<システムにおける主な構成要素>
まず、図1に記載されている本発明のシステムの概要と主要な構成要素について説明する。遠隔地緊急速報提供システム100は、電子タグ10と、送受信端末20と、情報集約サーバ30とを備える。
電子タグ10は、BLEタグ(BLE:Bluetooth(登録商標) Low Energy)、RFIDタグ(RFID:Radio Frequency Identifier)などの電波を発信するタグであり、数十メートルの範囲に電波を発信して、送受信端末20やその他の受信機能を有するデバイスに、タグの存在を知らせることができる。具体的には、電子タグ10は、自己の電子タグIDを内部に記憶し、発信する電波に当該電子タグIDを重畳し、当該電波を送受信端末20やその他の受信機能を有するデバイスが受信すると、当該電波に重畳された電子タグIDを持つ電子タグ10が近傍に存在すること(近接情報)を認識することができる。そして、電子タグ10は、使用者によって外出中も携行所持されていること、または、使用者に携帯される物に付随していることを前提としている。なお、本明細書では、電子タグ10が使用者に携帯されるとは、使用者が携帯される物に電子タグ10が付随していることを含めるものとする。使用者が携帯される物とは、たとえば、その使用者が外出する際に通常携行する鞄、靴、帽子、杖などである。
送受信端末20は、使用者の自宅や避難所などに置かれており、主に以下の機能を有する。
(ア)送受信端末20は、たとえば、内部にLTEのモジュールを有しており、緊急速報メールの受信機能を有する。また、送受信端末20は、電子タグ10からの電波の受信機能も有している。そして、電子タグ10が近接すると、電子タグ10の電子タグID及び送受信端末20の送受信端末IDを情報集約サーバ30に送信する機能も有する。なお、本明細書では、「緊急速報メール」を例に説明するが、「メール」という手段に限定されることはなく、「緊急速報」の情報が提供される如何なる手段を含むものとする。
(イ)送受信端末20は、緊急速報メールを受信するとその内容を情報集約サーバ30に送信する機能を有する。
(ウ)送受信端末20は、緊急速報メール(テキストデータ)を受信すると、テキストデータを音声データに変換し、内蔵されたスピーカーから音声を出力する。その後、音声を鳴動する等して、使用者に避難行動を促す機能を有する。さらに、送受信端末20は、緊急速報メールの着信やその内容を送受信端末20上に表示することも可能である。
(エ)送受信端末20は、使用者が送受信端末20の音声または表示を確認したことを示す操作(ボタン操作等)を行った場合には、使用者が緊急速報メールの内容を確認したとして、この使用者の操作情報(伝達された旨)を、情報集約サーバ30に送信する機能を有する。
(オ)送受信端末20は、緊急速報メールを受信すると、送受信端末20のモードを通常のモードから安否確認モードに切り替えることができる。そして、送受信端末20は、安否確認モードにおいて、使用者の電子タグ10の存在を検知した場合には、使用者が「避難前」であると認識し、避難を促すメッセージを出力する機能を有する。
情報集約サーバ30は、主に以下の機能を有する。
(ア)送受信端末20から、当該送受信端末20が受信した電子タグ10の識別情報および送受信端末20の送受信端末IDを受信することにより、使用者の位置情報を収集する機能を有する。具体的には、情報集約サーバ30は送受信端末20の位置情報を当該送受信端末20の送受信端末IDに対応付けて管理しており、特定の使用者の所有する電子タグ10の電子タグIDを特定の送受信端末20が受信し、当該送受信端末20から当該電子タグ10の電子タグIDと当該送受信端末20の送受信端末IDを受信し、当該送受信端末20の送受信端末IDに対応する位置情報に基づいて、当該使用者の位置を当該送受信端末20の位置情報付近と推定して使用者の位置情報を収集できる。
(イ)特定のエリアの電子タグ10のステータス管理を行う機能を「災害モード」に設定する機能を有する。具体的には、災害モード時において、情報集約サーバ30が送受信端末20または携帯端末40から受信した電子タグ10の位置情報により、当該電子タグ10を所有する使用者の避難状況について次のようなステータス管理を行う機能を有する。(a)自宅の送受信端末20が電子タグ10を検知している場合には、使用者は避難前の状況(ステータス)であるとする。(b)自宅の送受信端末20が使用者の電子タグ10を検知しなくなった場合、または自宅および避難所周辺以外の場所に設置された送受信端末もしくは支援者の所有する携帯端末40が電子タグ10を検知した場合には、使用者は避難中の状況(ステータス)であるとする。(c)避難所周辺の送受信端末20または避難所周辺に位置する支援者の携帯端末が使用者の電子タグ10を検知した場合には、使用者は当該避難所に避難完了の状況(ステータス)であるとする。
(ウ)特定のエリアの送受信端末20のステータス管理を「災害モード」に設定する機能を有する。送受信端末20が使用者の自宅と避難所の周辺にも設置されている場合には、災害モード時において、使用者の避難状況について次のようなステータス管理を行う機能を有する。(a)自宅の送受信端末20が電子タグ10を検知している場合には、使用者は避難前の状況(ステータス)であるとする。(b)自宅の送受信端末20が使用者の電子タグ10を検知しなくなった場合には、使用者は避難開始済みまたは避難中の状況(ステータス)であるとする。(c)避難所周辺の送受信端末20が使用者の電子タグ10を検知した場合には、使用者は当該避難所に避難完了の状況(ステータス)であるとする。
(エ)各使用者が送受信端末20によって緊急速報メールを確認したか否かの確認状況、避難状況を集計する機能を有する。
(オ)送受信端末20から受信した情報(緊急速報メールの内容、使用者が緊急速報メールの内容を音声で確認したなど)及び上記(イ)の避難状況のステータスを事前に登録してある使用者の家族などの連絡先CNにWebまたはメールで知らせる機能を有する。
<緊急速報メール配信時のシステムの運用>
次に、本発明の遠隔地緊急速報提供システム100の運用について、図1を用いて説明する。まず、災害等が発生した場合や発生の可能性が高まった場合に、気象庁が「緊急地震速報」、「津波警報」、「気象等に関する特別警報」を配信したり、各省庁や地方自治体LGが「災害・避難情報」(Jアラートにて配信される国民保護情報等)を配信したりする場合には、キャリアの基地局CRから該当エリアの携帯電話使用者に対して、緊急速報メールが配信される。そして、本件発明における送受信端末20は緊急速報メールを受信する。
送受信端末20は、緊急速報メールを受信すると、当該緊急速報メールの内容を自己の送受信端末IDとともに情報集約サーバ30に電文として送信する。情報集約サーバ30は、送受信端末20から送受信端末IDおよび緊急速報メールの内容を受信した場合に、当該送受信端末IDもしくは当該緊急速報メールの内容に基づいて、当該緊急速報メールが配信されたエリアに設置された送受信端末20を「安否確認モード」に設定する指示を当該送受信端末20に送信し、当該送受信端末20は受信した当該指示に基づいて自己を「安否確認モード」に設定するようにしてもよい。また、上述したように、送受信端末20は、緊急速報メールを受信すると、自らのモードを通常のモードから安否確認モードに切り替えることもできる。また、送受信端末20から受信した緊急速報メールについて事前に登録してある使用者の家族等の連絡先CNにメールで知らせるとともにWebに掲載する。これにより、使用者の見守りを行う家族等の連絡先CNは、例え遠隔地に居住していたとしても、使用者のエリアで緊急速報メールが配信されたことを迅速に知ることができる。なお、上述の連絡先CNに送信するメールには、緊急速報メールの内容とともに、あるいは緊急速報メールの内容に代えて、当該緊急速報メールの内容を掲載するWebのURLを含めてもよい。
また、送受信端末20は、受信した緊急速報メールのテキストデータを音声に変換し、スピーカーから発信すると共に鳴動する。さらに、送受信端末20は、緊急速報メールの着信やその内容を送受信端末20上に表示することも可能である。これにより、携帯電話を所持していない使用者でも、確実に緊急速報メールが配信されたことを知ることができる。そして、送受信端末20の鳴動後に、使用者が緊急速報メールの音声または表示出力を確認したことを示す操作(ボタン操作等)があった場合には、送受信端末20は、使用者の操作があったこと(伝達された旨)を情報集約サーバ30に電文として送信する。情報集約サーバ30は、使用者による操作の状況を使用者の家族等の連絡先CNにメールで知らせるとともにWebに掲載する。これにより、使用者の見守りを行う家族等の連絡先CNは、使用者が緊急速報メールを確認済みであることを迅速に知ることができる。
使用者の所持する電子タグ10は、電波を発信することにより、当該電波を受信可能な近傍の送受信端末20に対して、その存在を知らせることができる。そして、送受信端末20は、近傍に存在することを検知した特定の電子タグ10を携帯する使用者について、そのステータス(「在宅」または「外出」)情報を管理することが可能である。また、送受信端末20は、存在を検知したそれぞれの電子タグ10に応じて避難ルートを示すメッセージなどを出力することも可能である。送受信端末20が存在を検知した電子タグ10のステータス情報を情報集約サーバ30に送信することで、情報集約サーバ30は、上述したような、使用者の避難状況についてステータス管理を行うことができる。
情報集約サーバ30は、使用者の避難状況のステータスを使用者の家族等の連絡先CNにメールで知らせるとともにWebに掲載する。たとえば、使用者の家族等の連絡先CNはWeb上の地図を用いて、使用者の位置やその移動履歴などを確認することができる。これらの避難状況のステータスは、情報集約サーバ30が送受信端末20から使用者の電子タグ10との近接情報を受信するたびに更新され、その都度、使用者の家族等の連絡先CNにメールが発信、またはアプリにより通知されることが好ましい。また、送受信端末20が使用者の自宅と避難所の経路上にも設置されている場合には、経路上の送受信端末20からも情報集約サーバ30に対して使用者の電子タグ10の近接情報が送信されることとなる。これにより、使用者の見守りを行う家族等の連絡先CNは、使用者の避難している経路の推測が容易となり、どこの避難所に避難しているのかといった点も含めて、避難の状況を迅速にきめ細かく確認することができる。
また、以下では、図1を参照して、上述した遠隔地緊急速報提供システムの応用例について説明する。
<コールセンタへの接続>
使用者の自宅に設置されている送受信端末20には、非常時通報ボタンや音声通話機能を備えた相談ボタン等が設けられ、送受信端末20は情報集約サーバ30を介してコールセンタCCと、警報信号の送信と音声通信が可能なように接続されていても良い。これによって、使用者は緊急時にコールセンタCCの支援を受けることができる。コールセンタCCは、送受信端末20の非常ボタンが押された場合や生活異常(一定時間生活の動きがない状態)を検知した場合、火災・ガス漏れのセンサーが反応した場合などに、使用者の自宅に迅速にガードマンを派遣することができる。また、コールセンタCCは、音声通話機能を用いて、使用者からの健康上の相談などを随時受け付け、使用者の生活を事故や災害、健康などの面で多面的に見守り支援することができる。さらに、災害時においては、コールセンタCCは、音声通話機能を用いて、使用者に対して避難を促す電話や安否確認などの支援を行うことも可能である。
<自治体への接続>
図1に示すように、情報集約サーバ30と地方自治体LGを接続することによって、地方自治体LGに使用者の位置情報等を提供すれば、地方自治体LGは、地域住民の避難状況等を把握することが可能となる。また、地方自治体LGと情報集約サーバ30を連携し、地方自治体LGの判断により、特定地域の電子タグ10及び送受信端末20のステータス管理を「災害モード」に指定することも可能である。これによって、情報集約サーバ30において、電子タグ10及び送受信端末20の近接関係から、上述のような、使用者の「避難前」、「避難中」、「避難完了」のステータス管理を行うように切り替えることができる。また、「安否確認モード」に設定された送受信端末20は、使用者の電子タグ10の存在を検知した場合には、使用者が「避難前」であると認識し、避難を促すメッセージを出力することが可能である。また、この場合、地方自治体LGが避難場所を指定することも可能であり、自治体の指定した避難場所の周辺に設置された送受信端末20もしくは避難場所の周辺に位置する携帯端末40が使用者の電子タグ10を検知した場合にのみ、使用者の状況を「避難完了」のステータスとなるように設定することも可能である。
<遠隔地緊急速報提供システムの概要>
上述した、遠隔地緊急速報提供システム100は、以下の通りである。遠隔地緊急速報提供システム100は、電子タグ10と、送受信端末20と、情報集約サーバ30を備える。送受信端末20は、緊急速報メール及び電子タグ10の近接情報を受信する機能を有し、緊急速報メール及び電子タグ10の近接情報を情報集約サーバ30に送信可能な機能を有する。情報集約サーバ30は、緊急速報メール及び電子タグ10の近接情報を事前に登録した連絡先CNに送信する機能を有する。このように、緊急速報メールと電子タグ10の近接情報を事前に登録した連絡先CNに送信することで、使用者が住む被災地において発信された防災情報や使用者への防災情報の伝達状況を、遠隔地に住む使用者の家族等に対して提供する遠隔地緊急速報提供システム100を提供できる。
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る各実施形態について説明する。
<第一実施形態>
<遠隔地緊急速報提供システムの構成>
図2〜図12を参照し、本実施形態における遠隔地緊急速報提供システム100(情報処理システム100)を説明する。遠隔地緊急速報提供システム100は、電子タグ10と、送受信端末20と、情報集約サーバ30とを備える情報処理システムである。電子タグ10は、BLEタグ、RFIDタグなどの非接触で比較的近傍に向けて電波を発信するタグであり、数メートルから100メートル前後の範囲(電子タグ通信可能エリア)に毎秒数回程度電波を発信する。この電波は、電子タグ10に固有の電子タグIDを含む。
送受信端末20は、電子タグ10が発信する電波の強度が受信可能な程度の十分な強度となる距離範囲である電子タグ通信可能エリア内に入った場合に、その電波を受信する。したがって、送受信端末20は、電子タグ10の電子タグIDを受信し続けている場合には、当該電子タグ10は該通信可能エリア内に存在し、当該電子タグ10を携帯する使用者が近傍に存在する(接近)と判定できる。また、送受信端末20は、当該電子タグ10の電子タグIDを受信し続けている状態から、受信しない状態となり、その後も受信しない状態が継続する場合には、当該使用者は近傍には存在せず、当該送受信端末20から離れて行った(離脱)と判定できる。
また、送受信端末20は、ある場所(たとえば住宅や避難場所)に固定して設置され、キャリア(回線事業者、通信事業者、電話会社など)の基地局CRが発信する緊急速報メールを受信する。緊急速報メールは、災害等が発生した場所または発生の可能性が高まった場所(被災地)に、主に市町村の地方自治体単位に発せられるが、実際には各キャリアの基地局CRから携帯電話の電波で発信される。したがって、緊急速報メールは、発信された時点で所謂「圏外」になっていなければ、それぞれの基地局CRがカバーする通信エリア(緊急速報受信エリア)に存する送受信端末20に送信される。
また、送受信端末20は、インターネットなどのネットワーク50を介して情報集約サーバ30と通信を行う。送受信端末20は、使用者の自宅や避難場所などに固定して設置されるため、安定した通信が可能な有線通信を介して情報集約サーバ30と通信を行う。もちろん、これに限定されず、設置される場所の状況に応じて無線通信を介して情報集約サーバ30と通信をしてもよい。この場合は、送受信端末20は、携帯電話の電波を使用して携帯電話の基地局CRを介して通信してもよい。送受信端末20と情報集約サーバ30の間では、頻繁に断線監視を行っており(たとえば、毎秒数回程度のUDP(User Datagram Protocol)による通信)、常に両者間で通信が行えるように維持されている。
情報集約サーバ30は、ネットワーク50を介して、複数の送受信端末20と通信を行い使用者の状態を収集し集約する。また、情報集約サーバ30は、送受信端末20に関連する電子タグ10の使用者の連絡先CNの端末に対して当該使用者の状態に関する情報を提供するためのメール送信やWebページを提供する。また、情報集約サーバ30は、地方自治体LGの端末からのアクセスを認め、収集した使用者の状態を当該端末から閲覧したり、集約した使用者の状態に関する情報を把握したり、また、特定の場所に対して災害モードを設定するなどの操作を行うことを認める。
<送受信端末および電子タグの構成>
図3を参照し、電子タグ10と送受信端末20の構成要素について説明する。電子タグ10は、送受信端末20と通信を行うタグ通信部11と、自己の電子タグIDを記憶するタグ識別情報記憶部12と、電子タグ10を携帯する使用者が自ら支援を要請する旨をタグ通信部11から送信させるためのタグ操作部15とを備える。タグ識別情報記憶部12は、当該電子タグ10固有の電子タグIDを記憶する不揮発性メモリである。タグ操作部15については後述する。なお、実施形態における電子タグ10の使用者とは、一人の使用者につき電子タグ10を少なくとも1台を携帯していることを前提とする。また、実施形態における送受信端末20の使用者とは、送受信端末20に関連づけられている電子タグ10を携帯している使用者をいい、その使用者が複数人である場合は、その複数人による集合体を送受信端末20の使用者と表現する。
タグ通信部11は、送受信端末20の第2端末通信部212と通信を行う。タグ通信部11と第2端末通信部212は、BLEやRFIDなどの近距離無線通信の通信規格に則って通信を行う。たとえば、BLEでは、ブロードキャストとコネクションという2つのモードがあるがいずれであってもよい。ブロードキャストモードでは、タグ通信部11がデータを発信するブロードキャスタとなり、第2端末通信部212がオブザーバとなる。タグ通信部11がアドバタイズパケットを発信すると第2端末通信部212がそれを受信することで、電子タグ10から送受信端末20へ電子タグ10の電子タグIDが伝達される。
コネクションモードでは、コネクションを開始する側のデバイスをマスター、マスターのコネクション開始要求を受け付け、以降マスターのタイミングでデータの送受信をおこなうデバイスをスレーブと呼ぶ。データ自体は双方向に通信できるので、予めペアリングしておけば、タグ通信部11と第2端末通信部212は、いずれであってもよい。なお、電子タグ10が多数の送受信端末20と通信することを想定する場合には、ブロードキャストモードの方が好ましい。また、たとえばRFIDタグの場合は、電池を内蔵し通信時に自らの電力で電波を発するアクティブタグが好ましい。タグ通信部11と第2端末通信部212の間の通信は、上述した通信規格に限定されるものではなく、送受信端末20近傍の電子タグ10の存在を判別するという意義を満たす通信であればよい。近傍の概念は、目的や時代により変化し得る。
送受信端末20は、他の装置等と通信を行うための端末通信部21と、様々な情報を格納する端末記憶部22と、送受信端末20の全体の制御と様々な処理を行う端末処理部23と、緊急速報の情報などを視覚的および/または聴覚的に使用者に伝達するための端末出力部24と、使用者の操作を受け付ける端末操作部25と、所定時間周囲の音を録音する録音部26と、を備える。
端末通信部21は、電子タグ10、情報集約サーバ30、および基地局CRとデータや情報の送受信を行うための、たとえば、Bluetooth(登録商標)、LAN(Local Area Network)カード、LTE等の通信を行う通信デバイスである。端末通信部21は、情報集約サーバ30と通信を行う第1端末通信部211と、電子タグ10と通信を行う第2端末通信部212と、キャリアの基地局CRからブロードキャストにより発信される緊急速報メールを受信する第3端末通信部213と、を備える。第2端末通信部212は、上述したようにタグ通信部11と通信を行う。
第1端末通信部211は、好ましくは、電線や光ファイバーなどの通信線路である有線通信によりインターネットに接続されるネットワークインターフェースである。通信線路は、公衆交換電話網、ケーブルテレビ、有線ラジオ放送、専用線などである。第1端末通信部211は、通信線路内を流れる通信規格に応じて、その通信規格に則ったネットワークインターフェースを有する。第3端末通信部213は、キャリアの基地局CRから発信され携帯電話に使用される電波を受信する。近年では、第4世代移動通信システム(4G)やLTEに準拠したプロトコルが主流だが、第5世代移動通信システム(5G)に準拠した電波でもあってもよく、またこれら既知の通信方式に限定されることはなく、無線通信を使用して緊急速報の情報が携帯電話に向かって発信される意義を満たす通信であればよい。
端末記憶部22は、送受信端末20の自己の送受信端末IDを記憶する端末識別情報記憶部221と、送受信端末20が自己に関連する電子タグ10に関する情報を記憶する端末タグ情報記憶部222と、使用者の状態を記憶する端末使用者状態記憶部223とを備える。端末識別情報記憶部221は、当該送受信端末20固有の送受信端末IDを記憶する不揮発性メモリである。端末タグ情報記憶部222は、当該送受信端末20に関連付けられる電子タグ10の電子タグIDを記憶する。送受信端末20が一般住宅に設置される場合、当該送受信端末20に関連付けられる電子タグ10はその住宅に居住する人により所持、携帯されるものである。したがって、一般住宅に設置された送受信端末20は、その住宅に住む人が携帯する電子タグ10と関連付けられていることになる。なお、その住宅に住む人が複数である場合は、複数の人が携帯する電子タグ10の電子タグIDをそれぞれ送受信端末20に関連付けて記憶する。端末タグ情報記憶部222は、関連する電子タグ10の電子タグIDを変更容易に記憶するために追記変更可能な不揮発性メモリであることが好ましい。端末使用者状態記憶部223については後述する。
端末処理部23は、電子タグ10から受信した当該電子タグ10の電子タグIDを、端末タグ情報記憶部222が記憶する電子タグ10の電子タグIDと比較し、使用者が送受信端末の近傍にいるかいないかのタグ使用者状態と、使用者の在宅または外出の端末使用者状態を判定する使用者状態判定部231と、端末記憶部22内のデータや情報を検索する端末検索部232とを備える。使用者状態判定部231の詳細は後述する。
ここで、図5を参照して、送受信端末20のハードウェア構成の一例を説明する。送受信端末20では、所謂パーソナルコンピュータと同様、端末処理部23は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)から構成され、端末記憶部22は、メモリであるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク(HD)から構成され、端末通信部21は、様々な通信を行うネットワークインターフェースから構成される。また、送受信端末20では、所謂スマートフォンと同様、端末出力部24は、視覚的または聴覚的に情報を出力する表示パネルやスピーカーから構成され、端末操作部25は、送受信端末20への入力装置としてのボタンやタッチパネルなどから構成される。録音部26は、典型的には周囲の音を集音し、メモリ等に固定するものである。送受信端末20は、これらが内部バス等の伝送路20Busを介して互いに接続されたものである。
端末処理部23は、演算装置(CPU)によりその機能が実現され、送受信端末20を統括的に制御する。端末処理部23は、OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。OSは、送受信端末20固有のOSであってもよいし、パーソナルコンピュータなどで稼働する汎用的なOSと同じであってもよい。
端末記憶部22は、メモリやハードディスクによりその機能を実現され、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどを格納する。端末記憶部22には、OSと協働して端末処理部23に命令を与えて各種処理を行うためのプログラムが記録される。たとえば、送受信端末20が備える処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施例で説明する処理をCPUに実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよく、必要に応じて送受信端末20に取り込まれる。記録媒体とは、USBメモリ等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明する処理または処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。このプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して端末処理部23を構成する。
また、プログラムは、送受信端末20に対して任意のネットワークを介して接続されたプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部を送受信端末20にダウンロードすることも可能である。また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、上述した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
端末出力部24と端末操作部25は、入出力インターフェイスを介して端末処理部23により制御される。端末処理部23は、端末操作部25からデータ等を取得し、端末出力部24に対して生成したデータ等を出力する。端末出力部24は、緊急速報の情報などを文字で視覚的に表示する表示パネルや、緊急速報の情報を音声に変換して聴覚的に伝えるスピーカーを備えることが好ましい。端末操作部25は、緊急速報の情報を聞いて伝達された旨を操作する独立したボタンを備えることが好ましく、またこれ以外に、柔軟な操作ができるようにタッチパネルを備えることが好ましい。
また、ここで図9を参照して、端末記憶部22における、端末識別情報記憶部221、端末タグ情報記憶部222、および端末使用者状態記憶部223のテーブルの例を説明する。端末識別情報記憶部221のテーブルは、たとえば、送受信端末IDとその送受信端末IDに対応して関連電子タグIDのカラムを有する。この例では、TM0000001という送受信端末IDを有する送受信端末20は、TG00000001とTG00000002という関連電子タグIDを有する電子タグ10と関連付けられている。これは、送受信端末IDがTM0000001という送受信端末20と電子タグIDがTG00000001とTG00000002という電子タグ10は、たとえば、住宅に設置された送受信端末20とその住宅に住む人が所持する電子タグ10といったように関連していることを示している。
端末タグ情報記憶部222のテーブルは、たとえば、電子タグIDの接近を検知した日時のカラムを有する。この例では、TG00000001という電子タグIDを有する電子タグ10は、2019/04/01/17:00:00時点で送受信端末20の近傍に居たことを示しており、TG00000002という電子タグIDを有する電子タグ10は、2019/04/01/17:00:04時点で送受信端末20の近傍から離脱していたことを示している。この情報に基づき、使用者状態判定部231は、使用者の在宅状態を判定する。端末タグ情報記憶部222のテーブルは、端末検索部232により検索される。
端末使用者状態記憶部223のテーブルは、たとえば、送受信端末20に対応した使用者の状態を有する。使用者状態判定部231は、関連する送受信端末20に接近しているかまたは離脱しているかにより電子タグ10を携帯する使用者の在宅または外出の状態を判定し、端末使用者状態記憶部223がこれらの判定情報を記憶することにより使用者の状態を管理する。また、使用者状態判定部231は、複数の電子タグ10が1つの送受信端末20に関連する場合、使用者状態判定部231は、全部の電子タグ10が離脱している場合に外出、少なくとも1つの電子タグ10が接近している場合に在宅と判定し、端末使用者状態記憶部223がこれらの判定情報を記憶することにより端末使用者状態として管理する。この例では、TG00000001という電子タグIDを有する電子タグ10の使用者は、TM0000001という送受信端末20に接近している状態を示し、TG00000002という電子タグIDを有する電子タグ10の使用者は、当該送受信端末20から離脱している状態を示しており、少なくとも一つの電子タグ10が当該送受信端末20に接近している状態であることから、当該送受信端末20の使用者は在宅状態であると判定している。このように、使用者状態判定部231が判定した使用者の状態を端末使用者状態記憶部223が記憶すると、端末出力部24が、緊急速報メールを受信後所定時間経過しても使用者状態判定部231が使用者は在宅していると判定する場合、避難指示の情報等を出力し続けることが可能になる。
<情報集約サーバの構成>
図4を参照し、情報集約サーバ30の構成要素について説明する。情報集約サーバ30は、他の装置等と通信を行うための情報集約サーバ通信部31と、様々な情報を格納するサーバ記憶部32と、情報集約サーバ30の全体の制御と様々な処理を行うサーバ処理部33と、サーバ記憶部32の内容、当該内容に基づいて導出される情報を出力するサーバ出力部34と、情報集約サーバ30に対する入力を受け付けるサーバ入力部35とを備える。
サーバ記憶部32は、送受信端末20に関する情報を記憶する送受信端末情報記憶部321と、送受信端末20から受信した使用者の状態を記憶するサーバ使用者状態記憶部322と、電子タグ10の使用者と関連する場所の情報を記憶するサーバタグ情報記憶部323と、電子タグ10の使用者に対して災害モード時等に支援を要請する内容を記憶する支援要請内容記憶部324と、送受信端末20から受信した緊急速報の情報を記憶する緊急速報内容記憶部325とを備える。
送受信端末情報記憶部321は、遠隔地緊急速報提供システム100が管理するすべての送受信端末20に関する情報、すなわち設置された場所や関連する電子タグ10を携帯する使用者の家族などの連絡先CNを記憶している。サーバ使用者状態記憶部322は、送受信端末20が判定して情報集約サーバ30に送信してきた電子タグ10の使用者の状態を記憶する。このように、情報集約サーバ30が、すべての送受信端末20から送受信端末20に関連する電子タグ10の使用者の状態を収集し、これを管理することで、遠隔地緊急速報提供システム100を使用する使用者の状態を一元管理し、リアルタイムに適切な情報を必要な人に提供することが可能になる。サーバタグ情報記憶部323は、端末タグ情報記憶部222と同様の情報を遠隔地緊急速報提供システム100が管理するすべての電子タグ10に亘って記憶する。このように、情報集約サーバ30が、すべての電子タグ10に関連する情報を収集し、これを管理することで、遠隔地緊急速報提供システム100を使用する使用者の状態を一元管理し、リアルタイムに適切な情報を必要な人に提供することが可能になる。
支援要請内容記憶部324は、災害モード時等にその使用者の周辺に居る人(協力者または支援者)に電子タグ10の使用者に対する支援をお願いしたい内容を記憶するものであり、予め通常時(たとえば遠隔地緊急速報提供システム100に使用者として登録された際)に、主に電子タグ10の使用者の家族などが登録を依頼することで記憶される。これにより、避難するにあたり支援を要請する使用者(避難者)に対してその周辺に居る人が適切な支援を提供できる。緊急速報内容記憶部325は、遠隔地緊急速報提供システム100が管理するすべての送受信端末20から受信した緊急速報の情報を記憶する。このように、遠隔地緊急速報提供システム100は、管理する送受信端末20が設置された場所において発信された緊急速報の情報を集約することで、遠隔地緊急速報提供システム100の使用者とその家族などに対して、適切な緊急速報の情報を提供することができる。
情報集約サーバ通信部31は、送受信端末20の第1端末通信部211と通信を行うサーバ通信部311と、送受信端末情報記憶部321に記憶された送受信端末20と関連する連絡先CNに情報を送信する情報通信部312とを備える。サーバ通信部311と情報通信部312は、通信機能の観点では上述した第1端末通信部211と同様の機能・構成を有する。情報通信部312は、送受信端末20を使用する使用者の家族などの連絡先CNに、サーバ使用者状態記憶部322およびサーバタグ情報記憶部323が記憶している使用者の状態や位置情報、避難状況ステータスなどを送信する。
サーバ処理部33は、情報集約サーバ30の全体の制御を行うと共に、サーバ記憶部32内の記憶部たとえば送受信端末情報記憶部321などを検索処理するサーバ検索部332と、電子タグ10を携帯する使用者の避難状況ステータスを判定する避難状況ステータス判定部333とを備える。サーバ出力部34は、送受信端末情報記憶部321の内容、その内容に基づいて導出される情報、サーバ使用者状態記憶部322に記憶された使用者の状態、情報集約サーバ30の管理情報を出力する。送受信端末情報記憶部321の内容とは、たとえば、緊急速報メールが発信された場合または災害モードになった場合に、送受信端末20のボタンを操作して、その使用者がその緊急の状態の内容を確認したことを示す「伝達された旨」の有無などである。送受信端末情報記憶部321の内容に基づいて導出される情報とは、たとえば、「伝達された旨」の統計値として確認していない人の割合を算出するなどである。サーバ入力部35は、情報集約サーバ30の管理者が当該サーバを管理するための操作を受け付けるものである。また、サーバ入力部35は、後述するように、情報集約サーバ30が送受信端末20を災害モードまたは災害モード以外の通常モードに設定(平時設定)するための指示を地方自治体LGの担当者などから受け付ける。
避難状況ステータス判定部333は、災害モード時において、サーバ使用者状態記憶部322が送受信端末20から受信して記憶する送受信端末20の使用者の在宅または外出の状態と、サーバタグ情報記憶部323が記憶する電子タグ10の位置情報から、電子タグ10を携帯する使用者の避難状況に関するステータスを判定する。なおここでいう送受信端末20の使用者とは、送受信端末20に複数の電子タグ10を関連付け、そのそれぞれを異なる使用者が携帯する場合は、その複数の使用者の集合とする。具体的には、サーバ使用者状態記憶部322において送受信端末20の使用者が「在宅」と記憶されている場合は「避難前」と判定し、送受信端末20の使用者(使用者が複数の場合はそのうちの少なくとも一人)がまだ避難していない状態とする。サーバ使用者状態記憶部322において送受信端末20の使用者が「外出」と記憶されかつサーバタグ情報記憶部323において当該電子タグ10の位置情報が避難所周辺に位置する送受信端末20の近傍、または避難所周辺に位置する支援者の携帯端末40の近傍にある場合は「避難完了」、サーバ使用者状態記憶部322において送受信端末20の使用者が「外出」と記憶されかつサーバタグ情報記憶部323において当該電子タグ10の位置情報が避難所周辺に位置する送受信端末20の近傍にない、かつ避難所周辺に位置する支援者の携帯端末40の近傍にない場合は「避難中」と判定する。判定結果は、サーバ使用者状態記憶部322およびサーバタグ情報記憶部323に記憶する。なお、送受信端末20が安否確認モードに設定されている場合においては、送受信端末20が判定し記憶した避難状況ステータスを情報集約サーバ30のサーバ通信部311に送信し、サーバ使用者状態記憶部322およびサーバタグ情報記憶部323に記憶してもよい。
ここで、図6を参照して、情報集約サーバ30のハードウェア構成の一例を説明する。遠隔地緊急速報提供システム100は、たとえばサーバコンピュータであり、複数の送受信端末20、連絡先CNの端末、地方自治体LGの端末からアクセスされて、様々な機能を実現する。様々な機能とは、送受信端末20に発信された緊急速報メールの受信や送受信端末20を使用する使用者の状態を集約し関係する人たちに配信したり、緊急速報メールを受信する必要があるのに受信していない送受信端末20を検出し、かかる送受信端末20へ緊急速報の情報を送信したりする機能である。
サーバ処理部33は、演算装置であるCPUから構成され、サーバ記憶部32は、メモリであるROM、RAMや、ハードディスク、外部記憶装置から構成され、情報集約サーバ通信部31は、様々な通信を行うネットワークインターフェースから構成される。また、サーバ出力部34は、通常、ディスプレイなどの表示装置から構成され、サーバ入力部35は、情報集約サーバ30への入力装置としてのキーボードやマウスなどから構成される。情報集約サーバ30は、これらが内部バスや外部バス等の伝送路30Busを介して互いに接続されたものである。
サーバ処理部33は、演算装置(CPU)によりその機能が実現され、情報集約サーバ30を統括的に制御する。サーバ処理部33は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。OSは、サーバコンピュータを稼働させるための公知の汎用的なOSであってよい。
サーバ記憶部32は、メモリやハードディスクによりその機能を実現され、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどを格納する。サーバ記憶部32には、OSと協働してサーバ処理部33に命令を与えて各種処理を行うためのプログラムが記録される。なお、プログラムは、本実施例で説明する処理をCPUに実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよく、必要に応じて情報集約サーバ30に取り込まれる。このプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働してサーバ処理部33を構成する。
サーバ出力部34とサーバ入力部35は、入出力インターフェイスを介してサーバ処理部33により制御される。サーバ処理部33は、サーバ入力部35からデータ等を取得し、サーバ出力部34に対して生成したデータ等を出力する。サーバ出力部34は、情報を視覚的に表示装置などに出力してもよいが、サーバ管理者に聴覚的に報知するためにスピーカーなどを備えてもよい。サーバ入力部35は、サーバコンピュータに通常使用されるものであってよい。サーバ出力部34やサーバ入力部35は、サーバに直接ローカル接続された装置でもよいし、ネットワーク50を経由してリモート接続された装置であってもよい。
情報集約サーバ通信部31は、ネットワーク50を介して送受信端末20などからデータ等を受信してサーバ処理部33へ送り、サーバ処理部33が生成したデータ等を、ネットワーク50を介して送受信端末20などへ送信する。情報集約サーバ通信部31は、
ネットワーク50を介して送受信端末20と繋がるためのネットワークインターフェースであり、より具体的には、たとえばLANカードや回線接続のための通信デバイスである。
また、ここで図10および図11を参照して、情報集約サーバ30における、送受信端末情報記憶部321、サーバ使用者状態記憶部322、サーバタグ情報記憶部323、支援要請内容記憶部324、および緊急速報内容記憶部325のテーブルの例を説明する。送受信端末情報記憶部321のテーブルは、たとえば、送受信端末ID、その送受信端末IDを有する送受信端末20が設置された場所を示す所在地、この送受信端末20に関連した関連電子タグID、この送受信端末20を使用する使用者に関連する家族などの連絡先(メールアドレスや電話番号など)、その使用者の緊急速報メールの確認の有無を示す緊急速報確認、およびその緊急速報メールを確認操作した日時を示す最終操作日時のカラムを有する。
この例では、送受信端末情報記憶部321のテーブルでは、TM0000001、TM0000002、TM0000003という送受信端末IDを有する3台の送受信端末20が登録されている。TM0000001の送受信端末20は、○○市○○町に設置され、関連している電子タグ10には、電子タグIDがTG00000001とTG00000002という関連電子タグIDを有する電子タグ10がある。この送受信端末20に関連する連絡先CNは、メールアドレスとしてooo.xxx@yyy.jpが登録されている。緊急速報確認のカラムには、送受信端末20で緊急速報メールの受信後または災害モードになった以降、使用者が緊急速報メールを確認して端末操作部25を操作し、その「伝達された旨」の情報を情報集約サーバ30が受信した場合、「無」から「有」に記録されるので、TM0000001の送受信端末20ではそのような確認操作がなされたことが、TM0000002の送受信端末20ではそのような確認操作がなされていないことが、示されている。
サーバ使用者状態記憶部322のテーブルは、たとえば、送受信端末ID、その送受信端末20を使用している使用者の状態、避難状況ステータスのカラムを有する。この例では、TM0000001の送受信端末20の使用者(複数人の場合はそのうちの少なくとも一人)は、まだ在宅しており避難前すなわちまだ避難を開始してない状態を示している。
サーバタグ情報記憶部323のテーブルは、たとえば、電子タグID、その電子タグIDの電子タグ10を使用する使用者名、その電子タグ10の位置情報、この電子タグ10が関連する送受信端末20(使用者の自宅に設置された送受信端末)に対する使用者の状態(接近/離脱情報)、使用者の避難状況ステータス、支援中フラグ、使用者の避難場所ID、およびその電子タグIDの位置情報を検知した日時のカラムを有する。この例では、サーバタグ情報記憶部323は、送受信端末情報記憶部321に記憶されたすべての送受信端末20に関連する電子タグ10を記憶する。
支援要請内容記憶部324のテーブルは、たとえば、電子タグID、その電子タグIDを所持して使用する使用者が支援して欲しい内容を示す支援要請内容のカラムを有する。この例では、TG00000001の電子タグ10を携帯する使用者が、「足が不自由なので、階段の上り下りを手伝って欲しい。」という支援をお願いする内容が記憶されている。これにより、携帯端末40を所持する支援者が当該電子タグ10を携帯している使用者(避難者)とすれ違うなど近傍(電子タグIDの電波が受信可能な範囲)に来た時に、その使用者が支援して欲しい内容を支援者の携帯端末40が受信することができ、支援者が避難者を支援することが容易になる。また、支援要請内容記憶部324のテーブルは、その電子タグIDを所持して使用する使用者の外見や特徴を有していてもよい。
緊急速報内容記憶部325のテーブルは、図11に示すように、送受信端末20と、当該送受信端末20が受信した緊急速報の情報のカラムを有する。緊急速報内容記憶部325のテーブルは、たとえば、TM0000001とTM0000003の送受信端末20は、図示するような受信緊急速報を記憶しているが、TM0000002の送受信端末20は、TM0000001とTM0000003の送受信端末20と同じ地域(○○市○○町)にありながら緊急速報の情報を記憶してない。すなわち、TM0000002の送受信端末20は、何らかの理由で、受信する必要がある緊急速報メールを受信していないことを示している。また、受信緊急速報に記憶されている緊急速報の情報には、通常、その緊急速報メールが対象となる地域が記載されている。緊急速報内容記憶部325は、記憶した緊急速報の情報に対応するアドレス情報を利用して該記憶した緊急速報の情報を外部から参照するためのアドレス情報を含めて保持する。外部から参照するためのアドレス情報とは、たとえばWebに掲載するためのURLである。
<遠隔地緊急速報提供システムの制御フロー>
図7を参照し、本実施形態における遠隔地緊急速報提供システム100の制御フローを説明する。なお、図内のSはステップを意味するものとする。本図は、通常時(緊急速報メールが発信されていない時、災害モードに設定されていない時)の制御フローを示す。使用者の家族などの連絡先CNは、S100において、連絡先CNの端末から情報集約サーバ30に向けて、自分の家族等が使用する送受信端末20に対応する自分のメールアドレス等の連絡先を設定する。具体的には、情報集約サーバ30のサーバ処理部33は、連絡先CNの端末から情報集約サーバ通信部31を介して送受信端末20の送受信端末IDと連絡先を受け取ると、送受信端末情報記憶部321内の該当する送受信端末IDに対応する連絡先カラムにその連絡先を記憶する。もちろん、連絡先CNは、遠隔地緊急速報提供システム100の管理者に連絡先の登録を依頼してもよい。
電子タグ10は、S102において、定期的に自己の電子タグIDを含む電波を発信している。電子タグ10の電波はたとえば数十メートルまで到達するので、たとえば、電子タグ10を携帯する使用者が送受信端末20を設置した自分の自宅に居る場合、その送受信端末20は、その電子タグ10の電波を受信する。送受信端末20は、S104において、使用者の状態に変化があるか否かを監視し続ける。電子タグ10を携帯する使用者がその自宅に居続ける場合には同じ電子タグ10の電子タグIDを受信し続けるし、外出している場合には電子タグIDを受信しない状態が継続する。このように在宅中または外出中の間は、送受信端末20は、特に何もしない。在宅中の使用者が自宅から外出した場合はそれまで受信し続けていた電子タグ10の電子タグIDを受信できなくなり、また、外出中の使用者が、外出先から帰宅した場合には、それまで受信しない状態が継続していた電子タグ10の電子タグIDを受信するようになる。このように外出する時または帰宅する時には、使用者の状態に変化がある。この場合には、送受信端末20は、S106において、使用者の状態と当該使用者が携帯する電子タグ10の電子タグIDの接近情報を情報集約サーバ30に送信する。情報集約サーバ30は、S106において送受信端末20から使用者の状態と当該使用者が携帯する電子タグ10の電子タグIDを受信し、S108において、サーバ使用者状態記憶部322内で受信した電子タグIDに対応する使用者の状態カラムを受信した使用者の状態で更新する。
家族等の連絡先CNは、S110において、遠隔から使用者の状態を検索することができる。具体的には、情報集約サーバ30が提供するWebページなどに状態を知りたい使用者を入力すると、それを受信した情報集約サーバ30は、サーバ検索部332においてその使用者をサーバ使用者状態記憶部322内で検索し(S112)、情報通信部312を介して対応する使用者の状態を出力する。連絡先CNの端末は、S114において、その使用者の状態を受信し表示画面に表示する。また、情報集約サーバ30は、S116において、連絡先CNに報告すべきイベントの発生を監視している。イベントとは、緊急速報メールの発信や災害モードの設定に加え、たとえば、使用者の支援要請などである。イベントの発生を検知すると、情報集約サーバ30は、S118において、連絡先CNにイベント報告の通知を作成し、送信する。連絡先CNの端末は、S120において、その通知を受信し、必要に応じて情報集約サーバ30の提供するWebページを確認する。
図8を参照し、非常時(緊急速報メールが発信された時、災害モードに設定された時)の制御フローを説明する。キャリアの基地局CRは、S200において、気象庁や地方自治体LGなどの情報や指示に基づき、緊急速報メールを発信する。送受信端末20は、S202において、緊急速報メールを受信すると、端末出力部24から緊急速報メールが発せられた旨を出力し発報する。この発報は、警告灯の点灯、警告音の鳴動、緊急速報メールの内容の表示、緊急速報メールの内容の読み上げなどどのような形式であってもよく、その送受信端末20が設置された場所の近傍に居る人にとって適切な形式であればよい。
また、送受信端末20は、S204において、受信した緊急速報メールの内容を情報集約サーバ30に送信する。この送信のタイミングは、本図では端末出力部24の発報の直後に行われているように表現されているが、これに限定されるものではない。送受信端末20による緊急速報メールの内容の情報集約サーバ30への送信は、端末出力部24の発報の前でもよいし、発報の後の場合は定時発信などの所定のタイミングや所定時間経過後であってもよい。情報集約サーバ30は、S206において、緊急速報内容記憶部325に緊急速報メールの内容を記憶する。
なお、本図の例では、電子タグ10を携帯する使用者が送受信端末20の近傍に居ることで電子タグ10と送受信端末20とが通信可能か否かに拘らず緊急速報メールを発報しているが、これに限定されない。たとえば、両者(第2端末通信部212とタグ通信部11)が通信可能ではない場合、端末出力部24は緊急速報の情報を出力しなくてもよい。これにより、使用者が近傍にいない場合は不必要な緊急速報の情報を出力せずに済む。その場合は、送受信端末20(第1端末通信部211)は、受信した緊急速報の情報を所定のタイミングで情報集約サーバ30(サーバ通信部311)に送信することが好ましい。所定のタイミングとは、送受信端末20の送受信端末IDなどに基づいた定時送信などである。具体的には、たとえば送受信端末IDの末尾一桁の数字に基づいて、送信する時刻の所定の桁(たとえば分の末尾一桁)の数字を決定して、その決定した時刻に送信する。このように、送受信端末20の固有の所定のタイミングで緊急速報の情報を情報集約サーバ30に送信することで、この送信の集中によるネットワーク50の混雑を回避できる。
また、両者(第2端末通信部212とタグ通信部11)が通信可能な場合、送受信端末20(第1端末通信部211)は、後述する伝達された旨の操作を受け付けてから所定時間経過後に、受信した緊急速報の情報を情報集約サーバ30(サーバ通信部311)に送信してもよい。この場合は、この操作されるタイミングの時点が一定していないので、このように送信しても、この送信の集中によるネットワーク50の混雑を回避できる。この場合のように、両者(第2端末通信部212とタグ通信部11)が通信可能であって、その電子タグ10のタグ識別情報記憶部12に記憶された固有の電子タグIDを受信した場合、端末出力部24は、緊急速報の情報を出力することが好ましい。
使用者が送受信端末20の発報を認識し、S208において確認のために端末操作部25を操作した場合、すなわち端末操作部25がS210においてその操作を受け付けた場合、送受信端末20(第1端末通信部211)は、S212において、端末識別情報記憶部221に記憶された送受信端末20の送受信端末ID、および緊急速報の情報が使用者に確認されて確実に伝達された旨の情報を情報集約サーバ30(サーバ通信部311)に送信する。
情報集約サーバ30は送受信端末20からその送受信端末IDと伝達された旨の情報を受信すると、S214において、サーバ処理部33のサーバ検索部332は、受信した送受信端末20の送受信端末IDに基づいて、送受信端末情報記憶部321が記憶する送受信端末20の中から、その送受信端末20の送受信端末IDに対応付けられた送受信端末20に関連する情報を検索する。なお、サーバ処理部33は、緊急速報の情報が使用者に伝達された旨の情報を送信した送受信端末20を送受信端末情報記憶部321に記憶させてもよい。このように、情報集約サーバ30が伝達された旨の情報を送信した送受信端末20の送受信端末IDを記憶することで、サーバ出力部34が地域全体に亘る総合的な使用者の状態などを出力することが可能になる。
情報集約サーバ30は、検索により、送信した送受信端末20に関連する連絡先CNのメールアドレスを見つけて、S216において、この連絡先CNに対して、緊急速報内容記憶部325に記憶された緊急速報メールの内容、およびその緊急速報の情報が使用者に伝達された旨の情報をメール送信する。送信されたメールは、連絡先CNにより、S218において受信される。このようにすることで、使用者が住む被災地において発信された防災情報や使用者への緊急速報メールなどの防災関連情報およびその伝達状況を、遠隔地に住む使用者の家族等に対して提供する遠隔地緊急速報提供システム100(情報処理システム100)を提供できる。
なお、上述したことは、送受信端末20は、緊急速報メールを受信した場合、緊急速報の情報を情報集約サーバ30に送信し(S204)、電子タグ10と通信可能な場合、緊急速報の情報を使用者に出力し(S202)、出力に対応して使用者から入力を受け付けた場合、入力を受け付けた旨の情報を情報集約サーバ30に送信し(S212)、情報集約サーバ30は、入力を受け付けた旨の情報を受信した場合、緊急速報の情報が使用者に伝達された旨の情報を連絡先CNに出力する(S216)、情報処理方法でもある。これによれば、使用者が住む被災地において発信された防災情報や使用者への防災情報およびその伝達状況を、遠隔地に住む使用者の家族等に対して提供する情報処理方法を提供できる。
使用者が送受信端末20の発報を確認し端末操作部25を操作した後避難するために実際にその場所から離れて使用者が携帯する電子タグ10が発する電波が送受信端末20に届かなくなった場合すなわち電波が不達に変化した場合(S220)、電子タグ10の電波を監視している送受信端末20は、S222において、使用者が外出したと判定する。送受信端末20は、このように自己が設置された場所と関連する電子タグ10すなわちその電子タグ10を携帯する使用者を認識することが好ましい。たとえば、住宅に設置された送受信端末20は、その住宅に住む居住者を認識しておくことが好ましい。
このために、送受信端末20は、自己と関連する電子タグ10に関する情報を記憶する端末タグ情報記憶部222と、送受信端末20(第2端末通信部212)が電子タグ10から受信したその電子タグ10のタグ識別情報記憶部12に記憶された電子タグIDを、端末タグ情報記憶部222が記憶する電子タグ10の電子タグIDと比較し、使用者の状態を判定する使用者状態判定部231と、を備えることが好ましい。使用者状態判定部231は、第2端末通信部212が、端末タグ情報記憶部222が記憶する同じ電子タグ10の電子タグIDを継続して受信している場合、その電子タグ10を携帯する使用者は当該送受信端末20の近傍(タグ通信部11の電波が届く範囲)に存在すると使用者の状態を判定する。また、使用者状態判定部231は、第2端末通信部212が、端末タグ情報記憶部222が記憶する同じ電子タグ10の電子タグIDを継続して受信していない場合、その電子タグ10を携帯する使用者は当該送受信端末20の近傍に存在しないと使用者の状態を判定する。これにより、使用者に関連する送受信端末20の近傍での使用者の存否が明確となり、確実に使用者の状態を把握できる。
使用者状態判定部231が使用者の状態に変化があったと判定した場合に、送受信端末20(第1端末通信部211)は、S224において、情報集約サーバ30に最新の使用者の状態(外出など)を送信する。使用者の状態を受信した情報集約サーバ30は、S226において、サーバ使用者状態記憶部322内の使用者の状態をその最新の状態で更新する。このように、使用者に関連するたとえば自宅の送受信端末20が使用者(居住者)の状態に変化があったと判定した場合、情報集約サーバ30に使用者の状態を送信し、情報集約サーバ30は、送受信端末20と関連した使用者の最新の状態を有することができる。さらに、この最新の使用者の状態を連絡先CNに適宜送信することで、連絡先CNに有用な情報を提供することができる。また、情報集約サーバ30(サーバ通信部311)が使用者の状態等を受信した場合、サーバ使用者状態記憶部322は、受信した使用者の状態を送信した送受信端末20と関連付けて記憶することが好ましい。これによれば、地域全体に亘る総合的な使用者の状態を把握することが可能となる。
安否確認モードにおいては、使用者状態判定部231は、緊急速報の情報が使用者に伝達された旨の操作を端末操作部25が受け付けた後(S210)、使用者は携帯する電子タグ10に関連する送受信端末20の近傍に存在すると判定し、その後その送受信端末20の近傍に存在しないと判定した場合(S222)、使用者は避難中(避難開始済み)であると使用者の状態を判定することができる。また、送受信端末20(第1端末通信部211)は、情報集約サーバ30に使用者の状態が避難中(避難開始済み)である旨を送信する。このように、伝達された旨の操作直後に使用者が関連する送受信端末20の近傍に存在し、その後近傍に存在しないと判定した場合、使用者は確実に避難中(避難開始済み)であることを情報集約サーバ30に送信でき、この使用者の正確な状態を連絡者に提供できる。
上記では、送受信端末20が緊急速報メールを受信した場合はその緊急速報の情報のみを出力していたが、緊急速報の情報と共にまたは緊急速報の情報に代えて安否を確認するメッセージを出力してもよい。安否を確認するメッセージとは、たとえば図12に示すように、緊急速報メールの種類に応じて内容を変化させてより丁寧で分かり易いメッセージである。本図では、緊急地震速報と大雨等による避難勧告とで、端末出力部24は、異なる安否確認メッセージを出力することを示している。また、本図に示すように、端末出力部24は、緊急地震速報(震度5以上)が発信された場合は、1分以内に図示するような安否確認メッセージを出力するが、緊急地震速報(震度4以下)が発信された場合は、安否確認メッセージを出力せず、内容に応じて出力を変化させてもよい。
安否確認メッセージが出力されると、それに応じた使用者の回答操作を受け付けるような構成を送受信端末20が有することが好ましい。安否確認メッセージに応じた回答操作を受け付けるような構成とは、たとえば、伝達された旨を伝えるボタン以外に別のボタンを設けてもよいし、タッチパネルに表示された安否確認メッセージに対して複数の選択できるボタンから1つを押させることで回答させてもよい。複数の選択とは、たとえば、「助けが直ぐに必要」、「直ぐには助けは不要だが避難中に助けが必要」などと助けや支援の緊急度を選択させてもよい。安否確認を行うボタンは、送受信端末20上に設置しても良いし、送受信端末20を遠隔で操作するリモコンのボタンに安否確認ボタンの機能を兼用させても良い。または、音声認識技術により、使用者が口頭で回答した内容を受け付けても良い。
このような回答操作がなされた場合、送受信端末20(第1端末通信部211)は、端末操作部25が受け付けた操作に対応する回答を情報集約サーバ30に送信する。このように、安否確認のメッセージを出力することで災害の種類により異なるメッセージ出力するなど柔軟な対応を行うことができると共に、そのメッセージに対する使用者の回答を返信することで、使用者の状態をより的確に把握することが可能となる。また、このような送受信端末20に使用者の安否確認を行うボタン機能を付加すれば、緊急速報メール(特に、緊急地震速報メール)の受信に連動したり、平時においても、使用者安否確認を迅速に行ったりすることも可能となる。
特に、平時においては、安否確認を要するタイミングを事前に設定しておき、設定したタイミングで、送受信端末20から、安否確認のためのメッセージが音声等によって流れる。使用者がこの安否確認のメッセージに応じて、安否確認を行うボタンを押下げると、当該ボタンの押し下げ情報が家族等の連絡先CNにメールなどで通知される。これによって、使用者の見守りを行う家族等は、使用者の安否を定期的に確認することができる。たとえば、安否確認を要するタイミングを、使用者が薬を服用する時間などに設定しておくことにより、使用者に薬の服用を促すと共に、同時に、遠隔の家族等に安否の連絡を行うことが可能となる。なお、送受信端末20からは、使用者が安否確認ボタンを押下げるまで、安否ボタンの操作を促すメッセージを繰り返し発出することも可能であり、その状況や安否ボタン押下げの状況を家族等の連絡先CNに通知することも可能である。
送受信端末20が受信した緊急速報メールの情報を情報集約サーバ30に送信する(S204)際、それぞれの送受信端末20の第1端末通信部211は、自己の端末識別情報記憶部221に記憶された送受信端末IDを情報集約サーバ30に送信してもよい。すなわち、地域に設置された複数の送受信端末20に対して緊急速報メールが発信された場合に、第3端末通信部213が緊急速報メールを受信したそれぞれの送受信端末20の第1端末通信部211は、自己の端末識別情報記憶部221に記憶された送受信端末IDをサーバ通信部311に送信してもよい。
そして、サーバ通信部311が送受信端末20の送受信端末IDを受信した場合、サーバ処理部33は、送受信端末情報記憶部321が記憶した送受信端末20に関連する情報の中から、サーバ通信部311が受信した送受信端末20の送受信端末IDに対応づけられた送受信端末の設置場所に基づき、緊急速報メールを受信する必要がある場所に設置された送受信端末20を特定してもよい。これによれば、緊急速報メールが発信された場合それを受信した送受信端末20の送受信端末IDに基づき、緊急速報メールを受信する必要がある場所に設置された送受信端末20を特定することで、被災地の住民に緊急速報の情報を確実に伝達することが可能になる遠隔地緊急速報提供システム100(情報処理システム100)を提供できる。
また、上述したことは、場所に固定して設置され、キャリアの基地局CRからブロードキャストにより発信される緊急速報メールを受信する複数の送受信端末20と、複数の送受信端末20に関する情報を記憶し、複数の送受信端末20と通信する情報集約サーバ30と、を備える遠隔地緊急速報提供システム100の情報処理方法であって、地域に設置された複数の送受信端末20に対して緊急速報メールが発信された場合、緊急速報メールを受信した送受信端末20は、受信した緊急速報の情報および受信した旨の情報を情報集約サーバ30に送信し、情報集約サーバ30は、記憶している送受信端末20と受信した旨を送信した送受信端末20に基づき、緊急速報メールを受信する必要がある場所に設置された送受信端末20を特定し、特定した送受信端末20のうち受信した緊急速報の情報および受信した旨の情報を送信していない送受信端末20に対して、受信した緊急速報の情報を送信する情報処理方法である。これにより、被災地の住民に緊急速報の情報を確実に伝達することが可能になる情報処理方法を提供できる。
サーバ処理部33は、特定された送受信端末20と送信した送受信端末20との差分に基づき特定された送受信端末20の中で送信しなかった送受信端末20を検出し、情報通信部312は、検出した送受信端末20に対して受信した緊急速報の情報を送信してもよい。これにより、被災地の住民に緊急速報を確実に伝達できるようになる。
また、緊急速報メールの内容には、図12に示すように、通常対象地域(場所の情報)として行政区画の名称が含まれる。したがって、サーバ通信部311が、送信された送受信端末20の送受信端末IDおよび緊急速報の情報を受信した場合、サーバ処理部33は、緊急速報の情報に基づきその行政区画に設置された送受信端末20を特定してもよい。より具体的には、サーバ処理部33は、緊急速報に含まれる対象地域に基づき、それを送信した送受信端末20を分類する処理を行う。サーバ処理部33は、同じ分類になった送受信端末20の送受信端末IDについての送受信端末情報記憶部321が記憶する行政区画(図10の送受信端末情報テーブル内の所在地カラム)を検索する。検索により見つけられた行政区画の中から前方一致する範囲の行政区画、たとえば「○○市○○町」の中から前方一致する範囲の行政区画である「○○市」を抽出する処理を行う。そして、サーバ処理部33は、その抽出された行政区画に基づき送受信端末情報記憶部321を検索して緊急速報メールを受信するべきだった場所(行政区画)に設置された送受信端末20を特定する。これによれば、行政区画ごとに発信される緊急速報メールを被災地の住民に確実に伝達できる。
また、行政区画に基づくのではなく、同一の基地局CRから発信される緊急速報メールに基づいて、複数の送受信端末20の中で送信しなかった送受信端末20を検出してもよい。すなわち、同一の基地局CRから発信される緊急速報メールを受信する場所に固定して設置された複数の送受信端末20に対して緊急速報メールが発信された場合に、緊急速報メールを受信した送受信端末20は、それぞれの送受信端末IDと受信した緊急速報の情報を情報集約サーバ30に送信し、情報集約サーバ30は、記憶している送受信端末20の中から送信した送受信端末20を検索し、その複数の送受信端末20の中で送信しなかった送受信端末20を検出してもよい。これによれば、同一の基地局CRから発信された緊急速報メールを受信するべき場所である被災地の住民に緊急速報メールを確実に伝達することが可能になる。
<本実施形態の変形例について>
<災害時専用電子タグ>
日常に利用する日常電子タグ10N(通常時に携帯する第1電子タグ10)と別途に災害時専用電子タグ10U(非常時に携帯する第2電子タグ10)を準備し、災害時専用電子タグ10Uを災害時の持ち出し袋や防災ヘルメットに取り付けておけば、日常的な外出と切り分けて、災害時の避難開始、避難中、避難完了などの避難状況をより正確に把握することも可能となる。この場合、使用者状態判定部231は、送受信端末20(第2端末通信部212)が災害時専用電子タグ10Uから継続して同じ電子タグIDを受信していない場合、その災害時専用電子タグ10Uに関連する使用者は避難開始済みであると判定してもよい。これによれば、非常時の電子タグが通信可能でなくなった場合、使用者が避難開始したことを容易に判定することができる。
<送受信端末の機能の拡充>
送受信端末20に、使用者が自宅から外出中である場合を示す手段を備えることによって、緊急速報メールの配信後に使用者からの応答が確認できなくとも、遠隔地の家族等の連絡先CNに使用者が外出中である旨を通知することが好ましい。一方、外出中でないにもかかわらず、緊急速報メール(特に、緊急地震速報)の配信に対して、一定時間後も送受信端末20に何らの操作がされない場合には、その旨を遠隔地の家族等の連絡先CNや地方自治体LGに連絡したり、ガードマンを派遣するといった措置を取ったりすることも可能となる。
<第二実施形態>
図13〜図17を参照し、本実施形態における遠隔地緊急速報提供システム100A(情報処理システム100A)を説明する。なお、重複記載を避けるために、上記実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。遠隔地緊急速報提供システム100Aは、電子タグ10と、送受信端末20と、情報集約サーバ30と、携帯端末40とを備える。携帯端末40は、所謂スマートフォンといった、遠距離〜近距離での通信通話機能、音や光による入出力機能、様々なアプリケーションをインストールして使用できるアプリケーション機能、これらを全体制御する処理機能などを備え、使用者に日常的に携帯されるものである。アプリケーションは、上述したプログラムであり、本発明に係るアプリケーションプログラムである。したがって、このアプリケーションは、プログラムサーバに記憶され、必要に応じてその全部または一部を携帯端末40にダウンロードしてインストールされる。
携帯端末40は、電子タグ10が発信する電波を受信する機能を有し、電子タグ通信可能エリア内に入った場合にその電波を受信する。したがって、携帯端末40を携帯する人と電子タグ10を携帯する人が接近した場合、携帯端末40を携帯する人は、電子タグ10を携帯する人が比較的近傍に存在していることを把握できる。具体的には、図13に示すように、携帯端末40は、通信通話機能を提供する携帯通信部41と、携帯端末40のOSやアプリケーションプログラムを記憶する携帯記憶部42と、全体制御すると共にアプリケーションプログラムを稼働させる携帯処理部43と、視覚的・聴覚的・触覚的に把握できる情報を出力する携帯出力部44と、使用者から携帯端末40への操作や音を受け付ける携帯操作部45とを備える。携帯通信部41は、情報集約サーバ30と通信を行う第1携帯通信部411と、電子タグ10と通信を行う第2携帯通信部412と、キャリアの基地局CRから緊急速報メールを受信する第3携帯通信部413とを備える。これらは、上述した、端末通信部21の第1端末通信部211、第2端末通信部212、第3端末通信部213とそれぞれ同じ機能を有する。携帯出力部44は、情報集約サーバ30から第1携帯通信部411が受信した情報を出力する。携帯出力部44については後述する。携帯端末位置情報取得部46は、たとえばGPS衛星(GPS:Global Positioning System)が送信する電波を利用するGPSモジュールなどの、自己の位置情報を取得する機能を有するものである。
図14に示すように、緊急速報メールが発信された地域または災害モードに設定する地域を特定の場所とし、その特定の場所には、送受信端末20が設置された自宅だけでなく、避難場所に設置された避難場所送受信端末20Hや、他人の自宅や郵便局、コンビニエンスストアなど施設に設置された避難経路上送受信端末20K、人によって携帯されており移動可能な携帯端末40が存在しているものとする。なお、特定の場所は、通常は行政区画単位で設定される。災害モードは、平常時はその地域に設置するまたは常置するとして登録された電子タグ10および送受信端末20の使用者状態(避難状況ステータス)を、災害が発生しているまたは発生のおそれがあるタイミングにおいて集計し状況を把握する目的で、地方自治体LGが設定する。特定の場所を災害モードに設定する際、併せて、災害場所指定地域(災害の危険がありそこから離れる必要のある地域)および/または避難所指定地域(避難所施設を中心に半径を定めて円形状などで指定する地域)を指定する。なお、避難場所送受信端末20Hおよび避難経路上送受信端末20Kは、上述した送受信端末20と同じ構造・機能を有するものとする。
情報集約サーバ30は、災害モードが設定されると、当該災害モード設定地域に設置するとして登録された送受信端末20および当該災害モード設定地域に位置する電子タグ10に対し、避難状況ステータスを付与する。具体的には、避難状況ステータス判定部333が登録されている電子タグ10をサーバタグ情報記憶部323から抽出し、それぞれの最新位置情報をサーバタグ情報記憶部323から検索し、災害モード設定対象として記憶した上で、その位置情報により避難状況ステータスを付与し、記憶する。具体的には、記憶された災害場所指定地域内に位置情報がある場合は「避難前」、避難所指定地域内に電子タグ10の位置情報がある場合は「避難完了」、いずれの地域内にも位置情報がない場合は「避難中」または「その他」と判定し記憶する。
なお、録音部26は、安否確認モードの場合に端末出力部24が緊急速報の情報と共にまたは緊急速報の情報に代えて安否を確認するメッセージを出力した後所定時間周囲の音を録音し、その録音した音を情報集約サーバ30に送信してもよい。発報後の所定時間経過後も電子タグ10を携帯する使用者が自宅に留まる場合、すなわち、使用者状態判定部231が使用者は携帯する電子タグ10に関連する送受信端末20の近傍に存在すると所定時間経過後も判定する場合、情報通信部312は、録音部26から受信した音を再生できることを送受信端末20に関連する連絡先CNに送信してもよい。このように、送受信端末20は、安否確認モードになった場合には緊急速報メールを受信してから時間が経過していても、送受信端末20に関連する電子タグ10と通信可能になった場合には録音した周囲の音を連絡先CNに提供することで、電子タグ10の使用者に関する重要な情報を連絡先CNが把握することができる。
災害モードになった際、災害モード設定地域において電子タグ10を携帯する使用者が自宅に居ると、電子タグ10と送受信端末20は通信可能なので、上述したように、情報集約サーバ30のサーバ使用者状態記憶部322には電子タグ10を携帯する使用者は在宅しているすなわち避難前であると記憶している。緊急速報メールが発信され端末出力部24が避難情報を出力すると、自宅に居る使用者は避難を開始する。そうすると、送受信端末20(使用者状態判定部231)は使用者の状態に変化があったと判定し、情報集約サーバ30に最新の使用者の状態(外出など)を送信し、情報集約サーバ30は、サーバ使用者状態記憶部322内の使用者の状態を避難中の状態で更新する。避難を開始した電子タグ10の使用者は、自宅から離れて避難場所に向かって移動し始める(図14)。
電子タグ10を携帯する使用者が避難場所に到着するまでの間に携帯端末40を携帯する人(支援者)とすれ違ったり、避難経路の近傍に固定して設置された避難経路上送受信端末20Kのそばを通過したりする際、その電子タグ10の電波が、携帯端末40や避難経路上送受信端末20Kと通信可能になる場合がある。たとえば、避難経路上送受信端末20Kの第2端末通信部212が使用者に携帯される電子タグ10の電子タグIDを受信した場合、その避難経路上送受信端末20Kは、その電子タグ10を携帯する使用者はその近傍に存在する旨を情報集約サーバ30に送信することが好ましい。具体的には、避難経路上送受信端末20Kは、災害モード時、自己の使用者のものではない電子タグ10の電波を受信した場合、当該電子タグ10の電子タグIDとともに、自己の送受信端末IDを情報集約サーバ30に送信する。そして、情報集約サーバ30は、サーバタグ情報記憶部323内の受信した電子タグIDの位置情報を、送信してきた避難経路上送受信端末20Kの設置場所情報を参照して更新し、かつ、使用者の状態を避難中とする。ここで説明した避難経路上送受信端末20Kの動作について、支援者が携帯する携帯端末40も同様に機能するものとする。このように、避難経路上に設置された避難経路上送受信端末20Kまたは避難経路上に位置する携帯端末40が電子タグ10と通信可能になった場合、当該電子タグ10に関連する使用者の状態を避難中とすることで、確実な使用者の状態を把握できる。
避難場所には、避難場所に固定して避難場所送受信端末20Hを設置することが好ましい。なお、避難場所は、情報集約サーバ30において災害モードを設定する際、併せて地方自治体LGが設定する。電子タグ10を携帯する使用者が避難場所に到着すると、避難場所送受信端末20Hは、その電子タグ10と通信可能となり電子タグIDを受信する。そうすると、その避難場所送受信端末20Hの第1端末通信部211は、その電子タグ10に関連する使用者はその近傍に存在する旨を情報集約サーバ30に送信する。そして、情報集約サーバ30は、サーバ使用者状態記憶部322内の使用者の状態を避難完了とする。ここで説明した避難場所送受信端末20Hの動作について、支援者が携帯する携帯端末40も同様に機能するものとする。このように、避難場所に設置された避難場所送受信端末20Hまたは避難場所周辺に位置する携帯端末40が電子タグ10と通信可能になった場合、その電子タグ10に関連する使用者の状態を避難完了とすることで、確実な使用者の状態を把握できる。
携帯端末40では、以下に説明する機能を実現するみまもりアプリケーション431が携帯処理部43で稼働している状態である。みまもりアプリケーション431は、第2携帯通信部412を介して電子タグ10の電波を検知し通信可能となった場合、電子タグ10の電子タグIDと携帯端末40の携帯端末位置情報取得部46が取得した位置情報を、情報集約サーバ30に転送する。かかる機能を備えるみまもりアプリケーション431を地域住民等のスマートフォンに配布・インストールすれば、使用者の避難経路の推測や避難先の位置情報について、遠隔地の家族等の連絡先CNがより詳細に把握し易くなる。なお、みまもりアプリケーション431は、災害モードの設定の有無に関係なく、常時機能する。
図15と図16を参照し、災害モードに設定された時の制御フローを説明する。地方自治体LGから情報集約サーバ30に対し災害モードを設定すると(S300)、情報集約サーバ30は特定エリア内の電子タグ10および送受信端末20に対し避難状況ステータスを付与し、記憶する(S301)。使用者が自宅の送受信端末20の近傍に存在し、使用者が所持する電子タグ10の電子タグIDを送受信端末20が受信すると、送受信端末20は当該電子タグIDを自己の送受信端末IDとともに情報集約サーバ30へ送信する。情報集約サーバ30は、受信した電子タグ10の位置情報を、送受信端末IDの設置場所情報に照らして更新し、電子タグの使用者状態を避難前と判定し記憶する。その後、使用者が、基地局から緊急速報メールを受信した送受信端末20の音声出力を確認した後、避難するために自宅から離れて、使用者が携帯する電子タグ10の発する電波が送受信端末20に届かなくなった場合すなわち電波が不達に変化した場合(S302)、電子タグ10の電波を監視している自宅の送受信端末20は、S304において、電子タグ10が送受信端末20の近傍から離脱したと判定するとともに、使用者が外出したと判定する。そうすると、送受信端末20(第1端末通信部211)は、S306において、情報集約サーバ30にその電子タグ10を携帯する使用者の状態を離脱として電子タグIDとともに送信し、送受信端末20の使用者の状態を外出として自己の送受信端末IDとともに送信する。使用者の状態を受信した情報集約サーバ30は、S308において、避難状況ステータス判定部333が、サーバ使用者状態記憶部322内の送受信端末20の使用者の状態からその送受信端末20の使用者は避難中と判定し、またサーバタグ情報記憶部323の電子タグ10の使用者の状態(接近/離脱情報)と位置情報からその電子タグ10の使用者の避難状況ステータスを避難前から避難中と判定し、サーバ使用者状態記憶部322およびサーバタグ情報記憶部323内の避難状況ステータスを更新し、その送受信端末20に関連する連絡先と関連付けて記憶する。情報通信部312は、S310において、その送受信端末20および電子タグ10に関連する使用者の連絡先CNに使用者は避難を開始した旨のメールまたはアプリでの通知を送信する。
避難するために自宅から避難場所に向かっている間にも使用者が携帯する電子タグ10は電波を発し続けている(S312)。使用者が携帯する電子タグ10が発する電波がその経路上に設置された避難経路上送受信端末20Kに届くと、避難経路上送受信端末20Kに関連しない使用者の電子タグ10の電子タグIDを含む電波であっても、不達の状態から通信可能な状態に変化するため(S314)、避難経路上送受信端末20Kは、S316において、その電子タグ10の電子タグIDに自己の送受信端末IDを付加して情報集約サーバ30に送信する。情報集約サーバ30は、使用者の携帯する電子タグ10の電子タグIDを受信すると、送信してきた送受信端末IDをもとに送受信端末情報記憶部321から位置情報を取り出し、サーバタグ情報記憶部323に記憶するとともに、S318において、サーバ使用者状態記憶部322内の使用者の状態を避難中として更新する。ここで説明した避難経路上送受信端末20Kの動作について、支援者が携帯する携帯端末40も同様に機能するものとする。情報通信部312は、S320において、その電子タグ10に関連する使用者の連絡先CNに使用者は避難中である旨のメールまたはアプリでの通知を送信する。
さらに自宅から避難場所に向かっている間にも使用者が携帯する電子タグ10は電波を発し続け(S322)、使用者が携帯する電子タグ10が発する電波が避難場所に設置された避難場所送受信端末20Hに届くと、不達の状態から通信可能な状態に変化したため(S324)、避難場所送受信端末20Hは、S326において、その電子タグ10を携帯する使用者の状態は接近としてその電子タグ10の電子タグIDに自己の送受信端末IDを付加して情報集約サーバ30に送信する。使用者の状態を受信した情報集約サーバ30は、受信した送受信端末IDから位置情報を割り出し、災害モードを設定した際に指定した避難所指定地域内に含まれる場合に、S328において、サーバタグ情報記憶部323内の使用者の状態を避難完了として更新する。たとえば、TG00000102の電子タグ10を携帯する使用者が避難した避難場所のIDがHN0001であるということがサーバタグ情報記憶部323に記憶される。ここで説明した避難場所送受信端末20Hの動作について、支援者が携帯する携帯端末40も同様に機能するものとする。情報通信部312は、S330において、その電子タグ10に関連する使用者の連絡先CNに使用者は避難完了である旨のメールを送信する。これにより、電子タグ10を携帯する使用者の家族は、災害時の使用者の状態を的確に把握することができる。なお、使用者の状態を避難完了と判定する条件は、単一の避難場所送受信端末20Hが当該使用者の電子タグ10の電波を受信した場合、とは限らず、避難場所施設等を中心とし、指定する距離を半径とした円状の地域内に位置する送受信端末20または携帯端末40が当該使用者の電子タグ10の電波を受信した場合、としてもよい。
図16は、災害モードに設定された時に、支援者の携帯端末40が情報集約サーバ30から使用者に関する支援情報を受信するまでの電子タグ10と携帯端末40の関係を示す制御フローである。地方自治体LGの担当者は、S400において、情報集約サーバ30のサーバ入力部35を用いて、特定の場所を災害モードにすることを指示する。情報集約サーバ30は、S402において、サーバ入力部35においてその指示を受け付け、サーバタグ情報記憶部323内で特定の場所に位置する電子タグ10を検索し、避難状況ステータス判定部333は、該当した電子タグ10の位置情報および当該電子タグ10を携帯する使用者の状態から、避難状況ステータスを判定し、サーバ使用者状態記憶部322に記憶する。
なお、災害モードに設定された地域に設置された送受信端末20において、通常モードの時から送受信端末20はその使用者の状態を判定し情報集約サーバ30に送信しており、情報集約サーバ30においてこれらの送受信端末20と関連付けて使用者の状態をサーバ使用者状態記憶部322に記憶しているものとする。本図では災害モードに設定された時にはその送受信端末20の使用者は在宅していたものとする。使用者の電子タグ10は電波を発し(S406)、送受信端末20は、S408において、継続して使用者の状態の変化を監視しているが、継続してその電子タグ10の電子タグIDを受信しているので変化はないすなわち在宅のままであると判定し、情報集約サーバ30には送信しない。
緊急速報メールを受けて、その使用者は避難場所に向けて自宅から離れたとすると、送受信端末20は、電子タグ10からの電波(S410)を受信しなくなり不達に変化したことを検知したので(S412)、その使用者は外出した旨を情報集約サーバ30に送信する。情報集約サーバ30は、S416において、その使用者の状態を最新の状態としてサーバ使用者状態記憶部322およびサーバタグ情報記憶部323に記憶する。
災害モードを設定する時、災害場所指定地域および/または避難所指定地域を指定することができる。例えば、電子タグ10については、自宅を出たが災害場所指定地域内に位置する間は、避難状況ステータスを「避難前」とする。これにより、危険が迫っており早くその災害場所指定地域を脱出する必要がある場合に、未だ当該地域に使用者が留まっていることを自治体や家族が把握することで、避難を支援することができる。また、避難所指定地域を、半径数十メートルの円形状の地域で指定することにより、避難所が大規模施設である場合に、避難場所送受信端末が電子タグ10の電波を受信可能な距離まで使用者が近づかなくても、避難所指定地域内にいる支援者の携帯端末40を通じて位置情報を更新し、避難状況ステータスを「避難完了」に更新することができる。
避難を開始した使用者は、避難場所に向かう途中、みまもりアプリケーション431を稼働させた携帯端末40を携帯する支援者と接近することがある。そうすると、電子タグ10は常に電子タグIDを含む電波を発信し続けているので(S418)、携帯端末40は、使用者が携帯する電子タグ10が発する電子タグIDを受信する。携帯端末40(第1携帯通信部411)は、S420において、受信した電子タグ10の電子タグIDを情報集約サーバ30に送信する。サーバ処理部33(サーバ検索部332)は、S422において、送信された電子タグ10の電子タグIDに基づきサーバ使用者状態記憶部322を検索し、その電子タグ10の使用者の状態が避難完了以外(避難前、避難中など)の状態、すなわち避難が完了していない状態である場合、さらに支援要請内容記憶部324内の該当する使用者の支援内容を検索する。なお、電子タグ10の使用者が避難前で在宅中であっても、携帯端末40を携帯する人がその住宅に接近すれば、携帯端末40は、使用者が携帯する電子タグ10が発する電子タグIDを受信する。かかる場合でも、使用者の状態を、避難が完了していないとして、サーバ処理部33は同様に該当する使用者の支援内容を検索する。
当該電子タグ10に関連する使用者の状態が、避難が完了していない状態である場合、情報集約サーバ30(情報集約サーバ通信部31)は、S424において、支援要請内容記憶部324に記憶された当該電子タグ10に関連する使用者に対する支援要請内容を携帯端末40(第1携帯通信部411)に送信する。支援内容を受信した携帯端末40の携帯出力部44は、S426において、その電子タグ10に関連する使用者に対する支援要請内容を出力する。携帯出力部44は、たとえば図17に示すように、みまもりアプリケーション431の出力メッセージMsgを表示する。もちろん、読み上げ音声で出力してもよい。このように、支援者の携帯端末40と支援要請者(使用者)の電子タグ10が互いに近づき通信可能になった場合、携帯端末40は電子タグ10の電子タグIDを情報集約サーバ30に送信し、支援要請者の状態が避難前または避難中など、避難が完了していない状態の場合には支援要請者の支援内容の返信を受信することで、被災地で避難するに当たり支援を要請している表示された特徴等を有する人が近辺に存することを気づくことができ、要請している支援内容についての情報を提供する遠隔地緊急速報提供システム100A(情報処理システム100A)を提供することができる。
また、上述したことは、遠隔地緊急速報提供システム100Aにおける情報処理方法でもある。すなわち、この情報処理方法は、送受信端末20が使用者の状態に変化があったと判定した場合に情報集約サーバ30に使用者の状態を送信し、情報集約サーバ30が送受信端末20と関連付けて使用者の状態を記憶している場合において、携帯端末40は、電子タグ10と通信可能になった場合、電子タグ10の電子タグIDを情報集約サーバ30に送信し、情報集約サーバ30は、受信した電子タグ10の電子タグIDに基づき、電子タグ10に関連する使用者の状態が避難未完了である場合、電子タグ10に関連する使用者に対する支援要請内容を携帯端末40に送信し、携帯端末40は、電子タグ10に関連する使用者に対する支援要請内容を出力する情報処理方法である。これによれば、被災地で避難するに当たり支援を要請する人が近辺に存することを気づくことができ、要請している支援内容についての情報を提供する情報処理方法を提供することができる。
携帯端末40を携帯する支援者は、この出力メッセージMsgに対して、支援するか何らかの事情により支援できないかを返信することができる。携帯端末40の携帯操作部45は、S426において、支援要請内容に対して協力する旨を受け付けた場合、携帯端末40(第1携帯通信部411)は、情報集約サーバ30にその協力する旨を送信する。サーバ処理部33は、S428において、送信された電子タグ10に関連する使用者は支援を受けられることになったので支援中状態であることをサーバタグ情報記憶部323に記憶させる。このように、支援要請内容を認識した支援者が協力する旨を送信し、支援要請者の状態を支援中状態であるとすることで、避難の実効性について把握することができる。
なお、電子タグ10に関連する使用者の状態が支援中状態である場合、情報集約サーバ30(情報集約サーバ通信部31)は、携帯端末40から電子タグ10の電子タグIDを受信した場合であっても、当該電子タグ10に関連する使用者に対する支援要請内容を携帯端末40(第1携帯通信部411)に送信しないことが好ましい。これによれば、支援者は、本当に支援が必要な使用者、すなわち支援が要請されている使用者の中で未だ支援を受けられていない人に気づくことができる。また、電子タグ10に関連する使用者の状態が避難完了の場合も同様である。
情報集約サーバ30(情報通信部312)は、S430において、送受信端末情報記憶部321内に記憶された送受信端末20と関連する連絡先CNに、電子タグ10に関連する使用者の状態をメールなどで送信する。そして、連絡先CNは、S432において、使用者の状態が支援中である旨のメールを受信する。このように、電子タグ10に関連する使用者(支援要請者)の状態を予め登録された家族などの連絡先CNに送信することで、連絡先CNは使用者について重要な情報を得ることができる。
<本実施形態の変形例について>
<安否確認モードを備える送受信端末>
情報集約サーバ30から送受信端末20に対し安否確認モードを設定してもよい。送受信端末20に対し安否確認モードを設定する場合は、送受信端末情報記憶部321内で特定の場所に設置された送受信端末20を検索し、該当した送受信端末20を安否確認モードに設定し、その旨を該安否確認モードに設定する対象の送受信端末20に送信する。安否確認モードに設定する旨を受信した送受信端末20は、自己を安否確認モードに設定すると共に端末出力部24からその旨を出力発報する。送受信端末20は、自己を安否確認モードに設定した場合、平時の通常モードとは異なる動作や制御を行う。たとえば、安否確認モードの場合であって電子タグ10の電子タグID(タグ識別情報記憶部12に記憶された電子タグID)を受信した場合、端末出力部24は、使用者状態判定部231が判定した使用者の状態や緊急速報の情報に応じたメッセージを出力してもよい。送受信端末20は、通常モードでは電子タグ10の使用者が在宅している時に緊急速報メールを受信すれば発報するが、安否確認モードになった場合には緊急速報メールを受信した後に電子タグ10と送受信端末20が近づいて通信可能になった場合でも発報することが可能となる。すなわち、これによれば、送受信端末20は、緊急速報メールを受信してから時間が経過していても、送受信端末20に関連する電子タグ10と通信可能になった場合にはメッセージを出力することで、柔軟な対応をすることができる。緊急速報の情報に応じたメッセージとは、図12に示すような安否確認メッセージや、発報後の経過時間により内容を変化させてもよい。送受信端末20は、第3端末通信部213が緊急速報メールを受信した場合、自己を安否確認モードに設定してもよい。また、サーバ入力部35が特定の場所に設置された送受信端末20を安否確認モードにする指示を受け付け、情報集約サーバ通信部31が当該送受信端末20を安否確認モードにする旨を送信した場合、送受信端末20は、自己を安否確認モードに設定する。
<操作部を備える電子タグ>
電子タグ10は、支援要請の旨をタグ通信部11から送信させるためのタグ操作部15を備えてもよい。タグ操作部15は、操作し易いが不要な場合には操作できないような構造が好ましい。タグ操作部15が操作を受け付けている場合、タグ通信部11は、近傍に位置する通信可能な携帯端末40(第2携帯通信部412)に支援要請の旨の信号を送信する。携帯端末40は、かかる支援要請の旨の信号を受信するとみまもりアプリケーション431の出力として発報してもよい。これによれば、支援要請者が電子タグ10を使って自ら支援を要請することができる。
<その他の実施形態について>
<緊急時の不在確認(離脱感知)>
送受信端末20及び電子タグ10をホテル等の客室に配備した場合、緊急時には、宿泊客に電子タグ10を室外に持ち出してもらうことにより、各客室の送受信端末20は、宿泊客が室外への移動したことを検知することができる。客室の送受信端末20の情報は情報集約サーバ30を介してホテルの管理システム等に通知することが可能である。このため、ホテルの管理システムにおいては、宿泊客の避難状況等を容易に把握することが可能となる。
<ホテル等の在室・チェックアウト確認>
なお、ホテル等に配備した送受信端末20及び電子タグ10は、緊急時でない平時においては、宿泊客が外出する場合やチェックアウトを行う際のホテル側への連絡システムとして活用することも可能である。具体的には、送受信端末20に宿泊客の在室の有無を連絡するボタン機能を付加すれば、宿泊客の在室の有無を迅速・簡便にホテル側に連絡することが可能となる。在室の有無を行うボタンは、送受信端末20上に設置しても良いし、送受信端末20を遠隔で操作するリモコンのボタンにその機能を兼用させても良い。さらに、宿泊客が、チェックアウトの前に、在室の有無を連絡するボタンを操作することによって、ホテル側は、チェックアウト手続を事前に開始することが可能となり、宿泊客に対して、スムーズなチェックアウト手続を提供することが可能となる。
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。