実施例1における運転支援方法及び運転支援装置は、自動運転システム(運転支援装置の一例)を搭載した自動運転車両(運転支援車両の一例、自車両)に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「自動運転システムのブロック構成」、「車線変更コントローラの制御ブロック構成」、「合流制御の処理構成」に分けて説明する。
図1に基づいて、自動運転システムのブロック構成を説明する。
自動運転システム1は、道路構造検出部2と、物体検出部3と、自車位置検出部4と、地図記憶部5と、車両制御ユニット6と、を備えている。
道路構造検出部2は、自車両が走行する前方の道路構造(道路構造物、レーンマーカー、停止線、横断歩道、等)を検出し、検出した道路構造情報を車両制御ユニット6へ出力する。ここで、道路構造取得センサとしては、自動運転システム1においてカメラとライダーを用い、カメラからの撮像データとライダーからの点群データに基づく道路構造認識技術を用いる。
物体検出部3は、自車両の周囲の周囲物体(自車線上物体・隣接車線上物体・その他の物体・道路標識)を検出し、その位置、姿勢(向き)、大きさ、速度などを検出する。物体検出方法としては、カメラからの撮像データとライダーからの点群データに基づく画像認識技術とを融合させ、物体を検出・追跡できるフュージョンセンサを用いる。そして、物体検出部3は、周囲物体検出情報を車両制御ユニット6へ出力する。
ここで、カメラは、道路構造以外に、自車線上物体(先行車両、先々行車両、後続車両、等)、隣接車線上物体(隣接車線を走行又は停止している車両等)、その他の物体(停止車両、対向車、周囲車両、歩行者、自転車、二輪車、等)及び道路標識(制限速度、等)を検出可能である。なお、単眼カメラでは一般的に対象物までの距離の計測はできないが、ステレオカメラを用いると対象物までの距離を計測することも可能となる。
「ライダー(「Lidar」:Light Detection and Rangingの略)」とは、パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し、自車線上物体・自車線外物体(隣接車線の車両等)等の方向や距離の情報を点群データとして取得する測距センサである。なお、物体検出方法として、ライダーのみを用いる手法としても良いし、また、発射した電波の反射信号を受信して物体の方向や距離の情報を取得するミリ波レーダーとカメラを融合させたフュージョンセンサを用いても良い。
自車位置検出部4は、道路構造における自車両の自車位置を検出し、検出した自車位置情報を車両制御ユニット6へ出力する。自車位置検出部4は、GPSやオドメトリなど絶対位置を計測するセンサにより自車両の絶対位置、即ち、ある基準点に対する位置、姿勢、速度などを計測する。
ここで、「GPS」は、GNSSアンテナを有し、衛星通信を利用することで自車位置(緯度・経度)を検知するセンサである。なお、「GNSS」は「Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム」の略称であり、「GPS」は「Global Positioning System:グローバル・ポジショニング・システム」の略称である。
地図記憶部5は、緯度経度と地図情報が対応づけられた高精度地図情報が格納されている車載メモリを内蔵する。高精度地図情報は、少なくとも道路白線、中央線、車線境界線等の各種車線情報、分合流の位置情報、交通標識や信号機等の位置情報を有する。地図記憶部5は、車両制御ユニット6からの要求により高精度地図情報を出力する。
車両制御ユニット6は、道路構造情報と周囲物体検出情報と自車位置情報を基に自己位置推定した自車位置を基点とする周辺の高精度地図情報を地図記憶部5へ要求する。これにより、車両制御ユニット6は、高精度地図情報を取得する。そして、車両制御ユニット6は、各種情報に基づいて、自車が走行する自車走行経路を生成すると共に、生成した自車走行経路に沿った速度プロファイルを生成する。車両制御ユニット6は、生成した自車走行経路及び速度プロファイルに沿って自車両を自動運転によって走行させるために自車両の駆動/制動/操舵の制御を行う。
図1〜図7に基づいて、車線変更コントローラの制御ブロック構成を説明する。
車両制御ユニット6は、図1に示すように、車線変更コントローラ7を備えている。車線変更コントローラ7は、自車両V1の自車線L1から隣接車線L2への車線変更による合流制御(合流支援)を行う。車線変更コントローラ7は、図2に示すように、道路構造判断部7aと、先行車両判断部7bと、車線変更判断部7cと、被合流車両選定部7dと、開始位置生成部7eと、位置設定可否判断部7h(車線変更開始位置設定部、並走開始位置設定部)と、を備えている。更に、車線変更コントローラ7は、並走距離範囲算出部7jと、並走速度プロファイル生成部7kと、加速度判断部7mと、並走速度制御部7nと、並走継続制御部7pと、車線変更制御部7qと、を備えている。以下、各部7a〜7h,7j,7k,7m,7n,7p,7qについて説明する。なお、各部7a〜7h,7j,7k,7m,7n,7p,7qから出力された情報は共有される。
道路構造判断部7aは、各種情報により道路構造の判断を行う(図3参照)。即ち、道路構造判断部7aは、道路構造情報及び自己位置推定した自車位置により、自車両V1の進行方向前方における自車線L1上において、自車線L1に隣接する隣接車線L2と車線変更により合流するための終端が有るか否かを判断する。換言すると、道路構造判断部7aは、自車両V1の進行方向前方に自車線L1の終端が有るか否かを判断する。そして、道路構造判断部7aは、終端有無情報を車線変更判断部7cへ出力する。また、道路構造判断部7aは、終端有りと判断したとき、終端位置13aを終端位置情報として車線変更判断部7cへ出力する。なお、道路構造判断部7aは、道路構造情報を高精度地図情報に代えても良いし、道路構造情報と高精度地図情報の両方の情報を用いても良い。
先行車両判断部7bは、周囲物体検出情報から先行車両V3の位置や速度等の情報を取得し、先行車両V3の有無を判断する(図4参照)。まず、先行車両判断部7bは、自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に先行車両V3が有るか否かの判断を行う。次いで、先行車両判断部7bは、先行車両V3が有ると判断したとき、自車両V1及び先行車両V3の位置と、先行車両V3の先行車両速度と、を先行車両情報として取得する。そして、先行車両判断部7bは、先行車両V3が有る場合に、先行車両情報を車線変更判断部7cへ出力する。先行車両V3が無い場合に、先行車両情報が無いという情報を車線変更判断部7cへ出力する。
車線変更判断部7cは、終端有無情報や先行車両情報の入力により、車線変更の判断を行う。また、車線変更判断部7cは、自車走行経路Rと自車位置との情報から、車線変更の判断を行う。即ち、車線変更判断部7cは、各種情報により、自車線L1から隣接車線L2への車線変更による合流を行うか否かを判断する。車線変更判断部7cは、以下のいずれかの条件が成立する場合には車線変更による合流を行うと判断し、成立した条件と共に判断結果を合流判断結果情報として被合流車両選定部7dへ出力する。条件とは、終端条件(図3参照)、先行車両条件(図4参照)、又は経路条件(図5参照)である。終端条件とは、終端が有るときである。先行車両条件とは、自車両速度よりも先行車両速度が遅いときである。経路条件とは、自車位置が自車走行経路Rの合流部に近づき自車両V1が隣接車線L2への車線変更をすると判断されるときである。なお、終端条件と経路条件は、例えば合流を行う必要があるというシステム要求による場合に成立する。また、先行車両条件は、例えば、ドライバによるドライバ要求による場合に成立しても良いし、一定時間又は一定距離の間において自車両速度よりも先行車両速度が遅く合流を行う必要があるというシステム要求による場合に成立しても良い。ドライバ要求は専用のスイッチ等により判断される。車線変更判断部7cは、いずれかの条件も成立しない場合には車線変更による合流を行わないと判断し、判断結果を被合流車両選定部7dへ出力せず、本開示の合流制御は終了する。
被合流車両選定部7dは、合流判断結果情報の入力により、周囲物体検出情報から隣接車線L2を走行する被合流候補車両Vnの位置や速度等の情報を取得する。被合流車両選定部7dは、隣接車線L2を走行する被合流候補車両Vnの中から、自車両V1が前方へ車線変更により合流する被合流車両V2を選定する。被合流車両V2の選定は、自車両V1の前方を走行している車両であって、被合流候補車両Vnの中から自車両V1に最も近い位置を走行している車両とする。被合流車両選定部7dは、選定した被合流車両V2の情報を開始位置生成部7eへ出力する。「自車両V1から最も近い位置」とは、例えば、自車両V1から被合流候補車両Vnの各車両までの直線距離等から、最も近い位置を判断する。なお、被合流車両選定部7dは、被合流候補車両Vnが居ないとき、被合流車両V2の選定は行えないため、本開示の合流制御は終了する。また、被合流車両選定部7dは、位置設定不可能情報又は加速不可能情報の入力により、再び、被合流候補車両Vnの中から、自車両V1が前方へ車線変更により合流する被合流車両V2を選定する。このとき、既に選定された被合流車両V2は、被合流候補車両Vnには含まれない。
ここで、例えば、被合流車両選定部7dは、図3〜図5に示すように、隣接車線L2を走行する4台分の被合流候補車両Vn(Va〜Vd)の情報を取得する。被合流候補車両Vnは、例えば図3の場合、終端位置13aから自車両V1の後方を走行している車両Va〜Vdまでが候補となる。被合流車両選定部7dは、4台の被合流候補車両Va〜Vdの中から、自車両V1の前方を走行している車両Va〜Vcであって、自車両V1に最も近い位置を走行している車両Vcを被合流車両V2として選定する。
開始位置生成部7eは、選定された被合流車両V2の情報の入力により、車線変更による合流のために、車線変更開始位置11と並走開始位置12を生成する。開始位置生成部7eは、車線変更開始位置生成部7fと並走開始位置生成部7gを備えている。
車線変更開始位置生成部7fは、図3〜図5に示すように、自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1が車線変更を開始する車線変更開始位置11を生成する。そして、車線変更開始位置生成部7fは、生成した車線変更開始位置11を位置設定可否判断部7hへ出力する。車線変更開始位置生成部7fは、図3に示すように終端条件が成立したとき、被合流車両V2の位置及び自車線L1上の終端位置13a等により車線変更開始位置11を生成する。車線変更開始位置生成部7fは、図4に示すように先行車両条件が成立したとき、被合流車両V2の位置、自車線L1上の先行車両V3の位置、自車両速度及び先行車両速度等により車線変更開始位置11を生成する。車線変更開始位置生成部7fは、図5に示すように経路条件が成立したとき、自車走行経路R上の車線変更開始位置11を車線変更開始位置11として生成する。
また、車線変更開始位置生成部7fは、図3と図4に示すように、終端位置13a又は先行車両V3の車両後端位置13bよりも所定距離A1だけ自車両V1側に車線変更開始位置11を生成する。所定距離A1は、少なくとも車線変更開始位置11から車線変更を完了するための距離である。例えば、所定距離A1は、車線変更開始位置11から車線変更を完了するための距離に、終端又は先行車両V3(車両後端位置13b)の直前にて車線変更が完了することを避けた距離(余裕を持たせた距離)を加えた距離である。また、先行車両条件の無合は、特に自車両速度及び先行車両速度に応じて所定距離A1を設定する。
並走開始位置生成部7gは、図3〜図5に示すように、自車線L1上であって車線変更開始位置11よりも並走区間A2だけ自車両V1側に、被合流車両V2と並走を開始する並走開始位置12を生成する。そして、並走開始位置生成部7gは、生成した並走開始位置12を位置設定可否判断部7hへ出力する。なお、並走についての詳細は、並走速度制御部7nで詳述する。並走開始位置生成部7gは、生成した車線変更開始位置11、被合流車両V2の速度及び予め設定した並走時間等により、並走開始位置12を生成する。並走区間A2(並走開始位置12から車線変更開始位置11までの距離)は、自車両V1が自車線L1から隣接車線L2への車線変更(車線変更意図、車線変更要求)による合流するために、被合流車両V2から自車両V1の存在を十分に認識させる区間である。並走時間は、実験やシミュレーションに基づいて設定される時間であって、被合流車両V2から自車両V1の存在を十分に認識させる時間である。例えば、並走区間A2は、被合流車両V2の速度と予め設定した並走時間の乗算から算出される距離である。また、並走区間A2は、被合流車両V2の所定速度ごとによる距離マップを予め作成し、被合流車両V2の速度により距離マップから導かれる距離としても良い。並走開始位置生成部7gは、生成した車線変更開始位置11と算出した距離(並走区間A2)により、並走開始位置12を生成する。なお、開始位置生成部7eは、維持不可能情報の入力により、再び、車線変更開始位置生成部7fによって車線変更開始位置11を生成すると共に、並走開始位置生成部7gによって並走開始位置12を生成する。
位置設定可否判断部7hは、生成された車線変更開始位置11及び並走開始位置12の入力により、自車線L1上であって自車位置の前方に並走開始位置12が設定できるか否かを判断する。具体的には、位置設定可否判断部7hは、自車線L1上であって自車位置の後方に並走開始位置12が生成されているときには、自車線L1上に並走開始位置12が設定できないと判断する。その他、位置設定可否判断部7hは、並走区間A2における実際の道路状況により自車線L1上に車線変更開始位置11及び並走開始位置12が設定できるか否かを判断する。「実際の道路状況」とは、停車車両等の障害物の有無や渋滞等である。位置設定可否判断部7hは、自車線L1上に車線変更開始位置11及び並走開始位置12が設定できると判断したとき、生成された自車両V1の車線変更開始位置11及び並走開始位置12を設定する。そして、位置設定可否判断部7hは、設定した車線変更開始位置11及び並走開始位置12の開始位置情報を並走距離範囲算出部7jへ出力する。位置設定可否判断部7hは、車線変更開始位置11及び並走開始位置12が設定できないと判断したとき、生成された自車両V1の車線変更開始位置11及び並走開始位置12を設定しない。そして、位置設定可否判断部7hは、位置設定不可能情報を被合流車両選定部7dへ出力する。なお、位置設定可否判断部7hは、維持不可能情報によって、再生成された車線変更開始位置11及び並走開始位置12を再設定できるか否かを判断する。
並走距離範囲算出部7jは、設定された車線変更開始位置11及び並走開始位置12の入力により、並走距離範囲Cを算出し、算出した並走距離範囲Cを並走速度プロファイルへ出力する。「並走距離範囲C」とは、図6に示すように、被合流車両V2のドライバや乗員の認識範囲(視野角B等)または被合流車両V2のカメラやライダー等の車載センサの検出範囲であって、このうち被合流車両V2から自車両V1の存在を十分に認識できる範囲である。ドライバの視野角Bは、速度が大きいほど狭くなる傾向がある。「並走距離範囲C」は、自車両V1と被合流車両V2の速度・位置、各車両走行中の車線幅及び横方向距離等から算出される。なお、並走距離範囲算出部7jは、並走開始位置12への未到達情報の入力により、再び並走距離範囲Cを算出する。
図6において、並走距離範囲Cのうち、被合流車両V2から遠い方を上限値14とし、被合流車両V2に近い方を下限値15とする。並走距離範囲Cの下限値15は、横方向距離Dが大きいほど被合流車両V2から遠く設定される。
ここで、横方向距離Dについて説明する。並走距離範囲算出部7jは、自車位置情報を取得すると共に、周囲物体検出情報から被合流車両V2の位置や姿勢や速度等の情報を取得する。並走距離範囲算出部7jは、図7に示すように、これらの情報から被合流車両V2の位置における自車両V1の自車位置(緯度・経度)までの横方向距離Dを検出する。横方向距離Dは、選定された被合流車両V2の進行方向と垂直に交差する横方向の距離である。具体的には、図7に示すように、被合流車両V2の進行方向に第1直線Laを引き、第1直線Laと平行な線を自車位置から第2直線Lbとして引き、第1直線La及び第2直線Lbと垂直に交差する交差線Lcを引く。交差線Lcのうち第1直線Laと第2直線Lbの間の距離を、横方向距離D2として検出する。
次いで、並走距離範囲Cと横方向距離Dの関係について具体的に説明する。図7の横方向距離D2は図6の横方向距離D1より大きいため、図7の下限値15bは図6の下限値15aよりも被合流車両V2から遠く設定される。これにより、図7の並走距離範囲C2は、図6の並走距離範囲C1よりも狭く設定される。このように、横方向距離Dが大きいほど、並走距離範囲Cの下限値15を被合流車両V2から遠く設定する。このため、被合流車両V2から自車両V1の存在を十分に認識できる並走距離範囲Cが設定される。
並走速度プロファイル生成部7kは、算出された並走距離範囲Cの入力により、並走速度制御を行うために自車両V1の並走速度プロファイルを生成する。即ち、並走速度プロファイル生成部7kは、並走開始位置12に自車両V1が到達するまでの間に並走距離範囲C内に自車両V1を走行させる並走速度プロファイルを生成し、生成した並走速度プロファイルを加速度判定部へ出力する。並走速度プロファイル生成部7kは、自車位置、自車両V1の自車両速度、並走距離範囲C及び並走開始位置12等により並走速度プロファイルを生成する。「並走開始位置12に自車両V1が到達するまでの間」とは、自車両V1の現在位置から並走開始位置12よりも手前位置までの間、又は、並走開始位置12に到達したとき、である。なお、並走速度プロファイルは、加速プロファイルや減速プロファイルを含む。
加速度判断部7mは、生成された並走速度プロファイルの入力により、並走速度プロファイルの最大加速度aと加速度判断閾値amaxを比較して、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下か否かを判断する。「最大加速度a」とは、並走速度プロファイルの中で最も大きい加速度である。「加速度判断閾値amax」とは、上限加速度の判断閾値である。加速度判断閾値amaxは、自車両V1の車両諸元から実現可能な加速度であって、かつ、乗員が不快に感じないレベルに予め実験やシミュレーションに基づいて設定された加速度である。また、加速度判断閾値amaxは、法定速度も考慮される。加速度判断部7mは、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下であると判断したとき、加速可能情報と共に並走速度プロファイルを並走速度制御部7nへ出力する。加速度判断部7mは、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下ではないすなわち最大加速度aが加速度判断閾値amaxよりも大きいと判断したとき、並走速度プロファイルを並走速度制御部7nへ出力しない。そして、加速度判断部7mは、加速不可能情報を被合流車両選定部7dへ出力する。
並走速度制御部7nは、加速可能情報と並走速度プロファイルの入力により、並走開始位置12に自車両V1が到達するまでの間に、並走距離範囲C1内に自車位置を制御する並走速度制御を行う。即ち、並走速度制御部7nは、並走速度プロファイルに沿って、自車両V1の駆動/制動の制御を行い、並走距離範囲C1内に自車位置を制御する。「並走」とは、自車両V1と被合流車両V2とが並走することであり、被合流車両V2よりも自車両V1が前方であって、かつ、並走距離範囲C内を自車両V1が走行していることである(並走状態)。「並走距離範囲C1内に自車位置」が有るか否かの判断すなわち並走状態か否かの判断は、並走距離範囲C内に自車両V1の一部が入っているか否かで判断する。
更に、並走速度制御部7nは、並走開始位置12に自車両V1が到達したか否かの判断を行う。並走速度制御部7nは、並走開始位置12に自車両V1が到達していないと判断したとき、並走開始位置12への未到達情報を並走距離範囲算出部7jへ出力する。並走速度制御部7nは、並走開始位置12に自車両V1が到達したと判断したとき、並走開始位置12への到達情報を並走継続制御部7pへ出力する。
並走継続制御部7pは、並走開始位置12への到達情報の入力により、少なくとも並走区間A2にて、並走距離範囲C内に自車位置を継続制御する並走継続制御を行う。即ち、並走継続制御部7pは、自車両V1の駆動/制動の制御を行い、並走距離範囲C内に自車位置を継続制御する。並走継続制御部7pは、並走距離範囲C内を自車両V1が走行するように自車両速度を制御する。例えば、自車両V1と被合流車両V2との前後の車間距離を検出して、車間距離を一定に保つように制御する。或いは、自車両速度と被合流車両V2の速度との相対速度がゼロもしくは被合流車両V2の速度よりも自車両速度が速い速度になるように自車両速度を制御する。なお、「速い速度」とは、少なくとも並走区間A2にて、並走距離範囲C内に自車位置を継続制御可能な速度である。また、並走速度プロファイルによって並走開始位置12よりも手前位置で並走距離範囲C内に自車両V1を走行させる場合は、並走区間A2よりも長い区間にて、実質的に並走継続制御を行うことになる。また、並走速度プロファイルによって並走開始位置12に到達したときに並走距離範囲C内に自車両V1を走行させる場合は、並走区間A2にて並走継続制御を行う。
更に、並走継続制御部7pは、並走継続制御を行っている間、並走継続制御を維持することが可能か否かを判断する(維持可否判断制御)。並走継続制御部7pは、並走継続制御を維持することが可能である(維持可能)と判断したとき、並走継続制御を行う。並走継続制御部7pは、並走継続制御を維持することが可能ではない(維持不可能)と判断したとき、並走継続制御を中止し、維持不可能情報を開始位置生成部7eへ出力する。「維持不可能」とは、例えば、被合流車両V2の加速や先行車両V3の減速等である。具体的には、被合流車両V2が加速したことにより、自車位置が並走距離範囲C外となったときである。また、自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に先行車両V3が有り、該先行車両V3が減速したことにより、自車位置が並走距離範囲C外となったときである。即ち、先行車両V3と自車両V1との間の車間距離を自車両V1が維持できなくなり、自車両V1が減速したときである。
更にまた、並走継続制御部7pは、車線変更開始位置11に自車両V1が到達したか否かの判断を行う。並走継続制御部7pは、車線変更開始位置11に自車両V1が到達していないと判断したとき、並走継続制御と維持可否判断制御を行う。並走継続制御部7pは、車線変更開始位置11に自車両V1が到達したと判断したとき、車線変更開始位置11への到達情報を車線変更制御部7qへ出力する。
車線変更制御部7qは、車線変更開始位置11への到達情報の入力により、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1を車線変更する車線変更制御を行う。即ち、車線変更制御部7qは、自車両V1の駆動/制動/操舵の制御を行い、自車両V1を車線変更する。
更に、車線変更制御部7qは、自車両V1の車線変更が完了したか否かの判断を行う。車線変更制御部7qは、車線変更が完了していないと判断したとき、車線変更制御を行う。車線変更制御部7qは、車線変更が完了したと判断したとき、合流制御を終了する。「車線変更の完了判断」は、自車両V1が隣接車線L2を走行しているとみなされ、自車両V1の操舵の制御が車線変更制御を行う直前の状態すなわち直進状態に戻ったときである。
なお、車線変更コントローラ7は、少なくとも、並走開始位置12に到達したと判断されたときから、車線変更が完了したと判断されるまでの間、車線変更のための方向指示灯(図〜図5では左ウィンカー)を点灯する制御を行っていたものとする。
図8に基づいて、合流制御の処理構成を説明する。図8の処理は、車線変更判断部7cが車線変更による合流を行うと判断するとスタートする。以下、図8の各ステップについて説明する。
ステップS11では、スタート、ステップS15での位置設定不可能との判断、或いは、ステップS21での加速不可能との判断に続き、被合流候補車両Vnの中から、自車両V1が前方へ車線変更により合流する被合流車両V2を選定して、ステップS13へ進む。
ステップS13では、ステップS11での被合流車両V2の選定、或いは、ステップS29での維持不可能判断に続き、車線変更開始位置11と並走開始位置12を生成して、ステップS15へ進む。
ステップS15では、ステップS13での車線変更開始位置11と並走開始位置12の生成に続き、自車線L1上に、生成した車線変更開始位置11と並走開始位置12が設定できるか否かを判断する。YES(位置設定可能)の場合はステップS17へ進み、NO(位置設定不可能)の場合にはステップS11へ戻る。
ステップS17では、ステップS15での位置設定可能との判断、或いは、ステップS25での並走開始位置12に未到達との判断に続き、並走距離範囲Cを算出して、ステップS19へ進む。
ステップS19では、ステップS17での並走距離範囲Cの算出に続き、並走速度プロファイルを生成して、ステップS21へ進む。
ステップS21では、ステップS19での並走速度プロファイルの生成に続き、並走速度プロファイルの最大加速度aと加速度判断閾値amaxを比較して、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下か否かを判断する。YES(最大加速度a≦加速度判断閾値amax、加速可能)の場合はステップS23へ進み、NO(最大加速度a>加速度判断閾値amax、加速不可能)の場合はステップS11へ戻る。
ステップS23では、ステップS21での加速可能との判断に続き、並走速度制御を行って、ステップS25へ進む。
ステップS25では、ステップS23での並走速度制御の実行に続き、並走開始位置12に自車両V1が到達したか否かの判断を行う。YES(並走開始位置12に到達)の場合はステップS27へ進み、NO(並走開始位置12に未到達)の場合はステップS17へ戻る。
ステップS27では、ステップS25での並走開始位置12に到達との判断、或いは、ステップS31での車線変更開始位置11に未到達との判断に続き、並走継続制御を行って、ステップS29へ進む。
ステップS29では、ステップS27での並走継続制御の実行に続き、並走継続制御を行っている間、並走継続制御を維持することが可能か否かを判断する。YES(維持可能)の場合はステップS31へ進み、NO(維持不可能)の場合はステップS13へ戻る。
ステップS31では、ステップS29での維持可能との判断に続き、車線変更開始位置11に自車両V1が到達したか否かの判断を行う。YES(車線変更開始位置11に到達)の場合はステップS33へ進み、NO(車線変更開始位置11に未到達)の場合はステップS27へ戻る。
ステップS33では、ステップS31での車線変更開始位置11に到達との判断、或いは、ステップS35での車線変更未完了との判断に続き、車線変更制御を行って、ステップS35へ進む。
ステップS35では、ステップS33での車線変更制御の実行に続き、自車両V1の車線変更が完了したか否かの判断を行う。YES(車線変更完了)の場合はエンドへ進み、NO(車線変更未完了)の場合はステップS33へ戻る。
次に、「背景技術の課題」を説明する。そして、実施例1の作用を、「特徴作用」、「第1合流制御の処理作用」、「第2合流制御の処理作用」に分けて説明する。
図9に基づいて、背景技術の課題を説明する。
例えば、特開平11−345393号公報に開示されている背景技術においては、本線(隣接車線)と、本線につながる合流部がある。合流部(自車線)には自動運転が可能な合流車が走行しており、本線には合流後続車となる被合流車が走行している。
そして、制御方法は、自動運転が不可能な被合流車の場合には、合流車と被合流車の相対位置に応じて合流車の速度を調整し、合流部の車線変更区間で合流可能最小距離のスペースを確保した後、合流車を合流させるように合流車を制御する。
即ち、図9に示すように、本線を走行している被合流車に対して自動運転が可能な合流車が、被合流車を追い抜くと同時に、本線へ車線変更するシーンに対して、合流車の合流を制限する制御が無い。
このシーンでは、追い抜くと同時に、何らかの要因で被合流車が加速し、合流車が本線へ車線変更すると、被合流車又は/及び合流車が急減速する可能性ある。「何らかの要因」とは、例えば、被合流車の進行方向前方における本線上に先行車が有り、その先行車が車線変更した場合等である。つまり、このシーンでは、被合流車と合流車の並走が確保できておらず、被合流車は合流車の存在を十分に認識できていない。このため、被合流車の前方へ合流車が車線変更するのを控えるべきである。
このように、被合流車(被合流車両)の乗員が合流車(自車両)の存在を十分に認識できない状態にて、合流車が被合流車の前方へ進入するおそれがある。従って、合流車が被合流車の前方へ進入するとき、被合流車に対して違和感を与える可能性が有る、という課題がある。
次に、特徴作用を説明する。
上記課題に対して、本開示では、被合流車両V2に自車両V1の存在を十分に認識させることが重要であることを知見した。そして、本開示において、車線変更コントローラ7により、以下の制御が行われる。まず、隣接車線L2を走行する被合流候補車両Vnの中から、自車両V1が前方へ車線変更により合流する被合流車両V2が選定される。次いで、自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1が車線変更を開始する車線変更開始位置11が設定される。次いで、自車線L1上であって車線変更開始位置11よりも並走区間A2だけ自車両V1側に、被合流車両V2と並走を開始する並走開始位置12が設定される。続いて、並走開始位置12に自車両V1が到達するまでの間に、被合流車両V2よりも自車両V1が前方であって、かつ、被合流車両V2から自車両V1を認識できる並走距離範囲C内に、自車両V1の自車位置を制御する並走速度制御が行われる。その後、少なくとも並走区間A2にて、並走距離範囲C内に自車位置を継続制御する並走継続制御が行われる。最後に、車線変更開始位置11に自車両V1が到達すると、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1を車線変更する車線変更制御が行われる。
即ち、実施例1では、並走開始位置12にて並走距離範囲C内を自車両V1が走行していたと同時に、自車両V1が自車線L1から隣接車線L2への車線変更による合流は開始されない。換言すると、背景技術のように、自車両V1が、被合流車両V2を追い抜くと同時に、自車線L1から隣接車線L2へ車線変更しない。その後、少なくとも並走区間A2にて、並走継続制御が行われる。これにより、被合流車両V2から自車両V1の存在を十分に認識させることができる。そして、十分に認識させた後、車線変更制御が行われる。
この結果、自車両V1が被合流車両V2の前方へ車線変更により合流するとき、被合流車両V2に与える違和感を抑制することができる。ここで、「被合流車両V2に与える違和感」とは、被合流車両V2がドライバによるマニュアル車両(手動運転車両)の場合、ドライバに与える違和感である。また、被合流車両V2に乗員が居る自動運転車両の場合、乗員に与える違和感である。そして、被合流車両V2に乗員が居ない無人の自動運転車両の場合、挙動違和感(急変)である。なお、被合流車両V2にドライバ又は乗員が居る場合でも挙動違和感を抑制することができる。加えて、いずれの場合でも、被合流車両V2又は/及び自車両V1が急減速(急変)する可能性を低減することができる。
次に、図8と図10〜図12に基づいて、第1合流制御の処理作用を説明する。ここでは、終端条件が成立したときを一例として用いるが、先行車両条件や経路条件が成立したときも同様である。
第1合流制御では、図10の時刻t11のときが、図8のスタート、S11〜S15「YES」、S17〜S21「YES」、S23、S25「NO」への流れに相当する。
ここで、時刻t11が図12の場合、最大加速度aが加速度判断閾値amaxより大きいと判断される。図12の場合、スタート、S11〜S15「YES」、S17〜S21「NO」への流れに相当する。この場合には、S21「NO」からS11へ戻る流れに相当する。そして、被合流車両V2が再選定され、S21「YES」になるまで、S11〜S15「YES」、S17〜S21「NO」の流れが繰り返される。
時刻t11から時刻t12までの間、並走開始位置12に自車両V1が到達していないので、並走速度プロファイルにより並走速度制御が行われている。時刻t11から時刻t12までの間が、S17〜S21「YES」、S23、S25「NO」が繰り返される流れに相当する。なお、この繰り返しの間、S21「NO」の場合には、上記と同様に被合流車両V2が再選定される。
時刻t12のとき、並走開始位置12に自車両V1が到達して、並走継続制御が開始される。時刻t12のときが、S25「YES」、S27への流れに相当する。
時刻t12から時刻t14までの間(図10と図11)、並走継続制御が維持可能であり、車線変更開始位置11に自車両V1が到達していないので、並走継続制御が行われている。時刻t12から時刻t14までの間が、S27、S29「YES」、S31「NO」が繰り返される流れに相当する。
図11の時刻t14のとき、車線変更開始位置11に自車両V1が到達して、車線変更制御が開始される。時刻t14のときが、S31「YES」、S33への流れに相当する。
時刻t14からt16までの間、車線変更制御が行われている。時刻t14からt16までの間が、S33、S35「NO」が繰り返される流れに相当する。
時刻t16のとき、車線変更が完了して、合流制御が終了となる。時刻t16のときが、S35「YES」、エンドへの流れに相当する。
これにより、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下であると判断されたとき、並走速度プロファイルにより並走速度制御が行われる。即ち、並走速度制御が行われるとき、急加速が抑制される。従って、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下であると判断されたとき、並走速度制御が行われることにより、自車両V1の乗員(ドライバ含む)に与える違和感を抑制することができる。一方、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下ではないと判断されたとき、並走速度制御の開始前であれば、被合流候補車両Vnの中から被合流車両V2が再選定される。また、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下ではないと判断されたとき、S17〜S25の流れが繰り返されている並走速度制御中であれば、並走速度プロファイルによる並走速度制御が中止される。そして、被合流候補車両Vnの中から被合流車両V2が再選定される。即ち、再び被合流車両V2の選定が行われるので、再び並走速度プロファイル等が生成される。そして、再び最大加速度aと加速度判断閾値amaxの大小関係が判断される。
従って、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下ではないと判断されたとき、再選定することにより、別の被合流車両V2の前方へ車線変更により合流する機会を確保することができる。加えて、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下ではないと判断されたとき、並走速度制御が行われないことにより、自車両V1の挙動違和感(急変)を未然に防ぐことができる。
次に、図8と図10と図13に基づいて、第2合流制御の処理作用を説明する。なお、第2合流制御では図10の時刻t11から時刻t12までは同様なので説明を省略する。
第2合流制御では、図10の時刻t12から時刻t13までの間に被合流車両V2が加速し、時刻t13が図13の場合、自車位置が並走距離範囲C外となってしまう。このため、並走継続制御を維持することが不可能となり、並走継続制御が中止される。この場合、S29「NO」からS13へ戻る流れに相当する。そして、被合流車両V2を再選定せず車線変更開始位置11と並走開始位置12が再生成される。
再生成の後、自車線L1上に車線変更開始位置11及び並走開始位置12が設定できると判断されれば、S13、S15「YES」、S17以降の流れに相当する。そして、並走開始位置12から車線変更開始位置11に自車両V1が到達までの間、並走継続制御が維持可能であれば、車線変更制御が開始される。なお、その他のS17以降の流れは上記と同様であるため説明を省略する。
一方、再生成の後、自車線L1上に車線変更開始位置11及び並走開始位置12が設定できないと判断されれば、S13、S15「NO」、S11へ戻る流れに相当する。そして、被合流車両V2が再選定され、S11以降の流れに相当する。なお、S11以降の流れは上記と同様であるため説明を省略する。
これにより、並走継続制御を維持することが可能であると判断されたとき、並走継続制御が行われる。従って、維持可能との判断のときは、並走開始位置12から車線変更開始位置11に自車両V1が到達までの間、並走継続制御を行うことができる。一方、並走継続制御を維持することが不可能であると判断されたとき、被合流車両V2は再選定されずに車線変更開始位置11及び並走開始位置12が再設定される。従って、維持不可能との判断のときは、同一の被合流車両V2の前方へ車線変更により合流する機会を確保することができる。
更に、自車線L1上に、生成した車線変更開始位置11と並走開始位置12が設定できると判断されたとき、被合流車両V2を再選定せずに、生成した自車両V1の車線変更開始位置11と並走開始位置12が設定される。従って、位置設定可能のとき、車線変更開始位置11と並走開始位置12を再設定して、同一の被合流車両V2の前方へ車線変更により合流する機会を確保することができる。そして、被合流車両V2を再選定せずに合流制御を続けることができる。一方、自車線L1上に、生成した車線変更開始位置11と並走開始位置12が設定できないと判断されたとき、自車両V1の車線変更開始位置11と並走開始位置12は設定されず、被合流候補車両Vnの中から被合流車両V2が再選定される。従って、位置設定不可能のとき、再選定することにより、別の被合流車両V2の前方へ車線変更により合流する機会を確保することができる。
以上説明したように、実施例1の運転支援方法及び運転支援装置にあっては、下記に列挙する効果を奏する。
(1)自車両V1の自車線L1から隣接車線L2への車線変更による合流を支援する車線変更コントローラ7を備える自動運転方法(運転支援方法の一例)である。自動運転方法において、車線変更コントローラ7は以下のことを行う。隣接車線L2を走行する被合流候補車両Vnの中から、自車両V1が前方へ車線変更により合流する被合流車両V2を選定する。自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1が車線変更を開始する車線変更開始位置11を設定する。自車線L1上であって車線変更開始位置11よりも並走区間A2だけ自車両V1側に、被合流車両V2と並走を開始する並走開始位置12を設定する。並走開始位置12に自車両V1が到達するまでの間に、被合流車両V2よりも自車両V1が前方であって、かつ、被合流車両V2から自車両V1を認識できる並走距離範囲C内に、自車両V1の自車位置を制御する並走速度制御を行う。少なくとも並走区間A2にて、並走距離範囲C内に自車位置を継続制御する並走継続制御を行う。車線変更開始位置11に自車両V1が到達すると、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1を車線変更する車線変更制御を行う(図1と図8と図10〜図11)。このため、自車両V1が被合流車両V2の前方へ車線変更により合流するとき、被合流車両V2に与える違和感を抑制する自動運転方法を提供することができる。
(2)並走速度制御を行うために自車両V1の並走速度プロファイルを生成する。生成した並走速度プロファイルの最大加速度aが、加速度判断閾値amax以下か否かを判断する。最大加速度aが加速度判断閾値amax以下であると判断したとき、並走速度プロファイルにより自車両速度を制御する並走速度制御を行う(図8と図10)。このため、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下であると判断したとき、並走速度制御が行われることにより、自車両V1の乗員に与える違和感を抑制することができる。
(3)最大加速度aが加速度判断閾値amax以下ではないと判断したとき、並走速度プロファイルにより自車両速度を制御する並走速度制御を中止し、被合流候補車両Vnの中から被合流車両V2を再選定する(図8と図10と図12)。このため、最大加速度aが加速度判断閾値amax以下ではないと判断したとき、再選定することにより、別の被合流車両V2の前方へ車線変更により合流する機会を確保することができる。
(4)被合流車両V2の位置における自車位置までの距離であって、被合流車両V2の進行方向と垂直に交差する横方向の横方向距離Dを検出する。横方向距離Dが大きいほど、並走距離範囲Cの下限値15が被合流車両V2から遠く設定する(図7)。このように、横方向距離Dが大きいほど、並走距離範囲Cの下限値15が被合流車両V2から遠く設定されることにより、被合流車両V2に認識されやすくなる。このため、確実に被合流車両V2に自車両V1を認識させることができる。
(5)自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に終端の有無を判断する。自車線L1上に終端が有ると判断したとき、終端の終端位置13aよりも所定距離A1だけ自車両V1側に車線変更開始位置11を設定する(図3)。このように、終端位置13aよりも所定距離A1だけ自車両V1側に車線変更開始位置11が設定されることにより、終端の直前にて車線変更の開始を避けることができる。このため、自車線L1上に終端が有ると判断し車線変更を開始するとき、自車両V1の乗員(ドライバ含む)に与える違和感を抑制することができる。
(6)自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に先行車両V3が有り、自車両速度よりも先行車両速度の方が遅いか否かを判断する。自車両速度よりも先行車両速度の方が遅いと判断したとき、先行車両速度と自車両速度に応じて、先行車両V3よりも所定距離A1だけ自車両V1側に車線変更開始位置11を設定する(図4)。このように、先行車両V3(車両後端位置13b)よりも所定距離A1だけ自車両V1側に車線変更開始位置11が設定されることにより、自車線L1上の先行車両V3(車両後端位置13b)の直前にて車線変更の開始を避けることができる。このため、自車線L1上に先行車両V3が有り自車両速度よりも先行車両速度が遅いと判断し車線変更を開始するとき、自車両V1の乗員(ドライバ含む)に与える違和感を抑制することができる。
(7)並走継続制御を行っている間、並走継続制御を維持することが可能か否かを判断する。並走継続制御を維持することが可能であると判断したとき、並走継続制御を行う。並走継続制御を維持することが可能ではないと判断したとき、並走継続制御を中止し、被合流車両V2を再選定せず車線変更開始位置11と並走開始位置12を再設定する(図8と図10と図13)。このため、並走継続制御を維持可能と判断したとき、並走継続制御を行うことができる。一方、並走継続制御を維持不可能と判断したとき、同一の被合流車両V2の前方へ車線変更により合流する機会を確保することができる。
(8)被合流車両V2の選定は、被合流候補車両Vn(Va〜Vd)の中から自車両V1に最も近い位置を走行している車両Vcとする(図3〜図5と図8と図10)。このように、被合流候補車両Vn(Va〜Vd)の中から自車両V1に最も近い位置を走行している車両Vcを被合流車両V2として選定することにより、早期に並走状態になるので、並走速度プロファイルの最大加速度aを抑制することができる。このため、自車両V1に最も近い位置を走行している車両Vcを被合流車両V2として選定するとき、自車両V1の乗員(ドライバ含む)に与える違和感を抑制することができる。
(9)被合流車両V2を選定したとき、車線変更開始位置11と並走開始位置12を生成する。自車線L1上に、生成した車線変更開始位置11と並走開始位置12が設定できるか否かを判断する。自車線L1上に、生成した車線変更開始位置11と並走開始位置12が設定できると判断したとき、自車両V1の車線変更開始位置11と並走開始位置12を設定する。自車線L1上に、生成した車線変更開始位置11と並走開始位置12が設定できないと判断したとき、車線変更開始位置11と並走開始位置12を設定せず、被合流候補車両Vnの中から被合流車両V2を再選定する(図8)。このため、位置設定可能と判断したとき、車線変更開始位置11と並走開始位置12を設定することができる。一方、位置設定不可能と判断したとき、再選定することにより、別の被合流車両V2の前方へ車線変更により合流する機会を確保することができる。
(10)自車両V1の自車線L1から隣接車線L2への車線変更による合流を支援する車線変更コントローラ7を備える自動運転システム1である。車線変更コントローラ7は、被合流車両選定部7dと、位置設定可否判断部7h(車線変更開始位置設定部と並走開始位置設定部)と、並走速度制御部7nと、並走継続制御部7pと、車線変更制御部7qと、を有する(図1〜図2と図10〜図11)。被合流車両選定部7dは、隣接車線L2を走行する被合流候補車両Vnの中から、自車両V1が前方へ車線変更により合流する被合流車両V2を選定する。位置設定可否判断部7hは、自車両V1の進行方向前方における自車線L1上に、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1が車線変更を開始する車線変更開始位置11を設定する。位置設定可否判断部7hは、自車線L1上であって車線変更開始位置11よりも並走区間A2だけ自車両V1側に、被合流車両V2と並走を開始する並走開始位置12を設定する。並走速度制御部7nは、並走開始位置12に自車両V1が到達するまでの間に、被合流車両V2よりも自車両V1が前方であって、かつ、被合流車両V2から自車両V1を認識できる並走距離範囲C内に、自車両V1の自車位置を制御する並走速度制御を行う。並走継続制御部7pは、少なくとも並走区間A2にて、並走距離範囲C内に自車位置を継続制御する並走継続制御を行う。車線変更制御部7qは、車線変更開始位置11に自車両V1が到達すると、自車線L1から隣接車線L2へ自車両V1を車線変更する車線変更制御を行う。このため、自車両V1が被合流車両V2の前方へ車線変更により合流するとき、被合流車両V2に与える違和感を抑制する自動運転システム1を提供することができる。
以上、本開示の運転支援方法及び運転支援装置を、実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1では、被合流車両V2の選定は、自車両V1の前方を走行している車両であって、被合流候補車両Vnの中から自車両V1に最も近い位置を走行している車両とする例を示した。しかし、これに限られない。例えば、被合流車両の選定は、自車両の前方に限らず、自車両の後方を走行している車両であって、被合流候補車両の中から自車両に最も近い位置を走行している車両としても良い。この場合、自車両の並走速度プロファイルは現在の自車両速度の維持又は減速になり、減速の場合には、マイナスの加速度(減速度)になる。このため、加速度判断部は、並走速度プロファイルの最小加速度b(最大減速度)と加速度判断閾値aminを比較して、最小加速度bが加速度判断閾値amin以上か否かを判断する。「最小加速度b」とは並走速度プロファイルの中で最も小さい加速度である。「加速度判断閾値amin」とは、下限加速度の判断閾値である。加速度判断閾値aminは、自車両V1の車両諸元から実現可能な加速度(ここでは減速度)であって、かつ、乗員が不快に感じないレベルに予め実験やシミュレーションに基づいて設定された加速度である。加速度判断部は、最小加速度bが加速度判断閾値amin以上であると判断したとき、並走速度制御を行い、最小加速度bが加速度判断閾値amin以上ではないと判断したとき、再選定する。
更に、被合流車両の選定は、自車両の前方又は後方を走行している車両に関係なく、単に被合流候補車両の中から自車両に最も近い位置を走行している車両としても良い。この場合、自車両の並走速度プロファイルは、加速、現在の自車両速度の維持又は減速になる。このため、加速度判断部は、実施例1と同様に並走速度プロファイルの最大加速度aと上限の加速度判断閾値amaxを比較すると共に、最小加速度bと下限の加速度判断閾値aminを比較する。そして、加速度判断部は、それぞれの大小関係を判断する。そして、加速度判断部は、最大加速度aが上限の加速度判断閾値amax以下であり、かつ、最小加速度bが下限の加速度判断閾値amin以上であると判断したとき、並走速度制御を行う。また、加速度判断部は、最大加速度aが上限の加速度判断閾値amax以下ではないと判断したとき、又は、最小加速度bが下限の加速度判断閾値amin以上ではないと判断したとき、再選定する。
実施例1では、並走継続制御部7pが並走継続制御を維持不可能と判断したとき、並走継続制御を中止し、被合流車両V2を再選定せず車線変更開始位置11と並走開始位置12を再生成する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、並走継続制御を中止して、被合流車両を再選定しても良い。
実施例1では、本開示の運転支援方法及び運転支援装置を、自動運転システム1により操舵/駆動/制動が自動制御される自動運転車両に適用する例を示した。しかし、本開示の運転支援方法及び運転支援装置は、ドライバによる駆動/制動/舵角のうち、一部の走行を支援する運転支援車両であっても良い。要するに、自車両の自車線から隣接車線への車線変更による合流制御が行われることによりドライバの運転支援をする車両であれば適用することができる。
なお、本開示の運転支援方法及び運転支援装置が適用される車両が、実際に道路を走行する場合には各国や各地域の法規が順守される。