JP2021066975A - 透明紙シート及び透明紙シートの製造方法 - Google Patents

透明紙シート及び透明紙シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高坪量の原紙を用いた場合であっても、透明部を有する透明紙シート、及び透明紙シートの製造方法の提供。【解決手段】原紙の少なくとも一部に透明部を有する透明紙シートであって、前記原紙の坪量は、100g/m2以上250g/m2以下であり、前記透明部は、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)から構成される層と、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)から構成される層と、を備え、前記炭化水素(A)の含有量は、5g/m2以上50g/m2以下であり、前記パラフィン炭化水素(B)の含有量は、2g/m2以上10g/m2以下である、透明紙シート。【選択図】なし

Description

本発明は、透明紙シート及び透明紙シートの製造方法に関する。
紙の一部を透明化する製法は種々知られている。
例えば特許文献1には、セルロース繊維を用いて抄造した坪量が10〜100g/mの基紙の少なくとも片面に、石油系炭化水素樹脂、ロジン系樹脂の中から選ばれる1種類以上の樹脂を主成分とする樹脂組成物層を0.1〜20g/m形成し、不透明度20%以下であることを特徴とする封筒窓用透明紙が記載されている。
特許文献2には、所定部位に、石油系炭化水素樹脂、ロジン系樹脂の群から選ばれる透明化剤を30〜50g/m含浸させ、用紙の少なくとも片面の所定部位を透明化処理して用紙に一体化した透明窓部を有する封筒用用紙であって、坪量が50〜100g/m、密度が0.60〜0.80g/mであり、透明窓部の不透明度が20%以下、光沢度30%以上であることを特徴とする窓付き封筒用用紙が記載されている。
特開平11−61696号公報 特開2007−262599号公報
上述のように、紙を流動パラフィン等の透明化剤で処理した透明紙は知られている。
しかし、特許文献1〜2に記載の方法では坪量が100g/m以上の高坪量原紙に対しては高い透明度を付与することは困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、高坪量の原紙を用いた場合であっても、透明部を有する透明紙シート、及び透明紙シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[7]を包含する。
[1]原紙の少なくとも一部に透明部を有する透明紙シートであって、前記原紙の坪量は、100g/m以上250g/m以下であり、前記透明部は、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)から構成される層と、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)から構成される層と、を備え、前記炭化水素(A)の含有量は、5g/m以上50g/m以下であり、前記パラフィン炭化水素(B)の含有量は、2g/m以上10g/m以下である、透明紙シート。
[2]前記原紙の密度は0.70g/cm以上0.90g/cm以下である、[1]に記載の透明紙シート。
[3]前記炭化水素(A)は、重量平均分子量が200以上600以下の流動パラフィンである、[1]又は[2]に記載の透明紙シート。
[4]前記パラフィン炭化水素(B)は、重量平均分子量が400以上1000以下である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の透明紙シート。
[5]前記透明紙シートは、透明部と非透明部とを有し、前記非透明部は白色インキ層を有する、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の透明紙シート。
[6]前記透明部の不透明度は、前記非透明部の不透明度よりも3%以上低い、[5]に記載の透明紙シート。
[7]摂氏20℃で液体の炭化水素(A)を原紙に塗工する工程と、次に、前記炭化水素(A)の塗工箇所の上に、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)を塗工する工程と、を備える透明紙シートの製造方法。
本発明によれば、高坪量の原紙を用いた場合であっても、透明部を有する透明紙シート、及び透明紙シートの製造方法を提供することができる。
本明細書において、「不透明度」は、JIS P8149の方法を一部変更した、下記の方法により測定する。計算方法は下記(式1)の通りとする。
Op=(100×R)/R (式1)
(式(1)中、Op:不透明度(%)、R:単一シート視感反射率(%)、R:固有視感反射率(%)である。)
単一シート視感反射率は、黒色筒を裏当てした単一シートの視感反射率である。
固有視感反射率は、白色板を裏当てした単一シートの視感反射率である。
「不透明度」とは、光を遮断する割合を意味し、その値が小さいほど光を透過し、より透けて見える。
<透明紙シート>
本実施形態は、原紙の少なくとも一部に透明部を有する透明紙シートである。本実施形態において、透明部は、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)から構成される層と、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)から構成される層と、を備える。
本実施形態において、炭化水素(A)の含有量は、5g/m以上50g/m以下であり、炭化水素(B)の含有量は、2g/m以上10g/m以下である。
紙の主成分であるセルロースの屈折率は1.49であり、空気の屈折率は1.00である。紙層内に微細な空隙があるため、セルロースと空気の界面で光が複雑に屈折することにより、屈折率の差から紙が白く不透明に見える。紙層内の空隙をセルロースと同等の屈折率の物質で満たせば、屈折率の差が小さくなり、紙の透明度を高くすることができる。
本実施形態においては、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)と、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)とを原紙に塗工し、紙層中の空隙を満たすことにより、セルロースと空隙中の空気との屈折率の差を小さくでき、透明度が高い部分を形成できる。
本実施形態の透明紙シートは、少なくとも一部に透明部を有する。本実施形態の透明紙シートは、透明部と非透明部との明度のコントラストによって、模様が形成されていてもよい。この場合、模様は、少なくとも透明部を有し、透明部のみからなってもよく、透明部と色彩部との組み合わせであってもよい。
模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、絵柄模様、幾何学図形、文字、記号などがある。
本実施形態の透明紙シートは、前記透明部の不透明度は、前記非透明部の不透明度よりも3%以上低いことが好ましい。
また本実施形態の透明紙シートは、全面が透明であってもよい。
以下、透明紙シートを構成する各層構成についてそれぞれ説明する。
≪原紙≫
本実施形態において、原紙の坪量は、100g/m以上250g/m以下である。
本実施形態に用いる原紙としては、木材より得られた化学パルプ、機械パルプを主体とし、これにケナフ、竹等の非木材パルプを必要に応じて配合して得られる紙基材が挙げられる。製造方法は特に限定されず、公知の抄紙工程により抄造して得た紙基材が使用できる。
本実施形態においては、化学パルプを使用することが好ましい。化学パルプを使用すると、機械パルプを使用する場合と比較して、紙基材の密度を高く調整しやすい。また、長時間太陽光に曝された場合、又は長時間高温で保管された場合であっても、紙基材の黄変を抑制できる。さらに、製造される意匠性シートの強度を高くすることができる。これにより、例えば発泡性紙製容器の成形工程のうち、トップカールを付与する際に破断しにくくなる。
本実施形態において、化学パルプの配合率は80重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好ましく、95重量%以上が最も好ましい。
本実施形態において、原紙が高密度の場合には、塗工液が原紙の内部に浸透しにくく、塗工後に通過するガイドロールを汚す為に好ましくない。塗工適性(ガイドロール汚れ)を考慮すると、原紙の密度は0.9g/cm以下であることが好ましい。
また、原紙の密度が低すぎると、原紙内部の空隙の比率が大きくなる傾向にある。そうすると、原紙内部の空隙を埋めて透明にするため、炭化水素の塗工量を増やす必要がある。このため、原紙の密度は0.7g/cm以上であることが好ましく、0.75g/cm以上がより好ましく、0.8g/cm以上であることが特に好ましい。
本実施形態において、原紙の密度の上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態においては、原紙の密度は0.70g/cm以上0.90g/cm以下が好ましい。
本実施形態において、原紙を製造するパルプの濾水度(CSF、カナダ標準濾水度:Canadian Standard Freeness)は、200mL以上500mL以下であることが好ましく、300mL以上450mL以下であることがより好ましい。
濾水度が上記上限値以下の場合、紙基材の繊維内及び繊維間の空隙の体積が小さい。このため、空隙に残る空気の量が少なく、透明化しやすい。
濾水度が上記下限値以上の場合、原紙の繊維内及び繊維間の隙間は、炭化水素が入り込みやすい程度に大きいため、炭化水素が浸透しやすい。このため、ガイドロール汚れが発生しにくい。
更に濾水度が上記下限値以上の場合、パルプを叩解して濾水度を下げるための消費電力が大きくならずコスト面で優れている。またパルプ叩解能力増強のための設備対応を緩和することができる。
≪透明部≫
透明部は、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)から構成される層と、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)から構成される層と、を備える。
炭化水素(A)の含有量は、5g/m以上50g/m以下であり、パラフィン炭化水素(B)の含有量は、2g/m以上10g/m以下である。
坪量100g/mを超える高坪量の原紙は、紙厚が大きいため公知の透明化剤は浸透しにくい。
一方、原紙層内に存在する空隙を埋めるためには、一定量の透明化剤を浸透させる必要がある。
本実施形態においては、炭化水素(A)及び炭化水素(B)を使用することで、高坪量の原紙にパラフィンが浸透し、空隙を埋めることで透明化を達成できる。
[摂氏20℃で液体の炭化水素(A)から構成される層]
摂氏20℃で液体の炭化水素(A)から構成される層を構成する、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)について説明する。
以降において、「摂氏20℃で液体の炭化水素(A)」を「炭化水素(A)」又は「流動パラフィン」と記載する場合がある。
炭化水素(A)は、溶剤で希釈することなく、又は少量の溶剤希釈により粘度調整が可能である。このため、原紙の厚さ方向に浸透しやすく、紙層中の空隙に浸透しやすいため、高い透明化効果を得ることができる。
炭化水素(A)の構造は、直鎖型(ノルマルパラフィン)であるが、側鎖型(イソパラフィン)、環状型(単環シクロパラフィン)を含んでいてもよい。
本実施形態に用いる炭化水素(A)の重量平均分子量は、200以上600以下であることが好ましい。
本実施形態に用いる炭化水素(A)の重量平均分子量は、ガスクロマトグラフィーにより測定できる。
炭化水素(A)は重量平均分子量が大きいと粘度が高くなる。グラビア印刷において好ましい塗工液の粘度は、オリフィス径が約3mmのザーンカップを用いた粘度測定において、粘度秒数が、13秒間〜30秒間の炭化水素(A)を用いることが好ましい。
粘度秒数が30秒間を超える炭化水素(A)であっても。溶剤で希釈することにより、粘度秒数を30秒間以下に調整することで、使用することができる。
炭化水素(A)の重量平均分子量が上記下限値以上であると、塗工部分の境界を越えて滲みの広がりが少ない程度の粘度となる。
本実施形態の透明紙シートは、後述するように、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)を原紙に塗工する工程と、次に、前記炭化水素(A)の塗工箇所の上に、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)を塗工する工程とを備える製造方法により、製造される。
炭化水素(A)の重量平均分子量が、上記下限値以上であると、炭化水素(B)を炭化水素(A)の塗工箇所の上に塗工した場合、境界を越えた滲みを抑制しやすくなる。
以下に、ザーンカップを用いた粘度測定方法について説明する。
粘度測定用のザーンカップとは、液体の粘度測定に用いられる計測器である。容量約43mLのカップの底部にオリフィス(穴)がある。カップは、ステンレス製のカップ部と長さ約300mmの柄部で構成されている。
ザーンカップには、下記の種類がある。
・オリフィス径が約2mm、測定粘度範囲が1〜30CPS
・オリフィス径が約3mm、測定粘度範囲が20〜150CPS
・オリフィス径が約4mm、測定粘度範囲が80〜500CPS
・オリフィス径が約5mm、測定粘度範囲が170〜900CPS
・オリフィス径が約6mm、測定粘度範囲が400〜2500CPS
・オリフィス径が約7mm、測定粘度範囲が950〜4500CPS
[粘度測定用のザーンカップを用いた測定方法]
粘度測定用のザーンカップを用いた測定は、下記の工程により実施できる。
(1)カップを液体の中に沈める。
(2)柄を素早く引き上げて、カップ底部が液面 から離れる瞬間にストップウォッチを始動する(スタート)。
(3)カップのオリフィスから液体が流れ落ち始める。
(4)液体がカップ底部のオリフィスから途切れると同時にストップウォッチを停止する(ストップ)。
(5)この流出秒数を読み取り粘度秒数とする。
本実施形態に用いることができる炭化水素(A)としては、下記のものが挙げられる。
「ハイコールK230」重量平均分子量306 比重0.845、(オリフィス径が約3mmのザーンカップ15.4秒)
「ハイコールK160」重量平均分子量287 比重0.839、(オリフィス径が約3mmのザーンカップ13.0秒)
「ハイコールK350」重量平均分子量495 比重0.871(オリフィス径が約3mmのザーンカップ57.2秒)
本実施形態において、透明紙シートの透明部が含有する炭化水素(A)の含有量は、5g/m以上50g/m以下であり、6g/m以上45g/m以下がより好ましく、8g/m以上40g/m以下が特に好ましい。
[摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)から構成される層]
摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)から構成される層を構成する、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)について説明する。以降において、「摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)」を「炭化水素(B)」と記載する場合がある。
炭化水素(B)は、塗工部分の境界を越えて滲みが広がりにくく、所望の模様を所望の範囲に描くことができる。
炭化水素(B)は、重量平均分子量が400以上1000以下であることが好ましく、500以上700以下であることがより好ましい。
重量平均分子量が大きいと粘度が高くなるため、一定の粘度範囲で塗工するためには、溶剤を多量に添加する必要がある。溶剤の添加量が増えると固形分としての塗工量が減るので、固形分塗工量を増やして透明性を高める目的には好ましくない。
固形炭化水素は、固形である範囲で、可能な限り分子量が低いことが好ましい。そのことにより、粘度調整のための溶剤添加量を減らし、塗工量を高めることが可能である。
本実施形態において好適に使用できる炭化水素(B)としては、大和化学工業社製の「クラリテンDC」が挙げられる。「クラリテンDC」は、固形パラフィン(脂環族飽和炭化水素)(52%)を石油系溶剤に溶かし、粘度500cps程度としたものである。
本実施形態において、炭化水素(B)の重量平均分子量は、ガスクロマトグラフィーにより測定できる。「クラリテンDC」は、重量平均分子量が560であり、比重が0.87である。
本実施形態において、透明紙シートの模様部が含有する炭化水素(B)の含有量は、2g/m以上10g/m以下であることが好ましく、5g/m以上9g/m以下がより好ましく、6g/m以上8g/m以下が特に好ましい。
本実施形態において、透明紙シートが透明部と非透明部とを有する場合、非透明部は白色インキ層を有することが好ましい。非透明部が白色インキ層を有することで、透明部との透過度のコントラストを大きくすることができる。
また、意匠性を向上させるために、白色以外のインキ層を備えていてもよい。
本実施形態においては、透明部の不透明度は、非透明部の不透明度よりも3%以上低いことが好ましい。
(インキ)
本実施形態のインキ層に用いられるインキは、乾燥状態のインキ塗装部の構成に溶剤を加えたものである。すなわち、インキは、着色剤、バインダー樹脂、及び溶剤を含有する。
・着色剤
着色剤としては、無機系着色剤又は有機系着色剤が挙げられる。
無機系着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、カオリン、酸化クロム、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ(雲母)等が挙げられる。
着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から、白色着色剤には酸化チタンが好ましく、さらに、顔料表面が塩基性である酸化チタンがより好ましい。アルミニウムは粉末又はペースト状であるが、取扱い性及び安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィング又はノンリーフィングを使用するかは輝度感及び濃度の点から適宜選択される。
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、カオリンは体質顔料と呼ばれ、流動性、強度、光学的性質の改善のために増量剤として使用される。
一方、有機系着色剤としては、一般のインキ、塗料及び記録剤等に使用されている有機顔料や染料を挙げることができる。例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系等が挙げられる。
これら着色剤の含有量は、所望とするインキの色調等を考慮して適宜選択することができるが、一般的にインキの全重量を基準として、50重量%以下であればよく、前記上限値以下であることにより、必要な着肉濃度が得られる着色剤の含有量となる。
・溶剤
本実施形態においてインキ塗装に用いられるインキに含まれる溶剤としては、通常、印刷インキ用の溶剤として使用できる公知の化合物であればよい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素系有機溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶剤等が挙げられる。バインダー樹脂の溶解性や乾燥性等を考慮すると、上述の各種溶剤を混合して利用することが好ましい。
本実施形態において、インキの全質量を基準として、溶剤の含有量は、例えば、30質量%以上であればよい。
<用途>
本実施形態の透明紙シートは、平滑な印刷表面を有する紙製品に用いられるものであって、具体的には、例えば、紙製カップ、紙製容器、パンフレット、ファンシーペーパー、包装紙、ポストカード、ブックカバー、ファイル、ノートの表紙、壁紙等に用いることができる。
<透明紙シートの製造方法>
本実施形態の透明紙シートの製造方法は、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)を原紙に塗工する工程と、次に、炭化水素(A)の塗工箇所の上に、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)を塗工する工程と、を備える。
[印刷工程]
本実施形態においては、まず、任意の印刷工程を有することが好ましい。
坪量が100g/m以上250g/m以下の原紙の片面又は両面に、インキを塗布し、印刷層を形成する。
本工程で使用するインキとしては、上述の(インキ)に例示されたものと同様のものを使用すればよい。
インキを原紙の上に印刷する方法としては、特別な限定はなく、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、トナー印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。
印刷工程により、透明部と非透明部の見当合わせのマークを印刷できる。
[摂氏20℃で液体の炭化水素(A)を原紙に塗工する工程]
炭化水素(A)を塗工し、透明部を形成する。
炭化水素(A)を原紙に塗工する方法は、炭化水素(A)を単独で塗工してもよく、または炭化水素(A)と溶剤と混合した混合溶液を、油性グラビア印刷により塗工する方法が挙げられる。
[炭化水素(A)の塗工箇所の上に、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)を塗工する工程]
前記工程により形成した炭化水素(A)の塗工箇所の上に、摂氏20℃で可塑性の固形又は半固形のパラフィン炭化水素(B)を塗工し、透明部を形成する。
炭化水素(B)を原紙に塗工する方法は、固形状または半固形状のパラフィンを溶剤に溶解した固形状または半固形状のパラフィン溶液を、油性グラビア印刷により塗工する方法が挙げられる。
炭化水素として流動パラフィンのみを塗工することは、塗工部分の境界を越えて、流動パラフィンの滲みが広がるために、意匠性の面で好ましくない。
また、塗工部分の流動パラフィンの塗工量が滲み広がることにより、希望する塗工部分への塗工量が減り、透明化効果が減少するため好ましくない。
そこで、流動パラフィンと親和性の高い固形状または半固形状のパラフィン炭化水素(B)を流動パラフィンの塗工箇所の上であって、同じ箇所に塗工することにより、境界を越えた滲みを抑制することができる。
本実施形態においては、炭化水素(A)の塗工箇所より0.1mm以上、10mm以下の範囲で、外側に固形状または半固形状の炭化水素(B)を塗工してもよい。これにより、炭化水素(A)が炭化水素(B)の塗工部分の境界を越えて滲みが広がりにくくなる。
さらに、炭化水素(A)の塗工箇所をすべて覆い、炭化水素(A)の塗工箇所を超えるように更に広い面積で炭化水素(B)の塗工部分を設ける場合、透明性に段階をつけることができる。
炭化水素(A)と炭化水素(B)の塗工範囲を調整することにより、透明性を制御できる。塗工範囲を調整することにより下記の塗工部が形成できる。
(1) 炭化水素(A)の塗工箇所の同一範囲上に炭化水素(B)を塗工した塗工部。
(2) 炭化水素(A)の未塗工箇所に炭化水素(B)を塗工した塗工部。
上記の塗工部では、炭化水素(A)と炭化水素(B)が共に塗工されていない非塗工部分と比較して、(1)の透明性が最も高く、(2)は非塗工部よりは透明性が高く、(1)よりも透明性が低い箇所となる。
非塗工部と、上記(1)又は(2)により、透明性にコントラストを設けることができるため、多様な意匠を表現することが可能となる。
本実施形態において、炭化水素(A)及び炭化水素(B)を原紙に塗工する方法は特に限定されず、例えばグラビア印刷により実施できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<不透明度の測定方法>
「不透明度」は、JIS P8149の方法を一部変更した、下記の方法により測定した。計算方法は下記(式1)の通りとした。
Op=(100×R)/R (式1)
(式(1)中、Op:不透明度(%)、R:単一シート視感反射率(%)、R:固有視感反射率(%)である。)
単一シート視感反射率は、黒色筒を裏当てした単一シートの視感反射率である。
固有視感反射率は、白色板を裏当てした単一シートの視感反射率である。
≪実施例1〜6、比較例1≫
坪量215g/mの原紙に、下記表1に示す炭化水素(A)を小のスタンプ(面積:0.006054cm)で塗工した。
次に、大のスタンプ(面積:0.007961cm)で炭化水素(B)を溶剤に希釈した固形状パラフィン塗工液(固形状パラフィン濃度:46.7%)を塗工した。塗工量は下記表1に示す。塗工量の測定は、炭化水素(A)、炭化水素(B)の場合共に、塗工前の原紙重量と塗工、乾燥後の原紙重量の差と塗工面積から算出した。
Figure 2021066975
上記表1中に記載の各材料の詳細は以下の通りである。
ハイコールK350:流動パラフィン、カネダ株式会社製、重量平均分子量496、比重0.871。
ハイコールK230:流動パラフィン、カネダ株式会社製、重量平均分子量306、比重0.845。
ハイコールK160:流動パラフィン、カネダ株式会社製、重量平均分子量287、比重0.839。
クラリテンDC:大和化学工業株式会社製「クラリテンDC」を石油系溶剤に溶解し、粘度500cpsに調整した固形パラフィン。
上記表1に示した通り、実施例1〜6は、比較例1及び参考例1よりも不透明度が低かった。
≪実施例7〜12、比較例2≫
坪量135g/mの原紙に、下記表1に示す炭化水素(A)を小のスタンプ(面積:0.006054cm)塗工した。
次に、大のスタンプ(面積:0.007961cm)で炭化水素(B)(大和化学工業社製、「クラリテンDC」)を溶剤に希釈した固形状パラフィン塗工液(固形状パラフィン濃度:46.7%)を塗工した。塗工量は下記表1に示す。塗工量の測定は、炭化水素(A)、炭化水素(B)の場合共に、塗工前の原紙重量と塗工、乾燥後の原紙重量の差と塗工面積から算出した。
Figure 2021066975
上記表2中に記載の各材料の詳細は以下の通りである。
ハイコールK350:流動パラフィン、カネダ株式会社製、重量平均分子量496、比重0.871。
ハイコールK230:流動パラフィン、カネダ株式会社製、重量平均分子量306、比重0.845。
ハイコールK160:流動パラフィン、カネダ株式会社製、重量平均分子量287、比重0.839。
クラリテンDC:大和化学工業株式会社製「クラリテンDC」を石油系溶剤に溶解し、粘度500cpsに調整した固形パラフィン。
上記表2に示した通り、実施例7〜12は、比較例2及び参考例2よりも不透明度が低かった。
≪実施例13、比較例3〜9≫
グラビア印刷版をレーザー方式にて、120線、版深度27、60μmで製版した。
原紙(日本製紙(株)社製 坪量190g/m、密度0.82g/cm)に、富士機械社製7色印刷機にて70m/分にて炭化水素(A)、炭化水素(B)の順で塗工した。
塗工量の測定は、炭化水素(A)、炭化水素(B)の場合共に、塗工前の原紙重量と塗工、乾燥後の 原紙重量の差と塗工面積から算出した。
Figure 2021066975
上記表3中に記載の各材料の詳細は以下の通りである。
ハイコールK350:流動パラフィン、カネダ株式会社製、重量平均分子量496、比重0.871。
クラリテンDC:大和化学工業株式会社製「クラリテンDC」を石油系溶剤に溶解し、粘度500cpsに調整した固形パラフィン。
上記表3に示した通り、実施例13は、比較例3〜9及び参考例3よりも不透明度が低かった。比較例9は、塗工部分の境界を越えて滲みが広がった。

Claims (7)

  1. 原紙の少なくとも一部に透明部を有する透明紙シートであって、
    前記原紙の坪量は、100g/m以上250g/m以下であり、
    前記透明部は、摂氏20℃で液体の炭化水素(A)から構成される層と、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)から構成される層と、を備え、
    前記炭化水素(A)の含有量は、5g/m以上50g/m以下であり、
    前記パラフィン炭化水素(B)の含有量は、2g/m以上10g/m以下である、透明紙シート。
  2. 前記原紙の密度は0.70g/cm以上0.90g/cm以下である、請求項1に記載の透明紙シート。
  3. 前記炭化水素(A)は、重量平均分子量が200以上600以下の流動パラフィンである、請求項1又は2に記載の透明紙シート。
  4. 前記パラフィン炭化水素(B)は、重量平均分子量が400以上1000以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明紙シート。
  5. 前記透明紙シートは、透明部と非透明部とを有し、
    前記非透明部は白色インキ層を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明紙シート。
  6. 前記透明部の不透明度は、前記非透明部の不透明度よりも3%以上低い、請求項5に記載の透明紙シート。
  7. 摂氏20℃で液体の炭化水素(A)を原紙に塗工する工程と、
    次に、前記炭化水素(A)の塗工箇所の上に、摂氏20℃で可塑性の固形状又は半固形状のパラフィン炭化水素(B)を塗工する工程と、を備える透明紙シートの製造方法。
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