JP2021062512A - 積層体、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、全反射が小さく低反射性に優れ、漆黒性の高い積層体、並びに積層体の製造方法を提供することにある。【解決手段】上記課題は、少なくともカーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)とを含んでなるカーボンナノチューブ含有層(r1)の上に、表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)が積層された積層体であって、前記クリア層(r2)表面の、高さ方向の表面粗さパラメーターである算術平均粗さRaが0.2〜2.5μm、横方向の表面粗さパラメーターである粗さ曲線要素の平均長さRSmが0.1〜2.5μm、RSm及びRaの比率(RSm/Ra)が0.1〜3である積層体、及び前記積層体の製造方法によって解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた低反射性と高い漆黒性を兼ね備えた積層体、及びその製造方法に関する。
膜に低反射性を付与する方法として、特許文献1には、黒色基材上に光の最短波長よりも小さいピッチで反射防止構造体をアレイ状に配置した低反射部材が開示されている。
また、特許文献2には、大きな凹凸構造上に、微細構造が備わった反射防止構造体について記載されている。
さらに、特許文献3には、表面に凹凸構造を有する着色膜であり、凹凸の特性を最適化することで優れた低反射性、耐光性を有する着色膜、固体撮像素子が提案されている。
カーボンナノチューブを用いた積層体としては、特許文献4に、基材上のカーボンナノチューブ含有層の積層面にさらにクリア層を有することで、青味のある黒度に優れた漆黒性の高い積層体が得られることが提案されている。
特開2006−285223号公報 国際公開第2009/031299号 国際公開第2018/180477号 特許5751379号
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、反射防止構造体が透明であり、構造体内部に入射した光は構造体では吸収されずに構造体と基材の界面まで到達し、その界面において反射するため、低反射性を損なう。
また、特許文献2に記載の発明は、大きな凹凸構造自体が光の波長に比べて大きいため、低反射性を損なうだけでなく、製造工程が煩雑である。
また、特許文献3に記載の発明は、着色膜の素材として、チタンブラック、カーボンブラック等の各種有機、無機顔料が用いられているが、黒色度、漆黒性の数値が劣り、黒色低反射膜としての性能は十分ではないのが現状である。
また、特許文献4に記載の発明は、漆黒性に優れるものの表面が平滑で光沢性に優れるものであり、低反射性のものではない。
よって、本発明は、全反射が小さく低反射性に優れ、漆黒性の高い積層体、並びに積層体の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、少なくともカーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)とを含んでなるカーボンナノチューブ含有層(r1)の上に、表面に凹凸構造を有するクリア層(r2)が積層された積層体であって、
前記クリア層(r2)表面の、高さ方向の表面粗さパラメーターである算術平均粗さRaが0.2〜2.5μm、横方向の表面粗さパラメーターである粗さ曲線要素の平均長さRSmが0.1〜2.5μm、RSm及びRaの比率(RSm/Ra)が0.1〜3であることを特徴とする積層体に関する。
また、本発明は、クリア層側から測定した積層体のL*が、5.0以下であり、
クリア層側から測定した積層体の波長400〜700nmにおける最大反射率が、2.0%以下である上記積層体に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ(a)の外径が、3〜50nmであることを特徴とする上記積層体に関する。
また、本発明は、カーボンナノチューブ含有層(r1)中の全固形分に対するカーボンナノチューブ(a)の含有量が、3〜15質量%であることを特徴とする上記積層体に関する。
また、本発明は上記積層体の製造方法であって、クリア層の表面の凹凸構造をナノインプリント法またはフォトリソグラフィー法で形成することを特徴とする、積層体の製造方法に関する。
本発明により、全反射が小さく低反射性に優れ、漆黒性の高い、特に黒色低反射膜としての特性に優れた積層体、並びに積層体の製造方法を提供することができる。
<積層体>
本発明の積層体は、少なくともカーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)とを含んでなるカーボンナノチューブ含有層(r1)の上に、表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)が積層されたものである。
本発明の積層体は、多数の微小突起が規則的に又は不規則的(ランダム)に、クリア層表面に形成された凹凸構造からなる光反射防止構造であり、こうした光反射防止構造は、微小突起が形成された面に平行な水平面内での、微小突起の断面積が、微小突起の最凸部から最凹部までに至る過程で漸増することで、光に対する屈折率の急激な変化がなくなり、物質界面での不連続な屈折率変化に起因する光の反射を、生じないようにしたものである。
さらに、本発明の積層体はカーボンナノチューブ含有層を含む積層体であるため、微細凹凸構造を有するクリア層内部に侵入した入射光は積層体と基材の界面まで到達することなくカーボンナノチューブが吸収するか、万が一入射光が界面に到達した場合は、界面で反射した光は再度積層体に侵入し、カーボンナノチューブが吸収するため、積層体外部への光の漏れは最大限抑制される。
よって、本発明の積層体は、極めて良好な低反射性と漆黒性とを両立することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<カーボンナノチューブ含有層(r1)>
本発明の積層体は、少なくともカーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)とを含むカーボンナノチューブ含有層(r1)を有する。
<カーボンナノチューブ(a)>
カーボンナノチューブ(a)は、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブでも、これらが混在するものであっても良いが、コスト面や着色効果の面から多層カーボンナノチューブであることが好ましい。また、カーボンナノチューブ(a)の側壁がグラファイト構造ではなく、アモルファス構造をもったカーボンナノチューブ(a)を用いることもできる。
カーボンナノチューブ(a)の形状は、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状の形態などいずれの形態を有するものであってもよい。具体的には、例えばグラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。これらの形態として1種または2種以上を組み合わせた形態において使用することができる。本発明は魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状以外の形態であることが好ましい。魚骨状、トランプ状の場合は、樹脂組成物・成形体の製造時に発生するせん断応力によりカップ・トランプ状グラファイトシートの積層面(x−y面)よりカーボンナノチューブ(a)の切断が起こり、樹脂中に十分なネットワーク構造を形成できず、光閉じ込め効果が減少して黒度の低下に繋がる恐れがある。コイル状の場合も同様に、製造時にその3次元構造が破壊されやすく、着色効果が低下する可能性がある。一方、針状、円筒チューブ状の場合には、せん断応力による構造破壊が生じにくいため好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)の外径は、分散の容易さや色相の観点から、1〜500nmが好ましく、3〜50nmがより好ましく、7〜15nmであることがさらに好ましい。カーボンナノチューブ(a)の外径がこの範囲であると、漆黒性に優れた積層体を得ることができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)の外径の標準偏差は2〜8nmであることが好ましく、3〜6nmであることがより好ましい。標準偏差がこれらの数値から外れてしまうとカーボンナノチューブ同士が凝集し易くなり、分散が困難になる場合があるため好ましくない。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)の外径は次のように求められる。まず走査型電子顕微鏡によって、カーボンナノチューブ(a)を観測するとともに撮像する。次に観測写真において、任意の100本のカーボンナノチューブ(a)を選び、それぞれの外径を計測する。次に外径の数平均としてカーボンナノチューブ(a)の平均外径(nm)を算出すればよい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)は、通常二次粒子として存在している。この二次粒子の形状は、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブ(a)が複雑に絡み合っている状態でもよい。カーボンナノチューブ(a)を直線状にしたものの集合体であってもよい。直線状のカーボンナノチューブ(a)の集合体である二次粒子は、絡み合っているものと比べるとほぐれ易い。また直線状のものは、絡み合っているものに比べると分散性が良いのでカーボンナノチューブ(a)として好適に利用できる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)は、表面処理を行ったカーボンナノチューブでもよい。またカーボンナノチューブ(a)は、カルボキシル基に代表される官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物、金属原子、又はフラーレンに代表される物質を内包させたカーボンナノナノチューブ(a)も用いることができる。
カーボンナノチューブ(a)の層構成は下記方法で粉末X線回折分析することにより解析することができる。
まず、カーボンナノチューブ(a)を所定のサンプルホルダーに表面が平らになるように詰め、粉末X線回折分析装置にセットし、15°から35°までX線源の照射角度を変化させ測定する。X線源としては例えばCuKα線が用いられる。その時にピークが現れる回折角2θを読み取ることでカーボンナノチューブ(a)の評価が可能である。グラファイトでは通常2θが26°付近にピークが検出され、これが層間回折によるピークであることが知られている。カーボンナノチューブ(a)もグラファイト構造を有するため、この付近にグラファイト層間回折によるピークが検出される。ただし、カーボンナノチューブは円筒構造であるために、その値はグラファイトとは異なってくる。その値2θが25°±2°の位置にピークが出現することで単層ではなく、多層構造を有している組成物を含んでいることが判断できる。この位置に出現するピークは多層構造の層間回折によるピークであるため、カーボンナノチューブ(a)の層数を判断することが可能となる。単層カーボンナノチューブは層数が1枚しかないので、単層カーボンナノチューブのみでは25°±2°の位置にピークは出現しない。しかしながら、単層カーボンナノチューブであっても、100%単層カーボンナノチューブということはなく、多層カーボンナノチューブ等が混入している場合は2θが25°±2°の位置にピークが出現する場合がある。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)は2θが25°±2°の位置にピークが出現する。また粉末X線回折分析により検出される25°±2°のピークの半価幅からも層構成を解析することができる。すなわち、このピークの半価幅が小さいほど多層カーボンナノチューブ(a)の層数が多いと考えられる。逆にこのピークの半価幅が大きいほど、カーボンナノチューブの層数が少ないと考えられる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)としては、少なくとも多層カーボンナノチューブを含むことが好ましく、粉末X線回折分析を行った時に回折角2θ=25°±2°にピークが存在し、そのピークの半価幅が0.5°以上3°未満であることが好ましく、2°以上3°未満であることがより好ましい。半価幅がこの範囲内であると漆黒性に優れた積層体を得ることができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)は、粉末X線回折分析において、回折角2θ=25°±2°にピークが存在し、そのピークの半価幅が0.5°以上3°未満であれば特に限定されず、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでもよい。例えば、レーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法及び燃焼法により、カーボンナノチューブを得た後、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気中、加熱することで、カーボンナノチューブ(a)を得ることができる。加熱時の温度としては、700〜2500℃が好ましく、900〜2000℃がより好ましく、1200〜1800℃がさらに好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)の体積抵抗率は1.0×10−2〜3.0×10−2Ω・cmであることが好ましく、1.5×10−2〜2.5×10−2Ω・cmであることがより好ましい。カーボンナノチューブ(a)の体積抵抗率は粉体抵抗率測定装置((株)三菱化学アナリテック社製:ロレスターGP粉体抵抗率測定システムMCP−PD−51))を用いて測定することができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)のBET比表面積は100〜800m/gのものが好ましく、150〜600m/gのものがより好ましく、150〜400m/gのものが特に好ましい。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)の繊維長は、0.1〜150μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。繊維長がこれらの範囲を外れると、分散性が悪化することにより黒色度が低下する傾向があり、好ましくない。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)の炭素純度はカーボンナノチューブ(a)中の炭素原子の含有率(質量%)で表される。炭素純度はカーボンナノチューブ(a)100質量%に対して、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましく、99.5質量%以上がより好ましい。炭素純度が90質量%以上であると、漆黒性に優れた積層体を得ることができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ(a)中に含まれる金属量はカーボンナノチューブ(a)100質量%に対して、10質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましく、1質量%未満がさらに好ましく、0.5質量%未満がより好ましい。金属量が10質量%以上であると、黒色度が低下してしまう。カーボンナノチューブ(a)に含まれる金属としては、カーボンナノチューブ(a)を合成する際に触媒として使用される金属や金属酸化物が挙げられる。具体的には、コバルト、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、シリカ、マンガンやモリブデン等の金属、金属酸化物やこれらの複合酸化物が挙げられる。
以上のような、本発明に使用できるカーボンナノチューブ(a)としては、例えば、単層カーボンナノチューブとしては、日本ゼオン社製ZEONANO SG101(外径:3〜5nm)、OCSiAl社製 TUBALL(外径:約2nm)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、多層カーボンナノチューブとしては、ARKEMA社製 Graphistre ngth(外径:10〜15nm)、SUSUN Sinotech New Materials社製 HCNTs10(外径:10〜20nm)、HCNTs40(外径:30〜50nm)、Nanocyl社製 NC7000(外径:10nm)、NX7100(外径:10nm)、JEIO社製 JENOTUBE8A(外径:6〜9nm)、JENOTUBE10A(外径:7〜20nm)、JENOTUBE10B(外径:7〜10nm)、Cnano社製 Flotube9100(外径:10〜15nm)、Flotube9000(外径:10〜15nm)、Flotube9110(外径:10〜15nm)、Flotube7010(外径:7〜11nm)、Kumho Petrochemical社製 K−Nanos100P(外径:10〜15nm)、K−Nanos100T(外径:10〜15nm)、K−Nanos200P(外径:5〜15nm)、Shenzhen Nanotech Port社製 NTP3121(外径:20〜35nm)、NTP3221(外径:15〜25nm)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<バインダー(b)>
本発明に使用することができるバインダー(b)は特に制限されず、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ギルソナイト、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、及び塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
本発明には必要に応じて、硬化剤を使用することができる。使用できる硬化剤は特に制限されず、ポリイソシアネート及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、バインダー(b)として、オリゴマー及び/又はモノマーを含む電子線又は紫外線硬化性材料、又はその硬化物を用いてもよい。
単官能モノマーとしては特に制限されず、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、インデシル(メタ)アクリレート、イソクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(
メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」はメタクリレート及びアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」はメタクリロイル及びアクリロイルを意味する。
二官能モノマーとしては、1 ,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4
−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(水素化)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、(水素化)エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、(水素化)プロピレングリコール変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル,2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ラジカル重合性の架橋成分を紫外線を用いて架橋させる場合に用いられる光重合開始剤としては特に制限されず、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、及びメタロセン等が挙げられる。重合促進剤として、アミン類及びホスフィン類等を併用してもよい。電子線を用いて架橋させる場合にはこれらを配合しなくてもよい。
カチオン反応性の成分を紫外線を用いて架橋させる場合に用いられるカチオン系開始剤としては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩、ルイス酸のホスホニウム塩、その他のハロゲン化物、トリアジン系開始剤、ボーレート系開始剤、及びその他の光酸発生剤等が挙げられる。電子線を用いて架橋させる場合にはこれらを配合しなくてもよい。
バインダー(b)として、これら樹脂、オリゴマー、及びモノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンナノチューブ含有層(r1)中の全固形分量に対するカーボンナノチューブ(a)の含有量は、用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%、最も好ましくは5〜10質量%の範囲である。特に斯かる範囲であれば、漆黒性に優れた積層体が得られる。
カーボンナノチューブ含有層(r1)には、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、カーボンナノチューブ(a)とカーボンブラックとを併用することができる。カーボンブラックの具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック並びにナフサなどの炭化水素を水素及び酸素の存在下で部分酸化して、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを製造する際に副生するカーボンブラック、あるいはこれを酸化または還元処理したカーボンブラックなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独でも2種類以上併用しても良い。また、黒度を向上する視点から、カーボンブラックは平均粒径が20nm以下で、かつ、DBP吸油量が80ml/100g以下のものが好ましく使用される。また、本発明においてDBP吸油量とは、カーボンブラック粒子間の化学的ないし物理的結合による複雑な凝集形態(ストラクチャー)の尺度で、カーボンブラック100g当りに包含することのできるジブチルフタレート(DBP)の量(ml)を表す。
カーボンブラックの平均粒径は、カーボンナノチューブ(a)の外径と同様の方法で求められる。具体的には、走査型電子顕微鏡によって、カーボンブラックを観測し、観測写真において、任意の100個のカーボンブラックを選び、それぞれの外径を計測し、その数平均値を求めることにより、カーボンブラックの平均粒径を算出することができる。
カーボンブラックの使用量は、カーボンナノチューブ(a)100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜25質量部がさらに好ましい。一方、100質量部を超えると、黒度と青味が低下する可能性がある。青味が低下し、赤味が増すと、漆黒性に優れた積層体が得られにくい。
<表面に凹凸構造を有するクリア層(r2)>
本発明の積層体は、前記カーボンナノチューブ含有層(r1)の上に、表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)が積層されている。
本発明のクリア層(r2)は下層塗膜を視認できる程度の透明性を有するものである。具体的には透明樹脂、ガラス等を挙げることができる。樹脂としては、前記カーボンナノチューブ含有層(r1)に含まれるバインダー(b)と同様の樹脂、オリゴマー及び/又はモノマーを含む電子線又は紫外線硬化性材料を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。これらの複数の材料を組み合わせて用いることもできる。
これらのうち、表面に特定の微細凹凸構造を、後述するナノインプリント法またはフォトリソグラフィー法で形成すると、形状再現性が良好にできることから、オリゴマー及び/又はモノマーを含む電子線又は紫外線硬化性材料を使用することが好ましい。
<表面の粗さパラメーター>
本発明の積層体を構成するクリア層(r2)の表面は、高さ方向の表面粗さパラメーターである算術平均粗さRaが0.2〜2.5μm、横方向の表面粗さパラメーターである粗さ曲線要素の平均長さRSmが0.1〜2.5μm、RSm及びRaの比率(RSm/Ra)が0.1〜3である。
表面粗さパラメーターRa及びRSmは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を示す。Raは算術平均粗さを表し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分について、平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にZ軸を取り、粗さ曲線を式:Z=f(x)で表し、基準長さをlrで表したときに、次の式によって求められる値である。RSmは、基準長さ(lr)中に輪郭曲線要素がm個あり、各輪郭曲線要素の長さXsの平均であり、次の式によって求められる値である。
Figure 2021062512
Figure 2021062512
本発明の積層体を構成するクリア層(r2)表面のRaは、0.2μm〜2.5μmである。Raが0.2μm以上であることで、凸部位は十分な高さを有し、入射した光を確実に吸収して外部に光を漏れ出すことを抑制し、低反射化及び高漆黒性を発現する。2.5μm以下とすることで、膜表面の見掛け上の屈折率を空気層に近似することができるため、表面からの入射光の反射を抑制し、低反射化及び高漆黒性を発現する。
本発明の積層体を構成するクリア層(r2)表面のRSmは、0.1μm〜2.5μmである。0.1μm以上であることで凹凸構造体が小さくなり過ぎず光の反射を防ぐことと、凹凸構造の体積が十分であることで光の吸収性を確保できるため低反射化及び高漆黒性を発現する。2.5μm以下とすることで、凹凸構造が入射した光に対して大きくなり過ぎず、入射した光を確実に吸収して外部に光を漏れ出すことを抑制し、低反射化及び高漆黒性を発現する。
また、近赤外線の反射を抑制する場合には、RSmは0.3μm以上であることが好ましい。入射光の波長に対して凹凸構造が小さすぎると入射光は反射してしまうが、波長が0.7μm近辺の可視光領域では、RSmが0.3μm以上である場合、反射が抑制されるため好ましい。さらに長波長の近赤外領域になるとこの傾向は顕著であり、RSmが0.3μm以上である場合、近赤外光の反射が抑制されるため好ましい。
本発明の積層体を構成するクリア層(r2)表面のRSm/Raは0.1〜3である。RSm/Raが0.1以上であることで、塗膜中の凸部位は、十分な量が存在することになり、入射した光を確実に吸収して外部に光を漏れ出すことを抑制し、低反射化及び高漆黒性を発現する。RSm/Raが3以下であることで、膜表面の見掛け上の屈折率を空気層に近似することができるため、表面からの入射光の反射を抑制し、低反射化及び高漆黒性を発現する。
また、本発明において、微細凹凸構造の凸部位の高さ、幅、間隔は、バラツキを有しランダムであっても良い。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体は、少なくともカーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)とを含んでなるカーボンナノチューブ含有層(r1)の上に、表面に特定の微細凹凸構造(特定のRa、特定のRSm、特定のRSm/Ra)を有するクリア層(r2)が積層されたものである。ここでr1層とr2層は直接積層されていることが好ましいが、本発明の効果を妨げない範囲で、別の層を介して積層されていても構わない。
本発明の積層体は、種々の方法で得ることができる。
例えば、第一の製造方法として、(1)少なくともカーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)と必要に応じて溶媒とを含有する黒色組成物を用意する工程と、(2)この黒色組成物を基材上に塗工し、塗工膜を乾燥/又は硬化してカーボンナノチューブ含有層(r1)を形成する工程と、(3)カーボンナノチューブ含有層(r1)上にクリア組成物を塗工し、乾燥/又は硬化時に表面に特定の微細凹凸構造を付与することで、クリア層(r2)を積層する工程、とを含む方法が挙げられる。
ここで、(2)の工程で塗工膜を乾燥/又は硬化させずに、ウェット状態で(3)の工程を実施し、その後にカーボンナノチューブ含有層(r1)とクリア層(r2)を同時に乾燥/硬化を行って積層体を製造しても良い。
また、上記(3)の工程の代わりに、片側表面に特定の微細凹凸構造を有するクリアフィルムを別途用意し、(2)のカーボンナノチューブ含有層(r1)上に貼付することにより、積層体を製造することもできる。
また、第二の製造方法として、(1)カーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)とを溶融混錬後に押出成型してフィルム化することによって、カーボンナノチューブ含有層(r1)を形成する工程と、(2)カーボンナノチューブ含有層(r1)上に、クリア組成物を塗工し、乾燥/又は硬化時に表面に特定の微細凹凸構造を付与することでクリア層(r2)を積層する工程、若しくは(2‘)表面に特定の微細凹凸構造を有するクリアフィルムを別途用意し、カーボンナノチューブ含有層(r1)上に貼付することでクリア層(r2)を積層する工程、とによっても本発明の積層体を製造することができる。
以下に前記第一の製造方法(1)〜(3)の工程を具体的に説明するが、本発明はこの製造方法に限定されるもではない。
(1)黒色組成物を用意する工程
本発明の黒色組成物を得るには、カーボンナノチューブ(a)、バインダー(b)と必要に応じて溶媒とを、特に限定されるものではないが、例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、ホモナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、フーバーマーラー、3本ロールミル、エクストルーダー等を使用して分散処理を行うことが好ましい。さらに必要に応じて、分散剤や添加剤を加えても良い。
黒色組成物に用いる溶媒は特に限定されるものではなく、水溶液、水系溶媒および有機系溶媒のいずれも用いることができる。
有機系溶媒としては、沸点が50〜250℃の有機系溶媒が、塗工時の作業性や硬化前後の乾燥性の点から用いやすい。具体的な溶媒の例としては、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、ブチルジグリコールアセテート、MEKなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジブチルエーテル、エチレングリコール、モノブチルエーテル等のエーテル系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンなどの双極性非プロトン溶媒などを用いることができる。これらの溶媒は、単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、前記溶媒のほかにも、必要に応じて、例えば顔料、濡れ浸透剤、皮張り防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、防腐剤、防カビ剤、粘度調整剤、pH調整剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
(2)基材にカーボンナノチューブ含有層(r1)を形成する工程
黒色組成物を塗工する基材としては特に限定されず、ガラス基材、プラスチック基材(有機高分子基材)、金属基材、紙基材、木基材(木製基材)、石基材、布基材、及び皮革基材等を挙げることができる。その形状としては、平板状、フィルム状、シート状、及び立体形状等が挙げられ、用途又は使用条件に応じて適宜選択することができる。
基材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びナイロン等の合成樹脂のフィルム、これらフィルムを含む複合体、及びガラス等を用いることが好ましい。
黒色組成物は、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェット印刷、コーター塗工、スプレー塗工、及びスピンコーター塗工等の既知の方式で塗工することができる。具体的には例えば、本発明の黒色組成物を基材の一主面上に、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、スリットコート法、スリットスピンコート法、フローコート法、及びダイコート法等の各種塗工法により塗工して塗工膜を形成し、この塗工膜から有機溶媒等の分散媒を揮発等により除去して固形膜を形成、もしくはバインダー(b)としてオリゴマー及び/又はモノマーを含む場合には、電子線又は紫外線を照射することによって硬化膜を形成することにより、カーボンナノチューブとバインダーとを含んでなるカーボンナノチューブ含有層(r1)を得ることができる。
(3)表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)を積層する工程
表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)をカーボンナノチューブ含有層(r1)上に積層する方法としては、形成する物質により最適な方法を選択すれば良く、真空蒸着、EB蒸着、スパッタ蒸着などのドライ法、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、一般的な方法を挙げることができる。
クリア層(r2)表面に特定の微細凹凸構造を付与する方法は、特に制限されず、特定の表面状態と同様の微細形状(以下、パターンともいう)を有する型(以下、モールドともいう)を用いた光ナノインプリント法若しくは熱ナノインプリント法等のナノインプリント法のほか、フォトリソグラフィー法、射出成型法等を用いることができ、複数を組み合わせてもよい。
クリア層(r2)表面に特定の微細凹凸構造を付与する方法としては、形状再現性の観点から光ナノインプリント法が好適に用いられる。具体的には、クリア組成物としてオリゴマー及び/又はモノマーを含む電子線又は紫外線硬化性材料を使い、カーボンナノチューブ含有層(r1)上にクリア組成物を塗布してパターン形成用膜を作製し、当該パターン形成用膜表面に光透過性モールドを圧接し、モールドパターンを転写する加工を行い、パターンが転写され特定の表面形状となった膜をモールドの裏面から露光して硬化させ、特定の表面形状を付与する。
モールドは、転写されるべきパターンを有するモールドを使用する。モールドへのパターン形成方法は特に制限されず、例えば、フォトリソグラフィーや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じてパターンを形成することができる。光透過性モールド材の材質は特に限定されず、所定の強度、耐久性を有するものであれば良い。具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が挙げられる。
また、クリア層(r2)との剥離性を向上するために、離型処理されたモールドを用いてもよく、シリコーン系やフッソ系等のシランカップリング剤による処理を行ったものを好適に用いることができる。
またクリア層(r2)表面に特定の微細凹凸構造を付与する方法として、フォトリソグラフィー法で作製することも好ましいが、この場合には、カーボンナノチューブ含有層(r1)の上にクリア組成物を塗布し光硬化させた後、再度クリア組成物を塗布し、特定の微細パターンを有するフォトマスクを介して光硬化させ、その後アルカリ現像することで、表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)を形成することができる。
また前述の通り、表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)は製膜されたものをラミネートしても良く、カーボンナノチューブ含有層(r1)上に積層されていれば、必ずしもこれらの層が密着していなくても良い。
<漆黒性>
本発明の積層体のJIS Z8729に基づいたL*、a*、b*表色系におけるL*は5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。L*が小さい程、黒度が高い(明度が低い)ことを示すため、漆黒性に優れた積層体となる。
また、a*は−2.0以上、2.0以下であることが好ましく、b*は−2.0以上0.3以下であることが好ましく、−2.0以上0以下であることがさらに好ましい。a*とb*はゼロ(0)に近い値である程、黒い色相であると言える。また、b*がマイナスである程、青味(青色)が強い色相であると言える。漆黒性という観点では、若干青味(青色)を有する黒色であることが好ましい。
積層体のJIS Z8729で規定されるL*、a*、b*表色系における明度(L*)および色度(a*、b*)は、分光測色計(例えば、コニカミノルタ株式会社製、CM−700d)を用いて測定することによって得られる。
<低反射性>
また、本発明の積層体の400〜700nmにおける、全反射率の最大値は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。全反射率の最大値が2.0%以下であることで、低反射性が発現し、蛍光灯等の映り込み等の外観不良が目立たなくなり、さらに漆黒性の高い膜となる。全反射率は、分光測色計(例えば、コニカミノルタ株式会社製、CM−700d)によって測定される。
<膜厚>
本発明の積層体の膜厚は、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。膜厚が1μm以上であることで、本発明の積層体は、低反射性及び漆黒性が良好となる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。例中、特に断わりのない限り、「部」とは「質量部」、「%」とは「質量%」をそれぞれ意味する。また、「カーボンナノチューブ」を「CNT」、「カーボンブラック」を「CB」と略記することがある。
各実施例及び比較例において使用されたCNTの物性は以下の方法により測定した。使用したCNTとその物性値を表1に示す。
Figure 2021062512
<CNTの外径>
走査型電子顕微鏡(日本電子(JEOL)社製:JSM−6700M)を用いて、加速電圧5kVにてCNTを観察し、5万倍の画像(画素数1024X1280)を撮影した。次いで、撮影された画像にて任意のCNT100個について、各々の短軸長を測定し、それら短軸長の数平均値をCNTの外径とした。
<CNTの粉末X線回折分析>
アルミ試料板(外径φ46mm、厚さ3mm、試料部φ26.5mm、厚さ2mm)の中央凹部にCNTをのせ、スライドガラスを用いて、平坦化した。その後、試料を載せた面に薬包紙をのせ、さらにアルミハイシートパッキンをのせた面に対して、1トンの荷重をかけて平坦化した。その後、薬包紙とアルミハイシートパッキンを除去して、CNTの粉末X線回折分析用サンプルを得た。その後、X線回折装置(Ultima2100、株式会社リガク社製)にCNTの粉末X線回折分析用サンプルを設置し、15°から35°まで操作し、分析を行った。サンプリングは0.02°毎に行い、スキャンスピードは2°/min.とした。電圧は40kV、電流は40mA、X線源はCuKα線とした。この時得られる回折角2θ=25°±2°に出現するプロットをそれぞれ11点単純移動平均し、そのピークの半価幅をCNTの半価幅とした。ベースラインは2θ=16°および2θ=34°のプロットを結んだ線とした。
<CNTの体積抵抗率>
粉体抵抗率測定装置((株)三菱化学アナリテック社製:ロレスターGP粉体抵抗率測定システムMCP−PD−51))を用い、試料質量1.2gとし、粉体用プローブユニット(四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試料半径12.5mm)により、印加電圧リミッタを90Vとして、種々加圧下の導電性粉体の体積抵抗率[Ω・cm]を測定した。1g/cm3の密度におけるCNTの体積抵抗率の値について評価した。
<CNT純度の測定>
CNTをマイクロ波試料前処理装置(マイルストーンゼネラル社製、ETHOS1)を使用し、酸分解し、CNTに含まれる金属を抽出した。その後、マルチ型ICP発光分光分析装置(Agilent社製、720−ES)を用いて分析を行い、抽出液に含まれる金属量を算出した。CNTの純度は次のようにして計算した。
CNT純度(%)=((CNT質量−CNT中の金属質量)÷CNT質量)×100
<樹脂の重量分子量(Mw)>
樹脂の重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8220)を用いて測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。また、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−M(東ソー株式会社製)を3本用いた。測定は、流速1.0mL/分、注入量10μL、及びカラム温度40℃の条件下で行った。
<バインダーの製造>
(バインダー溶液1の作製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n−ブチルメタクリレート37.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
<黒色組成物の製造>
(CNT−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散し、黒色組成物CNT−1を作製した。
カーボンナノチューブ1 (Nanocyl社製、NC7000):0.7部
スチレン−アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、ジョンクリル683):9.3部
メチルエチルケトン(MEK) :90.0部
(CNT−2〜5の作製)
カーボンナノチューブ1を表2のカーボンナノチューブに変更した以外は、上記のCNT−1と同様にして、黒色組成物CNT−2〜5を作製した。
(CNT−6の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散し、黒色組成物CNT−6を作製した。
カーボンナノチューブ4 (Cnano社製、Flotube7010):0.3部
スチレン−アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、ジョンクリル683):9.7部
メチルエチルケトン(MEK) :90.0部
(CNT−7の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散し、黒色組成物CNT−7を作製した。
カーボンナノチューブ4 (Cnano社製、Flotube7010):0.5部
スチレン−アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、ジョンクリル683):9.5部
メチルエチルケトン(MEK) :90.0部
(CNT−8の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散し、黒色組成物CNT−8を作製した。
カーボンナノチューブ4 (Cnano社製、Flotube7010):1.0部
スチレン−アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、ジョンクリル683):9.0部
メチルエチルケトン(MEK) :90.0部
(CNT−9の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散し、CNT分散液1を作製した。
カーボンナノチューブ1 (Nanocyl社製、NC7000):3.0部
スチレン−アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、ジョンクリル683):10.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :87.0部
上記で得られたCNT分散液1に対し、下記を加えて撹拌混合し、黒色組成物CNT−9を得た。
CNT分散液1:50.0部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルオルネクス株式会社製、DPHA):14.0部
オキシムエステル系光重合開始剤(BASF社製、Irgacure OXE02):0.9部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:30.0部
(カーボンブラック分散液1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散し、カーボンブラック分散液1を得た。
カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、MA100:粒子径24nm、比表面積110m2/g、DBP吸油量100cm/100g):5.0部
分散剤BYK111(ビックケミー株式会社製):1.25部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:50.0部
(CB−1の作製)
上記で得られたカーボンブラック分散液1に対し、下記を加えて撹拌混合し、黒色組成物CB−1を得た。
カーボンブラック分散液1:46.8部
バインダー溶液1(不揮発分40%):39.1部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:14.1部
(CB−2の作製)
上記で得られたカーボンブラック分散液1に対し、下記を加えて撹拌混合し、黒色組成物CB−2を得た。
カーボンブラック分散液1:56.25部
バインダー溶液1(不揮発分40%):12.5部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルオルネクス株式会社製、DPHA):13.0部
オキシムエステル系光重合開始剤(BASF社製、Irgacure OXE02):0.75部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:17.5部
<クリア組成物の製造>
(CR−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、クリア組成物CR−1を得た。
バインダー溶液1(不揮発分40%):27.5部
トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製、NKエステルATMPT): 10.5部
光重合開始剤(BASF社製、Irgacure 907):2.0部
増感剤(保土ヶ谷化学社製、EAB−F):1.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:58.0部
(CR−2の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、透明組成物CR−2を得た。
バインダー溶液1(不揮発分40%):25.0部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルオルネクス株式会社製、DPHA):25.0部
オキシムエステル系光重合開始剤(BASF社製、Irgacure OXE02):1.50部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:30.0部
[実施例1]
(積層体1の作製)
得られた黒色組成物CNT−1をスピンコーターを用いて透明ガラス基板(コーニング社製、イーグル2000)上に塗工し、クリーンオーブン中60℃で5分乾燥(プリベーク)した後、230℃で20分加熱(ポストベーク)して溶剤を除去し、厚さ2.5μmの第一層(r1);黒色基板1を得た。
この黒色基板1を室温に冷却後、黒色基板1上にクリア組成物CR−1を塗工し、クリーンオーブン中70℃で15分間加温して溶剤を除去して1μmの塗膜を得た。次に超高圧水銀ランプを用いて紫外線を露光し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱して溶剤を除去し、クリア組成物塗膜を得た。基板を室温に冷却後、クリア組成物塗膜上にもう一度クリア組成物CR−1を塗工し、クリーンオーブン中70℃で15分間加温して溶剤を除去し1μmのクリア組成物塗膜を得た。次いで1.2μm幅(ピッチ2.4μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して、再び超高圧水銀ランプを用いて紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱することによって、カーボンナノチューブ含有層(r1)上に表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)を積層した積層体1を作製した。
なお塗膜の膜厚は、Dektak 8(日本真空技術社製)を用いて測定した。
[実施例2]
(積層体2の作製)
黒色組成物CNT−1を黒色組成物CNT−5に変えた以外は全て実施例1と同様にして、積層体2を作製した。
[実施例3]
(積層体3の作製)
実施例1と同様にして、黒色組成物CNT−1を用いて黒色基板1を得た。次に、得られた黒色基板1上にクリア組成物CR−2をスピンコーターを用いて塗工し、クリーンオーブン中80℃で20分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ3μmのクリア組成物塗膜を形成した。得られたクリア組成物塗膜に、石英板の表面をドライエッチングによって特定の表面状態を形成した透明モールド(Ra=0.3μm、RSm=0.3μm、RSm/Ra=1.0)を用いて、下記条件で光ナノインプリントを用い、モールドを離脱させることにより、カーボンナノチューブ含有層(r1)上に表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)積層した積層体3を作製した。
≪ナノインプリント条件≫
装置名:SCIVAX社製、X−100U
プレス圧 0.7MPa
保持時間:100秒
照度:30.0mW/cm(波長365nmのLED光源)
露光時間:100秒
モールド裏面からの光照射
[実施例4〜10]
(積層体4〜10の作製)
黒色組成物CNT−1を表2の黒色組成物CNT−2〜8に変えた以外は全て実施例3と同様にして、積層体4〜10を作製した。
[実施例11〜14]
(積層体11〜14の作製)
実施例6で使用したモールドを表2の表面状態のモールドに変えた以外はすべて実施例3と同様にして、積層体11〜14を作製した。
[比較例1]
(積層体101の作製)
黒色組成物CNT−1を黒色組成物CB−1に変えた以外は全て実施例3と同様にして、積層体101を作製した。
[比較例2]
(黒色膜102の作製)
黒色組成物CB−2をスピンコート法によりガラス基板に塗工し、クリーンオーブン中で80℃で20分加温して溶剤を除去し、厚さ3μmの黒色塗膜を形成した。得られた黒色塗膜に、特定の表面状態を形成する透明モールド(Ra=0.3μm、RSm=0.3μm、RSm/Ra=1.0)を用いて、実施例3と同様の条件で光ナノインプリントを用い、モールドを離脱させることにより、黒色膜102を作製した。
[比較例3]
(黒色膜103の作製)
黒色組成物CB−2を黒色組成物CNT−9に替えた以外は全て比較例2と同様にして、黒色膜103を作製した。
[比較例4]
(積層体104の作製)
実施例3と同様にして、黒色組成物CNT−1を用いて得られた黒色基板1上にクリア組成物CR−2をスピンコーターを用いて塗工し、クリーンオーブン中80℃で20分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ3μmのクリア組成物塗膜を形成した。得られたクリア組成物塗膜に、特定の表面状態を形成する透明モールド(Ra=0.1μm、RSm=0.05μm、RSm/Ra=0.5)を用いて、実施例3と同様の条件で光ナノインプリントを用い、モールドを離脱させることにより、積層体104を作製した。
Figure 2021062512
<積層体の評価>
得られた積層体について、以下の評価を実施した。結果を表3に示す。
[表面粗さパラメーター]
積層体の表面粗さRa及びRSmは、前記の通りJIS B0601:2001に準拠した方法で測定した。
[最大反射率]
積層体のr2表面からの反射率は、白色校正板の上に各積層体を載せ、400nm〜700nmの全反射率を分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM−700d)を用い、視野角10°、光源D65の条件で測定した。なお、全反射率とは正反射率と拡散反射率を合計したものであり、400〜700nmの測定値のうち最大の全反射率を最大反射率とした。
[L*値]
積層体のr2表面からのL*値は、白色校正板の上に各積層体を載せ、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM−700d)を用い、視野角10°、光源D65の条件で測定した。L*の測定値から下記の基準で漆黒性を評価した。
◎:L*が2.0以下
○:L*が2.0を超え、5.0以下
×:L*が5.0を超える
Figure 2021062512
表3の結果から、カーボンナノチューブ含有層(r1)の上に、表面に特定の微細凹凸構造を有するクリア層(r2)が積層された積層体は、優れた低反射性と漆黒性を示した。特に実施例3〜6のように、カーボンナノチューブ(a)の外径が7〜15nmである場合、優れた低反射性を有するとともに、極めて良好な漆黒性を示した。
一方、比較例1では黒色顔料として、カーボンナノチューブを含まないため、低反射性、漆黒性ともに十分でない結果であった。比較例2、3では、優れた低反射性は有していたものの、表面にクリア層(r2)を積層していないため、漆黒性が不十分であった。また比較例4では、漆黒性は十分であったが、クリア層表面が特定の表面粗さパラメーターを満足していないため、低反射性が不十分な結果であった。
本発明の積層体は、特に黒色低反射膜として、レンズ保持部材、カメラ、顕微鏡、双眼鏡、望遠鏡、内視鏡等の撮像光学部材、プロジェクタ等の投影光学部材、レーザー装置、分光光度計、放射温度計、センサー部材、照明装置等の光学部材、治具などに用いることで迷光防止効果が期待できる。加えて、家電や家具の外装、自動車内外装、建材、衣類、壁紙、看板などに用いることで、低反射性かつ平滑性を併せ持つ、意匠性部材としても利用でき、また、その低反射性を活用した防眩部材にも用いることができる。さらに、複数の画素と、前記複数の画素の間に配置される遮光部とを有する表示装置における前記遮光部として用いることができる。黒色度が高く低反射の遮光部を画素間に設けることにより、コントラストの向上が期待できる。あるいは、アレイ型表示装置において最表面で使用することにより、外光反射防止層としての効果も期待できる。その他にも、低反射性からもたらされる光吸収性を利用した、太陽光発電用パネルの部材、太陽熱集熱パネル、光熱変換部材にも用いることができる。

Claims (5)

  1. 少なくともカーボンナノチューブ(a)とバインダー(b)とを含んでなるカーボンナノチューブ含有層(r1)の上に、表面に凹凸構造を有するクリア層(r2)が積層された積層体であって、
    前記クリア層(r2)表面の、高さ方向の表面粗さパラメーターである算術平均粗さRaが0.2〜2.5μm、横方向の表面粗さパラメーターである粗さ曲線要素の平均長さRSmが0.1〜2.5μm、RSm及びRaの比率(RSm/Ra)が0.1〜3であることを特徴とする積層体。
  2. クリア層側から測定した積層体のL*が、5.0以下であり、
    クリア層側から測定した積層体の波長400〜700nmにおける最大反射率が、2.0%以下である請求項1記載の積層体。
  3. カーボンナノチューブ(a)の外径が、3〜50nmであることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. カーボンナノチューブ含有層(r1)中の全固形分に対するカーボンナノチューブ(a)の含有量が、3〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の積層体。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の積層体の製造方法であって、クリア層の表面の凹凸構造をナノインプリント法またはフォトリソグラフィー法で形成することを特徴とする積層体の製造方法。
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