(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図3及び図4において、VCは電気機器としての電気掃除機である。電気掃除機VCは、被掃除面上の塵埃を掃除する。本実施形態では、電気掃除機VCとして、床走行型、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機を例に挙げて説明する。これに限られず、電気掃除機VCは、スティック型やハンディ型、あるいは自律走行型又はロボット型でもよい。
電気掃除機VCは、本体1を備える。本体1は、吸気口10を備える。本実施形態において、吸気口10には、延長管や吸込口体等の風路体2が接続可能となっている。風路体2は、電気掃除機VCの種類によっては不要であるため、必須の構成ではない。また、本体1は、排気口を備える。また、図1に示すように、本体1には、吸引源である電動送風機3が配置される。さらに、本体1には、電動送風機3の吸気側に連通する風路部11を備える。また、本体1には、電動送風機3に給電する電源部4が配置される。本実施形態において、電源部4は、商用電源等の外部電源から電力を取るコードリール装置が用いられる。これに限られず、電源部4は、充電可能な二次電池等の電池でもよい。また、本体1には、電動送風機3を制御する制御手段が配置される。
本体1には、集塵装置5が設けられる。集塵装置5は、本体1に対し着脱可能でもよいし、本体1に一体的に設けられていてもよい。本実施形態において、集塵装置5は、本体1に設けられた被設置部12に着脱可能に設置される。また、本実施形態において、集塵装置5は、係止手段により本体1に所定位置で係止されて取り付けられる。係止手段による係止は、使用者による所定の操作等によって解除可能となっている。
集塵装置5は、吸気口10の下流側に接続される。また、集塵装置5は、電動送風機3の吸込側又は上流側に接続される。本実施形態において、集塵装置5は、流体的に、吸気口10と風路部11との間に接続される。
集塵装置5は、長手状に形成されている。本実施形態において、集塵装置5は、円筒状に形成され、その軸方向が長手方向となっている。以下、集塵装置5の両端方向又は長手方向又は軸方向を第一方向とする。また、第一方向に対して直交する両側方向又は幅方向を第二方向とする。さらに、第一方向及び第二方向に対して直交する方向を第三方向とする。図4等において、第一方向の一方又は一端側を矢印D1aで示し、第一方向の他方又は他端側を矢印D1bで示す。また、第二方向の一方を矢印D2aで示し、第二方向の他方を矢印D2bで示す。また、第三方向の一方を矢印D3aで示し、第三方向の他方を矢印D3bで示す。
まず、集塵装置5の風路構成について説明する。
図1に示すように、集塵装置5は、導入口50を備える。導入口50は、含塵空気が導入される開口部である。導入口50は、吸気口10と接続され、吸気口10と連通する。
また、集塵装置5は、第一分離部51を備える。第一分離部51は、導入口50から導入された含塵空気から塵埃を分離する。第一分離部51は、主として粗塵を分離する。粗塵とは、質量が大きい塵埃や、軽量であっても長い塵埃や大きい塵埃を言う。例えば、毛髪や糸等の軽量で長い塵埃や繊維、綿ごみ等、軽量であっても嵩張る塵埃等は、粗塵に含まれる。
さらに、集塵装置5は、第一集積部52を備える。第一集積部52は、第一分離部51により分離された塵埃を集積する。
また、集塵装置5は、第二分離部53を備える。第二分離部53は、第一分離部51を通過した含塵空気から、第一分離部51で分離しなかった塵埃を分離する。第二分離部53は、主として細塵や微細塵を分離する。
第一分離部51と第二分離部53とは、互いに異なる分離方式となっている。第二分離部53は、遠心分離部である。つまり、第二分離部53は、含塵空気を少なくとも1周旋回させることで塵埃に対し質量に応じた遠心力を付与し、塵埃を分離する。本実施形態において、第二分離部53は、並列に複数形成されている。第一分離部51は、第二分離部53と異なる任意の分離方式である。本実施形態において、第一分離部51は、慣性分離部である。図示される例では、第一分離部51は、直進慣性分離部である。つまり、第一分離部51は、含塵空気を直進させることで塵埃の質量に応じた慣性力を付与し、塵埃を分離する。
さらに、集塵装置5は、第二集積部54を備える。第二集積部54は、第二分離部53により分離された塵埃を集積する。
また、集塵装置5は、排出口55を備える。排出口55は、塵埃が分離された空気を集塵装置5から排出する開口部である。排出口55は、風路部11と接続され、風路部11と連通する。
本実施形態において、集塵装置5には、濾過分離手段56が配置されている。つまり、濾過分離手段56は、電動送風機3の上流側に配置されている。濾過分離手段56は、例えばフィルタである。濾過分離手段56は、第二分離部53の下流側に配置される。濾過分離手段56は、第二分離部53を通過する空気に僅かに残留する塵埃を分離捕集する。濾過分離手段56は、第二分離部53と排出口55との間、又は、排出口55に配置される。これに限られず、濾過分離手段56は、電動送風機3の上流側、かつ、第二分離部53の下流側に配置されていれば、集塵装置5の外部や本体1に配置されていてもよい。また、濾過分離手段56は、必須の構成ではない。
次に、集塵装置5の構造について説明する。
集塵装置5は、塵埃が集積される集積体であるカップ部57を備える。また、集塵装置5は、カップ部57に対して着脱可能な構造部58を備える。
カップ部57は、構造部58が取り付けられた状態で、内部に第一分離部51、第一集積部52、及び、第二集積部54が配置される。カップ部57は、第一方向の一方側が開口されている。また、カップ部57は、第一方向の他方側が閉塞されている。カップ部57の第一方向の他方側は、開閉可能となっていてもよい。本実施形態において、カップ部57は、筒状の胴部570を備える。本実施形態において、胴部570は、少なくとも内面が円筒状に形成されている。胴部570は、第一方向に沿って軸方向を有する。胴部570には、導入口50が開口されている。導入口50は、胴部570に対し、第三方向の一方側に位置する。導入口50は、胴部570の軸方向と交差又は直交する方向に開口されている。導入口50は、第三方向に沿って開口されている。また、胴部570の第一方向の他方側は、底部571により閉塞されている。例えば、底部571は、胴部570に対し可動的に設けられ、胴部570の第一方向の他方側を開閉可能であってもよい。胴部570は、好ましくは内部が目視可能に形成されている。
また、本実施形態において、カップ部57は、連通部である筒状部573を備える。図示される例では、筒状部573は、円筒状に形成されている。筒状部573は、第一分離部51の少なくとも一部を構成する。筒状部573は、導入口50と連通する。筒状部573は、導入口50から、含塵空気が内部に導入される。筒状部573は、内部を通過する含塵空気中の塵埃に慣性力を付与する。筒状部573は、導入口50からの含塵空気の導入方向に沿って直線状に形成されている。導入口50からの含塵空気の導入方向とは、導入口50の開口方向、又は、導入口50の開口面の法線方向を言う。筒状部573は、導入口50からの含塵空気の導入方向に沿って軸方向を有する。筒状部573は、第三方向に沿って軸方向を有する。また、筒状部573は、第一集積部52に連通する。筒状部573は、導入口50から第一集積部52に亘り形成される。筒状部573は、導入口50に上流側が連通し、第一集積部52に下流側が連通する。また、本実施形態において、筒状部573は、カップ部57又は胴部570の中心軸に対し、第三方向の一方側に位置する。筒状部573は、好ましくは導入口50側の端部の断面積が広く、その反対側の端部の断面積が狭く形成されている。つまり、筒状部573は、好ましくは含塵空気の上流側から下流側に向かい縮小されている。本実施形態において、筒状部573は、第三方向の一方側から他方側へと徐々に縮小される。図示される例では、筒状部573は、上流側が下流側より径大な円錐台形状となっている。
また、筒状部573には、通気孔5730が形成されている。通気孔5730は、第一分離部51と第二分離部53とを連通する部分である。つまり、通気孔5730は、第一分離部51から第二分離部53へと含塵空気の少なくとも一部が通過する部分である。また、通気孔5730は、第一分離部51で分離する塵埃の一部を捕集する部分である。本実施形態において、通気孔5730は、筒状部573の内部、つまり第一分離部51と、筒状部573の外部にてカップ部57の内部とを連通する。
通気孔5730は、筒状部573の側面を貫通して形成されている。また、通気孔5730は、複数形成されている。通気孔5730は、任意の形状としてよいが、例えば、図2(a)に示すように、筒状部573の軸方向及び周方向に広がる四角形状に形成されていてもよいし、図2(b)に示すように、筒状部573の周方向に延びるスリット状に形成されていてもよい。また、通気孔5730には、フィルタ5731が設けられていてもよい。特に、図2(a)に示すように通気孔5730が比較的大きく開口されている場合には、通気孔5730がフィルタ5731により覆われていることが好ましい。
さらに、図1に示すように、本実施形態において、カップ部57は、連結部574を備える。連結部574は、筒状部573と第一集積部52とを連結する。連結部574は、筒状に形成され、筒状部573の導入口50とは反対側の端部に連結される。つまり、連結部574は、筒状部573の下流側に連結される。連結部574は、筒状部573の第三方向の他方側の端部に連結される。本実施形態において、連結部574は、カップ部57又は胴部570の中心軸に対し、第三方向の他方側に位置する。図示される例では、連結部574は、円筒状に形成されている。連結部574は、筒状部573に対し交差する方向に延びている。連結部574の軸方向は、筒状部573の軸方向と交差している。本実施形態において、連結部574の軸方向は、第一方向に沿っている。連結部574は、筒状部573に対し第一方向の他方側に屈曲される。また、本実施形態において、連結部574は、筒状部573に対し、滑らかに湾曲して連結される。連結部574は、筒状部573に導入された含塵空気中の粗塵を第一集積部52に誘導する誘導部である。また、連結部574は、筒状部573との連結部分に対し拡大されている。さらに、連結部574は、カップ部57の中心軸に対し導入口50とは反対側の位置で胴部570に対し連なっている。つまり、連結部574は、第三方向の他方側の位置で胴部570と連なっている。連結部574を介し、筒状部573が胴部570と連なっている。
また、本実施形態において、カップ部57は、仕切り部575を備える。仕切り部575は、第一集積部52をカップ部57の内部に仕切るものである。仕切り部575、胴部570、及び底部571により、第一集積部52がカップ部57内に形成される。仕切り部575は、板状に形成されている。仕切り部575は、カップ部57又は胴部570の軸方向に対し交差又は直交する方向に面状に延びている。つまり、仕切り部575は、第二方向及び第三方向に広がる面状となっている。仕切り部575は、筒状部573及び連結部574に対し、第一方向の他方側に位置している。本実施形態において、仕切り部575は、筒状部573に対し第一方向の他方側に離れて位置している。また、仕切り部575は、底部571に対して第一方向の一方側に離れた位置で底部571に対向している。仕切り部575の第一方向の他方側にて、カップ部57の内部に第一集積部52が形成される。仕切り部575は、外縁部の形状が胴部570の内面に沿った形状となっている。本実施形態において、仕切り部575は、円形板状に形成されている。また、仕切り部575は、外縁部が胴部570に対し近接又は密着している。仕切り部575には、連結部574が接続されている。仕切り部575には、排出開口5750が形成されている。排出開口5750は、第一分離部51で分離された塵埃を第一集積部52へと排出する開口である。排出開口5750に連結部574が接続されている。つまり、排出開口5750を介して筒状部573が第一集積部52と連通する。仕切り部575は、連結部574及び筒状部573と一体的に形成されていてもよい。筒状部573、連結部574、及び、仕切り部575を一体的に形成する場合、これらをカップ部57に対し一体的に着脱可能としてもよい。
また、図2(a)に示すように、仕切り部575には、開口5751が形成されている。開口5751は、図1に示す第一集積部52から第二分離部53へと含塵空気の少なくとも一部が通過する通気孔である。また、本実施形態において、図2(a)に示すように、開口5751は、第一集積部52とカップ部57の内部とを連通する。開口5751は、仕切り部575を厚み方向に貫通して形成されている。開口5751は、任意の形状としてよいが、本実施形態では、第一方向に長手状に形成されている。また、開口5751には、好ましくはフィルタ5752が設けられる。フィルタ5752は、メッシュ状に形成されている。本実施形態において、開口5751、及び、フィルタ5752により、第一分離部51で分離された塵埃を圧縮する圧縮手段5753が構成されている。本実施形態において、圧縮手段5753は、第一分離部51から第二分離部53(図1)へと通過する含塵空気の気流を利用して塵埃を圧縮する。また、本実施形態において、圧縮手段5753は、第一集積部52に集積された塵埃を圧縮する。開口5751が十分に小さく形成されている場合、フィルタ5752は不要となる場合がある。つまり、圧縮手段5753において、フィルタ5752は必須の構成ではない。仕切り部575にて少なくとも開口5751の周辺部、及び/又は、フィルタ5752には、少なくとも第一集積部52側の表面に、塵埃の付着を抑制するフッ素コーティング等の防汚コーティングが施されていることが好ましい。
図1に示すように、構造部58は、カップ部57の第一方向の一方側の開口に取り付けられる。構造部58は、カップ部57に取り付けられてカップ部57の第一方向の一方側の開口を閉塞する。構造部58は、筒状に形成されている。本実施形態において、構造部58は、円筒状に形成されている。構造部58には、第二分離部53、及び、濾過分離手段56が配置される。
構造部58は、連通風路部580を備える。連通風路部580は、第一分離部51と第二分離部53とを連通する。連通風路部580は、第一分離部51を通過した含塵空気が第二分離部53へと流れる風路部である。連通風路部580は、構造部58の中央部に配置される。本実施形態において、連通風路部580は、構造部58の中心軸に沿って配置される。連通風路部580は、筒状に形成される。本実施形態において、連通風路部580は、円筒状に形成される。連通風路部580は、第一方向に沿って形成される。
また、構造部58は、旋回部581を備える。旋回部581は、第二分離部53の少なくとも一部を構成する。旋回部581は、第二分離部53毎に配置される。本実施形態において、旋回部581は、複数配置される。旋回部581は、連通風路部580の周囲を囲んで配置される。本実施形態において、旋回部581は、構造部58の中心軸の周囲に、円弧状に並んで配置される。旋回部581は、円錐台形状に形成されている。旋回部581は、第一方向に沿って軸方向を有して配置される。旋回部581は、大径側を第一方向の一方側、つまりカップ部57とは反対側とし、小径側を第一方向の他方側、つまりカップ部57側として配置される。旋回部581は、連通開口部5810を備える。連通開口部5810は、連通風路部580と第二分離部53とを連通する開口部である。連通開口部5810は、旋回部581の内部に周方向に沿って含塵空気を導入するように形成されている。連通開口部581は、連通風路部580に対し、第一方向の一方側に位置している。また、旋回部581は、塵埃排出口を備える。塵埃排出口は、第二分離部53を第二集積部54と連通する。塵埃排出口は、第二分離部53で分離された塵埃を第二集積部54に排出する。塵埃排出口は、旋回部581の小径側の端部に形成されている。さらに、旋回部581は、通気開口部を備える。通気開口部は、第二分離部53を排出口55と連通する。通気開口部は、旋回部581の中心軸に沿って形成される。通気開口部は、旋回部581の大径側の端部に形成されている。つまり、塵埃排出口と通気開口部とは、旋回部581において互いに反対側の端部に形成されている。
さらに、構造部58は、受け部582を備える。受け部582は、第二集積部54の一部を構成する。受け部582は、第二分離部53から排出された塵埃を受け、この受けた塵埃を、カップ部57に対し構造部58が取り外されたときにカップ部57側に落下させるように導くものである。受け部582は、塵埃排出口に対向する位置に配置される。受け部582は、構造部58においてカップ部57側の端部に位置する。つまり、受け部582は、構造部58において第一方向の他方側に位置する。また、受け部582は、旋回部581に対し第一方向の他方側に位置する。受け部582は、連通風路部580の外側に突設されている。受け部582は、連通風路部580の周囲を囲んで形成されている。受け部582は、構造部58の中心軸側から径方向外側に向かって第一方向の他方側、つまりカップ部57側へと徐々に傾斜している。受け部582の先端部には、シール部材5820が取り付けられている。構造部58がカップ部57に取り付けられた状態でシール部材5820がカップ部57に圧接されることで、第二集積部54が形成される。第二集積部54には、電動送風機3の駆動により生じる負圧が作用しないようになっている。
また、構造部58は、排気風路部584を備える。排気風路部584は、第二分離部53と排出口55とを連通するものである。排気風路部584は、旋回部581の通気開口部と連通する。排気風路部584は、構造部58においてカップ部57とは反対側の端部に配置される。つまり、排気風路部584は、構造部58において第一方向の一方側に位置する。排気風路部584は、旋回部581に対し第一方向の一方側、つまりカップ部57とは反対側に位置する。各旋回部581と排気風路部584は、構造部58の軸方向に対し交差する方向に延びている。排気風路部584は、第三方向に沿って延びている。排気風路部584の下流端が排出口55となっている。
次に、第1の実施形態の動作を説明する。
電気掃除機VCを使用する際には、まず、集塵装置5を本体1に装着しておく。本実施形態において、集塵装置5は、長手方向である第一方向が上下方向に沿い、第二方向が左右方向、第三方向が前後方向となるように本体1に取り付けられるが、これに限られず、電気掃除機VCの種類や使用状態によって、第一方向、第二方向、第三方向と、前後方向、左右方向、上下方向との対応は異なる。
電源が投入されると、電動送風機3が制御手段により制御されて駆動される。電動送風機3の動作により生じた負圧は、集塵装置5から吸気口10に作用する。本実施形態の電気掃除機VCでは、吸気口10に接続された風路体2を介して塵埃を空気とともに吸い込む。
含塵空気は、吸気口10から導入口50を介して集塵装置5の内部に導入される。本実施形態において、この含塵空気は、第一分離部51により一次的に塵埃が分離されて第一集積部52に集積されるとともに、第一分離部51から第二分離部53へと通過し、第二分離部53により二次的に塵埃が分離されて第二集積部54に集積される。この後、本実施形態において、第二分離部53を通過した空気は、濾過分離手段56を通過し、排出口55から集塵装置5の外部に排出される。
第一分離部51では、導入口50から導入された含塵空気が、筒状部573を直進することにより、含塵空気中の粗塵には比較的大きい慣性力が付与され、粗塵の大部分はそのまま筒状部573を直進して第一集積部52に集積される。本実施形態の場合、筒状部573を直進した粗塵は、連結部574に誘導されて排出開口5750から第一集積部52に集積される。また、粗塵のうち、慣性力が付与しにくい軽量の粗塵、例えば毛髪や糸等の繊維ごみや綿ごみ等の一部は、通気孔5730で分離される。これら分離された軽量の粗塵は、通気孔5730の周囲において筒状部573の内面、及び/又は、通気孔5730を覆うフィルタ5731に付着しても、筒状部573を通過する気流により順次剥がされて第一集積部52へと運ばれる。特に、筒状部573は、上流側から下流側に向かい徐々に縮小されているため、筒状部573を通過する含塵空気の流量が徐々に絞られることで流速が確保され、通気孔5730の周囲において筒状部573の内面、又は、通気孔5730を覆うフィルタ5731に付着する粗塵を効果的に剥がすことができる。一方、第一分離部51において、含塵空気中の細塵は、筒状部573の直進によって付与される慣性力が小さいため、主として通気孔5730を通過する一部の空気とともに第二分離部53へと流れる。
また、第一分離部51から筒状部573を直進して第一集積部52へと通過した含塵空気は、開口5751から第二分離部53へと通過する。この気流により、電動送風機3が駆動している間、第一集積部52に集積された塵埃が、圧縮手段5753により圧縮される。本実施形態では、開口5751の周辺の仕切り部575、及び/又は、開口5751を覆うフィルタ5752に塵埃が連続的に押し付けられることで圧縮される。
第二分離部53では、第一分離部51を通過した含塵空気がそれぞれ導入される。本実施形態では、通気孔5730や開口5751を通過した含塵空気は、連通風路部580から連通開口部5810を介し、第二分離部53を構成する旋回部581の内部へと導入される。第二分離部53に導入された含塵空気は、1周以上旋回されることで塵埃に遠心力が付与される。遠心力が付与された塵埃は、空気から分離され、塵埃排出口から第二分離部54へと排出される。塵埃が分離された空気は、第二分離部53の中心から通気開口部を介し排気風路部584へと排出され、排出口55へと流れる。
集塵装置5から排出された空気は、風路部11を介して電動送風機3に吸い込まれる。電動送風機3に吸い込まれた空気は、電動送風機3を冷却した後、排気口から本体1の外部に排気される。
掃除を終了する際には、電動送風機3を停止させる。
集塵装置5に集積された塵埃は、適宜廃棄可能である。本実施形態の場合、構造部58をカップ部57から取り外すことで、カップ部57内に塵埃が保持されるので、カップ部57をごみ箱等の廃棄位置まで運び、塵埃を廃棄する。塵埃を廃棄する際には、例えばカップ部57から筒状部573や仕切り部575等を取り外し可能に構成し、これらを取り外してカップ部57の開口から塵埃を纏めて廃棄してもよいし、例えばカップ部57の底部571を開閉可能に構成し、カップ部57の開口から細塵を廃棄し、底部571を開いて粗塵を廃棄するようにしてもよい。
このように、第1の実施形態によれば、第二分離部53を、塵埃を遠心分離する遠心分離部とし、第一分離部51を、第二分離部53と異なる分離方式とすることで、遠心分離しにくい綿ごみや繊維ごみ等を、遠心分離方式ではない第一分離部51によって分離し、これら綿ごみや繊維ごみ等の塵埃の絡み付きを抑制し、分離性能を確保できる。
第一分離部51は、主として粗塵を分離するので、粗塵を、遠心分離部である第二分離部53に流しにくくすることができる。軽量の粗塵は、遠心力を付与しにくく、遠心分離部で分離しにくいため、第一分離部51で分離することによって、第一分離部51と第二分離部53とのそれぞれの分離方式に適した塵埃を分離することが可能となり、分離性能が向上する。
第二分離部53の下流側に濾過分離手段56を配置することで、仮に第二分離部53を通過した微細な塵埃があったとしても濾過分離手段56によって捕集でき、それら微細な塵埃が電動送風機3に吸い込まれることを防止できる。
第一分離部51が、慣性分離部であるため、粗塵を旋回させて分離する遠心分離部のように粗塵の巻き付きや絡み付きが生じることなく、簡素な構成で塵埃を適切に分離できる。
第一分離部51は、筒状部573によって、含塵空気中の塵埃に慣性を容易に付与できる。
筒状部573は、導入口50からの含塵空気の導入方向に沿って直線状に形成されているため、導入口50から筒状部573に導入された含塵空気中の塵埃に、直線状の慣性力を容易に付与できるとともに、含塵空気の通気抵抗が少なく、吸引効率の低下を抑制できる。
第一分離部51で分離された塵埃を圧縮手段5753で圧縮することにより、第一分離部51で分離された塵埃が嵩張りにくくなり、集塵量を確保して、集塵装置5により多くの塵埃を集積可能となる。特に、第一分離部51で分離された塵埃は、粗塵であるため、嵩張りやすいので、圧縮手段5753によって圧縮することで、より多くの塵埃を集積可能となる。
圧縮手段5753が、第一分離部51から第二分離部53に流れる含塵空気の気流により塵埃を圧縮するため、複雑な機構等を用いることなく、簡素な構成で塵埃を容易に圧縮できる。
このとき、仕切り部575にて開口5751の周辺部、及び/又は、フィルタ5752の表面に防汚コーティングを施すことで、圧縮された塵埃が、電動送風機3が停止したときに剥がれやすくなるため、開口5751、及び/又は、フィルタ5752が塵埃により経時的に目詰まりしにくい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の集塵装置5は、第一分離部51が、濾過分離部である。第一分離部51は、濾過分離手段56よりも目が粗い濾過分離部である。
集塵装置5は、第1の実施形態の筒状部573、連結部574、及び、仕切り部575に代えて、第一分離部51の少なくとも一部を構成する壁部576を備える。壁部576は、カップ部57に設けられる。壁部576は、カップ部57の内部を、導入口50と直接連通する第一分離部51及び第一集積部52と、導入口50と間接的に連通する部分と、に仕切っている。本実施形態において、壁部576は、第一分離部51の少なくとも一部を構成するとともに、第一集積部52の仕切りとなっている。
壁部576は、導入口50の周辺の位置から、導入口50からの含塵空気の導入方向である第三方向に沿って延びている。壁部576は、胴部570に対し、少なくとも第三方向の一方側及び他方側で連なっている。壁部576、胴部570、及び、底部571により囲まれたカップ部57の内部が第一集積部52となっている。
壁部576は、任意の形状とすることが可能であるが、本実施形態においては、少なくとも一部が導入口50に対し第一方向の一方側に位置するガイド面部5760を備える。ガイド面部5760は、導入口50から第一分離部51に導入される含塵空気をガイドする機能を有する。ガイド面部5760は、導入口50と対向しない位置にある。ガイド面部5760は、導入口50からの含塵空気の導入方向である第三方向に沿って延びている。ガイド面部5760は、カップ部57の中心軸と交差する位置まで延びている。ガイド面部5760は、カップ部57に対し構造部58が取り付けられた状態で連通風路部580の近傍に位置する。また、ガイド面部5760は、壁部576において第三方向の一方側の端部をなしている。ガイド面部5760は、胴部570と連なっている。
また、本実施形態において、壁部576は、導入口50と対向する位置に、対向部5761を備える。つまり、対向部5761は、導入口50からの含塵空気の導入方向の投影と少なくとも一部が重なって位置する。対向部5761は、少なくとも第一方向及び第二方向に面状に延びている。対向部5761は、第三方向に対し交差する方向に延びている。また、対向部5761は、導入口50からの含塵空気の導入方向に対し交差する方向に傾斜している。本実施形態において、対向部5761は、第三方向の他方側に向かい、第一方向の他方側に傾斜している。対向部5761は、ガイド面部5760と連なり、壁部576において第三方向の他方側の端部をなしている。対向部5761は、胴部570と連なっている。
さらに、本実施形態において、壁部576は、側面部5762を備える。側面部5762は、ガイド面部5760及び対向部5761の側部に連なっている。側面部5762は、ガイド面部5760及び対向部5761に対し、第二方向の両方側に連なって形成されている。側面部5762は、対向部5761に対し第三方向の一方側に位置している。側面部5762は、少なくとも第一方向及び第三方向に面状に延びている。側面部5762は、第二方向に対し交差する方向に延びている。側面部5762は、胴部570に対して離れていて底部571と連なっていてもよいし、対向部5761よりも第三方向の一方側の位置で胴部570に対し連なっていてもよい。なお、側面部5762は、ガイド面部5760に対し、辺部を介して連なっていてもよいし、辺部を介することなく滑らかに連なっていてもよい。
本実施形態において、壁部576に形成される第一分離部51は、孔部5763を備える。孔部5763は、第一分離部51と第二分離部53とを連通する通気孔である。孔部5763は、壁部576を貫通して形成されている。孔部5763は、少なくとも対向部5761に形成されている。好ましくは、孔部5763は、壁部576において対向部5761と側面部5763とに形成されている。孔部5763は、複数形成されている。また、孔部5763には、フィルタ5764が設けられていてもよい。本実施形態において、少なくとも対向部5761に位置する孔部5763、及び、フィルタ5764により、第一分離部51で分離された塵埃を圧縮する圧縮手段5765が構成されている。本実施形態において、圧縮手段5765は、第一分離部51から第二分離部53へと通過する含塵空気の気流を利用して塵埃を圧縮する。また、本実施形態において、圧縮手段5765は、第一集積部52に集積された塵埃を圧縮する。孔部5763が十分に小さく形成されている場合、フィルタ5764は不要となる場合がある。つまり、圧縮手段5765において、フィルタ5764は必須の構成ではない。対向部5761にて少なくとも孔部5763の周辺部、及び/又は、フィルタ5764には、少なくとも第一集積部52側の表面に、塵埃の付着を抑制するフッ素コーティング等の防汚コーティングが施されていることが好ましい。
そして、含塵空気が吸気口10から導入口50を介して集塵装置5の内部に導入されると、第一分離部51では、導入口50から導入された含塵空気が、孔部5763を通過することで、塵埃が濾過分離される。このとき、孔部5763を通過する気流により、電動送風機3が駆動している間、塵埃が、導入口50に対向する対向部5761、及び/又は、対向部5761に位置する孔部5763を覆うフィルタ5764に連続的に押し付けられることで圧縮される。圧縮される塵埃により、対向部5761に位置する孔部5763が仮に覆われたとしても、含塵空気は側面部5762に位置する孔部5763から第二分離部53へと通過するため、分離性能や吸引効率が低下しにくい。
また、集塵装置5に捕集された塵埃を廃棄する際には、例えばカップ部57から壁部576を取り外し可能に構成し、壁部576を取り外してカップ部57の開口から塵埃を纏めて廃棄してもよいし、例えばカップ部57の底部571を開閉可能に構成し、カップ部57の開口から細塵を廃棄し、底部571を開いて粗塵を廃棄するようにしてもよい。
このように、第二分離部53を、塵埃を遠心分離する遠心分離部とし、第一分離部51を、第二分離部53と異なる分離方式とすることで、遠心分離しにくい綿ごみや繊維ごみ等を、遠心分離方式ではない第一分離部51によって分離し、これら綿ごみや繊維ごみ等の塵埃の絡み付きを抑制し、分離性能を確保できる等、上記の第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、第一分離部51を、濾過分離手段56よりも目が粗い濾過分離部とすることで、粗塵を旋回させて分離する遠心分離部のように粗塵の巻き付きや絡み付きが生じることなく、簡素な構成で塵埃を適切に分離できる。
さらに、第一分離部51で分離された塵埃を圧縮手段5765で圧縮することにより、第一分離部51で分離された塵埃が嵩張りにくくなり、集塵量を確保して、集塵装置5により多くの塵埃を集積可能となる。特に、第一分離部51で分離された塵埃は、粗塵であるため嵩張りやすいので、圧縮手段5765によって圧縮することで、より多くの塵埃を集積可能となる。
本実施形態では、圧縮手段5765が、第一分離部51から第二分離部53に流れる含塵空気の気流により塵埃を圧縮するため、複雑な機構等を用いることなく、簡素な構成で塵埃を容易に圧縮できる。
このとき、対向部5761にて孔部5763の周辺部、及び/又は、フィルタ5764の表面に防汚コーティングを施すことで、圧縮された塵埃が、電動送風機3が停止したときに剥がれやすくなるため、対向部5761に形成された孔部5763、又は、フィルタ5764が塵埃により経時的に目詰まりしにくい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の集塵装置5は、第一分離部51が、慣性分離部であって、含塵空気を円弧状に曲進させることで塵埃の質量に応じた慣性力を付与し、塵埃を分離するものである。第二分離部53は、例えば含塵空気を1周未満又は中心角が360°未満の円弧状に曲進させることで塵埃を分離するものである。
図6に示すように、集塵装置5は、第1の実施形態の筒状部573及び連結部574に代えて、第一分離部51の少なくとも一部を構成する連通部578を備える。
連通部578は、カップ部57に設けられる。連通部578は、仕切り部575に隣接して形成されている。連通部578は、仕切り部575に対し第一方向の一方側に隣接している。連通部578は、導入口50と連通する。連通部578は、導入口50から、含塵空気が内部に導入される。連通部578は、内部を通過する含塵空気中の塵埃に慣性力を付与する。
図7に示すように、連通部578は、少なくとも一部が導入口50からの含塵空気の導入方向に対し円弧状に湾曲して形成されている。すなわち、連通部578の少なくとも一部は、導入口50からの含塵空気の導入方向に対して交差する方向に湾曲している。本実施形態において、連通部578は、導入口50からの含塵空気の導入方向に対し円弧状に湾曲した通気部5780を有する。図示される例では、通気部5780は、第一方向を中心軸方向とする円弧状に湾曲されている。これに限られず、通気部5780は、第二方向を中心軸方向とする円弧状に湾曲されていてもよい。通気部5780は、導入口50と連通する。通気部5780は、導入口50の周辺の位置で胴部570と連なって形成されている。通気部5780は、図示される例では、通気部5780は、角筒状又はダクト状に形成されている。
通気部5780は、上流側よりも下流側で曲率が大きく形成されている。本実施形態において、通気部5780は、上流側から下流側に向かい、徐々に曲率が大きくなるように形成されている。図示される例では、通気部5780は、第一部分57801と、第二部分57802と、を備える。第一部分57801と第二部分57802とは、互いに連なって形成されている。
第一部分57801は、通気部5780の上流側を構成する。第一部分57801は、第二部分57802より曲率が小さい部分である。つまり、第一部分57801の曲率である第一曲率は、第二部分57802の曲率である第二曲率より小さい。第一部分57801は、導入口50と連通する。第一部分57801は、上流側から下流側へと、導入口50から第二方向の他方側に向かって延び、第三方向の他方側へと、第二方向の一方側に徐々に湾曲している。本実施形態において、第一部分57801は、カップ部57において、第三方向の他方側の位置まで延びている。第一部分57801は、半周分以下、つまり中心角が180°以下の円弧状に形成されている。図示される例では、第一部分57801は、中心角が鈍角の円弧状に形成されている。
第二部分57802は、通気部5780の下流側を構成する。第二部分57802は、第一部分57801の下流端に対し第二方向の一方側に位置している。また、第二部分57802は、上流側から下流側へと、第三方向の一方側に向かって延びている。つまり、通気部5780は、第一部分57801から第二部分57802に亘る位置で折り返されている。通気部5780は、上流側である導入口50側へと折り返す位置で曲率が大きくなるように形成されている。第二部分57802は、半周分未満、つまり中心角が180°未満の円弧状に形成されている。図示される例では、第二部分57802は、中心角が90°以下の円弧状に形成されている。つまり、第二部分57802は、第一部分57801よりも風路長が短く形成されている。また、第二部分57802は、第一部分57801に対して滑らかに連なっている。つまり、通気部5780は、第一部分57801から第二部分57802へと、曲率が徐変するように形成されている。
また、通気部5780は、開口部57803を備える。開口部57803は、第一分離部51と第二分離部53(図6)とを連通する通気孔である。開口部57803は、通気部5780の下流端に形成されている。本実施形態において、開口部57803は、第二部分57802に形成されている。また、開口部57803は、第三方向に沿って開口されている。すなわち、開口部57803は、第一分離部51を通過する含塵空気を第三方向の一方側に向かって第二分離部53(図6)へと通過させるようになっている。
また、本実施形態において、連通部578は、投入部5781を有する。投入部5781は、通気部5780の下流側に隣接して形成されている。投入部5781は、第二部分57802に隣接して形成されている。投入部5781には、通気部5780を通過する含塵空気中の塵埃が投入される。投入部5781は、通気部5780の円弧の外側に位置している。本実施形態において、投入部5781は、第二部分57802の円弧の外側に位置している。また、投入部5781は、通気部5780に対し、法線方向に突出して形成されている。投入部5781は、投入開口5782を介して通気部5780と連通する。投入開口5782は、通気部5780の下流側の円弧の外周側に形成されている。すなわち、投入開口5782は、第二部分57802の外周側に位置する。投入開口5782は、通気部5780の周方向に所定以上の幅を有して形成されている。投入開口5782は、好ましくは、第一部分57801の下流端の位置での内周側の仮想接線Tが間口を通るように幅が設定されている。また、投入部5781は、排出開口5750を介して第一集積部52と連通する。
そして、含塵空気が吸気口10から導入口50を介して集塵装置5の内部に導入されると、第一分離部51では、導入口50から導入された含塵空気が、連通部578に沿って曲進することにより、含塵空気中の粗塵には比較的大きい慣性力が付与され、粗塵が第一集積部52に集積される。本実施形態の場合、導入口50から導入された含塵空気が、通気部5780を通過することにより、粗塵に慣性力が付与されて投入開口5782から投入部5781に投入され、排出開口5750から第一集積部52に集積される。このとき、通気部5780は、上流側よりも下流側で曲率が大きいことで、上流側を通過して慣性力が付与された粗塵が、含塵空気が下流側に折り返す際に通気部5780の湾曲に追従せずに通気部5780の上流側の接線方向に放出されようとして、外周側の投入開口5782から効率よく投入部5781に投入される。一方、第一分離部51において、付与される慣性力が小さい細塵は、通気部5780の曲率にしたがい湾曲して開口部57803から空気とともに第二分離部53へと流れる。
また、集塵装置5に捕集された塵埃を廃棄する際には、例えばカップ部57から連通部578や仕切り部575を取り外し可能に構成し、これらを取り外してカップ部57の開口から塵埃を纏めて廃棄してもよいし、例えばカップ部57の底部571を開閉可能に構成し、カップ部57の開口から細塵を廃棄し、底部571を開いて粗塵を廃棄するようにしてもよい。
このように、第二分離部53を、塵埃を遠心分離する遠心分離部とし、第一分離部51を、第二分離部53と異なる分離方式とすることで、遠心分離しにくい綿ごみや繊維ごみ等を、遠心分離方式ではない第一分離部51によって分離し、これら綿ごみや繊維ごみ等の塵埃の絡み付きを抑制し、分離性能を確保できる等、上記の各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
第一分離部51が、粗塵を旋回させて分離する遠心分離部のように粗塵の巻き付きや絡み付きが生じることなく、簡素な構成で塵埃を適切に分離できる。
第一分離部51は、連通部578によって、含塵空気中の塵埃に慣性を容易に付与できる。
連通部578を、少なくとも一部が円弧状に湾曲するように形成することで、導入口50から連通部578に導入された含塵空気中の塵埃に、連通部578の湾曲によって慣性力を容易に付与できるとともに、集塵装置5の限られた内部のスペースに、慣性力を付与するための距離を長く取ることができ、第一分離部51での塵埃の分離性能を向上できる。
具体的に、連通部578は、通気部5780にて含塵空気を円弧状に通過させ、その含塵空気中の塵埃を投入部5781に投入することで、第一分離部51において塵埃を確実に分離することが可能となる。
通気部5780が、上流側よりも下流側の曲率が大きくなるように湾曲されているので、通気部5780の上流側を通過する塵埃が下流側に移動する際に、付与された慣性力によって通気部5780の湾曲から外れる方向に放出されやすくなる。そのため、通気部5780の下流側の外周側に配置した投入部5781に対し、塵埃が投入されやすくなる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の集塵装置5は、図8に示すように、筒状部573が、導入口50から、カップ部57において導入口50とは反対側の位置にある胴部570に亘り直線状に延びている。図示される例では、筒状部573は、導入口50からの含塵空気の導入方向、つまり第三方向に沿って直線状に延びている。筒状部573は、仕切り部575に隣接して位置する。また、筒状部573は、排出開口5750に直接接続されている。
また、本実施形態において、集塵装置5は、圧縮手段59を備える。圧縮手段59は、第一分離部51で分離された塵埃を圧縮する。本実施形態において、圧縮手段59は、第一集積部52に集積された塵埃を圧縮する。圧縮手段59は、集塵装置5に可動的に設けられた圧縮機構である。圧縮手段59は、カップ部57に対し所定方向に可動するようになっている。図示される例では、圧縮手段59は、カップ部57に対し第一方向に可動するようになっている。また、圧縮手段59は、好ましくは、集塵装置5の外部からの外力により可動させることが可能となっている。本実施形態において、圧縮手段59は、本体1の被設置部12への集塵装置5の着脱に応じて動作される。また、圧縮手段59は、仕切り部575に対し、第一方向の他方側に位置している。本実施形態において、圧縮手段59は、排出開口5750に対し、第三方向の一方側に位置している。
図8及び図9に示すように、本実施形態において、圧縮手段59は、押圧部590を備える。押圧部590は、塵埃を押圧して圧縮する部分である。押圧部590は、カップ部57の内部に移動可能に配置されている。本実施形態において、押圧部590は、第一方向に移動可能となっている。押圧部590は、第一集積部52に位置する。押圧部590は、例えば移動方向に厚み方向を有する板状に形成されている。なお、圧縮手段59には、押圧部590を、所定位置を超えて移動させないようにするためのストッパが設けられていてもよい。
圧縮手段59は、付勢手段591を備える。付勢手段591は、押圧部590を塵埃の押圧方向に付勢する。本実施形態において、付勢手段591は、押圧部590を第一方向の他方側へと付勢する。付勢手段591は、例えばコイルばねが用いられる。付勢手段591は、複数配置されていてもよい。付勢手段591は、仕切り部575と押圧部590との間に挟まれて配置されている。
また、圧縮手段59は、保持部592を備える。保持部592は、押圧部590と接続されている。保持部592は、集塵装置5を被設置部12に装着した状態で被設置部12に押圧されて押圧部590を付勢手段591の付勢に抗した状態で保持する。保持部592は、長手状に形成されている。本実施形態において、保持部592は、棒状に形成されている。また、保持部592は、カップ部57の底部571に挿通される。つまり、保持部592は、一端部が押圧部590と連なってカップ部57又は第一集積部52の内部に位置し、他端部がカップ部57又は集塵装置5の外部に導出されている。保持部592とカップ部57の底部571との隙間は、シール体により閉塞されている。保持部592には、好ましくは、被設置部12との接触部分に、接触安定部5920が形成されている。接触安定部5920は、被設置部12との接触を安定させる部分である。接触安定部5920は、保持部592の長手方向と交差する方向に面状に拡がっている。
さらに、圧縮手段59は、好ましくは覆い部593を備える。覆い部593は、塵埃を押圧する位置から離れた位置に移動された押圧部590の周囲を覆う。また、本実施形態において、覆い部593は、付勢手段591を覆う。覆い部593は、仕切り部575に形成されている。本実施形態において、覆い部593は、仕切り部575から第一方向の他方側に延びて形成されている。
そして、集塵装置5を本体1の被設置部12に装着すると、保持部592が被設置部12に接触する。本実施形態では、保持部592の接触安定部5920が被設置部12に接触する。集塵装置5を本体1に係止する位置では、保持部592が被設置部12により第一方向の一方側に押し込まれることで押圧部590が付勢手段591の付勢に抗して第一方向の一方側に移動して退避した位置で保持される。この状態で、付勢手段591に、押圧部590を塵埃の押圧方向に付勢する付勢力が蓄えられることとなる。また、図示される例では、圧縮手段59は、押圧部590が覆い部593よりも第一方向の一方側に退避する位置となって覆い部593により覆われる。
含塵空気が吸気口10から導入口50を介して集塵装置5の内部に導入されると、第一分離部51では、導入口50から導入された含塵空気が、筒状部573を直進することにより、含塵空気中の粗塵には比較的大きい慣性力が付与され、粗塵はそのまま筒状部573を直進して第一集積部52に集積される。本実施形態の場合、筒状部573を直進した粗塵は、排出開口5750から第一集積部52に集積される。圧縮手段59の押圧部590は、覆い部593により覆われているため、粗塵が付着しにくい。第一分離部51から筒状部573を直進して第一集積部52へと通過した含塵空気は、開口5751から第二分離部53へと通過する。
集塵装置5に集積された塵埃は、適宜廃棄可能である。電動送風機3を停止させた状態で、集塵装置5を本体1の被設置部12から取り外すと、保持部592が被設置部12から離れることにより、付勢手段591の付勢によって押圧部590が塵埃の押圧方向、本実施形態では第一方向の他方側に移動して底部571との間で塵埃を圧縮する。このように、第一分離部51により分離された塵埃が圧縮手段59により圧縮される。
そして、本実施形態の場合、構造部58をカップ部57から取り外すことで、カップ部57内に塵埃が保持されるので、カップ部57をごみ箱等の廃棄位置まで運び、塵埃を廃棄する。塵埃を廃棄する際には、例えばカップ部57から筒状部573や仕切り部575、圧縮手段59等を取り外し可能に構成し、これらを取り外してカップ部57の開口から塵埃を纏めて廃棄してもよいし、例えばカップ部57の底部571を開閉可能に構成し、カップ部57の開口から細塵を廃棄し、底部571を開いて粗塵を廃棄するようにしてもよい。
このように、第二分離部53を、塵埃を遠心分離する遠心分離部とし、第一分離部51を、第二分離部53と異なる分離方式とすることで、遠心分離しにくい綿ごみや繊維ごみ等を、遠心分離方式ではない第一分離部51によって分離し、これら綿ごみや繊維ごみ等の塵埃の絡み付きを抑制し、分離性能を確保できる等、上記の各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
第一分離部51で分離された塵埃を圧縮手段59で圧縮することにより、第一分離部51で分離された塵埃が嵩張りにくくなり、集塵量を確保して、集塵装置5により多くの塵埃を集積可能となる。特に、第一分離部51で分離された塵埃は、粗塵であるため嵩張りやすいので、圧縮手段59によって圧縮することで、より多くの塵埃を集積可能となる。
また、圧縮手段59を、可動的に設けられた圧縮機構とすることで、圧縮手段59を動作させることによって塵埃を確実に圧縮可能となる。
また、圧縮手段59が、被設置部12に対する着脱に応じて動作されるため、集塵装置5を被設置部12から取り外したときにのみ圧縮手段59を動作させることができる。そのため、塵埃を集積する際には圧縮手段59が邪魔にならず、圧縮手段59に塵埃が付着したり、絡み付いたりしにくい。
具体的に、圧縮手段59は、塵埃を押圧する押圧部590と、この押圧部590を塵埃の押圧方向に付勢する付勢手段591と、被設置部12への装着状態で被設置部12に押圧されて押圧部590を付勢手段591の付勢に抗した状態で保持する保持部592と、を有するので、集塵装置5が被設置部12に装着された状態では押圧部590を塵埃から離し、集塵装置5を被設置部12から取り外した状態で押圧部590を移動させて塵埃を押圧して圧縮する圧縮手段59を、容易に形成できる。
なお、上記第4の実施形態において、圧縮手段59は、集塵装置5の被設置部12への着脱に応じて動作されるものとしたが、これに限られず、使用者が手動で動作させたり、例えば集塵装置5や本体1に配置されたモータ等のアクチュエータを用いて動作させたりするもの等でもよい。
圧縮手段59は、上記第3の実施形態等にも適用可能である。
また、第1の実施形態の筒状部573の形状、通気孔5730やフィルタ5731等を、第4の実施形態の筒状部573に適用してもよい。
上記第1及び第4の実施形態において、筒状部573は、導入口50からの含塵空気の導入方向に沿って直線状に形成されているものに限られず、導入口50からの含塵空気の導入方向に対し湾曲しているものでもよく、例えば少なくとも一部が導入口50からの含塵空気の導入方向に対し円弧状に湾曲して形成されていてもよい。
上記各実施形態において、第一分離部51の分離方式は、第二分離部53と異なっていれば、慣性分離部や濾過分離部に限られず、任意の分離方式を用いてよい。
集塵装置5は、電気掃除機VCに適用されるものに限られず、電気掃除機の集塵部から塵埃を移送するためのダストステーション等に適用するものでもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。