JP2021063284A - Ni/Co回収の前処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ニッケルやコバルトなどのNi/Coを回収するのに先立って、回収物として価値が高いLiや、回収物の価値を下げるCuなどを回収して取り除く方法を提供する。【解決手段】本発明のNi/Co回収の前処理方法は、使用済み二次電池や、二次電池あるいは正極材製造時の不良品からNi/Coを回収する回収処理を行う前に行われる前処理方法として、温度をT[K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、所望の関係が成立する処理条件で揮発を行って、Liを回収することを特徴としている。【選択図】図1

Description

本発明は、廃二次電池や、二次電池あるいは正極材製造時の不良品からNi,Coを回収する際に、(1)回収物の価値を低下させるCu、ないし(2)Ni,Co同様に付加価値の高いLi等の揮発し易い金属元素を、予め取り除く前処理方法に関するものである。
近年、CO2排出規制が厳格化し、自動車の電動化が進む中で、二次電池はますます重要性を増していくと考えられている。例えば、現在使用されている二次電池はリチウムイオン電池(LIB)やニッケル水素電池(Ni-MH)が主流であり、これらの二次電池については今後も需要増が予想される。
ここで、LIBやNi-MHなどの二次電池にはNiやCoなどの金属が使用されている。例えば、LIB(lithium-ion rechargeable battery)の製造に不可欠とされるNiやCoについては、資源が世界的に遍在化しているなどの問題があり、資源枯渇のリスクが指摘されている。
これらの観点から、NiやCoなどの金属のリサイクル技術が注目されている。ただ、現行は水溶液電解や溶媒抽出等の湿式法が中心であり、コスト的な問題から大量処理技術確立に至っていない。そこで、NiやCoを使用するLIBなどの廃二次電池、又は二次電池あるいは正極材製造時の不良品から、安価に、且つ、効率良く金属元素を回収する技術が要望されている。製鉄プロセスで利用される乾式精錬技術(水溶液を用いず、高温加熱による精錬方法)は、比較的安価な処理が可能で、社会的な再資源化の課題に応えるためにも、また自動車や電気機器などさまざまな産業分野で利用が可能であるという面でも技術の確立が急務であると考えられている。
ところで、回収されたLIBなどの廃二次電池は安全のために放電および焼却処理を施した後、破砕および選別処理を実施することで、筐体/配線をメインとする鉄、銅塊とその他の粉末(以後LIB焼却残渣)に分離される。つまり、LIB焼却残渣には正極材に起因するNi,Co酸化物が多量に含まれるため、焼却残渣にガス還元、炭材内装還元等の乾式処理を施すことで、Ni,Co分を金属元素の形でリサイクルすることが可能となる。
上述したNi,Coなどを回収する技術としては、次の特許文献1〜特許文献4が知られている。
例えば、特許文献1には、廃ニッケル−水素二次電池等の廃材から、ニッケル、コバルト及び希土類金属等の有価金属を簡便、安価かつ高純度で回収できる方法であって、有価金属含有廃材から有価物を回収する工程と、回収した有価物を不活性ガス、水素ガス、水蒸気雰囲気などの非酸化性雰囲気で加熱して炭素を除去する脱炭素工程とを含んで成る有価金属の回収方法が開示されている。
また、特許文献2には、リチウムイオン電池からリチウム並びにコバルトとその他メタルを回収する方法であって、炉内の温度220℃以上から3600℃以下の範囲で昇温し、炉内の雰囲気ガス(H2+CO)を12.8%以上かつ残存酸素を2.4%から0として、それぞれの金属を分離回収する方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、フレーク状電解Mn原料をマグネシア坩堝に入れ、真空誘導溶解炉(VIM炉)を用いて500Torr以下の不活性雰囲気下、溶解温度1240℃〜1400℃で溶解し、カルシウムをMn重量の0.5%〜2.0%の範囲で添加して脱酸及び脱硫を行い、脱酸及び脱硫の終了後、鉄製鋳型に鋳込でインゴットを製造し、次にこのMnインゴットを再度マグネシア坩堝に入れ、真空誘導溶解炉(VIM炉)を用いて200Torr以下の不活性雰囲気下、溶解温度を1200℃〜1450℃に調整すると共に10分間〜60分間維持し、その後鉄製鋳型に鋳込みインゴットを製造し、次にこの金属Mnインゴットをアルミナ坩堝に入れ、真空ポンプで0.1Torrに真空に引いた後加熱を行い、昇華及び蒸留反応を行って高純度Mnを製造する技術が開示されている。
さらにまた、特許文献4には、酸化物、ハロゲン化物、有機物、合金、炭酸化合物等を含む廃棄物、粉塵、再生品その他の処理品を処理し、有害物を除去して無害化しつつ含有有価物を高純度に回収するための方法であって、含有する有価金属及び/又は有価酸化物
に対応する減圧下において前記処理品を、前記含有する有価金属及び/又は有価酸化物に対応する温度で加熱して、昇華、蒸発、分解又は還元することによって蒸発物と残渣とに分離し、有害物を除去しつつ、前記含有する有価金属及び/又は有価酸化物を分離回収する技術が開示されている。
特開2002−327215号公報 特開2012−112027号公報 国際公開2015−60018号公報 特開2011−62644号公報
ところで、LIB焼却残渣には、Ni,Co酸化物以外にも同様に有価な成分であるLi酸化物や負極材に起因するC、電解質に起因するFなど、焼却後の粉砕、磁選等の選別で除去仕切れ無かったCuなども含むのが一般的である。
この中でもCuは、還元時に金属Ni,Co中に不純物として取り込まれ易く、一旦金属Ni,Co中に取り込まれるとその後に冶金的に除去することが極めて困難である。このように金属Ni,CoがCu分を含むと回収物として価値が低下するため、還元処理によりNi,Coなどを回収する前にCuは可能な限り除去することが望ましい。
また、CuはNi,Coと比較して蒸気圧が高いため、上記焼却残渣を減圧下で加熱することで除去可能であるが、Liも同様に蒸気圧が高い元素のため、同時に除去される。しかし、Liは単独で回収できればNi,Co同様に有用な元素であるため、減圧加熱により焼却残渣からLi,Cuを別々に揮発除去・回収することが望ましい。
このようなLi,Cuの回収に対しては、上述した特許文献1や特許文献2の方法は、廃電池から金属元素を回収するための技術であるが、分離の際の圧力について何ら記載がない。そのため、これらの方法で廃電池を処理したとしても、揮発によりLiやCuを取り除くことはできない。
また、特許文献3は、市販の電解Mnを減圧下で加熱することで、Mnを揮発・蒸留して高純度Mnのインゴットを製造する技術であるが、加熱時間が8時間以上と極めて長くなっており、処理効率を考えると使用済み二次電池からの有価金属のリサイクル技術として現実的に採用可能なものではない。
さらに、特許文献4は、有価金属(鉄、銅など多岐に渡る)を減圧下で加熱することより、含有する有害不純物(PCB、塩素)などを揮発除去して無害化する技術であるが、揮発除去する対象は金属ではなく、また処理時間などの条件も長くなっており、処理効率を考えると使用済み二次電池からの有価金属のリサイクル技術として現実的とはいえない。
つまり、焼却残渣からLi,Cuを別々に揮発除去・回収する技術の開示は、特許文献1〜4のいずれにも開示されていない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、NiやCoなどを回収するのに先立って、LiやCuなどの金属元素を回収して取り除くことができるNi/Co回収の前処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のNi/Co回収の前処理方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のNi/Co回収の前処理方法は、使用済み二次電池や、二次電池あるいは正極材製造時の不良品からNi/Coを回収する回収処理を行う前に行われる前処理方法として、温度をT[K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、式(1)の関係が成立する処理条件で揮発を行って、Liを回収することを特徴とする。
t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01 >2700・・・(1)
(ここで、t:時間[h]、T:温度[K]、P:圧力[Pa]であり、
かつ、t<6[h]、T>1000[K]とする。)
好ましくは、温度をT [K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、式(2)の関係が成立する処理条件で揮発を行って、Cuを回収するとよい。
t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01 >3000・・・(2)
(ここで、t:時間[h]、T:温度[K]、P:圧力[Pa]であり、
かつ、t<6[h]、T>1000[K]とする。)
本発明のNi/Co回収の前処理方法によれば、NiやCoなどを回収するのに先立って、LiやCuなどの金属元素を回収して取り除くことができる。
パラメータと揮発率との関係を、Liの場合とCuの場合とのそれぞれについてまとめた図である。
以下、本発明に係るNi/Co回収の前処理方法の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
本実施形態のNi/Co回収の前処理方法は、使用済み二次電池や、二次電池あるいは正極材製造時の不良品に、加熱、破砕、篩別、磁選等の処理を加えた後(リサイクル原料)、乾式、湿式精錬等(精錬工程)により、Ni/Coを回収するプロセスにおいて、精錬工程の前処理として実施されるものである。本実施形態により、Ni,Coよりも蒸気圧の高い、Li,Cu等の元素をリサイクル原料から予め除去することにより、精錬工程のコストが低減される他、回収されるNi,Coの付加価値向上に繋がる。
例えば、Liを前処理で回収する場合には、温度をT[K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、式(1)の関係が成立する処理条件で揮発を行って、LiをNi/Coより先に回収しておく。
t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01>2700・・・(1)
(ここで、t:時間[h]、T:温度[K]、P:圧力[Pa]であり、
かつ、t<6[h]、T>1000[K]とする。)
また、Cuを前処理で回収する場合には、温度をT[K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、式(2)の関係が成立する処理条件で揮発を行って、CuをNi/Coより先に回収しておく。
t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01 >3000・・・(2)
(ここで、t:時間[h]、T:温度[K]、P:圧力[Pa]であり、
かつ、t<6[h]、T>1000[K]とする。)
さらに、LiとCuとを前処理でそれぞれ回収する場合には、温度をT[K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、式(1’)の関係が成立する処理条件で第1の揮発を行って、Liを回収し、次に、式(2)の関係が成立する処理条件で第2の揮発を行って、Liに続いてCuをNi/Coより先に回収しておく。
3000≧t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01>2700・・・(1’)
t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01 >3000・・・(2)
(ここで、t:時間[h]、T:温度[K]、P:圧力[Pa]であり、
かつ、t<6[h]、T>1000[K]とする。)
言い換えれば、本実施形態のNi/Co回収の前処理方法は、Ni/Coを含むリサイクル原料から、回収物として価値が高いLiや、回収物の価値を下げるCuなどを確実に取り除く条件を規定するものとなっている。
以下、本実施形態のNi/Co回収の前処理方法について詳しく説明する。
「リサイクル原料」
上述したリサイクル原料は、Ni及びCoなどの金属を含む使用済み二次電池や、二次電池あるいは正極材製造時の不良品を、加熱、破砕、篩別等することで得られるものである。すなわち、二次電池には正極材にコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムなどが用いられる場合があり、Mn,Co,Niなどの金属元素が含まれている。また、二次電池にはCu,Feなどの金属が配線・筐体などに用いられている場合がある。Cu,Feは使用済み二次電池からC
o,Niを精錬処理で回収する際に邪魔となるため、使用済みの二次電池は精錬工程の前に焼却、破砕、篩別等を適宜行い、可能な限りCu,Feを除去するのが一般的である。
具体的には、廃二次電池を焼却して、電解液を無害化させた後、破砕や選別等により、配線、筐体部分を除去する。なお、筐体はFe合金である場合が多いため、磁選により効果的に除去可能である。
「精錬工程」
精錬工程は、上述したリサイクル原料に対して、乾式または湿式の精錬処理を行うことにより、Ni/Coを金属単体、あるいは合金として回収する処理である。本発明の精錬工程には様々な方式を採用可能であるが、本実施形態の精錬工程はリサイクル原料に還元剤を混合して加熱することにより、混合物中のNi/Coを還元により金属化すると共に溶融することで、混合物から金属と酸化物とを分離し、冷却後金属を酸化物から選別して回収するものとなっている。なお、以降の実施形態では焼却残渣を加熱することで、残渣に含まれる炭素で還元する処理を例に挙げるが、本発明の精錬工程はCO,H2等のガスによる還元、一度水溶液中に溶解させた後に電解ないし溶媒抽出で回収する方法など、他の方法にも適応しうる技術である。
「精錬工程で回収される有価金属とは別の元素」
上述した精錬工程で回収を狙うNi/Coとは別の元素、つまり本発明の「前処理の対象」とは、Ni,Coよりも蒸気圧の高い元素であって、精錬工程のコスト低減、および回収したNi/Coの付加価値を上げる目的で、リサイクル原料から予め除去することが望ましい元素である。本実施形態の場合であれば、LiとCuとのいずれか、あるいは双方を意味する。
つまり、Liは、LIB(リチウムイオン電池)の正極に用いられることが多く、リサイクル原料に多く含まれている。また、Cuは、電極部やリード部に用いられることが多く、Liと同様にリサイクル原料に多く含まれている。上述したLiやCuなどの元素は、NiやCoと比較して蒸気圧が高いため、減圧下で加熱することで選択的に揮発除去することが可能である。
つまり、上述した式(1)の左辺のパラメータは、前処理でリサイクル原料を揮発させる場合の処理条件の積、言い換えれば揮発量は一般的に温度・時間・圧力(処理雰囲気の圧力)の3つの条件で決まるため、これら3つの条件をどのような値にするかを積として示したものとなっている。例えば、このパラメータが大きくなればなるほど、温度、時間、及び圧力を大きくすることができ、揮発しにくい元素でも揮発されやすくなる。逆に、パラメータが小さくなればなるほど、温度、時間、及び圧力も小さくなり、揮発しやすい元素でなければ揮発するのは難しくなる。つまり、パラメータの範囲は揮発させようとする元素に合わせて設定することができる。
「温度、時間、及び圧力」
なお、温度T[K]は、前処理の処理温度、具体的には前処理に用いる処理炉の温度を絶対温度で示したものである。温度は、高ければ高いほど揮発が進むが、低いと揮発が起こらなくなる。そのため、温度T[K]には、T>1000[K]で示される条件が前提として設けられている。
時間t[h]は、上述した温度に達してからの維持時間、言い換えれば上述した温度T[K]の保持時間を示している。なお、温度が低くても、あるいは圧力が高くても、時間が長ければLiやCuなどの元素を除去することは可能である。しかし、時間が長すぎる場合は、当然ながら生産性が悪化する。そのため、本発明の前処理では、処理時間の上限を6[h]としており、この6[h]を超えない時間t[h](t<6[h])で前処理を行う場合に限定している。
圧力P[Pa]は、前処理を行う雰囲気の圧力、具体的には前処理に用いる処理炉の雰囲気圧力を示している。なお、圧力P[Pa]が下がると揮発は生じやすくなるので、圧力P[Pa]の逆数を温度T[K]及び時間t[h]の積に掛け合わしたものをパラメータとしている。
「パラメータの値と処理対象」
上述したように式(1)の左辺のパラメータは、揮発しようとする元素の種類によって
、規定される範囲が異なる。例えば、揮発しようとする元素がLiの場合には、左辺のパラメータが下限値2700を超えるような温度T[K]、時間t[h]、及び圧力P[Pa]で前処理(揮発)を行うと良い。
また、揮発しようとする元素がCuの場合には、左辺のパラメータが下限値3000を超えるような温度T[K]、時間t[h]、及び圧力P[Pa]で前処理(揮発)を行うと良い。
さらに、上述したパラメータは、揮発しようとする元素が複数存在する場合にも有用である。すなわち、揮発しようとする元素(揮発しやすい元素)としてLiとCuとをそれぞれ回収する場合には、式(1’)の関係が成立する処理条件で第1の揮発を行って、Liを先に回収する。
3000≧t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01>2700・・・(1’)
次に、式(2)の関係が成立する処理条件で第2の揮発を行って、Liに続いてCuを回収する。
t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01 >3000・・・(2)
つまり、式(1’)の関係が成立する処理条件で第1の揮発を行えば、回収物からLiが優先的に回収され、元素としてLiを回収することが可能となる。第1の揮発が終了すれば、リサイクル原料中のLiはすべて除かれているので、式(2)の関係が成立する処理条件で第2の揮発を行えば、リサイクル原料からCuをLiがほとんど含まれていない状態で回収でき、元素としてLiとCuとを個別に回収することが可能となる。
「作用効果」
上述した本発明のNi/Co回収の前処理方法によれば、NiやCoなどを回収するのに先立って、リサイクル原料から、回収物として価値が高いLiや、回収物の価値を下げるCuなどを取り除くことができる。
次に、比較例及び実施例を用いて、本発明のNi/Co回収の前処理方法が有する作用効果について詳しく説明する。
実施例及び比較例は、使用済み二次電池(LIBの廃棄物)に加熱、破砕、篩別、磁選の処理を加えることで回収されたリサイクル原料に対して、前処理を行って、含有されていたLi及びCuがどの程度揮発したかを計測したものである。
なお、前処理を行う前(処理前)のリサイクル原料には、Liが3.14%及びCuが12.5%含有されている。このリサイクル原料に対して、前処理として、温度が1073K〜1673K(800℃〜1400℃)、圧力が10Pa、1000Pa、101325Pa、処理時間が2.0hの範囲で処理条件を変化させつつLi及びCuの揮発を行った。具体的には、黒鉛ヒータ型の抵抗炉にリサイクル原料を装入し、室温で炉内を上述した条件の圧力まで減圧する。その後、抵抗炉を加熱して炉内の温度を上述した条件の温度まで昇温させ、上述した条件の温度に炉内が達した後は上述した条件の時間温度を維持して揮発を実施した。前処理の揮発が終了した後は、抵抗炉を冷却して、揮発後のリサイクル原料を回収した。
上述した前処理の揮発によりリサイクル原料の重量は減少するので、処理前のリサイクル原料の重量と、回収後のリサイクル原料の重量とをそれぞれ秤量した。また、リサイクル原料の化学組成も処理の前後で変化するので、処理前と処理後のリサイクル原料に対して化学分析を行って、リサイクル原料の組成(重量%)を求めた。なお、処理前のリサイクル原料には、Liが3.14%、Cuが12.5%含まれている。
上述した化学分析と秤量を行えば、処理前後のリサイクル原料の重量と化学組成の変化から、揮発率を算出することができる。この揮発率は、以下の式(3)によって導出されるものであり、Li及びCuのそれぞれに対して算出される。なお、以下の式(3)では、一般化のため、元素をAとして示している。
揮発率(元素A)[%]=
100×(1-(加熱後重量[g]×加熱後元素Aの濃度[重量%])/
(加熱前重量[g]×加熱前元素Aの濃度[%])) ・・・(3)
また、上述したパラメータ、つまり式(1)の左辺についても算出した。
なお、理解を助けるため、上述した計算の一例を挙げると、実施例1のCuの揮発率は、
100×(1-(14.55×15.9)/(20.09×12.5))=7.7[%]
また、実施例1のLiの揮発率は、
100×(1-(14.55×0.61)/(20.09×3.14))=85.9[%]
となる。
さらに、実施例1のパラメータは、
1473×2.0/(10)0.01=2879
となる。
上述した実施例及び比較例の結果を、表1に示した。
Figure 2021063284
実施例1の結果を見ると、パラメータが2700を超える実施例1〜実施例4は、Liの揮発率が80%を超えており、Liを効率的に揮発させるにはパラメータを2700より大きくする必要があることがわかる。
また、Cuの揮発については、パラメータが3000を下回る実施例1では、揮発率7.7%と低い。しかし、パラメータが3000を上回る実施例2〜4では、Cuの揮発率は24.0%〜59.7%と20%を超えている。このことから、Cuを効率的に揮発させるにはパラメータを3000より大きくする必要があることがわかる。
一方、パラメータが2700を下回る比較例1、比較例2は、Liの揮発率が80%を下回り、またCuの揮発率も50%を下回る。
このことから、パラメータを2700より大きくすることでLiを80%以上揮発させることが可能となり、パラメータを3000より大きくすることでLiを80%以上揮発するだけでなく、
Cuを50%以上揮発させることが可能と判断される。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。

Claims (2)

  1. 使用済み二次電池や、二次電池あるいは正極材製造時の不良品からNi/Coを回収する回収処理を行う前に行われる前処理方法として、
    温度をT[K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、式(1)の関係が成立する処理条件で揮発を行って、Liを回収する
    ことを特徴とするNi/Co回収の前処理方法。
    t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01 >2700・・・(1)
    (ここで、t:時間[h]、T:温度[K]、P:圧力[Pa]であり、
    かつ、t<6[h]、T>1000[K]とする。)
  2. 温度をT [K]、処理時間をt[h]、及び圧力をP[Pa]として、式(2)の関係が成立する処理条件で揮発を行って、Cuを回収する
    ことを特徴とする請求項1に記載のNi/Co回収の前処理方法。
    t[h] × T[K] / (P[Pa])0.01 >3000・・・(2)
    (ここで、t:時間[h]、T:温度[K]、P:圧力[Pa]であり、
    かつ、t<6[h]、T>1000[K]とする。)
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