JP2021065488A - 水解性清掃物品 - Google Patents

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拓也 松永
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Abstract

【課題】ウイルスに対する不活化効果を有し、且つ実用上十分な湿潤強度及び水解性を有する水解性清掃物品を提供すること。【解決手段】水解性清掃物品1は、繊維及び水溶性バインダを含有する実質的に水分散可能な繊維シート2と、該繊維シート2に保持された液体洗浄性組成物とを含む。前記液体洗浄性組成物は、有機酸と、陰イオン性界面活性剤と、有機溶剤10質量%以上50質量%以下と、2価以上の金属イオン化合物とを含有し、且つpHが2.3以上4.5以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、ウイルス、特にノロウイルスに代表されるカリシウイルスに対する不活化効果を有する水解性清掃物品に関する。
薬液を繊維シートに含浸させたウエットタイプの清掃物品が知られている。例えば特許文献1には、薬液として、アルコールを主成分とし、非イオン性界面活性剤を含有するものを用いたアルコール除菌シートが記載されている。特許文献2には、除ウイルス性を有する除菌シートとして、pHが8.1以上12.0以下の薬液を用いたものが記載されている。特許文献3には、使用後に水に流して廃棄するタイプの水解性清掃物品として、木材パルプ等の繊維を水溶性バインダで結着させた水解性シートに、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸と、陽イオン性界面活性剤とを含有し、且つpHが2.5以上6.0以下である薬液が含浸されたものが記載されている。特許文献3に記載の水解性清掃物品によれば、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの病原菌になりうる菌を除菌することができるとされている。
ところで、食中毒の原因としては、従来、黄色ブドウ球菌やセレウス菌等の細菌が知られているが、近年は、ノロウイルスによる食中毒が多発している。ノロウイルスは、カリシウイルス科、ノロウイルス属に分類されているエンベロープ(膜状構造)を持たないRNAウイルスであり、酸性(胃酸)に対して強い抵抗力を有し、少量で感染することが知られている。ノロウイルスの感染経路としては、生カキ等の貝類を食することによる経口感染の他に、ノロウイルスの感染者が調理した汚染食品を摂取した場合や、感染者の嘔吐物や糞便等に存在しているノロウイルスが口から取り込まれた場合などの二次感染が報告されているところ、特に二次感染は、集団感染や感染拡大につながるため問題視されている。現状では、ノロウイルスに対するワクチンや治療薬は存在せず、原因となり得る食品や調理器具、手指の洗浄や消毒等により除ウイルスやウイルス不活性化をすることでノロウイルス感染を予防することが唯一の対処法である。しかしながら、ノロウイルスは物理化学的抵抗性が強いため、ノロウイルスに対しては、多くの細菌類に対して有効であるエタノールやカチオン界面活性剤を含む消毒剤では十分な効果を得られない場合がある。
ノロウイルス不活化効果を有する組成物として、特許文献4には、低級アルコール、アルカリ性物質及び陽イオン性界面活性剤を含有するpH8以上11未満の組成物が記載され、特許文献5には、低級アルコール及びポリヘキサメチレングアニジン系化合物を含有するpH6以上9以下の組成物が記載されている。
特開2010−126488号公報 特開2018−27916号公報 特開2017−110323号公報 特開2008−189645号公報 特開2017−105723号公報
ウエットタイプの水解性清掃物品には、水解性を有し、多量の水中に投入された場合に速やかに崩壊分散することが要望されるだけでなく、実用上十分な湿潤強度を有し、薬液が含浸された湿潤状態において通常の拭き取り作業などに使用しても破れにくいことも要望される。しかしながら、湿潤強度と水解性とは二律背反の関係にあり、両者を高いレベルで両立させることは容易ではなく、この点で従来技術には改善の余地がある。ノロウイルス不活化効果を有し、且つ湿潤強度と水解性とが高いレベルで両立した水解性清掃物品は未だ提供されていない。
本発明の課題は、ウイルスに対する不活化効果を有し、且つ実用上十分な湿潤強度及び水解性を有する水解性清掃物品を提供することに関する。
本発明は、繊維及び水溶性バインダを含有する実質的に水分散可能な繊維シートと、該繊維シートに保持された液体洗浄性組成物とを含む水解性清掃物品であって、前記液体洗浄性組成物は、有機酸と、陰イオン性界面活性剤と、有機溶剤10質量%以上50質量%以下と、2価以上の金属イオン化合物とを含有し、且つpHが2.3以上4.5以下である水解性清掃物品である。
本発明によれば、ウイルスに対する不活化効果を有し、且つ実用上十分な湿潤強度及び水解性を有する水解性清掃物品が提供される。
図1は、本発明の水解性清掃物品の一実施形態の模式的な斜視図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1には、本発明の水解性清掃物品の一実施形態である水解性清掃物品1が示されている。水解性清掃物品1は、繊維及び水溶性バインダを含有する実質的に水分散可能な繊維シート2と、該繊維シート2に保持された液体洗浄性組成物とを含む。水解性清掃物品1は、繊維シート2に液体洗浄性組成物が保持されていることで、常温常圧において湿潤状態にあるウエットタイプの水解性清掃物品である。したがって水解性清掃物品1は、別途に洗浄剤を併用することなく、そのままの状態で手軽に清掃操作に供することができる。液体洗浄性組成物は、典型的には、繊維シートに含浸されることで保持される。
本発明の水解性清掃物品において、繊維シートの数は特に制限されず、1枚でもよく、2枚以上の複数でもよい。本実施形態の水解性清掃物品1は、図1に示すように、繊維シート2を2枚備え、その複数(2枚)の繊維シート2が厚み方向に積層されてなる積層構造20を有している。積層構造20を構成する複数の繊維シート2どうしは、互いに種類が同一でもよく、異なっていてもよい。ここでいう繊維シート2の「種類」とは、材質、坪量、厚みなど、繊維シート2を特定するための材料や物性値の少なくとも1つを意味する。
水解性清掃物品1は、図1に示すように、シート状の形態をなし、第1の面1aとその反対側に位置する第2の面1bとを有している。両面1a,1bの何れも、水解性清掃物品1の使用時に被清掃物と接触する面、すなわち被清掃物に付着した汚れ等を拭き取る面であり、それぞれ、水解性清掃物品1を構成する繊維シート2の片面からなる。本実施形態の水解性清掃物品1は、複数(2枚)の繊維シート2の積層構造20を有するため、第1の面1aは、積層構造20の厚み方向の一端側に位置する繊維シート2の片面からなり、第2の面1bは、積層構造20の厚み方向の他端側に位置する別の繊維シート2の片面からなる。なお、本発明の水解性清掃物品には、繊維シート2を1枚だけ含む形態が包含されるところ、斯かる形態においては、その1枚の繊維シート2の一方の面が第1の面1a、他方の面が第2の面1bである。
本実施形態の水解性清掃物品1は、図1に示すように、使用時に被清掃物と接触する面1a,1bに凹凸が形成されている。より具体的には、水解性清掃物品1の第1の面1aには、繊維シート2(積層構造20)が第2の面1b側から第1の面1a側に突出してなる凸部3が、一方向(典型的には繊維シート2の長手方向)及び該一方向に直交する方向(典型的には繊維シート2の幅方向)の両方向に列をなすように一定の間隔で複数間欠配置されているとともに、隣り合う2個の該凸部3,3間に凹部4が形成されている。また、水解性清掃物品1の第2の面1bには、繊維シート2(積層構造20)が第1の面1a側から第2の面1b側に突出してなる凸部3が、一方向(典型的には繊維シート2の長手方向)及び該一方向に直交する方向(典型的には繊維シート2の幅方向)の両方向に列をなすように一定の間隔で複数間欠配置されているとともに、隣り合う2個の該凸部3,3間に凹部4が形成されている。つまり、本実施形態の水解性清掃物品1では、第1の面1a及び第2の面1bの双方において、凸部3と凹部4とが一方向又はこれに直交する方向の双方において交互に配置され、全体として千鳥格子状のパターンをなしている。本実施形態の水解性清掃物品1は、このように両面1a,1bが凹凸を有していることで、その全体が嵩高な三次元形状となっている。凸部3及び凹部4は、それぞれ、略半球の形状をしている。
水解性清掃物品1は、清掃に際してその両面1a,1bが同様な性能を有することが好ましく、斯かる観点から、第1の面1aと第2の面1bとで、凸部3(凹部4)のパターン、すなわち凸部3(凹部4)の平面視形状及び配置が同じであることが好ましい。同様の観点から、第1の面1aに存する凸部3は、第2の面1bに存する凹部4と表裏の関係にあり、また、第1の面1aに存する凹部4は、第2の面1bに存する凸部3と表裏の関係にあることが好ましい。更に、凸部3の形状は、凹部4の形状を反転したものであることが好ましい。図1に示す水解性清掃物品1は、以上の条件をすべて満たしている。
水解性清掃物品1の両面1a,1bそれぞれにおいて、凹凸のパターンは特に制限されず任意に設定できるが、例えば以下のように設定することができる。
凸部3のピッチ(隣り合う2個の凸部3,3それぞれの平面視における中心間の距離)は、好ましくは3.5mm以上、より好ましくは5.0mm以上、そして、好ましくは14.0mm以下、より好ましくは10.0mm以下である。凹部4のピッチ(隣り合う2個の凹部4,4それぞれの平面視における中心間の距離)も、凸部3のピッチと同じに設定することができる。
凸部3の頂点と凹部4の頂点との差(溝深さ)は、水解性清掃物品1を嵩高にする観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、更に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは4.5mm以下、更に好ましくは4mm以下である。
水解性清掃物品1の少なくとも一方の面(第1の面1a、第2の面1b)において、任意の10cm四方の平面視正方形形状の領域に存在する凸部3の数は、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上、そして、好ましくは850個以下、より好ましくは600個以下である。水解性清掃物品1の少なくとも一方の面における凸部3の数が斯かる範囲にあることで、水解性清掃物品1の使用時に被清掃物と接触する面1a,1bにおいて凸部3と凹部4とがバランスよく配されるため、水解性清掃物品1は汚れの除去性に一層優れたものとなる。
繊維シート2の坪量(繊維シート1枚当たりの坪量)は特に制限されないが、柔らかさと十分な湿潤強度とのバランスの点から、好ましくは20g/m以上、より好ましくは40g/m以上、そして、好ましくは120g/m以下、より好ましくは60g/m以下である。
本発明に係る繊維シートに含有される繊維は、親水性であることが好ましく、セルロース繊維が典型的な例として挙げられる。セルロース繊維としては、例えば、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒しサルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)等の漂白された木材パルプ、コットン、麻等の天然セルロース繊維;レーヨン、リヨセル、キュプラ等の再生セルロース繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、柔軟性及び強度を両立する観点から、NBKPを用いることが好ましい。本発明に係る繊維シートに含有される全ての繊維に占める、セルロース繊維の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%すなわち全繊維がセルロース繊維でもよい。
繊維シートは、セルロース繊維以外の他の繊維を含有してもよい。他の繊維としては、例えば、ポリ乳酸等からなる生分解性繊維;ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明に係る繊維シートに含有される全ての繊維に占める、セルロース繊維以外の他の繊維の割合は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
繊維シートにおける繊維の含有量は、該繊維シートの全質量に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
繊維シートとしては、例えば、紙、不織布等を用いることができる。紙としては、例えば、湿式抄紙した紙が挙げられる。不織布としては、例えば、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、ステッチボンド不織布等が挙げられる。
本発明に係る繊維シート(例えば図1に示す繊維シート2)は、実質的に水分散可能なものである。ここでいう、「実質的に水分散可能」とは、繊維シートを大量の水中に投入すると、形状が崩れて構成繊維が水中に分散し得ることを指し、すなわち水解性を有することを指す。水解性を有する繊維シートは、例えば、水洗トイレに流すなど、大量の水中に投入すると速やかに繊維レベルでばらばらに崩壊し、水洗トイレを詰まらせることなく流すことができる。しかし、汚れを拭き取るときには、液体洗浄性組成物を保持した状態でその作業に耐え得る十分な湿潤強度が必要である。このような観点から、本発明に係る繊維シートには、繊維に加えて更に水溶性バインダが含有されている。また、本実施形態の水解性清掃物品1は、前述したとおり図1に示す如くに、使用時に被清掃物と接触する面1a,1bに凹凸が形成されていて、全体として嵩高な凹凸形状をなしているところ、水溶性バインダは、斯かる嵩高な凹凸形状の維持にも寄与し得る。
水溶性バインダとしては、繊維シートが液体洗浄性組成物を保持して湿潤状態にあるときに、該バインダが一時的に不溶化することで、繊維シートの構成繊維どうしの結合を維持する結合剤として機能し、水解性清掃物品の使用時の強度維持の役割を果たすものが好ましく、このような機能を有する水溶性バインダとして、天然多糖類、多糖誘導体、合成高分子を例示できる。なお、前記の「水溶性バインダの一時的な不溶化」は、典型的には、繊維シートに保持される液体洗浄性組成物中のバインダ不溶化成分の作用によって起こり、本発明では該バインダ不溶化成分として、後述する有機溶剤及び2価以上の金属イオン化合物を使用する。
天然多糖類としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、トラントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、プルプランが挙げられる。
多糖誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンブン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロースが挙げられる。
合成高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体の塩、不飽和カルボン酸と該不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体の塩が挙げられる。また、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸が挙げられる。
前述した水溶性バインダの中でも、カルボキシル基を有する水溶性バインダが、バインダとしての性能が良好となる点、及び後述する2価以上の金属イオン化合物(架橋剤)との親和性が良好である点から好ましい。カルボキシル基を有する水溶性バインダとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース又はそれらの塩を例示できる。
繊維シートにおける水溶性バインダの含有量は、該バインダの含有量を必要最低限に抑えつつ、繊維シートの湿潤強度と水解性とのバランスをとる観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。なお、ここでいう、「繊維シートにおける水溶性バインダの含有量」は、1枚の繊維シートにおける水溶性バインダの含有量を意味し、本実施形態の水解性清掃物品1のように、水解性清掃物品中に繊維シートが複数含まれている、その複数の繊維シートそれぞれにおける水溶性バインダの含有量が前記範囲にあることが好ましい。
繊維シートの水解性は、JIS P4501に準じた下記方法により測定される水解時間を指標とすることができる。この水解時間が短いほど、当該繊維シートは水解性に優れ、水中で容易に崩壊分散しやすいと評価される。繊維シートの水解時間は、液体洗浄性組成物を保持した状態で、好ましくは100秒以下、より好ましくは60秒以下である。ここでいう、「液体洗浄性組成物を保持した状態」とは、液体洗浄性組成物中に繊維シートの全体を4時間以上浸漬させて得られる、繊維シートの湿潤状態を指す。繊維シートの水解性(水解時間)は、例えば、構成繊維の叩解度、繊維シートに含有される水溶性バインダの種類や含有量、繊維シートが保持する液体洗浄性組成物の組成等を適宜調整することで調整可能である。本明細書で好ましいとされる形態は、繊維シートの水解時間100秒以下を達成し得る。
<水解性の評価方法(水解時間の測定方法)>
JIS P4501に規定の「ほぐれやすさの試験方法」に準じて測定する。水300ml(水温20±5℃)及び回転子(直径35mm、厚さ12mmの円盤状)が入った容量300mlのビーカーをマグネチックスターラーに載せ、該回転子の回転数を600±10回転/分に設定する。このビーカーの中に、70mm×60mmの平面視四角形形状の試験片(繊維シート)を投入し、ストップウォッチを押す。回転子の回転数は、水中に存在する試験片の抵抗によって一旦は約500回転に減少するが、試験片の崩壊分散が進行するに従って増加する。回転子の回転数が540回転まで回復した時点でストップウォッチを止め、その時間を1秒単位で測定する。以上の測定を1種類の測定対象物(湿潤状態の繊維シート)につき5回行い、それらの測定値の平均を当該測定対象物の水解時間とする。
繊維シートの湿潤強度は、下記方法により測定される湿潤引張強度を指標とすることができる。この湿潤引張強度の数値が大きいほど、当該繊維シートは湿潤強度が強く通常の使用では破損し難いと評価される。繊維シートの湿潤引張強度は、液体洗浄性組成物を保持した状態で、好ましくは400cN/25mm以上、より好ましくは500cN/25mm以上である。繊維シートの湿潤引張強度は、例えば、構成繊維の叩解度、繊維シートに含有される水溶性バインダの種類や含有量、繊維シートが保持する液体洗浄性組成物の組成等を適宜調整することで調整可能である。本明細書で好ましいとされる形態は、繊維シートの湿潤引張強度400cN/25mm以上を達成し得る。
<湿潤強度の評価方法(湿潤引張強度の測定方法)>
JIS P8113に準じて、測定対象物(湿潤状態の繊維シート)の製造時の流れ方向(MD)の湿潤引張強度を測定する。測定対象物から、MDに70mm、MDと直交する方向(CD)に25mmの平面視長方形形状を切り出し、試験片とする。この試験片を、該試験片のMDが引張方向となるように引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−1kN)のチャックに無張力で取り付ける。チャック間距離は50mmとする。チャックに取り付けられた試験片を300mm/分の引張速度でMDに引っ張り、該試験片が破断するまでの最大強度(単位:cN/25mm)を測定する。以上の測定を1種類の測定対象物(湿潤状態の繊維シート)につき10回行い、それらの測定値の平均を当該測定対象物の湿潤引張強度とする。
本発明に係る繊維シートは種々の方法で製造することができる。例えば、セルロース繊維などの繊維を含む分散液中に、水溶性バインダと、必要に応じ該バインダのパルプ繊維への定着剤とを添加して抄紙原料を得、該抄紙原料を用いて公知の湿式抄紙法を実施することにより、繊維シートを製造することができる。この製造方法は、水溶性バインダを内添する方法である。また例えば、繊維を含む分散液から公知の湿式抄紙法により湿潤状態のシートを製造し、該シートにプレス脱水処理及び/又は熱風吹き付け等の加熱処理を施して乾燥ないし半乾燥状態とした後、該シートの片面に水溶性バインダを噴霧又は塗布する等して付与し、更に乾燥することで、繊維シートを製造することができる。この製造方法は、水溶性バインダを外添する方法である。
また例えば、前述の湿式抄紙法(内添法、外添法)以外の方法で繊維シートを製造することもできる。具体的には例えば、繊維(特定セルロース繊維)を水無しで乾式によって解繊してウェブを形成した後、該ウェブに水溶性バインダを噴霧する等して付与し乾燥することで、繊維シートを製造することができる。この製造方法はエアレイド製法である。
本実施形態の水解性清掃物品1のように、使用時に被清掃物と接触する面1a,1bに凹凸を形成する場合には、前述の方法で製造した繊維シートの一方の面又は両面に凹凸を付与する。この繊維シートへの凹凸付与は、公知の方法を利用して実施することができ、例えば、繊維シートに熱を伴うか又は伴わないエンボス加工を施すことで実施することができる。エンボス加工は、例えば、周面に互いに噛み合う凹凸(歯溝)を有する一対の凹凸ロール間に、繊維シートを供給することで実施することができる。図1に示す水解性清掃物品1は、例えば、前述の方法で製造された2枚の繊維シート2を重ね合わせて積層構造20を得、該積層構造20を、周面が所定温度に加熱された一対の凹凸ロール間に供給することで製造することができる。
本発明の水解性清掃物品の好ましい一実施形態として、下記<1>ないし<3>の全てを満たすものが挙げられる。
<1>水溶性バインダが、カルボキシル基を有する水溶性バインダである。
<2>繊維シートにおける水溶性バインダの含有量が、好ましくは2質量%以上20質量%以下、より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
<3>複数(図1に示す形態では2枚)の繊維シートの積層構造を有し、該積層構造において厚み方向に隣り合う2枚の繊維シートのうちの少なくとも一方における他方との対向面に、カルボキシル基を有する水溶性バインダが付与されている。
前記<1>ないし<3>の全てを満たす水解性清掃物品1は、湿潤強度と水解性とが高いレベルで両立し、且つ第1の面1a及び第2の面1bにおいて繊維が毛羽立ち易く、被清掃物の汚れの拭き取り性能に優れる。前記<3>の「積層構造において厚み方向に隣り合う2枚の繊維シートのうちの少なくとも一方における他方との対向面に、カルボキシル基を有する水溶性バインダが付与」することは、前述した水溶性バインダを内添する方法によって実現可能である。
本発明に係る液体洗浄性組成物は、有機酸と、陰イオン性界面活性剤と、有機溶剤と、2価以上の金属イオン化合物とを必須成分として含有し、且つpHが2.3以上4.5以下である。本発明者らの知見によれば、斯かる組成の液体洗浄性組成物は、カリシウイルスに対する不活化効果を有し、また、そのカリシウイルス不活化効果の発現に特に重要な要素として、有機酸及び陰イオン性界面活性剤を含有する点と、液体洗浄性組成物のpHが酸性域(具体的には2.3以上4.5以下)である点とが挙げられる。有機溶剤及び2価以上の金属イオン化合物は主として、繊維シートの水解性及び湿潤強度に関わるものであるが、中でも前者は、カリシウイルス不活化効果の発現にも少なからず関わっており、特に液体洗浄性組成物における有機溶剤の含有量は、カリシウイルス不活化効果の発現の観点からも適切に制御する必要がある。
有機酸としては、水溶性の有機酸が好ましく、例えば、脂肪族、芳香族又は複素環のカルボン酸若しくはスルホン酸、又はそれらの塩が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。脂肪族及び芳香族にはヘテロ原子を含んでいてもよい。ここでいう、「水溶性の有機酸」とは、例えば、水温20℃の水に対する溶解度が、好ましくは0.01g/100ml以上、より好ましくは0.5g/100ml以上のものが挙げられる。また、有機酸は低分子のもの、例えば分子量500以下のものが好ましい。
本発明で使用可能な有機酸の具体例として、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、クルトロン酸、グリセリン酸、2−若しくは3−ヒドロキシ酪酸、酒石酸、メバロン酸、キナ酸、シキミ酸(以上、脂肪族ヒドロキシカルボン酸)、コハク酸、及びこれらの塩(Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩)を例示できる。これらの中でも、カリシウイルス不活化効果の向上の観点から、リンゴ酸、乳酸、コハク酸が好ましい。
有機酸の含有量は、液体洗浄性組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは4質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。有機酸の含有量が斯かる範囲にあることで、液体洗浄性組成物のpHが特定の酸性域に調整され、カリシウイルス不活化効果がより一層確実に奏されるようになる。
陰イオン性界面活性剤としては、カリシウイルス不活化効果の向上の観点から、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)(SDS)、アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、ラウレス硫酸ナトリウム(ES)が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
陰イオン性界面活性剤の含有量は、液体洗浄性組成物の全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。陰イオン性界面活性剤の含有量が斯かる範囲にあることで、カリシウイルス不活化効果がより一層確実に奏されるようになる。
有機溶剤及び2価以上の金属イオン化合物は、前述した「水溶性バインダの一時的な不溶化」に寄与し得る。両成分ともに、繊維シートが含有する水溶性バインダを不溶化させるバインダ不溶化成分として機能し、特に2価以上の金属イオン化合物は、主として該水溶性バインダの架橋剤として機能し、有機溶剤は、主として2価以上の金属イオン化合物と水溶性バインダとの架橋コンプレックスの生成を促進する機能を果たす。
このように、液体洗浄性組成物中に水溶性バインダを一時的に不溶化させる成分を含有させる理由は、以下のとおりである。すなわち、繊維シートは水解性を有するため、これに液体洗浄性組成物の如き水性液を含浸させると容易に崩壊してしまうおそれがあるので、繊維シートの保形性を向上し、少量の水の存在下では繊維シートが崩壊しないようにするために、繊維シートに保持される液体洗浄性組成物中に、バインダ不溶化成分として2価以上の金属イオン化合物を含有させるとともに、有機溶剤を含有させ、繊維シートに含有されている水溶性バインダの不溶化を促進するのである。これにより、液体洗浄性組成物を保持し湿潤状態にある繊維シートにおいては、2価以上の金属イオン化合物と繊維シート中の水溶性バインダとの架橋コンプレックスが不溶化した状態で存在し、その結果、繊維シートが保持する液体洗浄性組成物中の水性液の量が多くても、使用に耐え得る十分な強度が発現し得る。また繊維シートは、少量の水では水溶性バインダが溶解しなくなるため、繊維シートの保形性が向上し、繊維シートに少量の水がかかっても崩壊し難くなる。しかし、繊維シートを多量の水中に投入した場合には、不溶化が一時的に抑制されていた水溶性バインダが再び水に溶解するようになるため、繊維シートは速やかに且つ繊維レベルでばらばらに崩壊し得る。
有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;前記グリコール類とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールとのモノ又はジエーテル;前記グリコール類と低級脂肪酸とのエステル;グリセリンやソルビトール等の多価アルコール等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性有機溶剤の中でも、繊維シートの水解性と湿潤強度とのバランスの観点から、グリコール(PG)、メチルプロピレングリコール(MPG)が好ましい。
液体洗浄性組成物における有機溶剤の含有量は、液体洗浄性組成物の全質量に対して、10質量%以上、好ましくは18質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。有機溶剤の含有量が10質量%未満では、繊維シートの実使用に耐えうる湿潤強度の維持が困難となるおそれがあり(比較例1参照)、逆に有機溶剤の含有量が50質量%を超えると、湿潤強度の低下に加えて更に、カリシウイルス不活化効果が低下するおそれがある(比較例2参照)。有機溶剤の過多によるカリシウイルス不活化効果の低下の理由は定かではないが、有機溶剤自体がカリシウイルス不活化効果を阻害する効果を有する場合があり、有機溶剤の過多によってその阻害効果の影響が大きくなるためと推察される。
2価以上の金属イオン化合物(架橋剤)としては、使用する水溶性バインダの種類等に応じて適切なものを選択すればよく、特に制限されないが、例えば前述したCMCなどの、カルボキシル基を有する水溶性バインダを繊維シートに含有させる場合には、その架橋剤として、アルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種又は2種以上の2価の金属イオン化合物を用いることが、繊維シートにおいて繊維間が十分に結合されて使用に耐え得る強度が発現する点、及び繊維シートの水解性が十分になる点から好ましい。これらの2価の金属イオン化合物のうち、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、コバルト、ニッケルのイオン化合物を用いることが特に好ましい。2価以上の金属イオンの化合物は、水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ギ酸塩、酢酸塩などの水溶性金属塩の形で液体洗浄性組成物に添加される。
液体洗浄性組成物における2価以上の金属イオン化合物の含有量は、使用する金属イオン化合物の種類等に応じて適宜調整すればよい。例えば、2価以上の金属イオン化合物として前述の「2価の金属イオン化合物」を使用する場合、繊維シートが含有する水溶性バインダにおけるカルボキシル基1モルに対して、2価の金属イオンが好ましくは1/4モル以上、より好ましくは1/2モル以上となるように、液体洗浄性組成物における2価の金属イオン化合物の含有量を調整することが、十分な架橋反応を起こさせる点から好ましい。
液体洗浄性組成物における2価以上の金属イオン化合物の含有量は、水解性清掃物品(例えば繊維シート)の湿潤強度と液体洗浄性組成物のウイルスに対する不活化効果とを両立させる観点から、液体洗浄性組成物の全質量に対して、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは0.5〜4.0質量%、更に好ましくは1.0〜3.0質量%である。2価以上の金属イオン化合物の含有量が少なすぎると、繊維シートの湿潤強度が低下し、2価以上の金属イオン化合物の含有量が多すぎると、ウイルスに対する不活化効果が低下するおそれがある。
本発明に係る液体洗浄性組成物は、前述の成分(有機酸、陰イオン性界面活性剤、有機溶剤、2価以上の金属イオン化合物)に加えて更に、液体洗浄性組成物自体の除菌性及び清掃ないし清拭性能の向上等を目的として、陰イオン性界面活性剤以外の他の界面活性剤、殺菌剤、キレート剤、漂白剤、消臭剤、香料等の他の成分を含有してもよい。
本発明に係る液体洗浄性組成物のpHは、2.3以上、好ましくは2.8以上、より好ましくは3以上、そして、4.5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3.8以下である。液体洗浄性組成物のpHが2.3未満では、繊維シートの実使用に耐えうる湿潤強度の維持が困難となるおそれがあり(比較例3参照)、逆に液体洗浄性組成物のpHが4.5を超えると、カリシウイルス不活化効果が低下するおそれがある(比較例4参照)。液体洗浄性組成物のpHの調整は、有機酸の含有量を調整することで可能であり、有機酸の含有量を前記の好ましい範囲に調整することで、液体洗浄性組成物のpHを前記の特定範囲に調整することが可能である。
繊維シートにおける液体洗浄性組成物の保持量(含浸量)は、カリシウイルス不活化効果の向上の観点、及び繊維シートの水解性と湿潤強度とのバランスの観点から、繊維シートの乾燥質量に対して、好ましくは100質量%以上、より好ましくは150質量%以上、そして、好ましくは500質量%以下、より好ましくは300質量%以下である。液体洗浄性組成物の保持量が斯かる範囲にあることで、前述の効果に加えて更に、液滑り効果による清掃性の向上効果が期待できる。
本発明に係る液体洗浄性組成物は、前述の如く構成されていることにより、カリシウイルス不活化効果を有する。本発明の水解性清掃物品によって奏されるカリシウイルス不活化効果は、この液体洗浄性組成物の作用によるものである。本発明において、「カリシウイルス不活化効果」とは、カリシウイルスの感染又は増殖能力を除去又は著しく低下させることを意味する。したがって、本発明に係る液体洗浄性組成物は、必ずしもウイルス粒子や核酸(RNA)の変性させ又は崩壊させる必要はなく、ウイルスや宿主細胞の表面への吸着やウイルスと酵素との結合等により、結果的にウイルスの感染又は増殖能力を低減又は阻害させることができるものであればよい。本発明は、カリシウイルス科に属するウイルスに対して不活化効果を発揮し、特にノロウイルス属に属するウイルス、具体的には例えば、ヒトノロウイルス、ネコカリシウイルス、マウスノロウイルスに対して優れた不活化効果を発揮し得る。
カリシウイルス不活化効果は、後述の方法により評価することができる。後述の方法では、評価対象の薬剤(具体的には、液体洗浄性組成物を保持する繊維シートの絞り液)をネコカリシウイルス(FCV:Feline calicivirus)に所定時間(30秒又は10分)接触させた後、そのFCVと薬剤との混合物を中和することで薬剤の作用を停止させ、しかる後、ネコ腎臓由来細胞CRFKにFCVを感染させ、そのFCVの感染力を評価する。感染力の評価は、FCVに感染した細胞が、所定期間内(2日間)に死ぬか死なないかで判断される。FCVに感染した細胞が所定期間内に死んだ場合(死んだ細胞の数が所定の閾値を超える場合)、該細胞と接触させた薬剤はカリシウイルス不活化効果を有しないと評価され、FCVに感染した細胞が所定期間内に死ななかった場合(死んだ細胞の数が所定の閾値以下の場合)、該細胞と接触させた薬剤はカリシウイルス不活化効果を有すると評価される。なお、ノロウイルスは実験室で培養できないので、一般的に実験室での試験は代替ウイルスとして、形態的特徴やゲノムの構造からノロウイルスと同一のカリシウイルス科に属するネコカリシウイルス(FCV)を用いて試験が行われている。
本発明の水解性清掃物品は、物品の清掃に使用することもできるし、人体の清拭に使用することもできる。前者の具体例として、トイレ、洗面所、台所などの水回り用清掃物品が挙げられる。後者の具体例として、おしり拭き、介護用からだ拭き、メーク落し用シートが挙げられる。本発明の水解性清掃物品を使用した後は、そのまま水に流して廃棄すればよく、そうすることで速やかに崩壊するので排水管を詰まらせることはない。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図1に示す水解性清掃物品1は、使用時に被清掃物と接触する面1a,1bの両方に凹凸が形成されていたが、片面のみに凹凸が形成されていてもよく、両面の何れもが実質的に凹凸の無い平坦面であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜11及び比較例1〜5〕
下記方法により製造した繊維シートから、245mm×300mmの平面視四角形形状(質量約5.7g)を切り取ってシート片を得、該シート片に対し、表1に示す組成の液体洗浄性組成物の所定量をスポイトで滴下した後、該シート片を室温(雰囲気温度25℃)で4時間以上静置することで、ウエットタイプのシート状清掃物品を製造した。
(繊維シートの製造方法)
繊維シートの構成繊維として、セルロース繊維である針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)のみを用いた。NBKPの水分散液を常法に従って湿式抄紙して湿紙を得た。この湿紙をスルーエアードライヤーで含水率が4質量%になるまで乾燥させて紙を得、該紙の片面に、カルボキシル基を有する水溶性バインダ(CMCのナトリウム塩、エーテル化度0.9、日本製紙株式会社製)の水溶液(水溶性バインダの濃度5質量%、液温60℃での粘度1000mPa・s)をスプレーノズルにて噴霧した。斯かる水溶液の噴霧量は、繊維シートにおけるCMCのナトリウム塩の含有量が、該繊維シートの乾燥質量に対して5質量%となるように調整した。こうして水溶性バインダが添加された紙を、ヤンキードライヤーで乾燥させた後、該紙にドクターブレードによってクレープ加工を施し、坪量40g/mの繊維シートを得た。こうして製造された同寸法の2枚の繊維シートを、水溶性バインダの水溶液の噴霧面を内側にして重ね合わせ、その状態で、水塗布しながらエンボス加工を施して、図1に示す如き、使用時に被清掃物と接触する両面に凹凸を有する2層構造の繊維シートを得た。なお、エンボス加工では、周面に互いに噛み合う凹凸を有する一対の加熱したエンボスロールを用い、両ロールの凹凸の噛み合い深さは1mm程度であった。
〔試験例〕
各実施例及び比較例の清掃物品について、前記方法により、湿潤強度(湿潤引張強度)及び水解性(水解時間)をそれぞれ評価するとともに、下記方法によりカリシウイルス不活化効果を評価した。結果を下記表1に示す。
(湿潤強度及び水解性の評価基準)
湿潤強度については、湿潤引張強度が400cN/25mm以上の場合を○(最高評価)、400cN/25mm未満の場合を×とした。
水解性については、水解時間が100秒以内の場合を○(最高評価)、100秒を超える場合を×とした。
<カリシウイルス不活化効果の評価方法>
プラーク測定法はJIS L1922に準じ、ウイルス液と薬剤との接触は平成27年度ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書に準じ、下記の手順1〜5に従って、評価対象の薬剤のカリシウイルス不活化効果を評価した。
(手順1)評価対象の清掃物品(ウエットタイプのシート状清掃物品)を絞り、その絞り液を評価対象の薬剤とした。供試ウイルスとして、ネコカリシウイルス(FCV)(Feline calicivirus; Strain: F-9 ATCC VR-782)を用いた。
(手順2)FCVと評価対象の薬剤とを、質量比がFCV:薬剤=1:9となるようにバイアル瓶に入れ、雰囲気温度が室温(25℃)の環境下で、30秒間又は10分間放置した。この放置時間は、薬剤の作用時間に相当する。
(手順3)所定の放置時間が経過した時点で、薬剤の作用停止のため、FCVと薬剤との混合物に中和バッファー(D/E Neutralizing Broth)を添加した。中和バッファーは細胞毒性があるため、これが添加された前記混合物を希釈して毒性を除去した。具体的には、中和バッファーが添加された前記混合物をDMEM培地(富士フイルム和光純薬(株);カタログ番号048-30275)で10倍に希釈した。
(手順4)ネコ腎臓由来細胞CRFK(ATCC CCL-94)にFCVを感染させた。具体的には、前記10倍希釈液10mlをPBSで洗浄したCRFKに前記10倍希釈液0.5mlを加え、15分ごとにプレートをゆすりながら1時間吸着させた。その後、プラーク測定用の培地に置換し、37℃、5%COインキュベーターで2日間培養した。
(手順5)培養後、細胞(CRFK)をメチレンブルーで染色し、顕微鏡で観察して、各反応時間(30秒又は10分)におけるウイルス感染価を算出した。その算出値と初期値(反応時間0分時のウイルス感染価1.0×10PFU/mL)との差に基づき、下記評価基準に従って、カリシウイルス不活化効果のレベルを評価した。なお、前記初期値のウイルス感染価は1.0×10以下(常用対数値では「Δ0log」)であった。また、下記評価基準におけるウイルス感染価の「検出限界」は、「<1.0×10」(常用対数値では「>Δ4log」)である。
(カリシウイルス不活化効果の評価基準)
◎(最高評価):薬剤の作用時間30秒でウイルス感染価が検出限界以下となる。
〇:薬剤の作用時間30秒ではウイルス感染価は検出限界以下とならないが、薬剤の作用時間10分では検出限界以下となる。
×:薬剤の作用時間10分でもウイルス感染価が検出限界以下とならない。
Figure 2021065488
表1に示すとおり、各実施例は、1)液体洗浄性組成物における有機溶剤の含有量が10質量%以上50質量%以下の範囲にあり、且つ2)液体洗浄性組成物のpHが2.3以上4.5以下の範囲にあるため、両要件1)及び2)を満たさない比較例1〜3に比べて、カリシウイルス不活化効果並びに繊維シートの湿潤強度及び水解性に優れていた。比較例4及び5は、前記要件1)及び2)を満たすものの、機能剤として非イオン性界面活性剤又は陽イオン性界面活性剤を用いたため、機能剤として陰イオン性界面活性剤を用いた各実施例に比べて、カリシウイルス不活化効果に劣る結果となった。
1 水解性清掃物品
1a 第1の面
1b 第2の面
2 繊維シート
20 積層構造
3 凸部
4 凹部

Claims (5)

  1. 繊維及び水溶性バインダを含有する実質的に水分散可能な繊維シートと、該繊維シートに保持された液体洗浄性組成物とを含む水解性清掃物品であって、
    前記液体洗浄性組成物は、有機酸と、陰イオン性界面活性剤と、有機溶剤10質量%以上50質量%以下と、2価以上の金属イオン化合物とを含有し、且つpHが2.3以上4.5以下である水解性清掃物品。
  2. 前記有機酸が、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の水解性清掃物品。
  3. 前記2価以上の金属イオン化合物が、アルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の水解性清掃物品。
  4. 前記繊維シートにおける前記液体洗浄性組成物の保持量が、該繊維シートの乾燥質量に対して100質量%以上500質量%以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の水解性清掃物品。
  5. 前記水溶性バインダが、カルボキシル基を有する水溶性バインダであり、
    前記繊維シートにおける前記水溶性バインダの含有量が、2質量%以上20質量%以下であり、
    複数の前記繊維シートの積層構造を有し、該積層構造において厚み方向に隣り合う2枚の該繊維シートのうちの少なくとも一方における他方との対向面に、前記水溶性バインダが付与されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の水解性清掃物品。
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