JP2021055432A - 摩擦接合構造、継手構造及び摩擦接合部の設計方法 - Google Patents

摩擦接合構造、継手構造及び摩擦接合部の設計方法 Download PDF

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Nobutaka Shimizu
信孝 清水
耕一 横関
Koichi Yokozeki
耕一 横関
佐藤 圭一
Keiichi Sato
圭一 佐藤
天志郎 後藤
Tenshiro Goto
天志郎 後藤
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Abstract

【課題】一対の鋼材同士を高力ボルトと接続板を用いて接続する構造において、鋼材と接続板の変形を抑制することで、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力の低下を抑制する。【解決手段】摩擦接合構造は、互いの長尺な板状部の長手方向端部同士が対向配置される一対の鋼材と、一対の鋼材の各々の板状部に厚み方向で重なり、重なり部分が高力ボルトによって板状部に締結されて一対の鋼材同士を接続する接続板と、を備え、鋼材の接続板が重なる部分には、高力ボルトが貫通するボルト孔が複数形成されており、接続板には、少なくとも一方の鋼材のボルト孔に対応する位置に高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径がボルト孔よりも大きい過大孔又は短径がボルト孔以上の長孔が複数形成されており、高力ボルトがボルト孔及び貫通孔を貫通する位置において、板状部の幅方向に沿った断面積に対して全ての接続板の前記幅方向に沿った断面積の合計が同等以上である。【選択図】図8

Description

本発明は、摩擦接合構造、継手構造及び摩擦接合部の設計方法に関する。
特許文献1には、ボルト呼び径の1/2以下の板厚の鋼板同士を突き合わせた状態で両鋼板に対して添板を重ね合わせ、高力ボルトで鋼板と添板を接合する摩擦接合構造に関する技術が開示されている。この摩擦接合構造では、一例として鋼板に開けられたボルト孔が標準孔(円形)とされ、添板に開けられたボルト孔が長孔とされており、添板の各重ね合せ部分における長孔同士が互いに長径方向を直交するようにして長孔に高力ボルトが円形ワッシャを介して挿通されて鋼板と添板が締結されている。
特許第6205964号公報
ところで、特許文献1に開示された技術のように、鋼板に標準孔を設け、添板に長孔を設けることで、施工誤差の吸収を可能にしつつ、鋼板の剛性低下や耐力低下、ボルト孔周囲の変形にともなう高力ボルトによる鋼板と添板との接合耐力の低下を抑制することができる。
しかしながら、添板に設ける長孔の大きさによっては、添板に変形(ボルト孔周囲の変形)が生じて高力ボルトによる鋼板と添板との接合耐力が低下する虞がある。
本発明は、一対の鋼材同士を高力ボルトと接続板を用いて接続する構造において、鋼材と接続板の変形を抑制することで、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力の低下を抑制することを課題とする。
本発明の第1態様の摩擦接合構造は、長尺な板状部を有し、互いの前記板状部の長手方向の端部同士が対向配置される一対の鋼材と、前記一対の鋼材の各々の前記板状部に厚み方向で重なり、重なり部分が高力ボルトによって前記板状部に締結されて前記一対の鋼材同士を接続する少なくとも一枚の接続板と、を備え、前記鋼材の前記接続板が重なる部分には、前記高力ボルトが貫通するボルト孔が複数形成されており、前記接続板には、少なくとも一方の前記鋼材の前記ボルト孔に対応する位置に前記高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径が前記ボルト孔よりも大きい過大孔又は短径が前記ボルト孔以上の長孔が複数形成されており、前記高力ボルトが前記ボルト孔及び前記貫通孔を貫通する位置において、前記板状部の幅方向に沿った断面積よりも、全ての前記接続板の前記幅方向に沿った断面積の合計が大きい。
なお、ここでいう「断面積の合計」は、接続板が一枚の場合には、一枚の接続板の断面積を指す。
第1態様の摩擦接合構造では、一対の鋼材の各々の板状部に少なくとも一枚の接続板が厚み方向で重なり、接続板の重なり部分が高力ボルトによって板状部に締結されて、一対の鋼材同士が接続されている。
ここで、鋼材の接続板が重なる部分には、高力ボルトが貫通するボルト孔が複数形成されており、接続板には、少なくとも一方の鋼材のボルト孔に対応する位置に高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径がボルト孔よりも大きい過大孔又は短径がボルト孔以上の長孔が複数形成されている。このため、上記摩擦接合構造では、高力ボルトを用いて一対の鋼材に接続板を接合する際にボルト孔の中心と貫通孔の中心がずれていても、過大孔又は長孔である貫通孔でずれを吸収できるので、施工誤差の吸収を可能としつつ鋼材に接続板を確実に接合することができる。
さらに、上記摩擦接合構造では、鋼材のボルト孔よりも接続板の貫通孔の面積を大きくしている、すなわち鋼材のボルト孔の面積を接続板の貫通孔よりも小さくしていることから、鋼材の剛性低下や耐力低下が抑制され、鋼材の変形(板状部のボルト孔周囲の変形)が抑制される。
一方、上記摩擦接合構造では、高力ボルトがボルト孔及び貫通孔を貫通する位置において、板状部の幅方向に沿った断面積に対して全ての接続板の幅方向(板状部の幅方向)に沿った断面積の合計を同等以上にしている。このため、例えば、板状部の幅方向に沿った断面積よりも全ての接続板の幅方向に沿った断面積の合計が小さい構造と比べて、接続板の変形(貫通孔周囲の変形)が抑制される。
以上のように、第1態様の摩擦接合構造では、鋼材(鋼材の板状部)の変形と接続板の変形が抑制されるため、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力の低下が抑制される。
本発明の第2態様の摩擦接合構造は、長尺な板状部を有し、互いの前記板状部の長手方向の端部同士が対向配置される一対の鋼材と、前記一対の鋼材の各々の前記板状部に厚み方向で重なり、重なり部分が高力ボルトによって前記板状部に締結されて前記一対の鋼材同士を接続する少なくとも一枚の接続板と、を備え、前記鋼材の前記接続板が重なる部分には、前記高力ボルトが貫通するボルト孔が複数形成されており、前記接続板には、少なくとも一方の前記鋼材の前記ボルト孔に対応する位置に前記高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径が前記ボルト孔よりも大きい過大孔又は短径が前記ボルト孔以上の長孔が複数形成されており、以下の式(1)を満たす、摩擦接合構造。
Figure 2021055432
但し、式(1)において、n:ボルトの列数、W0:鋼材の板状部の幅、t0:鋼材の板状部の厚み、RW0:ボルト孔の板状部の幅方向に沿った幅、RL0:ボルト孔の板状部の長手方向に沿った長さ、N:接続板の枚数、Wk:接続板の幅、tk:接続板の厚み、RWk:貫通孔の板状部の幅方向に沿った幅、RLk:貫通孔の板状部の長手方向に沿った長さである。
第2態様の摩擦接合構造では、一対の鋼材の各々の板状部に少なくとも一枚の接続板が厚み方向で重なり、接続板の重なり部分が高力ボルトによって板状部に締結されて、一対の鋼材同士が接続されている。
ここで、鋼材の接続板が重なる部分には、高力ボルトが貫通するボルト孔が複数形成されており、接続板には、少なくとも一方の鋼材のボルト孔に対応する位置に高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径がボルト孔よりも大きい過大孔又は短径がボルト孔以上の長孔が複数形成されている。
このため、上記摩擦接合構造では、高力ボルトを用いて一対の鋼材に接続板を接合する際にボルト孔の中心と貫通孔の中心がずれていても、過大孔又は長孔である貫通孔でずれを吸収できるので、施工誤差の吸収を可能としつつ鋼材に接続板を確実に接合することができる。
さらに、上記摩擦接合構造では、鋼材のボルト孔よりも接続板の貫通孔の面積を大きくしている、すなわち鋼材のボルト孔の面積を接続板の貫通孔よりも小さくしていることから、鋼材の剛性低下や耐力低下が抑制され、鋼材の変形(板状部のボルト孔周囲の変形)が抑制される。
一方、上記摩擦接合構造では、鋼材の板状部の幅及び厚み、ボルト孔の幅及び長さ、接続板の幅及び厚み、貫通孔の幅及び長さ、接続板の枚数が式(1)を満たしている。このため、例えば、式(1)を満たさない構造と比べて、接続板の変形(貫通孔周囲の変形)が抑制される。
以上のように、第2態様の摩擦接合構造では、鋼材(鋼材の板状部)の変形と接続板の変形が抑制されるため、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力の低下が抑制される。
本発明の第3態様の摩擦接合構造は、第1態様又は第2態様の摩擦接合構造において、前記一対の鋼材の各々の前記板状部の厚み方向両側に前記接続板がそれぞれ重なっている。
第3態様の摩擦接合構造では、一対の鋼材の各々の板状部の厚み方向両側に接続板がそれぞれ重なっている、すなわち、一対の鋼材の各々の板状部を厚み方向両側から接続板で挟み込むため、例えば、各々の板状部の厚み方向片側にのみ接続板を重ねる構成と比べて、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力が向上する。
本発明の第4態様の摩擦接合構造は、第1態様〜第3態様のいずれか一態様の摩擦接合構造において、前記接続板には、前記貫通孔として前記長孔が複数形成されており、複数の前記長孔は、前記板状部の長手方向が長径方向である。
第4態様の摩擦接合構造では、接続板に形成された複数の長孔の長径方向が鋼材の板状部の長手方向とされている。このため、例えば、貫通孔として拡大孔を用いた構造と比べて、一対の鋼材間の対向距離のずれにともなう板状部のボルト孔の中心と接続板の貫通孔の中心のずれをより吸収することができる。
本発明の第5態様の摩擦接合構造は、第1態様〜第4態様のいずれか一態様の摩擦接合構造において、前記接続板の前記板状部側の板面には、摩擦面処理が施されている。
なお、ここでいう「摩擦面処理」とは、接続板の板面の摩擦係数を上昇させるための処理である。
第5態様の摩擦接合構造では、接続板の板状部側の板面に摩擦面処理が施されているので、高力ボルトの締め付けにより接続板の貫通孔周囲に生じる摩擦力が増加し、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力が向上する。
本発明の第6態様の継手構造は、第1態様〜第5態様のいずれか一態様の摩擦接合構造を適用した継手構造であって、前記鋼材は、鉄骨造の梁又は柱を構成する部材であり、
前記接続板に形成された複数の貫通孔のうち、前記梁又は柱の長手方向の端部側に位置する一方の前記鋼材のボルト孔に対応する貫通孔が該ボルト孔と同径又は該ボルト孔よりも大径な円孔とされ、前記梁又は柱の長手方向の端部側に対して反対側に位置する他方の前記鋼材のボルト孔に対応する貫通孔が前記円孔よりも大径な拡大孔又は短径が前記円孔の径以上の長孔とされている。
第6態様の継手構造では、第1態様〜第5態様のいずれか一態様の摩擦接合構造を適用していることから、鉄骨造の梁又は柱を構成する鋼材(鋼材の板状部)の変形と接続板の変形が抑制されるため、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力の低下が抑制される。
また、鉄骨造の梁又は柱では、長手方向の端部側に中央部側よりも曲げモーメントが大きく作用する。すなわち、梁又は柱を構成する鋼材においては、梁又は柱の長手方向の端部側に位置する鋼材よりも中央部側に位置する鋼材に曲げモーメントが大きく作用する。
ここで、第6態様の継手構造では、接続板に形成された複数の貫通孔のうち、梁又は柱の長手方向の端部側に位置する一方の鋼材のボルト孔に対応する貫通孔をボルト孔と同径又はボルト孔よりも大径な円孔とし、梁又は柱の長手方向の端部側に対して反対側に位置する他方の鋼材のボルト孔に対応する貫通孔を円孔よりも大径な拡大孔又は短径が円孔の径以上の長孔としている。このように接続板に形成される貫通孔の大きさを変えることで、梁又は柱を構成する鋼材に生じる曲げモーメントの大きさに応じて、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力を確保することができる。また、鉄骨造の梁又は柱を構成する鋼材よりもサイズの小さい接続板に長孔又は拡大孔を設けるため、例えば、鋼材に長孔又は拡大孔を設ける構造と比べて、鋼材の加工手間の増大が抑制される。
本発明の第7態様の継手構造は、第1態様〜第5態様のいずれか一態様の摩擦接合構造を適用した継手構造であって、前記鋼材は、ウェブ部と一対のフランジ部とを有するH形鋼であり、一対の前記鋼材において、対向配置される前記ウェブ部、対向配置される一方の前記フランジ部及び対向配置される他方の前記フランジ部がそれぞれ少なくとも一枚の前記接続板によって接続されている。
第7態様の継手構造では、一対のH形鋼において、対向配置されるウェブ部、対向配置される一方のフランジ部及び対向配置される他方のフランジ部がそれぞれ少なくとも一枚の接続板によって接続されている。ここで、継手構造では、第1態様〜第5態様のいずれか一態様の摩擦接合構造を適用しているため、H形鋼(H形鋼のウェブ部及び一対のフランジ部)の変形と接続板の変形が抑制されるため、高力ボルトによるH形鋼と接続板との接合耐力の低下が抑制される。
本発明の第8態様の摩擦接合部の設計方法は、長尺な板状部を有し、互いの前記板状部の長手方向の端部同士が対向配置される一対の鋼材と、前記一対の鋼材の各々の前記板状部に厚み方向で重なり、重なり部分が高力ボルトによって前記板状部に締結されて前記一対の鋼材同士を接続する少なくとも一枚の接続板と、を備える摩擦接合部の設計方法であって、以下の式(1)を満たすように、前記鋼材の前記接続板が重なる部分に、前記高力ボルトが貫通するボルト孔を複数形成し、前記接続板に、少なくとも一方の前記鋼材の前記ボルト孔に対応する位置に前記高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径が前記ボルト孔よりも大きい過大孔又は短径が前記ボルト孔以上の長孔を複数形成する、摩擦接合部の設計方法。
Figure 2021055432
但し、式(1)において、n:ボルトの列数、W0:鋼材の板状部の幅、t0:鋼材の板状部の厚み、RW0:ボルト孔の板状部の幅方向に沿った幅、RL0:ボルト孔の板状部の長手方向に沿った長さ、N:接続板の枚数、Wk:接続板の幅、tk:接続板の厚み、RWk:貫通孔の板状部の幅方向に沿った幅、RLk:貫通孔の板状部の長手方向に沿った長さである。
第8態様の摩擦接合部の設計方法では、式(1)を満たすように、鋼材の接続板が重なる部分に、高力ボルトが貫通するボルト孔を複数形成し、接続板に、少なくとも一方の鋼材のボルト孔に対応する位置に高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径がボルト孔よりも大きい過大孔又は短径がボルト孔以上の長孔を複数形成する。式(1)を満たすように設計された摩擦接合部では、例えば、式(1)を満たさない摩擦接合部と比べて、接続板の変形(貫通孔周囲の変形)が抑制される。また、上記摩擦接合部の設計方法で設計された摩擦接合部では、高力ボルトを用いて一対の鋼材に接続板を接合する際にボルト孔の中心と貫通孔の中心がずれていても、過大孔又は長孔である貫通孔でずれを吸収できるので、施工誤差の吸収を可能としつつ鋼材に接続板を確実に接合することができる。さらに、鋼材のボルト孔よりも接続板の貫通孔の面積を大きくしている、すなわち鋼材のボルト孔の面積を接続板の貫通孔よりも小さくしていることから、鋼材の剛性低下や耐力低下が抑制され、鋼材の変形(板状部のボルト孔周囲の変形)が抑制される。
以上のように、第8態様の摩擦接合部の設計方法で設計された摩擦接合部では、鋼材(鋼材の板状部)の変形と接続板の変形が抑制されるため、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力の低下が抑制される。
本発明は、一対の鋼材同士を高力ボルトと接続板を用いて接続する構造において、鋼材と接続板の変形を抑制することで、高力ボルトによる鋼材と接続板との接合耐力の低下を抑制することができる。
(A)本発明の第1実施形態の摩擦接合構造で用いられる鋼材の平面図である。(B)図1(A)の1B−1B線断面図である。 (A)本発明の第1実施形態の摩擦接合構造で用いられる第1接続板の平面図である。(B)図2(A)の2B−2B線断面図である。 (A)本発明の第1実施形態の摩擦接合構造で用いられる第2接続板の平面図である。(B)図3(A)の3B−3B線断面図である。 本発明の第1実施形態の摩擦接合構造の平面図である。 本発明の第1実施形態の摩擦接合構造の側面図(図4の矢印5方向から見た図)である。 本発明の第1実施形態の摩擦接合構造の平面図(図5の矢印6方向から見た図)である。 図4の7−7線断面図である。 図4の8−8線断面の拡大図である。 一対の鋼材間の距離の誤差を接続板の長孔で吸収した状態を示す摩擦接合構造の平面図である。 図9の10−10線断面図である。 (A)本発明の第1実施形態の摩擦接合構造で用いられる第1の接続板の変形例の平面図である。(B)図11(A)の11B−11B線断面図である。 (A)本発明の第1実施形態の摩擦接合構造で用いられる第2の接続板の変形例の平面図である。(B)図12(A)の12B−12B線断面図である。 本発明の第1実施形態の摩擦接合構造に変形例の高力ボルトを用いた場合の平面図である。 本発明の第1実施形態の摩擦接合構造に変形例の高力ボルトを用いた場合の側面図(図13の矢印14方向から見た図)である。 本発明の第2実施形態の継手構造を適用した一対のH形鋼の継手部分における側面図である。 本発明の第2実施形態の継手構造を適用した一対のH形鋼の継手部分における下面図(図15の矢印16方向から見た図)である。 図15の17−17線断面図である。 本発明のその他の実施形態の継手構造を適用した一対のH形鋼の継手部分における側面図である。
(第1実施形態)
図面を用いて本発明の第1実施形態の摩擦接合構造及び摩擦接合部の設計方法について説明する。
図1〜図10には、本実施形態の摩擦接合構造FS及び摩擦接合構造FSで用いられる各種部材(鋼材、接続板及び締結部材等)について示されている。本実施形態の摩擦接合構造FSは、一対の鋼材と接続板とを高力ボルトを用いて接合する構造である。本実施形態の摩擦接合構造FSは、一対の鋼材20と、接続板26、30と、高力ボルト34と、を有している。
(鋼材20)
鋼材20は、図1(A)及び図1(B)に示されるように、長尺な板状部22を有する鋼板である。なお、図1(A)では、鋼材20の板状部22の幅寸法を符号W0で示し、図1(B)では、鋼材20の板状部22の厚み寸法を符号t0で示している。また、板状部22の長手方向を矢印Lで示し、板状部22の幅方向を矢印Wで示している。
鋼材20の板状部22には、高力ボルト34(高力ボルト34の軸部)が貫通するボルト孔24が複数形成されている。具体的には、これらのボルト孔24は、板状部22の長手方向の端部22A側であって接続板26及び接続板30と厚み方向で重なる部分にそれぞれ形成されている。なお、本実施形態では、板状部22の上記重なる部分にボルト孔24が6つ形成されている。また、本実施形態のボルト孔24は、円形の標準孔である。なお、図1(A)では、ボルト孔24の幅寸法を符号RW0で示し、ボルト孔24の長さ寸法を符号RL0で示している。また、ボルト孔24は、円形の標準孔のため、幅寸法RW0及び長さ寸法RL0が同じ値である。
また、一対の鋼材20は、図4〜図6に示されるように、互いの板状部22の端部22A同士が対向配置された状態で、接続板26、30と高力ボルト34等によって接続されている。なお、本実施形態で用いられる高力ボルト34は、高力六角ボルトである。
(接続板26)
接続板26は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、長尺な鋼板である。なお、図2(A)では、接続板26の幅寸法を符号W1で示し、図2(B)では、接続板26の厚み寸法を符号t1で示している。
接続板26には、高力ボルト34(高力ボルト34の軸部)が貫通する貫通孔28が複数形成されている。具体的には、これらの貫通孔28は、接続板26において板状部22と厚み方向で重なる部分であってボルト孔24に対応する位置にそれぞれ形成されている。なお、本実施形態では、接続板26が対向配置される板状部22とそれぞれ厚み方向で重なるため、接続板26の上記重なる部分には、それぞれ貫通孔28が6つずつ、合計12個形成されている。
また、本実施形態の貫通孔28は、長径方向が接続板26の長手方向に沿う長孔であり、短径である幅寸法RW1がボルト孔24の幅寸法RW0以上である。なお、図2(A)では、貫通孔28の幅寸法を符号RW1で示し、貫通孔28の長さ寸法を符号RL1で示している。
接続板26は、図4〜図6に示されるように、対向配置された板状部22のそれぞれの一方の板面に重なり、高力ボルト34等によって板状部22に接合されている。
(接続板30)
接続板30は、図3(A)及び図3(B)に示されるように、長尺な鋼板である。本実施形態では、同一の接続板30を2枚用いている。なお、図3(A)では、1枚の接続板30の幅寸法を符号W2/2で示し、図3(B)では、接続板30の厚み寸法を符号t2で示している。ここで、接続板30が複数枚ある場合、複数枚の接続板30の幅の合計が幅寸法W2となる。
接続板30には、高力ボルト34(高力ボルト34の軸部)が貫通する貫通孔32が複数形成されている。具体的には、これらの貫通孔32は、接続板30において板状部22と厚み方向で重なる部分であってボルト孔24に対応する位置にそれぞれ形成されている。なお、本実施形態では、接続板30が対向配置される板状部22とそれぞれ厚み方向で重なるため、接続板30の上記重なる部分には、それぞれ貫通孔32が3つずつ、合計6個形成されている。
また、本実施形態の貫通孔32は、長径方向が接続板30の長手方向に沿う長孔であり、短径である幅寸法RW2がボルト孔24の幅寸法RW0以上である。なお、図3(A)では、貫通孔32の幅寸法を符号RW2で示し、貫通孔32の長さ寸法を符号RL2で示している。
接続板30は、図4〜図6に示されるように、対向配置された板状部22のそれぞれの他方の板面に重なり、高力ボルト34等によって板状部22に接合されている。具体的には、接続板26と接続板30とで対向配置された板状部22を厚み方向両側からそれぞれ挟み込んだ状態で、それぞれ、貫通孔32、ボルト孔24、貫通孔28を貫通し、軸部の先端34Aがナット36にねじ込まれた高力ボルト34によって鋼材20の板状部22と接続板26及び接続板30とが摩擦接合されている。なお、高力ボルト34の頭部34Bと接続板30との間には、ワッシャ40が配置され、ナット36と接続板26との間には、ワッシャ38が配置されている。
また、図8に示されるように、本実施形態の摩擦接合構造FSでは、高力ボルト34がボルト孔24及び貫通孔28、32を貫通する位置において、板状部22の幅方向に沿った断面積に対して、全ての接続板26、30の幅方向に沿った断面積の合計が同等以上である。
また、本実施形態の摩擦接合構造FSでは、以下の式(1)を満たしている。
Figure 2021055432
但し、式(1)において、n:ボルトの列数、W0:鋼材の板状部の幅、t0:鋼材の板状部の厚み、RW0:ボルト孔の板状部の幅方向に沿った幅、RL0:ボルト孔の板状部の長手方向に沿った長さ、N:接続板の枚数、Wk:接続板の幅、tk:接続板の厚み、RWk:貫通孔の板状部の幅方向に沿った幅、RLk:貫通孔の板状部の長手方向に沿った長さである。なお、ここでいう「ボルトの列数」とは、ボルトの板状部の幅方向に沿った列を1列としたときの列数である。
ここで、本実施形態を式(1)に当てはめると、以下の式(2)となる。
Figure 2021055432
なお、幅寸法W2は、2枚の接続板30の幅寸法を足した値である。
次に、本実施形態の摩擦接合部の設計方法について説明する。
本実施形態の摩擦接合部の設計方法では、上記式(1)を満たすように、鋼材20にボルト孔24を複数形成し、接続板26、30に、ボルト孔24に対応する位置に高力ボルト34が貫通する貫通孔28、32を複数形成する。
次に本実施形態の作用並びに効果について説明する。
摩擦接合構造FSでは、一対の鋼材20の各々の板状部22に接続板26、30が厚み方向で重なり、接続板26、30の重なり部分が高力ボルト34によって板状部22に締結されて、一対の鋼材20同士が接続されている。
ここで、鋼材20の接続板26、30が重なる部分には、高力ボルト34が貫通するボルト孔24が複数形成されており、接続板26、30には、ボルト孔24に対応する位置に高力ボルト34が貫通する貫通孔28、32として短径である幅寸法RW1、RW2がボルト孔24以上の長孔が複数形成されている。このため、摩擦接合構造FSでは、高力ボルト34を用いて一対の鋼材20に接続板26、30を接合する際にボルト孔24の中心と貫通孔28、32の中心がずれていても、長孔である貫通孔28、32でずれを吸収できるので(図9及び図10参照)、施工誤差の吸収を可能としつつ鋼材20に接続板26、30を確実に接合することができる。
さらに、上記摩擦接合構造FSでは、鋼材20のボルト孔24よりも接続板26、30の貫通孔28、32の面積を大きくしている、すなわち鋼材20のボルト孔24の面積を接続板26、30の貫通孔28、32よりも小さくしていることから、鋼材20の剛性低下や耐力低下が抑制され、鋼材20の変形(板状部22のボルト孔24周囲の変形)が抑制される。
一方、上記摩擦接合構造FSでは、高力ボルト34がボルト孔24及び貫通孔28、32を貫通する位置において、板状部22の幅方向に沿った断面積に対して全ての接続板26、30の幅方向(板状部22の幅方向)に沿った断面積の合計を同等以上にしている。このため、例えば、板状部22の幅方向に沿った断面積よりも全ての接続板26、30の幅方向に沿った断面積の合計が小さい構造と比べて、接続板26、30の変形(貫通孔28、32周囲の変形)が抑制される。
そして、摩擦接合構造FSでは、鋼材20の板状部22の幅及び厚み、ボルト孔24の幅及び長さ、接続板26の幅及び厚み、貫通孔28、32の幅及び長さ、接続板26、30の枚数が式(1)を満たしている。このため、例えば、式(1)を満たさない構造と比べて、接続板26、30の変形(貫通孔28、32周囲の変形)が抑制される。
以上のように、摩擦接合構造FSでは、鋼材20(板状部22)の変形と接続板26、30の変形が抑制されるため、高力ボルト34による鋼材20と接続板26、30との接合耐力の低下が抑制される。
また摩擦接合構造FSでは、一対の鋼材20の各々の板状部22の厚み方向両側に接続板26、30がそれぞれ重なっている、すなわち、一対の鋼材20の各々の板状部22を厚み方向両側から接続板26、30で挟み込むため、例えば、各々の板状部22の厚み方向片側にのみ接続板26、30を重ねる構成と比べて、高力ボルト34による鋼材20と接続板26、30との接合耐力が向上する。
さらに摩擦接合構造FSでは、接続板26、30に形成された複数の貫通孔(長孔)28、32の長径方向が鋼材20の板状部22の長手方向とされている。このため、一対の鋼材20間の対向距離のずれにともなう板状部22のボルト孔24の中心と接続板26、30の貫通孔28、32の中心のずれを吸収することができる。
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の摩擦接合構造FSでは、接続板26、30にそれぞれ長孔である貫通孔28、32を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図11及び図12に示されるように、接続板26、30にそれぞれ拡大孔である貫通孔42、44を形成してもよい。貫通孔42、44を拡大孔とすることで、一対の鋼材20の各々の板状部22のボルト孔24のずれと板状部22の幅方向のずれを吸収可能となる。また、長孔と比べて、拡大孔とすることで、接続板26、30に設ける貫通孔42、44の加工手間が小さくなる。
第1実施形態では、接続板26の板面及び接続板30の板面には、浮きさびを除去した赤さび面等の摩擦面処理を施している。摩擦面処理とは、対象となる板面の摩擦係数を上昇させる処理であり、本発明はこの構成に限定されない。例えば、接続板26の板状部22側の板面及び接続板30の板状部22側の板面の一方または両方に対して、例えば、アルミ溶射、ブラスト処理を施してもよい。鋼材が亜鉛めっき処理されている場合は、リン酸塩処理を施すこともできる。なお、摩擦面処理は、対象となる板面の一部に実施してもよいし、全面に実施してもよい。このように接続板26、30の板状部22側の板面に摩擦面処理を施すことで、接続板26、30の貫通孔28の周囲及び貫通孔32の周囲における摩擦力が増加し、高力ボルト34による鋼材20と接続板26、30との接合耐力が向上する。
第1実施形態では、ワッシャ38及びワッシャ40の外径及び厚みについて特に限定していないが、ワッシャ38及びワッシャ40の外径WR1、WR2については、ボルト呼び径の2.5倍以上に設定し、且つ、ワッシャ38及びワッシャ40の厚みWt1、Wt2については、ボルト呼び径の0.3倍以上に設定することが好ましい。具体的には、ワッシャ38の外径WR1はボルト呼び径の2.5倍〜5.0倍の範囲内に設定することが好ましい。また、ワッシャ40の外径WR2についてもワッシャ38の外径WR1と同様の範囲内に設定することが好ましい。そして、ワッシャ38の厚みWt1はボルト呼び径の0.3倍〜1.0倍の範囲内に設定することが好ましい。また、ワッシャ40の厚みWt2についてもワッシャ38の厚みWt1と同様の範囲内に設定することが好ましい。
ここで、ワッシャ38及びワッシャ40の外径WR1、WR2がボルト呼び径の2.5倍以上、且つ、ワッシャ38及びワッシャ40の厚みWt1、Wt2がボルト呼び径の0.3倍以上の場合、高力ボルト34による鋼材20と接続板26、30との接合耐力が向上する。具体的には、ワッシャ38の外径WR1が大きくなることで接続板26との接触面積が増え、ワッシャ38の厚みWt1が増えることでワッシャ38の曲げ剛性が大きくなるため、ワッシャ38の変形が抑制される。同様に、ワッシャ40の外径WR2が大きくなることで接続板30との接触面積が増え、ワッシャ40の厚みWt2が増えることでワッシャ40の曲げ剛性が大きくなるため、ワッシャ40の変形が抑制される。これらにより、高力ボルト34の張力によりワッシャ40と接続板26、30の間、また、接続板26、30と鋼材20の間に生じる支圧応力の分布領域が拡がり、鋼材20と接続板26、30との間の摩擦力(高力ボルト摩擦接合部のすべり耐力)が高まるため、鋼材20と接続板26、30との接合耐力が向上する。
なお、第1実施形態におけるワッシャ38及びワッシャ40は円形状であるが、矩形状であってもよい。ワッシャ38及びワッシャ40が矩形状の場合は内接する円の直径をボルト呼び径の2.5倍以上とすればよい。
第1実施形態では、高力ボルト34として高力六角ボルトを用いているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図13及び図14に示されるように、高力ボルト46としてトルシア形高力ボルトを用いてもよい。高力ボルト46を用いる場合、ナット48側のワッシャ50と接続板26との間に支圧応力拡大用の板座金54を配置し、頭部46Bと接続板30との間にも支圧応力拡大用の板座金52を配置する。また、板座金52は、前述のワッシャ38と同等の外径及び厚みとすることが好ましく、板座金54は、前述のワッシャ40と同等の外径及び厚みとすることが好ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の継手構造JSについて説明する。この継手構造JSは、第1実施形態の摩擦接合構造FSを適用した継手構造であり、高力ボルト34によって一対のH形鋼60を接続板26、30で接続するものである。なお、本実施形態におけるH形鋼60は、本発明における鋼材の一例である。
図15〜図17に示されるように、H形鋼60は、ウェブ部62と、一対のフランジ部64、66とを有している。このH形鋼60は、例えば、鉄骨造の梁又は柱等に用いられる構造部材である。なお、本実施形態のウェブ部62及び一対のフランジ部64、66は、それぞれ本発明における板状部の一例である。また、ウェブ部62及び一対のフランジ部64、66には、第1実施形態の鋼材20と同様にボルト孔24が形成されている。
図15及び図16に示されるように、本実施形態の継手構造JSでは、一対のH形鋼60の長手方向の端部同士が隙間をあけて対向配置されている。また、一対のH形鋼60において、ウェブ部62、対向配置される一方のフランジ部64(図17では、上方に位置するフランジ部)及び対向配置される他方のフランジ部66(図17では、下方に位置するフランジ部)がそれぞれ接続板26、30によって接続されている。具体的には、対向配置されるウェブ部62に対して厚み方向両側から一対の接続板26が重なり、高力ボルト34によってウェブ部62と一対の接続板26が接合されている。また、対向配置されるフランジ部64に対してウェブ部62側の内面にウェブ部62を挟んで一組の接続板30がそれぞれ重なり、ウェブ部62側と反対側の外面に接続板26が重なり、高力ボルト34によってフランジ部64と接続板26、30とが接合されている。さらに、対向配置されるフランジ部66に対してウェブ部62側の内面にウェブ部62を挟んで一組の接続板30がそれぞれ重なり、ウェブ部62側と反対側の外面に接続板26が重なり、高力ボルト34によってフランジ部64と接続板26、30とが接合されている。
次に本実施形態の作用並びに効果について説明する。なお、第1実施形態の摩擦接合構造FSを用いることで得られる作用効果については、適宜その説明を省略する。
本実施形態の継手構造JSでは、一対のH形鋼60において、対向配置されるウェブ部62、対向配置されるフランジ部64、66がそれぞれ接続板26、30によって接続されている。ここで、継手構造JSでは、第1実施形態の摩擦接合構造FSを用いているため、H形鋼60(ウェブ部62及び一対のフランジ部64、66)の変形と接続板26、30の変形が抑制されるため、高力ボルト34によるH形鋼60と接続板26、30との接合耐力の低下が抑制される。
(その他の実施形態)
第2実施形態では、鋼材としての一対のH形鋼60の接続に高力ボルト34及び接続板26、30を用いているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図18に示されるように、鋼材の一例としてのH形鋼60と、鋼材の他の例としてのH形断面形状の取付部70との接続に接続板80、84を用いてもよい。取付部70は、H形鋼60を梁材としたとき、例えば、柱等に設けられる梁材の端部材である。この取付部70は、H形鋼60と同様に、ウェブ部72と、一対のフランジ部74、76とを有している。なお、ウェブ部72と、一対のフランジ部74、76にそれぞれ設けられるボルト孔24(図18では省略)は、H形鋼60に形成されるボルト孔24と同じである。一方、接続板80、84には、H形鋼60と取付部70のそれぞれのボルト孔24に対応した位置に貫通孔82が設けられている。この貫通孔82は、梁材の端部側に位置する取付部70のボルト孔24に対応する貫通孔82Aが取付部70のボルト孔と同径又はボルト孔よりも若干大径な円孔とされ、梁材の端部側と反対側(例えば、梁材の中央部側)に位置するH形鋼60のボルト孔24に対応する貫通孔82Bは短径が貫通孔82Aの径以上の長孔とされている。ここで、鉄骨造の梁又は柱では、長手方向の端部側に中央部側よりも曲げモーメントが大きく作用する。すなわち、梁又は柱を構成する鋼材においては、梁又は柱の長手方向の端部側に位置する鋼材よりも中央部側に位置する鋼材に曲げモーメントが大きく作用する。このため、接続板80にそれぞれ形成された複数の貫通孔82のうち、接続板80の貫通孔82Aを取付部70のボルト孔と同径又はボルト孔よりも大径な円孔として接合力を高め、貫通孔82Bを短径が貫通孔82Aの径以上の長孔としている。このように接続板80に形成される貫通孔82の大きさを変えることで、梁や柱を構成する鋼材に生じる曲げモーメントの大きさに応じて、高力ボルト34による鋼材と接続板80との接合耐力を確保することができる。また、鉄骨造の梁や柱を構成する鋼材よりもサイズの小さい接続板80に長孔を設けるため、例えば、鋼材に長孔又は拡大孔を設ける構造と比べて、鋼材の加工手間の増大が抑制される。なお、貫通孔82は、長孔の代わりに拡大孔としてもよい。また、接続板84にも接続板80と同様の構成の貫通孔が形成されている。
なお、上記実施形態では、取付部70を、柱等に設けられる梁材の端部材としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、H形鋼60を柱材とし、取付部70梁等に設けられる柱材の端部材としてもよい。
前述の摩擦接合構造FSでは、一対の鋼材20の厚み方向の両側にそれぞれ接続板26、30を重ねているが、本発明はこの構成に限定されない。一対の鋼材20の厚み方向の一方側に1枚の接続板(接続板26又は一組の接続板30)を重ねる構成としてもよいし、複数枚の接続板を重ねる構成としてもよい。さらに、一対の鋼材20の厚み方向の両側にそれぞれ複数枚の接続板を重ねてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
20 鋼材
22 板状部
22A 長手方向の端部
24 ボルト孔
26 接続板
28 貫通孔(長孔)
30 接続板
32 貫通孔(長孔)
34 高力ボルト
42 貫通孔(拡大孔)
46 高力ボルト
60 H形鋼(鋼材)
62 ウェブ部
64 フランジ部
66 フランジ部
70 取付部(鋼材)
72 ウェブ部
74 フランジ部
80 接続板
82 貫通孔
82A 貫通孔
82B 貫通孔
FS 摩擦接合構造
JS 継手構造

Claims (8)

  1. 長尺な板状部を有し、互いの前記板状部の長手方向の端部同士が対向配置される一対の鋼材と、
    前記一対の鋼材の各々の前記板状部に厚み方向で重なり、重なり部分が高力ボルトによって前記板状部に締結されて前記一対の鋼材同士を接続する少なくとも一枚の接続板と、
    を備え、
    前記鋼材の前記接続板が重なる部分には、前記高力ボルトが貫通するボルト孔が複数形成されており、
    前記接続板には、少なくとも一方の前記鋼材の前記ボルト孔に対応する位置に前記高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径が前記ボルト孔よりも大きい過大孔又は短径が前記ボルト孔以上の長孔が複数形成されており、
    前記高力ボルトが前記ボルト孔及び前記貫通孔を貫通する位置において、前記板状部の幅方向に沿った断面積に対して全ての前記接続板の前記幅方向に沿った断面積の合計が同等以上である、摩擦接合構造。
  2. 長尺な板状部を有し、互いの前記板状部の長手方向の端部同士が対向配置される一対の鋼材と、
    前記一対の鋼材の各々の前記板状部に厚み方向で重なり、重なり部分が高力ボルトによって前記板状部に締結されて前記一対の鋼材同士を接続する少なくとも一枚の接続板と、
    を備え、
    前記鋼材の前記接続板が重なる部分には、前記高力ボルトが貫通するボルト孔が複数形成されており、
    前記接続板には、少なくとも一方の前記鋼材の前記ボルト孔に対応する位置に前記高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径が前記ボルト孔よりも大きい過大孔又は短径が前記ボルト孔以上の長孔が複数形成されており、
    以下の式(1)を満たす、摩擦接合構造。
    Figure 2021055432
    但し、式(1)において、n:ボルトの列数、W0:鋼材の板状部の幅、t0:鋼材の板状部の厚み、RW0:ボルト孔の板状部の幅方向に沿った幅、RL0:ボルト孔の板状部の長手方向に沿った長さ、N:接続板の枚数、Wk:接続板の幅、tk:接続板の厚み、RWk:貫通孔の板状部の幅方向に沿った幅、RLk:貫通孔の板状部の長手方向に沿った長さである。
  3. 前記一対の鋼材の各々の前記板状部の厚み方向両側に前記接続板がそれぞれ重なっている、請求項1又は請求項2に記載の摩擦接合構造。
  4. 前記接続板には、前記貫通孔として前記長孔が複数形成されており、
    複数の前記長孔は、前記板状部の長手方向が長径方向である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の摩擦接合構造。
  5. 前記接続板の前記板状部側の板面には、摩擦面処理が施されている、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の摩擦接合構造。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の摩擦接合構造を適用した継手構造であって、
    前記鋼材は、鉄骨造の梁又は柱を構成する部材であり、
    前記接続板に形成された複数の貫通孔のうち、前記梁又は柱の長手方向の端部側に位置する一方の前記鋼材のボルト孔に対応する貫通孔が該ボルト孔と同径又は該ボルト孔よりも大径な円孔とされ、前記梁又は柱の長手方向の端部側に対して反対側に位置する他方の前記鋼材のボルト孔に対応する貫通孔が前記円孔よりも大径な拡大孔又は短径が前記円孔の径以上の長孔とされている、継手構造。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の摩擦接合構造を適用した継手構造であって、
    前記鋼材は、ウェブ部と一対のフランジ部とを有するH形鋼であり、
    一対の前記鋼材において、対向配置される前記ウェブ部、対向配置される一方の前記フランジ部及び対向配置される他方の前記フランジ部がそれぞれ少なくとも一枚の前記接続板によって接続されている、継手構造。
  8. 長尺な板状部を有し、互いの前記板状部の長手方向の端部同士が対向配置される一対の鋼材と、前記一対の鋼材の各々の前記板状部に厚み方向で重なり、重なり部分が高力ボルトによって前記板状部に締結されて前記一対の鋼材同士を接続する少なくとも一枚の接続板と、を備える摩擦接合部の設計方法であって、
    以下の式(1)を満たすように、
    前記鋼材の前記接続板が重なる部分に、前記高力ボルトが貫通するボルト孔を複数形成し、
    前記接続板に、少なくとも一方の前記鋼材の前記ボルト孔に対応する位置に前記高力ボルトが貫通する貫通孔として孔径が前記ボルト孔よりも大きい過大孔又は短径が前記ボルト孔以上の長孔を複数形成する、摩擦接合部の設計方法。
    Figure 2021055432
    但し、式(1)において、n:ボルトの列数、W0:鋼材の板状部の幅、t0:鋼材の板状部の厚み、RW0:ボルト孔の板状部の幅方向に沿った幅、RL0:ボルト孔の板状部の長手方向に沿った長さ、N:接続板の枚数、Wk:接続板の幅、tk:接続板の厚み、RWk:貫通孔の板状部の幅方向に沿った幅、RLk:貫通孔の板状部の長手方向に沿った長さである。
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