JP2009014625A - 熱エネルギー発生装置およびそれを用いて熱エネルギーの発生を制御する方法 - Google Patents

熱エネルギー発生装置およびそれを用いて熱エネルギーの発生を制御する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重水素の核融合反応の制御を容易に行うことを可能にするとともに、重水素ガスをリサイクルすることを容易にする実用的な熱エネルギー発生装置を提供すること。
【解決手段】熱エネルギー発生装置1は、Pd容器2の内部にある空間4およびPd容器2とステンレス容器3との間にある空間5を高真空状態にする手段と、重水素ガスを空間5に供給する手段と、空間5に供給された重水素ガスが空間5から空間4に向ってPd容器の壁を通過するように、空間5内の重水素ガスの温度を制御する手段と、空間5内の重水素ガスを熱エネルギー発生装置1の外部に排出することにより、空間4内に残留した重水素ガスが空間4から空間5に向かってPd容器2の壁を通過するようにし、これにより、空間4内に残留した重水素ガスを熱エネルギー発生装置1の外部に排出することを可能にする手段とをさらに備えている。
【選択図】図1A

Description

本発明は、重水素の核融合反応の制御を容易に行うことを可能にするとともに、重水素ガスをリサイクルすることを容易にする実用的な熱エネルギー発生装置およびそれを用いた熱エネルギーの発生を制御する方法に関する。
電気分解を利用して超高圧の重水素ガスを生成する方法が知られている(例えば、本願発明者による特許文献1を参照)。この方法は、「超高温核融合」と「常温核融合」の開拓者として本願発明者を紹介した米国科学技術誌”21stCENTURY SCIENCE&TECHNOLOGY”(1995)においても紹介されている。この方法に用いる重水素ジュネレータの構造は、本願発明者によって後に”DS−カソード”(”Double Structure Cathod”)と命名される熱エネルギー発生装置の構造と実質的に同等であり、本願発明者の長年にわたる熱核反応に関する研究の源流となっている。
本願発明者によって開発されたDS−カソードは、固体内核融合(常温核融合)が存在することを立証したものとして世界的に有名である。現在では、固体内核融合(常温核融合)の研究者でこれを知らない者はいないほどである。例えば、本願発明者による特許文献2には、DS−カソードを用いて固体内核融合(常温核融合)を生じさせることにより、熱エネルギーを発生させる方法が開示されている。
米国特許第5,647,970号 国際公開第95/35574号 図5は、DS−カソードと同等の構造を有するDS−セル(DS−Cell)100の構造を示す。
DS−セル100は、電解槽101と、電解槽101の内側に配置された円筒状の白金電極102と、白金電極102の内側に配置されたパラジウムPdの金属容器103とを含む。電解槽101には、電解質としてLiOHを含む重水(DO)溶液が注入されている。金属容器103の内部には、空間104が形成されている。この空間104には、Pdブラックと呼ばれるパラジウムPdの超微粒粉末がサンプルとして封入されている。金属容器103は、その空間104において発生したガスを外部に取り出すことができるように構成されている。
白金電極102をアノード、金属容器103をカソードとしてDS−セル100に電界が与えられると、電解槽101内の電解質としてLiOHを含む重水(DO)溶液が電気分解されて、重水素イオンDが発生する。重水素イオンDは、パラジウムPdの金属容器103を通過し、金属容器103を通過した重水素イオンDは重水素原子Dとして金属容器103内に導入される。その結果、電気分解が進むにつれて、金属容器103は、重水素原子Dと重水素ガスDとが混在したガスで満たされる。その結果、電気分解が進むにつれて、金属容器103内の圧力は、金属容器103において発生する重水素ガスDによって数千気圧から数万気圧に達することになる。このような高圧下で、重水素原子Dは、パラジウムPdの超微粒粉末に吸収される。このような重水素原子Dの吸収は、パラジウムPdの超微粒粉末の結晶格子の無数のOctahedron(八面体)の”電子箱”の中に重水素原子Dが2〜4個凝集されることによって起こる。このように、パラジウムPdの超微粒粉末内に重水素原子Dが凝集された構造体は、本願発明者によって”重水素凝結体”(”Pycnodeuterium”)と命名されていたが、最近”Clumpy Solid Deuteron”(Simply;”Solid Deuteron”)と改名されている。これは、数億気圧の重水素ガスに相当する高密度固体状態になっている。
この重水素凝結体において、複数の重水素原子Dが核融合反応することにより、熱エネルギーに加えてヘリウムガスが発生する。その反応式を以下に示す。
D+D=He+格子エネルギー(23.8MeV)
この核融合反応は、中性子を生じることなく穏やかに進行するため、重水素原子の超過激な衝突によりトリチウムTと中性子とが生成される周知の超高温状態でのDD熱核融合反応に比べて、産業上利用および環境保全の観点からきわめて望ましい。
しかしながら、上述した従来の方法では、100Wの入力エネルギーに対して110W程度の出力エネルギーしか得ることができず、熱エネルギーの発生効率が悪いため、実用的でないという問題点があった。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、重水素の核融合反応の制御を容易に行うことを可能にするとともに、重水素ガスをリサイクルすることを容易にする実用的な熱エネルギー発生装置およびそれを用いた熱エネルギーの発生を制御する方法を提供することを目的とする。
本発明の熱エネルギー発生装置は、熱エネルギーを発生させる熱エネルギー発生装置であって、重水素透過性を有する壁を含む第1の容器と、前記第1の容器を取り囲むように第1の容器の外側に配置された第2の容器とを備え、前記第1の容器の内部には、第1の空間が形成されており、前記第1の容器と前記第2の容器との間には、第2の空間が形成されており、前記第1の空間には、重水素吸収性を有する物質が封入されており、前記熱エネルギー発生装置は、前記第1の空間および前記第2の空間を高真空状態にする手段と、重水素ガスを前記第2の空間に供給する手段と、前記第2の空間に供給された前記重水素ガスが前記第2の空間から前記第1の空間に向って前記第1の容器の壁を通過するように、前記第2の空間内の前記重水素ガスの温度を制御する手段と、前記第2の空間内の重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスが前記第1の空間から前記第2の空間に向かって前記第1の容器の壁を通過するようにし、これにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することを可能にする手段とをさらに備えており、これにより、上記目的が達成される。
前記第1の容器の壁は、パラジウム製であり、前記第2の容器は、ステンレス製であってもよい。
本発明の方法は、熱エネルギー発生装置を用いて、熱エネルギーの発生を制御する方法であって、前記熱エネルギー発生装置は、重水素透過性を有する壁を含む第1の容器と、前記第1の容器を取り囲むように第1の容器の外側に配置された第2の容器とを含み、前記第1の容器の内部には、第1の空間が形成されており、前記第1の容器と前記第2の容器との間には、第2の空間が形成されており、前記第1の空間には、重水素吸収性を有する物質が封入されており、前記方法は、前記第1の空間および前記第2の空間を高真空状態にするステップと、重水素ガスを前記第2の空間に供給するステップと、前記第2の空間に供給された前記重水素ガスが前記第2の空間から前記第1の空間に向って前記第1の容器の壁を通過するように、前記第2の空間内の前記重水素ガスの温度を制御するステップと、前記第2の空間内の重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスが前記第1の空間から前記第2の空間に向かって前記第1の容器の壁を通過するようにし、これにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することを可能にするステップとを包含し、これにより、上記目的が達成される。
前記第1の容器の壁は、パラジウム製であり、前記第2の容器は、ステンレス製であってもよい。
本発明によれば、重水素の核融合反応の制御を容易に行うことを可能にするとともに、重水素ガスをリサイクルすることを容易にする実用的な熱エネルギー発生装置およびそれを用いた熱エネルギーの発生を制御する方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1Aは、本発明による熱エネルギー発生装置1の構造を示す。熱エネルギー発生装置1は、「固体核融合炉」として確実に反応している「実体」を現実に示すために新しく開発されたものである。熱エネルギー発生装置1は、”実用的な”DS−反応炉(DS−Reactor)である。
熱エネルギー発生装置1は、パラジウム製の壁を有する容器2(以下、「Pd容器2」という)と、Pd容器2を取り囲むようにPd容器2の外側に配置されたステンレス製の容器3(以下、「ステンレス容器3」という)とを含む。Pd容器2は、例えば、シリンダー状に形成されている。
なお、容器2の壁の材料として、パラジウム以外の重水素透過性を有する物質を用いてもよい。容器3の材料として、ステンレス以外の物質を用いてもよい。
Pd容器2の内部には、空間4が形成されている。空間4には、ZrO・Pdの超微粒粉末(ナノ粒子、ナノパウダーとも呼ばれる)がサンプルとして封入されている。なお、サンプルとして、ZrO・Pdの超微粒粉末以外の重水素吸収性を有する物質を用いてもよい。
熱エネルギー発生装置1は、空間4において発生したガスを開閉弁6を介して熱エネルギー発生装置1の外部に取り出すことができるように構成されている。ここで、開閉弁6が閉状態である場合には、空間4は、閉空間である。空間4は、Pd容器2によって完全に囲まれているからである。すなわち、空間4に対する物質の出入りは、Pd容器2の壁を通して行われる物質の出入りに限定される。
Pd容器2とステンレス容器3との間には、空間5が形成されている。熱エネルギー発生装置1は、熱エネルギー発生装置1の外部から開閉弁7を介して空間5に重水素ガスDを供給することができるとともに、空間5における重水素ガスDを開閉弁7を介して熱エネルギー発生装置1の外部に排出することができるように構成されている。
ここで、容器2の材料として用いられる重水素透過性を有する物質とサンプルとして用いられる重水素吸収性を有する物質とは、必ずしも同じ物質である必要はない。これらの物質は、互いに異なる物質であってもよい。
ここで、「超微粒粉末」とは、その粉末の直径が数100オングストローム以下である粉末をいう。例えば、”Pdブラック”と呼ばれるパラジウムの粉末や、”ナノPd”と呼ばれるパラジウムの粉末は、パラジウムの「超微粒粉末」の一例である。
”Pdブラック”は、150オングストローム〜400オングストロームの直径を有しており、少なくともその粉末の表面において2次元的に重水素吸収性を有している。パラジウムの粉末のうちこのような微細な直径を有する粉末は、肉眼で観察すると「黒く」見えることから、”Pdブラック”と呼ばれているのである。
”ナノPd”は、”Pdブラック”よりもさらに微細なパラジウムの粉末である。”ナノPd”には、150オングストロームより小さい直径を有する”孤立タイプ”のナノPdと、50オングストロームより小さい直径を有する”埋め込みタイプ”のナノPdとが存在する。いずれのタイプのナノPdも、その粉末の全体において3次元的に重水素吸収性を有している。
熱エネルギー発生装置1は、空間5における重水素ガスDの温度を制御するための手段としてのヒーター8をさらに含む。図1Aに示される例では、ヒーター8は、ステンレス容器3の周囲にコイル状に設けられており、ステンレス容器3の温度を制御することによって空間5内の重水素ガスDの温度を制御するように構成されている。
図1Bは、図1Aに示されるPd容器2の代替的な構造を示す。図1Bに示すように、Pd容器2の壁の一部をステンレス製とすることも可能である。この場合も、Pd容器2がパラジウム製の壁を有していることに変わりはない。
図2は、熱エネルギー発生装置1を用いて、熱エネルギーの発生を制御する方法の手順を示す。ここで、Pd容器2の内部の空間4には、重水素吸収性を有する物質(例えば、ZrO・Pdの超微粒子粉末)がサンプルとして封入されているものとする。
ステップ1:Pd容器2の内部の空間4およびPd容器2とステンレス容器3との間の空間5を長時間(例えば、10時間)にわたって完全に排気することにより、高真空状態にする。ここで、高真空状態とは、実質的に真空である状態(例えば、10−8Torr)をいう。空間4および空間5の両方を高真空状態にすることが、熱エネルギー発生装置1の初期状態である。空間4を高真空状態にすることは、例えば、空間4を開閉弁6を介して真空タンクに接続することによって達成される。空間5を高真空状態にすることは、例えば、空間5を開閉弁7を介して真空タンクに接続することによって達成される。
ステップ2:Pd容器2とステンレス容器3との間の空間5に重水素ガスDを供給する。この重水素ガスDの供給は、例えば、空間5を開閉弁7を介して重水素ガスタンク(高圧タンク)に接続することによって達成される。
ステップ3:ヒーター8による加熱により、空間5における重水素ガスDの温度を上昇させる。空間5における重水素ガスDの温度が所定の温度より低い間は何も起こらない。しかし、ヒーター8の加熱により、空間5における重水素ガスDの温度が所定の温度(例えば、100℃)に達すると、空間5における重水素ガスDが重水素イオンDとして容器2の壁を通過することを開始する。その後、空間5における重水素ガスDの温度が所定の温度範囲(例えば、150℃〜200℃)内に保持されると、重水素イオンDがどんどんPd容器2の壁を通過するようになる。このようにしてPd容器2を通過した重水素イオンDは、重水素原子Dとして空間4に導入される。その結果、時間が経過するにつれて、空間4は、重水素原子Dと重水素ガスDとが混在したガスで満たされる。その結果、空間4内の圧力は、空間5内の重水素ガスDの圧力とほぼ同じになる。従って、空間5内の重水素ガスDの圧力を数百気圧から数万気圧にすれば、空間4内の圧力もほぼ同様の圧力状態に達することになる。このような適正圧力下で、重水素原子Dは、空間4に封入されている重水素吸収性を有する物質に吸収される。このような重水素原子Dの吸収は、空間4に封入されている重水素吸収性を有する物質の結晶格子の無数のOctahedron(八面体)の”電子箱”の中に数個の重水素原子Dが凝集されることによって起こる。このようにして、空間4においてサンプルの中に”重水素凝結体”が無数に生成され、この重水素凝結体において、複数の重水素原子Dが核融合反応することにより、熱エネルギーに加えてヘリウムガスが発生する。その反応式を以下に示す。
D+D=He+格子エネルギー
この熱エネルギーの発生原理は、図5を参照して上述したDS−セル100における熱エネルギーの発生原理と同一である。この固体内核融合反応(Solid fusion)は、中性子を生じることなく穏やかに進行するため、重水素原子の超過激な衝突によりトリチウムTと中性子とが生成される周知の超高温状態でのDD熱核融合反応に比べて全く無害であり、産業上利用および環境保全の観点からきわめて望ましい。
ステップ4:空間4における核融合反応を停止させる場合には、空間5における重水素ガスDを熱エネルギー発生装置1の外部に排出する。この重水素ガスDの排出は、例えば、空間5を開閉弁7を介して真空タンクに接続することによって達成される。この空間5における重水素ガスDの排出に伴って、空間4において残留している重水素ガスDは、Pd容器2の壁を通過して空間5に入る。そして、空間4からPd容器2の壁を通過して空間5に入った重水素ガスDもまた熱エネルギー発生装置1の外部に排出され確保される。最終的には、空間5は高真空状態にされる。
このように、Pd容器2の壁は、空間5から空間4に向かって重水素ガスDが通過することを可能にするとともに、空間4から空間5に向かって重水素ガスDが通過することを可能にする”双方向フィルタ”として機能する。すなわち、Pd容器2の壁は、重水素ガスDに対して”扉(door)”の役目を果たす。この”扉”は、重水素ガスD(または水素ガスH)に対しては条件次第で開いたり閉じたりするが、それ以外のガスに対しては常に閉じている。今回、新たに開発された熱エネルギー発生装置1は、この特性を活用したものである。
上述した開閉弁6の開閉、開閉弁7の開閉、真空ポンプ/ガスポンプへの選択的な接続は、制御装置9によって制御される。制御装置9は、例えば、ステップ1〜4において上述したタイミングで開閉弁6の開閉、開閉弁7の開閉、真空ポンプ/ガスポンプへの選択的な接続を制御するように予めプログラムされている。このようなプログラムは、ソフトウフェアまたはハードウェアもしくはその組み合わせによって実現され得る。
ここで、重要なことは、Pd容器2の壁を通過することができず、Pd容器2の内部の空間4に残留したガスが存在すれば、そのガスが重水素の「核反応生成物」であり、Pd容器2の内部で重水素の核融合反応が確実に発生していたことを確定したことになる、ということである。その根拠は、[I]容器2内には重水素ガスDとサンプルとしてのナノ粒子(例えば、ZrO・Pd)だけしか入っていない。[II]Pd容器2の壁を通過することができるのは、重水素および水素(D/H)だけであり、その他のガスは通過できない。そして、温度上昇と共にD/Hの通過速度は急増する。これはPd金属の特性である。従って、Pd容器2内に重水素以外に出現可能なガスは、重水素の核融合反応によって発生するヘリウム(He)以外には絶対にあり得ない。
上述したように、閉じたPd容器2内で核融合反応を発生させ、その「反応エネルギー(反応生成熱)」および「反応生成物」を連続的に測定することに成功した。
図3は、熱エネルギー発生装置1によって生成された「反応生成熱」を測定した実験結果の一例を示す。図3において、横軸は経過時間(分)を示し、左側の縦軸は温度(℃)を示し、右側の縦軸は圧力(atm)を示す。ここで、Tinは、Pd容器2の内部の空間4の温度を示す。TD2は、Pd容器2とステンレス容器3との間の空間5の温度を示す。Tは、ステンレス容器3の温度を示す。Tは、ヒーター8の温度(すなわち、与えられた温度)を示す。Pinは、Pd容器2の内部の空間4の圧力を示す。PD2は、Pd容器2とステンレス容器3との間の空間5の圧力を示す。
この実験例では、サンプルとして3.48gのZrO・Pdの超微粒粉末を用い、封入ガスとして重水素ガスDを用いた。ガス導入以前の実験スタート時点では、T>TD2,T,Tinであった。そして、重水素ガスDを空間5に供給し、空間5の圧力を10気圧から変化させた。約2400分から約3600分の時間帯では、ヒーター8の温度を一定の温度である160℃(T=160℃)に維持した。その結果、約2400分から約3600分の時間帯では、容器内の各温度(TD2,T,Tin)はすべて外部から与えた温度Tより高くなる(図3)いう実験結果が得られた。
この実験結果から、Pd容器2の内部の空間4の温度、ステンレス容器3の温度、Pd容器2とステンレス容器3との間の空間5の温度が、与えられた温度(ヒーター8の温度)よりも高い温度になることがわかる。このようにして、入力エネルギーより大きな出力エネルギーが得られることがわかる。
なお、サンプルとしてZrO・Pdの超微粒粉末を用い、封入ガスとして水素ガスHを用いた場合には、前述の発熱現象は全くない。
図4は、熱エネルギー発生装置1によって生成された「反応生成物」を測定した実験結果の一例を示す。この実験例では、空間4内に存在するガスを質量分析器(QMS)を用いてスペクトル分析した。
図4の”close”は、質量分析器(QMS)による測定がスタートした時点を示す。この測定スタート時点では、質量分析器(QMS)は、Pd容器2の内部の空間4とは遮断されており、容器Aのみに連結されている。
図4の”A”ゾーンは、測定スタート時点から10分が経過した時点の前後の時間帯を示す。この”A”ゾーンでは、10−12[Amp]レベルのスペクトルは全く出現していない。このことから、容器Aおよび質量分析器(QMS)の中は極めてきれいであることが分かる。
図4の”Gas in”は、Pd容器2からの反応ガスを容器Aを介して質量分析器(QMS)に供給することを開始した時点を示す。Pd容器2からの反応ガスをこの容器Aにとどめ、ここから一定量(例えば、0.5torr.cc)の反応ガスを質量分析器(QMS)の中に導入するようにした。Pd容器2と容器Aとを連結するパイプおよび容器Aと質量分析器(QMS)とを連結するパイプは、例えば、ステンレス製である。
図4の”B”ゾーン”は、測定スタート時点から20分が経過した時点の前後の時間帯を示す。この”B”ゾーンでは、10−9[Amp]レベルの重水素スペクトルが検出された。また、その重水素スペクトルのレベルの1/100(10−11[Amp])程度のレベルのHeスペクトルが出現していることが分かる。
図4の”C”ゾーンは、測定スタート時点から50分が経過した時点の前後の時間帯を示す。この”C”ゾーンでは、”B”ゾーンに比較して重水素スペクトルのレベルが著しく減少し、重水素スペクトルのレベルがHeスペクトルのレベルよりも低くなっていることが分かる。
図4の”D”ゾーンは、測定スタート時点から60分が経過した時点の前後の時間帯を示す。この”D”ゾーンでは、重水素スペクトルのレベルは、Heスペクトルのレベル半分程度である。時間がさらに経過するにつれて、重水素ガスは殆ど消失するが、Heガスは不変の状態を示している。
このように、図4の”B”ゾーンから”D”ゾーンの各ゾーンにおいて、Heのガスのみが不変の状態で存在していることが分かる。この事実は決定的であり、重水素の核融合反応によって、mass 4の生成物がHeである事実を示している。この事実によって「重水素の核融合反応が存在した」ことを確定することができたのである。この実験は、明らかに世界で初めてのものであり、歴史的な成果のひとつであることが分かる。
なお、空間4内に存在するガスを分析する他の方法としては、空間4内に存在するガスを電離して、磁気分析する方法も存在する。
本発明のエネルギー発生装置1が”実用的”である理由は、上記ステップ4において説明したように、空間5における重水素ガスDを熱エネルギー発生装置1の外部に排出することを可能にする排出メカニズムを設けた点にある。この排出メカニズムを設けたことにより、少なくとも、以下の(1)〜(4)に示すように、実用上、非常に有利な効果を得ることができる。
(1)従来のエネルギー発生装置では困難であったPd容器2内に残留していた重水素ガスDの処理をきわめて簡単に行うことができる。すなわち、本発明では、空間5における重水素ガスDの排出に伴って、空間4に残留していた重水素ガスDも自動的に排出されることから、従来、Pd容器2の内部の空間4に残留していた重水素ガスDの処理するために必要とされていたゲッター・ポンプ(getter pump)を不要とすることができる。
(2)Pd容器2が”双方向フィルタ”として機能し、Pd容器2によって定義される閉空間である空間4に対する重水素の出入りが、Pd容器2の壁を通って行われる重水素の出入りに限定される。従って、Pd容器2内に残留した”反応生成物”は、Pd容器2内の反応により生成されたものに他ならない。これにより、Pd容器2内で核融合反応が行われたことの確実な証拠を与えている。重水素の代わりに水素のみの出入りに限定したときはPd容器2内には反応生成物は何もない。
(3)空間5における重水素ガスDを熱エネルギー発生装置1の外部に排出することにより、空間4における核融合反応を停止させることができる。これにより、空間4における核融合反応の制御を容易に行うことができる。
(4)空間5に残留していた重水素ガスDに加えて、空間4に残留していた重水素ガスDをエネルギー発生装置1の外部に排出することができる。このため、重水素ガスDをリサイクルすることが容易になる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
本発明は、熱エネルギーの発生効率に優れた実用的な熱エネルギー発生方法および熱エネルギー発生装置等を提供するものとして有用である。
本発明による熱エネルギー発生装置1の構造を示す図 図1Aに示されるPd容器2の代替的な構造を示す図 熱エネルギー発生装置1を用いて、熱エネルギーの発生を制御する方法の手順を示すフローチャート 熱エネルギー発生装置1によって生成された「反応生成熱」を測定した実験結果の一例を示す図 熱エネルギー発生装置1によって生成された「反応生成物」を測定した実験結果の一例を示す図 従来のDS−セルの構造を示す図
符号の説明
1 熱エネルギー発生装置
2 Pd容器
3 ステンレス容器
4 空間
5 空間
6 開閉弁
7 開閉弁
8 ヒーター
9 制御装置

Claims (4)

  1. 熱エネルギーを発生させる熱エネルギー発生装置であって、
    重水素透過性を有する壁を含む第1の容器と、
    前記第1の容器を取り囲むように第1の容器の外側に配置された第2の容器と
    を備え、
    前記第1の容器の内部には、第1の空間が形成されており、前記第1の容器と前記第2の容器との間には、第2の空間が形成されており、前記第1の空間には、重水素吸収性を有する物質が封入されており、
    前記熱エネルギー発生装置は、
    前記第1の空間および前記第2の空間を高真空状態にする手段と、
    重水素ガスを前記第2の空間に供給する手段と、
    前記第2の空間に供給された前記重水素ガスが前記第2の空間から前記第1の空間に向って前記第1の容器の壁を通過するように、前記第2の空間内の前記重水素ガスの温度を制御する手段と、
    前記第2の空間内の重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスが前記第1の空間から前記第2の空間に向かって前記第1の容器の壁を通過するようにし、これにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することを可能にする手段と
    をさらに備えている、熱エネルギー発生装置。
  2. 前記第1の容器の壁は、パラジウム製であり、前記第2の容器は、ステンレス製である、請求項1に記載の熱エネルギー発生装置。
  3. 熱エネルギー発生装置を用いて、熱エネルギーの発生を制御する方法であって、
    前記熱エネルギー発生装置は、重水素透過性を有する壁を含む第1の容器と、前記第1の容器を取り囲むように第1の容器の外側に配置された第2の容器とを含み、前記第1の容器の内部には、第1の空間が形成されており、前記第1の容器と前記第2の容器との間には、第2の空間が形成されており、前記第1の空間には、重水素吸収性を有する物質が封入されており、
    前記方法は、
    前記第1の空間および前記第2の空間を高真空状態にするステップと、
    重水素ガスを前記第2の空間に供給するステップと、
    前記第2の空間に供給された前記重水素ガスが前記第2の空間から前記第1の空間に向って前記第1の容器の壁を通過するように、前記第2の空間内の前記重水素ガスの温度を制御するステップと、
    前記第2の空間内の重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスが前記第1の空間から前記第2の空間に向かって前記第1の容器の壁を通過するようにし、これにより、前記第1の空間内に残留した重水素ガスを前記熱エネルギー発生装置の外部に排出することを可能にするステップと
    を包含する、方法。
  4. 前記第1の容器の壁は、パラジウム製であり、前記第2の容器は、ステンレス製である、請求項3に記載の方法。
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JP2010197315A (ja) * 2009-02-26 2010-09-09 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 重水素ガス透過量増大方法

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