本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「〜」という記号によって表現される数値範囲は、「〜」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34〜38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、本明細書の一実施形態において、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクやその製造方法に関した例をあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本実施形態を適用することができる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
本開示の第1の態様は、
支持基板に、接合層を介して分離可能に貼り付けられた金属板を準備する準備工程と、
前記金属板の厚みを低減して、第1金属層を得る厚み低減工程と、
前記第1金属層に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記支持基板から前記第1金属層を分離させる分離工程と、を備えた、蒸着マスクの製造方法、
である。
本開示の第2の態様として、上述した第1の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記厚み低減工程は、前記第1金属層の前記支持基板とは反対側の面を研磨して、前記第1金属層の厚みを低減する研磨工程を有している、
ようにしてもよい。
本開示の第3の態様として、上述した第2の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記厚み低減工程は、前記研磨工程の前に、前記第1金属層の前記支持基板とは反対側の面をエッチングして、前記第1金属層の厚みを低減する第1エッチング工程を有している、
ようにしてもよい。
本開示の第4の態様として、上述した第2の態様または上述した第3の態様のそれぞれによる蒸着マスクの製造方法において、
前記貫通孔形成工程は、前記第1金属層の研磨された面にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層を露光する露光工程と、前記レジスト層を現像してレジスト開口を形成する現像工程と、前記レジスト開口を介して前記第1金属層をエッチングして前記貫通孔を形成する第2エッチング工程と、を有している、
ようにしてもよい。
本開示の第5の態様として、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによる蒸着マスクの製造方法において、
前記厚み低減工程後の前記第1金属層の厚みは、3μm以上13μm以下である、ようにしてもよい。
本開示の第6の態様として、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる蒸着マスクの製造方法において、
前記貫通孔形成工程の後であって前記分離工程の前に、平面視で前記貫通孔に重なる金属層開口を有する第2金属層であって、前記第1金属層の外側に延びる第2金属層を前記第1金属層に取り付ける取付工程を更に備える、
ようにしてもよい。
本開示の第7の態様として、上述した第6の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記第2金属層の厚みは、前記第1金属層の厚みよりも厚い、
ようにしてもよい。
本開示の第8の態様として、上述した第6の態様または上述した第7の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記第1金属層および前記第2金属層は、ニッケルを含む鉄合金でそれぞれ構成されている、
ようにしてもよい。
本開示の第9の態様として、上述した第6の態様から上述した第8の態様のそれぞれによる蒸着マスクの製造方法において、
前記第2金属層の厚みは、10μm以上50μm以下である、
ようにしてもよい。
本開示の第10の態様として、上述した第6の態様から上述した第9の態様のそれぞれによる蒸着マスクの製造方法において、
前記取付工程において、前記第2金属層は、樹脂層を介して前記第1金属層に接合される、
ようにしてもよい。
本開示の第11の態様として、上述した第10の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記樹脂層は、ポリイミドを含む、
ようにしてもよい。
本開示の第12の態様として、上述した第10の態様または上述した第11の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記樹脂層の厚みは、1μm以上10μm以下である、
ようにしてもよい。
なお、上述した第1の態様から上述した第12の態様はそれぞれ、第1の態様から第12の態様のそれぞれの蒸着マスクの製造方法により製造された蒸着マスクであってもよい。
本開示の第13の態様は、
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する第1金属層と、
前記第1金属層に設けられた貫通孔と、を備え、
前記第1金属層の前記第2面の表面粗さは、前記第1面の表面粗さよりも小さい、蒸着マスク、
である。
本開示の第14の態様として、上述した第13の態様による蒸着マスクにおいて、
前記第1金属層の厚みは、3μm以上13μm以下である、
ようにしてもよい。
本開示の第15の態様として、上述した第13の態様または上述した第14の態様による蒸着マスクにおいて、
前記第1金属層上に設けられた第2金属層を更に備え、
前記第2金属層は、平面視で前記貫通孔に重なる金属層開口を有するとともに、前記第1金属層の外側に延びている、
ようにしてもよい。
本開示の第16の態様として、上述した第15の態様による蒸着マスクにおいて、
前記第2金属層の厚みは、前記第1金属層の厚みよりも厚い、
ようにしてもよい。
本開示の第17の態様として、上述した第15の態様または上述した第16の態様による蒸着マスクにおいて、
前記第1金属層および前記第2金属層は、ニッケルを含む鉄合金でそれぞれ構成されている、
ようにしてもよい。
本開示の第18の態様として、上述した第15の態様から上述した第17の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、
前記第2金属層の厚みは、10μm以上50μm以下である、
ようにしてもよい。
本開示の第19の態様として、上述した第15の態様から上述した第18の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、
前記第2金属層は、樹脂層を介して前記第1金属層に接合されている、
ようにしてもよい。
本開示の第20の態様として、上述した第19の態様による蒸着マスクにおいて、
前記樹脂層は、ポリイミドを含む、
ようにしてもよい。
本開示の第21の態様として、上述した第19の態様または上述した第20の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、
前記樹脂層の厚みは、1μm以上10μm以下である、
ようにしてもよい。
以下、本開示の一実施形態による蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法について、図1〜図20を参照して説明する。
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置80について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、蒸着装置80は、蒸着源(例えばるつぼ81)と、ヒータ83と、蒸着マスク装置10と、を備えていてもよい。また、蒸着装置80は、蒸着装置80の内部を真空雰囲気にするための排気手段(図示せず)を更に備えていてもよい。るつぼ81は、蒸着装置80の内部に設けられており、有機発光材料などの蒸着材料82を収容するように構成されている。ヒータ83は、るつぼ81を加熱するように構成されている。真空雰囲気でるつぼ81を加熱することにより、蒸着材料82が蒸発する。
蒸着マスク装置10は、るつぼ81に対向するように蒸着装置80内に配置されている。蒸着マスク装置10は、るつぼ81の上方に配置されていてもよい。この蒸着マスク装置10の蒸着マスク20に対面するように被蒸着基板91が配置されている。被蒸着基板91は、蒸着材料82を付着させる対象物である。被蒸着基板91は、蒸着マスク20の上方に配置されていてもよい。るつぼ81から飛来した蒸着材料は、蒸着マスク20の後述する貫通孔40を通って、被蒸着基板91に付着する。
図1に示すように、蒸着装置80は、被蒸着基板91の、蒸着マスク20とは反対側の面に配置された磁石85を備えていてもよい。磁石85を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石85の側に引き寄せて、蒸着マスク20を被蒸着基板91に密着させることができる。これにより、蒸着工程においてシャドー(後述)が発生することを抑制することができ、被蒸着基板91に付着した蒸着材料82によって形成される蒸着層92(図20参照)の形状精度や位置精度を高めることができる。被蒸着基板91と磁石85との間には、蒸着時に被蒸着基板91を冷却する冷却板(図示せず)が介在されていてもよい。また、静電気力を利用する静電チャックを用いて蒸着マスク20を被蒸着基板91に密着させてもよい。
次に、本実施形態による蒸着マスク装置10について、図2および図3を参照して説明する。
図2に示すように、本実施形態による蒸着マスク装置10は、フレーム15と、蒸着マスク20と、を備えていてもよい。フレーム15に、単一の蒸着マスク20が固定されている。本実施形態では、蒸着マスク20は、第1方向D11および第2方向D12に2次元的に並列配置されて複数の貫通孔群30(または複数の有効領域23)を有している。
フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20を平面方向に引っ張った状態で支持する。すなわち、蒸着マスク20はフレーム15に張設されている。
図3に示すように、フレーム15は、蒸着マスク20の側に位置する第1フレーム面15aと、第1フレーム面15aとは反対側に位置する第2フレーム面15bと、を有していてもよい。第1フレーム面15aに、蒸着マスク20が固定されている。なお、図3は、図2のA−A線断面を模式的に示した図であり、図面を明瞭にするために、後述する貫通孔群30の個数および貫通孔40の個数を少なくしている。
フレーム15は、平面視で枠形状を有していてもよい。また、フレーム15は、蒸着マスク20の貫通孔40を露出するフレーム開口16を有していてもよい。フレーム開口16は、第1フレーム面15aから第2フレーム面15bに延びて、フレーム15を貫通している。ここで、「平面視」とは、蒸着マスク20や第1金属層21の厚み方向で見ることを意味する用語であって、例えば、図2の紙面に垂直な方向で見ることを意味する用語とする。
蒸着マスク20は、蒸着マスク20の後述する第2金属層22において、例えば溶接によってフレーム15に固定されていてもよい。例えば、スポット溶接によって、蒸着マスク20をフレーム15に固定するようにしてもよい。この場合、図2に示すように、蒸着マスク20の外周縁に沿う方向に並ぶ複数の点状の溶接痕19が、スポット溶接によって形成されるようにしてもよい。図2においては、図面を明瞭にするために、一部の溶接痕19のみを示している。
次に、本開示の一実施形態による蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法について、図4〜図20を参照して説明する。ここでは、圧延材をエッチングすることにより得られる蒸着マスク20を例にとって説明する。
まず、本実施形態による蒸着マスク20の構成について、図4〜図7Bを参照して説明する。
図4に示すように、蒸着マスク20は、第1金属層21と、第1金属層21上に設けられた第2金属層22と、第1金属層21に設けられた貫通孔40と、を備えていてもよい。第1金属層21に、2つ以上の貫通孔40で構成される貫通孔群30が設けられていてもよい。第2金属層22は、上述したフレーム15の側に位置し、第1金属層21は、フレーム15とは反対側に位置していてもよい(図3参照)。
図4に示すように、第1金属層21は、第1面21aと、第1面21aとは反対側に位置する第2面21bと、を有していてもよい。第1面21aは、蒸着時に被蒸着基板91が密着する面であってもよい。第2面21bは、上述したフレーム15の側の面であってもよい。
第1金属層21の厚みH1は、例えば、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよく、6μm以上であってもよく、7μm以上であってもよい。厚みH1を3μm以上とすることにより、蒸着マスク20の機械的強度を確保することができる。また、厚みH1は、例えば、9μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、13μm以下であってもよい。厚みH1を13μm以下とすることにより、シャドーの発生を抑制することができる。厚みH1の範囲は、3μm、4μm、6μm及び7μmからなる第1グループ、及び/又は、9μm、10μm、12μm及び13μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、3μm以上13μm以下であってもよく、3μm以上12μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上9μm以下であってもよく、3μm以上7μm以下であってもよく、3μm以上6μm以下であってもよく、3μm以上4μm以下であってもよく、4μm以上13μm以下であってもよく、4μm以上12μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよく、4μm以上9μm以下であってもよく、4μm以上7μm以下であってもよく、4μm以上6μm以下であってもよく、6μm以上13μm以下であってもよく、6μm以上12μm以下であってもよく、6μm以上10μm以下であってもよく、6μm以上9μm以下であってもよく、6μm以上7μm以下であってもよく、7μm以上13μm以下であってもよく、7μm以上12μm以下であってもよく、7μm以上10μm以下であってもよく、7μm以上9μm以下であってもよく、9μm以上13μm以下であってもよく、9μm以上12μm以下であってもよく、9μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上13μm以下であってもよく、10μm以上12μm以下であってもよく、12μm以上13μm以下であってもよい。
第1金属層21の第2面21bは、後述するように研磨された面であってもよい。この場合、第1金属層21の第2面21bの表面粗さは、第1面21aの表面粗さよりも小さくなっている。
第1面21aの表面粗さおよび第2面21bの表面粗さは、JIS B0601−2001で規定されている算術平均粗さRaで表わしてもよい。Raの測定には、菱化システム社製の走査型白色干渉計VertScanを用いてもよい。この測定器を用いて測定した場合の第1面21aの表面粗さと第2面21bの表面粗さを以下に記す。
第1面21aの表面粗さRa1は、例えば、0.1μm以上であってもよく、0.2μm以上であってもよく、0.3μm以上であってもよく、0.4μm以上であってもよい。表面粗さRa1を0.1μm以上とすることにより、蒸着工程後に、第1面21aが被蒸着基板91から剥離困難になることを抑制することができる。また、表面粗さRa1は、例えば、0.7μm以下であってもよく、0.8μm以下であってもよく、0.9μm以下であってもよく、1.0μm以下であってもよい。表面粗さRa1を1.0μm以下とすることにより、エッチングで形成する貫通孔40の形状のばらつきを軽減することができ、貫通孔40の形状精度および位置精度を向上させることができる。表面粗さRa1の範囲は、0.1μm、0.2μm、0.3μm及び0.4μmからなる第1グループ、及び/又は、0.7μm、0.8μm、0.9μm及び1.0μmからなる第2グループによって定められてもよい。表面粗さRa1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。表面粗さRa1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。表面粗さRa1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.1μm以上1.0μm以下であってもよく、0.1μm以上0.9μm以下であってもよく、0.1μm以上0.8μm以下であってもよく、0.1μm以上0.7μm以下であってもよく、0.1μm以上0.4μm以下であってもよく、0.1μm以上0.3μm以下であってもよく、0.1μm以上0.2μm以下であってもよく、0.2μm以上1.0μm以下であってもよく、0.2μm以上0.9μm以下であってもよく、0.2μm以上0.8μm以下であってもよく、0.2μm以上0.7μm以下であってもよく、0.2μm以上0.4μm以下であってもよく、0.2μm以上0.3μm以下であってもよく、0.3μm以上1.0μm以下であってもよく、0.3μm以上0.9μm以下であってもよく、0.3μm以上0.8μm以下であってもよく、0.3μm以上0.7μm以下であってもよく、0.3μm以上0.4μm以下であってもよく、0.4μm以上1.0μm以下であってもよく、0.4μm以上0.9μm以下であってもよく、0.4μm以上0.8μm以下であってもよく、0.4μm以上0.7μm以下であってもよく、0.7μm以上1.0μm以下であってもよく、0.7μm以上0.9μm以下であってもよく、0.7μm以上0.8μm以下であってもよく、0.8μm以上1.0μm以下であってもよく、0.8μm以上0.9μm以下であってもよく、0.9μm以上1.0μm以下であってもよい。
第2面21bの表面粗さRa2は、例えば、0.01μm以上であってもよく、0.02μm以上であってもよく、0.03μm以上であってもよく、0.04μm以上であってもよい。表面粗さRa2を0.01μm以上とすることにより、後述する金属板52を効率良く研磨することができる。また、表面粗さRa2は、例えば、0.07μm以下であってもよく、0.08μm以下であってもよく、0.09μm以下であってもよく、0.1μm以下であってもよい。表面粗さRa2を0.1μm以下とすることにより、後述する露光工程において露光光Lが第2面21bで散乱することを抑制できる。表面粗さRa2の範囲は、0.01μm、0.02μm、0.03μm及び0.04μmからなる第1グループ、及び/又は、0.07μm、0.08μm、0.09μm及び0.1μmからなる第2グループによって定められてもよい。表面粗さRa2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。表面粗さRa2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。表面粗さRa2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.01μm以上0.1μm以下であってもよく、0.01μm以上0.09μm以下であってもよく、0.01μm以上0.08μm以下であってもよく、0.01μm以上0.07μm以下であってもよく、0.01μm以上0.04μm以下であってもよく、0.01μm以上0.03μm以下であってもよく、0.01μm以上0.02μm以下であってもよく、0.02μm以上0.1μm以下であってもよく、0.02μm以上0.09μm以下であってもよく、0.02μm以上0.08μm以下であってもよく、0.02μm以上0.07μm以下であってもよく、0.02μm以上0.04μm以下であってもよく、0.02μm以上0.03μm以下であってもよく、0.03μm以上0.1μm以下であってもよく、0.03μm以上0.09μm以下であってもよく、0.03μm以上0.08μm以下であってもよく、0.03μm以上0.07μm以下であってもよく、0.03μm以上0.04μm以下であってもよく、0.04μm以上0.1μm以下であってもよく、0.04μm以上0.09μm以下であってもよく、0.04μm以上0.08μm以下であってもよく、0.04μm以上0.07μm以下であってもよく、0.07μm以上0.1μm以下であってもよく、0.07μm以上0.09μm以下であってもよく、0.07μm以上0.08μm以下であってもよく、0.08μm以上0.1μm以下であってもよく、0.08μm以上0.09μm以下であってもよく、0.09μm以上0.1μm以下であってもよい。
上述したように、第1金属層21には、2つ以上の貫通孔40が設けられていてもよい。貫通孔40は、第1面21aから第2面21bに延びており、蒸着マスク20の第1金属層21を貫通している。図5に示すように、貫通孔40のうち第2面21bにおける開口は、第1面21aにおける開口よりも大きくなっていてもよい。一実施形態では、第1面21aに沿った貫通孔40の断面開口は、第1面21aから第2面21bに向かって徐々に大きくなっていてもよい。言い換えると、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における第1面21aに沿った断面での各貫通孔40の断面積は、第1面21aから第2面21bに向かって徐々に大きくなっていてもよい。この場合、貫通孔40は、第1面21aから第2面21bに向かって、貫通孔40の中心軸線CL(図5参照)から遠ざかるように形成された壁面41を有していてもよい。例えば、エッチング処理によって貫通孔40を形成する場合には、貫通孔40の壁面41は、図5に示すように湾曲状に形成されていてもよい。図5に示す貫通孔40は、貫通孔40の壁面41が外側に膨らむように湾曲している。この場合であっても、第1面21aに沿う方向における貫通孔40の断面開口は、第1面21aから第2面21bに向かって徐々に大きくなっていてもよい。なお、図4においては、図面を簡略化するために、貫通孔40の壁面41が、中心軸線CLに平行に直線状に形成されている例が示されている。
図6に示すように、貫通孔40は、2つ以上の貫通孔群30をなしていてもよい。各貫通孔群30は、上述したフレーム15のフレーム開口16(図2および図3参照)に露出している。すなわち、フレーム開口16が、複数の貫通孔群30を露出させていてもよい。更には、一のフレーム開口16で、第1金属層21に形成された全ての貫通孔群30が露出していてもよい。図6に示すように、各貫通孔群30は、2つ以上の貫通孔40が群をなすように構成されていてもよい。貫通孔群30とは、規則的に配列された複数の貫通孔40の集合体を意味する用語として用いている。一の貫通孔群30を構成する外縁の貫通孔40は、同様に規則的に配列されている複数の貫通孔40のうち最も外側に位置する貫通孔40である。外縁の貫通孔40の外側には、同様に規則的に配列されて蒸着材料82の通過を意図する貫通孔40は存在していなくてもよい。互いに隣り合う貫通孔群30同士の間には、蒸着材料82の通過を意図する貫通孔40は形成されていなくてもよい。しかしながら、互いに隣り合う貫通孔群30同士の間には、他の用途の貫通孔や凹部(いずれも図示せず)は形成されていてもよい。これらの他の用途の貫通孔や凹部は、貫通孔40の配列の規則性を持たずに形成されていてもよく、貫通孔群30には属していないと考えてもよい。
図6に示すように、複数の貫通孔群30は、所定の間隔を開けて(所定のピッチで)配列されていてもよい。貫通孔群30は、第1方向D11において所定の間隔(図6に示す符号C1)を開けて配列されるとともに、第2方向D12において所定の間隔(図6に示す符号C2)を開けて配列されていてもよい。貫通孔群30の配列ピッチC1、C2は、第1方向D11および第2方向D12で異なっていてもよいが、等しくてもよい。図6においては、第1方向D11の配列ピッチC1と第2方向D12の配列ピッチC2が等しい例を示している。図6に示すように、貫通孔群30は、並列配列されていてもよい。すなわち、第1方向D11に沿った一の列を構成する各貫通孔群30と、当該列と第2方向D12において隣り合う他の列を構成する各貫通孔群30とは、第2方向D12において整列されていてもよい。
貫通孔群30の配列ピッチC1、C2は、例えば、5mm以上であってもよく、15mm以上であってもよく、25mm以上であってもよく、35mm以上であってもよい。配列ピッチC1、C2を5mm以上とすることにより、VRグラスやデジタルカメラの電子ファインダなどの小型ディスプレイにも適用することができる。また、配列ピッチC1、C2は、例えば、70mm以下であってもよく、80mm以下であってもよく、90mm以下であってもよく、100mm以下であってもよい。配列ピッチC1、C2を100mm以下とすることにより、フレーム15への張設時の強度を高めることができる。配列ピッチC1、C2の範囲は、5mm、15mm、25mm及び35mmからなる第1グループ、及び/又は、70mm、80mm、90mm及び100mmからなる第2グループによって定められてもよい。配列ピッチC1、C2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。配列ピッチC1、C2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。配列ピッチC1、C2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5mm以上100mm以下であってもよく、5mm以上90mm以下であってもよく、5mm以上80mm以下であってもよく、5mm以上70mm以下であってもよく、5mm以上35mm以下であってもよく、5mm以上25mm以下であってもよく、5mm以上15mm以下であってもよく、15mm以上100mm以下であってもよく、15mm以上90mm以下であってもよく、15mm以上80mm以下であってもよく、15mm以上70mm以下であってもよく、15mm以上35mm以下であってもよく、15mm以上25mm以下であってもよく、25mm以上100mm以下であってもよく、25mm以上90mm以下であってもよく、25mm以上80mm以下であってもよく、25mm以上70mm以下であってもよく、25mm以上35mm以下であってもよく、35mm以上100mm以下であってもよく、35mm以上90mm以下であってもよく、35mm以上80mm以下であってもよく、35mm以上70mm以下であってもよく、70mm以上100mm以下であってもよく、70mm以上90mm以下であってもよく、70mm以上80mm以下であってもよく、80mm以上100mm以下であってもよく、80mm以上90mm以下であってもよく、90mm以上100mm以下であってもよい。
図7Aに示すように、一の貫通孔群30において、複数の貫通孔40は、所定の間隔を開けて(所定のピッチで)配列されていてもよい。貫通孔40は、第1方向D11において所定の間隔(図7Aに示す符号C3)を開けて配列されると共に、第2方向D12において所定の間隔(図7Aに示す符号C4)を開けて配列されていてもよい。貫通孔40の配列ピッチC3、C4は、第1方向D11および第2方向D12で異なっていてもよいが、等しくてもよい。図7Aにおいては、第1方向D11の配列ピッチC3と第2方向D12の配列ピッチC4が等しい例を示している。図7Aに示すように、貫通孔40は、並列配列されていてもよい。すなわち、第1方向D11に沿った一の列を構成する各貫通孔40と、当該列と第2方向D12において隣り合う他の列を構成する各貫通孔40とは、第2方向D12において整列されていてもよい。貫通孔40の配列ピッチC3、C4は、表示装置または投影装置の画素密度に応じて、例えば以下のように定められていてもよい。
・画素密度が600ppi以上の場合:ピッチは42.3μm以下
・画素密度が1200ppi以上の場合:ピッチは21.2μm以下
・画素密度が3000ppi以上の場合:ピッチは8.5μm以下
画素密度が600ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置として用いられてもよい。画素密度が1200ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、仮想現実(いわゆるVR)を表現するための画像や映像を表示又は投影するために用いられてもよい。画素密度が3000ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、拡張現実(いわゆるAR)を表現するための画像や映像を表示又は投影するために用いられてもよい。
なお、一の貫通孔群30における貫通孔40は、並列配列ではなく、図7Bに示すように、千鳥配列されていてもよい。すなわち、第1方向D11に沿った一の列を構成する各貫通孔40と、当該列と第2方向D12において隣り合う他の列を構成する各貫通孔40とは、第2方向D12において整列されていなくてもよい。図7Bに示す例では、一の列を構成する各貫通孔40と、隣り合う他の列を構成する貫通孔40とは、第1方向D11においてずれて配列されており、そのずれ量が、第1方向における配列ピッチC3の半分になっている。
図7Aに示すように、貫通孔40は、平面視において、略矩形形状の輪郭を有していてもよい。この場合、貫通孔40の輪郭のうちの四隅は湾曲していてもよい。なお、輪郭の形状は、画素の形状に応じて任意に定められ得る。例えば、六角形、八角形などのその他の多角形の形状を有していてもよく、円形状を有していてもよい。また、輪郭の形状は、複数の形状の組み合わせであってもよい。また、貫通孔40はそれぞれ、互いに異なる輪郭の形状を有していてもよい。貫通孔40が多角形形状の輪郭を有する場合、貫通孔40の開口寸法は、図7Aに示すように、多角形において対向する一対の辺の間の間隔としてもよい。
図5および図7Aにおいて、蒸着マスク20の第1面21aにおける貫通孔40の開口寸法が、符号S1で示されている。また、蒸着マスク20の第2面21bにおける貫通孔40の開口寸法が、符号S2で示されている。また、符号S3は、第1面21aにおける互いに隣り合う貫通孔40同士の間の距離を示している。図7Aにおいては、貫通孔40の平面形状は正方形としているため、第1方向D11における貫通孔40の開口寸法と第2方向D12における貫通孔40の開口寸法は等しくなっている。代表的にD12における貫通孔40の寸法を、符号S1、S2で示している。
寸法S1、寸法S2および寸法S3は、表示装置又は投影装置の画素密度に応じて例えば以下の表1のように定められる。
図5においては、符号L1は、貫通孔40の断面図において(第1金属層21の厚み方向D2に沿う断面で見たときに)、第2面21bと貫通孔40の壁面41との交点と、第1面21aと貫通孔40の壁面41との交点とを通る仮想的な直線を表す。符号θ1は、直線L1が延びる方向と、第1金属層21の第1面21aの面方向D1とが成す角度を表す。
以下、角度θ1の技術的意味について説明する。蒸着マスク20を用いて蒸着材料82を被蒸着基板91に蒸着させる蒸着工程において、図1に示するつぼ81の構成次第では、蒸着材料82は、蒸着源(るつぼ81)から被蒸着基板91に向かって蒸着マスク20の厚み方向D2に沿って飛来する成分に加えて、蒸着マスク20の厚み方向D2に対して傾斜した方向に沿って飛来する成分を含むことがある。この場合、傾斜した方向に沿って飛来する蒸着材料82の一部は、被蒸着基板91に到達する前に蒸着マスク20の第1金属層21の第2面21bや貫通孔40の壁面に到達して付着する。このため、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の厚みは、貫通孔40の壁面に近いほど薄くなり易い。このような、被蒸着基板91への蒸着材料82の付着が貫通孔40の壁面によって阻害される現象のことを、シャドーとも称する。シャドーの発生を抑制するための対策としては、上述の角度θ1を小さくすることと、蒸着マスク20の第1金属層21の厚みH1を小さくすることが考えられる。
角度θ1を小さくすることは、第1金属層21の第2面21bにおける貫通孔40の開口が大きくなることを意味する。この場合、第2面21bにおいて互いに隣り合う貫通孔40の壁面が接続されて、これらの貫通孔40の間に第2面21bが存在しなくなってしまう。すなわち、第2面21bにおいて互いに隣り合う貫通孔40同士の間の部分が、後述するエッチング処理によって削られてしまう。このため、蒸着マスク20の機械的強度を確保するために、角度θ1は小さくし過ぎないことが好ましい。この場合、貫通孔40の配列ピッチC3、C4を小さくすることが可能になる。
角度θ1を小さくし過ぎないようにする場合、シャドーの発生を抑制するためには、蒸着マスク20の第1金属層21の厚みH1を小さくすることが好ましい。このため、蒸着マスク20の機械的強度が確保可能な程度に、厚みH1を小さくしてもよい。すなわち、第1金属層21の厚みH1を小さくすることにより、角度θ1を大きくすることができる。この場合、貫通孔40の配列ピッチC3、C4を小さくすることができる。
ところで、一の貫通孔群30は、一の有効領域23と称することがある。有効領域23の周囲に位置する領域は周囲領域24と称することがある。この場合、周囲領域24は、複数の有効領域23を囲んでいる。
蒸着マスク20を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つの有効領域23は、1つの有機EL表示装置の表示領域に対応する。このため、図2に示す蒸着マスク20によれば、有機EL表示装置の多面付蒸着が可能である。なお、1つの有効領域23が複数の表示領域に対応する場合もある。
有効領域23は、例えば、図6に示すように、平面視において略矩形状の輪郭を有していてもよい。有効領域23の輪郭は、対応する貫通孔群30のうち最も外側に位置する貫通孔40に外側から接する線によって画定されてもよい。より詳細には、有効領域23の輪郭は、貫通孔40の開口に接する線によって画定されていてもよい。図6に示す例では、貫通孔40が並列配列されていることから、有効領域23の輪郭は、略矩形状の輪郭となっている。なお、図示はしないが、各有効領域23は、有機EL表示装置の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域23は、円形状の輪郭を有していてもよい。
図4に示すように、蒸着マスク20の第2金属層22は、第1金属層21の外側に延びていてもよい。また、第2金属層22は、上述したフレーム15よりも外側に延びるようにしてもよい(図2および図3参照)。ここで「外側に延びる」とは、平面視において、第1金属層21の中心に向かう側とは反対側であって、当該中心から第1金属層21の周縁に向かう側を意味することとする。第2金属層22は、第1面22aと、第1面22aとは反対側に位置する第2面22bと、を有していてもよい。第1面22aは、第1金属層21の側の面であってもよい。第2面22bは、上述したフレーム15の側の面であってもよい。
本実施形態においては、第2金属層22は、平面視で枠状形状を有していてもよい。また、第2金属層22は、平面視で第1金属層21に設けられた貫通孔40に重なり貫通孔40を露出する金属層開口25を有していてもよい。金属層開口25は、第1面22aから第2面22bに延びて、第2金属層22を貫通している。
蒸着マスク20の第2金属層22の厚みH2は、第1金属層21の厚みH1よりも厚くなっていてもよい。
第2金属層22の厚みH2は、例えば、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。厚みH2を10μm以上とすることにより、後述するクランプPで第2金属層22を把持することができる。また、厚みH2は、例えば、35μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、45μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。厚みH2を50μm以下とすることにより、第2金属層22をフレーム15に容易に溶接して固定することができる。厚みH2の範囲は、10μm、15μm、20μm及び25μmからなる第1グループ、及び/又は、35μm、40μm、45μm及び50μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、10μm以上50μm以下であってもよく、10μm以上45μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上50μm以下であってもよく、15μm以上45μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上45μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上35μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上50μm以下であってもよく、25μm以上45μm以下であってもよく、25μm以上40μm以下であってもよく、25μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上50μm以下であってもよく、35μm以上45μm以下であってもよく、35μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよく、40μm以上45μm以下であってもよく、45μm以上50μm以下であってもよい。
第2金属層22は、樹脂層60を介して第1金属層21に接合されていてもよい。樹脂層60は、平面視で枠状形状を有していてもよい。この場合、樹脂層60は、上述した第2金属層22の金属層開口25と同様の樹脂層開口61を有していてもよい。金属層開口25と樹脂層開口61とで、貫通孔40がフレーム15の側に露出されている。また、図2〜図4においては、樹脂層60が、平面視で第1金属層21から外側に延びておらず(あるいは、はみ出しておらず)、樹脂層60の外縁が、第1金属層21の外縁に一致している例を示している。しかしながら、このことに限られることはなく、樹脂層60の外縁は、第1金属層21の外縁よりも外側に位置していてもよく、あるいは、第1金属層21の外縁よりも内側に位置していてもよい。
樹脂層60には、任意の樹脂材料を用いることができる。例えば、樹脂層60には、熱膨張係数が低い樹脂材料を用いてもよい。例えば、樹脂層60は、ポリイミドを含んでいてもよい。この場合、樹脂層60を構成する材料として、後述するように、ポリイミドワニスを第1金属層21に塗布して硬化させることで、ポリイミドを成分に含む樹脂層60を形成することができる。樹脂層60には、例えば、接着剤を介して第2金属層22が恒久的に接合されていてもよい。
樹脂層60の厚みH3は、特に限られることはない。樹脂層60の厚みH3は、例えば、1μm以上であってもよく、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよい。厚みH3を1μm以上とすることにより、樹脂層60と第2金属層22との接合が、第2金属層22の表面粗さの影響を受けることを抑制することができる。また、厚みH3は、例えば、7μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、9μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。厚みH3を10μm以下とすることにより、硬化時の接着剤の体積変化による応力の影響を低減することができる。厚みH3の範囲は、1μm、2μm、3μm及び4μmからなる第1グループ、及び/又は、7μm、8μm、9μm及び10μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH3の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH3の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH3の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1μm以上10μm以下であってもよく、1μm以上9μm以下であってもよく、1μm以上8μm以下であってもよく、1μm以上7μm以下であってもよく、1μm以上4μm以下であってもよく、1μm以上3μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上9μm以下であってもよく、2μm以上8μm以下であってもよく、2μm以上7μm以下であってもよく、2μm以上4μm以下であってもよく、2μm以上3μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上9μm以下であってもよく、3μm以上8μm以下であってもよく、3μm以上7μm以下であってもよく、3μm以上4μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよく、4μm以上9μm以下であってもよく、4μm以上8μm以下であってもよく、4μm以上7μm以下であってもよく、7μm以上10μm以下であってもよく、7μm以上9μm以下であってもよく、7μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、8μm以上9μm以下であってもよく、9μm以上10μm以下であってもよい。
第1金属層21および第2金属層22を含む蒸着マスク20を構成する材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、蒸着マスク20の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケルを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe−Ni系めっき合金などを挙げることができる。ニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などを挙げることができる。このような鉄合金を用いることにより、蒸着マスク20の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、被蒸着基板91としてガラス基板が用いられる場合に、蒸着マスク20の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の形状精度や位置精度が、蒸着マスク20と被蒸着基板91との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制することができる。第1金属層21と第2金属層22は、互いに異なる材料で形成されていてもよい。
次に、このような構成からなる蒸着マスク20の製造方法について、図8〜図17を参照して説明する。
本実施形態による蒸着マスク20の製造方法は、支持基板50に接合層51を介して分離可能に貼り付けられた金属板52を準備する準備工程と、金属板52の厚みを低減して第1金属層21を得る厚み低減工程と、第1金属層21に貫通孔40を形成する貫通孔形成工程と、支持基板50から蒸着マスク20を分離させる分離工程と、を備えていてもよい。以下では、長尺状の金属板52からロールトゥーロールプロセスで蒸着マスク20を作製する例について説明する。しかしながら、枚葉状の金属板で蒸着マスク20を作製することも可能である。なお、図13〜図17においては、図面を明瞭にするために、図4よりも貫通孔40の個数を少なくしている。
まず、図8に示すように、準備工程として、支持基板50に接合層51を介して貼り付けられた金属板52を準備してもよい。例えば、それぞれロールから巻き出された支持基板50と接合層51と金属板52とが、図示しない一対のロール間を通過する際に押圧されることで、支持基板50と金属板52とが接合層51で貼り付けられるようにしてもよい。
支持基板50は、ロールから巻き出された連続状の樹脂板であってもよい。支持基板50を構成する材料としては、特に限られることはない。例えば、ロールトゥーロールプロセスで蒸着マスク20を作製する場合には、フレキシブル性を有する樹脂材料を用いてもよい。そのような樹脂材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリイミド等を挙げることができる。また、枚葉式プロセスで蒸着マスク20を作製する場合には、ガラスやシリコンなどの材料を用いてもよい。
支持基板50の厚みH4は、例えば、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、40μm以上であってもよく、50μm以上であってもよい。厚みH4を20μm以上とすることにより、支持基板50としての強度を確保することができる。また、厚みH4は、例えば、0.1mm以下であってもよく、0.5mm以下であってもよく、1mm以下であってもよく、5mm以下であってもよい。厚みH4を5mm以下とすることにより、製造時のハンドリング性を確保することができる。厚みH4を1mm以下とすることにより、ロールトゥーロール方式を適用することができる。厚みH4の範囲は、20μm、30μm、40μm及び50μmからなる第1グループ、及び/又は、0.1mm、0.5mm、1mm及び5mmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH4の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、20μm以上5mm以下であってもよく、20μm以上1mm以下であってもよく、20μm以上0.5mm以下であってもよく、20μm以上0.1mm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上5mm以下であってもよく、30μm以上1mm以下であってもよく、30μm以上0.5mm以下であってもよく、30μm以上0.1mm以下であってもよく、30μm以上50μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上5mm以下であってもよく、40μm以上1mm以下であってもよく、40μm以上0.5mm以下であってもよく、40μm以上0.1mm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよく、50μm以上5mm以下であってもよく、50μm以上1mm以下であってもよく、50μm以上0.5mm以下であってもよく、50μm以上0.1mm以下であってもよく、0.1mm以上5mm以下であってもよく、0.1mm以上1mm以下であってもよく、0.1mm以上0.5mm以下であってもよく、0.5mm以上5mm以下であってもよく、0.5mm以上1mm以下であってもよく、1mm以上5mm以下であってもよい。
接合層51は、ロールから巻き出された連続状の粘着シートであってもよい。接合層51を構成する材料としては、加熱されることによって粘着性を喪失可能な材料を用いてもよい。例えば、このような接合層51を構成する材料としては、加熱されることにより発泡して剥離可能になる材料を用いてもよい。例えば、日東電工株式会社製の剥離シート「リバアルファ(登録商標)」を用いてもよい。あるいは、接合層51を構成する材料としては、紫外線(UV光)を照射されることによって粘着性を喪失可能な材料を用いてもよい。例えば、このような接合層51を構成する材料としては、光硬化性樹脂を用いてもよい。より具体的には、接合層51を構成する材料としては、アクリル系光硬化性樹脂等を用いてもよい。
接合層51の厚みH5は、厚みH5は、例えば、1μm以上であってもよく、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよい。厚みH5を1μm以上とすることにより、支持基板50や金属板52に1μm以下の凹凸があったとしても、支持基板50と金属板52との間に隙間が形成することを抑制できる。また、厚みH5は、例えば、7μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、9μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。厚みH5を10μm以下とすることにより、支持基板50、接合層51および金属板52の熱応力による反りを抑制することができる。厚みH5の範囲は、1μm、2μm、3μm及び4μmからなる第1グループ、及び/又は、7μm、8μm、9μm及び10μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH5の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH5の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH5の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1μm以上10μm以下であってもよく、1μm以上9μm以下であってもよく、1μm以上8μm以下であってもよく、1μm以上7μm以下であってもよく、1μm以上4μm以下であってもよく、1μm以上3μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上9μm以下であってもよく、2μm以上8μm以下であってもよく、2μm以上7μm以下であってもよく、2μm以上4μm以下であってもよく、2μm以上3μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上9μm以下であってもよく、3μm以上8μm以下であってもよく、3μm以上7μm以下であってもよく、3μm以上4μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよく、4μm以上9μm以下であってもよく、4μm以上8μm以下であってもよく、4μm以上7μm以下であってもよく、7μm以上10μm以下であってもよく、7μm以上9μm以下であってもよく、7μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、8μm以上9μm以下であってもよく、9μm以上10μm以下であってもよい。
金属板52は、ロールから巻き出された連続状の金属板であってもよい。金属板52は、圧延材として作製されていてもよい。金属板52は、第1金属層21を構成する材料と同一であってもよい。ここでの金属板52は、第1金属板面52aと、第1金属板面52aとは反対側に位置する第2金属板面52bと、を有している。第1金属板面52aは、第1金属層21の上述した第1面21aに相当する面である。第2金属板面52bは、後述する厚み低減工程において削られる面であってもよく、この場合、第2金属板面52bは、第1金属層21の上述した第2面21bに対応する面となる。金属板52を支持基板50に貼り付ける際には、金属板52の第1金属板面52aが、接合層51の側に配置される。
金属板52の厚みH6(厚み低減工程の前の厚み)は、例えば、15μm以上であってもよく、18μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、22μm以上であってもよい。厚みH6を15μm以上とすることにより、入手性を確保することができる。また、厚みH6は、例えば、23μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、28μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。厚みH6を30μm以下とすることにより、厚み低減工程の処理時間の増大を抑制することができる。厚みH6の範囲は、15μm、18μm、20μm及び22μmからなる第1グループ、及び/又は、23μm、25μm、28μm及び30μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH6の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH6の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH6の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上28μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上23μm以下であってもよく、15μm以上22μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、15μm以上18μm以下であってもよく、18μm以上30μm以下であってもよく、18μm以上28μm以下であってもよく、18μm以上25μm以下であってもよく、18μm以上23μm以下であってもよく、18μm以上22μm以下であってもよく、18μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、20μm以上28μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、20μm以上23μm以下であってもよく、20μm以上22μm以下であってもよく、22μm以上30μm以下であってもよく、22μm以上28μm以下であってもよく、22μm以上25μm以下であってもよく、22μm以上23μm以下であってもよく、23μm以上30μm以下であってもよく、23μm以上28μm以下であってもよく、23μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上30μm以下であってもよく、25μm以上28μm以下であってもよく、28μm以上30μm以下であってもよい。
準備工程の後、厚み低減工程として、金属板52の厚みが低減されて第1金属層21が得られるようにしてもよい。本実施形態による厚み低減工程では、第1エッチング工程と、研磨工程とが、この順番で行われてもよい。
第1エッチング工程においては、図9に示すように、金属板52の第2金属板面52b(支持基板50とは反対側の面)がエッチングされて、金属板52の厚みが低減される。例えば、金属板52の第2金属板面52bに、レジスト層を形成することなく、第2金属板面52bの全体がエッチングされるようにしてもよい。第1エッチング工程におけるエッチング処理は、ウェットエッチング処理であってもよい。この場合、例えば、塩化第2鉄溶液と塩酸とを含むエッチング液を用いてもよい。このようにして、第1エッチング工程後に金属板52の第2金属板面52b’が得られる。
研磨工程においては、図10に示すように、金属板52のエッチングされた第2金属板面52b’が研磨されて、金属板52の厚みが更に低減される。金属板52の第2金属板面52b’の研磨は、例えば、半導体の平坦化プロセスで用いられる機械研磨(Mechanical Polishing)、または化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)等を用いてもよい。この場合、研磨の深さの均一性を図ることができ、研磨工程後の金属板52の厚みを均一化することができる。このようにして、研磨工程後に金属板52から、第2面21bを有する第1金属層21が得られる。この第2面21bの表面粗さは、第2金属板面52b’の表面粗さよりも低減される。例えば、研磨工程後に得られる第2面21bの表面粗さは、上述した所望の表面粗さの数値範囲に含まれていてもよい。
なお、第1エッチング工程における金属板52の厚み削減量と、研磨工程における金属板52の厚み削減量の割合は、任意である。第1エッチング工程における金属板52の厚み削減量を、研磨工程における金属板52の厚み削減量よりも多くしてもよい。
厚み低減工程の後、貫通孔形成工程として、貫通孔40が形成されてもよい。本実施形態による貫通孔形成工程では、レジスト層形成工程と、露光工程と、現像工程と、第2エッチング工程と、レジスト層除去工程とが、この順番で行われてもよい。
レジスト層形成工程においては、図11に示すように、第1金属層21の研磨された第2面21b(支持基板50とは反対側の面、図11における上面)にドライフィルムが貼り付けられて、レジスト層53が形成される。ここでは、ネガ型レジストが用いられる例について説明する。ネガ型レジストの例としては、例えば、日立化成製のRY331などの、アクリル系光硬化性樹脂を含むレジストを挙げることができる。なお、レジスト層53としては、ポジ型レジストが用いられてもよい。また、レジスト層53として液状レジストを第1金属層21の第2面21bに塗布して硬化した膜を用いてもよい。
露光工程においては、図12に示すように、レジスト層53がパターン状に露光される。例えば、まず、レジスト層53のうちレジスト開口53aに相当する部分に露光光Lを照射させないようにパターン状に配置された露光開口54aを有する露光マスク54がレジスト層53上に配置される。その後、この露光マスク54の露光開口54aを介してレジスト層53に露光光Lが照射され、レジスト層53がパターン状に露光される。
現像工程においては、図13に示すように、露光されたレジスト層53が現像される。このことにより、レジスト層53のうち露光されていない部分が除去されて、レジスト開口53aが形成される。現像後、レジスト層53を加熱して、第1金属層21に対するレジスト層53の密着性を向上させてもよい。
第2エッチング工程においては、図14に示すように、レジスト開口53aを介して第1金属層21が第2面21bからエッチングされて、第1金属層21に貫通孔群30を構成する貫通孔40が形成される。第1金属層21のエッチング処理は、第1エッチング工程と同様に、ウェットエッチング処理であってもよい。この場合、例えば、塩化第2鉄溶液と塩酸とを含むエッチング液を用いてもよい。
レジスト層除去工程においては、図15に示すように、レジスト層53が除去される。例えば、アルカリ系剥離液を用いることによって、レジスト層53を第1金属層21から剥離させてもよい。
このようにして、第1金属層21に形成された貫通孔40が得られる。
貫通孔形成工程の後、切断工程として、連続状の第1金属層21が、枚葉状に切断されてもよい。
切断工程の後、取付工程として、図16に示すように、第1金属層21に第2金属層22が取り付けられる。本実施形態による取付工程では、樹脂層形成工程と、第2金属層貼付工程とが、この順番で行われてもよい。
樹脂層形成工程においては、まず、第1金属層21の第2面21bのうち第2金属層22が貼り付けられる部分(第2面21bの外周側の部分)に、ポリイミドワニス等の樹脂材料が塗布される。続いて、塗布された樹脂材料を乾燥させる。このことにより、図16に示すような、樹脂材料が硬化した樹脂層60が形成される。
第2金属層貼付工程においては、まず、樹脂層60の第1金属層21とは反対側の面に、接着剤が塗布される。続いて、樹脂層60に、金属層開口25を有する第2金属層22が貼り付けられる。この際、第2金属層22の内周側の部分が、樹脂層60に重なるようにして、第2金属層22が接着剤を介して樹脂層60に貼り付けられる。なお、第2金属層22は、圧延材として作製された金属板を用いてもよい。この場合、この金属板をエッチング処理することにより、予め金属層開口25が形成された枚葉状の第2金属層22を得てもよい。あるいは、第2金属層22は、めっき処理によって形成されていてもよい。
このようにして、本実施形態による蒸着マスク20が得られる。
取付工程の後、分離工程として、図17に示すように、支持基板50および接合層51から蒸着マスク20(または第1金属層21)が分離されてもよい。例えば、接合層51が、加熱されることによって粘着性を喪失可能な材料で構成されている場合には、蒸着マスク20または支持基板50を介して接合層51を加熱する。このことにより、蒸着マスク20を支持基板50および接合層51から剥がしやすくすることができる。また、接合層51が、紫外線を照射されることによって粘着性を喪失可能な材料で構成されている場合には、支持基板50を介して接合層51に紫外線を照射する。このことにより、蒸着マスク20を支持基板50および接合層51から剥がしやすくすることができる。この場合、支持基板50は、紫外線を透過可能な材料で構成されていてもよい。
このようにして、図4に示すような、本実施形態による蒸着マスク20が得られる。
次に、上述のようにして得られた蒸着マスク20を用いて蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
この場合、図18に示すように、蒸着マスク20がフレーム15に張設される。より具体的には、蒸着マスク20に張力が付与され、張力が付与された状態で蒸着マスク20の第2金属層22のうち第1金属層21の外側の部分がフレーム15に固定される。第2金属層22は、例えばスポット溶接でフレーム15に固定されて、図3および図4に示すような溶接痕19が形成されてもよい。
蒸着マスク20をフレーム15に張設する際、蒸着マスク20には所望の方向に張力が付与されてもよい。例えば、図18および図19に示すように、蒸着マスク20の第1方向D11に張力が付与されるようにしてもよい。
より具体的には、図19に示すように、蒸着マスク20の第2金属層22のうち、第1方向D11における両側縁の部分がクランプPによって把持される。この場合、蒸着マスク20の中心点に対する両側で第2金属層22がクランプPによって把持される。
張設時には、各貫通孔40が、所望の位置(蒸着目標位置)に対して許容範囲内に位置付けられるように、各クランプPが蒸着マスク20に付与する張力が調整される。このことにより、蒸着マスク20に第1方向D11に沿う方向に張力が付与されて第1金属層21が撓むことを抑制することができる。また、各クランプPから蒸着マスク20に付与される張力を個別に調整することにより、各貫通孔40の位置を局所的に調整することができ、各貫通孔40を許容範囲内に位置付けることができる。
次に、本実施形態による蒸着マスク装置10を用いた蒸着基板の製造方法について、図1および図20を参照して説明する。
蒸着基板の製造方法は、蒸着マスク装置10を用いて被蒸着基板91に蒸着材料82を付着させて蒸着層92を形成し、図20に示すような蒸着基板90を得る方法である。蒸着基板90は、主として、被蒸着基板91と、被蒸着基板91に形成された蒸着層92とによって構成されており、有機EL表示装置などで用いられる。本実施形態による蒸着基板の製造方法は、蒸着マスク装置準備工程と、密着工程と、蒸着工程と、を備えていてもよい。
まず、蒸着マスク装置準備工程として、上述した蒸着マスク装置10を準備してもよい。
蒸着マスク準備工程の後、密着工程として、蒸着マスク装置10の蒸着マスク20のうち第1面21aを、被蒸着基板91に密着させてもよい。より具体的には、まず、蒸着マスク20が、被蒸着基板91に対向するように、被蒸着基板91とともに蒸着装置80内に配置される。この際、被蒸着基板91を、蒸着マスク20と磁石85との間に介在させて、磁石85の磁力で蒸着マスク20を被蒸着基板91に引き寄せてもよい。このことにより、蒸着マスク20の第1面21aに、被蒸着基板91が密着することができる。
密着工程の後、蒸着工程として、蒸着マスク20の貫通孔40を通して蒸着材料82を被蒸着基板91に蒸着させて蒸着層92が形成されてもよい。このことにより、蒸着基板90が得られる。より具体的には、蒸着装置80の内部空間を真空雰囲気にし、蒸着材料82を蒸発させて被蒸着基板91に飛来させる。飛来した蒸着材料82は、蒸着マスク20の各貫通孔40を通って被蒸着基板91に到達し、付着する。このようにして、被蒸着基板91に、貫通孔40のパターンに対応したパターンで形成された蒸着層92を備えた蒸着基板90が得られる。
上述したように、本実施形態では、貫通孔40が各有効領域23において所定のパターンで配置されている。複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20を準備し、各蒸着マスク20で被蒸着基板91に各色の蒸着材料82を順次付着させる。これにより、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を一の被蒸着基板91にそれぞれ蒸着させることができる。
このようにして、被蒸着基板91に、各色の蒸着層92が形成された蒸着基板90が得られる。
このように本実施形態によれば、金属板52の厚みを低減して第1金属層21を得る厚み低減工程が行われ、その後に、第1金属層21に貫通孔40が形成される。このことにより、第1金属層21の厚みを容易に薄くすることができ、上述したシャドーの発生を抑制することができる。このため、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の厚みを均等化することができ、蒸着層92の形状精度および位置精度を向上させることができる。この結果、蒸着層92の精細度を高めることができる。この場合、蒸着層92の高精細化を図ることもできる。
また、本実施形態によれば、上述したように、貫通孔40が形成された第1金属層21の厚みを薄くすることができるため、貫通孔40の形成を、第1金属層21の片面(ここでは第2面21b)からのエッチングだけで行うことができ、他方の面(ここでは第1面21a)からのエッチングを不要にすることができる。このため、蒸着マスク20の製造工程を簡素化することができる。
また、本実施形態によれば、金属板52の厚みを低減して第1金属層21を得る厚み低減工程において、金属板52の支持基板50とは反対側の面が研磨されて、金属板52の厚みが低減される。このことにより、研磨後の第1金属層21の厚みを均一化させることができる。このため、厚み低減工程後に行われる貫通孔形成工程において、エッチング処理による浸食作用を均一化させることができ、貫通孔40の形状精度および位置精度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、研磨工程後に得られる第1金属層21の第2面22bが研磨されているため、第2面22bの表面粗さを低減することができる。このことにより、貫通孔40の形状精度および位置精度を向上させることができる。すなわち、表面粗さを小さくすることにより、レジスト層53を透過して第1金属層21の第2面22bに達した露光光Lが反射する際に、散乱することを抑制できる。このため、露光マスク54の露光開口54aの形状に沿うように露光光Lをレジスト層53に照射することができ、現像後に得られるレジスト開口53aの形状精度および位置精度を向上させることができる。このレジスト開口53aを介して第1金属層21をエッチングすることができ、得られる貫通孔40の形状精度および位置精度を向上させることができる。この結果、貫通孔40の精細度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、研磨工程の前の第1エッチング工程において、金属板52の支持基板50とは反対側の面がエッチングされて、金属板52の厚みが低減される。このことにより、研磨工程における金属板52の厚みの削減量を少なくすることができ、厚み低減工程の処理時間を短縮させることができる。このため、蒸着マスク20を効率良く製造することができる。また、第1金属層21に用いるための金属板52の厚みが制限されることを抑制できる。すなわち、金属板52の厚みが厚い場合であっても、第1エッチング工程において金属板52の厚みを低減させることができるため、金属板52の厚み低減工程の処理時間が増大することを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1金属層21に、平面視で貫通孔40に重なる金属層開口25を有するとともに第1金属層21の外側に延びる第2金属層22が取り付けられる。このことにより、第1金属層21の厚みが薄くても、第2金属層22によって蒸着マスク20の剛性を確保することができる。このため、蒸着マスク20のハンドリング性を向上させることができる。また、第2金属層22によって蒸着マスク20の剛性を確保することができるため、蒸着マスク20を支持基板50から分離する際に、第1金属層21に皺が形成されることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、第1金属層21に取り付けられた第2金属層22の厚みが、第1金属層21の厚みよりも厚くなっている。このことにより、第1金属層21と第2金属層22とで構成される蒸着マスク20をフレーム15に張設する際に、蒸着マスク20に張力を付与するためのクランプPで、蒸着マスク20のうち第2金属層22を把持することができ、第1金属層21に張力を付与することができる。このため、蒸着マスク20をフレーム15に張設することができ、各貫通孔40の位置精度を向上させることができる。この結果、蒸着マスク装置10における貫通孔40の精細度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、第1金属層21および第2金属層22は、ニッケルを含む鉄合金でそれぞれ構成されている。このことにより、第1金属層21の熱膨張係数と第2金属層22の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、被蒸着基板91がガラス基板で構成される場合には、第1金属層21の熱膨張係数と第2金属層22の熱膨張係数を、ガラス基板の熱膨張係数と同等の値にすることができる。このため、蒸着工程の際、被蒸着基板91の熱膨張と、蒸着マスク20の熱膨張とのずれを低減することができ、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の形状精度および位置精度を向上させることができる。この場合、蒸着層92の高精細化を図ることもできる。
また、本実施形態によれば、第2金属層22は、樹脂層60を介して第1金属層21に接合されている。このことにより、第2金属層22を第1金属層21に容易に取り付けることができる。このため、第1金属層21の厚みが薄くても剛性を確保することができる蒸着マスク20を容易に得ることができる。また、樹脂層60がポリイミドを含むことにより、樹脂層60の熱膨張係数を低減することができる。被蒸着基板91がガラス基板で構成されている場合には、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の形状精度や位置精度が、熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制することができる。
なお、上述した本実施形態においては、厚み低減工程が、第1エッチング工程と、研磨工程と、を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、研磨工程を行う場合には、第1エッチング工程は省略されてもよい。あるいは、第1エッチング工程後の第1金属層21の第2面21bの表面粗さが、露光光Lの散乱を抑制できる程度の値であれば、研磨工程は省略されてもよい。
また、上述した本実施形態においては、蒸着マスク20が、第1金属層21と、第1金属層21上に設けられた第2金属層22と、を備えている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1金属層21の厚みが、クランプPを把持することができる程度の厚みであるとともに、ハンドリング性を確保することができる程度の厚みであれば、第2金属層22は設けられていなくてもよい。
また、上述した本実施形態において説明した蒸着マスク20の製造方法は、上述した手順に限られることはなく、本実施形態による蒸着マスク20を得ることができれば、上述した各工程の順番は任意である。