実施の形態1.
実施の形態1に係る加熱調理器について図1〜図10を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の外観構造の一例を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る加熱調理器が設置される厨房家具100の外観構造の一例を示す斜視図である。図3は、図1の加熱調理器を図2の厨房家具100に設置する工程を示す概略図である。図4は、厨房家具100に設置された状態の加熱調理器の外観構造の一例を示す斜視図である。図5は、加熱庫扉4が開かれた状態の図4の加熱調理器を示す斜視図である。図6は、図4の加熱調理器の上面図である。図7は、図6のU−U断面を示す断面図である。図8は、図6のV−V断面を示す断面図である。図9は、図6のW−W断面を示す断面図である。図10は、実施の形態1に係る加熱調理器の内部の風路を概略的に示したブロック図である。本実施の形態1に係る加熱調理器は、システムキッチン等で用いられるビルトイン型の加熱調理器であり、実施の形態1では、ビルトイン型の加熱調理器の一例として、ビルトイン型の誘導加熱調理器1を例示する。
なお、図1を含む以下の図面では各構成部材の寸法の関係及び形状が、実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面では、同一の部材若しくは部分又は同一の機能を有する部材若しくは部分には、同一の符号を付すか、あるいは符号を付すことを省略している。また、誘導加熱調理器1の前後、左右、若しくは上下の位置関係、又は誘導加熱調理器1の各々の構成部材同士の前後、左右、若しくは上下の位置関係は、原則として、誘導加熱調理器1を使用可能な状態に設置したときの位置関係とする。
誘導加熱調理器1は、トッププレート2と、トッププレート2が載置される箱状の本体3と、本体3の前面に設けられた加熱庫扉4とを備えている。なお、図1では、加熱庫扉4からハンドル5を外した状態の誘導加熱調理器1が示されている。誘導加熱調理器1は、図1の状態で厨房家具100に収容される。
なお、以降の説明において、本体3の「前面」又は「正面」とは、本体3の外部の前側の表面を指すものとし、外郭を構成する面が平らであっても凹凸を有していてもよい。誘導加熱調理器1、厨房家具100、若しくは厨房家具100の構成要素の「前面」若しくは「正面」、又は誘導加熱調理器1を構成する他の構成要素、例えば、加熱庫扉4の「前面」若しくは「正面」についても同様とする。また、誘導加熱調理器1、厨房家具100、又は誘導加熱調理器1若しくは厨房家具100の構成要素の「上面」若しくは「天面」、「下面」若しくは「底面」、「背面」若しくは「後面」、「右面」、又は「左面」についても同様とする。また、図1の矢印に示すように、上、下、前、後、左、及び右の方向を定義する。
厨房家具100には、誘導加熱調理器1が収容される第1収容空間110と、厨房道具等の収納用の収納箱120が収容される第2収容空間130が設けられている。収納箱120は、スライド式の容器であり、収納箱120の前面には、収納箱120を前方に引き出すための取っ手140が設けられている。厨房家具100では、厨房家具100の第1収容空間110と厨房家具100の第2収容空間130との間が仕切板150によって仕切られている。図2に示すように、仕切板150の平板面は、上下に起立して奥行き方向に延びている。
厨房家具100の上面には、第1収容空間110と厨房家具100の上側の外部とを連通させ、誘導加熱調理器1が挿入される収容口110aが設けられている。また、厨房家具100の前面には、第1収容空間110と厨房家具100の前側の外部とを連通させ、誘導加熱調理器1の加熱庫扉4の前面を、厨房家具100の前側の外部に露出させる挿通口110bが設けられている。
図3に示すように、誘導加熱調理器1は、収容口110aを介して、加熱庫扉4を先頭にして第1収容空間110に収容される。加熱庫扉4が挿通口110bに挿通された後に、本体3が第1収容空間110に収容され、トッププレート2が厨房家具100の上面に載置される。本体3が第1収容空間110に収容された状態において、加熱庫扉4の前面は、収納箱120の前面と同一位置となるように、本体3の収容位置が調整される。また、本体3が第1収容空間110に収容された状態において、トッププレート2は、厨房家具100の上面から露出している。
ハンドル5は、加熱庫扉4の後面が本体3から離れ、本体3の内部に収容された加熱庫6の開口6aが外部と連通した開放状態で取り付けられる。例えば、ハンドル5に、加熱庫扉4の上面から内部に挿入される支持部材を設け、加熱庫扉4の後面からネジ等の締結部材で支持部材を締結することにより、ハンドル5は加熱庫扉4の上面に取り付けられる。
加熱庫扉4と厨房家具100との間の隙間には、化粧パネル7が配置される。化粧パネル7により、加熱庫扉4と厨房家具100との間の隙間から見える本体3の前面及び仕切板150の前面が目隠しされるため、誘導加熱調理器1の意匠性を向上させることができる。化粧パネル7は、加熱庫扉4と厨房家具100との間の上側の隙間に配置された第1パネル70を有している。また、化粧パネル7は、加熱庫扉4と厨房家具100との間の左右の隙間に配置された第2パネル72を有している。
次に、誘導加熱調理器1の詳細な構成について説明する。
トッププレート2は、天板2aと、天板2aの外縁に配置されたフレーム2bとを有している。天板2aとしては、例えば、耐熱性のガラス板が用いられる。天板2aの上面には、被調理物を調理するための鍋又はフライパン等の被加熱物を載置する目安となる複数の円形のマーク2a1、2a2、2a3が印刷等により示されている。
天板2aの複数の円形のマーク2a1、2a2、2a3の下方、かつ本体3の内部には、天板2aの上面に載置された被加熱物を天板2aを介して加熱する複数の加熱コイル30が配置されている。加熱コイル30は、誘導加熱コイルとして構成されている。なお、円形のマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30は、商用周波数の交流電力が供給されることによる赤外線の輻射熱で被加熱物を加熱するラジエントヒータとしてもよい。
誘導加熱コイルは、電磁誘導の原理を利用して、被加熱物を加熱させる電気回路素子である。誘導加熱調理器1において、誘導加熱コイルに高周波交流電流、例えば20〜90kHzの交流電流を流すと、誘導加熱コイルの周りに磁力線が発生し、誘導加熱コイルの周囲に磁界が発生する。磁界である磁力線が鍋又はフライパン等の被加熱物の導体内部に侵入すると、被加熱物の内部において磁束変化を妨げる磁界が発生するように、被加熱物に渦電流が流れる。したがって、誘導加熱コイルに交流電流を連続的に流すと、交流電流の電流値の変化に応じて、被加熱物の内部において、磁束変化を妨げる磁界が継続して発生するように、被加熱物には渦電流が連続して流れることとなる。被加熱物に渦電流が流れると、被加熱物の電気抵抗と、被加熱物を流れる渦電流とにより、被加熱物にジュール熱が発生する。以上のように、誘導加熱調理器1の誘導加熱コイルでは、電磁誘導の原理を利用することにより、被加熱物を加熱させることができる。
フレーム2bは、例えば金属板を折曲加工した補強板として形成される。フレーム2bは、天板2aの外縁の破損を防ぐべく、天板2aの外縁を狭持して補強している。後方のフレーム2bには、本体3の内部と連通する複数の排気口2b1が形成されている。後方のフレーム2bには、それぞれの排気口2b1を覆う排気口カバー2cが設けられている。排気口カバー2cとしては、パンチングメタル又は格子状の金属部材が用いられ、通気性を有し、かつ通気抵抗が少なくなるように形成される。例えば、排気口カバー2cの開口2c1の形状はスリット状とすることができ、例えば、排気口カバー2cの開口2c1の幅は、排気口カバー2cの幅と同じかやや小さい幅とすることができる。誘導加熱調理器1からの排気は、排気口カバー2cを通過して誘導加熱調理器1の外へ流出する。
フレーム2bの下面には、複数の緩衝材2dが取り付けられている。緩衝材2dとしては、例えばシリコーンゴム等の断熱性のゴムが用いられる。緩衝材2dは、トッププレート2が厨房家具100の上面に載置された際に、厨房家具100の上面に接触する。緩衝材2dを設けることにより、トッププレート2上に被加熱物が載置された場合の衝撃を吸収し、天板2aの破損を抑制することができる。
天板2aのマーク2a1、2a2、2a3の前方には、操作パネル20が設けられている。操作パネル20の上側には出力インタフェースとして、統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cが設けられている。統合表示部21aは、操作パネル20の後方中央に配置されている。第1表示部21bは、操作パネル20の後方右側に配置されている。第2表示部21cは、操作パネル20の後方左側に配置されている。
本体3には、統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cのそれぞれに、誘導加熱調理器1に関する各種情報を表示する薄膜トランジスタ液晶モジュール等の出力デバイス31aを搭載した表示基板31が設けられている。表示基板31は、これらの入力インタフェースの下方にそれぞれ配置されている。
第1表示部21bには、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の動作に関する情報が表示される。また、第2表示部21cには、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の動作に関する情報が表示される。例えば、第1表示部21bでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、第2表示部21cでも、第1表示部21bと同様に、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。
統合表示部21aには、第1表示部21b及び第2表示部21cに表示される情報以外の全ての誘導加熱調理器1に関する情報が表示される。例えば、統合表示部21aには、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30におけるタイマー調理の設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、統合表示部21aには、加熱庫6における加熱動作等のタイマー設定時間、予熱温度、又は経過時間等の各種情報が表示される。また、統合表示部21aには、誘導加熱調理器1の共通的な情報又は警報が表示される。例えば、統合表示部21aには、誘導加熱調理器1の加熱源の選択情報、又は加熱源の動作状態を示す注意情報若しくは警告情報が表示される。
また、統合表示部21aには、チャイルドロック設定等の誘導加熱調理器1の機能設定情報が表示される。また、統合表示部21aの下方に配置された表示基板31は、統合表示部21aの複数のエリアに異なる各種情報を表示できるように構成できる。例えば、統合表示部21aの下方に配置された表示基板31は、左右方向に3つのエリアに分割し、それぞれに誘導加熱調理器1の各種情報を表示できるように構成できる。
操作パネル20の第1表示部21bと統合表示部21aとの間には、出力インタフェースとして、複数の透過窓を有する第1火力表示部22aが設けられている。第1火力表示部22aでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の火力情報が、透過窓からの光の点灯数によって表示される。例えば、本体3には、第1火力表示部22aの透過窓の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、第1火力表示部22aの透過窓の下方にそれぞれ配置されている。また、第1火力表示部22aには、火力を表示する透過窓とは別に、保温状態を表示する透過窓を設けることができる。なお、この回路基板は、表示基板31と同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
操作パネル20の第2表示部21cと統合表示部21aとの間には、出力インタフェースとして、複数の透過窓を有する第2火力表示部22bが設けられている。第2火力表示部22bでは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の火力情報が、透過窓からの光の点灯数によって表示される。本体3には、第2火力表示部22bの透過窓の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、第2火力表示部22bの透過窓の下方にそれぞれ配置されている。また、第2火力表示部22bには、火力を表示する透過窓とは別に、保温状態を表示する透過窓を設けることができる。なお、この回路基板は、表示基板31と同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
なお、第1火力表示部22a及び第2火力表示部22bは、同様の火力情報が統合表示部21a、第1表示部21b、及び第2表示部21cのいずれかに表示される場合は、省略できる。
操作パネル20の前方には、入力インタフェースとして、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26が設けられている。本体3には、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26に設けられた入力ボタンの総数に対応した数の静電容量式のタッチセンサを有する操作基板32が設けられている。操作基板32は、これらの入力インタフェースの下方に配置されている。
第1入力部23は、操作パネル20の前方中央に設けられている。誘導加熱調理器1では、第1入力部23で入力された情報は、統合表示部21aでの表示内容に反映される。第1入力部23には、機能設定ボタン23a、調理モード選択ボタン23b、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、第3入力選択ボタン23c3、入力確定ボタン23d、及び入力取消ボタン23eが設けられている。
第1入力部23の左端には、機能設定ボタン23aが設けられている。機能設定ボタン23aは、チャイルドロック設定等の誘導加熱調理器1の機能設定画面を統合表示部21aに表示し、機能設定を行うために用いられる。
機能設定ボタン23aの右側には、調理モード選択ボタン23bが設けられている。調理モード選択ボタン23bは、例えば、誘導加熱調理器1における複数の加熱源を用いて調理を行う「連携調理モード」又は加熱庫6における各種調理モードを選択し、統合表示部21aに関連情報を表示させるために用いられる。
調理モード選択ボタン23bの右側には、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、及び第3入力選択ボタン23c3が順に設けられている。第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、及び第3入力選択ボタン23c3は、それぞれ一対の入力ボタンを有しており、統合表示部21aに表示される情報を選択するために用いられる。例えば、統合表示部21aでの表示エリアが、左右方向に3つのエリアに分割され、それぞれに異なる設定内容が表示されている場合、第1入力選択ボタン23c1は、左のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。また、第2入力選択ボタン23c2は、中央のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。第3入力選択ボタン23c3は、右のエリアに表示された設定内容を選択するために用いられる。
第3入力選択ボタン23c3の右側には、入力確定ボタン23dが設けられている。入力確定ボタン23dは、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30での調理を開始する場合に用いられる。また、入力確定ボタン23dは、加熱庫6での調理を開始する場合に用いられる。また、入力確定ボタン23dは、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、又は第3入力選択ボタン23c3で選択した内容を確定する場合に用いられる。
入力確定ボタン23dの右側には、入力取消ボタン23eが設けられている。入力取消ボタン23eは、天板2aのマーク2a3の下方に配置された加熱コイル30での調理を停止する場合に用いられる。また、入力取消ボタン23eは、加熱庫6での調理を停止する場合に用いられる。また、入力取消ボタン23eは、第1入力選択ボタン23c1、第2入力選択ボタン23c2、又は第3入力選択ボタン23c3で選択した内容を取り消す場合に用いられる。
第2入力部24は、操作パネル20の前方左側に設けられている。誘導加熱調理器1では、第2入力部24で入力された情報は、第1表示部21b又は第1火力表示部22aに表示される。第2入力部24には、第1調理時間選択ボタン24a、第1制御モード選択ボタン24b、第1切替ボタン24c、及び第1火力選択ボタン24dが設けられている。
第2入力部24の左端には、第1調理時間選択ボタン24aが設けられている。第1調理時間選択ボタン24aでは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30での誘導加熱調理の設定時間、すなわちタイマー調理の設定時間を選択するために用いられる。第1調理時間選択ボタン24aで選択したタイマー調理の設定時間は、第1表示部21bに表示される。
第1調理時間選択ボタン24aの右側には、第1制御モード選択ボタン24bが設けられている。例えば、第1制御モード選択ボタン24bでは、制御モードとして、湯沸しモード、煮込みモード、又は揚げ物モード等の自動調理モードが選択される。選択した制御モードは、第1表示部21bに表示される。
第1制御モード選択ボタン24bの右側には、第1切替ボタン24cが設けられている。第1切替ボタン24cは、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30の調理の開始及び停止を切り替えるために用いられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第1切替ボタン24cの押下ごとに順次切り替えられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第1表示部21bに表示される。
第1切替ボタン24cの右側には、第1火力選択ボタン24dが設けられている。一対の第1火力選択ボタン24dは、一対のボタンを有しており、天板2aのマーク2a1の下方に配置された加熱コイル30での火力、すなわち消費電力を調整するために用いられる。一対の第1火力選択ボタン24dでの火力の選択結果は、第1火力表示部22aの点灯数で表される。
第3入力部25は、操作パネル20の前方右側に設けられている。誘導加熱調理器1では、第3入力部25で入力された情報は、第2表示部21c又は第2火力表示部22bに表示される。第3入力部25には、第2切替ボタン25a、第2火力選択ボタン25b、第2制御モード選択ボタン25c、及び第2調理時間選択ボタン25dが設けられている。
第3入力部25の左端には、第2切替ボタン25aが設けられている。第2切替ボタン25aは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30の調理の開始及び停止を切り替えるために用いられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第2切替ボタン25aの押下ごとに順次切り替えられる。加熱コイル30の調理の開始及び停止は、第2表示部21cに表示される。
第2切替ボタン25aの右側には、第2火力選択ボタン25bが設けられている。第2火力選択ボタン25bは、一対のボタンを有しており、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30での火力、すなわち消費電力を調整するために用いられる。第2火力選択ボタン25bでの火力の選択結果は、第2火力表示部22bの点灯数で表される。
第2火力選択ボタン25bの右側には、第2制御モード選択ボタン25cが設けられている。例えば、第2制御モード選択ボタン25cでは、制御モードとして、湯沸しモード、煮込みモード、又は揚げ物モード等の自動調理モードが選択される。選択した制御モードは、第2表示部21cに表示される。
第2制御モード選択ボタン25cの右側には、第2調理時間選択ボタン25dが設けられている。第2調理時間選択ボタン25dでは、天板2aのマーク2a2の下方に配置された加熱コイル30での誘導加熱調理の設定時間、すなわちタイマー調理の設定時間を選択するために用いられる。第2調理時間選択ボタン25dで選択したタイマー調理の設定時間は、第2表示部21cに表示される。
第4入力部26は、第3入力部25の右側に設けられ、誘導加熱調理器1の稼働及び停止を入力する主電源ボタンである。誘導加熱調理器1の稼働及び停止は、第4入力部26の押下ごとに順次切り替えられる。
また、第1入力部23、第2入力部24、第3入力部25、及び第4入力部26の上述した各種ボタンの上方には、それぞれのボタンでの入力が有効か無効かを示す複数の通知窓27が設けられている。本体3には、通知窓27の数に応じた複数の発光ダイオードを有する回路基板が設けられている。回路基板の複数の発光ダイオードは、通知窓27の下方にそれぞれ配置されている。なお、この回路基板は、表示基板31及び操作基板32のいずれかと同一基板であってもよいし、別個の基板であってもよい。
例えば、誘導加熱調理器1での調理が実行状態にある場合、主電源ボタンである第4入力部26での入力動作を無効とすることができる。通知窓27を介した発光ダイオードの点灯で第4入力部26での入力が有効であることを示す場合、発光ダイオードの消灯で第4入力部26での入力が無効であることを示すことができる。また、発光ダイオードの点滅で第4入力部26での入力が無効であることを示してもよいし、入力が有効である場合と異なる色で点灯し、第4入力部26での入力が無効であることを示してもよい。
本体3の内側には、上面が開口した筐体50が配置されている。筐体50は、上面が開口した箱体50aと、箱体50aの上縁に設けられたフランジ50bとを有している。筐体50によって、本体3の内部空間は、トッププレート2での加熱処理に係る電気部品等を収容する第1領域200と、加熱庫6での加熱処理に係る電気部品等を収容する第2領域300とに区画される。第1領域200及び第2領域300は、フレーム2bに設けられた複数の排気口2b1と連通している。本体3の下面前端には、加熱庫扉4の後面及び加熱庫6内部に付着し、下方に流れる水分を受ける受液容器8が配置されている。
本体3の第1領域200には、前述した加熱コイル30、表示基板31、及び操作基板32の他、フィルタ回路基板33、第1インバータ回路基板34、及び1以上の第1冷却ファン35が収容されている。
筐体50のフランジ50bには、表示基板31及び操作基板32が取り付けられたケースの一部が支持されている。操作基板32は、天板2aの下面に接触するように、フランジ50bと天板2aとの間に配置されている。ケースは、天板2aの下面と間隔をあけて、フランジ50bに一部支持されている。
筐体50の箱体50aには、加熱コイル30、フィルタ回路基板33、第1インバータ回路基板34、及び1以上の第1冷却ファン35が収容されている。
加熱コイル30は、第1インバータ回路基板34の上方に配置されている。加熱コイル30は、例えば、箱体50aの底面に設けられた支持脚から、バネ等の弾性体によって天板2a側に付勢されている。
フィルタ回路基板33は、商用電源から供給される交流電力におけるノイズを除去して、第1インバータ回路基板34等に供給するとともに、第1インバータ回路基板34等で発生するノイズの商用電源への逆流を抑制する電気回路基板である。フィルタ回路基板33は、抵抗、チョークコイル等のインダクタ、コンデンサー、リレー回路、及び電流ヒューズ等の電気部品を実装している。
第1インバータ回路基板34は、フィルタ回路基板33でノイズ除去された商用電源の交流電力を高周波の交流電力に変換し、加熱コイル30に供給する電気回路基板である。第1インバータ回路基板34には、放熱フィン36aを有するヒートシンク36が取り付けられている。また、ヒートシンク36には、インバータ回路の一部を構成する複数のスイッチング素子34aが取り付けられている。
ヒートシンク36は、放熱フィン36aを通過する空気によって、第1インバータ回路基板34及びスイッチング素子34aで発生する熱を冷却する放熱部材である。ヒートシンク36は、例えばアルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成される。
スイッチング素子34aは、インバータ回路の電力制御に用いられる半導体素子である。スイッチング素子34aは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタとして形成される。なお、スイッチング素子34aは、第1インバータ回路基板34に実装してもよい。
第1インバータ回路基板34は、ヒートシンク36及びスイッチング素子34aとともに、保護部材37によって覆われている。保護部材37は、例えば、金属製の薄板又はプラスチック製の板で形成されている。保護部材37では、ヒートシンク36を通過する空気流が通過できるように、左面及び右面が開口されている。なお、誘導加熱調理器1では、複数の加熱コイル30の各々に別個に高周波電力を供給するために、複数の第1インバータ回路基板34を設けることができる。
第1冷却ファン35は、箱体50aの底面に設けられた通気口50a1を通過した空気を、箱体50aの内部に誘引する回転機械である。第1冷却ファン35としては、例えば、シロッコファン等の遠心ファンが用いられる。第1冷却ファン35の回転によって、通気口50a1を通過した空気が箱体50aの底面に沿った方向に吹き出される。第1冷却ファン35は、誘導加熱調理器1の機能等に応じて、複数個設けることができる。
通気口50a1は、例えば、箱体50aの底面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。また、通気口50a1を通過する空気流の吸入口として、例えば、本体3の左面に第1吸気口3a1を設けることができる。第1吸気口3a1も通気口50a1と同様、例えば、本体3の左面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。また、図9に示すように、本体3の内部に第1吸気口3a1と通気口50a1とを連通させる第1吸気ダクト38を設けることにより、第1冷却ファン35の回転により、第1吸気口3a1から吸入された本体3の外部の空気のみを、箱体50aの内部に誘引できる。
誘導加熱調理器1の加熱コイル30の駆動時の、本体3の第1領域200における空気の流れを図9及び図10を用いて説明する。図9では、空気の流れをブロック矢印で示している。また、図10における実線の矢印は、空気の主流を示しており、点線の矢印は主流よりも流量の少ない支流を示している。また、誘導加熱調理器1において、第1冷却ファン35が2つ設けられている場合について説明する。
第1冷却ファン35の回転により、第1吸気口3a1から吸入された空気は、第1吸気ダクト38及び通気口50a1を経て、第1領域200に誘引される。第1領域200に誘引された空気は、第1冷却ファン35により、加熱コイル30、表示基板31、操作基板32、フィルタ回路基板33、及び第1インバータ回路基板34に供給される。
本体3の第1領域200においては、第1インバータ回路基板34における発熱量が大きいので、実装部品の温度上昇が大きくなる。そこで、2つの第1冷却ファン35のうちの一方については、第1冷却ファン35の吹出口を保護部材37の開口に連通させて、優先的に第1インバータ回路基板34に空気を供給させている。この構成によれば、第1インバータ回路基板34の温度上昇を効率的に抑制できるため、加熱コイル30を安定して駆動させることができる。
加熱コイル30、表示基板31、操作基板32、フィルタ回路基板33を冷却した空気は、大部分が加熱コイル30に供給される。加熱コイル30を冷却した空気は、排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、誘導加熱調理器1から排気される。
本体3の第2領域300には、加熱庫6の他、第1ヒータ60a(本件発明の上方加熱源)、第2ヒータ60b(本件発明の下方加熱源)、及び赤外線温度センサ61が収容されている。本体3の第2領域300には、第2領域300とトッププレート2の左側の排気口2b1とを連通させる第1排気ダクト3b1と、第2領域300とトッププレート2の右側の排気口2b1とを連通させる第2排気ダクト3b2とが設けられている。第1排気ダクト3b1及び第2排気ダクト3b2は、筐体50の底面を貫通して本体3の内部に配置されている。
加熱庫6は、本体3の内部に設けられ、前面が開口した矩形形状の内箱である。加熱庫6には、加熱庫6の内部に収容され、加熱される被調理物を載置する調理皿6bが収容されている。調理皿6bは、例えば、被調理物の加熱時に発生する液体を収容する受け皿6b1と、加熱される被調理物を載置するプレート6b2とを有している。また、加熱庫6の内部は、第1排気ダクト3b1の内部と連通している。
第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bは、加熱庫6の内部に収容される被調理物を加熱する加熱源の1つである。第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bとしては、例えば、シーズヒータ等の電気輻射式のヒータが用いられる。第1ヒータ60aは、加熱庫6の上面に配置されている。第2ヒータ60bは、加熱庫6の下面に配置されている。第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bは、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bの熱損失を抑制するため遮熱部材で覆われている。
赤外線温度センサ61は、加熱庫6の内部の被調理物から発せられる赤外線を受光して、温度情報に変換する非接触型の温度センサである。赤外線温度センサ61としては、例えば、多結晶シリコン製の熱電対センサが用いられる。赤外線温度センサ61は、加熱庫6の右面に配置され、赤外線素子が被調理物の方を向くように下斜め方向に向けて配置される。
加熱庫6の背面には、マイクロ波加熱源62が設けられている。マイクロ波加熱源62は、加熱庫6の内部に収容される被調理物を加熱する加熱源の1つである。
加熱庫6では、第1ヒータ60a、第2ヒータ60b、及びマイクロ波加熱源62を用いることによって、少なくとも3種類の調理モードを実行できる。例えば、加熱庫6では、マイクロ波加熱源62のみを用いた「レンジモード」を実行できる。また、加熱庫6では、第1ヒータ60a及び第2ヒータ60bの少なくとも一方を用いた「グリルモード」を実行できる。加熱庫6では、「レンジモード」と「グリルモード」とを組み合わせた「レンジグリルモード」を実行できる。
マイクロ波加熱源62は、マイクロ波発振装置62aと、導波管62bと、アンテナ62cと、アンテナカバー62c1と、モータ62dと、マイクロ波透過板62eとを備えている。
マイクロ波発振装置62aは、マイクロ波の発生源である。ここで、マイクロ波とは、2450MHz±50MHzの高周波電波のことをいう。
マイクロ波発振装置62aは、発振器であるマグネトロン62a1と、マイクロ波発振装置62aで発生する熱を冷却する放熱素子62a2とを有している。マイクロ波発振装置62aは、放熱素子62a2が第2排気ダクト3b2の内部に位置するように、第2排気ダクト3b2に固定されている。マグネトロン62a1は、第2排気ダクト3b2の外部に配置され、導波管62bに包囲されている。
導波管62bは、マグネトロン62a1の発振により発生したマイクロ波の伝播を拘束し、マイクロ波を加熱庫6の内部方向に誘導する配管部材である。導波管62bは、例えば金属製の導管として形成される。
導波管62bの外部には、アンテナ62cを駆動するためのモータ62dが設けられている。モータ62dとしては、例えばブラシレスモータ等の直流モータが用いられる。
アンテナ62cは、導波管62bと加熱庫6の背面とを接続するアンテナカバー62c1に収容されている。アンテナ62cは、アンテナ62cに伝播されたマイクロ波を回転により攪拌して、加熱庫6の内部にマイクロ波を伝播させる回動部材である。アンテナ62cは、例えば、円形状の金属製の板状部材として形成される。
アンテナカバー62c1は、アンテナ62cの回転により、加熱庫6の内部にマイクロ波が均等に伝播するように形成された配管部材である。アンテナカバー62c1は、例えば、導波管62bと同一材料の金属製の導管として形成される。
マイクロ波透過板62eは、加熱庫6の背面に設けられたマイクロ波透過孔6cを加熱庫6の外側から閉塞する板状部材である。マイクロ波透過板62eは、例えば、マイクロ
波を透過させる耐熱性プラスチック又は耐熱性ガラスで形成される。
マグネトロン62a1の発振により発生したマイクロ波は、導波管62bを介してアンテナ62cに伝播される。モータ62dが駆動されアンテナ62cが回動することにより、アンテナ62cに伝播されたマイクロ波は、マイクロ波透過板62eを介して、加熱庫6の内部に拡散して伝搬される。これにより、加熱庫6に収容される被調理物の加熱ムラが改善される。
また、本体3の第2領域300には、第2インバータ回路基板63、マイクロ波制御用電源回路基板64、第2冷却ファン65a、及び第3冷却ファン65bが収容されている。
第2インバータ回路基板63は、商用電源の交流電力を高周波の交流電力に変換し、マイクロ波発振装置62aに供給する電気回路基板である。また、第2インバータ回路基板63には、放熱部材を設け、第2インバータ回路基板63から発生する熱を冷却できるように形成できる。また、第2インバータ回路基板63は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタで形成されたスイッチング素子を有していてもよい。また、第2インバータ回路基板63に供給される商用電力は、フィルタ回路基板33でノイズ除去された商用電源の交流電力であってもよい。
マイクロ波制御用電源回路基板64は、マイクロ波発振装置62aと、アンテナ62cと、モータ62dと、第2インバータ回路基板63と、第2冷却ファン65aと、第3冷却ファン65bとに電力を供給するマイクロ波制御専用の電気回路基板である。マイクロ波制御用電源回路基板64は、マイクロ波発振装置62a等に供給される電力を制御し、マイクロ波発振装置62a等の動作の開始及び停止又は動作条件等を制御するものである。
第2冷却ファン65aは、本体3の底面右側中央に設けられた第2吸気口3a2を通過した空気を、本体3の第2領域300の内部に誘引する回転機械である。第2冷却ファン65aとしては、例えば、プロペラファン等の軸流ファンが用いられる。第2冷却ファン65aの回転によって、第2吸気口3a2を通過した空気が本体3の底面から上方向に吹き出される。なお、第2吸気口3a2は、例えば、本体3の底面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。なお、本体3の右面側内部には、加熱庫6の上部に形成された連通路3c1と第2吸気口3a2との間を連通させる第2吸気ダクト66が設けられており、第2吸気ダクト66の内部に第2インバータ回路基板63が配置されている。
第3冷却ファン65bは、本体3の底面右側後方に設けられた第3吸気口3a3を通過した空気を、本体3の第2領域300の内部に誘引する回転機械である。第3冷却ファン65bとしては、例えば、プロペラファン等の軸流ファンが用いられる。第3冷却ファン65bの回転によって、第3吸気口3a3を通過した空気が本体3の底面から上方向に吹き出される。なお、第3吸気口3a3は、例えば、本体3の底面にパンチング孔を穿孔することにより形成される。
誘導加熱調理器1の加熱庫6の駆動時の、本体3の第2領域300における空気の流れを図9及び図10を用いて説明する。前述したとおり、図9では、空気の流れをブロック矢印で示している。また、図10における実線の矢印は、空気の主流を示しており、点線の矢印は主流よりも流量の少ない支流を示している。また、誘導加熱調理器1でマイクロ波加熱源62が用いられていること、すなわち、「レンジモード」又は「レンジグリルモード」のいずれかが実行されていることとして、説明する。
第2冷却ファン65aの回転により、第2吸気口3a2から吸入された空気は、第2吸気ダクト66に誘引される。第2吸気ダクト66では、第2吸気ダクト66に誘引された空気により、第2インバータ回路基板63が冷却される。第2吸気ダクト66に、風向板66aを設け、第2インバータ回路基板63のスイッチング素子等に空気を偏向させてもよい。
また、第2吸気ダクト66に誘引された空気の一部は、第2吸気ダクト66から分岐した分岐管66bを介して、赤外線温度センサ61に供給される。赤外線温度センサ61に供給された空気により、赤外線温度センサ61が冷却される。赤外線温度センサ61を冷却した空気は、その一部が加熱庫6の内部に流入する。
第2インバータ回路基板63を冷却した空気は、第2吸気ダクト66から連通路3c1に流入する。連通路3c1に流入した空気は、第2排気ダクト3b2に設けられた連通口3c2を介して第1排気ダクト3b1に流入する。第1排気ダクト3b1に流入した空気は、加熱庫6から流出した空気に誘引されて、トッププレート2の左側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、誘導加熱調理器1から排気される。
第3冷却ファン65bの回転により、第3吸気口3a3から吸入された空気は、第2排気ダクト3b2に誘引される。第2排気ダクト3b2に誘引された空気は、マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過する。マイクロ波加熱源62のマイクロ波発振装置62aの放熱素子62a2を通過した空気により、マイクロ波発振装置62aは冷却される。マイクロ波発振装置62aを冷却した空気は、第2排気ダクト3b2、並びにトッププレート2の右側の排気口2b1及び排気口カバー2cの開口2c1を介して、誘導加熱調理器1から排気される。
上述したように、加熱庫6では、加熱源としてマイクロ波加熱源62が採用している。また、加熱庫6には、加熱庫扉4の閉止状態において、加熱庫6からのマイクロ波の漏洩を防ぐとともに、加熱庫扉4の開放状態において、マイクロ波加熱源62の稼働を防止する加熱庫扉開閉検知装置67が設けられている。
加熱庫扉開閉検知装置67は、加熱庫扉4の開放状態又は加熱庫扉4の閉止が不十分な状態において、例えば、第2インバータ回路基板63の駆動を停止する安全装置である。加熱庫扉開閉検知装置67は、第1接点スイッチ67aと第2接点スイッチ67bとを有している。加熱庫扉開閉検知装置67は、加熱庫6の内部に収容され、かつ加熱庫6の外側に配置されており、例えば、本体3の前面右側の内部に収容されている。第1接点スイッチ67aは、第2接点スイッチ67bの上側に配置されている。第1接点スイッチ67aは、第1連動棒67a1を有しており、第1連動棒67a1が一定の位置まで押下された場合に、第1接点スイッチ67aが起動状態とされる。第2接点スイッチ67bは、第2連動棒67b1を有しており、第2連動棒67b1が一定の位置まで押下された場合に、第2接点スイッチ67bが起動状態とされる。なお、図示しないが、加熱庫扉開閉検知装置67には、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bの少なくとも一方が、異常によって停止状態とならない場合に、第2インバータ回路基板63への電力供給を遮断するモニタスイッチが設けられている。
また、加熱庫扉4の後面右側には、第1突起4f1及び第2突起4f2が設けられている。第1突起4f1は、加熱庫扉4の閉止時において、第1接点スイッチ67aの第1連動棒67a1を押下し、第1接点スイッチ67aを起動状態とするように配置されている。第2突起4f2は、加熱庫扉4の閉止時において、第2接点スイッチ67bの第2連動棒67b1を押下し、第2接点スイッチ67bを起動状態とするように配置されている。
加熱庫扉開閉検知装置67は、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bの双方が起動状態である場合に限り、マイクロ波加熱源62を駆動できるように構成される。一方、第1接点スイッチ67a及び第2接点スイッチ67bのいずれか一方でも停止状態である場合には、第2インバータ回路基板63の駆動をロックし、マイクロ波加熱源62の駆動がされないように構成される。また、マイクロ波加熱源62の駆動中に加熱庫扉4が開放された場合には、直ちに、マイクロ波加熱源62に電力を供給する第2インバータ回路基板63の駆動を停止するように構成される。この構成によれば、加熱庫扉4が完全に閉止されていない状態、すなわち半開きの状態、又はマイクロ波加熱源62の稼働中に加熱庫扉4が開放された場合であっても、マイクロ波の外部への漏洩を防止できるため、安全性を向上させることができる。
次に、加熱庫扉4の本体3への取り付け、開閉構造、加熱庫扉4周辺の本体内構成について図11〜図15を用いて説明する。図11は、加熱庫扉を開放した状態の本体を正面から見た図である。図12は、加熱庫扉と本体との接続部分の内部構造を拡大して示した断面図である。図13は、図11のY−Y断面を示す断面図である。図14は、図6のX−X断面を示す断面図である。図15は、図14において、加熱庫扉を開放した状態を示す断面図である。
誘導加熱調理器1を正面からみると、化粧パネル7の第2パネル72に挟まれて加熱庫扉4があり、図11に示すように加熱庫扉4を開いた状態にすると、加熱庫正面板6a1が露出して見える状態になる。加熱庫正面板6a1には、加熱庫6の前面の開口6aが設けられている。
また、加熱庫正面板6a1には、加熱庫扉4と本体3を開閉可能に連結する本発明の連結部材であるアーム40a(アーム40aを含め加熱庫扉4の開閉動作については後段で詳しく説明する)が貫通する連結部材貫通口6a2が設けられている。
図11に示すようにアーム40aは、加熱庫6の左右側面の庫外側にそれぞれ配置されている。詳しくは、図13に示すように加熱庫6の左右側面の庫外側と間隔(本発明の実施の形態では空間)を空けて設けられた遮熱壁6dのさらに外側にアーム40aが配置されている。言い換えれば、加熱庫6の左右側面の庫外側とアーム40aの間に、加熱庫6の左右側面の庫外側と間隔を空けて遮熱壁6dが設けられている。
連結部材貫通口6a2は、加熱庫扉4の開放時にアーム40aが本体3内から本体3外へ出ていくときに通過する開口であり、アーム40aに合わせて加熱庫6の開口6aの左右外側にそれぞれ配置されている。
前述のように、アーム40aは加熱庫扉4の開放時に本体3内から本体3外へ出ていき、その大部分が本体3外に露出した状態となる(図15参照)。アーム40aは加熱庫6の近傍に配置されていることで、加熱庫6で行われる調理時の第1ヒータ60a、第2ヒータ60bが発生する熱の影響を受けて温度が高くなる可能性がある。
また、本発明の実施の形態の加熱調理器1は厨房家具100に収容されて使用されるものであるので、厨房家具100による寸法上の制約もあり、加熱庫6の開口6aの高さ寸法、加熱庫6の庫内の高さ方向の寸法も低めに、例えば本発明の実施の形態では加熱庫6の開口6aの高さ寸法は一例として120mm(図11参照)以下、加熱庫6の庫内の高さ方向の寸法は一例として130mm(図9参照)以下に抑えられている。なお、加熱庫6の開口6aの高さ寸法および加熱庫6の庫内の高さ方向の寸法はあくまでも一例であるので、これに限定されるものではなく、前後20mm程度は許容の範囲である。
このように高さ方向が低めに抑えられている加熱庫6のような構成の場合、第1ヒータ60aと第2ヒータ60bの距離が短くなるので、アーム40aがより熱の影響を受けやすくなることから、アーム40aが受ける熱の影響を抑制するため、加熱庫6の左右側面の庫外側とアーム40aの間に、加熱庫6の左右側面の庫外側と間隔を空けて遮熱壁6dを設けている。
加熱庫6の左右側面の庫外側と間隔を空けて遮熱壁6dを設けることで、断熱層が形成され、さらにその外にアーム40aを配置することで、加熱庫扉4の開放時に本体3外へ露出したアーム40aを使用者が触ってしまったとしても火傷を受傷することを低減でき、安全性が向上する。
なお、本発明の実施の形態では加熱庫6の左右側面の庫外側と遮熱壁6dの間に空間を設けた例で説明したが、この空間に例えばグラスウールのような断熱部材を挿入するようにしても同様の効果を得ることができる。
図13に示すように、加熱庫扉開閉検知装置67はアーム40aを挟んで遮熱壁6dの反対側に設けられている。このように加熱庫扉開閉検知装置67を配置することで加熱庫扉開閉検知装置67が受ける熱の影響を低減し、加熱庫扉開閉検知装置67に不具合が発生することを抑制している。
図11に示すように、連結部材貫通口6a2は加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心を跨いで開口している。本発明の実施の形態では、一例として加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心から連結部材貫通口6a2の上端までの寸法はt1、加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心から連結部材貫通口6a2の下端までの寸法はt2となっていて、t1<t2の関係となっているが、t1=t2の関係であってもよい。
また、連結部材貫通口6a2の開口の下端は、加熱庫6の開口6aの下端よりも上方に位置している。言い換えると、連結部材貫通口6a2の開口の下端は、加熱庫6の開口6aの下端よりも高い位置にある。本発明の実施の形態の加熱調理器1のような加熱調理器では、本体3内で調理のための各種加熱源、及び電源回路が調理時に発熱することにより内部の圧力が高くなる。内部の圧力が高くなることで連結部材貫通口6a2のような開口からは本体3内の空気が押し出されてくる。
そのため、連結部材貫通口6a2の開口の下端が、加熱庫6の開口6aの下端と同じあるいは、加熱庫6の開口6aの下端よりも下方になるように設けられると、加熱庫6の庫外下方に設けられた第2ヒータ60b(本件発明の下方加熱源)が発生する熱がそのまま押し出されてしまうことが考えられ、使用者の安全性が阻害される恐れがある。よって、第2ヒータ60b(本件発明の下方加熱源)が発生する熱がそのまま押し出されないよう、連結部材貫通口6a2の開口の下端を、加熱庫6の開口6aの下端よりも上方に位置させることで、使用者の安全性が阻害されないようにしている。
また、連結部材貫通口6a2から押し出される本体3内の空気の量を少なくできるように、連結部材貫通口6a2の高さよりも連結部材貫通口6a2の幅方向の長さを短くし、連結部材貫通口6a2の高さは加熱庫6の開口6aの高さの半分以下にしている。このようにすることで、本体3内から押し出される温度の高い空気の連結部材貫通口6a2から出る量を低減するようにして、使用者の安全性が阻害されないようにしている。なお、本発明の実施の形態では一例として加熱庫6の開口6aの高さ120mmに対し、連結部材貫通口6a2の高さは60mm、幅方向の長さを8mmとしたが、あくまでも一例であり、連結部材貫通口6a2の幅方向の長さが連結部材貫通口6a2の高さよりも短く、連結部材貫通口6a2の高さは加熱庫6の開口6aの高さの半分以下であれば同様の効果を得ることができる。
図14、図15に示すように、加熱庫扉4は、前方下向きに回動するように、アーム40a及びヒンジ40bを介して加熱庫6にヒンジ接続されている。アーム40a及びヒンジ40bは、例えば板金等で形成される。また、アーム40aとヒンジ40bとの間には、アーム40aの開放動作又は閉止動作に負荷を提供するするバネ等の弾性体40cが設けられている。ヒンジ40bは、本体3の底部にネジ止め又はろう付け等により固定されている。
アーム40aは、加熱庫扉4の内部に収容された第1軸受40a1と、加熱庫扉4の閉止時に本体3に加熱庫扉4の後面を保持させる保持部材であるストッパ40a2とを有している。第1軸受40a1には、加熱庫扉4の内部に設けられた第1軸4a1が回動可能に取り付けられる。また、アーム40aは、加熱庫扉4の回動方向を規定する摺動部40a3と、加熱庫扉4の開放時における加熱庫扉4の回動限界を規定する係合部40a4と、弾性体40cの一端が係留される第1係留部40a5と、を有している。
ヒンジ40bは、加熱庫扉4の内部に収容された第2軸受40b1と、アーム40aを上部で摺動させるローラ40b2と、本体3の底部に固定され、ローラ40b2を回動可能に支持する支持台40b3とを有している。第2軸受40b1には、加熱庫扉4の内部に設けられた第2軸4a2が回動可能に取り付けられる。また、ヒンジ40bは、弾性体40cの他の一端が係留される第2係留部40b4を有している。
図14に示すように、加熱庫扉4の閉止時においては、ローラ40b2は、ストッパ40a2に保持されて、弾性体40cの弾力により移動が制限される。したがって、誘導加熱調理器1の設置に際し、加熱庫扉4が下向きになった場合であっても、加熱庫扉4の自重により、加熱庫扉4が開放されるのを防ぐことができる。また、地震等により誘導加熱調理器1に振動が伝播された場合においても、加熱庫扉4と加熱庫6との接触位置に誤差が生じるのを抑制し、加熱庫扉4の後面を本体3に保持することができる。したがって、アーム40aがストッパ40a2を有することにより、マイクロ波の外部への漏洩を防止できるため、誘導加熱調理器1の安全性を向上させることができる。
また、使用者がハンドル5を前側に移動させることにより、ストッパ40a2はローラ40b2から脱離し、摺動部40a3を摺動させて、係合部40a4に係合される。係合部40a4にローラ40b2を係合させることにより、アーム40aの更なる移動は抑制される。一般的に、加熱庫扉4は、マイクロ波の透過を抑制するため、マイクロ波を用いない加熱調理器の扉よりも重量が重くなっている。したがって、加熱庫扉4の移動によるアーム40a又はヒンジ40bの負荷は、マイクロ波を用いない加熱調理器よりも大きくなる。しかしながら、アーム40aが係合部40a4を有することにより、加熱庫扉4の移動を制限できるため、加熱庫扉4の移動による、アーム40a又はヒンジ40bの負荷は低減される。したがって、アーム40aが係合部40a4を有することにより、アーム40a又はヒンジ40bに変形又は破損が生じることを抑制できる。
それから、図14に示すように加熱庫扉4が完全に閉じた状態のとき、言い換えるとアーム40a(本発明の連結部材)の大部分が本体3内に収容された状態のときに、アーム40aは、本体3内において、その一部が加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心と重なる位置に配置され、アーム40aはほぼ水平となるようになっているので、加熱庫6の庫外上方に設けられた第1ヒータ60a(本件発明の上方加熱源)と加熱庫6の庫外下方に設けられた第2ヒータ60b(本件発明の下方加熱源)の両方から距離を置いて配置されるようになる。よって、アーム40aを本体3内において、その一部が加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心と重なる位置に配置することで、第1ヒータ60aと第2ヒータ60bから距離を置いて配置されるので、アーム40aの第1ヒータ60aと第2ヒータ60bから受ける熱の影響が低減でき、加熱庫扉4が開放されたときにアーム40aが露出して使用者が触れることができる状態になっても、使用者の安全性が阻害されない。
また、図14に示すようにアーム40a(本発明の連結部材)の大部分が本体3内に収容された状態のときに、垂直方向において、アーム40aの最上端と第1ヒータ60a(本件発明の上方加熱源)との距離T2は、加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心からアーム40aの最上端までの距離T1より長く、アーム40aの最下端と第2ヒータ60b(本件発明の下方加熱源)との距離T4は、加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心からアーム40aの最下端までの距離T3より長くなっている。このようにすることで、アーム40aを第1ヒータ60aと第2ヒータ60bから距離を置いて配置できるので、アーム40aの第1ヒータ60aと第2ヒータ60bから受ける熱の影響が低減でき、加熱庫扉4が開放されたときにアーム40aが露出して使用者が触れることができる状態になっても、使用者の安全性が阻害されない。
さらに、図15に示すように加熱庫扉4が完全に開いた状態のとき、言い換えるとアーム40aの大部分が本体3外に露出した状態のときに、露出されないアーム40a(本発明の連結部材)の本体3内に残留している部分は、本体3内において、その一部が加熱庫6の開口6aの高さ方向の中心と重なる位置されているので、アーム40aが移動しても、アーム40aの本体3内に残留している部分が第1ヒータ60aと第2ヒータ60bに接近せず、アーム40aの本体3内に残留している部分が第1ヒータ60aと第2ヒータ60bから受ける熱の影響を低減でき、アーム40aの露出している部分へ熱が伝わることを低減できるので、アーム40aに使用者が触れても使用者の安全性が阻害されない。
図12に示すように、加熱庫扉4が完全に開いた状態のとき、加熱庫6の庫内側底面6eと加熱庫扉4の加熱庫扉庫内側面4dは、水平方向でほぼ同一の高さとなるようになっている。こうすることで、調理前に被調理物を載置した調理皿6bを加熱庫6に収容するときに、調理皿6bを加熱庫扉庫内側面4dに仮置きしたり、調理終了後に加熱庫6から調理皿6bを取り出すときに仮置きしたりすることができるので、使用者の使い勝手が向上する。