JP2021059146A - 車両用フロアシート - Google Patents

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達也 木本
菜月 前田
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【課題】新規な車両用フロアシートを提供する。【解決手段】車両の床面に設置されるフロアシート1。この車両用フロアシート1は、意匠面層10と、吸着層20と、が積層されてなる。吸着層20は、床面の吸着対象となる被着部分に応じて、厚みおよび密度の少なくとも一つが調整されている。この車両用フロアシート1は、床面に対して接着されないため、取り外し可能に構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の床面に敷かれる車両用フロアシートに関する。
従来より、車両のプラットフォームの一要素であるフロアパン(鋼床板)の車室部分には、織布または不織布などからなる内装材としてのフロアカーペットが敷設されている。このフロアカーペットは、防音や車両重量の軽量化を目的として床全面に接着剤を介して固定されており、取り外して洗浄することができない。そのため、一般に車両の床面のうち汚れやすい足下部分などには、取り外し可能なフロアマットを置くようにしている。この種の車両用のフロアマットに関する従来技術として、例えば特許文献1が挙げられる。
特開2013−100039号公報 特開2012−052397号公報
特許文献1には、フロアカーペットに対して位置ズレした場合でも、アクセルペダルやブレーキペダルに干渉することがない車両用フロアマットが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載のフロアマットは、多くの運転者等が土足で触れるにもかかわらず、掃除または洗浄に手間がかかり、清掃性が良くないという課題がある。とりわけ、車両がカーシェアリングサービスで提供される車両である場合には、不特定多数の運転者やその同乗者が様々な用途で車両を使用する。そのため、フロアマットは特に汚れ易い利用状態であるにもかかわらず、使用の都度清掃することが困難である。
このような従来技術の事情に鑑み、ここに開示される技術は、新規な車両用フロアシートを提供することを課題としている。
ここに開示される技術は、車両の床面(フロアパン)に設置されるフロアシートを提供する。この車両用フロアシートは、意匠面層と、吸着層と、が積層されてなり、上記吸着層は、床面の吸着対象となる被着部分に応じて、厚みおよび密度の少なくとも一つが調整されている。
上記の構成によると、車両用フロアシートは、床面と接する面として吸着層を採用している。また、吸着層は被着面に応じた吸着能を備え得る。このことにより、この車両用フロアシートは、床面への設置時には意匠面層は吸着層を介して吸着により強固に床面に固定される。また、車両用フロアシートは、任意のタイミングで床面より剥がすことができる。これにより、交換可能な車両用フロアシートが実現される。また、交換可能なフロアシートの提供により、フロアマットを必要としない新規な車両内装が実現される。
一実施形態に係る車両用フロアシートの構造を模式的に説明する断面模式図である。 一実施形態に係る車両用フロアシートの車両の床面への適用例を示す平面図である。 他の実施形態に係る車両用フロアシートの車両の床面への適用例を示す平面図である。 他の実施形態に係る車両用フロアシートの車両の床面への適用例を示す平面図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本技術による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事柄(例えば、被着対象である車両の床面の形状等の設計等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明する。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、本実施形態に係る車両用フロアシート(以下、単に「フロアシート」という。)1の断面模式図である。図2および図3は、フロアシート1を設置した車両50の床面52を上方から見た平面図である。図面中の符号F、Rr、L、Rは、それぞれ車両50に乗った運転者から見た前方、後方、左方、右方を示す。ただし、フロアシート1の設置態様はこの例に何ら限定されない。
ここに開示されるフロアシート1は、車両50の床面52に設置される。フロアシート1は、床面52に吸着するように貼り付けて使用される。フロアシート1が床面52に設置されると、運転者等のユーザは、この床面52に通常土足で上がり込む。このフロアシート1は、図1に示すように、意匠面層10と、吸着層20とを備えている。意匠面層10および吸着層20は一体的に積層されている。フロアシート1の吸着層20の側の表面は、床面52に貼り付けら得る前は、典型的には、剥離シート等の被着体52nによって保護されている。以下、フロアシート1の各部について説明する。
意匠面層10は、フロアシート1の使用時に外観に晒される表面を構成する層である。意匠面層10は、通常ユーザが土足で乗るため、所定の強度と傷付き難さ(例えば、耐摩耗性、硬度、防音性等の特性)を備えている。意匠面層10を構成する材料は特に制限されず、上記所要の耐摩耗性、硬度等の特性を有する各種の樹脂材料、金属材料、無機材料、およびこれらの複合材料や組合せであってよい。軽量かつ低コストで、取り扱いが容易であることから、例えば意匠面層10は樹脂材料(例えば、ポリカーボネート、アクリル系樹脂等)で構成するとよい。
また、意匠面層10は、人の目に触れることから、任意の意匠を備えることができる。意匠面層10の表面には、例えば、図柄が印刷されていてもよい。ここで言う図柄は、文字、記号、絵、画像、およびこれらの組合せ等を広く含む概念である。図柄は、単色であっても多色であってもよく、解像度が低くても高くてもよい。この点において、意匠面層10は、外観に晒される表面に印刷によるインクを吸収するためのインク受理層を含んでいてもよい。また、意匠面層10は、印刷等により付与された図柄等を、任意の外部刺激や色あせ、傷、汚れ等から守るために、外観に晒される表面に保護層を備えていてもよい。このような構成によると、フロアシート1に、素材に限定されることなく所望の外観および質感の意匠を付与することができる。例えば、樹脂材料からなる平坦な表面を有する意匠面層10の表面に、天然素材(例えば木目調)の図柄を陰影豊かに付与(例えば印刷)することができる。あるいは天然素材(例えば石材調)の図柄を陰影豊かに付与(例えば印刷)することで、フロアシート1に高級感を付与することができる。同時に、外観は凹凸があるように見えても、実際の表面は平坦であり、通常時の清掃性の高いフロアシート1を実現することができる。例えば、意匠面層10の表面は、Ra10μm以下の平坦性を備えていてもよい。なお、意匠面層10の表面は平坦なものに限定されず、例えば、凹凸印刷等により凹凸が設けられていてもよい。
意匠面層10の構成にもよるため一概には言えないが、意匠面層10の厚みは、使用する材料に応じて上記所要の特性を具備するように適宜調整することができる。一例として、意匠面層10の総厚みは、例えば、50μm以上や100μm以上であってよく、300μm以上であってよい。また、意匠面層10の厚みは、例えば、5000μm以下であってよく、1000μm以下であってよく、例えば800μm以下であってよい。上記のとおり、意匠面層10には陰影豊かな図柄、換言すれば奥行きのある図柄を印刷できることから、意匠面層10は所望の外観および質感を実現しながら厚みは比較的薄く抑えることができる。したがって、一好適例として、意匠面層10は500μm±100μm程度の厚みとすることが挙げられる。
吸着層20は、フロアシート1の意匠面層10とは反対側の表面を構成する層である。吸着層20は、意匠面層10に積層されている。吸着層20は、典型的には、意匠面層10と同じ寸法である。吸着層20は、意匠面層10に結合されている。吸着層20は、例えばバインダ(図示せず)によって意匠面層10に固定的に結着されている。吸着層20は、通常の力では意匠面層10から剥がすことができない程度に強固に意匠面層10に結着されている。
吸着層20は、自己吸着性を備えている。自己吸着性とは、バインダ等の他の材料を使用することなく、被着体52nに対して吸着可能な特性をいう。吸着層20は、例えば、微細な吸盤構造を備える吸着性材料によって構成されている。換言すれば、吸着層20は、多数の微細孔を備える多孔質で弾性変形可能な材料によって構成される。微細孔は、吸着層20の内部でいくつか連続していてもよい。このような吸着層20は、被着体52nと接し、被着体52nに押圧されることで弾性変形し、微細孔内の空気が細孔の外部に排出される。そして吸着層20への押圧が解除されたときに弾性的に元の形状に戻ろうとして微細孔内に発生される負圧により、被着体52nに吸着する。吸着層20は、被着体52nに対して押圧されることで、自らの吸盤構造によって被着体52nに吸着する。このような微細な吸盤構造は、吸着面に沿って微小ながらに多数の吸盤を備えることから、吸着面に沿う方向で極めて強い吸着力を発現し得る。その一方で、一つの微小な吸盤により実現される単位面積あたりの吸着力は比較的小さいことから、例えば人の手による押圧力と引き剥がし力によって容易に吸着と脱着とを行える。すなわち、吸着層20は、意匠面層10に対して、層(面)に平行な方向での吸着力、換言すればズレ防止力を付与する。また、吸着層20は、意匠面層10に対して、層(面)に垂直な方向で、小さな圧着力による圧着と小さな剥離力による剥離とを可能にする。なお、フロアシート1がズレ防止性だけでなく剥離性にも優れることは、フロアシート1を床面52に貼り損ねた際のリワーク性(張り直し性)に優れる点においても好ましい。
このような吸着層20は、例えば、エラストマ系発泡材により好適に構成される。エラストマ系発泡材の組成は特に制限されず、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、あるいはこれらの複合樹脂(共重合体を含む)であってよい。吸着層20の吸盤構造を実現する微細孔の細孔径は、より微細であることで、より小さな力でフロアシート1の圧着と剥離とを実現し得るために好ましい。微細孔の細孔径は、例えば、300μm以下であってよく、200μm以下、100μm以下、80μm以下などであり得る。その一方で、微細孔の細孔径が小さすぎると、吸着層20が備え得る吸着力そのものが小さくなりすぎるために好ましくない。微細孔の細孔径は、例えば、10μm以上であってよく、例えば30μm以上であってよい。このような吸着層20は、樹脂原料と発泡剤とから合成により作製してもよいし、市販のエラストマ系発泡材を入手して用いてもよい。一例として、優れた自己吸着性の他に、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、衝撃吸収性、防音性、保温性を備え、糊残りなく剥がし易い特徴を有する、株式会社イノアックコーポレーション社製のPureCell(登録商標)の各種の製品(例えば、アクリル系フォームからなるASシリーズや、ウレタン系フォームからなるUCシリーズ)を用いることができる。これらの特性は、車両の内装材が備える特性としても好適である。
なお、本明細書において、細孔径は、窒素ガス吸着法に基づきBET一点法で算出される平均細孔直径を採用することができる。
吸着層20は、厚みが厚いほど、衝撃吸収性、防音性、保温性等の特性が高くなる傾向がある。また、吸着層20は、密度が低い(体積気孔率が高い)ほど、吸着性等の特性が高くなる傾向がある。そこで、吸着層20は、床面52の吸着対象となる被着部分に応じて、厚みおよび密度の少なくとも一つが調整されている。例えば、被着部分の表面形態および加わる圧力の少なくとも一つに対応して、厚みおよび密度の少なくとも一つが変化されている。
例えば、図2は、車両50の床面52と、そこに敷かれるフロアシート1の吸着層20の厚み分布とを概略的に示した図である。車両50の床面52は、プラットフォームの設計により、平坦面のみではなく、凹凸や湾曲面(R面)により構成される部分がある。この車両50は、図2の床面52のうち、周縁部52aにR面が備えられている。また中央部52cは、プラットフォーム設計の改良や高強度な自動車用鋼板を採用していることにより、総じて平坦である。そして周縁部52aと中央部52cの間が中間部52bである。このような構成の床面52の場合、例えば、フロアシート1の吸着層20は、周縁部52aに対応する部分20aにおいて、中間部52bに対応する部分20bと比較して、相対的に厚みを薄くするとよい。これにより、R面からなる周縁部52aに対応して、フロアシート1の追随性を高めることができる。また、例えば、フロアシート1の吸着層20は、中央部52cに対応する部分20cにおいて、中間部52bに対応する部分20bと比較して、相対的に厚みを厚くするとよい。これにより、部分20c自体の強度を高めることができ、使用前保管時のしわ等の発生を抑制したり、敷設時の作業性を向上させることができる。加えて、フロアシート1の使用時には、中間部52bの強度を高め、床面52に対する横ズレの防止効果が高められる点においても好ましい。
部分20a、部分20b、および部分20cの境界は、段階的に厚みが変化されていてもよいし、連続的に厚みが変化するように構成されていてもよい。連続的に厚みを変化させることがより好適である。吸着層20の厚みは、平均的な厚み部分20bにおいては、例えば、1000μm以下であってよく、800μm以下や、500μm以下などであり得る。また部分20bの厚みは、例えば、50μm以上であってよく、100μm以上であってよく、200μm以上であってよい。床面52の凹凸やR面の程度にもよるため一概には言えないが、吸着層20の厚みは、上記部分20bに対して、相対的に薄い部分20aは1倍未満であって、例えば0.9倍〜0.5倍程度の厚みとするとよい。また、相対的に厚い部分20cの厚みは、平均的な厚みの部分20bに対して、1倍を超えて、例えば1.2倍〜1.5倍程度の厚みとするとよい。
図3は、車両50の床面52と、そこに敷かれるフロアシート1の吸着層20の密度分布とを概略的に示した図である。車両50の床面52は、ユーザが土足で上がるドア付近や座席の足元部等の特定の部位において、偏って圧が加わるという特徴がある。この車両50は、前方左右と後方左右との計4カ所にドアD、D、D、Dが設けられている。そして床面52のうち、これらのドアD、D、D、Dの近傍は、ユーザが車両50の乗車と降車の際にそれぞれ全体重を加える部分52dである。また、この車両50は前方右側に運転席が設けられており、最も高頻度にユーザが着座する運転席の足下も、頻繁に圧が加わりやすい部分52dである。これに対し、この車両50の場合、床面52の中央の部分52fは後部座席が配置されるなどしてユーザによる圧が加わりにくい箇所である。そして部分52dと部分52fとの間が中間部分52eである。中間部分52eでは、部分52d程圧が加わらないものの、部分52fよりは圧が加わりやすい。このような構成の床面52の場合、例えば、フロアシート1の吸着層20は、圧が加わりやすい部分52dに対応する部分20dにおいて、中間部分52eに対応する部分20eと比較して、相対的に密度を高く(体積気孔率を低く)するとよい。これにより、圧が加わりやすい部分52dに対応した部分のフロアシート1の硬度を高め、吸着層20の潰れに対する耐性を高めることができる。また、例えば、フロアシート1の吸着層20は、圧が加わりにくい部分52fに対応する部分20fにおいて、中間部分52eに対応する部分20eと比較して、相対的に密度を低く(体積気孔率を高く)するとよい。これにより、圧が加わりにくい部分52fにおいてフロアシート1の軽量化を図ることができる。
部分20d、部分20e、および部分20fの境界は、段階的に密度が変化されていてもよいし、連続的に(滑らかに)密度が変化するように構成されていてもよい。連続的に密度を変化させることがより好適である。車両50の定員、ドア位置、ドア数、座席や荷室の構成等にもよるため一概には言えないが、吸着層20の密度は、平均的な密度の部分20eに対して、相対的に密度の高い部分20dは1倍超過であって、例えば1.2倍〜1.5倍程度の密度とするとよい。また、相対的に密度の低い部分20fの密度は、平均的な密度の部分20eに対して、1倍未満であって、例えば0.8倍〜0.5倍程度とするとよい。
具体的には示さないが、床面52の表面形態と圧の加わり方との両方を考慮して、フロアシート1の吸着層20は、吸着対象となる被着部分に応じて厚みと密度の両方が調整されていてもよい。
フロアシート1の吸着層20は、被着体としての車両50の床面52に貼り付けられていないときには、そのまま外部に露出されていてもよい。しかしながら、吸着層20の微細な吸盤構造が汚れや摩耗等によって失われることで、吸着層20は自己吸着性を喪失する。この場合、吸着層20は、自己吸着性を拡幅するために洗浄等の処理が必要となる。したがって、フロアシート1の自己吸着性を保護するために、車両50の床面52に貼り付ける前のフロアシート1は、吸着層20の側の表面に、被着体としての剥離シートを着脱可能に貼り付けることで保護されていてもよい。剥離シートとは、少なくともこの吸着層20に付着させる側の面が剥離面であるシートをいう。剥離シートは、例えば、紙や樹脂フィルムなどの基材の表面に、シリコーン離型剤をコーティングする等して高い剥離性が付与されたシートである。
フロアシート1は、使用時には、吸着層20の側の表面を、被着体52nとしての車両50の床面52に貼り付ける。ここで、車両50の床面52とは、車両50のプラットフォームの一要素であるフロアパンである。床面52は、典型的には、各種の自動車用鋼板によって構成されている。床面52は、自動車骨格の強度や、床面自体の加工性を考慮して、断面が湾曲するように、換言すれば、室内側の表面に凹凸が形成されるように、加工されていてもよい。あるいは、床面52は、プラットフォームの設計改善や、自動車用鋼板の高強度化等により、室内側の表面がほぼ平坦となるように形成されていてもよい。
以上の構成によると、車両50の床面52には、フロアカーペットではなく、フロアシート1が敷設される。このフロアシート1は、例えば布製ではなく表面が平坦であり、汚れたときに簡単に汚れを除去できるという利点がある。また、フロアシート1は吸着層20によって床面52に吸着されるため、容易に剥がしたり圧着させたりすることができる。そのため、例えば、車両50は不特定多数のユーザによって使用されるなどしてひどく汚れた場合等に、フロアシート1を新しいものに容易に交換することができる。このことにより、ユーザの負担を軽減して床面52を清潔に保つことができる。また、車両は、ユーザの嗜好や、車両使用目的等に応じて内装を変更したいとき等に、フロアシート1を異なる意匠面層10を備えるフロアシート1に容易に交換することができる。このことにより、車両50の床面52に多様な意匠を簡便に付与することができる。
なお、特許文献2には、天然素材を含む天然素材部(A)と、表裏両面にそれぞれ適度の粘着性を持たせた吸着層を備える天然発泡ゴム層部(B)と、を吸着一体化させた積層構造体からなる床材が開示されている。この床材は、天然素材部(A)と天然発泡ゴム層部(B)とが吸着層によって吸着一体化されている。したがって、床面から床材を剥がす際には天然素材部(A)と天然発泡ゴム層部(B)とが剥離してしまう可能性があった。また、吸着層は、従来の接着剤の代わりとして使用されており、その厚みや密度を変化させることについては何ら知見がない。さらに、特許文献2の床材は、平坦な床面への天然素材の床材を敷設することのみを想定としており、凹凸のある床面に対する床材の敷設については何ら検討されていない。このような点において、ここに開示される技術は、特許文献2とは区別され得る。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記実施形態では、車両50の後方までフロアシート1を敷設していた。しかしながら、フロアシート1を敷設領域はこれに限定されない。例えば、居室と荷室とが区別された車両50については、フロアシート1は、居室の床面52にのみ敷設するようにしてもよい。あるいは、居室と荷室とで、全く異なる性質の意匠面層10を備えるフロアシート1を使用するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、一台の車両50の床面52(敷設領域)の全面に、一枚のフロアシート1を敷設するようにしていた。しかしながら、一台の車両50に敷設するフロアシート1は、複数枚に分割されていてもよい。例えば、フロアシート1は、車両50の床面52の表面形態や座席の設備配置等によって、床面52を複数の部分に分けたその部分ごとに用意されていてもよい。一例として、図4では、車両50の床面52を、前方、真中、および後方について、それぞれ右方と左方との計6つに分けている。そしてフロアシート1は、それぞれの部分に対応する計6つの部分フロアシート1a〜1fによって構成されている。計6つの部分フロアシート1a〜1fのセットにより、車両50一台分のフロアシート1が構成される。この場合、部分フロアシート1a〜1fが互いに隣接する境界に沿う端部は、たとえ吸着対象となる床面52が平坦であっても、ユーザの接触によりめくれたり剥がれたりするのを抑制するために、吸着力が高められていてもよい。例えば、当該端部は、吸着層20の密度が低く(微細孔の細孔容積が高く)、厚みが厚くなるように設計されていてもよい。なお、フロアシート1を複数枚に分割する場合、分割の数、分割の形状等は特に制限されない。例えば、車両50の前後方向に延びる複数の帯状に分割してもよいし、車両50の左右方向に延びる複数の帯状に分割してもよい。
1 フロアシート
10 意匠面層
20 吸着層
50 車両
52 床面
52n 被着体

Claims (1)

  1. 車両の床面に設置されるフロアシートであって、
    意匠面層と、吸着層と、が積層されてなり、
    前記吸着層は、前記床面の吸着対象となる被着部分に応じて、厚みおよび密度の少なくとも一つが調整されている、車両用フロアシート。
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