JP2021057591A - λ/4型電波吸収体 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電体層の厚みのばらつきがより小さいλ/4型電波吸収体を提供すること。【解決手段】抵抗膜、フィラーを含有する誘電体層、及び反射層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体。【選択図】なし

Description

本発明は、λ/4型電波吸収体等に関する。
近年、携帯電話やスマートフォン等の携帯通信機器の普及が急速に進んでおり、また自動車等において多くの電子機器が搭載されるようになり、これらから発生する電波・ノイズを原因とする電波障害、他の電子機器の誤動作等の問題が多発している。このような電波障害、誤動作等を防止する方策として、各種の電波吸収体が検討されている。例えば、特許文献1には、60〜90GHzの周波数帯域において、電磁波吸収量が20dB以上である周波数帯域の帯域幅が2GHz以上である電磁波吸収体が開示されている。
特開2018−098367号公報
電波吸収体においては、吸収性能向上のために、誘電体層の厚みのばらつきが問題となる。すなわち、誘電体層の厚みのばらつきが大きいと、電波吸収ピーク波長が設計値からずれてしまい、結果として目的の波長の電波吸収特性が低下してしまう。
そこで、本発明は、誘電体層の厚みのばらつきがより小さいλ/4型電波吸収体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、抵抗膜、フィラーを含有する誘電体層、及び反射層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. 抵抗膜、フィラーを含有する誘電体層、及び反射層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体。
項2. 前記フィラーの前記誘電体層における単位面積当たりの含有量が2〜20個/cmである、項1に記載のλ/4型電波吸収体。
項3. 前記フィラーの数平均粒子径が100〜1000μmである、項1又は2に記載のλ/4型電波吸収体。
項4. 前記フィラーが樹脂微粒子である、項1〜3のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体。
項5. 前記フィラーが球形である、項1〜4のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体。
項6. 前記誘電体層がフィラーを含有する粘着剤層である、項1〜5のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体。
項7. 成形品と、前記成形品に取り付けられた項1〜6のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体とを備える、電波吸収体付成形品。
項8. ミリ波レーダーである、項7に記載の電波吸収体付成形品。
項9. フィラーを含有する誘電体層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体用部材。
本発明によれば、誘電体層の厚みのばらつきがより小さいλ/4型電波吸収体を提供することができる。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.λ/4型電波吸収体
本発明は、その一態様において、抵抗膜、フィラーを含有する誘電体層、及び反射層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体(本明細書において、「本発明のλ/4型電波吸収体」と示すこともある。)、に関する。以下に、これについて説明する。
<1−1.抵抗膜>
抵抗膜は、電波吸収体において抵抗層として機能し得る層を含む限り特に制限されない。
抵抗膜の抵抗値は、特に制限されない。抵抗膜の抵抗値(シート抵抗)は、例えば100〜800Ω/□である。該範囲の中でも、より好ましくは150〜750Ω/□、さらに好ましくは200〜600Ω/□である。
抵抗膜の抵抗値は、抵抗膜の抵抗値は、非破壊式(渦電流法)シート抵抗測定器(EC−80P(ナプソン株式会社製)、又はその同等品)を用いて測定することができる。
抵抗膜の厚みは、本発明の特性を満たし得る抵抗値となるものである限り特に制限されない。抵抗膜の厚みは、例えば1nm以上200nm以下、好ましくは2nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下である。
抵抗膜の層構成は特に制限されない。抵抗膜は、1種単独の層から構成されるものであってもよいし、2種以上の層が複数組み合わされたものであってもよい。
<1−1−1.抵抗層>
抵抗層の抵抗値は、本発明の特性を満たし得るものである限り特に制限されない。抵抗層の抵抗値は、例えば100〜800Ω/□である。該範囲の中でも、より好ましくは150〜750Ω/□、さらに好ましくは200〜600Ω/□である。
抵抗層の厚みは、本発明の特性を満たし得る抵抗値となるものである限り特に制限されない。抵抗層の厚みは、例えば1nm以上200nm以下、好ましくは2nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下である。
抵抗層の層構成は特に制限されない。抵抗層は、1種単独の抵抗層から構成されるものであってもよいし、2種以上の抵抗層が複数組み合わされたものであってもよい。
<1−1−1−1.酸化インジウム含有抵抗層>
抵抗層としては、例えば酸化インジウム等の抵抗層材料を含有する抵抗層が挙げられる。好ましい一態様において、抵抗層材料としては、酸化インジウムに他の材料(ドーパント)がドープされてなる材料を含有することが好ましい。他の材料としては、特に制限されないが、例えば酸化スズ及び酸化亜鉛、並びにそれらの混合物等が挙げられる。
酸化インジウムに酸化スズがドープされてなる材料の中でも、好ましくは、酸化インジウム(III)(In)に酸化スズ(IV)(SnO)をドープしたもの(酸化インジウムスズ)(tin−doped indium oxide;ITO)が挙げられる。非晶質構造が極めて安定であり、高温多湿の環境下においても抵抗層のシート抵抗の変動を抑えることができる点から、ITO中のSnO含有量は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜35重量%である。
抵抗層中の上記抵抗層材料の含有量は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、通常100質量%未満である。
<1−1−1−2.モリブデン含有抵抗層>
抵抗層としては、耐久性、シート抵抗の調整が容易である観点から、モリブデンを含有する抵抗層が好ましく用いられる。モリブデンの含有量の下限は特に限定されないが、より耐久性を高める観点から、5重量%が好ましく、7重量%がより好ましく、9重量%が更に好ましく、11重量%がより更に好ましく、13重量%が特に好ましく、15重量%が非常に好ましく、16重量%が最も好ましい。また、上記モリブデンの含有量の上限は、表面抵抗値の調整の容易化の観点から、30重量%が好ましく、25重量%がより好ましく、20重量%が更に好ましい。
上記抵抗層は、モリブデンを含有している場合、さらにニッケル及びクロムを含有することがより好ましい。抵抗層にモリブデンに加えてニッケル及びクロムを含有することでより耐久性に優れた電波吸収体とすることができる。ニッケル、クロム及びモリブデンを含有する合金としては、例えば、ハステロイB−2、B−3、C−4、C−2000、C−22、C−276、G−30、N、W、X等の各種グレードが挙げられる。
上記抵抗層がモリブデン、ニッケル及びクロムを含有する場合、モリブデンの含有量が5重量%以上、ニッケルの含有量が40重量%以上、クロムの含有量が1重量%以上であることが好ましい。モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量が上記範囲であることで、より耐久性に優れた電波吸収体とすることができる。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が7重量%以上、ニッケル含有量が45重量%以上、クロム含有量が3重量%以上であることがより好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が9重量%以上、ニッケル含有量が47重量%以上、クロム含有量が5重量%以上であることが更に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が11重量%以上、ニッケル含有量が50重量%以上、クロム含有量が10重量%以上であることがより更に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が13重量%以上、ニッケル含有量が53重量%以上、クロム含有量が12重量%以上であることが特に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が15重量%以上、ニッケル含有量が55重量%以上、クロム含有量が15重量%以上であることが非常に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が16重量%以上、ニッケル含有量が57重量%以上、クロム含有量が16重量%以上であることが最も好ましい。また、上記ニッケルの含有量は、80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、65重量%以下であることが更に好ましい。上記クロム含有量の上限は、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることが更に好ましい。
上記抵抗層は、上記モリブデン、ニッケル及びクロム以外の金属を含有してもよい。そのような金属としては、例えば、鉄、コバルト、タングステン、マンガン、チタン等が挙げられる。上記抵抗層がモリブデン、ニッケル及びクロムを含有する場合、上記モリブデン、ニッケル及びクロム以外の金属の合計含有量の上限は、抵抗層の耐久性の観点から、好ましくは45重量%、より好ましくは40重量%、更に好ましくは35重量%、より更に好ましくは30重量%、特に好ましくは25重量%、非常に好ましくは23重量%である。上記モリブデン、ニッケル及びクロム以外の金属の合計含有量の下限は、例えば1重量%以上である。
上記抵抗層が鉄を含有する場合、抵抗層の耐久性の観点から、含有量の好ましい上限は25重量%、より好ましい上限は20重量%、更に好ましい上限は15重量%であり、好ましい下限は1重量%である。上記抵抗層がコバルト及び/又はマンガンを含有する場合、抵抗層の耐久性の観点から、それぞれ独立して、含有量の好ましい上限は5重量%、より好ましい上限は4重量%、更に好ましい上限は3重量%であり、好ましい下限は0.1重量%である。上記抵抗層がタングステンを含有する場合、抵抗層の耐久性の観点から、含有量の好ましい上限は8重量%、より好ましい上限は6重量%、更に好ましい上限は4重量%であり、好ましい下限は1重量%である。
上記抵抗層は、ケイ素及び/又は炭素を含有してもよい。抵抗層がケイ素及び/又は炭素を含有する場合、上記ケイ素及び/又は炭素の含有量は、それぞれ独立して、1重量%以下であることが好ましく0.5重量%以下であることがより好ましい。また、抵抗層がケイ素及び/又は炭素を含有する場合、上記ケイ素及び/又は炭素の含有量は、0.01重量%以上であることが好ましい。
<1−1−2.バリア層>
耐久性の観点から、抵抗膜はバリア層を含むことが好ましい。バリア層は、抵抗層の少なくとも一方の表面上に配置される。バリア層について以下に詳述する。
バリア層は、抵抗層を保護し、その劣化を抑えることができる層である限り、特に制限されない。バリア層の素材としては、例えば金属化合物、半金属化合物、好ましくは金属又は半金属の酸化物、窒化物、窒化酸化物等が挙げられる。バリア層は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、上記素材以外の成分が含まれていてもよい。その場合、バリア層中の上記素材量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
バリア層が含む金属元素としては、例えばチタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト、ニッケル等が挙げられる。バリア層が含む半金属元素としては、例えばケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス等が挙げられる。
上記酸化物としては、例えばMO[式中、Xは式:n/100≦X≦n/2(nは金属又は半金属の価数である)を満たす数であり、Mは金属元素又は半金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。
上記窒化物としては、例えばMN[式中、Yは式:n/100≦Y≦n/3(nは金属又は半金属の価数である)を満たす数であり、Mは金属元素又は半金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。
上記窒化酸化物としては、例えばMO[式中、XとYは、n/100≦X、n/100≦Y、かつ、X+Y<n/2(nは金属又は半金属の価数である)であり、Mは金属元素又は半金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。
上記酸化物又は窒化酸化物の酸化数Xに関しては、例えばMO又はMOを含む層の断面を、FE−TEM−EDX(例えば、日本電子社製「JEM−ARM200F」)により元素分析し、MO又はMOを含む層の断面の面積当たりのMとOとの元素比率からXを算出することにより、酸素原子の価数を算出することができる。
上記窒化物又は窒化酸化物の窒素化数Yに関しては、例えばMN又はMOを含む層の断面を、FE−TEM−EDX(例えば、日本電子社製「JEM−ARM200F」)により元素分析し、MN又はMOを含む層の断面の面積当たりのMとNとの元素比率からYを算出することにより、窒素原子の価数を算出することができる。
バリア層の素材の具体例としては、SiO、SiO、Al、MgAl、CuO、CuN、TiO、TiN、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
バリア層の厚みは、特に制限されない。バリア層の厚みは、例えば1nm以上200nm以下、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは1nm以上20nm以下である。
バリア層の層構成は特に制限されない。バリア層は、1種単独のバリア層から構成されるものであってもよいし、2種以上のバリア層が複数組み合わされたものであってもよい。
<1−2.誘電体層>
<1−2−1.誘電体層A>
誘電体層は、電波吸収体において目的の波長に対して誘電体として機能し得るものであって、フィラーを含有し、且つフィラーの数平均粒子径(α)に対する誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である誘電体層(以下、「誘電体層A」と示すこともある。)である限り、特に制限されない。
誘電体層Aとしては、特に制限されないが、例えば粘着剤層、樹脂シート、発泡体層等が挙げられる。これらの中でも、厚みのばらつきの問題が顕在化し易く、本発明の技術(厚みに対して一定範囲のフィラーを導入すること)を採用することによる利点がより大きいという観点から、粘着剤層が好ましい。すなわち、誘電体層Aは、フィラーを含有する粘着剤層であることが好ましい。
粘着剤層としては、粘着剤を含むものである限り、特に制限されない。粘着剤層は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、粘着剤以外の成分が含まれていてもよい。その場合、樹脂シート中の樹脂の合計量は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、通常100質量%未満である。
粘着剤としては、特に制限されず、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、耐候性が高いという観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
樹脂シートは、樹脂を素材として含むシート状のものである限り、特に制限されない。樹脂シートは、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その場合、樹脂シート中の樹脂の合計量は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、通常100質量%未満である。
樹脂としては、特に制限されず、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル、ウレタン、アクリル、アクリルウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ等の合成樹脂や、ポリイソプレンゴム、ポリスチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴムおよびシリコーンゴム等の合成ゴム材料を樹脂成分として用いることが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
フィラーは、特に制限されないが、誘電体層の誘電体としての特性を損なわせないという観点から、樹脂微粒子であることが好ましい。また、同様の観点から、フィラーの比誘電率は、例えば1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。
樹脂微粒子としては、特に限定はされず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等が挙げられる。中でも、微粒子の硬さと回復率を調整しやすく耐熱性も向上することから、上記樹脂は架橋樹脂であることが好ましく、このような樹脂としては特に限定はされず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有する樹脂が挙げられる。
上記架橋樹脂の中でも特に好適な樹脂として、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン系共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等が挙げられる。
また、上記樹脂微粒子はイオン不純物等を含有する恐れが低く、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、鉄、塩素等をほとんど含有しないものとなる。
フィラーは、粒径分布の標準偏差が樹脂微粒子の平均粒径の10%以内であることが好ましい。
フィラーは、球形であることが好ましく、粒径のアスペクト比が1.1以下であることがより好ましい。本明細書においてアスペクト比とは、粒子の長径と短径に関して、短径の長さに対する長径の長さの比(長径の長さを短径の長さで割った値)を意味する。このアスペクト比の値が1に近いほどフィラーの形状は真球に近い。
フィラーの数平均粒子径(α)は、特に制限されない。該数平均粒子径は、例えば100〜1000μm、好ましくは200〜800μm、より好ましくは300〜700μm、さらに好ましくは400〜600μmである。
フィラーは、下記式(1)で表されるCV値が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
粒径のCV値=(σ2/Dn2)×100% (1)
(σ2は粒径の標準偏差を表し、Dn2は数平均粒子径を表す)
上記数平均粒子径は、レーザー回折法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、算出される値である。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えばHORIBA LA−300シリーズ、HORIBA LA−920シリーズ(以上、株式会社堀場製作所製)などを挙げることができる。なお、フィラーの数平均粒子径は、誘電体層を任意の有機溶媒に浸漬した後、遠心分離して粒子を沈降させた後、その上澄み液を除去し、沈降した粒子を上記の方法により測定することによっても測定することができる。
フィラーは、下記式(2)で表されるK値が、980〜4900N/mmであることが好ましい。
上記K値は、下記式、
K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2 (2)
〔ここに、F、Sはそれぞれフィラーの10%圧縮変形における荷重値(N)、圧縮変位(mm)であり、Rは該スペーサーの半径(mm)である〕で定義される。上記K値は、ランダウーリフシッツ理論物理学教程「弾性理論」(東京図書1972年発行)42頁に準拠して、以下のように求めることができる。半径がそれぞれR、R′の二つの弾性球体が接触した際、hは次式により与えられる。
h=F2/3[D(1/R+1/R′)]1/3 …(1)
D=(3/4)[(1−σ)/E+(1−σ′)/E′] …(2)
ここに、hはR+R′と両球の中心間の距離の差、Fは圧縮力、E、E′は二つの弾性球体の弾性率、σ、σ′は弾性球のポアッソン比を表す。
一方、球を剛体の板の上に置いて、かつ両側から圧縮する場合、R′→∞、E》E′とすると、近似的に次式が得られる。
F=(21/2/3)(S3/2)(E・R1/2)(1−σ) …(3)
ここに、Sは圧縮変形量を表す。この式を変形すると容易に次式が得られる。
K=E/(1−σ) …(4)
よって、上記K値を表す式が得られる。
上記K値は球体の硬さを普遍的かつ定量的に表すものであり、微小圧縮試験機(例えばフィッシャー・インストルメンツ社製、フィッシャースコープH100C)などを用いた電気的な測定結果から算出できるものである。
また、フィラーは20℃、10%の圧縮変形状態から解放した時の圧縮回復率が20%以上であることが好ましい。
なお、上記K値や圧縮回復率はつぎの測定方法により測定することができる。
K値は、平滑表面を有する鋼板の上にフィラーを散布し、その中から1個のフィラーを選び、微小圧縮試験機を用いてダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面でフィラーを圧縮する。この際、圧縮荷重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出する。そして、得られた圧縮変位−荷重の関係から10%圧縮変形における荷重値、圧縮変位をそれぞれ求める。得られた結果からK値を算出することができる。
また圧縮回復率は、上記K値の測定の場合と同様の手法によって圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出し、反転荷重値まで圧縮したのち荷重を減らしていき、この際、荷重と圧縮変位との関係を測定する。得られた測定結果から圧縮回復率を算出する。ただし、除荷重における終点は荷重値ゼロではなく、0.1g以上の原点荷重値とする。
フィラーは、260℃に加熱しても熱変形が起こらない樹脂微粒子であることが好ましい。熱変形が起こらないとは、260℃に加熱しても樹脂微粒子が熱膨張や形状変化を起こすことがなく寸法が一定しており、外観や粒径が変わらないことを意味する。このような樹脂微粒子の組成としては、例えばジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等の網目構造を有する樹脂を挙げることができる。
また、フィラーは、260℃以下で揮発する揮発成分を含有しないことが好ましい。本明細書において260℃以下で揮発する揮発成分を含有しないとは、フィラーが内部気泡や残存モノマー、残留溶剤を含んでないか、含んでいる場合にも問題を起こさない程度に極少量であることを意味する。
誘電体層Aの比誘電率は、特に制限されない。誘電体層の比誘電率は、例えば1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。
誘電体層Aの比誘電率は、ネットワークアナライザー、空洞共振器などを用いて10GHzにおける比誘電率を空洞共振器摂動法により測定することができるによって測定することができる。
誘電体層Aの厚みの平均値(d)は、特に制限されない。誘電体層の厚みは、例えば100〜1000μm、好ましくは200〜800μm、より好ましくは300〜700μm、さらに好ましくは400〜600μmである。誘電体層Aの厚みの平均値(d)は、次のようにして測定される。λ/4型電波吸収体の総厚みを任意の5か所で測定する。その後、支持体及び抵抗層と反射層とを剥がし、総厚みを測定した5か所におけるそれぞれの厚みを測定する。対応する5か所でのそれぞれの測定値について、λ/4型電波吸収体の総厚みから、支持体及び抵抗層と反射層との厚みを除くことにより誘電体層厚みを算出して、その算術平均値(d)を求める。厚みの測定はDIGIMICRO MFC−101(NIKON社製)又はその同等品を用いることができる。
フィラーの数平均粒子径(α)に対する誘電体層Aの厚みの平均値(d)の比(d/α)は、0.95〜1.2である。d/αをこの範囲とすることにより、誘電体層Aの厚みのばらつきを効果的に抑制することができる。
フィラーの誘電体層Aにおける単位面積当たりの含有量は、特に制限されないが、例えば1〜50個/cmである。該含有量は、誘電体層Aの厚みのばらつきを効果的に抑制することができるという観点から、2個/cm以上であることが好ましい。また、該含有量は、誘電体層Aの他の層との密着性の観点から、25個/cm以下が好ましく、20個/cm以下がより好ましい。該含有量は、次のようにして測定される。誘電体層の少なくとも一方の面が露出するように、λ/4型電波吸収体を任意の層間で剥離させる。誘電体層の露出させた面の表面を対物レンズ5倍の光学顕微鏡(OLYMPUS社製BX51、またはその同等品)で観察する。1cm×1cm範囲におけるフィラーの数を数える。同様にして5カ所でフィラーの数を測定し、その算術平均値より求めることができる。
<1−2−2.その他の層構成>
誘電体層の層構成は特に制限されない。誘電体層は、1種単独の誘電体層から構成されるものであってもよいし、2種以上の誘電体層が複数組み合わされたものであってもよい。すなわち、本発明のλ/4型電波吸収体においては、誘電体層が誘電体層Aのみからなるものであってもよいし、誘電体層A以外の誘電体層を含むものであってもよい。例えば、誘電体層Aが粘着性を有する層である場合は、誘電体層が誘電体層Aのみからなるものであってもよいし、誘電体層Aと他の誘電体層との積層体を誘電体層として採用することができる。別の例として、誘電体層Aが粘着性を有しない層である場合は、誘電体層Aとその両面に配置された粘着剤層とからなる3層構造の誘電体層を採用することができる。
<1−3.反射層>
反射層は、電波吸収体において電波の反射層として機能し得るものである限り、特に制限されない。反射層としては、特に制限されないが、例えば金属膜が挙げられる。
金属膜は、金属を素材として含む層である限り、特に制限されない。金属膜は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、金属以外の成分が含まれていてもよい。その場合、金属膜中の金属の合計量は、例えば30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、非常に好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
金属としては、特に制限されず、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀、金、クロム、ニッケル、モリブデン、ガリウム、亜鉛、スズ、ニオブ、インジウム等が挙げられる。また、金属化合物、例えばITO等も、金属膜の素材として使用することができる。これらは1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
反射層の厚みは、特に制限されない。反射層の厚みは、例えば1μm以上500μm以下、好ましくは2μm以上200μm以下、より好ましくは5μm以上100μm以下である。
反射層の層構成は特に制限されない。反射層は、1種単独の反射層から構成されるものであってもよいし、2種以上の反射層が複数組み合わされたものであってもよい。
<1−4.支持体>
本発明のλ/4型電波吸収体は、さらに支持体を有することが好ましい。これにより、抵抗膜を保護することができ、電波吸収体としての耐久性を高めることが可能である。支持体は、シート状のものである限り、特に制限されない。支持体としては、特に制限されないが、例えば樹脂基材が挙げられる。
樹脂基材は、樹脂を素材として含む基材であって、シート状のものである限り、特に制限されない。樹脂基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。例えば、比誘電率を調整する観点から酸化チタン等が含まれていてもよい。樹脂基材中の樹脂の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
樹脂としては、特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
これらの中でも、生産性や強度の観点から、好ましくはポリエステル系樹脂、より好ましくはポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
支持体の比誘電率は、特に制限されない。支持体の比誘電率は、例えば1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。
支持体の厚みは、特に制限されない。支持体の厚みは、例えば5μm以上500μm以下、好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは20μm以上300μm以下である。
支持体の層構成は特に制限されない。支持体は、1種単独の支持体から構成されるものであってもよいし、2種以上の支持体が複数組み合わされたものであってもよい。
<1−5.層構成>
本発明のλ/4型電波吸収体において、各層は、電波吸収性能を発揮することができる順に配置される。一例として、抵抗膜、誘電体層、及び反射層は、この順に配置される。
さらに、本発明のλ/4型電波吸収体が支持体を有する場合、一例として、支持体、抵抗膜、誘電体層、及び反射層は、この順に配置される。
本発明のλ/4型電波吸収体においては、支持体、抵抗膜、誘電体層、及び反射層以外に、他の層を含むものであってもよい。他の層は、支持体、抵抗膜、誘電体層、及び反射層それぞれの層の、どちらか一方の表面上に配置され得る。
他の層としては、例えば、反射層の誘電体層側とは反対側の面上に配置される粘着剤層が挙げられる。この粘着剤層により、本発明のλ/4型電波吸収体を、他の部材(例えば、自動車内のデバイス等)により容易に取り付けることが可能になる。この観点から、本発明のλ/4型電波吸収体は、反射層の誘電体層側とは反対側の面上に粘着剤層が配置されていることが好ましい。
粘着剤としては、特に制限されず、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤等が挙げられる。
<1−6.製造方法>
本発明のλ/4型電波吸収体は、その構成に応じて、様々な方法、例えば公知の製造方法に従って又は準じて得ることができる。例えば、支持体上に抵抗膜、誘電体層、及び反射層を順に積層させる工程を含む方法により、得ることができる。
積層方法は特に制限されない。
抵抗膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、パルスレーザーデポジション法等により行うことができる。これらの中でも、膜厚制御性の観点から、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法としては、特に限定されないが、例えば、直流マグネトロンスパッタ、高周波マグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッタ等が挙げられる。また、スパッタ装置は、バッチ方式であってもロール・ツー・ロール方式であってもよい。
誘電体層や反射層は、例えば誘電体層が有する粘着性を利用して、積層することができる。
2.λ/4型電波吸収体部材
本発明は、その一態様において、フィラーを含有する誘電体層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体用部材、に関する。λ/4型電波吸収体用部材は好ましくはさらに抵抗膜を含み、より好ましくは抵抗膜及び支持体を含む。λ/4型電波吸収体用部材は、反射層として機能し得る被着体に接するように配置することによりλ/4型電波吸収体を形成するための部材である。支持体、抵抗膜、誘電体層、その他の構成については、本発明のλ/4型電波吸収体に関する説明と同様である。
3.用途
本発明のλ/4型電波吸収体は、不要な電磁波を吸収する性能を有するため、例えば光トランシーバや、次世代移動通信システム(5G)、近距離無線転送技術等における電波対策部材として好適に利用できる。また、その他の用途として自動車、道路、人の相互間で情報通信を行う高度道路交通システム(ITS)や自動車衝突防止システムに用いるミリ波レーダーにおいても、電波干渉抑制やノイズ低減の目的で用いることができる。
本発明は、その一態様において、成形品と、前記成形品に取り付けられた本発明のλ/4型電波吸収体とを備える、電波吸収体付成形品、に関する。成形品としては、例えば上記各種用途において使用される部材等が挙げられる。本発明のλ/4型電波吸収体を成形品に取り付ける方法としては、特に制限されず、例えば粘着剤を介して取り付ける方法や、固定具により取り付ける方法が挙げられる。電波吸収体付成形品の好ましい一例としては、ミリ波レーダーが挙げられる。
本発明のλ/4型電波吸収体が対象とする電波の周波数は、好ましくは10〜150GHz、より好ましくは20〜120GHz、さらに好ましくは30〜100GHz、さらにより好ましくは55〜90GHz、特に好ましくは70〜90GHzである。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)誘電体層厚み平均値(d)の測定方法
以下の実施例及び比較例において、誘電体層の厚み平均値(d)を、次のようにして測定した。λ/4型電波吸収体の総厚みを任意の5か所で測定した。その後、支持体及び抵抗層と反射層とを剥がし、総厚みを測定した5か所におけるそれぞれの厚みを測定した。対応する5か所でのそれぞれの測定値について、λ/4型電波吸収体の総厚みから、支持体及び抵抗層と反射層との厚みを除くことにより誘電体層厚みを算出して、その算術平均値(d)を求めた。厚みの測定はDIGIMICRO MFC−101(NIKON社製)を用いた。
(2)粘着テープにおけるフィラーの含有量の測定方法
以下の実施例及び比較例において、フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量(個/cm)を、次のようにして測定した。反射層と誘電体層との界面で剥離して、誘電体層を露出させた。誘電体層の露出させた面の表面を対物レンズ5倍の光学顕微鏡(OLYMPUS社製、BX51)で観察した。1cm×1cm範囲におけるフィラーの数を数えた。同様にして5カ所でフィラーの数を測定し、その算術平均値より求めた。
(3)λ/4型電波吸収体の製造
(実施例1)
まず、誘電体層に使用する粘着テープ(両面粘着テープ)を、次のようにして製造した。無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径425μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L425、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射(積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が508μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は4個/cmであった。
続いて、λ/4型電波吸収体を、次のようにして製造した。支持体として、厚み125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(比誘電率2.9)を用意した。上記PETフィルム上に、DCパルススパッタリングにより、厚み10nm且つシート抵抗値340Ω/□の抵抗膜を形成した。スパッタリングはハステロイC−276をターゲットに用い、出力0.4kW、Arガス流量100sccmで導入して圧力0.12Paとなるように調整して行った。次いで、形成した抵抗膜上に、剥離フィルムが剥がされた上記粘着テープからなる誘電体層を積層した。更に誘電体層上に厚さ20μmの銅からなる反射層を積層して、λ/4型電波吸収体を得た。
(実施例2)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径475μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L475、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射(積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が484μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は4個/cmであった。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(実施例3)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径500μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L500、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が477μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は4個/cmであった。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(実施例4)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径475μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L475、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射(積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が484μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は30個/cmであった。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(実施例5)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径475μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L475、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が489μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は20個/cmであった。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(実施例6)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径475μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L475、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が489μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は2個/cmであった。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(比較例1)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径400μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L400、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が498μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は4個/cmであった。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(比較例2)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)にフィラー(数平均粒子径550μm、CV値8%以下(約7%)(ミクロパールGS−L550、積水化学工業社製))が所定量配合されてなる粘着剤組成物を、PET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が505μmである粘着テープを得た。フィラーの粘着テープにおける単位面積当たりの含有量は4個/cmであった。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(比較例3)
無溶剤UV硬化型粘着剤(ファインタックRX−104、DIC社製)をPET製剥離フィルム上に塗工した後、粘着剤表面に別のPET製剥離フィルムを積層した。得られた積層体にUV照射積算光量500mJ/cm)を行い、厚み平均値(d)が497μmである粘着テープを得た。得られた粘着テープを誘電体層として用いて、実施例1と同様にして、λ/4型電波吸収体を得た。
(4)評価
(4−1)誘電体層の厚みの平均値からのばらつき
λ/4型電波吸収体の総厚みを任意の5か所で測定した。その後、支持体及び抵抗層と反射層とを剥がし、総厚みを測定した5か所におけるそれぞれの厚みを測定した。対応する5点での測定値について、λ/4型電波吸収体の総厚みから、支持体及び抵抗層と反射層との厚みを除くことにより誘電体層厚みをそれぞれ算出して、その平均値(d)を求めた。測定した5か所において、誘電体層の平均厚みの値と一番差の大きい5か所における誘電体層の厚みの値との差分をRとし、|R|/d×100を誘電体層厚みの平均値からのばらつきとして算出した。5%以下を〇とし、それよりばらつきが大きい場合は×とした。
(4−2)誘電体層の密着性
誘電体層の密着性を、次のようにして測定した。得られた電波吸収体を10mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製し、誘電体層の反射層に面する側とは反対側を露出させた。露出した面を、両面粘着テープ(9708、3M)により、測定装置の台座に固定した。この試験サンプルの反射層をJIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、180°粘着力(N/10mm)を測定した。誘電体層/反射層間の粘着力が5N/10mm以上を〇、5N/10mm未満を×とする。
(5)結果
結果を表1に示す。
Figure 2021057591

Claims (9)

  1. 抵抗膜、フィラーを含有する誘電体層、及び反射層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体。
  2. 前記フィラーの前記誘電体層における単位面積当たりの含有量が2〜20個/cmである、請求項1に記載のλ/4型電波吸収体。
  3. 前記フィラーの数平均粒子径が100〜1000μmである、請求項1又は2に記載のλ/4型電波吸収体。
  4. 前記フィラーが樹脂微粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体。
  5. 前記フィラーが球形である、請求項1〜4のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体。
  6. 前記誘電体層がフィラーを含有する粘着剤層である、請求項1〜5のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体。
  7. 成形品と、前記成形品に取り付けられた請求項1〜6のいずれかに記載のλ/4型電波吸収体とを備える、電波吸収体付成形品。
  8. ミリ波レーダーである、請求項7に記載の電波吸収体付成形品。
  9. フィラーを含有する誘電体層を含み、前記フィラーの数平均粒子径(α)に対する前記誘電体層の厚みの平均値(d)の比(d/α)が0.95〜1.2である、λ/4型電波吸収体用部材。


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