JP2021056111A - 重水素透過量の制御方法および重水素透過装置、並びに核種変換方法 - Google Patents

重水素透過量の制御方法および重水素透過装置、並びに核種変換方法 Download PDF

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Abstract

【課題】核種変換が施される物質が添加された構造体に重水素を透過させて核種を変換する反応の核種変換生成量を制御する装置及び方法を提供することを目的とする。【解決手段】本開示に係る重水素透過量の制御方法では、重水素を透過可能な構造体を境として、構造体の一方の面側および他方の面側にそれぞれ閉空間を形成し、構造体の一方の面側の閉空間に重水素を供給して相対的に重水素の濃度を高め、構造体の他方の面側の閉空間を真空引きして相対的に重水素の濃度を低下させ、真空引きの際に他方の面側の閉空間からガスを排出する排出経路の真空圧力をモニタリングし、予め取得した重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から、重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出し、モニタリングした真空圧力が、目標真空圧力になるよう重水素の供給を制御する。【選択図】図2

Description

本開示は、核種変換に用いられる重水素透過量の制御方法および重水素透過装置、並びに核種変換方法に関するものである。
使用済み核燃料を再処理する際には、先ず硝酸(HNO)溶液中に使用済み核燃料を溶解させて、ウラン(U)およびプルトニウム(Pu)を分離する。分離した後、セシウム137(137Cs)およびストロンチウム90(90Sr)等が含まれる酸性廃液が残る。
このような酸性廃液の処分方法としては、地層埋設処分等が考えられるが、この他にも、簡便で小規模な装置を利用して核種を変換して処理する手段がある。
特許文献1では、核種変換が施される物質を表面に備えた水素吸蔵合金(構造体)に重水素を透過させ、重水素と核種変換が施される物質とを反応させる核種変換装置を開示している。
特許第4346838号公報
特許文献1に記載された核種変換技術には、改善の余地がある。本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、核種変換が施される物質が添加された構造体に重水素を透過させて核種を変換する反応の核種変換生成量を制御できる装置及び方法を提供することを目的とする。本開示は、核種変換効率の低下を抑制できる核種変換方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特許文献1に記載されているような重水素を透過させて核種変換を行う装置において、核種変換生成量(および変換率)が重水素の透過量と相関することを見出した。
図21に、重水素透過量と生成量との関係を示す。同図において、横軸は重水素ガスの平均透過量(SCCM)、縦軸は核種変換により生じた物質の生成量(ng/cm)である。図22に、重水素透過量と核種変換率との関係を示す。同図において、横軸は重水素ガスの平均透過量(SCCM)、縦軸は核種変換率(%)である。核種変換率は、構造体に添加した変換対象物質(変化される物質)の反応前後の変化量から算出する。すなわち、(反応前の変換対象物質量−反応後の変換対象物質量)/(反応前の変換対象物質量)である。
図21によれば、重水素の平均透過量が増えると、核種変換により生成される物質の量も増えている。このことから、核種変換生成量を制御するためには、重水素透過量を制御する必要があることが分かった。
上記課題を解決するために、本開示の重水素透過量の制御方法および重水素透過装置、並びに核種変換方法は以下の手段を採用する。
本開示は、重水素を透過可能な構造体を境として、前記構造体の一方の面側および他方の面側にそれぞれ閉空間を形成し、前記構造体の一方の面側の閉空間に前記重水素を供給して相対的に重水素の濃度を高め、前記構造体の他方の面側の閉空間を真空引きして相対的に重水素の濃度を低下させ、前記真空引きの際に前記他方の面側の前記閉空間からガスを排出する排出経路の真空圧力をモニタリングし、予め取得した重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から、前記構造体を透過する重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出し、前記モニタリングした真空圧力が前記目標真空圧力になるよう、前記重水素の供給量、前記構造体の温度、または、前記重水素の供給量および前記構造体の温度を調整することにより重水素透過量を制御する重水素透過量の制御方法を提供する。
構造体の両面に重水素の濃度勾配を形成すると、重水素が濃度の高い方から低い方へと移動し、構造体を透過する。表面に核種変換用物質が添加された構造体に重水素を透過させると、核種変換用物質の核種が別の核種に変換されうる。
排出経路の真空圧力のモニタリング値は、上記相関曲線を用いることで重水素ガス流量に変換できる。よって、排気経路の真空圧力から重水素ガス流量を間接的に確認できる。構造体の一方の面側と他方の面側との濃度差を大きくすると、重水素透過量は増加する。排出経路の真空圧力をモニタリングしならが、構造体の一方の面側の閉空間への重水素の供給量および/または構造体の温度を調整することで、構造体の重水素透過量を制御できる。
上記開示の一態様において、電解電流により電解質を含む重水を電気分解することで前記構造体の一方の面側の閉空間へ前記重水素を供給し、前記電解電流を変化させることにより前記重水素の供給量を調整してよい。
電気分解により発生する重水素量は、電解電流に依存する。よって、電解電流の大きさを調整することで、重水素の供給を制御できる。
上記開示の一態様において、重水素ガスを前記構造体の一方の面側の閉空間へ供給し、前記重水素ガスの充填圧を変化させることにより前記重水素の供給量を調整してよい。
重水素ガスを閉空間へ供給する場合、一方の面側の閉空間内での重水素量は重水素ガスの充填圧(供給量)に依存する。よって、重水素ガス供給量を調整することで、重水素の供給を制御できる。
上記開示の一態様において、前記構造体の温度を調整して前記重水素透過量を制御してもよい。
構造体の温度を上げると、重水素の拡散速度が速くなり、透過量も増大する。
上記開示の一態様において、前記モニタリングが、第1モニタリングおよび第2モニタリングを含み、前記重水素の供給量を調整して、第1モニタリングした真空圧力を前記目標真空圧力に近づけた後、前記第2モニタリングした真空圧力が前記目標真空圧力になるよう前記構造体の温度を調整してもよい。
上記開示の一態様において、前記モニタリングが、第1モニタリングおよび第2モニタリングを含み、前記構造体の温度を調整して、第1モニタリングした真空圧力を前記目標真空圧力に近づけた後、前記第2モニタリングした真空圧力が前記目標真空圧力になるよう前記重水素の供給量を調整してもよい。
複数の手段を採用することで、重水素の透過量の幅を広げられる。設定できる電解電流範囲、重水素ガスの充填範囲および調整できる温度範囲に制限がある。どちらか一方だけの調整では目標真空圧力に達せない場合、目標真空圧力を2段階に分けることで、モニタリング値を目標真空圧力にできるようになる。
電解液が電気分解されると、反応に伴い熱が生じる。電解電流を高くすると、構造体の温度も高くなる。そのため、構造体の温度調整の前に、電解電流により重水素の供給を調整すると重水素透過量を制御しやすい。
また、本開示は、上記に記載の重水素透過量の制御方法によって前記構造体に重水を透過させる核種変換方法であって、前記構造体と同じ材質で形成された試験構造体について温度と核種変換効率との関係を予め取得し、該関係の中から前記核種変換効率が相対的に高い温度域を選択し、該選択した温度域となるよう前記構造体の温度を調整する核種変換方法を提供する。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、構造体の温度を上げると核種変換効率は上がる傾向を示すが、ある温度を超えたところで下がる傾向に転ずることを見出した。核種変換効率が下がる温度、および、核種変換効率が相対的に高くなる温度域を予め把握し、その温度域となるよう構造体の温度を調整することで、可能な範囲でより高い核種変換効率を実現できる。
本開示は、重水素が透過可能な構造体と、前記構造体を両側から挟み込むようにして配置され、前記構造体により密閉可能な閉空間をなす貯留部および減圧部と、前記貯留部に重水素を供給し、前記貯留部を相対的に重水素の濃度が高い状態とする高濃度化手段と、前記減圧部を真空状態にする排気手段、および、前記減圧部と前記排気手段とを接続する排気経路を有し、該排気手段により前記減圧部を相対的に重水素濃度が低い状態とする低濃度化手段と、前記排気経路に接続された真空計と、を備える重水素透過装置を提供する。
上記開示の一態様において、制御部をさらに備え、前記制御部は、前記真空計の測定値をモニタリングするモニタリング部と、予め取得した重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線が格納された格納部と、前記相関曲線から前記重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を設定する設定部と、モニタリング値が、前記目標真空圧力になるよう前記重水素透過量を調整する調整部と、を備えてよい。
上記開示の一態様において、前記高濃度化手段が、前記構造体に対向配置された正極および直流電源を含み、前記調整部が、前記直流電源により電解電流を調整できる。
上記開示の一態様において、前記高濃度化手段が、重水素ガス源を備え、前記貯留部に接続された重水素ガス供給装置であり、前記調整部が、前記重水素ガス供給装置による重水素ガスの供給を調整できる。
上記開示の一態様において、前記構造体の温度を調整する温度調整手段を備え、前記制御部が、前記温度調整手段による温度調整を制御できる。
上記開示の一態様において、前記構造体の温度を調整する温度調整手段を備え、前記調整部は、第1モニタリング値が、前記目標真空圧力に近づくよう前記高濃度化手段による前記重水素の供給量を調整する第1調整部と、第2モニタリング値が、前記目標真空圧力になるよう前記温度調整手段により前記構造体の温度を調整する第2調整部と、を備えてよい。
本開示によれば、相対的に重水素濃度が低くなる閉空間の排気経路の真空圧をモニタリングし、モニタリング値に合わせて重水素の供給を調整することで、重水素透過量を制御し、核種変換生成量を制御することができる。また、本開示に係る核種変換方法によれば、核種変換効率の低下を抑制できる。
重水素透過量の制御方法および核種変換方法の原理を説明する図である。 一実施形態に係る重水素透過量の制御フロー図である。 一例としての構造体の縦断面図である。 実施例1に係る重水素透過装置(核種変換装置)の概略図である。 一例としての制御部の構成図である。 低濃度化手段の重水素透過量の相関関係取得装置の概略図である。 一例としての相関曲線図である。 実施例1に係る重水素透過量の制御フロー図である。 電解電流(電流密度)と、重水素透過量との関係を示す図である。 実施例2に係る重水素透過装置(核種変換装置)の概略図である。 実施例2に係る重水素透過量の制御フロー図である。 実施例3に係る重水素透過量の制御フロー図である。 面心立方金属中のアレニウスプロットを示す図である。 実施例3における構造体の温度と重水素透過量との関係を示す図である。 実施例4に係る重水素透過装置(核種変換装置)の概略図である。 実施例4に係る重水素透過量の制御フロー図である。 実施例4における構造体の温度と重水素透過量との関係を示す図である。 実施例4における構造体の温度と核種変換率との関係を示す図である。 実施例5に係る重水素透過量の制御フロー図である。 実施例6に係る重水素透過量の制御フロー図である。 重水素透過量と核種変換後核種の生成量との関係を示す図である。 重水素透過量と核種変換率との関係を示す図である。
図1は、本実施形態に係る重水素透過量の制御方法および核種変換方法の原理を説明する図である。図2は本実施形態に係る重水素透過量の制御フローを示す図である。
図1の重水素透過装置(核種変換装置)1は、ケーシング2と、重水素を透過可能であり板状に形成された構造体3とを備えている。ケーシング2は気密構造であり、その内部は外部雰囲気から遮断されている。構造体3はケーシング2内に配置され、該ケーシング2内を2つの空間に分離するようケーシング2に接合されている。構造体3の一方の面側および他方の面側にはそれぞれ、構造体3を境とした閉空間(4,5)が形成されている。構造体3の閉空間4側の面3Aには核種変換用物質6が添加されている。上記のような構成の重水素透過装置(核種変換装置)は、特許第4346838号公報および特許6366899号公報などに開示されている。
(重水素透過開始)
構造体3の一方の面3A側の閉空間(第1閉空間)4に重水素を供給し、該閉空間内の重水素濃度を相対的に高める。また、構造体3の他方の面3B側の閉空間(第2閉空間)5を真空引きして、相対的に重水素の濃度を低下させる。構造体3の両面において重水素の濃度差を形成することで、第1閉空間4から第2閉空間5へ重水素の流れ7を作り出す。これによって、重水素が構造体3を透過する。
(真空計モニタリング)
第2閉空間5を真空引きする排気経路(図示せず)に真空計(図示せず)を設置し、排気経路内の真空圧力をモニタリングする。
予め重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線を作成しておき、該相関曲線を用い、所定の重水素ガス流量となる真空圧力を目標真空圧力として設定する。
モニタリングした真空圧力(モニタリング値)を、設定した目標真空圧力(設定値)と比較する。
モニタリング値を、相関曲線に照らし合わせると、モニタリング値を重水素ガス流量に換算できる。すなわち、真空圧力をモニタリングすることで、間接的に排出経路の重水素ガス流量および構造体3の重水素透過量を確認できる。
(重水素透過条件の調整/維持)
モニタリング値が設定値を満たす場合、重水素とか条件は現状を維持する。モニタリング値が設定値を外れた場合は、モニタリング値が設定値に近づくように、重水素の透過条件を調整する。モニタリングは、モニタリング値が設定値になるまで継続する。
重水素透過条件は、重水素の供給量および/または構造体の温度である。重水素の供給量を調整することで構造体での重水素透過量を制御できる。構造体の温度を調整することでも構造体での重水素透過量を制御できる。重水素の供給量および構造体の温度の両方を調整して構造体での重水素透過量を制御してもよい。重水素の供給量を調整する方法については後述の実施例1,2で詳しく説明する。構造体の温度を調整/維持する方法については後述の実施例3,4で詳しく説明する。重水素の供給量および構造体の温度の組み合わせについては後述の実施例5,6で詳しく説明する。
(核種変換)
第1閉空間側の面3A上に核種変換用物質6を備えた構造体3に、重水素を透過させると、核種変換用物質6を構成する核種は、別の核種へと変換される。構造体3の重水素透過量を制御できれば、核種変換生成量を制御することができる。
核種変換用物質としては、セシウムCs、炭素C、ストロンチウムSr、ナトリウムNaなどが例示される。例えば、セシウム133Csは、プラセオジム141Prに核種変換される。炭素12Cは、マグネシウム24Mgに核種変換され、ケイ素28Siに核種変換され、硫黄32Sに核種変換される。ストロンチウム88Srは、モリブデン96Moに核種変換される。ナトリウム23Naは、ナトリウム27Naに核種変換され、マグネシウム27Mgに核種変換され、27Alに核種変換される。138Baは、150Smに核種変換される。
構造体3は、パラジウム(Pd)若しくはパラジウム合金、又は、パラジウム以外の水素吸蔵金属若しくはパラジウム合金以外の水素吸蔵合金と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質とを有する。パラジウム以外の水素吸蔵金属は、例えば、ニッケル(Ni)である。パラジウム以外の水素吸蔵合金は、例えば、ニッケル合金である。相対的に仕事関数が低い物質とは、例えば、仕事関数が3eV未満の物質であり、具体的には、酸化カルシウム(CaO)などとされる。
図3に、一例として構造体3の縦断面図を示す。図3の構造体3は、Pd基板11と積層膜12とを備えている。Pd基板11は、パラジウムPdから形成され、板状に形成されている。積層膜12は、Pd基板11の一方の面を被覆するよう形成される膜である。積層膜12は、複数のPd層13と複数のCaO層14とが交互に積層された構成である。積層膜12の最上層はPd層13である。
複数のPd層13は、それぞれ、パラジウムPdから形成され、その厚さは、例えば20nm程度である。複数のCaO層14は、それぞれ、酸化カルシウムCaOから形成され、その厚さは例えば2nm程度である。
構造体3は、板状に形成されたPd基板11がエッチング処理された後に、アルゴンイオンビームスパッタ法によって、そのPd基板11上にPd層13とCaO層14とが交互に製膜されることにより作製されうる。
構造体3は、積層膜12が形成される表面に、真空蒸着やスパッタ法などに例示される製膜処理によって核種変換用物質が添加されることもできる。また、構造体3を核種変換用物質が含まれる電解液に浸漬し、電解液を電気分解することにより核種変換用物質を構造体3表面に添加することもできる。
〔実施例1〕
本実施例は、電解質を含む重水を電気分解することで、重水素の供給を行うことを特徴とする。
まず、本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)について説明する。
図4は、本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)10の概略図である。重水素透過装置10は、構造体3、貯留部(第1閉空間)15、減圧部(第2閉空間)16、高濃度化手段、低濃度化手段、および真空計19を備えている。貯留部15は構造体3の一方の面側に配置されている。減圧部16は構造体3の他方の面側に配置されている。貯留部15および減圧部16は、構造体3により内部を気密保持可能に形成されている。
貯留部15および減圧部16は、構造体3を両側から挟み込むようにして、構造体3の一方の面側(Pd基板11とは反対側)と他方の面側(Pd基板11側)とにそれぞれ配置されている。貯留部15および減圧部16は、それぞれ構造体3により内部を気密保持可能に形成されている。
高濃度化手段は、貯留部15に重水素を供給し、貯留部15内を相対的に重水素の濃度が高い状態とするものである。図4において高濃度化手段は、直流電源20、正極21、重水供給装置22、及びガス排出経路23から構成されている。
直流電源20は、貯留部15の外に位置し、正極21と負極(構造体3)とに電気的に接続されている。直流電源20は、正極21と構造体3との間に電圧差を与え得る。直流電源20は、電流制御運転が可能である。
正極21は、貯留部15内で、間隔をあけて構造体3に対向配置されている。正極21は、白金(Pt)などで棒状に形成されている。正極21は、貯留部15内に後述の重水28が貯留された際に、該重水28に浸漬する位置にある。
重水供給装置22は、重水タンク25、重水供給経路26、除湿部27及びガス源(図示せず)を備えている。重水タンク25は、重水が収容される容器である。重水タンク25は、重水供給経路26を介して貯留部15に接続されている。重水供給経路26の一端は、重水タンク25内に収容された重水に浸漬するよう配置される。重水供給経路26の他端は、貯留部15に重水を供給可能に接続されている。重水供給経路26にはバルブ29が設けられている。
重水タンク25にはガス供給経路(30a,30b)を介して除湿部27およびガス源が接続されている。重水タンク25と除湿部27とをつなぐガス供給経路30aには、バルブ31が設けられている。除湿部27とガス源とをつなぐガス供給経路30bには、バルブ32が設けられている。ガス供給経路30aの一端は重水タンク25内で、重水に接触しない位置に配置されている。
除湿部27は、シリカゲル等に例示される除湿機能付フィルタを備えている。ガス源は、不活性ガスが充填されたボンベ、例えば、窒素(N)ボンベ、アルゴン(Ar)ボンベ、及びCE(Cold Evaporator)などである。
ガス供給経路30aは、図示しない制御装置に制御されることにより、除湿部27により乾燥された不活性ガスのうちの所定の流量の不活性ガスを重水タンク25に供給する。重水タンク25は、ガス供給経路30aから不活性ガスが供給されることにより、その貯留空間が加圧される。重水供給経路26は、図示しない制御装置又は後述する図5の制御部で制御されることにより、重水タンク25に貯留される重水のうちの所定の流量の重水を貯留部15に供給する。
ガス排出経路23は、一端が貯留部15に接続され、他端は外部雰囲気下に配置されている。ガス排出経路23には、貯留部15内のガスを外部に排出できるよう逆止弁33(<1気圧)が設けられている。逆止弁33は、外部雰囲気の気圧が貯留部15に貯留される気体の気圧より大きいときに、閉鎖する。逆止弁33は、貯留部15に貯留される気体の気圧が外部雰囲気の気圧より大きいときに、開放され、気体を外部に排気する。
低濃度化手段は、減圧部16を相対的に重水素濃度が低い状態とするものである。低濃度化手段は、減圧部16を真空状態にする排気手段41、減圧部16と排気手段41とを接続する排気経路42を備えている。排気手段41は、ターボ分子ポンプ及びドライポンプなどの排気装置であり、真空引きすることで減圧部16内を貯留部15よりも重水素濃度が低い状態に維持できる。排気経路42にはバルブ43が設けられている。
真空計19は、排気経路42に接続されており、排気経路42内の圧力を計測できる。
重水素透過装置10は、さらに、制御部を備えていてもよい。例えば、図5に示されるように、制御部45は、真空計19の測定値をモニタリングするモニタリング部46と、予め取得した重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線が格納された格納部47と、相関曲線から重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を設定する設定部48と、モニタリング結果が、目標真空圧力になるよう高濃度化手段による重水素の供給を調整する調整部49と、を備えている。
制御部45は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
重水素透過装置10には、構造体3の一方の面(貯留部15側を向く面)の近傍に向けて超音波が発信されるように、貯留部15の外側に、超音波振動子35が設置されてもよい。
減圧部16内には、構造体3の減圧部16側を加熱する加熱手段50が設置されてもよい。加熱手段50は、図示しない制御装置により温度制御が可能なヒータなどである。
重水素透過装置10は、さらに、冷却装置51と電解液供給装置61とを備えている。
冷却装置51は、反応後電解液抜出用配管52と熱交換器53とフィルタ54とポンプ55と冷却後電解液供給用配管56とを備えている。反応後電解液抜出用配管52は、貯留部15と熱交換器53とを接続する流路を形成している。反応後電解液抜出用配管52は、貯留部15に貯留されている重水28(電解液)を抜き出し、その抜き出された電解液を熱交換器53に供給する。
熱交換器53は、反応後電解液抜出用配管52から供給された電解液を冷却する。フィルタ54は、熱交換器53により冷却された電解液をろ過し、その電解液から不純物を除去する。ポンプ55は、図示しない制御装置に制御されることにより、フィルタ54によりろ過された電解液を加圧する。冷却後電解液供給用配管56は、ポンプ55と貯留部15とを接続する流路を形成している。冷却後電解液供給用配管56は、ポンプ55により加圧された電解液を貯留部15内に供給する。冷却装置51から供給された電解液は、構造体3の貯留部15側の表面に接触することにより、適切に構造体3を冷却できる。
電解液供給装置61は、不活性ガス供給用配管62と除湿装置63と乾燥不活性ガス供給用配管64と重水タンク65とを備えている。不活性ガス供給用配管62は、図示されていないガス源と除湿装置63とを接続する流路を形成している。不活性ガス供給用配管62は、図示しない制御装置に制御されることにより、ガス源から供給される窒素ガスNのうちの所定の流量の窒素ガスを除湿装置63に供給する。除湿装置63は、シリカゲルに例示される除湿機能付フィルタを備えている。除湿装置63は、不活性ガス供給用配管62から供給された窒素ガスから不純物を除去し、その窒素ガスを乾燥させる。
乾燥不活性ガス供給用配管64は、除湿装置63と重水タンク65とを接続する流路を形成している。乾燥不活性ガス供給用配管64は、図示しない制御装置に制御されることにより、除湿装置63により乾燥された窒素ガスのうちの所定の流量の窒素ガスを重水タンク65に供給する。重水タンク65は、貯留空間を形成し、その貯留空間に重水DOを貯留している。重水タンク65は、乾燥不活性ガス供給用配管64から窒素ガスが供給されることにより、その貯留空間が加圧される。
電解液供給装置61は、さらに、不活性ガス供給用配管66と除湿装置67と乾燥不活性ガス供給用配管68と重水供給用配管69と電解液タンク70と電解液供給用配管71とを備えている。不活性ガス供給用配管66は、ガス源と除湿装置67とを接続する流路を形成している。不活性ガス供給用配管66は、制御装置に制御されることにより、ガス源から供給される窒素ガスのうちの所定の流量の窒素ガスを除湿装置67に供給する。
除湿装置67は、シリカゲルに例示される除湿機能付フィルタを備えている。除湿装置67は、不活性ガス供給用配管66から供給された窒素ガスから不純物を除去し、その窒素ガスを乾燥させる。乾燥不活性ガス供給用配管68は、除湿装置67と電解液タンク70とを接続する流路を形成している。乾燥不活性ガス供給用配管68は、図示しない制御装置に制御されることにより、除湿装置67により乾燥された窒素ガスのうちの所定の流量の窒素ガスを電解液タンク70に供給する。
重水供給用配管69は、重水タンク65と電解液タンク70とを接続する流路を形成している。重水供給用配管69は、図示しない制御装置に制御されることにより、重水タンク65に貯留された重水のうちの所定の流量の重水を電解液タンク70に供給する。
電解液タンク70は、貯留空間を形成し、その貯留空間に電解液を貯留している。電解液タンク70は、乾燥不活性ガス供給用配管68から窒素ガスが供給されることにより、その貯留空間が加圧される。電解液タンク70は、電解質塩72とヒータ73とを備えている。電解質塩72は、電解質から形成され、電解液タンク70の貯留空間に配置されている。電解質としては、硝酸セシウムCsNO、水酸化セシウムCsOH、硝酸ナトリウムNaNO、硝酸ストロンチウムSr(NO、硝酸バリウムBa(NOに例示される。電解質塩72は、電解液タンク70の貯留空間に貯留される電解液に常時に接触することにより、その電解液に所定の濃度の電解質を溶解させる。ヒータ73は、電解液タンク70の貯留空間に貯留される電解液が所定の温度になるように、図示しない制御装置に制御されることにより、電解液を加熱する。
電解液供給用配管71は、電解液タンク70と貯留部15とを接続する流路を形成している。電解液供給用配管71は、図示しない制御装置に制御されることにより、電解液タンク70に貯留される電解液のうちの所定の流量の電解液を貯留部15に供給する。
次に、上記重水素透過装置における重水素透過量の制御方法について図8を参照して説明する。
(目標真空圧力の設定)
予め以下の手順で相関曲線を作成する。
まず、真空計19が接続された低濃度化手段(排気手段41、排気経路42、バルブ43)を重水素透過装置10から取り外す。次に、図6に示すように、取り外した低濃度化手段に、質量流量計(マスフローコントローラ)82を介して重水素ガスボンベ80(レギュレータ81付き)を接続した後、マスフローコントローラ82により所定の流量で重水素ガスを流し、真空計19で真空圧力を計測し、計測値を記録する。
マスフローコントローラ82により流した重水素ガス流量と、真空計19での計測値とを相関させ、相関曲線を作成する。実際に作成した相関曲線を図7に例示する。同図において、横軸は真空圧力(Pa)、縦軸は重水素ガス流量(mL/min)である。
次に、作成した相関曲線から、重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出す。重水素ガス流量は、所望の核種変換生成量が得られる流量を、重水素透過量と核種変換生成量との関係より設定する。
(重水素透過開始)
重水供給装置22から貯留部15に重水28を供給し、正極21を重水28に浸漬させる。重水28は常に正極21が浸漬される量を維持する。重水28の供給量や供給タイミングは、重水28の液高(正極21が常に液中に保持される液量)に応じて適宜設定される。
正極21を重水28に浸漬させた後、直流電源20により、正極21と負極(構造体3)に対して電圧を印加し、正極21と構造体3との間に電解電流を流し、重水28を電気分解して構造体3の表面上で重水素(D)を発生させる。さらに、排気手段41にて減圧部16内を真空引きする。これらにより、貯留部15内が相対的に重水素の濃度が高い状態となり、減圧部16内が相対的に重水素濃度の低い状態となって濃度勾配が生じる。貯留部15と減圧部16との間に重水素の濃度差によって、貯留部15側の重水素が減圧部16側に移動し、構造体3を透過する。
重水28は、例えば、0.1mol/lの重水ベースの硝酸セシウム溶液であって良い。減圧部16内の圧力は<0.1Pa以下とされると良い。
(真空計モニタリング)
排気経路42の真空圧力を真空計19にてモニタリングする。
モニタリングした真空圧力(モニタリング値)を、予め取得しておいた重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から導き出した目標真空圧力(設定値)と比較する。
(電解電流の調整/維持)
モニタリング値が設定値を満たす場合、電解電流は現状維持とする。モニタリング値が設定値を外れた場合は、モニタリング値が設定値に近づくように、直流電源20によって電解電流を変化させて重水素の供給量を調整する。例えば、モニタリング値が設定値よりも低い場合は、電解電流を大きくして、電気分解により発生する重水素量を増加させる。モニタリング値が設定値を満たすようになるまで、モニタリングおよび電解電流の調整を繰り返す。
重水素透過量(流速J)は、フィックの第一法則式より下記の通り求められる。
Figure 2021056111
(J:重水素透過量、D:拡散係数、∂c:重水素濃度勾配、∂z:構造体厚さ)
ここで、貯留部15側の重水素濃度Cは減圧部16側の重水素濃度Cに比べてかなり高い(C>>C)。よって、重水素濃度勾配は実質的に∂c≒Cとなる。したがって、重水素透過量は貯留部15における重水素濃度Cに依存する。
貯留部15における重水素濃度Cは、電気分解により発生する重水素量に依存する。すなわち、重水素濃度Cは電解電流Aの大きさで決まる。よって、直流電源20によって電解電流を調整し、電気分解により発生する重水素量を変化させることで、間接的に構造体の重水素透過量を制御できる。
(重水素透過試験)
図4の重水素透過装置10を使用し、核種変換用物質を添加した構造体に重水素を透過させ、以下の通り核種変換反応を行った。
まず、電解液供給装置61により電解質が重水溶液に溶解した電解液(重水ベースの硝酸セシウム溶液)を貯留部15内に供給した。重水を重水供給装置22から貯留部15内に供給した。電解液および重水の供給は、貯留部15内での電解質濃度が例えば0.1mol/lとなるよう調整するとともに、正極21が浸漬されるまで実施した。
バルブ43を開放して排気手段41により減圧部16を真空引きし、減圧部16内の圧力は<0.1Pa以下にした。また、加熱手段50により、構造体の減圧部16側の部分が所定温度になるよう加熱した。一方、構造体の貯留部15側の部分は、冷却装置51により重水28を循環させて冷却した。
直流電源20によって電圧を印加し、正極21と構造体3との間に電解電流Aを流し、真空計19の計測値をモニタリングした。モニタリング値および予め作成しておいた相関曲線から重水素ガス流量を導き出し、該重水素ガス流量を構造体の断面積で除すことで重水素ガス透過量を得た。
上記試験に基づき、電解電流(電流密度)と、重水素透過量との関係をまとめた結果を図9に示す。同図において、横軸は電流密度(mA/cm)、縦軸は構造体の重水素透過量(mL/min/cm)である。
図9によれば、電流密度(電解電流)の増加に伴い、重水素透過量も増加することが確認された。
〔実施例2〕
本実施例では、貯留部に重水素ガスを充填して、重水素の供給を行うことを特徴とする。
まず、本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)について説明する。
図10は、本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)の概略図である。重水素透過装置100は、構造体3、貯留部(第1閉空間)102、減圧部(第2閉空間)103、高濃度化手段104、低濃度化手段105および真空計19を備えている。貯留部102は構造体3の一方の面側(Pd基板11とは反対側)に配置されている。減圧部103は構造体3の他方の面側(Pd基板11側)に配置されている。貯留部102および減圧部103は、構造体3を境として内部を気密保持可能に形成されている。
高濃度化手段104は、貯留部102に重水素を供給し、貯留部102内を相対的に重水素の濃度が高い状態とするものである。図10において高濃度化手段104は、重水素ガスボンベ106と、貯留部102および重水素ガスボンベ106を接続し、途中にバリアブルリークバルブ107が設けられた供給経路108で構成されている。
低濃度化手段105は、減圧部103を相対的に重水素濃度が低い状態とするものである。低濃度化手段105は、減圧部103内を真空状態にする排気手段109、減圧部103と排気手段109とを接続する排気経路110、および真空計19を備えている。
図10において排気手段109は、主排気装置109aと副排気装置109bとを含む。主排気装置109aは、ターボ分子ポンプおよびドライポンプなどであり、真空引きすることで減圧部103内を貯留部102よりも重水素濃度が低い状態に維持できる。副排気装置109bは、ロータリーポンプなどであり、減圧部103およびターボ分子ポンプ内を荒引きする。排気経路110の途中にはバルブ112が設けられている。
真空計19は、排気経路110に接続されており、排気経路110内の真空圧力を計測できる。
重水素透過装置100は、さらに、制御部(図示せず)を備えていてもよい。制御部は、例えば、図5と同様にモニタリング部、格納部、設定部および調整部を含み、調整部はバリアブルリークバルブ107の開閉を制御し、重水素ガスボンベ106から供給される重水素ガスの供給を調整する。
重水素透過装置100は、例えば構造体3から生成されるガス状の反応生成物を検出すると共に減圧部103内の重水素量を計測することにより構造体3を透過する重水素の透過量を評価する質量分析器113を備えていてもよい。
さらに、重水素透過装置100は、例えばX線や電子線、粒子線等の照射により励起された構造体3の表面上の原子から放出される光電子やイオン等を検出する静電アナライザー120と、構造体3の両面のうち貯留部102内の重水素に曝される表面上にX線を照射するXPS(X−ray Photo−electron Spectrometry:X線照射光電子スペクトル分析)用のX線銃121と、内部に重水素が導入された貯留部102内の圧力を検出する圧力計122と、例えばベリリウム窓123を有する高純度ゲルマニウム検出器124からなるX線検出器と、貯留部102内の真空度を検出する貯留部真空計125と、例えば重水素の導入以前等に貯留部102内を真空状態に保持する真空バルブ126と、貯留部102を真空状態にするターボ分子ポンプ127と、貯留部102およびターボ分子ポンプ127内を荒引きするためのロータリーポンプ128とを備えて構成されている。
次に、重水素透過装置100における重水素透過量の制御方法について図11を参照して説明する。
(目標真空圧力の設定)
真空計19が接続された低濃度化手段105(排気手段109、排気経路110、バルブ112)を重水素透過装置100から取り外し、実施例1と同様に、予め相関曲線を作成する。次に、作成した相関曲線から、重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出す。重水素ガス流量は、所望の核種変換生成量が得られる流量を、重水素透過量と核種変換生成量の関係より設定する。
(重水素透過開始)
減圧部103内を排気手段109によって真空引きする。その後、バリアブルリークバルブ107を開き、重水素ガスボンベ106から所定のガス圧力で貯留部102に重水素ガスを供給する。これにより、貯留部102内が相対的に重水素の濃度の高い状態となり、減圧部103内が相対的に重水素濃度の低い状態となって濃度勾配が生じる。貯留部102と減圧部103との間の重水素の濃度差によって、貯留部102側の重水素が減圧部103側に移動し、構造体3を透過する。
(真空計モニタリング)
排気経路110内の真空圧力を真空計19にてモニタリングする。
モニタリングした真空圧力(モニタリング値)を、予め取得しておいた重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から導き出した目標真空圧力と比較する。
(重水素ガス充填圧の調整/維持)
モニタリング値が設定値を満たす場合、重水素ガスの充填圧は現状維持とする。モニタリング値が設定値を外れた場合は、モニタリング値が設定値に近づくように、重水素ガスボンベからの重水素ガス供給量を変化させ、充填圧を調整する。充填圧を調整することで、重水素(ガス)の供給量を調整できる。例えば、モニタリング値が設定値よりも低い場合は、重水素ガスボンベからの重水素ガス供給量を増加させる。モニタリングは、モニタリング値が設定値を満たすようになるまで継続する。
貯留部102側の重水素濃度Cは減圧部103側の重水素濃度Cに比べてかなり高いため、重水素濃度勾配は実質的に∂c≒Cとなる。本実施例において、貯留部102における重水素濃度Cは、重水素ガスの充填圧Pによって決まる。よって、重水素ガスの充填圧Pを調整して、貯留部102内の重水素濃度Cを変化させることで、間接的に重水素透過量を制御できる。重水素透過量を制御することで、核種変換生成量を制御することができる。
〔実施例3〕
本実施例では、電解質を含む重水を電気分解することで重水素の供給を行うが、重水素透過量の調整(モニタリング値を設定値に近づけるための調整)を構造体の温度調整で行う点が実施例1と異なる。
本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)は、図4の重水素透過装置10と同様の構成を備えている。本実施例において符号50は、構造体の温度を調整する温度調整手段である。制御部の調整部は、温度調整手段50の加熱温度を調整できる。構造体は、支持部材により支えられ、ケーシング2と結合されている。支持部材の構造体近傍には、構造体温度を測定する温度計測部(図示せず)が設けられている。支持部材は、金属等の熱伝導性の高い物質で形成され、温度計測部で計測された温度は、実質的に構造体の温度に読み替えることができる。
図12に、本実施例に係る重水素透過量制御の手順を示す。
(目標真空圧力の設定)
実施例1と同様に、予め相関曲線を作成する。次に、作成した相関曲線から、重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出す。重水素ガス流量は、所望の核種変換生成量が得られる流量を、重水素透過量と核種変換生成量の関係より設定する。
(重水素透過開始)
実施例1と同様に、正極21と構造体3との間に電解電流を流し、重水素透過を開始する。
(真空計モニタリング)
排気経路42の真空圧力を真空計19にてモニタリングする。
モニタリングした真空圧力(モニタリング値)を、予め取得しておいた重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から導き出した目標真空圧力(設定値)と比較する。
(構造体温度の調整/維持)
モニタリング値が設定値を満たす場合、温度調整手段50による加熱温度は現状維持とする。モニタリング値が設定値を外れた場合は、モニタリング値が設定値に近づくように、温度調整手段50による加熱温度を変化させて構造体の温度を調整する。構造体の温度を変化させることで重水素の透過量を制御できる。モニタリングは、モニタリング値が設定値を満たすようになるまで、モニタリングおよび構造体の温度調整を繰り返す。
実施例1で説明した通り、重水素透過量(流速J)は、フィックの第一法則式により求められる。
Figure 2021056111
(J:重水素透過量、D:拡散係数、∂c:重水素濃度勾配、∂z:構造体厚さ)
拡散係数Dは、アレニウスの式により下記の通り求められる。
Figure 2021056111
(D:拡散係数初期値、E:活性化エネルギー、k:ボルツマン定数、T:温度)
図13に、面心立方金属中のアレニウスプロットを示す。同図において、横軸は温度の逆数10/T(1/K)、縦軸は拡散係数D(m/s)である。図13によれば、パラジウムPdの拡散係数Dは、温度Tの変化に比例して変化していることがわかる。したがって、重水素透過量は構造体3の温度に依存する。
(重水素透過試験)
図4の重水素透過装置10を使用し、以下の通り、核種変換用物質を添加した構造体に重水素を透過させた。
まず、電解液供給装置61により電解質が重水溶液に溶解した電解液(重水ベースの硝酸セシウム溶液)および重水供給装置22から重水28を貯留部102内に供給した。電解液および重水の供給は、貯留部102内での電解質濃度が0.1mol/lとなるよう調整するとともに、正極21が浸漬されるまで実施した。
バルブ43を開放して排気手段41により減圧部16を真空引きし、減圧部16内の圧力は<0.1Pa以下にした。また、温度調整手段50により、構造体3の減圧部16側の部分が所定温度になるよう加熱した。
直流電源20によって電圧を印加し、正極21と構造体3との間に電解電流Aを流し、真空計19の計測値をモニタリングした。モニタリング値および予め作成した相関曲線から重水素ガス流量を導き出し、該重水素ガス流量を構造体の断面積で除すことで重水素透過量を得た。
上記試験に基づき、構造体の温度(≒温度調整手段による加熱温度)と、重水素透過量との関係をまとめた結果を図14に示す。同図において、横軸は構造体の温度(℃)、縦軸は構造体の重水素透過量(mL/min/cm)である。図14によれば、温度上昇に伴い、重水素透過量(J)も増加し、構造体の温度調整で重水素透過量を制御できることが確認された。
〔実施例4〕
本実施例では、貯留部に重水素ガスを充填して、重水素の供給を行うが、重水素透過量の調整(モニタリング値を設定値に近づけるための調整)を構造体の温度調整で行う点が実施例2と異なる。
まず、本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)について説明する。
図15は、本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)の概略図である。重水素透過装置130は、図10の重水素透過装置100と同様の構成を備えている。重水素透過装置130は、さらに、構造体の温度を調整する温度調整手段131を備える。制御部の調整部は、温度調整手段131の加熱温度を調整する。温度調整手段131は、ヒータ等の加熱装置である。構造体は、支持部材により支えられ、ケーシング2と結合されている。支持部材の構造体近傍には、構造体温度を測定する温度計測部(図示せず)が設けられている。支持部材は、金属等の熱伝導性の高い物質で形成され、温度計測部で計測された温度は、実質的に構造体の温度に読み替えることができる。
図16に、重水素透過装置130における重水素透過量制御の手順を示す。
(目標真空圧力の設定)
実施例2と同様に、予め相関曲線を作成する。次に、作成した相関曲線から、重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出す。重水素ガス流量は、所望の核種変換生成量が得られる流量を、重水素透過量と核種変換生成量の関係より設定する。
(重水素透過開始)
実施例2と同様に、貯留部に重水素ガスを充填して、重水素透過を開始する。
(真空計モニタリング)
排気経路110の真空圧力を真空計19にてモニタリングする。
モニタリングした真空圧力(モニタリング値)を、予め取得しておいた重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から導き出した目標真空圧力(設定値)と比較する。
(構造体温度の調整/維持)
モニタリング値が設定値を満たす場合、温度調整手段131による加熱温度は現状維持とする。モニタリング値が設定値を外れた場合は、モニタリング値が設定値に近づくように、温度調整手段131による加熱温度を変化させて構造体の温度を調整する。構造体の温度を変化させることで重水素の透過量を制御できる。モニタリング値が設定値を満たすようになるまで、モニタリングおよび構造体の温度調整を繰り返す。
(重水素透過試験)
図15の重水素透過装置130を使用し、以下の通り、核種変換用物質を添加した構造体に重水素を透過させた。
構造体3の積層膜12を貯留部102側に向け、構造体3を介在させて貯留部102と減圧部103とをそれぞれ気密状態に閉塞して、先ず、減圧部103を副排気装置109bおよび主排気装置109aにより真空排気した。そして、バリアブルリークバルブ107を閉じ、真空バルブ126を開いて貯留部102をロータリーポンプ128およびターボ分子ポンプ127により真空排気した。次に、貯留部102の真空度が充分安定した後(例えば、1×10−5Pa以下の状態)に、XPSにより貯留部102側の構造体3の表面上に存在する元素を分析した。すなわち、X線銃121からのX線を構造体3の表面に照射して、このX線の照射により励起された構造体3の表面上の原子から放出される光電子のエネルギーを静電アナライザー120により検出した。これにより、構造体3の貯留部102側の表面上に存在する元素を同定した。
構造体3を、温度調整手段131により加熱した後、真空バルブ126を閉じて貯留部102の真空排気を停止して、バリアブルリークバルブ107を開いて貯留部102内に所定(120kPa〜130kPa,180kPa〜200kPa)のガス圧力(充填圧)で重水素ガスを導入して、重水素の透過を開始した。
上記手順により、構造体3の貯留部102側を相対的に重水素の濃度が高い状態とし、構造体3の減圧部103側を相対的に重水素の濃度が低い状態として、構造体3の両面において重水素の濃度差を形成することで、貯留部102側から減圧部103側へ重水素の流れを作り出した。
真空計19の計測値をモニタリングし、モニタリング値および予め作成しておいた相関曲線から重水素ガス流量を導き出し、該重水素ガス流量を構造体の断面積で除すことで重水素ガス透過量を得た。
上記試験に基づき、重水素ガスの充填圧ごとに、構造体の温度(温度調整手段131による加熱温度)と重水素透過量との関係をまとめた結果を図17に示す。同図において、横軸は構造体の温度(℃)、縦軸は構造体の重水素透過量(mL/min/cm)である。図17によれば、温度上昇に伴い、重水素透過量(J)も増加し、構造体の温度調整で重水素透過量を制御できることが確認された。
また、上記試験に基づき、重水素ガスの充填圧ごとに、構造体の温度(温度調整手段131による加熱温度)と核種変換効率との関係をまとめた結果を図18に示す。同図において、横軸は構造体の温度(℃)、縦軸は核種変換効率(%)である。
図18によれば、構造体温度がある程度より高くなると核種変換効率は低下する。例えば、ガス圧力が180〜200kPaで重水素ガスを導入する場合、構造体温度は70℃から80℃とするのが好ましい。
上記結果から、構造体と同じ材質で形成された試験構造体について温度と核種変換効率との関係を予め取得し、該関係の中から核種変換効率が相対的に高い温度域を選択し、該選択した温度域となるよう構造体の温度を調整するとよいことがわかる。
〔実施例5〕
本実施例では、電解質を含む重水を電気分解することで重水素の供給を行うが、重水素透過量の調整(モニタリング値を設定値に近づけるための調整)を、電解電流および構造体の温度調整により実施する点が実施例1,3と異なる。
本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)は、図4の重水素透過装置10と同様の構成を備えている。本実施例において加熱手段50は、構造体の温度を調整する温度調整手段である。制御部の調整部は、温度調整手段の加熱温度を調整する。構造体は、支持部材により支えられ、ケーシング2と結合されている。支持部材の構造体近傍には、構造体温度を測定する温度計測部(図示せず)が設けられている。支持部材は、金属等の熱伝導性の高い物質で形成され、温度計測部で計測された温度は、実質的に構造体の温度に読み替えることができる。
図19に、本実施例に係る重水素透過量制御の手順を示す。
(目標真空圧力の設定)
実施例1と同様に、予め相関曲線を作成する。次に、作成した相関曲線から、重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出す。重水素ガス流量は、所望の核種変換生成量が得られる流量を、重水素透過量と核種変換生成量の関係より設定する。
(重水素透過開始)
実施例1と同様に、正極21と構造体3との間に電解電流を流し、重水素透過を開始する。
(真空計モニタリング)
排気経路42の真空圧力を真空計19にて第1モニタリングする。
第1モニタリングした真空圧力(第1モニタリング値)を、予め取得しておいた重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から導き出した目標真空圧力(設定値)と比較する。
(電解電流の調整/維持)
第1モニタリング値が設定値を満たす場合、電解電流は現状維持とする。第1モニタリング値が設定値を外れた場合は、電解電流が直流電源20の調整可能範囲内であるか否か確認する。
電解電流が調整可能範囲内にある場合、第1モニタリング値が設定値に近づくように、直流電源20によって電解電流を調整する。例えば、第1モニタリング値が設定値よりも低い場合は、電解電流を大きくして、電気分解により発生する重水素量を増加させる。電解電流が設定可能範囲内にある限り、第1モニタリング値が設定値を満たすようになるまで上記第1モニタリングおよび電解電流の調整を繰り返す。
(真空計モニタリング)
電解電流が調整可能範囲内にない場合、電解電流は現状維持とし、さらに、温度調整手段によって加熱温度を調整する。真空計19の計測値を第2モニタリングした真空圧力(第2モニタリング値)を、目標真空圧力(設定値)と比較する。
(構造体温度の調整/維持)
第2モニタリング値が設定値を満たす場合、温度調整手段50による加熱温度は現状維持とする。第2モニタリング値が設定値を外れた場合は、第2モニタリング値が設定値に近づくように、温度調整手段50による加熱温度を変化させて構造体の温度を調整する。モニタリングおよび構造体の温度調整は、モニタリング値が設定値を満たすようになるまで継続する。
電解電流および構造体温度を調整することで重水素透過量を制御できる。これにより、核種変換生成量を制御することができる。なお、電解電流を大きくすると、ジュール熱によって構造体温度も変化する。よって、電解電流を調整した後、構造体温度を調整することが望ましい。
〔実施例6〕
本実施例では、貯留部に重水素ガスを充填して、重水素の供給を行うが、重水素透過量の調整(モニタリング値を設定値に近づけるための調整)を、重水素ガスの充填圧および構造体の温度調整により実施する点が実施例2,4と異なる。
本実施例に係る重水素透過装置(核種変換装置)は、図15の重水素透過装置130と同様の構成を備えている。
図20に、本実施例に係る重水素透過量制御の手順を示す。
(目標真空圧力の設定)
実施例2と同様に、予め相関曲線を作成する。次に、作成した相関曲線から、重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出す。重水素ガス流量は、所望の核種変換生成量が得られる流量を、重水素透過量と核種変換生成量の関係より設定する。
(重水素透過開始)
実施例2と同様に、貯留部に重水素ガスを充填して、重水素透過を開始する。
(真空計モニタリング)
排気経路110の真空圧力を真空計19にて第1モニタリングする。
第1モニタリングした真空圧力(第1モニタリング値)を、予め取得しておいた重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から導き出した目標真空圧力(設定値)と比較する。
(充填圧の調整/維持)
第1モニタリング値が設定値を満たす場合、重水素ガスの充填圧は現状維持とする。第1モニタリング値が設定値を外れた場合は、重水素ガスの充填圧が調整可能範囲内であるか否か確認する。重水素ガスの充填圧の調整可能範囲は、重水素ガスボンベ106の容量や装置の耐久圧力により決定され、貯留部102に加えることができる重水素ガスの充填圧の範囲である。
重水素ガスの充填圧が調整可能範囲内にある場合、第1モニタリング値が設定値に近づくように、重水素ガスボンベからの重水素ガス供給量を変化させ、充填圧を調整する。充填圧が調整可能範囲内にある限り、第1モニタリング値が設定値を満たすようになるまで上記第1モニタリングおよび充填圧の調整を繰り返す。
(真空計モニタリング)
充填圧が調整可能範囲内にない場合、充填圧を現状維持とし、さらに、温度調整手段によって加熱温度を調整する。真空計19の計測値を第2モニタリングした真空圧力(第2モニタリング値)を、目標真空圧力(設定値)と比較する。
(構造体温度の調整/維持)
第2モニタリング値が設定値を満たす場合、温度調整手段131による加熱温度は現状維持とする。第2モニタリング値が設定値を外れていた場合は、第2モニタリング値が設定値に近づくように、温度調整手段131による加熱温度を変化させて構造体の温度を調整する。第2モニタリングおよび構造体の温度調整は、第2モニタリング値が設定値を満たすようになるまで継続する。
重水素ガスの充填圧および構造体温度を調整することで重水素透過量を制御できる。これにより、核種変換生成量を制御することができる。
なお、本実施例では、まず、重水素ガスの充填圧の調整を行い、それでも目標真空圧力(設定値)にならない場合に構造体温度を調整したが、構造体温度を調整した後に、重水素ガスの充填圧を調整してもよい。
1,10,100,130 重水素透過装置(核種変換装置)
2 ケーシング
3 構造体
3A 構造体の一方の面(第1閉空間側)
3B 構造体の他方の面(第2閉空間側)
4 閉空間(第1閉空間)
5 閉空間(第2閉空間)
6 核種変換用物質
7 重水素の流れ
11 Pd基板
12 積層膜
13 Pd層
14 CaO層
15,102 貯留部(第1閉空間)
16,103 減圧部(第2閉空間)
19 真空計
20 直流電源
21 正極
22 重水供給装置
23 ガス排出経路
25 重水タンク
26 重水供給経路
27 除湿部
28 重水
29,31,32,43,112 バルブ
30a,30b ガス供給経路
33 逆止弁
35 超音波振動子
41,109 排気手段
42,110 排気経路
45 制御部
46 モニタリング部
47 格納部
48 設定部
49 調整部
50,131 加熱手段(温度調整手段)
51 冷却装置
52 反応後電解液抜出用配管
53 熱交換器
54 フィルタ
55 ポンプ
56 冷却後電解液供給用配管
61 電解液供給装置
62,66 不活性ガス供給用配管
63,67 除湿装置
64,68 乾燥不活性ガス供給用配管
65 重水タンク
69 重水供給用配管
70 電解液タンク
71 電解液供給用配管
72 電解質塩
73 ヒータ
80 重水素ガスボンベ
81 レギュレータ
82 質量流量計(マスフローコントローラ)
104 高濃度化手段
105 低濃度化手段
106 重水素ガスボンベ
107 バリアブルリークバルブ
108 供給経路
109a 主排気装置
109b 副排気装置
113 質量分析器
120 静電アナライザー
121 X線銃
122 圧力計
123 ベリリウム窓
124 高純度ゲルマニウム検出器
125 貯留部真空計
126 真空バルブ
127 ターボ分子ポンプ
128 ロータリーポンプ

Claims (13)

  1. 重水素を透過可能な構造体を境として、前記構造体の一方の面側および他方の面側にそれぞれ閉空間を形成し、
    前記構造体の一方の面側の閉空間に前記重水素を供給して相対的に重水素の濃度を高め、
    前記構造体の他方の面側の閉空間を真空引きして相対的に重水素の濃度を低下させ、
    前記真空引きの際に前記他方の面側の前記閉空間からガスを排出する排出経路の真空圧力をモニタリングし、
    予め取得した重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線から、前記構造体を透過する重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を導き出し、
    前記モニタリングした真空圧力が前記目標真空圧力になるよう、前記重水素の供給量、前記構造体の温度、または、前記重水素の供給量および前記構造体の温度を調整することにより重水素透過量を制御する重水素透過量の制御方法。
  2. 電解電流により電解質を含む重水を電気分解することで前記構造体の一方の面側の閉空間へ前記重水素を供給し、
    前記電解電流を変化させることにより前記重水素の供給量を調整する請求項1に記載の重水素透過量の制御方法。
  3. 重水素ガスを前記構造体の一方の面側の閉空間へ充填することにより前記重水素を供給し、
    前記重水素ガスの充填圧を変化させることにより前記重水素の供給量を調整する請求項1に記載の重水素透過量の制御方法。
  4. 前記構造体の温度を調整して前記重水素透過量を制御する請求項1に記載の重水素透過量の制御方法。
  5. 前記モニタリングが、第1モニタリングおよび第2モニタリングを含み、
    前記重水素の供給量を調整して、前記第1モニタリングした真空圧力を前記目標真空圧力に近づけた後、
    前記第2モニタリングした真空圧力が前記目標真空圧力になるよう前記構造体の温度を調整する請求項4に記載の重水素透過量の制御方法。
  6. 前記モニタリングが、第1モニタリングおよび第2モニタリングを含み、
    前記構造体の温度を調整して、前記第1モニタリングした真空圧力を前記目標真空圧力に近づけた後、
    前記第2モニタリングした真空圧力が前記目標真空圧力になるよう前記重水素の供給量を調整する請求項4に記載の重水素透過量の制御方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の重水素透過量の制御方法によって前記構造体に重水素を透過させる核種変換方法であって、前記構造体と同じ材質で形成された試験構造体について温度と核種変換効率との関係を予め取得し、該関係から前記核種変換効率が相対的に高い温度域を選択し、該選択した温度域となるよう前記構造体の温度を調整する核種変換方法。
  8. 重水素が透過可能な構造体と、
    前記構造体を両側から挟み込むようにして配置され、前記構造体により密閉可能な閉空間をなす貯留部および減圧部と、
    前記貯留部に重水素を供給し、前記貯留部を相対的に重水素の濃度が高い状態とする高濃度化手段と、
    前記減圧部を真空状態にする排気手段、および、前記減圧部と前記排気手段とを接続する排気経路を有し、該排気手段により前記減圧部を相対的に重水素濃度が低い状態とする低濃度化手段と、
    前記排気経路に接続された真空計と、
    を備える重水素透過装置。
  9. 制御部をさらに備え、前記制御部は、
    前記真空計の測定値をモニタリングするモニタリング部と、
    予め取得した重水素ガス流量と真空圧力との相関曲線が格納された格納部と、
    前記相関曲線から前記重水素ガス流量が所定値になる目標真空圧力を設定する設定部と、
    モニタリング値が、前記目標真空圧力になるよう重水素透過量を調整する調整部と、を備える請求項8に記載の重水素透過装置。
  10. 前記高濃度化手段が、前記構造体に対向配置された正極および直流電源を含み、
    前記調整部が、前記直流電源により電解電流を調整する請求項9に記載の重水素透過装置。
  11. 前記高濃度化手段が、重水素ガス源を備え、前記貯留部に接続された重水素ガス供給装置であり、
    前記調整部が、前記重水素ガス供給装置による重水素ガスの供給を調整する請求項9に記載の重水素透過装置。
  12. 前記構造体の温度を調整する温度調整手段を備え、
    前記制御部が、前記温度調整手段の温度調整を制御する請求項9〜11のいずれかに記載の重水素透過装置。
  13. 前記構造体の温度を調整する温度調整手段を備え、
    前記調整部は、
    第1モニタリング値が、前記目標真空圧力に近づくよう前記高濃度化手段による前記重水素の供給量を調整する第1調整部と、
    第2モニタリング値が、前記目標真空圧力になるよう前記温度調整手段により前記構造体の温度を調整する第2調整部と、
    を備える請求項9に記載の重水素透過装置。
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