JP2021059681A - 硬化性組成物およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合収縮率が低く寸法安定性に優れ、基材との密着性に優れ、ハードコート層に耐擦傷性を効果的に発現させることができるフォトクロミック樹脂を得ることができ、さらにコート層の生産性に優れ、保存安定性やポットライフに優れた硬化性組成物を提供する。【解決手段】本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性化合物(A)と、カチオン重合開始剤(B)と、調光色素(C)と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、調光色素を含む硬化性組成物およびその用途に関する。
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ、軽量で割れ難いことから、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。近年では、フォトクロミック性能を有するプラスチックレンズの開発が進められている。フォトクロミック性能を有するプラスチックレンズを作製するには、いくつかの製法がある。プラスチックレンズの製法としては、フォトクロミック色素をプラスチックレンズ基材中に添加してフォトクロミックレンズを作製するインマス方式、インマス方式のフォトクロミックレンズ基材とフォトクロミック色素を含まないレンズ基材を貼り合わせた積層体を作製する貼り合わせ方式、また、フォトクロミック色素が添加されていないプラスチックレンズ基材を、フォトクロミック色素を含むコートによりコーティングした、コート方式などが挙げられる。
いずれの製法においても、フォトクロミックレンズの組成物、及びフォトクロミックコーティングの組成物には、フォトクロ色素がその化学構造を変化させて発色および消色し得る樹脂を用いることはさることながら、高透明性、高い寸法安定性、低重合収縮率、高い密着性を有する樹脂を用いることが望ましい。高い寸法安定性、低重合収縮率を有する樹脂を使用することにより、レンズの光学面が変形することを防ぐことができる。高い密着性を有する樹脂を使用することにより、フォトクロミックレンズとそのレンズに付与される耐擦傷性コーティングなどのコート層との接着不良を防ぐことができる。また、高い密着性を有する樹脂をフォトクロミックコーティング材として使用した場合、フォトクロミックコーティングと下地、さらには、フォトクロミックコーティング上に付与される耐擦傷性コーティングなどのコート層との接着不良を防ぐことができる。
フォトクロミックレンズの組成物、フォトクロミックコーティングの組成物として有することが望ましい特性に鑑み、種々の樹脂利用したフォトクロミックレンズの組成物、フォトクロミックコーティングの組成物が提案されている。
特許文献1には、所定のフォトクロミック化合物と、(メタ)アクリレート化合物とを含む組成物からなる、レンズが記載されている。しかしながら、ポリ(メタ)アクリレート樹脂は、重合収縮率が高く、密着性が低いという課題を有していた。また、重合開始剤として爆発の危険性を有する過酸化物を使用しなければならない。
特許文献2には、脂肪族イソシアネート化合物および脂環族イソシアネート化合物から選択される1種以上のイソシアネート化合物と、二官能以上の活性水素化合物と、フォトクロミック化合物と、を含む、光学材料用重合性組成物が開示されている。密着性に優れるポリ(チオ)ウレタン樹脂を、フォトクロミックレンズの組成物として用いることができるが、より高い寸法安定性、低重合収縮率を有する樹脂を用いることが望ましい。
特許文献3には、ウレタン樹脂を含むエマルジョンからなるプライマーコートをプラスチックレンズ基材上に形成する工程と、さらにプライマーコート層上にフォトクロミックコートを形成する工程とを含む光学物品の製造方法及び、該製造方法によって製造された光学物品についての開示されている。当該文献には、フォトクロミックコーティングとプラスチックレンズ基材との密着性を改善することができると記載されている。フォトクロミックコーティングとプラスチックレンズ基材の間にプライマー層を設けることにより、フォトクロミックコーティングとプラスチックレンズ基材の接着不良を改善しているものの、プライマー層を別途コーティングしなければならず、フォトクロミックレンズ製造する上で新たな製造工程を加えなければならない。また、本文献中の実施例や比較例中で使用されている光硬化性の(メタ)アクリレートから成るフォトクロミックコート液は、フォトクロミックコーティング層を形成するために光照射する際、酸素による硬化阻害を防ぐために窒素雰囲気下で光照射する必要があり、特殊な環境を実現する装置を導入する必要があった。また、当該文献には、フォトクロミックコーティング剤を直接プラスチックレンズ基材にコートし光硬化させると、コートの収縮に伴い発生する応力を緩和できずに、光照射による加熱により軟化した基材が変形すると記載されている。レンズの変形の原因となっているのは、(メタ)アクリレート樹脂の硬化収縮が大きいという性質のためと考えられる。さらに、光硬化の際発生するラジカル種により、フォトクロミックコート液に含まれるフォトクロミック色素が分解されるという懸念もある。
特許文献4には、フォトクロミックポリウレタンコーティング用のコート液組成物が開示されている。しかしながら、当該組成物にはポリマー化合物の製造に用いた溶媒やN-メチルピロリドン(NMP)を含んでおり、これらの溶媒が揮発することによりコート液の濃度が変化し、さらに、コートの膜厚を厚くすることが困難であった。コート液の濃度が変動はコーティングの膜厚の変動につながり望ましくない。また、コートの膜厚を厚くすることが困難であるということは、該コートを有するフォトクロミックレンズの眩しさ低減性能を向上させることが困難であることにつながるため、望ましくない。さらに、国際公開2005/095541号パンフレットに記載されているように、フォトクロミックポリウレタンコーティングは柔軟性が高いという性質を有するため、十分な耐擦傷性を付与するためにはシロキサン系のハードコート層とフォトクロミックポリウレタン層の間に樹脂製の耐摩耗コート層を挿入する必要がある。
特許文献5には、フォトクロミック化合物である所定のベンゾピリロスビラン化合物と、エポキシ基を含むケイ素化合物の加水分解物と、分子量が100以上の水酸基を有する化合物とを含むフォトクロミックコーティング用のコート液組成物が開示され、当該組成物には硬化触媒を含んでもよいと記載されている。そして、レンズ上に、当該組成物からなるコート層を備えるフォトクロミックレンズも開示されている。しかしながら、該組成物には溶媒やアルコキシシランの加水分解過程で発生したアルコールが含まれており、この溶媒やアルコールが揮発するとコート液の組成が変化する。さらに、常温で活性を有する硬化触媒が用いられており、コート液のポットライフが短い。
特許文献6には、レンズと、該レンズ上に形成されたフォトクロミックエポキシ樹脂コート層と、を備えるフォトクロミックレンズが開示されている。フォトクロミックエポキシ樹脂コート層は、エポキシ樹脂と、所定の酸硬化剤と、フォトクロミック化合物とを含む。しかしながら、高粘度、高分子量の組成物を含むためコート液が溶剤を含まざるを得ず、この溶剤が揮発するとコート液の組成が変化する。さらに、常温で活性を有する塩基性触媒が用いられており、コート液のポットライフが短い。
特許文献7には、光塩基発生化合物と、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体と、フォトクロミック化合物とを含むフォトクロミック性硬化性組成物が開示され、レンズ上に、当該組成物からなるコート層を備えるフォトクロミックレンズも開示されている。しかしながら、フォトクロミック性硬化性組成物はラジカル重合性単量体を含むため光硬化を窒素雰囲気下で実施しなければならず、さらに当該硬化性組成物は硬化時に発生する重合収縮が大きい。
国際公開第2018/062384号 国際公開第2014/002844号 国際公開第2008/001875号 国際公開第1998/37115号 特開昭59−105058号公報 国際公開第99/29791号 特開2003−128713号公報
特許文献1〜7に記載の従来の技術においては以下の点に改善の余地があった。
従来のフォトクロミック樹脂は重合収縮率が大きいため寸法安定性が低い場合があった。また、フォトクロミック樹脂は柔軟性が高いことから、フォトクロミック樹脂硬化体に十分な耐擦傷性を付与するために該硬化体上にハードコート層を設ける必要があるが、従来のフォトクロミック樹脂硬化体は、ハードコート層が本来備える耐擦傷性を発現できない場合があった。
また、フォトクロミックコート液は窒素雰囲気下での光硬化が必要であり生産性に改善の余地があった。また、基材上にフォトクロミックコート液を塗布し当該コート液を硬化させる際に、重合収縮により基材が変形する場合があり、さらに、得られたコーティング層とレンズ等との密着性が不十分である場合があった。さらに、フォトクロミックコート液に含まれる溶剤や触媒に起因して、当該コート液の保存安定性が低く、ポットライフが短くなる点に改善の余地があった。
本発明者らは鋭意検討の結果、カチオン重合開始剤とカチオン重合性化合物を組み合わせることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
[1] (A)カチオン重合性化合物と、
(B)カチオン重合開始剤と、
(C)調光色素と、
を含む硬化性組成物。
[2] カチオン重合開始剤(B)は、少なくとも加熱することによりカチオン種を発生する化合物(b1)を少なくとも1種含む、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 少なくとも加熱することによりカチオン種を発生する化合物(b1)は、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミジン化合物、リンイリド化合物、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、リビングカチオン重合開始剤、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、スルホン酸エステル、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、ラジカル促進型カチオン重合開始剤から選択される少なくとも1種を含む、[2]に記載の硬化性組成物。
[4] カチオン重合開始剤(B)は、少なくとも化学放射線への暴露によりカチオン種を発生する化合物(b2)を少なくとも1種含む、[1]に記載の硬化性組成物。
[5] 少なくとも化学放射線への暴露によりカチオン種を発生する化合物(b2)は、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホン酸エステル、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、メタロセン化合物、トリアジン化合物、チオキサントン化合物、スルホンイミド化合物、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、アルミニウム錯体、ラジカル促進型カチオン重合開始剤、およびビスマス化合物から選択される少なくとも1種を含む、[4]に記載の硬化性組成物。
[6] カチオン重合性化合物(A)は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、プロペニルエーテル化合物、エピスルフィド化合物、チエタニル化合物、ビニルスルフィド化合物、プロペニルスルフィド化合物、およびビニル化合物から選択される少なくとも1種以上を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7] カチオン重合性化合物(A)は、下記一般式(a)および(b)で表される化合物から選択される少なくとも1種含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
Figure 2021059681
(一般式(a)中、R〜Rは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団であり、環構造を有してもよい。XおよびYはWに示される基であり、同一でも異なっていてもよい。Wに示される基のQのうち、一つは結合手を示し、その他のQは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団を示す。)
Figure 2021059681
(一般式(b)中、Rは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団であり、環構造を有してもよい。Wに示される基のQのうち、一つは結合手を示し、その他のQは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団を示す。)
[8] 調光色素(C)は、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、ビスイミダゾール化合物から選択される少なくとも1種の化合物である、[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9] 調光色素(C)は、ポリアルキル基、ポリエーテル基、ポリアルキレンオキシ基、ポリシロキサン基、ポリカプロラクトン基、ポリカーボネート基、ポリエステル基、ポリ(メタ)アクリレート基、ポリ(チオ)ウレタン基、ポリエポキシ基、から選択される少なくとも1種の基を備える、[8]に記載の硬化性組成物。
[10] さらに添加剤(D)を含み、
添加剤(D)は、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソ(チオ)シアナート基、(チオ)カルボキシル基、酸無水物基、リン酸基、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、アクリル基、メタクリル基、およびアリル基から選択される少なくとも1種の基を備える化合物である、[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性組成物からなるコーティング組成物。
[12] [1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化した硬化体。
[13] 厚さが、1〜100μmである[12]に記載の硬化体。
[14] [12]に記載の硬化体からなるレンズ。
[15] レンズと、
前記レンズの少なくとも一方の面に形成された、[12]または[13]に記載の硬化体からなるコート層と、
を備える、コート層付きレンズ。
本発明の硬化性組成物によれば、重合収縮率が低く寸法安定性に優れ、基材や他層との密着性に優れたフォトクロミック樹脂を得ることができる。また、本発明の硬化性組成物からなる硬化体は、該硬化体上に形成されるハードコート層の耐擦傷性を効果的に発現させることができる。さらに、硬化性組成物を光などの化学放射線を使用して硬化する際は、大気雰囲気下で硬化が可能であり生産性に優れる。
本発明の硬化性組成物を、実施の形態に基づいて説明する。
<硬化性組成物>
本実施形態の硬化性組成物は、カチオン重合性化合物(A)と、カチオン重合開始剤(B)と、調光色素(C)と、を含む。
本実施形態の硬化性組成物によれば、重合収縮率が低く寸法安定性に優れ、基材や他層との密着性に優れたフォトクロミック樹脂を得ることができる。また、本発明の硬化性組成物からなる硬化体は、該硬化体上に形成されるハードコート層の耐擦傷性を効果的に発現させることができる。さらに、硬化性組成物を光などの化学放射線を使用して硬化する際は、大気雰囲気下で硬化が可能であり生産性に優れる。
また、本実施形態の硬化性組成物は、保存安定性が高く、ポットライフが長いため製造安定性に優れる。
[カチオン重合性化合物(A)]
カチオン重合性化合物(A)は、本発明の効果を発揮することができ、カチオン重合開始剤(B)により重合する化合物であれば、特に限定されず用いることができる。
本実施形態において、カチオン重合性化合物(A)は、好ましくはエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、プロペニルエーテル化合物、エピスルフィド化合物、チエタニル化合物、ビニルスルフィド化合物、プロペニルスルフィド化合物、ビニル化合物を挙げることができ、これらから選択される少なくとも1種以上を用いることができる。
エポキシ化合物としては、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、グリシジルエステル系化合物、グリシジルアミン系化合物、複素環式エポキシ化合物、変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有ポリマー化合物、重合性官能基有するエポキシ化合物等を挙げることができる。
脂肪族エポキシ化合物としては、具体的には、脂肪族構造を有するグリシジルエーテル化合物、不飽和結合をエポキシ化することにより得られる化合物等を挙げることができる。
脂肪族構造を有するグリシジルエーテル化合物として、具体的にn−ブチルグリシジルエーテル等の単官能のグリシジルエーテル化合物;
エチレングリコールジグリシジルエーテル等の2官能のグリシジルエーテル化合物;
ペンタエリスリトール等の3官能以上の脂肪族アルコール化合物と1つのエピハロヒドリンまたは複数のエピハロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル化合物;
スピログリコール等の2官能の脂環式骨格を有するアルコール化合物と1つのエピハロヒドリンまたは2つのエピハロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル化合物;
シクロヘキサントリオール等の3官能以上の脂環式骨格を有するアルコール化合物と1つのエピハロヒドリンまたは複数のエピハロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル化合物;
等を挙げることができる。
不飽和結合をエポキシ化することにより得られる化合物として、具体的にエポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化アルファオレフィン、エポキシ化植物油、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化脂肪酸エステル等を挙げることができる。
脂肪族エポキシ化合物の市販品として、具体的にエポライトシリーズ(以上、共栄社化学(株)製)、デナコールシリーズ(以上、ナガセケムテックス(株)製)、YEDシリーズ(以上、三菱ケミカル(株)製)、エポトートシリーズ(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、X-22-4741、KF-1002、KF-1005、X-22-163、KF-105、X-22-163A、X-22-163B、X-22-163C、X-22-173BX、X-22-173DX、X-22-9002、(以上、信越化学工業(株)製)、エポリード PB3600、エポリード PB4700(以上、(株)ダイセル製)等を挙げることができる。
脂環式エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を有する化合物が挙げられる。具体的には、シクロヘキセンオキサイド骨格(エポキシシクロヘキシル基)を有する化合物、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加した化合物等が挙げられる。
シクロヘキセンオキサイド骨格を有するエポキシ化合物としては、具体的にシクロヘキセンオキサイド、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、アルファピネンオキサイド、リモネンモノオキサイド、リモネンジオキサイド、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε-カプロラクトン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等が挙げられる。
上記の環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加した化合物としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物の市販品として、具体的にHXO(以上、東レ・ファインケミカル(株)製)、セロキサイド8000、セロキサイド8010、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド 2000、EHPE3150、EHPE3150CE、エポリード GT401、サイクロマー M100(以上、(株)ダイセル社製)、EPICLON HP-7200L、EPICLON HP-7200、EPICLON HP-7200H、EPICLON HP-7200HH、EPICLON HP-7200HHH(以上、DIC(株)製)KBM-303、X-22-169AS、X-22-169B、X-22-2046、KF-102、X-40-2669、X-40-2670、X-40-2678、KR-470、(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノール骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環を有するグリシジル化合物等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物としては、具体的には、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のヒドロキシ基を有する化合物の水酸基とエピハロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル化合物;
ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ化合物、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルアルコール等のヒドロキシ基を有する化合物の水酸基とエピハドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル化合物;
ビスフェノールAビス(エチレングリコール)等のヒドロキシ基を有する化合物の水酸基とエピハドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル化合物;
等が挙げられる。これら、芳香族エポキシ化合物は、複数のポリオール化合物と複数のエピハロヒドリンとが反応した重合体であっても良い。複数のポリオール化合物と複数のエピハロヒドリンとが反応した重合体は一般的に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等と呼ばれる。
上記ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、フェノール、クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド等を反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと反応することにより得られるグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物の市販品として、具体的にエポライト3002(N)(以上、共栄社化学(株)製)、デナコールシリーズ(以上、ナガセケムテックス(株)製)、jERシリーズ(以上、三菱ケミカル(株)製)、エポトートシリーズ(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、オンコートシリーズ(以上、大阪ガスケミカル(株)及びナガセケムテックス(株)製)、EPICLONシリーズ(以上、DIC(株)製)等を挙げることができる。
水添エポキシ化合物として、具体的に上記の芳香族エポキシ化合物の芳香環部分を水素化した化合物等が挙げられる。
水添エポキシ化合物の市販品として、具体的にエポライト4000(以上、共栄社化学(株)製)、デナコールEX-252(以上、ナガセケムテックス社製)、エポトートST-3000、エポトートST-4000D(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、SR-SBA(以上、阪本薬品工業(株)製)、リカレジンHBE-100、リカレジンDME-100(以上、新日本理化(株)製)等を挙げることができる。
グリシジルエステル系化合物としては、具体的にジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
グリシジルエステル系化合物の市販品として、具体的にデナコールシリーズ(以上、ナガセケムテックス(株)製)等を挙げることができる。
グリシジルアミン化合物としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルアミン化合物の市販品として、具体的にエポトートYH-434、エポトートYH-434L(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)等を挙げることができる。
複素環式エポキシ樹脂としては、トリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌレート型エポキシ樹脂、ジグリシジルヒダントイン、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン等のヒダントイン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
複素環式エポキシ樹脂の市販品として、具体的にTEPICシリーズ(以上、日産化学(株)製)を挙げることができる。
変性エポキシ樹脂としては、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、キレート変性エポキシ樹脂を挙げることができる。
変性エポキシ樹脂の市販品として、具体的にアデカレジン EPU-6、アデカレジン EPU-7(以上、(株)ADEKA製)等を挙げることができる。
エポキシ基含有ポリマー化合物としては、エポキシ基含有アクリル・スチレン系ポリマー、エポキシ基含有アクリル系ポリマー等を挙げることができる。
エポキシ基含有ポリマー化合物の市販品として、具体的にマープルーフシリーズ(以上、日油(株)製)等を挙げることができる。
重合性官能基を有するエポキシ化合物として具体的に、アリル基を有するグリシジルエーテル化合物、アクリル基を有するグリシジルエーテル化合物、メタクリル基を有するグリシジルエーテル化合物、アルコキシシリル基を有するグリシジルエーテル化合物等を挙げることができる。
重合性官能基を有するエポキシ化合物としてより具体的に、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
重合性官能基有するエポキシ化合物の市販品として、4HBAGE(以上、三菱ケミカル(株)製)、アリルグリシジルエーテル(以上、四日市合成(株)製)、サイクロマー M100(以上、(株)ダイセル社製)、KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
オキセタン化合物として、具体的に3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチルー3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3−エチルー3−ヒロドキシメチルオキセタン、(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシメチルメタクリレート、4,4’−ビス[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、3−エチルー3−(4−ヒドロキシブチルオキシメチル)オキセタン等を挙げることができる。
オキセタン化合物の市販品として、具体的にアロンオキセタンシリーズ(以上、東亞合成(株)製)、ETERNACOLシリーズ(宇部興産(株)製)等を挙げることができる。
ビニルエーテル化合物として、具体的にメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等を挙げることができる。
ビニルエーテル化合物の市販品として、具体的に2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(以上、丸善石油化学(株)製)、NPVE、IPVE、NBVE、IBVE、EHVE、CHVE、HEVE、HBVE、CHMVE、BDVE、CHDVE、DEGDVE、TEGDVE(以上、日本カーバイド工業(株)製)等を挙げることができる。
プロペニルエーテル化合物としては、具体的にベンジル(1−プロペニル)エーテル、エチル(1-プロペニル)エーテル等を挙げることができる。
エピスルフィド化合物としては特開2005−239553号公報に記載のエピスルフィド化合物、および上記エポキシ化合物のエポキシ基中の酸素原子を硫黄原子で置換した化合物等を挙げることができる。
チエタニル化合物としては、具体的に、国際公開2003/074588号パンフレット、国際公開2008/102546号パンフレットに記載されるチエタニル化合物、および上記オキセタン化合物中のオキセタニル基の酸素原子を硫黄原子で置換した化合物等を挙げることができる。
ビニルスルフィド化合物としては、具体的にエチルビニルスルフィド、および上記ビニルエーテル化合物中のビニルエーテル基の酸素原子を硫黄原子で置換した化合物等を挙げることができる。
プロペニルスルフィド化合物としては、ビス(1−プロペニル)スルフィド、および上記プロペニルエーテル化合物中のプロペニルエーテル基の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物等を挙げることができる。
ビニル化合物としては具体的に、エチレン、プロピレン、スチレン等を挙げることができる。
カチオン重合性化合物(A)は、下記一般式(a)および(b)で表される化合物から選択される少なくとも1種含むことが好ましい。
Figure 2021059681
一般式(a)中、R〜Rは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団であり、環構造を有してもよい。XおよびYはWに示される基であり、同一でも異なっていてもよい。Wに示される基のQのうち、一つは結合手を示し、その他のQは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団を示す。
「水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団」としては、アルキレン基、オキシアルキレン基、アリレン基、及びこれらの官能基を有する原子団、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルフィド結合、シロキサン結合、及びこれらの結合を有する原子団、カチオン性反応基を有する原子団等を挙げることができる。
このような一般式(a)で表される化合物としては、アロンオキセタン OXT−221(東亞合成(株)製、3−エチルー3{[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン)、アロンオキセタン OXT−121(東亞合成(株)製、1,4−ビス[(3−エチルー3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン)、セロキサイド 2021P((株)ダイセル製、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、セロキサイド 2081((株)ダイセル製、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポリード GT−401((株)ダイセル製、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε−カプロラクトン)、デナコール EX−212(ナガセケムテックス(株)製、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)等を挙げることができる。
Figure 2021059681
一般式(b)中、Rは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団であり、環構造を有してもよい。Wに示される基のQのうち、一つは結合手を示し、その他のQは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団を示す。
「水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団」としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等の官能基、及びこれらの官能基を有する原子団、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルフィド結合、シロキサン結合等を有する原子団等を挙げることができる。
一般式(b)で表される化合物としては、n−ブチルグリシジルエーテル、PGE(阪本薬品工業(株)製、フェニルグリシジルエーテル)等を挙げることができる。
[カチオン重合開始剤(B)]
カチオン重合開始剤(B)としては、本発明の効果を発揮することができれば特に限定されず用いることができるが、具体的には(1)加熱することによりカチオン種を発生する化合物、(2)光などの化学放射線への暴露によりカチオン種を発生する化合物、および(3)加熱と光などの化学放射線への暴露のいずれによってもカチオン種を発生する化合物、を挙げることができる。
本発明において、「少なくとも加熱することによりカチオン種を発生する化合物(b1)」は、前記(1)および前記(3)から選択される少なくとも1種であり、「少なくとも化学放射線への暴露により化学種を発生する化合物(b2)」は、前記(2)および前記(3)から選択される少なくとも1種である。したがって、化合物(b1)および化合物(b2)のいずれにも含まれる化合物が存在する。
本実施形態において、カチオン重合開始剤(B)は、少なくとも加熱することによりカチオン種を発生する化合物(b1)を少なくとも1種、または少なくとも化学放射線への暴露によりカチオン種を発生する化合物(b2)を少なくとも1種含む。
少なくとも加熱することによりカチオン種を発生する化合物(b1)としては、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミジン化合物、リンイリド化合物、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、リビングカチオン重合開始剤、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、スルホン酸エステル、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、ラジカル促進型カチオン重合開始剤等を挙げることができ、これらから選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、
アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミジン化合物、リンイリド化合物、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、リビングカチオン重合開始剤、および五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
少なくとも光などの化学放射線への暴露によりカチオン種を発生する化合物(b2)としては、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホン酸エステル、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、メタロセン化合物、トリアジン化合物、チオキサントン化合物、スルホンイミド化合物、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、アルミニウム錯体、ラジカル促進型カチオン重合開始剤、ビスマス化合物等を挙げることができ、これらから選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、
スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、メタロセン化合物、トリアジン化合物、チオキサントン化合物、スルホンイミド化合物、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、アルミニウム錯体、ラジカル促進型カチオン重合開始剤、およびビスマス化合物から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
カチオン重合開始剤の中でオニウム塩類のものは、対アニオンとして求核性の低いアニオンを有することが好ましい。対アニオンについてはは求核性が低いほどカチオン重合性が高くなる。また、オニウムイオンについては、その構造を変化させることにより、重合開始温度の制御や重合開始光の波長制御、重合性組成物の貯蔵安定性の調整などが可能となる。また、リビングカチオン重合に関しては、対アニオンはヨードニウムアニオン、過塩素酸アニオンなどが望ましい。
求核性の低いアニオンとして、好ましくは、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、ヘキサフルオロホスホネートイオン、ヘキサフルオロアルセナートイオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、トリシアノメタニドイオン、テトラフェニルホウ素アニオン、テトラキス(4−フルオロフェニル)ホウ素アニオンを用いることができる。
アンモニウム塩として、具体的には、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド等を挙げることができる。
ピリジニウム塩として、具体的には1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート等を挙げることができる。
ホスホニウム塩として、具体的にはアミルトリフェニルホスホニウムブロミド等を挙げることができる。
ヒドラジニウム塩として、具体的にはChemistry Letters, 1995年, 24巻, No.4, 287-288ページに記載されるヒドラジニウム塩化合物等を挙げることができる。
カルボン酸エステルとして、具体的にはMacromolecules, 1995年, 28巻, 4334-4339ページに記載されるカルボン酸エステル、カルボン酸ヘミアセタールエステル化合物等を挙げることができる。
スルホン酸エステルとして、具体的にはp−トルエンスルホン酸シクロヘキシル、p−ニトロベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、ベンゼンスルホン酸シクロヘキシル、Polymeric materials, science and engineering誌、1988年、59巻、289ページに記載のベンゾインスルホナート化合物、Macromolecules誌、1988年、21巻、2001-2006ページに記載のo-ニトロベンジルスルホナート化合物等を挙げることができる。
リン酸エステルとして、具体的にはMacromolecules, 2000年, 33巻, 2359-2363ページ、Macromolecules, 1999年, 32巻, 8291-8295ページに記載されるリン酸エステル化合物等を挙げることができる。
チオリン酸エステルとして、具体的にはChemistry Letters誌, 2000年, 29巻, 2号, 100-101ページに記載されるチオリン酸エステル、ジチオりん酸 O,O'-ジエチル、ジチオりん酸 O,O'-ジメチル、クロロチオりん酸ジメチル、クロロチオりん酸ジエチル等を挙げることができる。
アミジン化合物として、具体的にはジシアンジアミド等を挙げることができる。
リンイリド化合物として、具体的にはMacromolecules誌、2000年、33巻、5384-5387ページ、Macromolecules誌、1999年、32巻、4751-4756ページに記載の化合物等を挙げることができる。
ハロゲン化ホウ素アミン錯体として、具体的には三ふっ化ほう素エチルアミン、三ふっ化ほう素ピペリジニウム等を挙げることができる。
リビングカチオン重合開始剤として、具体的にはChemical Reviews誌, 2009年, 109巻, 5245-5287ページに記載されるリビングカチオン重合開始剤、ヨウ化水素−ヨウ素、ヨウ化水素−ヨウ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)水和物等を挙げることができる。
スルホニウム塩として、具体的にはベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート等のベンジルスルホニウム塩;エチル−α−(テトラヒドロチオフェニウムメチル)アクリレートヘキサフルオロアンチモネート等のチオラニウム塩;トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート等のその他スルホニウム塩;等が挙げられる。
ヨードニウム塩として、具体的には4-イソプロピル-4'-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等が挙げられる。
ジアゾニウム塩として、具体的には4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラート等を挙げることができる。
メタロセン化合物として、具体的にはキシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
トリアジン化合物として、具体的には2-(3,4-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等を挙げることができる。
チオキサントン化合物として、具体的にはS−ビフェニル 2−イソプロピル チオキサントニウム ヘキサフルオロホスフェート等を挙げることができる。
スルホンイミド化合物として、具体的にはN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。
β−ケトスルホンとして、具体的にはEuropean Polymer Journal誌、1993年、29巻、1079-1088ページに記載の化合物、Die Makromolekulare Chemie, Rapid Communications誌、1983年、4巻、539-541ページに記載の化合物等を挙げることができる。
イミノスルホナートとして、具体的にはMakromolekulare Chemie, Rapid Communications誌、1984年、5巻、689-693ページに記載の化合物等を挙げることができる。
アルミニウム錯体として、具体的にはアルミニウム錯体-シリルエーテル系触媒、日本化学会誌(化学と工業)、1993年、1号、1-14ページに記載の化合物等を挙げることができる。
ラジカル促進型カチオン重合開始剤はラジカル発生剤とオニウム塩からなる。ラジカル発生剤はラジカル重合開始剤等を用いることができる。
ラジカル促進型カチオン重合開始剤の組成物であるラジカル発生源として、具体的に、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤等を挙げることができる。
熱ラジカル重合開始剤として、具体的にメチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド化合物;イソブチリルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド化合物; トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、t−ヌチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド化合物; 1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール化合物; α−クミルパーオキシネオデカノエート等のアルキルパーエステル化合物; ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤として、具体的にジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン系光ラジカル重合開始剤;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン系光ラジカル重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光ラジカル重合開始剤;ビス(2,4,6 −トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤;等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤の市販品として、イルガキュアシリーズ(BASF社製)、エサキュアシリーズ(ランベルティー社製)等が挙げられる。
ラジカル促進型カチオン重合開始剤の組成物であるオニウム塩として、具体的には上記のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩などを用いることができる。
ビスマス化合物として具体的に、特願2008-61205に記載のビスマス化合物を挙げることができる。
カチオン重合開始剤の市販品として、具体的にはSP−170、SP−172(以上、(株)ADEKA製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−180L、サンエイドSI−110、サンエイドSI−145、サンエイドSI−150、サンエイド SI−150L、サンエイドSI−160、サンエイドSI−180(以上、三新化学工業(株)製)、CPI−410S、CPI−310B、IK−1、CPI−200K、CPI−210S、CPI−101A、CPI−110A、CPI−100P、CPI−110P、CPI−100TF(以上、サンアプロ(株)製)等を挙げることができる。
カチオン重合開始剤として、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩を用いることが好ましい。これらのカチオン重合開始剤を用いることで、カチオン重合性化合物に対するカチオン重合開始剤の溶解度が高くなったり、カチオン重合によって得られた樹脂の色相が良かったり、良好な樹脂物性が得られたりする。
[調光色素(C)]
本実施形態において、調光色素(C)としては、本発明の効果を得ることができるものであれば特に制限はなく、フォトクロミック性能を発揮しうる従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、ピラン系化合物、オキサジン系化合物、フルギド系化合物、フルギミド系化合物、ビスイミダゾール系化合物
等から所望の調光特性や着色に応じて、1種または2種以上を用いることができる。
調光色素(C)として、例えばWO2019/001724号、WO2018/206096号、WO2015/077264号、WO2014/164046号、WO2013/052338号、WO2013/032608、特開2018-109067号公報、特開平2-28154号公報、特開昭62-288830号公報、WO94/22850、WO96/14596等に記載される調光色素が挙げられる。さらに、米国特許7,342,112に記載される二色性の調光色素等を挙げることができる。
ピラン化合物としては、スピロピラン系化合物、ベンゾピラン系化合物、ナフトピラン系化合物、フェナントロピラン系化合物等が挙げられ、例えば米国特許US5, 645, 767等に記載されるナフト[l, 2- b]ピラン骨格を有する化合物、ナフト[2, l-b]ピラン骨格を有する化合物、インデノ縮環ナフトピラン骨格を有する化合物、米国特許US5, 723, 072、米国特許US5, 698, 141、米国特許US6, 153, 126、米国特許US6, 022, 497等に記載されるヘテロ原子を有環で縮環されたナフトピラン化合物、スピロフルオレノ[l, 2-b]ピラン化合物、キノピラン化合物、スピロ(ベンズインドリン)ナフトピラン化合物、スピロ(インドリン)ベンゾピラン化合物、スピロ(インドリン)ナフトピラン化合物、スピロ(インドリン)キノピラン化合物、スピロ(インドリン)ピラン化合物、米国特許US5, 658, 501等に記載されるナフトピラン化合物等を挙げることができる。
オキサジン系化合物としては、ベンゾオキサジン化合物、ナフトオキサジン化合物、スピロオキサジン化合物、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン化合物、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン化合物、スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンゾオキサジン化合物、スピロ(ベンズインドリン)ナフトオキサジン化合物、スピロ(インドリンキノ)オキサジン化合物等を挙げることができる。
フルギド系化合物、フルギミド化合物としては、米国特許4,931,220等に記載される化合物等を挙げることができる。
調光色素(C)としては、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、およびビスイミダゾール化合物から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
調光色素の中でも、ポリアルキル基、ポリエーテル基、ポリアルキレンオキシ基、ポリシロキサン基、ポリカプロラクトン基、ポリカーボネート基、ポリエステル基、ポリ(メタ)アクリレート基、ポリ(チオ)ウレタン基、ポリエポキシ基、から選択される少なくとも1種の高分子鎖を備える化合物が好ましい。
高分子鎖を備える調光色素は、WO2009/146509公報、WO2010/20770公報、WO2012/149599公報、WO2012/162725公報に記載の方法により得られる。
高分子鎖を備える調光色素としては、Vivimed社のReversacolシリーズ等が挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。本実施形態においては、Reversacol Trent Blue、Reversacol Heath Green、Reversacol Chilli Red、Reversacol Wembley Grey、Reversacol Cayenne Red、Reversacol Peacock Blue、Reversacol Jalapeno Red、Reversacol Adriatic Blue、Reversacol Mendip Green、Reversacol Marine Blueから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
[添加剤(D)]
本実施形態の硬化性組成物は、さらに添加剤(D)を含むことができる。
添加剤(D)は、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソ(チオ)シアナート基、(チオ)カルボキシル基、酸無水物基、リン酸基、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基等から選択される少なくとも1種の基を備える化合物である。
本実施形態の硬化性組成物が添加剤(D)をさらに含むことにより、調光色素(C)のフォトクロミック性能を効果的に発揮することができたり、密着性などの樹脂物性を強化できたり、屈折率を調節できたりする。
ヒドロキシ基を備える化合物として、高分子のアルコール化合物と高分子でないアルコール化合物を挙げることができる。これらのヒドロキシ基を有する化合物は、ヒドロキシ基を1つ有していても、2つ以上有していても良い。
高分子のアルコール化合物として、ポリオレフィンポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリエポキシポリオール、フェノール樹脂等を挙げることができる。これらの高分子のアルコール化合物は、ヒドロキシ基を1つ有していても、2つ以上有していても良い。
ポリオレフィンポリオールの具体例として、水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有ポリオレフィン等を挙げることができる。
ポリオレフィンポリオールの市販品として、ポリテールH(以上、三菱ケミカル(株)製)、Poly bd、Poly ip、EPOL(以上、出光興産(株)製)等を挙げることができる。
ポリオキシアルキレンポリオールの具体例として、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル化合物、ポリオキシアルキレングリコールのモノエステル化合物、ヒドロキシ基を3つ有するポリオキシアルキレンポリオール、ヒドロキシ基を4つ以上有するポリオキシアルキレンポリオール、窒素含有型のポリオキシアルキレンポリオール等を上げることができる。
上記ポリオキシアルキレングリコールの具体例として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビス(ポリオキシエチレン)ビスフェノールAエーテル、ビス(ポリオキシプロピレン)ビスフェノールAエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体,エチレンオキシドとテトラメチレンオキシドの共重合体、プロピレンオキシドとテトラメチレンオキシドの共重合体等を挙げることができる。
ビス(ポリオキシエチレン)ビスフェノールAエーテル、及びビス(ポリオキシプロピレン)ビスフェノールAエーテルの市販品として、ニューポールシリーズ(以上、三洋化成工業(株)製)、ユニオールシリーズ(以上、日油(株)製)等を挙げることができる。
上記エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の具体例として、ポロキソマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ビスフェノールAエーテル等を挙げることができる。
上記エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の市販品として、ニューポールシリーズ(以上、三洋化成工業(株)製)、プロノンシリーズ(以上、日油(株)製)、Pluronicシリーズ(以上、BASF社製)、アデカ プルロニックシリーズ(以上、(株)ADEKA製), Antaroxシリーズ(以上、ソルベー社製), Arcolシリーズ(以上、コベストロ社製), B 053, Breox BL 19-10(以上、Cognis社製)等を挙げることができる。
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ビスフェノールAエーテルの市販品として、ユニルーブ50DB−22(日油(株)製)等を挙げることができる。
エチレンオキシドとテトラメチレンオキシドの共重合体の市販品として、ポリセリンシリーズ(日油(株)製)等を挙げることができる。
プロピレンオキシドとテトラメチレンオキシドの共重合体の市販品として、ポリセリンシリーズ(日油(株)製)等を挙げることができる
ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル化合物として、上記のポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル化合物を挙げることができる。アルキル基は任意のアルキル基であってよい。
上記ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル化合物の具体例として、ラウリルアルコールアルコキシレート、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、上記ポロキソマーのモノアルキルエーテル化合物等を上げることができる。
ポリオキシアルキレングリコールのモノエステル化合物として、上記のポリオキシアルキレングリコールとカルボン酸のモノエステル化合物を挙げることができる。カルボン酸は任意のカルボン酸であってよい。
ポリオキシアルキレングリコールのモノエステル化合物の具体例として、ポリエチレングリコールモノラウレート等を挙げることができる。
ヒドロキシ基を3つ有するポリオキシアルキレンポリオールの具体例として、ポリオキシエチレングリセルエーテル等を挙げることができる。
ヒドロキシ基を4つ以上有するポリオキシアルキレンポリオールの具体例として、ポリオキシエチレンソルビトールエーテル等を挙げることができる。
窒素含有型のポリオキシアルキレンポリオール化合物の具体例として、エチレンジアミンポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)縮合物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等の化合物等を挙げることができる。
窒素含有型のポリオキシアルキレンポリオール市販品として、アデカプルロニック シリーズ(以上、(株)ADEKA製)、アミートシリーズ(以上、花王(株)製)等を挙げることができる。
ポリラクトンポリオールの具体例として、ラクトンを開環重合して得られるポリエステル化合物等を挙げることができる。ラクトン化合物の例としては、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等があげられる。ε−カプロラクトンを開環重合して得られるポリエステル化合物はポリカプロラクトンポリオールと呼ばれる。
ポリカプロラクトンポリオールの具体例として、ε-カプロラクトンを開環重合させたポリカプロラクトン(熱可塑性ポリカプロラクトン)、ε-カプロラクトンを2価のアルコールで開環重合させたポリカプロラクトンジオール、ε-カプロラクトンを3価のアルコールで開環重合させたポリカプロラクトンポリオール、ε-カプロラクトンを4価以上のアルコールで開環重合させたポリカプロラクトンポリオール、ε-カプロラクトンとポリテトラメチレングリコールの共重合体等を挙げることができる。
ポリカプロラクトン(熱可塑性ポリカプロラクトン)の市販品として、プラクセルシリーズ((株)ダイセル製)、Capaシリーズ(以上、Ingevity社製)等を挙げることができる。
ポリカプロラクトンジオールの市販品として、プラクセルシリーズ(以上、(株)ダイセル製)、Capaシリーズ(以上、Ingevity社製)等を挙げることができる。
ε-カプロラクトンを3価のアルコールで開環重合させたポリカプロラクトンポリオールの市販品として、プラクセルシリーズ(以上、(株)ダイセル製)、Capaシリーズ(以上、Ingevity社製)、ポリライトシリーズ(以上、DIC(株)製)等を挙げることができる。
ε-カプロラクトンを4価以上のアルコールで開環重合させたポリカプロラクトンポリオールの市販品として、プラクセルシリーズ(以上、(株)ダイセル製)、Capaシリーズ(以上、Ingevity社製)等を挙げることができる。
ε-カプロラクトンとポリテトラメチレングリコールの共重合体の市販品として、Capa シリーズ(以上、Ingevity社製)等を挙げることができる。
ポリエステルポリオールの具体例として、ポリカルボン酸とポリオールの反応によって得られるポリエステルポリオール等を挙げることができる。
ポリエステルポリオールの市販品として、Kuraray Polyolシリーズ(以上、(株)クラレ製)、ポリライトシリーズ(以上、DIC(株)製)アデカニューエースシリーズ(以上、(株)ADEKA製)等を挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールの具体例として、炭酸エステルやホスゲン等とポリオール化合物を反応させて得ることができるポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオールをカプロラクトンで変性したラクトン変性ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールの市販品として、Kuraray Polyolシリーズ(以上、(株)クラレ製)、DURANOLシリーズ(以上、旭化成(株)製)等を挙げることができる。
ラクトン変性ポリカーボネートポリオールの具体例として、上記ポリカーボネートポリオールをβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物と反応させた化合物等を挙げることができる。
ラクトン変性ポリカーボネートポリオールの市販品として、ETERNACOLLシリーズ(以上、宇部興産(株)製)等を挙げることができる。
ポリウレタンポリオールの具体例として、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させた化合物等を挙げることができる。
ポリウレタンポリオールの市販品として、タケラックシリーズ(以上、三井化学(株)製)等を挙げることができる。
ポリアクリルポリオールの具体例として、水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマーと水酸基を含有しない(メタ)アクリレートモノマーの共重合体を挙げることができる。
ポリアクリルポリオールの市販品として、タケラックシリーズ(以上、三井化学(株)製)、アクリルポリオールシリーズ(以上、東レ・ファインケミカル(株)製)、エクセロール658シリーズ(以上、亜細亜工業(株)製)等を挙げることができる。
ポリエポキシポリオールの市販品として、EPICLONシリーズ(以上、DIC(株)製)等を挙げることができる。
フェノール樹脂の具体例として、酸触媒の存在下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、塩基触媒の存在下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
フェノール樹脂の市販品として、商品名PHENOLITEシリーズ(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
高分子でないアルコール化合物の単官能アルコール化合物の具体例として、メタノール、エタノール、プロパノール等を挙げることができる。
高分子でないアルコール化合物の多官能アルコール化合物の具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の2官能の脂肪族アルコール化合物;1,2,3−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の3官能以上の脂肪族アルコール化合物;スピログリコール、シクロブタンジオール等の2官能の脂環式骨格を有するアルコール化合物;シクロヘキサントリオール等の3官能以上の脂環式骨格を有するアルコール化合物;ヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン等の2つのフェノール性水酸基を有するアルコール化合物;ベンゼントリオール等の3つ以上のフェノール性水酸基を有するアルコール化合物;o−キシリレングリコール等の2官能の芳香族骨格を有するアルコール化合物;トリス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、トリス(ヒドロキシメチル)ナフタレン等の3官能以上の芳香族骨格を有するアルコール化合物;ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化アルコール化合物;ジメタノールアミン等の窒素原子を有するアルコール化合物;ビス−(2−ヒドロキシエチル)スルフィドなどの硫黄原子を含有したポリオール;トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート等の複素環骨格を有するアルコール化合物;等を挙げることができる。
アミノ基を備える化合物としては、エチレンジアミン等の1級ポリアミン化合物;ジエチルアミン等の単官能2級アミン化合物;N,N'−ジメチルエチレンジアミン等の2級ポリアミン化合物;等が挙げられる。
メルカプト基を備える化合物として、具体的に、
メタンジチオール、1,2−エタンジチオール等の脂肪族ポリチオール化合物;1,2−ジメルカプトベンゼン等の芳香族ポリチオール化合物;2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン等の複素環ポリチオール化合物;等が挙げられる。
イソ(チオ)シアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;2,5−ジイソシアナトチオフェン等の複素環ポリイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソチオシアネート等の脂肪族ポリイソチオシアネート化合物;イソホロンジイソチオシアネート等の脂環族ポリイソチオシアネート化合物;トリレンジイソチオシアネート等の芳香族ポリイソチオシアネート化合物;2,5−ジイソチオシアナトチオフェン等の含硫複素環ポリイソチオシアネート化合物等を挙げることができる。
(チオ)カルボキシル基を備える化合物としてはチオグリコール酸等が挙げられる。
酸無水物としては、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸等があげられる。
酸無水物の市販品として、HNシリーズ(以上、日立化成(株)製)、リカシッドシリーズ(以上、新日本理化(株)製)等を挙げることができる。
リン酸基を備える化合物としては、リン酸、リン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。
アルコキシシリル基を備える化合物として、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン等のアルケニル基を有するシランカップリング;p−スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート基を有するシランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のその他のシランカップリング剤;等を挙げることができる。
アルコキシシリル基を備える化合物の市販品として、KBMシリーズ、KBEシリーズ(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
ヒドロキシシリル基を備える化合物としては、上記のアルコキシシリル基を備える化合物を加水分解した化合物を挙げることができる。複数のアルコキシシリル基を有する場合は、すべてのアルコキシシリル基が加水分解されていても良いし、一部のアルコキシシリル基が分解されていても良いし、それらの混合物であっても良いし、それらの加水分解物と加水分解されていないものの混合物であっても良い。
(メタ)アクリル基を備える化合物として、具体的に、アクリル酸、メタクリル酸等の非エステル化合物;メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物;1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル化合物;M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)等のウレタン(メタ)アクリレート化合物;EBECRYLシリーズ(いずれもダイセル・オルネクス社製)、エポキシエステルシリーズ(いずれも共栄社化学社製)等のエポキシ(メタ)アクリレート化合物;等を挙げることができる。
アリル基を有する化合物として具体的に、ペンタジエン等のジエン化合物;グリセリンジアリルエーテルなどのジアリルエーテル化合物;グリセリントリアリルエーテルなどのトリアリルエーテル化合物;ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルなどのテトラアリルエーテル化合物;フタル酸ジアリルなどカルボン酸アリル化合物;ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン、トリアリルアミンなどのアリルアミン化合物;ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のアリルアンモニウム基を含有する化合物;イソシアヌル酸トリアリル;1,3−ジアリル尿素;リン酸トリアリル;ジアリルジスルフィドなどのその他のアリル化合物;等を挙げることができる。
本実施形態においては、添加剤(D)としてヒドロキシ基、イソシアナート基、カルボキシ基、酸無水物基、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基を有する化合物を用いることが好ましい。
本実施形態においては、添加剤(D)の分子量または数平均分子量は、好ましくは50〜10,000、より好ましくは100〜5,000である。分子量または数平均分子量が、上記の範囲にあることにより、カチオン硬化性樹脂の機械強度などの優れた特性を損なうことなくフォトクロミック性能を効果的に発現することができたり、密着性などの樹脂物性を強化できたり、屈折率を調節できたりする。
その他の添加剤として、ナノ構造体、ミクロ構造体を挙げることができる。
ナノ構造体、ミクロ構造体の具体例として、微粒子、ナノファイバー等を挙げることができる。
微粒子の具体例として、二酸化ケイ素、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化銀、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル、ポリウレタン等の微粒子を挙げることができる。
ナノファイバーの具体例として、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、二酸化ケイ素のナノファイバー等を挙げることができる。
本実施形態においては、上記のナノ構造体、ミクロ構造体の大きさは、3nm〜500μmが好ましい。より好ましくは、5nm〜100μmである。
[その他の成分]
本実施形態の組成物は、さらに紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、増感剤、内部離型剤、レベリング剤、金属塩などのカチオン重合開始剤の活性化剤、ラジカル重合開始剤、増感剤、溶媒、ブルーイング剤、IRカット剤、ブルーライトカット剤、反応性希釈剤、油溶染料、顔料、色素、香料、充填剤、カップリング剤等の密着性向上剤、鎖延長剤、架橋剤、消泡剤、沈殿防止剤、分散剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、防菌剤、防カビ剤、艶消し剤、増粘剤、顔料分散剤、ハジキ防止、耐擦傷性向上剤、スリップ剤、表面改質剤、色分かれ防止剤、乳化剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、イオン交換樹脂、硬化性組成物の保存性を高めるための重合禁止剤、重合抑制剤等をさらに含んでいてもよい。
紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外吸収剤、ジフェニルアクリレート系紫外線吸収剤、フェノール系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系、オキサニリド系紫外線吸収剤紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的に、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイビジルメチル)フェノール等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としてTinuvinシリーズ(以上、BASF社製)、Seesorbシリーズ(シプロ化成株式会社製)等を挙げることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤として具体的に、2−(4−フェノキシ−2−ヒドロキシ−フェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤の市販品として、チヌビン400、チヌビン405、チヌビン460、チヌビン479(以上、BASF社製)、EVERSORB 40(以上、EVER LIGHT社製)等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として具体的に、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤の市販品として、Chimassorb 81 FL、Chimassorb 81(以上、BASF社製)、EVERSORB 11、EVERSORB 12(以上、EVER LIGHT社製)等を挙げることができる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤として具体的に、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等を挙げることができる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤の市販品として、チヌビン120(以上、BASF社製)を挙げることができる。
マロン酸エステル系紫外線吸収剤の具体例として、p−フェニレンビス(メチレンマロン酸)テトラエチルエステル、ジメチルp−メトキシベンジリデンマロネート等を挙げることができる。
マロン酸エステル系紫外線吸収剤の市販品として、ホスタビンPR−25、ホスタビンB−CAP(以上、クラリアントケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
オキサニリド系紫外線吸収剤の具体例として、2−エチル−2'−エトキシ−オキサニリド、2−イソドデシル−2’−エトキシオキサニリド等を挙げることができる。
オキサニリド系紫外線吸収剤の市販品として、商品名ホスタビンVSU、ホスタビン3206(以上、クラリアントケミカルズ(株)製)、チヌビン312(以上、BASF社製)等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、t−ブチルカテコール、メキノール、没食子酸プロピル等のフェノール系酸化防止剤;
アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル等の食品添加物系の酸化防止剤;
亜硫酸、亜硫酸ナトリウム 等の硫黄原子含有酸化防止剤;
亜りん酸トリフェニル等のリン原子含有酸化防止剤;
N,N'-ジフェニル-1,4-フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤;
等を挙げることができる。
酸化防止剤の市販品として、Irganoxシリーズ(以上、BASF社製)SUMILIZERシリーズ(以上、住友化学(株)製)アデカスタブシリーズ(以上、(株)ADEKA製)、HOSTANOX O3、HOSTANOX O310(以上、クラリアントケミカルズ(株)製)等のフェノール系酸化防止剤;Irganoxシリーズ(以上、BASF社製)等の硫黄原子含有酸化防止剤;Irgafosシリーズ(以上、BASF社製)等のリン原子含有酸化防止剤;NA-LUBE AO-130、NA-LUBE AO-142(以上、KING INDUSTRYIES社製)、ANTAGEOD、ANTAGEDDA、ANTAGELDA、ANTAGERD、ANTAGE3C、ANTAGE6C、ANTAGEAW(以上、川口化学工業(株)製)等のアミン系酸化防止剤;
等を挙げることができる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等を挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的にセバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)等を挙げることができる。ヒンダードアミン系光安定剤の市販品として、Tinuvinシリーズ(以上、BASF社製)等を挙げることができる。
内部離型剤としては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン、ポリオレフィンワックス、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物、ポリオキシアルキレングリコールモノエステル化合物、フッ素原子含有化合物、フッ素原子含有ポリ(メタ)アクリル化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、界面活性剤、鉱物油、等を用いることができる。それぞれ単独または2種類以上混合して使用することできる。
レベリング剤としては、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物、ポリオキシアルキレングリコールモノエステル化合物、フッ素原子含有化合物、界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤等を挙げることができる。
金属塩などのカチオン重合開始剤の活性化剤として、具体的には塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛等を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤として、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤等を挙げることができる。熱ラジカル重合開始剤として、上記の熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤として、上記の光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
増感剤として、例えば、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体、チオキサントン誘導体等を挙げることができる。
本発明で用いることのできる多環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体が好ましい。置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、特に炭素数1〜8のものが好ましい。アラルキルオキシ基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、特に炭素数7〜8のベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基が好ましい。
本発明に用いることのできるこれらの増感剤を例示すると、カルバゾール、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体;1−ナフトール等のナフタレン誘導体;9,10−ジメトキシアントラセン等のアントラセン誘導体;1,4−ジメトキシクリセン等のクリセン誘導体;9−ヒドロキシフェナントレン誘導体;チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;等を挙げることができる。
溶媒として、具体的に
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化物類;炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等の炭酸エステル類;等を挙げることができる。沸点が40℃〜200℃のものを好ましく用いることができる。沸点が40℃よりも低いと、易接着剤を塗布する際に溶剤が揮発しやすく、固形分が高くなって均一な膜厚で塗布することが難しくなる。沸点が200℃よりも高いと、溶剤を乾燥しづらくなる。なお、溶剤は2種以上用いてもよい。
上記充填剤としては、例えば、タルク、石綿、シリカ、マイカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム等の無機フィラーや、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機フィラー等が挙げられる。
本発明の目的を阻害しない範囲で、本発明の硬化性組成物から得られる硬化体の耐久性を向上させるために、硬化体中に発生した酸と反応する化合物又はイオン交換樹脂を含有してもよい。
上記発生した酸と反応する化合物としては、酸と中和する物質、例えば、アルカリ金属の炭酸塩若しくは炭酸水素塩、又は、アルカリ土類金属の炭酸塩若しくは炭酸水素塩等が挙げられる。具体的には例えば、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が用いられる。
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換型、陰イオン交換型、両イオン交換型のいずれも使用することができるが、特に塩化物イオンを吸着することのできる陽イオン交換型又は両イオン交換型が好適である。
[硬化性組成物の製造方法]
本実施形態の硬化性組成物は、カチオン重合性化合物(A)と、カチオン重合開始剤(B)と、調光色素(C)と、必要に応じて前記添加剤またはその他の前記成分とを、従来公知の方法で混合して、調製することができる。必要に応じて、混合過程や混合後に、加熱、冷却、脱気、脱水、脱溶媒、超音波処理、プレポリマー化、酸化、還元、不活性ガスによるバブリング、等を行ってよい。
上記の添加剤の添加量は、カチオン重合性化合物(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜300重量部、より好ましくは、0.5〜200重量部の量で添加することができる。添加剤の添加量が、上記の範囲にあることにより、カチオン硬化性樹脂の機械強度などの優れた特性を損なうことなくフォトクロミック性能を効果的に発現することができたり、密着性などの樹脂物性を強化できたり、屈折率を調節できたりする。
調光色素(C)は、本発明の効果の観点から、カチオン重合性化合物(A)またはカチオン重合性化合物(A)と添加剤とを合わせた重量に対して、好ましくは、10ppm〜200,000ppm、より好ましくは50〜100,000ppmの量で用いることができる。上記の範囲にあることにより、カチオン硬化性樹脂の機械強度などの優れた特性を損なうことなくフォトクロミック性能を効果的に発現することができる。
カチオン重合開始剤(B)は、本発明の効果の観点から、カチオン重合性化合物(A)またはカチオン重合性化合物(A)と添加剤とを合わせた重量に対して、好ましくは、10〜200,000ppm、より好ましくは50〜100,000ppmの量で用いることができる。上記の範囲にあることにより、カチオン硬化性樹脂の効果的に重合させ、優れた機械強度、色相、外観などの特性を有するカチオン硬化性樹脂を得ることができる。
溶媒を除く上記のその他の成分は、本発明の効果の観点から、カチオン重合性化合物(A)またはカチオン重合性化合物(A)と添加剤とを合わせた重量に対して、好ましくは、10ppm〜200,000ppm、より好ましくは50〜100,000ppmの量で用いることができる。上記の範囲にあることにより、優れた機械強度、耐候性、色相、外観などの特性を有するカチオン硬化性樹脂を得ることができる。
上記の溶媒は、本発明の効果の観点から、カチオン重合性化合物(A)またはカチオン重合性化合物(A)と添加剤とを合わせた重量を100重量部として、好ましくは、0.01〜50,000重量部、より好ましくは、0.05〜10,000重量部の量で添加することができる。溶媒量が多い場合、溶媒の揮発により、重合性組成物の濃度が変動し、得られる硬化体の形状や物性が変化する可能性がある。上記の範囲にあることにより、適した粘度を有するカチオン硬化性組成物や、優れた外観を有するカチオン硬化性樹脂等を得ることができる。
本実施形態のカチオン硬化性組成物に含まれる水分は、本発明の効果の観点から、カチオン硬化性組成物の重量に対して、好ましくは0.001〜50,000ppm、より好ましくは、0.001〜10,000ppmの量で含有することができる。水分の含有量が多いと、カチオン重合が阻害され、カチオン硬化性樹脂の機械強度、色相、外観などの特性が損なわれる可能性がある。
本発明の重合性組成物の25℃における粘度は、好ましくは0.01〜10,000cPs、より好ましくは、0.1〜5,000cPsである。
アミノ基を有する化合物等の塩基性を示す化合物を多量に添加すると、カチオン重合が阻害される可能性がある。カチオン重合が阻害される場合は、予め塩基性を示す化合物を塩酸塩としてから添加することで、重合の阻害を防ぐことができる場合がある。
<用途>
本実施形態のカチオン硬化性組成物は、光などの化学放射線の照射または加熱により重合硬化させて硬化体を得ることができる。光などの化学放射線の照射と加熱は自由に組み合わせることができる。例えば、化学放射線の照射後に加熱、加熱後に化学放射線の照射、加熱しながら化学放射線の照射、加熱した後に化学放射線を照射し再度加熱、等のように任意に組み合わせることができる。
化学放射線としては、X線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、深紫外線、紫外線、可視光、赤外線、電波、マイクロ波等があげられ、とりわけ紫外線または可視光の場合に特に有用である。紫外線または可視光については、200〜450nmの波長の光を含むことが望ましい。
紫外線を使用する場合は、太陽光、ケミカルランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UVLED等の光源を使用することができる。必要に応じて、特定波長カットフィルター、熱線カットフィルター、オゾン発生を抑制する波長カットフィルターを使用したり、紫外線照射中に硬化性組成物を冷却したり加熱したりすることができる。
上記カチオン硬化性組成物を注型重合、モールド成形、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、真空成形等の慣用の成形法を使用することによって、各種成形体を製造することができる。
また、上記カチオン硬化性組成物を基材上にコーティングして光などの化学放射線又は熱によって重合硬化させることにより、硬化膜や積層体、フィルムなどの成形品として得ることができる。前記基材としては、例えば、プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合物、ポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂、ポリチオエポキシ樹脂、ポリアリル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合物、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。
本発明の重合性組成物のコーティング方法は、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等を適宜選択し得る。
金属材料やセラミックス材料の無機材料や有機高分子材料のような被着材料(基材)は、界面活性剤水溶液洗浄処理、アルカリ性水溶液洗浄処理、界面活性剤含有のアルカリ性水溶液洗浄処理、酸性水溶液洗浄処理、水道水洗浄処理、純水洗浄処理、加熱処理、大気圧コロナ放電処理、コロナ炎噴射法コロナ放電処理、及び大気圧プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理、酸素プラズマ処理、窒素プラズマ処理、UVオゾン処理、微粒子を使ったポリッシング処理、研磨処理などにより基材表面を前処理しておくことが好ましい。
アルカリ性水溶液洗浄処理は、具体的に水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム塩、アミン化合物、塩基性界面活性剤等のアルカリ性物質の水溶液に基材を浸漬し、適宜、加熱したり、超音波を加えたりして行われる。アルカリ性水溶液の濃度は、0.1〜20重量パーセントが好ましい場合が多い。加熱温度は、30〜70℃が好ましい場合が多い。アルカリ性水溶液洗浄処理の後は、水道水や純水等の中性の洗浄液で基材を洗浄し、アルカリ性物質を基材表面から取り除くことが望ましい。アルカリ性物質が基材表面に残存すると、基材表面にてカチオン重合が阻害され、密着性不良や外観不良等の不具合の原因となる場合がある。
本発明の重合性組成物を用いて作製したフォトクロミック成形体やフォトクロミックコート等に対して、さらにコーティングを施してもよい。コーティングを施す前にフォトクロミック成形体やフォトクロミックコートの表面は、上記の界面活性剤水溶液洗浄処理、アルカリ性水溶液洗浄処理、界面活性剤含有のアルカリ性水溶液洗浄処理、酸性水溶液洗浄処理、水道水洗浄処理、純水洗浄処理、加熱処理、大気圧コロナ放電処理、コロナ炎噴射法コロナ放電処理、及び大気圧プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理、酸素プラズマ処理、窒素プラズマ処理、UVオゾン処理、微粒子を使ったポリッシング処理、研磨処理などにより基材表面を前処理しておくことが好ましい。
JIS K7127(1999)に準拠して測定される23℃における硬化体の引張弾性率は0.001〜1MPa、好ましくは0.01〜0.5MPaとすることができる。これにより、フォトクロミック性能をより効果的に発揮することができる。
硬化体のTgは−100〜150℃、好ましくは−80〜120℃とすることができる。これにより、フォトクロミック性能をより効果的に発揮することができる。
硬化体のフィッシャー微小硬度は30〜200ニュートン/平方ミリメートル、好ましくは、50〜150ニュートン/平方ミリメートルとすることができる。これにより、フォトクロミック性能をより効果的に発揮することができる。
プルフリッヒ屈折計を用い、20℃でナトリウムのD線を用いて測定した、本発明の重合性組成物を重合して得られた硬化体の屈折率は、1.40〜1.80、好ましくは1.50〜1.75の値となる場合が多い。
本発明の硬化性組成物はフォトクロミック塗料、フォトクロミック成形体を得るための原料として用いることができる。本発明の硬化性組成物を重合硬化して得られた硬化体は様々なフォトクロミック材料、光学材料において用いることができる。フォトクロミック材料、光学材料の具体例として、フォトクロミックコート層付きガラス、フォトクロミックフィルム、フォトクロミックフィルター、フォトクロミックサングラス、フォトクロミックレンズ、貼り合わせ式のフォトクロミックレンズ、フォトクロミック偏光レンズ、貼り合わせ式のフォトクロミック偏光レンズ、フォトクロミックコート層付きレンズ、フォトクロミックコート層付き偏光レンズ、フォトクロミック繊維、フォトクロミック性能を有する建造物等を挙げることができる。
[フォトクロミックレンズ]
本実施形態のフォトクロミックレンズは、本実施形態の硬化性組成物から得られた硬化体からなるレンズである。レンズの厚みは0.5〜100mm程度である。
本実施形態において、フォトクロミックレンズの製造方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法として注型重合が挙げられる。はじめに、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に硬化性組成物を注入する。この時、得られるフォトクロミックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
硬化条件については、硬化性組成物の組成、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではなく、光などの化学放射線の照射および/または加熱により硬化させる。光などの化学放射線の照射と加熱は自由に組み合わせることができる。化学放射線として、紫外線を使うと好ましい場合が多い。
紫外線照射条件は、照射強度が0.1〜1,000mW/cm、積算光量が10〜5,000mJ/cm、照射時間が0.1〜500秒で行うことが好ましい場合が多い。
加熱は、一定の温度で加熱したり、温度プログラムに基づいた温調が可能な温度調節器や重合炉を使用して所定の時間、所定の温度の加熱、昇温、冷却、降温を組み合わせて加熱及び冷却したりできる。加熱条件は10〜300℃の温度で、0.1〜80時間かけて加熱することが好ましい場合が多い。加熱条件は、必要とされる硬化体の特性に応じて適宜変更できる。
フォトクロミックレンズは、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。処理温度は通常50〜150℃の間で行われるが、70〜140℃で行うことが好ましく、80〜130℃で行うことがより好ましい。
本発明のフォトクロミック硬化性組成物を硬化することによって得られた硬化体を使用して、研磨、切削、射出成型等の方法によりさらに成形し、所望の形状を有するレンズに加工してもよい。
本発明のフォトクロミックレンズは、染色してもよい。ファッション性や意匠性や審美性を向上する目的や、紫外線からレンズや目を守る目的で、色素、顔料、紫外線吸収剤等を染色して良い。
フォトクロミックレンズは必要に応じて、片面又は両面にコーティング層を施して用いてもよい。コーティング層として、具体的には、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層、帯電防止層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用することもできる。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
これらのコーティング層はそれぞれ、紫外線からレンズや目を守る目的で紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
コーティング層を設ける際は、フォトクロミックレンズの基材表面を、前処理しておくことが好ましい場合が多い。前処理としては、界面活性剤水溶液洗浄処理、アルカリ性水溶液洗浄処理、界面活性剤含有のアルカリ性水溶液洗浄処理、酸性水溶液洗浄処理、水道水洗浄処理、純水洗浄処理、加熱処理、大気圧コロナ放電処理、コロナ炎噴射法コロナ放電処理、及び大気圧プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理、酸素プラズマ処理、窒素プラズマ処理、UVオゾン処理、微粒子を使ったポリッシング処理、研磨処理などが挙げられる。
[コート層付きレンズ]
本実施形態のコート層付きレンズは、レンズと、前記レンズの少なくとも一方の面に形成された本実施形態の硬化組成物からなるコーティング組成物の硬化体であるフォトクロミックコート層と、を備える。フォトクロミックコート層の厚さは、好ましくは0.1〜1,000μm、より好ましくは1〜100μmである。
前記レンズとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレアウレタン樹脂、ポリ(チオ)ウレタン樹脂、ポリスルフィド樹脂、ポリ(メタ)(チオ)アクリレート樹脂、アリルジグリシジルカーボネート樹脂、および無機ガラスからなる群から選ばれる1種以上の材料から構成される。これらのレンズはプライマー層および/またはハードコート層等のコーティング層を有していてもよい。
フォトクロミックコート層を塗布するレンズ基材表面及びハードコート表面については、任意の化学処理を施してよい。化学処理の方法としては、例えばアルカリ性水溶液によるエッチング処理、アルカリ性界面活性剤水溶液液によるエッチング処理、界面活性剤水溶液による洗浄処理、純水による洗浄処理、UVオゾンによるエッチング処理、プラズマによるエッチング処理、微粒子を使ったポリッシング処理、研磨処理等を挙げることができる。純水や水溶液によるエッチング処理の場合、加熱や超音波照射を組み合わせることでより効果的に化学処理を施せる場合が多い。
本実施形態のコート層付きレンズは、レンズの少なくとも一方の面に硬化性組成物を塗布し、次いで硬化することにより得ることができる。塗布方法としては、スピンコート、ディップコート、ダイコート、グラビアコート、スプレーコート、カーテン(フロー)コート、バーコートなど公知の方法を挙げることができる。
そして、得られた塗布層を紫外線照射および/または加熱により硬化させてフォトクロミックコート層を得ることができる。
硬化条件、紫外線照射条件、加熱条件等は、上記フォトクロミックレンズを硬化させる場合と同様である。
硬化中の雰囲気については、大気雰囲気、窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気など任意の雰囲気を使用できる。硬化中の雰囲気の湿度については、0.001〜95%、好ましくは、0.001〜90%である。硬化中の雰囲気の湿度が高すぎる場合、カチオン硬化が、阻害され硬化体の特性や調光性能が、影響を受ける可能性がある。
フォトクロミックコート層付きレンズについては、フォトクロミックコート層上にさらにハードコート層及び/または反射防止膜等の層を設けることができる。
フォトクロミックコート層上に層を設ける場合、フォトクロミックコート層表面を化学処理してもよい。化学処理の方法としては、例えばアルカリ性水溶液によるエッチング処理、アルカリ性界面活性剤水溶液液によるエッチング処理、界面活性剤水溶液による洗浄処理、純水による洗浄処理、UVオゾンによるエッチング処理、プラズマによるエッチング処理等を挙げることができる。純水や水溶液によるエッチング処理の場合、加熱や超音波照射を組み合わせることでより効果的に化学処理を施せる場合が多い。
[コート層付き偏光レンズ]
本実施形態のコート層付き偏光レンズは、偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に形成されたレンズと、前記レンズの面に形成された本実施形態の硬化組成物の硬化体からなるフォトクロミックコート層と、を備える。
なお、本実施形態においては、偏光フィルムは前記フォトクロミック偏光レンズにおいて説明したものと同義であり、レンズは前記コート層付きレンズにおいて説明したものと同義であり、フォトクロミックコート層は前記コート層付きレンズにおいて説明したものと同義である。また、本発明の重合性組成物は、例えば国際公開WO2018/121873号パンフレット、国際公開WO2012/170287号パンフレット等に記載されるコート層付き偏光レンズを作製するためにも使うことができる。
[貼り合わせレンズ]
本発明のフォトクロミック重合性組成物は、貼り合わせ式のフォトクロミック物品を作製するために使用することができる。貼り合わせ式のフォトクロミック物品は、例えば国際公開WO2018/124063号パンフレットに記載されるフォトクロミック物品である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、評価に用いた方法と使用した装置は以下の通りである。
・透明性:
蛍光灯で照らされた室内にて、硬化体に白濁が生じているか目視にて確認した。
・屈折率(ne、nd)、アッベ数(νe、νd):
カルニュー光学工業社製のプルフリッヒ屈折計KPR−20を用い、20℃にて測定した。F’線(波長479.99nmのCdのスペクトル線)、C’線(波長643.85nmのCdのスペクトル線)、F 線(波長486.13nmのHのスペクトル線)、C線(波長656.27nmのH のスペクトル線)、e線(波長546.07nmのHgのスペクトル線)、d 線(波長587.56のHeのスペクトル線)を、樹脂サンプルに透過させて屈折率及びアッベ数を測定した。e線の波長における屈折率(ne)及びアッベ数(νe)、d線の波長における屈折率(nd)及びアッベ数(νd)の算出は、JIS B 7090:1999及びISO 7944:1998に準拠した。
・硬化体の耐熱性(ガラス転移温度、Tg):
TMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ、昇温速度10℃/min、加熱温度範囲は室温〜140℃)により、島津製作所社製の熱機械分析装置TMA−60を用いて測定した。
・重合収縮率:
(重合性組成物の硬化体の密度−重合性組成物の密度)/重合性組成物の密度×100(%)として求めた。
硬化体の比重:
20℃の純水を用いて、アルキメデス法にて測定した。
硬化体の密度:
硬化体の比重×20℃の純水の密度(g/cm)として求めた。
重合性組成物の密度:
密度浮ひょうを用いて、20℃の重合性組成物の密度を求めた。
・粘度:
(株)トキメック社製のコーンプレート型E型粘度計のDIGITAL VISCOMETER DV−U−E II型を用いて測定した。測定の際は、本E型粘度計に、コーンプレートDE−2(0)(コーン角度1°34′、コーン半径24mm)を装着し、循環水により保温されたサンプルホルダーに、約1mLのサンプルを滴下して測定した。循環水は、Advantec社製の循環式恒温水槽LCH−400により25℃に保った。コーンプレートの回転速度は20rpm、50rpm、100rpmのいずれかを適宜選択した。
・黄色度(YI値):
パルスキセノンランプを有するコニカミノルタ社製の分光測色計CM−5を用いて、ASTM E313-73に準拠し透過法にて室温にて、視野角2°、C光源として3回測定を行って得られた値の平均値として算出した。測定波長範囲は360 nm〜740 nmであり、測定は室温にて行った。
・気温及び相対湿度:
気温及び相対湿度については、testo社製の卓上温湿度計testo 608-H2を用いて、測定した。卓上温湿度計は、校正などは行わずに用いた。
・温度:
水銀温度計、エー・アンド・デイ社製の赤外線放射温度計AD-5611AやおんどとりTR-71wfを用いて測定した。温度計は、校正などは行わずに用いた。
・コート層の厚さの測定:
硬化体などのコート層の厚さは、OptoTech Optikmaschinen GmbH製のSpectrophotometer ETA−ARCを用いて測定した。使用前に、N−BK7ガラス製の1/4λの波長板により校正を行った。厚さはFourier Transformation法、またはCurve Fit法を用いて算出した。コート層の屈折率は、1.5とした。
・コート層の密着性の評価:
ニチバン社製セロテープCT405AP-18を用いた剥離試験により、JIS K5400-8.5に準拠して評価した。
・コート層の耐擦傷性の評価:
新東科学(株)製、往復磨耗試験機HEIDON トライボギア TYPE:30Sに、日本スチールウール社製のボンスター#0000のスチールウールを縦横約3cmに切断した上で両面テープを用いて装着し、1kgの荷重にて、コート表面上をスチールで10往復こすり、スチールでこすった個所を目視して観察しコート表面に生じた傷の本数や深さを確認して評価した。コート表面に生じた傷が深く本数が多いほどコートの耐擦傷性が劣る。
・UV硬化装置:
アイグラフィックス(株)製のUV照射用電源UB012−0BM−60Hz用を有し、箱型の筐体内に、アイグラフィックス(株)製のメタルハライドランプM01−L212(アーク長122mm、ランプ出力80W/cm)を有するバッチ式のUV硬化装置を使用した。本UV硬化装置は指定の時間のみ、サンプルに紫外線を照射できるようになっており、サンプルに照射するUV光の積算光量を変更できる。また、ランプの出力は750W、1,000Wの2段階で切り替えられ、サンプルとメタルハライドランプとの距離は可変であり、UV光の照射強度を変更できる。
・UVA紫外線強度の測定:
UVA(320-390nm)の波長範囲の紫外線強度は、EIT, INC.社製のUVAシングルバンド光量計UVICURE Plus IIを使用して、測定した。光量計の校正はEIT, INC.社によって行われた。
・UVC紫外線強度の測定:
UVC(250-260nm)の波長範囲の紫外線強度は、EIT, INC.社製のUVCシングルバンド光量計UVICURE Plus IIを使用して、測定した。光量計の校正はEIT, INC.社によって行われた。
・調光性能の評価:
下記の調光性能測定装置を用いて、光線透過率や視感透過率の経時変化を測定することにより評価した。
・調光性能の測定方法:
JIS T 7333:2018 (ISO 8980-3:2013)を参照し実施した。本発明の重合性組成物を硬化させて作製したフォトクロミック硬化体を発色させるための励起光源として、ウシオ電気社製キセノンランプ 300W「UXL-300SX2」を有するウシオ電気社製理化学機器用光源ユニット「オプティカルモデュレックス」MS-35AAA/FB2000使用した。励起光源の光は、エアマス2.0の光学フィルターを透過させてからフォトクロミック硬化体へ照射した。発色したフォトクロミック硬化体の光線透過率の測定は、光線透過率測定装置、大塚電子社製のマルチチャンネル分光器 MCPD-7700 を用いた。光線透過率測定用の光源として、大塚電子社製の外部光源ユニット 150Wハロゲンランプ MC-2563に約30 Vの電圧を印加して使用した。また、温度制御及び外部光遮断のため、フォトクロミック硬化体及び測定光学系は、ヤマト科学(株)製の低温恒温器IN604の中に配置した。低温恒温器は23℃に設定した。励起光源からの光及び光線透過率測定用の光の照射と遮断はシャッターにより制御した。制御及び通信が必要な機器は、パーソナルコンピューターに接続され、パーソナルコンピューター上で制御及びデータの取得を行った。励起光源から発せられた励起光は、フォトクロミック硬化体の測定面に対して約45°の斜め上方向から、所定の時間フォトクロミック硬化体に照射された。励起光源によって発色させたフォトクロミック硬化体の光線透過率を測定する際は、フォトクロミック硬化体に対して垂直方向から光線透過率測定用の光線を照射して、380〜780 nmの波長範囲において5 nm間隔で各波長の光線透過率(%)を測定した。
・視感透過率の計算:
測定した光線透過率の値を用いて、JIS T 7333:2018 (ISO 8980-3:2013)に準拠して視感透過率を算出した。
・消色時の視感透過率(%)の評価:
上記の調光性能測定装置を用いて、励起光を照射しない状態で、フォトクロミック硬化体の光線透過率を測定した。測定した光線透過率の値から視感透過率を求めた。
・発色時の視感透過率(%)の評価:
上記の調光性能測定装置を用いて、本発明の重合性組成物を硬化させた2mm厚の成形体サンプルまたは、本発明の重合性組成物を樹脂製の基材にコートした後に硬化させた積層体に、23℃の温度の下、照度50,000ルクスの条件で、励起光を15分間照射し、発色時の光線透過率を測定した。発色時の光線透過率から発色時の視感透過率を求めた。視感透過率の変化量ΔT(%)は、消色時の視感透過率と発色時の視感透過率の差として定義する。ΔTが大きいほど調光性能が高いことを示す。
・発色時のフォトクロミック硬化体の色の評価:
上記の調光性能測定装置を用いて、所定の時間発色させたフォトクロミック硬化体の光線透過率を測定した。発色時の光線透過率の測定値を用いて、C光源、380〜780 nmの波長範囲、視野角2°として、CIE 1976色空間の表色系におけるa*とb*の値を算出した。
・退色半減期F(1/2)(秒):
本発明の重合性組成物を重合させて得られたフォトクロミック硬化体に、15分間の励起光の照射の後、励起光照射を止めてから、15秒間隔で380〜780 nmにおいて5 nm間隔で各波長における硬化体の光線透過率を測定し、視感透過率を算出した。任意の時間の視感透過率は、15秒の間隔で互いに隣り合う測定点を近似直線で結ぶことにより近似的に算出した。退色半減期F(1/2)(秒)は、励起光源を止めてから、視感透過率が、(消色時の視感透過率(%)+発色時の視感透過率(%))/2 となるまでに要した時間(秒)と定義する。この時間が短いほど、退色速度が速いので調光性能が高いことになる。
実施例及び比較例において用いた略号は、以下の通りである。
(カチオン重合性化合物)
・M−1:東亞合成(株)製、アロンオキセタン OXT−221(3−エチルー3{[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン)
・M−2:東亞合成(株)製、アロンオキセタン OXT−121(1,4−ビス[(3−エチルー3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン)
・M−3:(株)ダイセル製、セロキサイド 2021P(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)
・M−4:(株)ダイセル製、セロキサイド 2081(下記式のε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)
Figure 2021059681
・M−5:(株)ダイセル製、エポリード GT−401(下記式のブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε−カプロラクトン)
Figure 2021059681
・M−6:ナガセケムテックス(株)製、デナコール EX−212(下記式の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)
Figure 2021059681
・M−7:阪本薬品工業(株)製、PGE(フェニルグリシジルエーテル)
・M−8:東京化成工業(株)製、水酸化カリウムを安定化剤として含むトリエチレングリコールジビニルエーテル
(カチオン重合開始剤)
・P−1:三新化学工業(株)製、サンエイド SI−60L(1−ナフチルメチルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを主成分、芳香族化合物を助剤、γ−ブチロラクトンを溶剤とする混合物)
・P−2:三新化学工業(株)製、サンエイド SI−100L(ベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを主成分、芳香族化合物を助剤、γ−ブチロラクトンを溶剤とする混合物)
・P−3:三新化学工業(株)製、サンエイド SI−110L(ベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスファートを主成分、芳香族化合物を助剤、γ−ブチロラクトンを溶剤とする混合物)
・P−4:サンアプロ(株)製、CPI−210S(下記式のトリアリールスルホニウム塩)
Figure 2021059681
式中、Rfはパーフルオロアルキル基を示す。
・P−5:サンアプロ(株)製、CPI−310B(下記式のトリアリールスルホニウム塩)
Figure 2021059681
・P−6:サンアプロ(株)製、CPI−410S(下記式のトリアリールスルホニウム塩)
Figure 2021059681
式中、Rfはパーフルオロアルキル基を示す。
・P−7:東京化成工業(株)製、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート
(フォトクロミック化合物)
・D−1:Vivimed社製、Reversacol Wembley Grey(ポリオキシアルキレン鎖、及び一般式(3)のナフトピラン系発色団を有するフォトクロミック化合物)
・D−2:Vivimed社製、Reversacol Heath Green(ポリオキシアルキレン鎖、及び一般式(3)のナフトピラン系発色団を有するフォトクロミック化合物)
・D−3:Corning Inc.社製、CR−173(下記式のナフトピラン系発色団を有するフォトクロミック化合物)
Figure 2021059681
(添加剤)
・A−1: Sigma−Aldrich社製、ジエチレングリコールとε−カプロラクトンを反応させたポリカプロラクトンジオール、平均分子量〜530
・A−2:Sigma−Aldrich社製、ジエチレングリコールとε−カプロラクトンを反応させたポリカプロラクトンジオール、平均分子量〜2,000
・A−3:Perstorp社製、CAPA 2302A(ブタンジオールとε−カプロラクトンを反応させたポリカプロラクトンジオール、平均分子量3,000)
・A−4:Perstorp社製、CAPA 2403D(ブタンジオールとε−カプロラクトンを反応させたポリカプロラクトンジオール、平均分子量〜4,000)
・A−5:(株)クラレ製、クラレポリオール P−2010(3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を反応させたポリエステルジオール、平均分子量2,000)
・A−6:(株)クラレ製、クラレポリオール P−3010(3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を反応させたポリエステルジオール、平均分子量3,000)
・A−7:(株)クラレ製、クラレポリオール P−4010(3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を反応させたポリエステルジオール、平均分子量4,000)
・A−8: (株)クラレ製、クラレポリオール C−2090(3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを原料とするポリカーボネートジオール、平均分子量2,000)
・A−9: (株)クラレ製、クラレポリオール C−3090(3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを原料とするポリカーボネートジオール、平均分子量3,000)
・A−10:旭化成(株)製、デュラノール T5650E(1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを原料とするポリカーボネートジオール、平均分子量〜500)
・A−11:富士フィルム和光純薬(株)製、ポリプロピレングリコール、ジオール型、3,000(ポリプロピレングリコール、平均分子量3,000)
・A−12:(株)アデカ製、アデカプルロニック L−64(エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基からなるポロキソマー化合物、平均分子量2,900)
・A−13:BASF社製、PE6200(エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基からなるポロキソマー化合物、平均分子量2,450)
・A−14:BASF社製、PE9200(エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基からなるポロキソマー化合物、平均分子量〜3,650)
・A−15:(株)アデカ製、アデカプルロニック L−101(エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基からなるポロキソマー化合物、平均分子量3,500)
・A−16:新日本理化(株)製、リカシッド MH−700(ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物)
(その他の添加剤)
・B−1:東京化成工業(株)製、ヒドロキノン(酸化防止剤)
・B−2:富士フィルム和光純薬(株)製、t−ブチルヒドロキノン
・B−3:東京化成工業(株)製、t−ブチルカテコール
・B−4:東京化成工業(株)製、p−メトキシフェノール
・B−5:東京化成工業(株)製、没食子酸プロピル
・B−6:東京化成工業(株)製、亜リン酸トリフェニル
・B−7:東京化成工業(株)製、パルミチン酸アスコルビル
・B−8:CLARIANT社製、Hostavin PR−25、(p−メトキシベンジリデンマロン酸ジメチルの構造の紫外線吸収剤)
・B−9:川崎化成(株)製、アントラキュアー(登録商標) ET−2201(増感剤)
(レンズ基材)
・基材A:
表面にハードコート層(Diamond Clear Tintable Hard Coat)を有するSEIKO Optical Products of America社製の、ポリカーボネート製、シングルビジョン、Diamond Clearレンズである。
・基材B:
表面にコート層を有しない、HOYA LENS THAILAND LTD.製の、屈折率nd1.50、アッベ数νd58、直径70mm、中心厚2.0mmのHILUX1.5である。
・基材C:以下の手順に従って、作製したレンズである。
100mLの容量のサンプル瓶に、内部離型剤としてStepan社製 ZelecUNを0.02重量部(1,000ppm)、UV吸収剤として2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(共同薬品社製 商品名バイオソーブ583)を0.3重量部(15,000ppm)、触媒としてジブチル錫(II)ジクロリドを0.01重量部(500ppm)、重合反応性化合物としてm−キシリレンジイソシアネートを10.4重量部、添加して20℃で撹拌混合し均一溶液を得た。この均一溶液に、さらに重合反応性化合物として4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを9.60重量部、添加して20℃にて撹拌混合し、均一な重合性組成物を得た。この重合性組成物を400Pa以下(3Torr以下)の減圧下にて30分〜1時間脱泡を行った後、孔径が1μmのPTFE製メンブレンフィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に4カーブ、中心厚:2mm)に注入しテープで密封した。重合性組成物を入れたガラスモールドとテープからなるキャビティーを重合オーブンに入れ、25℃から120℃まで19時間かけて徐々に昇温した後120℃で2時間保持して重合した。冷却後、ガラスモールドとテープを剥離して、内部に形成された硬化樹脂からなる成形体(プラスチックレンズ)を取り出した。得られた成形体(プラスチックレンズ)は無色透明で屈折率nd1.66、アッベ数νd32であった。
・基材D:以下の手順に従って、作製したレンズである。
100mLの容量のサンプル瓶に、内部離型剤としてStepan社製 ZelecUNを0.02重量部(1,000ppm)、UV吸収剤として2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(共同薬品社製 商品名バイオソーブ583)を0.3重量部(15,000ppm)、触媒としてジブチル錫(II)ジクロリドを0.01重量部(500ppm)、重合反応性化合物として2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンを10.12重量部、添加して20℃で撹拌混合し均一溶液を得た。この均一溶液に、さらに重合反応性化合物としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を4.78重量部、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを 5.1重量部、加えて20℃にて撹拌混合し、均一な重合性組成物を得た。これらの重合性組成物を400Pa以下(3Torr以下)の減圧下にて30分〜1時間脱泡を行った後、孔径が1μmのPTFE製メンブレンフィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に4カーブ、中心厚:2mm)に注入しテープで密封した。重合性組成物を入れたガラスモールドとテープからなるキャビティーを重合オーブンに入れ、25℃から120℃まで19時間かけて徐々に昇温した後120℃で2時間保持して重合した。冷却後、ガラスモールドとテープを剥離して、内部に形成された硬化樹脂からなる成形体(プラスチックレンズ)を取り出した。得られた成形体(プラスチックレンズ)は無色透明で屈折率ne1.60、アッベ数νe40であった。
・基材E:以下の手順に従って、作製したレンズである。
100mLの容量のサンプル瓶に、内部離型剤としてStepan社製 ZelecUNを0.02重量部(1,000ppm)、UV吸収剤として2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(共同薬品社製 商品名バイオソーブ583)を0.3重量部(15,000ppm)、触媒としてジブチル錫(II)ジクロリドを0.01重量部(500ppm)、重合反応性化合物としてm−キシリレンジイソシアネートを10.12重量部、添加して20℃で撹拌混合し均一溶液を得た。この均一溶液に、さらに重合反応性化合物として5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンの混合物を9.88重量部、添加して20℃にて撹拌混合し、均一な重合性組成物を得た。この重合性組成物を400Pa以下(3Torr以下)の減圧下にて30分〜1時間脱泡を行った後、孔径が1μmのPTFE製メンブレンフィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に4カーブ、中心厚:2mm)に注入しテープで密封した。重合性組成物を入れたガラスモールドとテープからなるキャビティーを重合オーブンに入れ、25℃から120℃まで19時間かけて徐々に昇温した後120℃で2時間保持して重合した。冷却後、ガラスモールドとテープを剥離して、内部に形成された硬化樹脂からなる成形体(プラスチックレンズ)を取り出した。得られた成形体(プラスチックレンズ)は無色透明で屈折率ne1.67、アッベ数νe31であった。
・基材F:以下の手順に従って、作製したレンズである。
100mLの容量のサンプル瓶に、触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンを0.004重量部、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミンを0.018重量部、重合反応性化合物として5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンの混合物を1.83重量部加え、20℃で撹拌混合して均一溶液を得た。この均一溶液に、UV吸収剤として2−(2-ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(BASF社製 商品名Tinuvin PS)を0.2重量部(10,000ppm)、重合反応性化合物としてビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドを18.17重量部、加えた後、20℃で撹拌混合し均一な重合性組成物を得た。この重合性組成物を400Pa以下(3Torr以下)の減圧下にて30分〜1時間脱泡を行った後、孔径が1μmのPTFE製メンブレンフィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に4カーブ、中心厚:2mm)に注入しテープで密封した。重合性組成物を入れたガラスモールドとテープからなるキャビティーを重合オーブンに入れ、30℃から80℃まで19時間かけて徐々に昇温した後80℃で2時間保持して重合した。冷却後、ガラスモールドとテープを剥離して、内部に形成された硬化樹脂からなる成形体(プラスチックレンズ)を取り出した。得られた成形体(プラスチックレンズ)は無色透明で屈折率ne1.74、アッベ数νe32であった。
[実施例1〜18]
(パートA)重合性組成物の製造
カチオン重合性化合物として、表−1に示すカチオン重合性化合物、及び調光色素として表−1に示す調光色素を、20mLの容量のガラス製のバイアルに秤量した。カチオン重合性化合物と調光色素が入ったバイアルに、撹拌子を入れてマグネチックスターラーを用いて1時間〜3日間かけて1,000〜2,000rpmの回転速度で撹拌混合した。混合の際、必要に応じて、セラミックヒーターまたはオイルバスを用いて、30〜60℃に加熱した。また、混合の際は、ガラスバイアルの蓋を閉めて外気との接触を防いだ。混合物が均一な溶液になったことを目視にて確認した後、この均一な溶液に、表−1に示す添加剤を加え、30分〜2時間かけて1,000〜2,000rpmの回転速度で撹拌混合した。混合の際、必要に応じて、セラミックヒーターまたはオイルバスを用いて、30〜60℃に加熱した。混合物が均一な溶液になったことを目視にて確認した後、この均一な溶液に、表−1に示すカチオン重合開始剤、及びその他の添加剤を加え、30分〜2時間かけて20〜30℃の室温にて1,000〜2,000rpmの回転速度で撹拌混合し、均一な重合性組成物を得た。得られた重合性組成物は、必要に応じて、400Pa以下(3Torr以下)の減圧下にて300〜800rpmの回転速度撹拌しながら30分〜1時間脱泡を行った後、孔径が1〜5μmのAdvantec社製のPTFE製のメンブレンフィルターを用いてろ過した。
(パートB)硬化体からなるコート層の作製
縦×横が6cm×6cm、厚さが2mmのタキロンシーアイ(株)製の1種Gポリカーボネートプレート(品番1600)を、回転冶具を装着したミカサ(株)製のスピンコーターMS−150Aに真空チャックで固定し、一定の回転速度で回転させた。回転している基材に、パートAで得た重合性組成物を3〜5mL、スポイトを使って10〜20秒かけて塗布した。重合性組成物の温度は、20〜30℃の室温と同じ温度であった。基材の回転速度は、重合性組成物の硬化体の層の厚さが約20〜48μmとなるように、300〜1,500rpmの範囲で適宜調節した。重合性組成物を塗布する際は、スポイトは基材の中心部から移動させずに、または基材の中心部から外側にスポイトを移動させながら滴下した。重合性組成物の滴下終了後、基材を等速のまま、さらに約30〜40秒間回転させ、重合性組成物を基材表面に均一に塗布した。重合性組成物を基材に塗布し終えたら、UV硬化装置を使って、重合性組成物の表面にUV光を照射した。重合性組成物へのUVの照射は、相対湿度が30〜70%、気温が18〜30℃の大気の雰囲気下で行った。照射したUV光の強度は、UVAの波長領域のUV光の照射強度が、62mW/cm、UVCの波長領域のUV光の照射強度が、17mW/cm、UVAの波長領域のUV光の積算光量が、1,300mJ/cmであり、UVCの波長領域のUV光の積算光量が、390mJ/cmの強度、または、UVAの波長領域のUV光の照射強度が、120mW/cm、UVCの波長領域のUV光の照射強度が、35mW/cm、UVAの波長領域のUV光の積算光量が、1,200mJ/cm、UVCの波長領域のUV光の積算光量が、380mJ/cmの強度のうち、いずれかの強度を使用した。UV光の照射が終了した後、UV硬化装置から基材を取り出し、取り出した基材を、110℃の温度に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約1時間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し室温まで冷却し、重合性組成物の硬化体からなるコート層を備える基材を得た。蛍光灯下で透明性を確認したところ、硬化体(コート層)に濁りは認められなかった。また、フォトクロミック硬化体の硬化収縮により基材が変形することはなかった。ポリエチレン製のスポイトでコート表面を擦っても、コートは簡単に削れなかった。
(パートC)調光性能の測定
パートBにて得られた重合性組成物の硬化体がコートされたサンプルの調光性能を、調光性能測定装置を使って評価した。評価した結果を表−2に示す。発色時のフォトクロミック硬化体の色はa*が−4〜2、b*が−3〜7であった。
[実施例19〜25]
上記の実施例1のパートA〜パートCと同様の手順で、表−1に示す化合物を用いて、フォトクロミック硬化体の作製及び、調光性能の測定を行った。評価した結果を表−2に示す。さらに、フォトクロミック硬化体のYI値を測定した結果を、表−3に示す。
[実施例26〜30]
上記の実施例1のパートA〜パートCと同様の手順で、表−1に示す化合物を用いて、フォトクロミック硬化体の作製及び、調光性能の測定を行った。評価した結果を表−2に示す。
[実施例31]
上記の実施例1のパートA〜パートCと同様の手順で、表−1に示す化合物を用いて、フォトクロミック硬化体の作製及び、調光性能の測定を行った。パートAにおいて作製した重合性組成物の25℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定したところ523cPsであった。調光性能を評価した結果を表−2に示す。蛍光灯下で透明性を確認したところ、硬化体に濁りは認められなかった。また、フォトクロミック硬化体の硬化収縮により基材が変形することはなかった。ポリエチレン製のスポイトでコート表面を擦っても、コートは簡単に削れなかった。
(パートD)各種レンズ基材に対するコート層の密着性評価
超音波発生装置を備えた容器中にBorer Chemie AG社製のDeconex OP148を5重量部、純水を95重量部装入した。この溶液に基材Aを浸漬して、40〜50℃で4分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して流水で3分間洗浄し、続いてこのレンズ基材を、イオン交換水を装入した超音波発生装置を備えた容器中に浸漬して、45℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して、110℃に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約30分間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し、18〜30℃の室温で30分以上放置してレンズ基材を冷却した。
超音波発生装置を備えた容器中に10重量パーセントの水酸化カリウム水溶液を装入した。この溶液に基材Bを浸漬して、50〜55℃で10分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して流水で3分間洗浄し、続いてこのレンズ基材を、イオン交換水を装入した超音波発生装置を備えた容器中に浸漬して、45℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して、110℃に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約30分間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し、18〜30℃の室温で30分以上放置してレンズ基材を冷却した。
超音波発生装置を備えた容器中に10重量パーセントの水酸化カリウム水溶液を装入した。この溶液に基材Cを浸漬して、55〜60℃で10分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して流水で3分間洗浄し、続いてこのレンズ基材を、イオン交換水を装入した超音波発生装置を備えた容器中に浸漬して、45℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して、110℃に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約30分間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し、18〜30℃の室温で30分以上放置してレンズ基材を冷却した。
超音波発生装置を備えた容器中に10重量パーセントの水酸化カリウム水溶液を装入した。この溶液に基材Dを浸漬して、50〜55℃で10分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して流水で3分間洗浄し、続いてこのレンズ基材を、イオン交換水を装入した超音波発生装置を備えた容器中に浸漬して、45℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して、110℃に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約30分間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し、18〜30℃の室温で30分以上放置してレンズ基材を冷却した。
超音波発生装置を備えた容器中に10重量パーセントの水酸化カリウム水溶液を装入した。この溶液に基材Eを浸漬して、55〜60℃で10分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して流水で3分間洗浄し、続いてこのレンズ基材を、イオン交換水を装入した超音波発生装置を備えた容器中に浸漬して、45℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して、110℃に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約30分間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し、18〜30℃の室温で30分以上放置してレンズ基材を冷却した。
超音波発生装置を備えた容器中に20重量パーセントの水酸化カリウム水溶液を装入した。この溶液に基材Fを浸漬して、55〜60℃で10分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して流水で3分間洗浄し、続いてこのレンズ基材を、イオン交換水を装入した超音波発生装置を備えた容器中に浸漬して、45℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して、110℃に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約30分間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し、18〜30℃の室温で30分以上放置してレンズ基材を冷却した。
上記の実施例1のパートAと同様の手順で、表−1に示す化合物を用いて、重合性組成物の作製を行った。得られた重合性組成物を用いて、ポリカーボネート製基材の代わりに、上記の前処理を行った基材A〜Fを用いること以外は実施例1のパートBと同様の手順で、重合性組成物の硬化体からなるコート層を有する基材A〜Fを得た。プロジェクターを用いて、透明性を確認したところ、硬化体に濁りは認められなかった。また、フォトクロミック硬化体の硬化収縮により基材が変形することはなかった。
硬化体の被膜を有する基材A〜Fを用いて密着性試験を実施したところ、フォトクロミック硬化体からなるコート層は、いずれの基材からも剥離することがなかった。
(パートE)硬化体からなるコート層に対するハードコート層の密着性評価
超音波発生装置を備えた容器中に10重量パーセントの水酸化カリウム水溶液を装入した。上記のパートDの方法で得られた、フォトクロミック硬化体のコート層を有する基材Dを、この溶液に浸漬して、55〜60℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、コート層付き基材を取り出して流水で3分間洗浄し、続いてこのコート層付き基材を、イオン交換水を装入した超音波発生装置を備えた容器中に浸漬して、45℃で5分間超音波を照射した。超音波照射後、レンズ基材を取り出して、110℃に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約30分間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し、18〜30℃の室温で30分以上放置してコート層付き基材を冷却した。
室温まで冷却されたコート層付き基材を、回転冶具を装着したミカサ(株)製のスピンコーターMS−150Aに真空チャックで固定し、一定の回転速度で回転させた。回転しているコート層付き基材のコート層上に、SDC Technologies Inc.社製のハードコート液であるMP−1179を5〜10mL、スポイトを使って10〜20秒かけて塗布した。基材の回転速度は、ハードコート層の厚さが約3〜3.5μmとなるように、300〜400rpmの範囲で適宜調節した。ハードコート液を塗布する際は、スポイトは基材の中心部から移動させずに、または基材の中心部から外側にスポイトを移動させながら滴下した。ハードコート液の滴下終了後、基材を等速のまま、さらに約160〜170秒間回転させ、ハードコート液を基材表面に均一に塗布した。ハードコート液を基材に塗布し終えたら、基材を110℃の温度に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約2時間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し室温まで冷却し、ハードコート層とフォトクロミック硬化体からなるコート層とを有する基材Dを得た。これらの層を有する基材Dを用いて、密着性試験を実施したところ、ハードコート層及びフォトクロミック硬化体からなるコート層に剥がれは認められなかった。
(パートF)耐擦傷性評価
パートEと同様の手順で得られた、ハードコート層とフォトクロミック硬化体からなるコート層とを有する基材Dを用いて、耐擦傷性試験を実施した。また、ハードコート層を有しチオウレタン樹脂基材とするフォトクロミックレンズである、Younger社製のTransitions VIIを用いて、耐擦傷性試験を実施した。これら2つのレンズに生じた傷は同程度であることを、目視で確認した。
[実施例32、33]
上記の実施例1のパートA〜パートCと同様の手順で、表−1に示す化合物を用いて、フォトクロミック硬化体の作製及び、調光性能の測定を行った。評価した結果を表−2に示す。
上記の実施例1のパートAと同様の手順で得られた重合性組成物を用いて、上記の実施例31のパートDと同様の手順で、フォトクロミック硬化体からなるコート層を有するレンズ基材B及びレンズ基材Dを得た。蛍光灯下で透明性を確認したところ、硬化体に濁りは認められなかった。また、フォトクロミック硬化体の硬化収縮により基材が変形することはなかった。ポリエチレン製のスポイトでコート表面を擦っても、コートは簡単に削れなかった。
フォトクロミック硬化体の被膜を有するレンズ基材B及びレンズ基材Dを用いて、密着性試験を実施したところフォトクロミック硬化体の被膜の剥がれはなかった。
[実施例34〜36]
(パートG)注型重合による硬化体からなるレンズ基材の作製
表−1に示す化合物を用いて、上記の実施例1のパートAと同様の手順で得られた重合性組成物を得た。得られた重合性組成物を、ガラスモールドとテープとからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に4カーブ、中心厚:2mm)に注入しテープで密封した。ガラスモールドは、予め外部離型剤として、3M社製のNovec 1720を塗布し120℃で加熱処理した。重合性組成物を入れたガラスモールドとテープからなるキャビティーを重合オーブンに入れ、20℃から120℃まで14時間かけて徐々に昇温した後120℃で2時間保持して重合した。室温まで冷却した後、ガラスモールドとテープを剥離して、内部に形成された硬化樹脂からなる成形体(プラスチックレンズ)を取り出した。得られた成形体(プラスチックレンズ)は、蛍光灯下で透明であった。実施例34に示す組成の樹脂は、屈折率及び重合収縮率を測定した結果を、表−4に示す。得られたフォトクロミック硬化体は、重合収縮率が小さく寸法安定性に優れていた。
[比較例1]
(パートH)重合性組成物の製造
特許文献3である国際公開2008/001875号を参考にして、ラジカル重合性化合物として、Sigma−Aldrich社製、ビスフェノールAエトキシラートジメタクリラート(数平均分子量〜1,700)を60重量部、新中村化学工業(株)製、NKエステル A−600(ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、平均分子量〜708)を25重量部、富士フィルム和光純薬(株)製、グリシジルメタクリレート、15重量部、及び調光色素としてD−1を1.842重量部、D−2を1.508重量部、20mLの容量のガラス製のバイアルに秤量した。ラジカル重合性化合物と調光色素が入ったバイアルに、撹拌子を入れてマグネチックスターラーを用いて約2時間かけて1,000〜2,000rpmの回転速度で撹拌混合した。混合の際、必要に応じて、セラミックヒーターまたはオイルバスを用いて、30〜60℃に加熱した。また、混合の際は、ガラスバイアルの蓋を閉めて外気との接触を防いだ。混合物が均一な溶液になったことを目視にて確認した後、この均一な溶液に、ラジカル重合開始剤としてBASF社製、Irgacure 1173(2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニルプロパノン)を0.375重量部、BASF社製、Irgacure 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド)を0.125重量部、安定剤として(株)アデカ製、LA−72(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)セバケート)を5重量部、シランカップリング剤として、東京化成工業(株)製、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルを7重量部、加え約1時間かけて、20〜30℃の室温にて1,000〜2,000rpmの回転速度で撹拌混合し、均一な溶液のラジカル重合性組成物を得た。
(パートI)硬化体からなるコート層の作製
縦×横が6cm×6cm、厚さが2mmのタキロンシーアイ(株)製の1種Gポリカーボネートプレート(品番1600)を、必要に応じて、プラズマ処理、またはUVオゾン処理、または洗浄液による洗浄を行った。ポリカーボネート製の板を、回転冶具を装着したミカサ(株)製のスピンコーターMS−150Aに真空チャックで固定し、一定の回転速度で回転させた。回転している基材に、比較例1のパートHで得た重合性組成物を3〜5mL、スポイトを使って10〜20秒かけて塗布した。重合性組成物の温度は、20〜25℃の室温と同じ温度であった。基材の回転速度は、重合性組成物の硬化体の層の厚さが約36μmとなるように、250〜300rpmの範囲で適宜調節した。重合性組成物を塗布する際は、スポイトは基材の中心部から移動させずに、または基材の中心部から外側にスポイトを移動させながら滴下した。重合性組成物の滴下終了後、基材を等速のまま、さらに約30〜40秒間回転させ、重合性組成物を基材表面に均一に塗布した。重合性組成物を基材に塗布し終えたら、UV硬化装置を使って、重合性組成物の表面にUV光を照射した。重合性組成物へのUVの照射は、相対湿度が30〜40%、気温が20〜25℃の大気の雰囲気下で行った。照射したUV光の強度については、UVAの波長領域のUV光の照射強度が、120mW/cm、UVCの波長領域のUV光の照射強度が、35mW/cmとした。UV光の照射時間は10秒、または、180秒とした。UV光の照射が終了した後、UV硬化装置から基材を取り出し、取り出した基材を、110℃の温度に設定した強制送風循環式の恒温オーブン内で約1時間加熱した。加熱が終了したら、基材をオーブンから取り出し室温まで冷却し、重合性組成物の硬化体からなるコート層付き基材を得た。蛍光灯下で透明性を確認したところ、UV光の照射時間を10秒としたサンプルは、コートが白く濁っていた。また、ポリエチレン製のスポイトでコート表面を擦ると、コートは簡単に削れた。UV光の照射時間を180秒としたサンプルは、コートに薄い濁りが見られた。また、ポリエチレン製のスポイトでコート表面を擦ると、コートは簡単に削れた。大気中の酸素によりラジカル重合が、阻害されたことが原因であると考えられる。
(パートJ)調光性能の測定
比較例1のパートIにて、180秒間UV光を照射して得られた硬化体からなるコート層を備えるサンプルの調光性能を、調光性能測定装置を使って評価した。評価の結果、ΔT=28%、F(1/2)=43秒であった。また、YI=8.9であった。重合中に調光色素が分解し、ΔT及びYIが悪化したと考えられる。
[比較例2]
フォトクロミック性能を有するポリメタクリル樹脂からなるプラスチックレンズとして、特許文献1の国際公開2018/062384号の実施例15に記載される硬化体を作製した。当該樹脂の重合収縮率を測定したところ、12%であり重合収縮が大きかった。
実施例31のパートEと同様の手順で、フォトクロミック硬化体の被膜を有する基材Dの代わりに、特許文献1の国際公開2018/062384号の実施例15に記載される手順で得られたフォトクロミック性能を有するポリメタクリル樹脂からなるプラスチックレンズを用いて、当該樹脂に対するハードコート層の密着性を評価した。評価の結果、ハードコート層の剥がれが認められ、密着性が低かった。
[比較例3]
フォトクロミック性能を有するチオウレタン樹脂からなるプラスチックレンズとして、特許文献2の国際公開WO2014/002844号の実施例1に記載される硬化体を作製した。当該樹脂の重合収縮率を測定したところ、7.5%であり重合収縮が大きかった。
Figure 2021059681
Figure 2021059681
Figure 2021059681
Figure 2021059681

Claims (15)

  1. (A)カチオン重合性化合物と、
    (B)カチオン重合開始剤と、
    (C)調光色素と、
    を含む硬化性組成物。
  2. カチオン重合開始剤(B)は、少なくとも加熱することによりカチオン種を発生する化合物(b1)を少なくとも1種含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 少なくとも加熱することによりカチオン種を発生する化合物(b1)は、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミジン化合物、リンイリド化合物、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、リビングカチオン重合開始剤、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、スルホン酸エステル、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、ラジカル促進型カチオン重合開始剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. カチオン重合開始剤(B)は、少なくとも化学放射線への暴露によりカチオン種を発生する化合物(b2)を少なくとも1種含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
  5. 少なくとも化学放射線への暴露によりカチオン種を発生する化合物(b2)は、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホン酸エステル、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、メタロセン化合物、トリアジン化合物、チオキサントン化合物、スルホンイミド化合物、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、アルミニウム錯体、ラジカル促進型カチオン重合開始剤、およびビスマス化合物から選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. カチオン重合性化合物(A)は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、プロペニルエーテル化合物、エピスルフィド化合物、チエタニル化合物、ビニルスルフィド化合物、プロペニルスルフィド化合物、およびビニル化合物から選択される少なくとも1種以上を含む請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. カチオン重合性化合物(A)は、下記一般式(a)および(b)で表される化合物から選択される少なくとも1種含む、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
    Figure 2021059681
    (一般式(a)中、R〜Rは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団であり、環構造を有してもよい。XおよびYはWに示される基であり、同一でも異なっていてもよい。Wに示される基のQのうち、一つは結合手を示し、その他のQは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団を示す。)
    Figure 2021059681
    (一般式(b)中、Rは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団であり、環構造を有してもよい。Wに示される基のQのうち、一つは結合手を示し、その他のQは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびケイ素原子から選択される少なくとも一つを含む原子団を示す。)
  8. 調光色素(C)は、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、ビスイミダゾール化合物から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. 調光色素(C)は、ポリアルキル基、ポリエーテル基、ポリアルキレンオキシ基、ポリシロキサン基、ポリカプロラクトン基、ポリカーボネート基、ポリエステル基、ポリ(メタ)アクリレート基、ポリ(チオ)ウレタン基、ポリエポキシ基、から選択される少なくとも1種の基を備える、請求項8に記載の硬化性組成物。
  10. さらに添加剤(D)を含み、
    添加剤(D)は、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソ(チオ)シアナート基、(チオ)カルボキシル基、酸無水物基、リン酸基、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、アクリル基、メタクリル基、およびアリル基から選択される少なくとも1種の基を備える化合物である、請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物からなるコーティング組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化した硬化体。
  13. 厚さが、1〜100μmである請求項12に記載の硬化体。
  14. 請求項12に記載の硬化体からなるレンズ。
  15. レンズと、
    前記レンズの少なくとも一方の面に形成された、請求項12または13に記載の硬化体からなるコート層と、
    を備える、コート層付きレンズ。
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JPH09311356A (ja) * 1996-05-23 1997-12-02 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 可視光硬化性屈折率可変フッ素化樹脂組成物

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