郭に対応する候補しきい値が抽出用しきい値として決定される。実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像が、決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像として抽出される。検査画像を表す画像データが基板の検査に用いる検査画像データとして生成される。【選択図】図18
Description
本発明は、基板の検査を行う基板検査装置およびそれを備えた基板処理装置ならびに基板の検査を行うための基板検査方法に関する。
基板に対する種々の処理工程において、基板の検査が行われる。特許文献1に記載される検査装置では、レジスト膜が形成された基板に露光処理および現像処理が順次行われた後、基板の外観検査が行われる。具体的には、検査対象の基板(以下、検査基板と呼ぶ。)が撮像部によって撮像されることにより画像データが取得される。一方、外観上の欠陥がないサンプルの基板(以下、サンプル基板と呼ぶ。)が予め用意され、そのサンプル基板の画像データが取得される。サンプル基板の画像データの各画素の値と検査基板の画像データの各画素の値との比較に基づいて、検査基板の欠陥が検出される。
上記の検査では、サンプル基板および検査基板の画像データの間で値が比較されるべき各2つの画素間の対応関係にずれが生じないように、画像データの比較前に各画像データから基板の部分を示す画像データを抽出する処理が行われる。
この抽出処理では、撮像により取得される画像データからサンプル基板または検査基板に外接する矩形領域の画像データを適切に抽出することが望まれる。しかしながら、実際には、サンプル基板または検査基板上に形成される膜の種類および形状等によっては、正確な抽出処理を行うことが困難な場合がある。この場合、基板の検査精度が低下する可能性がある。
本発明の目的は、実際に取得される画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制された基板検査装置、基板処理装置および基板検査方法を提供することである。
(1)第1の発明に係る基板検査装置は、少なくとも一部が円形の外周部を有する基板の検査を行う基板検査装置であって、基板の一面を含む画像を実画像として表す実画像データを取得する取得部と、予め定められた複数の候補しきい値の各々を用いることにより、取得部により取得された実画像データにより示される実画像から当該実画像において基板の外周端部を表すと仮定される輪郭を候補しきい値ごとに検出する輪郭検出部と、輪郭検出部により検出された複数の輪郭の非平滑度をそれぞれ取得し、取得された複数の輪郭の非平滑度に基づいて、複数の輪郭から基板の外周端部の形状に最も近似する輪郭を選択する輪郭選択部と、輪郭選択部により選択された輪郭に対応する候補しきい値を抽出用しきい値として決定するしきい値決定部と、実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像を、しきい値決定部により決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像として抽出することにより、基板の検査に用いる検査画像データを生成する抽出部とを備える。
その基板検査装置においては、基板の一面を含む実画像を表す実画像データが取得される。基板の外周端部を表すと仮定される輪郭が、取得された実画像データにより示される実画像から候補しきい値ごとに検出される。
検出された複数の輪郭の非平滑度がそれぞれ取得される。取得された複数の輪郭の非平滑度に基づいて、複数の輪郭から基板の外周端部の形状に最も近似する輪郭が選択される。選択された輪郭に対応する候補しきい値が抽出用しきい値として決定される。
実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像が、決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像として抽出される。それにより、基板の検査に用いる検査画像データが生成される。したがって、実際に取得される実画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制される。
(2)基板検査装置は、取得部により取得された実画像データについて輪郭強調処理を行う強調処理部をさらに備え、輪郭検出部は、輪郭強調処理後の実画像データから複数の輪郭を検出してもよい。
この場合、輪郭強調処理後の実画像データから複数の候補しきい値に対応する複数の輪郭が検出される。それにより、実画像に含まれる複数の輪郭がより適切に検出される。
(3)取得部は、同一種類の複数の基板について複数の実画像データを取得し、輪郭検出部は、複数の基板の各々について複数の輪郭を検出し、輪郭選択部は、複数の基板の各々について輪郭の選択を行い、しきい値決定部は、複数の基板の各々について抽出用しきい値を決定し、抽出部は、複数の基板の各々について検査画像データを生成し、複数の基板のうち一の基板は、外観上の欠陥がない基板であり、複数の基板のうち1または複数の他の基板の各々は、検査すべき基板であり、基板検査装置は、一の基板に対応して生成される検査画像データと1または複数の他の基板に対応して生成される検査画像データの各々とを比較することにより1または複数の他の基板を検査する検査部をさらに備えてもよい。
上記の構成によれば、一の基板に対応して生成される検査画像データの各画素と1または複数の他の基板にそれぞれ対応して生成される検査画像データの各画素との対応関係にずれが発生しにくい。したがって、基板の検査を高い精度で行うことが可能になる。
(4)実画像において、互いに直交する方向に向く第1の画像方向および第2の画像方向が定義され、輪郭検出部は、各候補しきい値を用いた輪郭の検出時に、第1の画像方向に並ぶ各画素位置において第2の画像方向に隣り合うように並ぶ各2つの画素の値の差と当該候補しきい値との関係に基づいて輪郭の有無を判定し、第1の画像方向に並ぶ複数の画素位置に対応する複数の判定結果に基づいて第1の画像方向に延びる輪郭を輪郭として検出してもよい。
この場合、第1の画像方向に並ぶ複数の画素位置において、候補しきい値ごとに輪郭の有無が判定される。それにより、複数の候補しきい値にそれぞれ対応する複数の輪郭を容易に検出することができる。
(5)基板検査装置は、輪郭検出部により候補しきい値ごとに検出される輪郭に許容条件を超える段差が存在するか否かを判定する段差判定部をさらに備え、輪郭選択部は、段差判定部により許容条件を超える段差が存在すると判定された輪郭を選択しなくてもよい。この場合、検出される複数の輪郭から、適切でない輪郭が選択されることが防止される。
(6)第2の発明に係る基板処理装置は、基板上に膜を形成する膜形成部と、膜形成部により膜が形成された基板を検査する上記の基板検査装置とを備える。
その基板処理装置においては、膜生成部による膜の形成後の基板が上記の基板検査装置により検査される。これにより、実際に取得される実画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制される。その結果、膜形成部における基板の処理不要の発生を正確に把握することができる。
(7)第3の発明に係る基板検査方法は、少なくとも一部が円形の外周部を有する基板の検査を行う基板検査方法であって、基板の一面を含む画像を実画像として表す実画像データを取得するステップと、予め定められた複数の候補しきい値の各々を用いることにより、取得するステップにより取得された実画像データにより示される実画像から当該実画像において基板の外周端部を表すと仮定される輪郭を候補しきい値ごとに検出するステップと、検出するステップにより検出された複数の輪郭の非平滑度をそれぞれ取得し、取得された複数の輪郭の非平滑度に基づいて、複数の輪郭から基板の外周端部の形状に最も近似する輪郭を選択するステップと、選択するステップにより選択された輪郭に対応する候補しきい値を抽出用しきい値として決定するステップと、実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像を、決定するステップにより決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像として抽出することにより、基板の検査に用いる検査画像データを生成するステップとを含む。
その基板検査方法においては、基板の一面を含む実画像を表す実画像データが取得される。基板の外周端部を表すと仮定される輪郭が、取得された実画像データにより示される実画像から候補しきい値ごとに検出される。
検出された複数の輪郭の非平滑度がそれぞれ取得される。取得された複数の輪郭の非平滑度に基づいて、複数の輪郭から基板の外周端部の形状に最も近似する輪郭が選択される。選択された輪郭に対応する候補しきい値が抽出用しきい値として決定される。
実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像が、決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像として抽出される。それにより、基板の検査に用いる検査画像データが生成される。したがって、実際に取得される実画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制される。
(8)基板検査方法は、取得するステップにより取得された実画像データについて輪郭強調処理を行うステップをさらに含み、検出するステップは、輪郭強調処理後の実画像データから複数の輪郭を検出することを含んでもよい。
この場合、輪郭強調処理後の実画像データから複数の候補しきい値に対応する複数の輪郭が検出される。それにより、実画像に含まれる複数の輪郭がより適切に検出される。
(9)取得するステップは、同一種類の複数の基板について複数の実画像データを取得することを含み、検出するステップは、複数の基板の各々について複数の輪郭を検出することを含み、選択するステップは、複数の基板の各々について輪郭の選択を行うことを含み、決定するステップは、複数の基板の各々について抽出用しきい値を決定することを含み、抽出するステップは、複数の基板の各々について検査画像データを生成することを含み、複数の基板のうち一の基板は、外観上の欠陥がない基板であり、複数の基板のうち1または複数の他の基板の各々は、検査すべき基板であり、基板検査方法は、一の基板に対応して生成される検査画像データと1または複数の他の基板に対応して生成される検査画像データの各々とを比較することにより1または複数の他の基板を検査するステップをさらに含んでもよい。
上記の方法によれば、一の基板に対応して生成される検査画像データの各画素と1または複数の他の基板にそれぞれ対応して生成される検査画像データの各画素との対応関係にずれが発生しにくい。したがって、基板の検査を高い精度で行うことが可能になる。
(10)実画像において、互いに直交する方向に向く第1の画像方向および第2の画像方向が定義され、検出するステップは、各候補しきい値を用いた輪郭の検出時に、第1の画像方向に並ぶ各画素位置において第2の画像方向に隣り合うように並ぶ各2つの画素の値の差と当該候補しきい値との関係に基づいて輪郭の有無を判定し、第1の画像方向に並ぶ複数の画素位置に対応する複数の判定結果に基づいて第1の画像方向に延びる輪郭を輪郭として検出することを含んでもよい。
この場合、第1の画像方向に並ぶ複数の画素位置において、候補しきい値ごとに輪郭の有無が判定される。それにより、複数の候補しきい値にそれぞれ対応する複数の輪郭を容易に検出することができる。
(11)基板検査方法は、検出するステップにより候補しきい値ごとに検出される輪郭に許容条件を超える段差が存在するか否かを判定するステップをさらに含み、選択するステップは、判定するステップにより許容条件を超える段差が存在すると判定された輪郭を選択しないことを含んでもよい。この場合、検出される複数の輪郭から、適切でない輪郭が選択されることが防止される。
本発明によれば、実際に取得される画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制される。
以下、本発明の実施の形態に係る基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法および基板処理方法について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態において検査対象となる基板は、一面(主面)および他面(裏面)を有し、その一面の少なくとも中央部には周期的なパターンを有する膜が形成されている。基板に形成される膜としては、例えばレジスト膜、反射防止膜およびレジストカバー膜等が挙げられる。なお、本実施の形態において検査対象となる基板には、基板の向きを判定するためのノッチが形成されている。基板の外周端部は、ノッチを除いて真円形状を有する。
[1]基板検査装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板検査装置の外観斜視図である。図2は、図1の基板検査装置200の内部の構成を示す模式的側面図である。図1に示すように、基板検査装置200は、筐体部210、投光部220、反射部230、撮像部240、基板保持装置250、移動部260、ノッチ検出部270および制御部280を含む。
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板検査装置の外観斜視図である。図2は、図1の基板検査装置200の内部の構成を示す模式的側面図である。図1に示すように、基板検査装置200は、筐体部210、投光部220、反射部230、撮像部240、基板保持装置250、移動部260、ノッチ検出部270および制御部280を含む。
筐体部210は、一方向に延びる矩形の箱形状を有する。筐体部210の側部には、基板Wを搬入および搬出するためのスリット状の開口部211が形成されている。投光部220、反射部230、撮像部240、基板保持装置250、移動部260およびノッチ検出部270は、筐体部210内に収容されている。
投光部220は、例えば1または複数の光源を含み、水平面内で筐体部210の長手方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。また、投光部220は、筐体部210内の略中央部に設けられ、基板Wの直径よりも大きい帯状の光を斜め下方に出射する。以下の説明では、基板検査装置200において水平面内で投光部220が延びる方向(筐体部210の短手方向)を第1の装置方向D1と呼ぶ。また、水平面内で第1の装置方向D1に直交する方向(筐体部210の長手方向)を第2の装置方向D2と呼ぶ。
反射部230は、例えば長尺状のミラーを含み、投光部220に隣り合うとともに第1の装置方向D1に平行に延びかつ斜め下方を向くように、筐体部210内の略中央部に設けられている。
撮像部240は、水平面内で反射部230のミラーに対向するように設けられ、複数の画素が線状に並ぶように配置された撮像素子、および1または複数の集光レンズを含む。本例では、撮像部240の撮像素子としてモノクロ(白黒)のCCD(電荷結合素子)ラインセンサが用いられる。なお、撮像部240のラインセンサとしては、モノクロのCMOS(相補性金属酸化膜半導体)ラインセンサを用いることもできる。撮像部240の撮像素子において複数の画素が並ぶ方向は、第1の装置方向D1に平行である。このような構成により、撮像部240は、第1の装置方向D1に平行に延びる線状の撮像領域を有する。
図2に示すように、基板保持装置250は、例えばスピンチャックであり、駆動装置251および回転保持部252を含む。駆動装置251は、例えば電動モータであり、回転軸253を有する。回転保持部252は、駆動装置251の回転軸253の先端に取り付けられ、検査対象の基板Wを保持した状態で鉛直軸の周りで回転駆動される。
移動部260は、一対のガイド部材261(図1)および移動保持部262を含む。一対のガイド部材261は、第1の装置方向D1に並びかつ第2の装置方向D2に延びるように設けられる。移動保持部262は、基板保持装置250を保持しつつ一対のガイド部材261に沿って第2の装置方向D2およびその逆方向に移動可能に構成される。基板保持装置250が基板Wを保持する状態で移動保持部262が移動することにより、基板Wが投光部220および反射部230の下方を通過する。それにより、撮像部240の線状の撮像領域が基板Wの一面を通過する。
ノッチ検出部270は、例えば投光素子および受光素子を含む反射型光電センサであり、基板Wが基板保持装置250により回転される状態で、その基板Wの外周部に向けて光を出射するとともに基板Wからの反射光を受光する。ノッチ検出部270は、基板Wからの反射光の受光量に基づいて基板Wのノッチを検出する。ノッチ検出部270として透過型光電センサを用いることもできる。
制御部280(図1)は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、投光部220、撮像部240、基板保持装置250、移動部260およびノッチ検出部270を制御する。制御部280の詳細は後述する。
[2]基板検査装置200による基板Wの撮像
図1の基板検査装置200においては、筐体部210内に搬入される基板Wの一面が撮像部240により撮像される。この撮像動作について説明する。撮像対象となる基板Wは、図1の開口部211を通して筐体部210内に搬入され、基板保持装置250により保持される。
図1の基板検査装置200においては、筐体部210内に搬入される基板Wの一面が撮像部240により撮像される。この撮像動作について説明する。撮像対象となる基板Wは、図1の開口部211を通して筐体部210内に搬入され、基板保持装置250により保持される。
続いて、基板保持装置250により基板Wが回転されつつノッチ検出部270から基板Wの周縁部に光が出射され、その反射光がノッチ検出部270により受光される。これにより、基板Wのノッチが検出され、基板Wの向きが判定される。基板Wの向きの判定結果に基づいて、基板Wのノッチが予め定められた方向を向くように基板Wの回転位置が基板保持装置250により調整される。
次に、投光部220から斜め下方に帯状の光が出射される。この状態で、基板Wが投光部220の下方を通るように、基板Wが移動部260により第2の装置方向D2に移動される。第1の装置方向D1における投光部220からの光の照射範囲は、基板Wの直径よりも大きい。これにより、基板Wの一面における複数の部分に投光部220からの光が順次照射される。基板Wから反射される光は反射部230によりさらに反射されて撮像部240に導かれる。
撮像部240の撮像素子は、基板Wの一面から反射される光を所定のサンプリング周期で受光することにより、基板Wの一面における複数の部分を順次撮像する。撮像素子を構成する各画素は受光量に応じた値を示す画素データを出力する。撮像部240から出力される複数の画素データに基づいて、基板Wの一面上の全体の画像を示す画像データが生成される。以下の説明では、撮像部240が基板Wを撮像することにより生成される画像データを実画像データと呼び、実画像データにより表される矩形の画像を実画像と呼ぶ。実画像には、基板Wの一面全体の画像とともに基板Wを取り囲む不要部分が含まれる。
その後、移動部260により基板Wが所定の位置に戻され、後述する図20の搬送装置120により基板Wが開口部211を通して筐体部210の外部に搬出される。
ここで、実画像データは、基板Wの一面上の複数の位置の画像をそれぞれ表す複数の画素値を含む。投光部220から基板Wに照射される光の光量は、実画像データにより表される実画像のうち基板中央部を示す複数の画素値の最大値が予め定められた目標画素値に近づくように設定される。なお、光量の設定は、例えば実験またはシミュレーション等に基づいて行われる。
[3]基板Wの検査の概要および検査画像データ
(1)基板Wの検査の概要
基板Wの検査は基本的に次のように行われる。まず、欠陥がないサンプルの基板Wの一面が撮像され、そのサンプルの基板Wについての実画像データが生成される。また、検査対象の基板Wの一面が撮像され、その検査対象の基板Wについての実画像データが生成される。ここでいう基板Wの一面は、より正確には基板Wの一面上に形成された膜の表面を意味する。
(1)基板Wの検査の概要
基板Wの検査は基本的に次のように行われる。まず、欠陥がないサンプルの基板Wの一面が撮像され、そのサンプルの基板Wについての実画像データが生成される。また、検査対象の基板Wの一面が撮像され、その検査対象の基板Wについての実画像データが生成される。ここでいう基板Wの一面は、より正確には基板Wの一面上に形成された膜の表面を意味する。
その後、サンプルの基板Wの実画像データの各画素の値と検査対象の基板Wの実画像データの各画素の値との比較に基づいて、検査対象の基板Wにおける欠陥の有無が判定される。このとき、サンプルおよび検査対象の基板Wの実画像データの間で互いに比較される各2つの画素の対応関係にずれが生じると、欠陥の有無を正確に判定することができない。このような対応関係のずれは、実画像データを生成するための撮像時における基板Wの位置ずれ等に起因して発生する。
そこで、本実施の形態に係る基板Wの検査方法においては、サンプルおよび検査対象の基板Wの実画像データの間で各2つの画素間の対応関係にずれが生じないように、各実画像から基板Wの画像を抽出する処理が行われる。以下の説明では、抽出する処理により生成される画像データを検査画像データと呼び、検査画像データにより表される画像を検査画像と呼ぶ。
(2)実画像および検査画像
図3は、撮像により生成された実画像の一例を示す図である。図3の実画像RI0の中央部には、基板Wの一面を表す画像wiが薄いドットパターンで示される。また、その実画像RI0においては、基板Wの画像wiを取り囲みかつ基板Wの検査に不要な画像uiが濃いハッチングで示される。基板Wに形成されるノッチは、基板Wの外周端部全体に比べて十分に小さい。そのため、図3に示すように、基板Wの外周端部を表す輪郭の形状は真円とみなすことができる。
図3は、撮像により生成された実画像の一例を示す図である。図3の実画像RI0の中央部には、基板Wの一面を表す画像wiが薄いドットパターンで示される。また、その実画像RI0においては、基板Wの画像wiを取り囲みかつ基板Wの検査に不要な画像uiが濃いハッチングで示される。基板Wに形成されるノッチは、基板Wの外周端部全体に比べて十分に小さい。そのため、図3に示すように、基板Wの外周端部を表す輪郭の形状は真円とみなすことができる。
ここで、基板検査装置200において生成される実画像データの各画素の位置は、装置固有の二次元座標系(以下、装置座標系と呼ぶ。)で表される。本実施の形態において、装置座標系は、互いに直交するx軸およびy軸を有するxy座標系である。図3では、x軸およびy軸がそれぞれ太い点線で示される。x軸方向は例えば図1の第1の装置方向D1に対応し、y軸方向は例えば図1の第2の装置方向D2に対応する。装置座標系の原点は、例えば、実画像RI0の4つの頂点のうち一の頂点にある画素の位置に設定される。図3の例においては、実画像RI0の左上の頂点にある画素の位置が原点に設定される。x軸は、実画像RI0の上辺に沿って実画像RI0の左上の頂点から右上の頂点に向かうように設定されている。y軸は、実画像RI0の左辺に沿って実画像RI0の左上の頂点から左下の頂点に向かうように設定されている。
図4は、図3の実画像RI0に対応する理想的な検査画像の一例を示す図である。図4に示すように、本実施の形態においては、実画像RI0から、基板Wの外周端部を表す円形の輪郭に外接する矩形領域を抽出した画像が、理想的な検査画像IIとされる。図4では、検査画像IIの抽出元である図3の実画像RI0の外縁が一点鎖線で示される。理想的な検査画像IIの外縁は、実画像RI0の四辺にそれぞれ平行な四辺を有する。
複数の基板Wについて理想的な複数の検査画像IIがそれぞれ生成されると、生成された複数の検査画像IIは共通のサイズおよび画像中心を有することになる。それにより、各検査対象の基板Wについての欠陥の有無の判定時に、サンプルおよび検査対象の基板Wの実画像データの間で互いに比較される各2つの画素の対応関係にずれが生じることが防止される。
(3)検査画像データの生成方法
検査画像データの生成方法について説明する。図3の実画像RI0の実画像データから図4の検査画像IIの検査画像データを生成するためには、実画像RI0に対する抽出対象の領域を正確に求める必要がある。
検査画像データの生成方法について説明する。図3の実画像RI0の実画像データから図4の検査画像IIの検査画像データを生成するためには、実画像RI0に対する抽出対象の領域を正確に求める必要がある。
図5〜図8は、図3の実画像RI0から抽出対象の領域を求める方法の一例を説明するための図である。抽出対象の領域を求めるためには、まず図3の実画像RI0から基板Wの外周端部を示す輪郭を検出する必要がある。そこで、図3の実画像RI0の実画像データについて、輪郭成分を強調するための画像処理(以下、輪郭強調処理と呼ぶ。)を行う。この輪郭強調処理では、SobelフィルタまたはPrewittフィルタ等を用いることができる。図5に、輪郭強調処理後の実画像RI1の一例が示される。その実画像RI1においては、基板Wの外周端部を表す輪郭が一点鎖線で示される。
次に、輪郭強調処理後の実画像RI1から、基板Wの外周端部のうち第2の装置方向D2(図1)を向く部分を表す輪郭を検出する。この場合、輪郭強調処理後の実画像RI1において、互いに直交する方向に向く第1の画像方向および第2の画像方向を定義する。本例では、輪郭強調処理後の実画像RI1において、実画像RI1の4つの頂点のうち左下の頂点から右下の頂点に向かうように第1の画像方向を定義する。また、実画像RI1の4つの頂点のうち左下の頂点から左上の頂点に向かうように第2の画像方向を定義する。
次に、第1の画像方向に並ぶ各画素位置において、第2の画像方向に隣り合うように並ぶ各2つの画素の値の差分値dfを、実画像RI1の下辺から第2の画像方向に順次算出する。図6では、図5の第1の画像方向における画素位置p1において第2の画像方向に並ぶ複数の画素の値が×印で示され、図5の第1の画像方向における画素位置p2において第2の画像方向に並ぶ複数の画素の値が〇印で示される。
図6によれば、第1の画像方向の画素位置p1においては、第2の画像方向に並ぶ画素の値に大きな変化は認められない。第2の画像方向に隣り合うように並ぶ各2つの画素の値の差分値dfはほぼ0で維持されている。このことは、当該第1の画像方向の画素位置p1において第2の画像方向に交差する輪郭が存在しないことを意味する。
一方、第1の画像方向の画素位置p2においては、第2の画像方向に並ぶ複数の画素の値に局所的に大きな変化が認められる。差分値dfが大きく変化する部分には、当該第1の画像方向の画素位置p2において第2の画像方向に交差する輪郭が存在する可能性がある。
そこで、算出された差分値dfが予め定められた抽出用しきい値を超えたか否かに基づいて、輪郭の存在が判定される。具体的には、第1の画像方向の各画素位置において、第2の画像方向に順次差分値dfが算出されるとともに算出された差分値dfが抽出用しきい値よりも大きいか否かが判定される。そこで、算出された差分値dfが抽出用しきい値が最初に抽出用しきい値よりも大きいと判定された場合に、その差分値dfが算出された第2の画像方向の画素位置に輪郭が存在すると判定される。一方、全ての差分値dfが抽出用しきい値以下である場合にそれらの差分値dfが算出された第2の画像方向の画素位置に輪郭は存在しないと判定される。
図6の例では、第2の画像方向における画素位置p2cで差分値dfが最初に抽出用しきい値を超えたものとする。この場合、第2の画像方向における画素位置p2cに輪郭が存在すると判定される。図6の画素位置p2cで輪郭と判定された実画像RI1上の位置が、図5に〇印で示される。
上記のように、実画像RI1が存在する第1の画像方向の全ての画素位置の各々において第2の画像方向に交差する輪郭の有無を判定する。それにより、図7に太い実線で示すように、実画像RI1から基板Wの外周端部のうち第2の装置方向D2を向く部分を表す輪郭が検出される。この輪郭は図5の実画像RI1の下辺に対応する。
次に、輪郭強調処理後の実画像RI1から、基板Wの外周端部のうち第2の装置方向D2(図1)の逆の方向を向く部分を表す輪郭を検出する。この検出時には、例えば図5の実画像RI1の4つの頂点のうち右上の頂点から左上の頂点に向かうように第1の画像方向を定義する。また、実画像RI1の4つの頂点のうち右上の頂点から右下の頂点に向かうように第2の画像方向を定義する。それにより、上記の図5〜図7の例と基本的に同様の方法で、基板Wの外周端部のうち第2の装置方向D2(図1)の逆の方向を向く部分を表す輪郭が検出される。この輪郭は図5の実画像RI1の上辺に対応する。
また、輪郭強調処理後の実画像RI1から、基板Wの外周端部のうち第1の装置方向D1(図1)を向く部分を表す輪郭を検出する。この検出時には、例えば図5の実画像RI1の4つの頂点のうち左上の頂点から左下の頂点に向かうように第1の画像方向を定義する。また、実画像RI1の4つの頂点のうち左上の頂点から右上の頂点に向かうように第2の画像方向を定義する。それにより、上記の図5〜図7の例と基本的に同様の方法で、基板Wの外周端部のうち第1の装置方向D1(図1)を向く部分を表す輪郭が検出される。この輪郭は図5の実画像RI1の左辺に対応する。
さらに、輪郭強調処理後の実画像RI1から、基板Wの外周端部のうち第1の装置方向D1(図1)の逆の方向を向く部分を表す輪郭を検出する。この検出時には、例えば図5の実画像RI1の4つの頂点のうち右下の頂点から右上の頂点に向かうように第1の画像方向を定義する。また、実画像RI1の4つの頂点のうち右下の頂点から左下の頂点に向かうように第2の画像方向を定義する。それにより、上記の図5〜図7の例と基本的に同様の方法で、第1の装置方向D1(図1)の逆の方向を向く部分を表す輪郭が検出される。この輪郭は図5の実画像RI1の右辺に対応する。
それにより、図8に太い実線で示すように、輪郭強調処理後の実画像RI1から、基板Wの外周端部の全体を表す輪郭が検出される。最後に、x軸に平行でかつ検出された基板Wの輪郭に接する2つの接線l01,l02を求める。また、y軸に平行でかつ検出された基板Wの輪郭に接する2つの接線l11,l12を求める。求められた4つの接線l01,l02,l11,l12で取り囲まれる矩形領域が、抽出対象の領域となる。これにより、4つの接線l01,l02,l11,l12の座標に基づいて検査画像データが生成される。
(4)適切な検査画像データが生成されない場合の一例
撮像により生成される実画像RI0においては、基板Wの一面を表す画像wiを構成する複数の画素の値は略均一であるとは限らない。例えば、周縁部の膜が除去された基板Wの実画像RI0においては、膜が存在しない基板Wの周縁部の画像部分の画素値と膜が存在する基板Wの中央部の画像部分の画素値との間で比較的大きな差が生じる可能性がある。このような画素値の差は、輪郭を形成する。
撮像により生成される実画像RI0においては、基板Wの一面を表す画像wiを構成する複数の画素の値は略均一であるとは限らない。例えば、周縁部の膜が除去された基板Wの実画像RI0においては、膜が存在しない基板Wの周縁部の画像部分の画素値と膜が存在する基板Wの中央部の画像部分の画素値との間で比較的大きな差が生じる可能性がある。このような画素値の差は、輪郭を形成する。
図9は、周縁部の膜が除去された基板Wの実画像RI0の一例を示す図である。図9では、基板Wの一面を表す画像wi内の画素値の差がドットパターンの濃度差で表される。また、基板Wの外周端部を表す輪郭が二点鎖線で示され、膜が存在しない基板Wの周縁部の画像部分と膜が存在する基板Wの中央部の画像部分との境界を表す輪郭が一点鎖線で示される。
複数の輪郭を含む実画像RI0の実画像データから検査画像データを生成する際には、抽出用しきい値が適切でないと、基板Wの外周端部とは異なる部分を表す輪郭が基板Wの外周端部の輪郭として検出される可能性がある。この場合、適切な検査画像データを生成することができない。
例えば、図9に一点鎖線で表される基板Wの画像wi内の輪郭が基板Wの外周端部の輪郭として検出された場合を仮定する。この場合、図9に点線で示すように抽出対象の領域が誤って設定される。
図10は、抽出対象の領域が誤って設定された状態で図9の実画像RI0から生成される検査画像IIの一例を示す図である。図10の検査画像IIにおいては、抽出対象の領域が誤って設定されることにより、基板Wの一面を示す画像wiのうち一部の領域が欠落している。
(5)適切な検査画像データが生成されない場合の他の例
撮像により生成される実画像RI0においては、基板Wの検査に不要な画像uiを構成する複数の画素の値は略均一であるとは限らない。例えば、基板検査装置200の構造によっては、基板Wの撮像時に基板Wの周辺に設けられる一部の部品(例えば、ケーブル等)が基板Wとともに撮像される。この場合、部品を表す画像部分の画素値と他の画像部分の画素値との間で比較的大きな差が生じる可能性がある。このような画素値の差は、輪郭を形成する。
撮像により生成される実画像RI0においては、基板Wの検査に不要な画像uiを構成する複数の画素の値は略均一であるとは限らない。例えば、基板検査装置200の構造によっては、基板Wの撮像時に基板Wの周辺に設けられる一部の部品(例えば、ケーブル等)が基板Wとともに撮像される。この場合、部品を表す画像部分の画素値と他の画像部分の画素値との間で比較的大きな差が生じる可能性がある。このような画素値の差は、輪郭を形成する。
図11は、基板Wの周辺に設けられた部品が基板Wとともに撮像された場合の基板Wの実画像RI0の一例を示す図である。図11では、基板Wの検査に不要な画像ui内の画素値の差がハッチングの濃度差で表される。また、基板Wの外周端部を表す輪郭が二点鎖線で示され、部品の外縁を表す輪郭が一点鎖線で示される。
上記のように、複数の輪郭を含む実画像RI0の実画像データから検査画像データを生成する際には、抽出用しきい値が適切でないと、適切な検査画像データを生成することができない。
例えば、図11に一点鎖線で表される部品の外縁を表す輪郭が基板Wの外周端部の輪郭として検出された場合を仮定する。この場合、図11に点線で示すように抽出対象の領域が誤って設定される。
図12は、抽出対象の領域が誤って設定された状態で図11の実画像RI0から生成される検査画像IIの一例を示す図である。図12の検査画像IIには、抽出対象の領域が誤って設定されることにより、検査に不要な広範囲の画像が含まれる。
(6)適切な抽出用しきい値の決定
抽出用しきい値が適切でないことにより抽出対象の領域が誤って設定されることを防止するために、本実施の形態では、実画像データが生成されるごとにその実画像データに対して適切な抽出用しきい値が決定される。
抽出用しきい値が適切でないことにより抽出対象の領域が誤って設定されることを防止するために、本実施の形態では、実画像データが生成されるごとにその実画像データに対して適切な抽出用しきい値が決定される。
具体的には、本実施の形態に係る基板検査装置200においては、抽出用しきい値になり得る予め定められた複数の候補しきい値が図1の制御部280に記憶されている。基板Wの撮像により実画像データが生成されると、基板Wの外周端部を表すと仮定される輪郭が候補しきい値ごとに実画像RI0から検出される。次に、検出された複数の輪郭から基板Wの外周端部の形状に最も近似する輪郭が選択される。選択された輪郭に対応する候補しきい値が抽出用しきい値として決定される。
適切な抽出用しきい値の決定方法について、具体例を説明する。図13〜図16は、適切な抽出用しきい値の決定方法の具体例を説明するための図である。図13に実画像RI0の一例が示される。図13の実画像RI0においては、図9の例と同様に、基板Wの一面を表す画像wiのうち基板Wの周縁部の画像部分wiaの画素値と基板Wの中央部の画像部分wibの画素値との間で、比較的大きな差があるものとする。
また、図13の実画像RI0においては、図11の例と同様に、基板Wの検査に不要な画像ui内に部品を表す2つの画像部分uixが含まれる。画像部分uixの画素値と画像uiのうち画像部分uixを除く部分の画素値との間には、比較的大きな差があるものとする。
図13の実画像RI0の実画像データに適切な抽出用しきい値を決定する場合には、当該実画像データについて輪郭強調処理が行われる。図14に図13の実画像RI0に対応する輪郭強調処理後の実画像RI1が示される。図14の実画像RI1では、基板Wの外周端部を表す輪郭c1が点線で示される。また、図13の基板Wの周縁部の画像部分wiaと基板Wの中央部の画像部分wibとの境界を表す輪郭c2が一点鎖線で示される。さらに、図13の画像uiにおける部品の画像部分uixを表す輪郭c3が二点鎖線で示される。これらの複数種類の輪郭c1,c2,c3は、互いに異なる画素値で表されるものとする。ここで、輪郭c1は、基板Wの外周端部を表すため、極めて低い非平滑度を有する。一方、輪郭c2は、輪郭c1に比べて高い非平滑度を有する。
次に、図1の制御部280に記憶された複数の候補しきい値T0〜Tn(nは2以上の自然数)の各々を用いて基板Wの外周端部を表すと仮定される輪郭が実画像RI1から検出される。より具体的には、図14の実画像RI1の4辺にそれぞれ対応しかつ基板Wの外周端部を表すと仮定される4つの輪郭が図14の実画像RI1から検出される。
以下の説明では、図14の実画像RI1の下辺に対応して検出される輪郭を下輪郭UCと呼び、図14の実画像RI1の左辺に対応して検出される輪郭を左輪郭LCと呼ぶ。また、図14の実画像RI1の上辺に対応して検出される輪郭部分を上輪郭TCと呼び、図14の実画像RI1の右辺に対応して検出される輪郭部分を右輪郭RCと呼ぶ。下輪郭UC、左輪郭LC、上輪郭TCおよび右輪郭RCが合成されることにより、基板Wの外周端部全体を表すと仮定される一の輪郭が形成される。
図15に、複数の候補しきい値T0〜Tnを用いて実画像RI1から検出される複数の輪郭の一例が示される。図15に示される各実画像RI1では、基板Wの外周端部を表す輪郭c1が点線で示されるとともに、検出された下輪郭UC、左輪郭LC、上輪郭TCおよび右輪郭RCが太い実線で示される。
図15に示すように、候補しきい値T0,T1を用いて検出された各輪郭(UC,LC,TC,RC)は、基板Wの外周端部を表す輪郭c1の内側に位置し、輪郭c1に比べて非平滑度が高い。このことは、候補しきい値T0,T1を用いて輪郭の検出を行うと、図14の輪郭c1に代えて図14の輪郭c2が検出されることを意味する。
一方、候補しきい値Tnを用いて検出された各輪郭(UC,LC,TC,RC)は、その一部分が輪郭c1に一致するが、他の部分が輪郭c1からずれている。そのため、検出された各輪郭(UC,LC,TC,RC)は、輪郭c1に比べて非平滑度が高い。このことは、候補しきい値Tnを用いて輪郭の検出を行うと、図14の輪郭c1とともに図14の輪郭c3が検出されることを意味する。
他方、候補しきい値Tk(kは1およびnを除く特定の自然数)を用いて検出された各輪郭(UC,LC,TC,RC)は、その全てが輪郭c1に一致しており、輪郭c1と同等の極めて低い非平滑度を有する。このことは、候補しきい値Tkを用いて輪郭の検出を行うと、図14の輪郭c1のみが検出されることを意味する。この場合、候補しきい値Tkは、他の候補しきい値に比べて最も適切なしきい値であるといえる。そこで、候補しきい値Tkが抽出用しきい値として決定される。
上記のように、検出されるべき基板Wの外周端部の輪郭は、極めて低い非平滑度を有する。したがって、抽出用しきい値として決定されるべき候補しきい値は、各候補しきい値T0〜Tnを用いて検出された各輪郭(UC,LC,TC,RC)の非平滑度がどの程度低いかに基づいて求めることができる。本実施の形態では、候補しきい値ごとに検出された各輪郭(UC,LC,TC,RC)の非平滑度は次のように算出される。
まず、一の候補しきい値を用いて検出された下輪郭UCを表す各画素が注目画素とされる。次に、各注目画素の装置座標系の座標(x,y)が座標(i,ei)で表されるとした場合に、当該注目画素の位置が座標(i,(ei−q+ei+q)/2)からどれだけずれているのかを示す偏差評価値Diが算出される。下輪郭UCの各注目画素についての偏差評価値Diは、次式(1)により算出することができる。
Di=|ei−(ei−q+ei+q)/2| …(1)
ここで、下輪郭UCのx軸方向の最小の画素位置をpxaとし、下輪郭UCのx軸方向の最大の画素位置をpxbとした場合に、「i」は「pxa−q」以上「pxa+q」以下である。また、「q」は自然数であり、本例では1である。
ここで、下輪郭UCのx軸方向の最小の画素位置をpxaとし、下輪郭UCのx軸方向の最大の画素位置をpxbとした場合に、「i」は「pxa−q」以上「pxa+q」以下である。また、「q」は自然数であり、本例では1である。
図16では、上段の実画像RI1について検出された下輪郭UCのうち〇印で示される一の注目画素について、算出された偏差評価値Diが下段のグラフに図示されている。
注目画素ごとに算出される偏差評価値Diは、当該注目画素における輪郭の非平滑さの度合いを示している。偏差評価値Diが大きいほど当該注目画素における輪郭の非平滑さの度合いが高い。一方、偏差評価値Diが小さいほど当該注目画素における輪郭の非平滑さの度合いが低い。
そこで、下輪郭UCについて算出された複数の偏差評価値Diのうち予め定められた偏差しきい値DivThよりも大きい偏差評価値Diの数がカウントされ、その総数が下輪郭UC全体の非平滑度として決定される。偏差しきい値DivThは、例えば2である。
このとき、複数の偏差評価値Diのうち少なくとも一部が予め定められた偏差最大値DivMaxよりも大きいか否かが判定される。偏差最大値DivMaxは、例えば5である。複数の偏差評価値Diのうち少なくとも一部が偏差最大値DivMaxよりも大きいことは、対象の輪郭に許容条件を超える段差が存在することを意味する。そこで、複数の偏差評価値Diうち少なくとも一部が偏差最大値DivMaxよりも大きい場合には、決定される非平滑度に禁止情報が付加される。禁止情報は、当該禁止情報が付加された非平滑度を有する輪郭を検出するために用いられた候補しきい値が抽出用しきい値として決定されることを禁止するための情報である。
続いて、左輪郭LC、上輪郭TCおよび右輪郭RCについても、下輪郭UCの例と基本的に同様の手順で非平滑度が決定される。下輪郭UC、左輪郭LC、上輪郭TCおよび右輪郭RCについてそれぞれ決定された非平滑度を合計することにより、一の候補しきい値に対応する合計非平滑度が算出される。なお、合計非平滑度を得るために合計された複数の非平滑度のいずれかに禁止情報が付加されている場合には、当該合計非平滑度にも禁止情報が付加される。
その後、複数の合計非平滑度のうち最も値が小さくかつ禁止情報が付加されていない合計非平滑度に対応する輪郭が、基板Wの外周端部の形状に最も近似する輪郭として選択される。また、選択された輪郭に対応する候補しきい値が抽出用しきい値として決定される。
[4]基板検査装置200の制御部280の機能的な構成
図17は、図1の制御部280の機能的な構成を示すブロック図である。図17に示すように、制御部280は、撮像制御部281、取得部282、強調処理部283、輪郭検出部284、輪郭選択部285、しきい値決定部286、抽出部287、検査部288、段差判定部289および検査記憶部290を有する。これらの機能部は、CPUがメモリ等に記憶されたコンピュータプログラム(後述する基板検査処理用のプログラム)を実行することにより実現される。なお、制御部280の一部または全ての機能部の構成が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
図17は、図1の制御部280の機能的な構成を示すブロック図である。図17に示すように、制御部280は、撮像制御部281、取得部282、強調処理部283、輪郭検出部284、輪郭選択部285、しきい値決定部286、抽出部287、検査部288、段差判定部289および検査記憶部290を有する。これらの機能部は、CPUがメモリ等に記憶されたコンピュータプログラム(後述する基板検査処理用のプログラム)を実行することにより実現される。なお、制御部280の一部または全ての機能部の構成が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
撮像制御部281は、筐体部210(図1)に搬入されるサンプルの基板Wが撮像されるように、投光部220、撮像部240、基板保持装置250、移動部260およびノッチ検出部270を制御する。また、撮像制御部281は、筐体部210(図1)に搬入される検査対象の基板Wが撮像されるように、投光部220、撮像部240、基板保持装置250、移動部260およびノッチ検出部270を制御する。これらの場合、撮像部240は、撮像により得られる画素データを制御部280に出力する。
取得部282は、撮像部240によるサンプルの基板Wの撮像時に、撮像部240から出力される画素データに基づいてサンプルの基板Wの実画像データを生成する。また、取得部282は、撮像部240による検査対象の基板Wの撮像時に、撮像部240から出力される画素データに基づいて検査対象の基板Wの実画像データを生成する。さらに、取得部282は、サンプルおよび検査対象の基板Wの実画像データを検査記憶部290に記憶させる。
強調処理部283は、取得部282により生成された各実画像データについて輪郭強調処理を行う。検査記憶部290には、予め複数の候補しきい値T0〜Tnが記憶されている。輪郭検出部284は、複数の候補しきい値T0〜Tnの各々を用いることにより、輪郭強調処理後の実画像データから基板Wの外周端部を表すと仮定される輪郭を候補しきい値ごとに検出する。
段差判定部289は、候補しきい値ごとに検出される輪郭に許容条件を超える段差が存在するか否かを判定する。輪郭選択部285は、輪郭検出部284により検出された複数の輪郭について複数の合計非平滑度をそれぞれ算出する。また、輪郭選択部285は、算出された複数の輪郭の合計非平滑度に基づいて、複数の輪郭から基板Wの外周端部の形状に最も近似する輪郭を選択する。このとき、輪郭選択部285は、段差判定部289により許容条件を超えると判定された輪郭を選択の対象から除外する。
しきい値決定部286は、輪郭選択部285により選択された輪郭に対応する候補しきい値を抽出用しきい値として決定する。抽出部287は、決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像を抽出することにより検査画像データを生成する。
検査部288は、サンプルの基板Wの検査画像データの各画素の値と検査対象の基板Wの検査画像データの各画素の値との比較に基づいて、検査対象の基板Wにおける欠陥の有無を判定する。また、検査部288は、検査対象の基板Wにおける欠陥の有無の判定結果を検査記憶部290に記憶させ、判定結果を基板検査装置200の外部装置に出力する。
[5]基板検査処理
上記のように、基板検査装置200において基板Wを検査するために制御部280により行われる一連の処理を基板検査処理と呼ぶ。図18および図19は、本発明の一実施の形態に係る基板検査処理の一例を示すフローチャートである。基板検査処理は、例えば使用者が基板検査装置200の操作部(図示せず)を用いて制御部280に検査開始の指令を与えることにより開始される。
上記のように、基板検査装置200において基板Wを検査するために制御部280により行われる一連の処理を基板検査処理と呼ぶ。図18および図19は、本発明の一実施の形態に係る基板検査処理の一例を示すフローチャートである。基板検査処理は、例えば使用者が基板検査装置200の操作部(図示せず)を用いて制御部280に検査開始の指令を与えることにより開始される。
まず、図17の撮像制御部281および取得部282は、サンプルの基板Wの一面を撮像することにより、サンプルの基板Wの実画像データを生成する(ステップS11)。
次に、図17の強調処理部283は、直前のステップで生成された実画像データについて輪郭強調処理を行う(ステップS121)。続いて、図17の輪郭検出部284は、予め検査記憶部290に記憶された複数の候補しきい値T0〜Tnの各々を用いることにより、輪郭強調処理後の実画像データから基板Wの外周端部を表すと仮定される輪郭を候補しきい値ごとに検出する(ステップS122)。
次に、図17の輪郭選択部285は、輪郭検出部284により検出された複数の輪郭について複数の合計非平滑度をそれぞれ算出する(ステップS123)。このとき、図17の段差判定部289は、候補しきい値ごとに検出される輪郭に許容条件を超える段差が存在するか否かを判定する。
次に、輪郭選択部285は、算出された複数の合計非平滑度に基づいて、複数の候補しきい値に対応して検出された複数の輪郭から基板Wの外周端部の形状に最も近似する輪郭を選択する(ステップS124)。なお、輪郭選択部285は、ステップS124において、段差判定部289により許容条件を超える段差が存在すると判定された輪郭は選択しない。
次に、図17のしきい値決定部286は、輪郭選択部285により選択された輪郭に対応する候補しきい値を抽出用しきい値として決定する(ステップS125)。その後、図17の抽出部287は、決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像を抽出することにより、実画像データから検査画像データを生成する(ステップS126)。以下の説明では、図18において一点鎖線により取り囲まれる上記のステップS121〜S126の一連の処理(ステップS12)を検査画像生成処理と呼ぶ。
次に、撮像制御部281および取得部282は、検査対象の一の基板Wの一面を撮像することにより、検査対象の一の基板Wの実画像データを生成する(ステップS13)。続いて、図17の制御部280のうち一部の機能部(283〜288)は、上記のステップS12の処理と同様に、その一の基板Wについて検査画像生成処理を行う(ステップS14)。その後、図17の検査部288は、サンプルの基板Wの検査画像データと検査対象の一の基板Wの検査画像データとの比較に基づいて当該一の基板Wの検査を行う(ステップS15)。
次に、撮像制御部281は、検査対象の他の基板Wが存在するか否かを判定する(ステップS16)。他の基板Wが存在しない場合、撮像制御部281は、基板検査処理を終了する。一方、他の基板が存在する場合、制御部280のうち一部の機能部(283〜288)は、その他の基板Wについて検査画像生成処理を行う(ステップS17)。その後、検査部288は、サンプルの基板Wの検査画像データと検査対象の他の基板Wの検査画像データとの比較に基づいて当該他の基板Wの検査を行い(ステップS18)、ステップS16の処理に戻る。
[6]効果
(1)上記の基板検査装置200においては、サンプルの基板Wが撮像されることにより、サンプルの基板Wの実画像データが生成される。生成された実画像データに輪郭強調処理が行われる。その後、そのサンプルの基板Wの外周端部を表すと仮定される輪郭が、輪郭強調処理後の実画像データにより示される実画像から候補しきい値ごとに検出される。検出された複数の輪郭の合計非平滑度がそれぞれ算出される。
(1)上記の基板検査装置200においては、サンプルの基板Wが撮像されることにより、サンプルの基板Wの実画像データが生成される。生成された実画像データに輪郭強調処理が行われる。その後、そのサンプルの基板Wの外周端部を表すと仮定される輪郭が、輪郭強調処理後の実画像データにより示される実画像から候補しきい値ごとに検出される。検出された複数の輪郭の合計非平滑度がそれぞれ算出される。
複数の輪郭の合計非平滑度に基づいて、複数の輪郭から基板Wの外周端部の形状に最も近似する輪郭が選択される。選択された輪郭に対応する候補しきい値が抽出用しきい値として決定される。実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像が、決定された抽出用しきい値を用いて実画像から検査画像として抽出される。それにより、サンプルの基板Wの検査画像データが生成される。
検査対象の基板Wについても、サンプルの基板Wの例と同様の処理が行われる。それにより、検査対象の基板Wの検査画像データが生成される。その後、サンプルの基板Wの検査画像データの各画素の値と検査対象の基板Wの検査画像データの各画素の値との比較に基づいて、検査対象の基板Wが検査される。
上記のように、基板検査装置200においては、サンプルおよび検査対象の各基板Wの検査画像データが実画像データから適切に抽出される。したがって、サンプルの基板Wに対応して生成される検査画像データの各画素と検査対象の基板Wにそれぞれ対応して生成される検査画像データの各画素との対応関係にずれが発生しにくい。したがって、実際に取得される実画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制される。
(2)本実施の形態に係る基板検査装置200においては、抽出用しきい値の決定時に、許容条件を超える段差が存在する輪郭を検出するために用いられた候補しきい値が抽出用しきい値として決定されない。それにより、複数の輪郭から、適切でない輪郭が選択されることが防止される。
[7]基板検査装置200を備える基板処理装置
図20は、図1の基板検査装置200を備える基板処理装置の一例を示す模式的ブロック図である。図20に示すように、基板処理装置100は、露光装置300に隣接して設けられ、上記の基板検査装置200を備えるとともに、制御装置110、搬送装置120、塗布処理部130、現像処理部140および熱処理部150を備える。
図20は、図1の基板検査装置200を備える基板処理装置の一例を示す模式的ブロック図である。図20に示すように、基板処理装置100は、露光装置300に隣接して設けられ、上記の基板検査装置200を備えるとともに、制御装置110、搬送装置120、塗布処理部130、現像処理部140および熱処理部150を備える。
制御装置110は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、搬送装置120、塗布処理部130、現像処理部140および熱処理部150の動作を制御する。また、制御装置110は、基板Wの一面の表面状態を検査するための指令を基板検査装置200の制御部280(図1)に与える。
搬送装置120は、基板Wを塗布処理部130、現像処理部140、熱処理部150、基板検査装置200および露光装置300の間で搬送する。
塗布処理部130は、未処理の基板Wの一面上にレジスト膜を形成する(塗布処理)。レジスト膜が形成された塗布処理後の基板Wには、露光装置300において露光処理が行われる。現像処理部140は、露光装置300による露光処理後の基板Wに現像液を供給することにより、基板Wの現像処理を行う。熱処理部150は、塗布処理部130による塗布処理、現像処理部140による現像処理、および露光装置300による露光処理の前後に基板Wの熱処理を行う。
なお、塗布処理部130は、基板Wに反射防止膜を形成してもよい。この場合、熱処理部150には、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理を行うための処理ユニットが設けられてもよい。また、塗布処理部130は、基板W上に形成されたレジスト膜を保護するためのレジストカバー膜を基板Wに形成してもよい。
基板検査装置200は、塗布処理部130によりレジスト膜が形成された後の基板Wの検査(基板検査処理)を行う。例えば、基板検査装置200は、塗布処理部130による塗布処理後かつ露光装置300による露光処理前の基板Wの検査を行う。または、基板検査装置200は、塗布処理部130による塗布処理後かつ露光装置300による露光処理後の基板Wの検査を行う。これにより、基板検査装置200による基板Wの検査においては実画像から検査用の画像が適切に抽出されないことに起因する検査精度の低下が抑制されているので、レジスト膜が形成された基板Wの一面上の欠陥が高い信頼性で検出される。それにより、使用者は、レジスト膜の形成時における基板Wの処理不良の発生を正確に把握することができる。
あるいは、基板検査装置200は、塗布処理部130による塗布処理後かつ露光装置300による露光処理後かつ現像処理部140による現像処理後の基板Wの検査を行ってもよい。この場合においても、現像処理後の基板Wの表面上の欠陥が高い信頼性で検出される。それにより、使用者は、レジスト膜の形成時、露光処理時および現像処理時における基板Wの処理不良の発生を正確に把握することができる。
[8]他の実施の形態
(1)上記実施の形態では、複数の候補しきい値から抽出用しきい値を決定するために、基板Wの実画像から基板Wの外周端部のほぼ全体を表すと仮定される輪郭が検出されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、抽出用しきい値を決定するために抽出される輪郭は、基板Wの外周端部の一部のみを表すものであってもよい。この場合、例えば上記の下輪郭UC、左輪郭LC、上輪郭TCおよび右輪郭RCのうち一部の輪郭を検出することにより、検出された一部の輪郭の非平滑度に基づいて抽出用しきい値を決定することができる。
(1)上記実施の形態では、複数の候補しきい値から抽出用しきい値を決定するために、基板Wの実画像から基板Wの外周端部のほぼ全体を表すと仮定される輪郭が検出されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、抽出用しきい値を決定するために抽出される輪郭は、基板Wの外周端部の一部のみを表すものであってもよい。この場合、例えば上記の下輪郭UC、左輪郭LC、上輪郭TCおよび右輪郭RCのうち一部の輪郭を検出することにより、検出された一部の輪郭の非平滑度に基づいて抽出用しきい値を決定することができる。
(2)上記実施の形態では、基板Wの外周端部の輪郭を高い精度で検出するために基板Wの実画像データに輪郭強調処理が行われるが、本発明はこれに限定されない。撮像により生成される実画像データにおいて、基板Wの外周端部の輪郭が明瞭に表れている場合には、輪郭強調処理は行われなくてもよい。
(3)上記実施の形態では、サンプルの基板Wの実画像データは、サンプルの基板Wを撮像することにより生成されるが、本発明はこれに限定されない。サンプルの基板Wの実画像データは、サンプルの基板Wを撮像することに代えて、例えば基板処理のシミュレーションに基づいて生成されてもよい。この場合、シミュレーションにより得られるサンプルの基板Wの実画像データは、予め検査記憶部290に記憶される。それにより、取得部282は、基板Wの検査時に検査記憶部290からサンプルの基板Wの実画像データを取得する。
(4)上記実施の形態では、サンプルおよび検査対象の複数の基板Wの実画像データが生成されると、生成された複数の実画像データにそれぞれ対応する抽出用しきい値が決定されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、同一種類の複数の基板Wの実画像データが連続して生成される際には、複数の基板Wのうち一の基板Wの実画像データに対応する抽出用しきい値が決定された後、決定された抽出用しきい値を他の基板Wの輪郭の検出に用いてもよい。この場合、検査対象となる複数の基板Wの全ての抽出用しきい値を決定する必要がなくなる。それにより、基板検査処理が単純化する。
(5)上記実施の形態では、サンプルおよび検査対象の基板Wの実画像データの各々は、基板検査装置200において帯状の光が水平方向に移動する基板Wに照射され、その反射光を撮像部240のラインセンサが受光することにより生成されるが、本発明はこれに限定されない。
サンプルおよび検査対象の基板Wの実画像データの各々は、例えば複数の画素がマトリクス状に並ぶように配置された撮像素子を備えるカメラで基板Wを撮像することにより生成されてもよい。
(6)上記実施の形態では、撮像部240のラインセンサとしてモノクロのCCDラインセンサまたはモノクロのCMOSラインセンサが用いられるが、本発明はこれに限定されない。撮像部240のラインセンサとしては、モノクロに限らず、カラーのCCDラインセンサまたはカラーのCMOSラインセンサを用いることもできる。
この場合、カラーのラインセンサの各画素は、複数の波長領域にそれぞれ対応するR画素、G画素およびB画素で構成される。そのため、実画像データから基板Wの輪郭を抽出する際には、各画素についてR画素、G画素およびB画素の画素値の組み合わせに基づく輝度値が算出され、算出された輝度値が上記実施の形態における画素値として用いられる。
(7)上記実施の形態における図20の基板処理装置100においては、制御装置110が図17の制御部280の一部または全ての機能部を有してもよい。制御装置110が図17の制御部280の全ての機能部(281〜290)を有する場合には、制御装置110において基板検査処理が行われる。
[9]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、基板検査装置200が基板検査装置の例であり、取得部282が取得部の例であり、輪郭検出部284が輪郭検出部の例であり、輪郭選択部285が輪郭選択部の例であり、しきい値決定部286がしきい値決定部の例であり、抽出部287が抽出部の例である。
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、基板検査装置200が基板検査装置の例であり、取得部282が取得部の例であり、輪郭検出部284が輪郭検出部の例であり、輪郭選択部285が輪郭選択部の例であり、しきい値決定部286がしきい値決定部の例であり、抽出部287が抽出部の例である。
また、強調処理部283が強調処理部の例であり、サンプルの基板Wが複数の基板のうち一の基板の例であり、検査対象の基板Wが複数の基板のうち1または複数の他の基板の例であり、検査部288が検査部の例であり、段差判定部289が段差判定部の例であり、塗布処理部130が膜形成部の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
100…基板処理装置,110…制御装置,120…搬送装置,130…塗布処理部,140…現像処理部,150…熱処理部,200…基板検査装置,210…筐体部,211…開口部,220…投光部,230…反射部,240…撮像部,250…基板保持装置,251…駆動装置,252…回転保持部,253…回転軸,260…移動部,261…ガイド部材,262…移動保持部,270…ノッチ検出部,280…制御部,281…撮像制御部,282…取得部,283…強調処理部,284…輪郭検出部,285…輪郭選択部,286…しきい値決定部,287…抽出部,288…検査部,289…段差判定部,290…検査記憶部,300…露光装置,D1…第1の装置方向,D2…第2の装置方向,II…検査画像,LC…左輪郭,RC…右輪郭,RI0,RI1…実画像,TC…上輪郭,UC…下輪郭,W…基板,c1,c2,c3…輪郭,l01,l02,l11,l12…接線,ui,wi…画像,uix,wia,wib…画像部分
Claims (11)
- 少なくとも一部が円形の外周部を有する基板の検査を行う基板検査装置であって、
基板の一面を含む画像を実画像として表す実画像データを取得する取得部と、
予め定められた複数の候補しきい値の各々を用いることにより、前記取得部により取得された実画像データにより示される前記実画像から当該実画像において基板の外周端部を表すと仮定される輪郭を候補しきい値ごとに検出する輪郭検出部と、
前記輪郭検出部により検出された前記複数の輪郭の非平滑度をそれぞれ取得し、取得された前記複数の輪郭の非平滑度に基づいて、前記複数の輪郭から基板の外周端部の形状に最も近似する輪郭を選択する輪郭選択部と、
前記輪郭選択部により選択された輪郭に対応する候補しきい値を抽出用しきい値として決定するしきい値決定部と、
前記実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像を、前記しきい値決定部により決定された抽出用しきい値を用いて前記実画像から検査画像として抽出することにより、基板の検査に用いる検査画像データを生成する抽出部とを備える、基板検査装置。 - 前記取得部により取得された実画像データについて輪郭強調処理を行う強調処理部をさらに備え、
前記輪郭検出部は、前記輪郭強調処理後の実画像データから前記複数の輪郭を検出する、請求項1記載の基板検査装置。 - 前記取得部は、同一種類の複数の基板について複数の実画像データを取得し、
前記輪郭検出部は、前記複数の基板の各々について前記複数の輪郭を検出し、
前記輪郭選択部は、前記複数の基板の各々について前記輪郭の選択を行い、
前記しきい値決定部は、前記複数の基板の各々について前記抽出用しきい値を決定し、
前記抽出部は、前記複数の基板の各々について前記検査画像データを生成し、
前記複数の基板のうち一の基板は、外観上の欠陥がない基板であり、
前記複数の基板のうち1または複数の他の基板の各々は、検査すべき基板であり、
前記基板検査装置は、
前記一の基板に対応して生成される検査画像データと前記1または複数の他の基板に対応して生成される検査画像データの各々とを比較することにより前記1または複数の他の基板を検査する検査部をさらに備える、請求項1または2記載の基板検査装置。 - 実画像において、互いに直交する方向に向く第1の画像方向および第2の画像方向が定義され、
前記輪郭検出部は、各候補しきい値を用いた輪郭の検出時に、前記第1の画像方向に並ぶ各画素位置において前記第2の画像方向に隣り合うように並ぶ各2つの画素の値の差と当該候補しきい値との関係に基づいて輪郭の有無を判定し、前記第1の画像方向に並ぶ複数の画素位置に対応する複数の判定結果に基づいて前記第1の画像方向に延びる輪郭を前記輪郭として検出する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板検査装置。 - 前記輪郭検出部により候補しきい値ごとに検出される輪郭に許容条件を超える段差が存在するか否かを判定する段差判定部をさらに備え、
前記輪郭選択部は、前記段差判定部により前記許容条件を超える段差が存在すると判定された輪郭を選択しない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板検査装置。 - 基板上に膜を形成する膜形成部と、
前記膜形成部により前記膜が形成された基板を検査する請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板検査装置とを備える、基板処理装置。 - 少なくとも一部が円形の外周部を有する基板の検査を行う基板検査方法であって、
基板の一面を含む画像を実画像として表す実画像データを取得するステップと、
予め定められた複数の候補しきい値の各々を用いることにより、前記取得するステップにより取得された実画像データにより示される前記実画像から当該実画像において基板の外周端部を表すと仮定される輪郭を候補しきい値ごとに検出するステップと、
前記検出するステップにより検出された前記複数の輪郭の非平滑度をそれぞれ取得し、取得された前記複数の輪郭の非平滑度に基づいて、前記複数の輪郭から基板の外周端部の形状に最も近似する輪郭を選択するステップと、
前記選択するステップにより選択された輪郭に対応する候補しきい値を抽出用しきい値として決定するステップと、
前記実画像から検出された輪郭に外接する矩形領域の画像を、前記決定するステップにより決定された抽出用しきい値を用いて前記実画像から検査画像として抽出することにより、基板の検査に用いる検査画像データを生成するステップとを含む、基板検査方法。 - 前記取得するステップにより取得された実画像データについて輪郭強調処理を行うステップをさらに含み、
前記検出するステップは、前記輪郭強調処理後の実画像データから前記複数の輪郭を検出することを含む、請求項7記載の基板検査方法。 - 前記取得するステップは、同一種類の複数の基板について複数の実画像データを取得することを含み、
前記検出するステップは、前記複数の基板の各々について前記複数の輪郭を検出することを含み、
前記選択するステップは、前記複数の基板の各々について前記輪郭の選択を行うことを含み、
前記決定するステップは、前記複数の基板の各々について前記抽出用しきい値を決定することを含み、
前記抽出するステップは、前記複数の基板の各々について前記検査画像データを生成することを含み、
前記複数の基板のうち一の基板は、外観上の欠陥がない基板であり、
前記複数の基板のうち1または複数の他の基板の各々は、検査すべき基板であり、
前記基板検査方法は、
前記一の基板に対応して生成される検査画像データと前記1または複数の他の基板に対応して生成される検査画像データの各々とを比較することにより前記1または複数の他の基板を検査するステップをさらに含む、請求項7または8記載の基板検査方法。 - 実画像において、互いに直交する方向に向く第1の画像方向および第2の画像方向が定義され、
前記検出するステップは、各候補しきい値を用いた輪郭の検出時に、前記第1の画像方向に並ぶ各画素位置において前記第2の画像方向に隣り合うように並ぶ各2つの画素の値の差と当該候補しきい値との関係に基づいて輪郭の有無を判定し、前記第1の画像方向に並ぶ複数の画素位置に対応する複数の判定結果に基づいて前記第1の画像方向に延びる輪郭を前記輪郭として検出することを含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の基板検査方法。 - 前記検出するステップにより候補しきい値ごとに検出される輪郭に許容条件を超える段差が存在するか否かを判定するステップをさらに含み、
前記選択するステップは、前記判定するステップにより前記許容条件を超える段差が存在すると判定された輪郭を選択しないことを含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の基板検査方法。
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