JP2021070890A - 金属加工用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】金属層の経時劣化が生じ難く保存性に優れる金属加工シートを製造可能な金属加工用シートを提供すること。【解決手段】本発明の金属加工用シートは、基材シートの表面に金属層が設けられた金属加工シートを製造する際に該基材シートとして使用可能なものである。本発明の金属加工用シートは、繊維シートと特定陰イオンとを含む。前記特定陰イオンは、硝酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン及びリン酸二水素イオンからなる群から選択される1種以上である。絶乾重量で5gの前記金属加工用シートを液温20℃の蒸留水中に24時間浸漬した際に溶出する、イオンクロマトグラフ法JIS K−0127:2013に準拠して測定される前記特定陰イオンの総濃度が、該金属加工用シートの絶乾重量に対して1600ppm以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、金属加工シートの原反として有用な金属加工用シートに関する。
金属加工シートは、シート表面に金属層を有するシート状物であり、典型的には、紙等の基材シートに、金属箔の箔押し印刷、金インク印刷などの金属加工を施すことによって製造される。金属加工シートは、金属層に起因する独特の光沢感を有し美粧性に優れることから、ポスター、カレンダー、カタログ、ラベル、パッケージ等に幅広く用いられている。特に、黒色の金属加工シートは美粧性と高級感とを併せ持ち、高級なイメージを作り出すことができることから、貼箱用紙、カード用紙等の、美粧性と高級感が求められる用途に主に使用されている。
特許文献1には、黒色の金属加工シートとして、着色剤としてカーボンブラックを用いた黒色多層紙が開示されている。特許文献1に記載の黒色多層紙は、カーボンブラック及び残留塩素イオンに起因する不都合、例えば、熱転写箔の転写性不良や箔押し印刷時の貼合性の低下、製造現場で発塵した埃などの微粒子の付着による汚損を防止する観点から、カーボンブラックの含有量、表面電気抵抗値、残留塩素イオン濃度などがそれぞれ特定範囲に設定されている。
特開2019−127671号公報
従来の金属加工シートは、美粧性の点で改善の余地がある。また、本発明者の知見によれば、金属加工シートには、後述するように、金属層の経時劣化に起因する保存性の課題がある。これらの課題を解決し得る技術は未だ提供されていない。
本発明は、金属層の経時劣化が生じ難く保存性に優れる金属加工シートを製造可能な金属加工用シートを提供することを課題とする。
金属加工シートにおける金属層の材料としては、アルミニウムが汎用されている。本発明者がこの汎用の金属加工シートについて種々検討したところ、該シート中に含まれる塩化物イオン(Cl)によって金属層(アルミニウム)が経時的に劣化し、金属層に孔食が生じることが判明した。また、金属加工シート中にカーボンブラックが含有されている場合、カーボンブラックが金属層の孔食の原因となり得ることも判明した。孔食は、金属加工シートの美粧性を著しく低下せしめるものであり、その防止が望まれる。
金属加工シートにおける金属層の孔食を防止する方法として、原因物質である塩化物イオンやカーボンブラックの含有量を低減する方法が考えられる。しかしながら、金属加工シート中に含まれる塩化物イオンは、典型的には、この種のシートに汎用される塩素漂白パルプに由来するものであることから、塩化物イオンを低減するとなると、金属加工シートにおける塩素漂白パルプの使用が制限されることとなり、結果として、該シートの白色度の低下、該シートの経時的な黄変などの不都合が生じ、美粧性の低下を招くおそれがある。また、塩化物イオンは環境中に多く存在するほか、例えば、金属加工シートを貼箱用紙として用いた場合に使用される貼箱の貼合糊などにも含まれることから、金属加工の前後に塩化物イオンが被加工シートに混入する可能性があるので、被加工シート中の塩化物イオンを低減する工夫だけでは、金属層の孔食対策として不十分である。また、この種のシートにおいては、製造現場で発塵した埃などの微粒子の付着による汚損を防止するために、帯電防止剤として塩化ナトリウム等の塩化物を添加する場合があるところ、塩化物イオンを低減するとなると、帯電防止剤としての塩化物の使用が制限されることとなり、製造現場での微粒子の付着による汚損が懸念される。また、金属加工シートにおいてカーボンブラックの含有量を低減するとなると、黒色の度合いが低下し、特に漆黒と呼ばれる、漆の黒色の如き艶やかで高級感のある黒色の色彩表現が困難となり、金属加工シートの美粧性の低下を招くおそれがある。
本発明者は、このような金属加工シートに特有の課題を解決するべく種々検討した結果、該シートにおける硫酸イオンなどの特定の陰イオンの総濃度を特定範囲に設定することで、塩化物イオンやカーボンブラックの含有量を低減せずとも、金属層の孔食が効果的に抑制され、金属加工シートの保存性が向上し得ることを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、基材シートの表面に金属層が設けられた金属加工シートを製造する際に該基材シートとして使用可能な金属加工用シートであって、繊維シートと、硝酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン及びリン酸二水素イオンからなる群から選択される1種以上の特定陰イオンとを含み、絶乾重量で5gの前記金属加工用シートを液温20℃の蒸留水中に24時間浸漬した際に溶出する、イオンクロマトグラフ法JIS K−0127:2013に準拠して測定される前記特定陰イオンの総濃度が、該金属加工用シートの絶乾重量に対して1600ppm以上である、金属加工用シートである。
本発明の金属加工用シートによれば、金属層の経時劣化が生じ難く保存性に優れ、長期にわたって高い美粧性を維持し得る金属加工シートを製造することができる。
図1は、金属加工シートの一例における金属層の光学顕微鏡写真(倍率100倍)であり、該金属層に孔食が発生した状態を示すものである。 図2(a)〜図2(c)は、それぞれ、金属加工シートの金属層における孔食の発生状態の一例を模式的に示す図であり、金属加工シートの保存性の評価基準のイメージ図である。
本発明の金属加工用シートは、繊維シートを含む。繊維シートは、繊維を主体とする、すなわち繊維の含有量が50質量%以上であるシート状物である。典型的には、繊維シートは本発明の金属加工用シートの主体をなし、後述する特定陰イオンは、該繊維シートに含有されることが好ましい。
繊維シートに含有される繊維は、天然繊維でも合成繊維でもよい。繊維シートの構成繊維としては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維;ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなる合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維シートの形態は特に制限されない。繊維シートは例えば、紙、織布、不織布若しくは樹脂製フィルム、又はこれらの2種以上を積層してなる複合シートであり得る。
繊維シートの好ましい一例として、木材パルプを含有する紙が挙げられる。繊維シートにおける木材パルプの含有量は、該繊維シートの全質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上である。紙の繊維シートは、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の公知の抄紙機を用い、常法に従って製造することができる。
繊維シートに含まれる木材パルプのフリーネス(CSF)は、特に制限されないが、好ましくは200〜500mL、より好ましくは300〜400mLである。フリーネスとは、JIS P8121に規定されるパルプの濾水度試験方法のうち、カナダ標準形によって得られる値である。フリーネスの調整は、パルプの叩解の程度を適宜調整することで調整可能である。
繊維シートの坪量は特に制限されず、金属加工用シートの用途等に応じて適宜調整すればよい。金属加工用シートの典型的な用途を考慮すると、繊維シートの坪量(繊維シートが多層構造の場合は該多層構造の坪量)は、好ましくは20〜500g/m、より好ましくは50〜300g/mである。
本発明の金属加工用シートは、硝酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン及びリン酸二水素イオンからなる群から選択される1種以上の「特定陰イオン」を含み、且つ下記方法により測定される特定陰イオンの総濃度が該金属加工用シートの絶乾重量に対して1600ppm以上である点で特徴付けられる。斯かる特徴により、金属加工用シートに含まれる他の成分、典型的には、塩化物イオンやカーボンブラックによる金属層の孔食が効果的に抑制され、金属加工シートの保存性が向上し得る。
<特定陰イオンの総濃度の測定方法>
測定対象の金属加工用シートから、特定陰イオンを含む各種イオンを冷水抽出し、その冷水抽出物に含まれる特定陰イオンの合計溶出量を定量分析する。具体的には、測定対象のシートを絶乾重量で5g用意し、試料とする。また抽出溶媒として、液温20℃の蒸留水100mLを用意する。100mLの抽出溶媒中に試料全体を浸漬し、その状態で24時間静置する。その後、抽出溶媒中に溶出した特定陰イオンについて、イオンクロマトグラフ法JIS K−0127:2013に準拠した方法により溶出量を定量分析し、各特定陰イオンの溶出量の合計値を特定陰イオンの総濃度とする。イオンクロマトグラフ法の測定条件は例えば以下のように設定することができる。
<イオンクロマトグラフ法の測定条件>
・分析装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック製、ICS−1100
・分離カラム:サーモフィッシャーサイエンティフィック製、AS12A
・分離カラム温度:35℃
・ガードカラム:サーモフィッシャーサイエンティフィック製、AG12A
・検出器:電気伝導度検出器
・溶離液:2.7mM Na2CO3, 0.3mM NaHCO3
・溶離液流量:1.5mL/分
・試料注入量:20μL
金属加工用シートにおける特定陰イオンの総濃度(金属加工用シートの冷水抽出物に含まれる特定陰イオンの合計溶出量)は、該金属加工用シートの絶乾重量に対して、少なくとも1600ppm以上であり、好ましくは2900ppm以上、より好ましくは3100ppm以上である。また、金属加工用シートにおける特定陰イオンの濃度の上限については、金属加工用シートそのものの保存性の観点から、該金属加工用シートの絶乾重量に対して、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは7500ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下である。
本発明の金属加工用シートにおいては、特定陰イオンの総濃度が1600ppm以上であることを前提として、特定陰イオンすなわち、「硝酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン」のうちの少なくとも1種が含まれていればよく、これらの全部が含まれていなくてもよい。本発明者の知見によれば、特定陰イオンの中でも特に、硫酸イオン、酢酸イオン、硝酸イオンが有効であり、とりわけ硫酸イオンが有効である。したがって、金属加工用シートには特定陰イオンとして、少なくとも硫酸イオンが含まれることが好ましい。
金属加工用シートにおける特定陰イオンの総濃度を前記特定範囲に調整する方法としては、金属加工用シートを構成する繊維シートに、特定陰イオン又はその塩を、特定陰イオンの総濃度が前記特定範囲となるように添加する方法が挙げられる。特定陰イオンと塩を作る陽イオンの種類としては特に制限されないが、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムなどの陽イオンが挙げられる。特定陰イオン又はその塩の添加方法としては、繊維シートの製造途中(例えば湿式抄紙工程中)で特定陰イオン又はその塩を添加する方法(内添法)と、製造した繊維シート(例えば湿式抄紙で得られた繊維シート)に特定陰イオン又はその塩を添加する方法(外添法)とがあり、何れも採用できる。特定陰イオンを添加する主たる目的が、繊維シートの表面に設けられる金属層の孔食防止であることに鑑みると、特定陰イオンが繊維シートの表層に留まりやすい外添法がより好ましい。外添法において、繊維シートに特定陰イオン又はその塩を添加する方法は特に制限されず、例えば、特定陰イオンを含む処理液を調製し、該処理液を繊維シートに塗布若しくは噴霧する方法、又は該処理液中に繊維シートを浸漬する方法が挙げられる。
本発明の金属加工用シートにおいて、特定陰イオンの総濃度に対して、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜20%、更に好ましくは0.1〜15%である。金属加工用シートにおける塩化物イオンの濃度は、前記特定陰イオンの総濃度の測定方法と同じ方法により測定される。前述したとおり、塩化物イオンは、金属加工シートにおける金属層(アルミニウム)の孔食の原因物質であり、孔食防止を考慮すると、金属加工用シート中に存在しないことが好ましいが、一方で、塩化物イオンによる好ましい作用効果、例えば、帯電防止作用による埃などの微粒子の付着防止、シートの白色度向上、シートの経時的な黄変防止等を考慮すると、金属加工用シート中に一定量存在することが好ましい。また本発明では、金属加工用シートにおける特定陰イオンの総濃度を前記特定範囲に調整することで、塩化物イオンによる金属層の経時劣化が効果的に抑制されるので、該シート中に塩化物イオンが一定量存在してもそれによる不都合が生じ難い。以上を総合的に考慮すると、金属加工用シートにおける塩化物イオンの濃度は前記範囲に設定することが好ましい。
金属用加工シートにおける塩化物イオンの濃度は、該シートを構成する繊維シートとしてNBKPやLBKP等の塩素漂白パルプを用いた湿式抄紙による紙を用いる場合には、抄紙工程で用いる白水を塩化物イオンの含有量が比較的少ない水に変更する、抄紙工程で塩化物イオン又はその塩を含有する薬剤の使用量を調整するなどの方法によって調整できる。しかし、塩化物イオンの濃度を前記特定範囲に確実に調整するとなると、塩化物イオン又はその塩を金属用加工シート(繊維シート)に意図的に添加することが好ましい。そうすると、金属用加工シートにおける塩化物イオンの濃度を前記特定範囲に調整する方法としては、金属用加工シート(繊維シート)の製造時における塩化物イオン又はその塩の添加量を、塩化物イオンの濃度が前記特定範囲となるように調整する方法が好ましいと言える。
本発明の金属加工用シートは、JIS K−7194:1994に準拠して測定される体積抵抗率(四探針法により測定した値)が、好ましくは1×1011Ω・cm以下、より好ましくは5×1010Ω・cm以下である。少なくとも金属加工用シートにおける金属加工が施される面の体積抵抗率が前記特定範囲にあることが好ましい。金属加工用シートの体積抵抗率が前記特定範囲にあることで、静電気による埃等の微粒子が引き寄せられ付着する不都合が効果的に抑制される。金属加工用シートの体積抵抗率を前記特定範囲に調整することは、該シートにおける塩化物イオンの濃度を前記特定範囲に調整することで達成できる。金属加工用シートの体積抵抗率の下限については、特に制限されないが、特に該シートにカーボンブラックが含有されている場合に、該カーボンブラックと該シートに金属加工によって設けられた金属層とが局部電池を形成することを抑制し、該金属層の保存性を一層向上させる観点から、好ましくは1×10Ω・cm以上、より好ましくは1×10Ω・cm以上、更に好ましくは1×10Ω・cmである。
本発明の金属加工用シートは、前述の必須構成要素(繊維シート、特定陰イオン)に加えて更に、着色剤を含んでいてもよい。着色剤を含むことで、繊維シートがその着色剤の色に着色され、金属加工用シートの意匠性がより一層高まり得る。着色剤としては、染料、顔料、天然色素など、公知の着色剤を特に制限無く用いることができる。前記着色の方法としては、例えば、繊維シートの製造途中(例えば湿式抄紙工程中)に着色剤を添加する方法(内添法)、又は、製造後に得られた繊維シート(例えば湿式抄紙で得られた繊維シート)に着色剤を添加する方法(外添法)とがあり、何れも採用することができる。金属加工用シートにおける着色剤の含有量は、所望の色が得られるように適宜調整すればよい。
着色剤の好ましい一例として、カーボンブラック又は酸化鉄が挙げられる。金属加工用シート(繊維シート)にカーボンブラック又は酸化鉄を含有させることで、該シートの色を黒色ないし茶色にすることができる。黒色の金属加工シートを希望する場合は、着色剤としてカーボンブラックを使用し、茶色の金属加工シートを希望する場合は、着色剤として酸化鉄を使用する。両着色剤を併用して、黒色と茶色との中間色の金属加工シートを得ることも可能である。黒色ないし茶色の金属加工用シート、とりわけ漆黒と呼ばれる艶やかな黒色の金属加工用シートに金属加工を施して得られる金属加工シートは、美粧性と高級感とを併せ持ち、高級なイメージを作り出すことができることから、貼箱用紙、カード用紙等の、美粧性と高級感が求められる用途に好適である。前述したとおり、カーボンブラックは、金属加工シートにおける金属層(アルミニウム)の孔食の原因物質となり得るものであるが、本発明では、金属加工用シートにおける特定陰イオンの総濃度を前記特定範囲に調整することで、カーボンブラックに起因する不都合が効果的に抑制されるので、該シート中にカーボンブラックを積極的に含有させることが可能である。
本発明の金属加工用シートにおけるカーボンブラックの含有量は、該シートの全質量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%である。酸化鉄の含有量も、カーボンブラックの含有量と同様に設定することが好ましい。
本発明の金属加工用シートは、前述の構成要素(繊維シート、特定陰イオン、着色剤)以外の他の要素を含有してもよい。他の要素としては、例えば、紙に通常配合される各種の剤が挙げられる。具体的には例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、シリカ、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、マイカ、プラスチックピグメント等の填料あるいはこれらの複合体;澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤又は定着剤又は耐水化剤;ロジン、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレンアクリル樹脂等のサイズ剤;濾水歩留り向上剤、硫酸バンド等の定着剤;蛍光増白剤;消泡剤;スライムコントロール剤;酢酸ビニル樹脂、アクリル共重合樹脂、スチレン、ポリビニルアルコール、加工澱粉、デキストリンなどの接着剤等を例示できる。本発明の金属加工用シートは、これらの他の要素の1種又は2種以上が含有されていてもよい。
本発明の金属加工用シートは、基材シートの表面に金属層が設けられた金属加工シートを製造する際に該基材シートとして使用することができる。金属加工シートには、金属層が基材シート(金属加工用シート)の片面又は両面の全域を被覆する形態と、金属層が基材シート(金属加工用シート)の片面又は両面の一部のみを被覆する形態とが包含され、本発明の金属加工用シートはどちらの形態にも使用できる。また、金属加工用シートの表面に金属層を設けることは、該シートに金属加工を施すことで実施可能であるところ、金属加工としては、公知の方法を特に制限無く用いることができ、例えば、金属箔の箔押し印刷、金インク印刷を例示できる。金属箔、金インクとしては、公知のものを特に制限無く用いることができる。金属層に含まれる典型的な金属材料はアルミニウムである。前述したとおりアルミニウムは、シート中に含まれる塩化物イオンやカーボンブラックによって経時劣化することが懸念されるが、本発明の金属加工用シートは、斯かる懸念が払拭されており、アルミニウムを用いた金属加工に好適である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
〔実施例1〜8、比較例1〜3〕
木材パルプとして、塩素漂白されたNBKP及びLBKPを使用し、JIS P−8221−1:1998に記載の方法でカナディアンスタンダードフリーネスによる叩解度が370mLの原料パルプスラリーを調製した。この原料パルプスラリーに、カーボンブラック(三菱カーボンブラック製、#40)を対パルプ2.3質量部、紙力増強剤(荒川化学工業製、ポリストロン117)を対パルプ0.53質量部、サイズ剤(荒川化学工業製、サイズパインN−771)を対パルプ0.3質量部、硫酸バンド(日本軽金属製)を対パルプ1.4質量部添加して、原料スラリーを調製した。この原料スラリーを用い、JIS P−8222:1998に記載の方法で湿式抄紙法を実施し、坪量81.4g/mの紙からなる繊維シートを得た。この湿式抄紙の際に、下記方法により調製した塗工液をサイズプレスにて固形量換算で所定量付与し、金属加工用シートを得た。
〔塗工液の調製方法〕
90℃に加温した水94.3質量部に、加工澱粉(日本コーンスターチ製、SK−20)を5質量部分散させた後、分散液を冷却し、表面紙力増強剤(荒川化学工業製、ポリマセット305)を0.2質量部、表面サイズ剤(星光PMC製、サイズ剤SE2016)を0.5質量部、硫酸ナトリウム(特定陰イオンの塩)及び塩化ナトリウム(塩化物イオンの塩)の何れか一方又は両方を所定量加え、塗工液を得た。
〔評価試験〕
各実施例及び比較例の金属加工用シートを用いて、下記方法により金属加工シートを製造し、該金属加工シートについて、下記方法により保存性を評価した。その結果を下記表1に示す。
<金属加工シートの製造方法>
各実施例及び比較例の金属加工用シートの一方の面に、アルミニウム箔(村田金箔製スタンダードメタリックホイル)をホットスタンピング法にて箔押し印刷し、金属加工シートを得た。ホットスタンピング法は以下の条件で行った。
・温度:130℃
・加圧時間:5秒
・圧力:30kgf/cm
<保存性の評価方法>
評価対象の金属加工シートを、槽内の雰囲気温度70℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に144時間静置した後、該金属加工シートの金属層(アルミニウム箔)を目視観察し、下記評価基準により評価した。
(保存性の評価基準)
図1は、金属加工シートの一例における金属層の光学顕微鏡写真(倍率100倍)である。図1中、散点状に配置された複数の黒色部分が、脱落部(腐食部)である。図1中の一部の脱落部に矢印を付してある。この脱落部が小さいほど、また少ないほど、当該金属加工シートは保存性に優れると評価できる。
本評価基準では、評価対象の金属加工シートにおける金属層の目視観察において、図1に示す如き黒色部分(脱落部)のうち、直径(最大差し渡し長さ)50μm以上のものを「孔食」と定義して、30mm四方の単位領域における該孔食の発生頻度に応じて、腐食度合を下記の3段階で評価した。
◎:孔食がほぼ発生していない。保存性良好。
〇:孔食がわずかに発生しているものの、実使用上は問題がない。
×:孔食が多数発生し、実使用不可能である。保存性不良。
図2には、金属層の前記単位領域における孔食の発生状態の典型例が模式的に示されている。前記の3段階評価において、◎は図2(a)のような状態であり、〇は図2(b)のような状態であり、×は図2(c)のような状態である。
Figure 2021070890
表1に示されるように、各実施例の金属用加工シートによれば、特定陰イオン(硫酸イオン)の総濃度が該シートの絶乾重量に対して1600ppm以上であるため、金属層の腐食に伴う孔食の発生が効果的に抑制され、美粧性、金属層の保存性に優れる金属加工シートを得ることができた。一方、各比較例の金属用加工シートは、特定陰イオンの総濃度が該シートの絶乾重量に対して1600ppm未満であるため、多数の孔食が発生し、金属層の保存性において劣っていた。

Claims (6)

  1. 基材シートの表面に金属層が設けられた金属加工シートを製造する際に該基材シートとして使用可能な金属加工用シートであって、
    繊維シートと、
    硝酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン及びリン酸二水素イオンからなる群から選択される1種以上の特定陰イオンとを含み、
    絶乾重量で5gの前記金属加工用シートを液温20℃の蒸留水中に24時間浸漬した際に溶出する、イオンクロマトグラフ法JIS K−0127:2013に準拠して測定される前記特定陰イオンの総濃度が、該金属加工用シートの絶乾重量に対して1600ppm以上である、金属加工用シート。
  2. 塩化物イオンの濃度が、前記特定陰イオンの総濃度に対して0〜50%である、請求項1に記載の金属加工用シート。
  3. JIS K−7194:1994に準拠して測定される体積抵抗率が、1×1011Ω・cm以下である、請求項1又は2に記載の金属加工用シート。
  4. 更に、着色剤を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の金属加工用シート。
  5. 前記着色剤がカーボンブラック又は酸化鉄である、請求項4に記載の金属加工用シート。
  6. 前記繊維シートが、木材パルプを含有する紙である、請求項1〜5の何れか1項に記載の金属加工用シート。
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