JP2021055182A - 軟磁性合金及び電子部品 - Google Patents

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広修 熊岡
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暁斗 長谷川
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和宏 吉留
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【課題】高い相対密度と低い保磁力を有することができる軟磁性合金の提供。【解決手段】軟磁性合金は、Fe系ナノ結晶と、金属ガラスと、を含み、軟磁性合金の示差走査熱量曲線が、ガラス転移点Tgを有し、示差走査熱量曲線の測定における軟磁性合金の昇温速度が、40K/分であり、示差走査熱量曲線における極大の発熱ピークの温度Tpが、Tgよりも高い。【選択図】図2

Description

本発明は、軟磁性合金、及び軟磁性合金を含む電子部品に関する。
インダクタ、トランス及びチョークコイル等の電子部品は、様々な電子機器の電源回路に多用される。これらの電子部品は、コイルとコイルの内側に配置される磁心とを備えている。近年、磁心用の軟磁性体として、従来のフェライトの代わりに軟磁性合金が多用される。軟磁性合金は、フェライトに比べて、高い飽和磁化(飽和磁束密度)を有し、直流重畳特性に優れており(直流重畳許容電流が大きく)、電子部品(磁心)の小型化に適しているからである。軟磁性合金の一例として、下記特許文献1には、Fe系ナノ結晶粒からなる軟磁性合金(軟磁性合金粉末)が記載されている。磁心は、軟磁性合金粉末を加熱しながら圧縮することによって製造される。下記特許文献2には、Fe‐B‐Si‐P‐C‐Cu系非晶質粉末を用いた磁心の製造方法が記載されている。説明の便宜のため、Fe系ナノ結晶粒及びFe系非晶質合金のうち少なくとも一方を含む従来の軟磁性合金は、「ナノ結晶/非晶質合金」と表記される。下記特許文献3には、Fe系ナノ結晶又はFe系非晶質合金のみからなる第1の軟磁性粉末と、Fe系金属ガラスのみからなる第2の軟磁性粉末とから構成される混合粉末を用いた磁心の製造方法が記載されている。
特許第6504730号公報 特開2017‐34091号公報 特開2017‐34105号公報
磁心には、高い比透磁率が求められる。磁心の比透磁率は、磁心における軟磁性合金の充填率の増加に伴って増加する。換言すれば、磁心における軟磁性合金の相対密度が高いほど、磁心の比透磁率が高い。また磁心における軟磁性合金の充填率は、直流重畳特性にも大きく影響する。しかしながら、従来のナノ結晶/非晶質合金は、結晶合金に比べて硬く、ナノ結晶/非晶質合金の塑性変形は起き難い。したがって、磁心を作製する際のナノ結晶/非晶質合金粉末の成形過程において個々のナノ結晶/非晶質合金粒子は変形し難く、ナノ結晶/非晶質合金粒子間に空隙が形成され易い。つまり、従来のナノ結晶/非晶質合金が高い相対密度を有することは困難である。ナノ結晶/非晶質合金の相対密度を増加させるために、ナノ結晶/非晶質合金粉末が高圧で圧縮される場合、個々のナノ結晶/非晶質合金粒子は、結晶金属に比べて破損し易い。これらの理由により、従来のナノ結晶/非晶質合金は圧縮され難く、ナノ結晶/非晶質合金から製造された磁心は緻密になり難く、十分な軟磁気特性を有してない。
上記特許文献2に記載の磁心の製造方法では、磁心の密度を高めるために、従来の非晶質合金粉末を加圧した状態において、従来の非晶質合金粉末が高温で加熱される。高温とは、第1結晶化開始温度Tx1−50K以上第二結晶化開始温度Tx2未満である温度である。高温での非晶質合金粉末の加熱により、非晶質合金の相転移が進行し、非晶質合金からFe系ナノ結晶粒が生成する。しかし、非晶質合金の相転移に伴う発熱により、Fe系ナノ結晶粒が、高い保磁力を有する粗大な結晶粒へ成長してしまう。このような理由により、非晶質合金からFe系ナノ結晶粒への相転移を伴う従来の磁心の製造方法では、軟磁性合金の高い相対密度と低い保磁力を両立させることは困難であった。
上記特許文献3に記載の磁心の製造方法では、ナノ結晶粉末又は非晶質合金粉末(第1の軟磁性粉末)と金属ガラス粉末(第2の軟磁性粉末)の混合粉末を、金属ガラスのガラス遷移点付近で加熱しながら加圧成型することにより、磁心の高密化を図っている。しかし、金属ガラスは一般的に20×10−6〜40×10−6程度の大きい磁歪を有するため、成型の圧力に因り、特許文献3に記載の磁心の保磁力は悪化し易い。
本発明の目的は、高い相対密度と低い保磁力を有することができる軟磁性合金、及び当該軟磁性合金を含む電子部品を提供することである。
本発明の一側面に係る軟磁性合金は、Fe系ナノ結晶を含む軟磁性合金であって、軟磁性合金が、金属ガラスを更に含み、軟磁性合金の示差走査熱量(Differential Scanning Calorimetry; DSC)曲線が、ガラス転移点Tgを有し、示差走査熱量曲線の測定における軟磁性合金の昇温速度が、40K/分であり、示差走査熱量曲線における極大の発熱ピークの温度Tpが、Tgよりも高い。
軟磁性合金が、下記化学式1で表される合金を含んでよい。
(Fe1−α−βX1αX2β1−hSi (1)
hが、a+b+c+dであってよく、X1が、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であってよく、X2が、Al、Mn、Ag、Zn、Sn、As、Sb、Cu、Cr、Bi、N、O、S、C及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であってよく、Mが、Nb、Hf、Zr、Ta、Mo、W、及びVからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であってよく、aが、0.0以上0.15以下であってよく、bが、0.0以上0.20以下であってよく、cが、0.0以上0.20以下であってよく、dが、0.0以上0.20以下であってよく、αが、0以上であってよく、βが、0以上であってよく、α+βが、0以上0.50以下であってよく、1−hが、0.65より大きく0.9以下であってよい。
Fe系ナノ結晶の平均粒径(grain size)が、5nm以上50nm以下であってよい。
示差走査熱量曲線が、結晶化温度Txを有してよく、過冷却液体域幅ΔTxが、Tx−Tgと定義されてよく、ΔTxが、10K以上200K以下であってよい。
Tpが、600℃以上800℃以下であってよい。
軟磁性合金が、粉末であってよい。
Fe系ナノ結晶及び金属ガラスの両方が、上記粉末を構成する一個の軟磁性合金粒子中に存在してよい。
金属ガラスと、金属ガラス中に分散した複数のFe系ナノ結晶と、からなるナノ結晶構造が、上記粉末を構成する一個の軟磁性合金粒子中に形成されていてよい。
軟磁性合金が、薄帯であってもよい。
Fe系ナノ結晶及び金属ガラスの両方が、一つの合金組成物からなる軟磁性合金中に存在してよい。
本発明の一側面に係る電子部品は、上記の軟磁性合金を含む。
本発明によれば、高い相対密度と低い保磁力を有することができる軟磁性合金、及び当該軟磁性合金を含む電子部品が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る軟磁性合金粒子の断面の模式図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る軟磁性合金の示差走査熱量曲線である。 図3は、軟磁性合金粉末の製造に用いるガスアトマイズ装置の断面の模式図である。 図4は、図3に示される装置の一部(冷却水の導入部)の拡大された断面を示す。 図5は、軟磁性合金薄帯の製造に用いるストリップキャスト装置の断面の模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態が説明される。図面において、同等の構成要素には同等の符号が付される。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
(軟磁性合金)
本実施形態に係る軟磁性合金は、Fe系ナノ結晶及び金属ガラスを含む。換言すれば、Fe系ナノ結晶及び金属ガラスの両方が、一つの合金組成物からなる軟磁性合金中に存在する。本実施形態に係る軟磁性合金の示差走査熱量曲線は、ガラス転移点Tgを有する。示差走査熱量曲線の測定における軟磁性合金の昇温速度は、40K/分である。示差走査熱量曲線における極大の発熱ピークの温度Tpが、Tgよりも高い。これらの特徴の詳細は、後述される。本実施形態に係る軟磁性合金は、粉末(粒子)又は薄帯であってよい。軟磁性合金からなる粉末(粒子)は、後述されるガスアトマイズ法によって製造されてよい。軟磁性合金からなる薄帯は、後述されるストリップキャスト法によって製造されてよい。以下に記載の軟磁性合金粉末及び軟磁性合金粒子は、ガスアトマイズ法によって製造されてよい。以下に記載の軟磁性合金粉末及び軟磁性合金粒子は、軟磁性合金からなる薄帯の粉砕によって製造されてもよい。
本実施形態に係る軟磁性合金粉末は、複数の軟磁性合金粒子を含む。軟磁性合金粉末は、多数の軟磁性合金粒子の全体と言い換えられてよい。図1に示されるように、軟磁性合金粒子1は、少なくとも一つのFe系ナノ結晶2と、金属ガラス3と、を含む。換言すれば、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3の両方が、軟磁性合金粉末を構成する一個の軟磁性合金粒子1中に存在する。Fe系ナノ結晶2とは、Fe(例えばα‐Fe)の単体、又はFeを含む合金からなり、粒径が約5nm以上50nm以下である結晶ある。軟磁性合金粒子1は、複数のFe系ナノ結晶2を含んでよい。Fe系ナノ結晶2は、体心立方格子構造を有していてよい。金属ガラス3は、ガラス転移点Tgを有する非晶質の合金である。つまり、金属ガラス3は、ガラス転移点Tgを有さない従来の非晶質の軟磁性合金とは異なる。軟磁性合金粒子1は、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3のみからなっていてよい。軟磁性合金粒子1は、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3に加えて、他の成分を含んでよい。例えば、本発明の効果が得られる限りにおいて、軟磁性合金粒子1は、他の成分として、ガラス転移点Tgを有さない少量の非晶質の合金を更に含んでよい。本発明の効果が得られる限りにおいて、軟磁性合金粒子1は、他の成分として、Fe系ナノ結晶2よりも粗大である少数の結晶相を更に含んでよい。粗大な結晶相とは、例えば、粒径(grain size)又は結晶子径が50nmより大きい結晶である。本発明の効果が得られる限りにおいて、軟磁性合金粉末は、Fe系ナノ結晶2を含まない極少数の軟磁性合金粒子を更に含んでよい。本発明の効果が得られる限りにおいて、軟磁性合金粉末は、金属ガラス3を含まない極少数の軟磁性合金粒子を更に含んでよい。つまり、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3からなる粉末が、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3を含まない粉末と混合されていてよい。
上述の通り、本実施形態の場合、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3の両方が、一つの合金組成物からなる軟磁性合金中に存在する。軟磁性合金が粉末である場合、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3の両方が、軟磁性合金粉末を構成する一個の軟磁性合金粒子1中に存在する。したがって、本実施形態に係る軟磁性合金は、Fe系ナノ結晶又はFe系非晶質合金のみからなる第1の軟磁性粉末と、Fe系金属ガラスのみからなる第2の軟磁性粉末とから構成される混合粉末と全く異なる。つまり、本実施形態に係る軟磁性合金は、上記特許文献3(特開2017‐34105号公報)に記載の混合粉末と全く異なり、本実施形態に係る軟磁性合金から製造される磁心も、上記特許文献3に記載の混合粉末から製造される磁心と全く異なる。
図2は、本実施形態に係る軟磁性合金の示差走査熱量曲線(DSC曲線)である。DSC曲線は、軟磁性合金の昇温過程において測定される。DSC曲線の横軸は、軟磁性合金の温度(単位:℃)を示す。DSC曲線の縦軸は、軟磁性合金の単位質量当たりの熱流(単位:mW/mg)を示す。正の熱流は、軟磁性合金の発熱を意味する。負の熱流は、軟磁性合金の吸熱を意味する。適宜、DSC曲線のベースライン補正が行われていてもよい。
軟磁性合金のDSC曲線は、ガラス転移点Tg、結晶化温度Tx(結晶化開始温度)、及び極大の発熱ピークを有している。Tgは、Txよりも低い。DSC曲線における極大の発熱ピークの温度TpはTgよりも高く、TpはTxよりも高い。Tgは、DSC曲線の微分係数が正の値から負の値へ転じるDSC曲線の変曲点であってよい。つまり、TgにおけるDSC曲線の微分係数は、ゼロであってよい。Txは、軟磁性合金の発熱が開始する温度であってよい。Tpにおける発熱ピークは、軟磁性合金の昇温過程において最初に現れる発熱ピークであってよい。DSC曲線は、Tpよりも高い温度において別の発熱ピークを更に有していてよい。
Tgにおいて、軟磁性合金粒子1中の金属ガラス3のガラス転移が始まり、ガラス転移に因る軟磁性合金粉末の吸熱が始まる。Tgでのガラス転移に因り、金属ガラス3は過冷却液体になり始める。Txにおいて、軟磁性合金粒子1中の過冷却液体(金属ガラス3)の結晶化が始まり、結晶化に因る軟磁性合金粉末の発熱が始まる。Tpにおいて、軟磁性合金粒子1中の過冷却液体(金属ガラス3)の結晶化に伴う熱流(発熱量)が最大になる。以下に記載の「過冷却液体域」とは、軟磁性合金の温度がTg以上Tx未満である領域を意味する。
DSC曲線の測定における軟磁性合金の昇温速度は、40K/分である。軟磁性合金の昇温速度が40K/分未満である場合、金属ガラス3の結晶化が低温で始まり易い。つまり昇温速度が40K/分未満である場合、金属ガラス3の結晶化に伴う発熱ピークがDSC曲線の低温領域に現れ易く、発熱ピークがDSC曲線の横軸(温度)の方向においてブロード(brоad)になる。その結果、Tg(DSC曲線の変曲点)及び発熱ピーク其々を正確に識別することが困難である。
過冷却液体域においては、軟磁性合金粒子1中の金属ガラス3の一部又は全部が過冷却液体になり、軟磁性合金粒子1が軟らかくなる。換言すれば、過冷却液体領域において、金属ガラス3を含む軟磁性合金粒子1は、Fe系ナノ結晶のみからなる従来の軟磁性合金粒子に比べて軟らかい。したがって、軟磁性合金粉末を、過冷却液体域で加熱しながら圧縮することにより、個々の軟磁性合金粒子1が変形し易い。つまり過冷却液体域では、軟磁性合金粒子1の塑性変形が起き易い。軟磁性合金粒子1の塑性変形に伴って、軟磁性合金粒子1間の空隙が減少し、軟磁性合金粉末がより緻密になる。以上の理由により、本実施形態に係る軟磁性合金粉末は、高い相対密度を有することができる。したがって、本実施形態に係る軟磁性合金粉末から磁心を製造することにより、磁心における軟磁性合金粉末の充填率が増加し、磁心の比透磁率が増加する。また過冷却液体域では、金属ガラス3からFe系ナノ結晶2への相転移が起こり難く、相転移に伴う発熱が起き難いので、圧縮過程における軟磁性合金粉末の温度を容易に制御することができる。したがって、軟磁性合金粉末を過冷却液体域で圧縮することにより、相転移に伴う発熱に起因するFe系ナノ結晶2の粒成長が抑制され、軟磁性合金粉末の保磁力が低い値に維持され易い。なお、軟磁性合金薄帯自体が過冷却液体域において加工される場合、薄帯自体が軟らかくなるので、薄帯の伸張、延伸又は積層等の成形加工が容易になる。
仮にTx以上である温度で軟磁性合金粉末が圧縮される場合(つまり、軟磁性合金粉末の温度が高過ぎる場合)、圧縮の過程において、過冷却液体(金属ガラス3)の結晶化が進行し易い。つまり、金属ガラス3からFe系ナノ結晶2への相転移が起き易い。この相転移に伴う発熱に因り、軟磁性合金粒子1中のFe系ナノ結晶2の粒成長が過度に進行したり、軟磁気特性に寄与し難い金属化合物(例えば鉄のホウ化物)等が軟磁性合金粒子1中に析出したりする。これらの理由により、軟磁性合金粉末の軟磁気特性が劣化し易く、特に保磁力が増加し易い。
本実施形態に係る軟磁性合金粉末は、金属ガラスだけでなくFe系ナノ結晶を含むので、本実施形態に係る軟磁性合金粉末は、金属ガラス又は非晶質合金のみからなる従来の軟磁性合金粉末よりも軟磁気特性に優れている。例えば、本実施形態に係る軟磁性合金は、従来の軟磁性合金粉末に比べて、高い飽和磁化及び低い保磁力を有し易い。
過冷却液体域幅ΔTxは、Tx−Tgと定義されてよい。ΔTxは、例えば、10K以上200K以下であってよい。ΔTxが10K以上200K以下であることにより、軟磁性合金が優れた軟磁気特性を有し易い。ΔTxが小さいほど、軟磁性合金中の金属ガラスの一部又は全部が過冷却液体である温度の範囲が狭い。したがって、ΔTxが小さいほど、軟磁性合金が変形し易い温度範囲が狭い。換言すれば、ΔTxが小さいほど、軟磁性合金粉末の圧縮によって軟磁性合金粉末の相対密度を高めるための軟磁性合金粉末の温度範囲が狭い。したがって、磁心の製造条件(軟磁性合金粉末の成形条件)が制限される。
Tgは、例えば、350℃以上600℃未満であってよい。Txは、(Tg+10)℃以上(Tg+200)℃以下であってよい。Tpは、600℃以上800℃以下であってよい。Tpが低過ぎる場合、加熱を伴う軟磁性合金の圧縮過程において、過冷却液体(金属ガラス3)の結晶化(相転移)が進行し易い。過冷却液体の結晶化に伴う発熱に因り、軟磁性合金中のFe系ナノ結晶の粒成長が過度に進行し易い。また過冷却液体の結晶化に因り、軟磁気特性に寄与し難い金属化合物(例えば鉄のホウ化物)等が軟磁性合金中に析出し易い。これらの理由により、軟磁性合金の軟磁気特性が劣化し易く、特に軟磁性合金の保磁力が増加し易い。Tg、Tx及びTpは、軟磁性合金の組成に基づいて制御されてよい。Tg、Tx及びTpは、ガスアトマイズ法とそれに続く熱処理の諸条件に基づいて制御されてもよい。Tg、Tx及びTpは、ストリップキャスト法とそれに続く熱処理の諸条件に基づいて制御されてもよい。
軟磁性合金が優れた軟磁気特性を有し易いことから、軟磁性合金は、金属ガラスと、金属ガラス中に分散した複数のFe系ナノ結晶と、からなるナノ結晶構造を有してよい。軟磁性合金がナノ結晶構造を有する場合、軟磁性合金の飽和磁化が増加し易く、軟磁性合金の保磁力が低下し易い。
Fe系ナノ結晶2の平均粒径は、例えば、5nm以上50nm以下、又は5nm以上30nm以下であってよい。Fe系ナノ結晶2の平均粒径は、Fe系ナノ結晶2の平均結晶子径と言い換えられてよい。Fe系ナノ結晶2の平均粒径が上記の範囲内である場合、軟磁性合金粉末が優れた軟磁気特性を有し易い。Fe系ナノ結晶2の平均粒径は、複数個(例えば20個)の軟磁性合金粒子1其々の断面において観察される全てのFe系ナノ結晶2の粒径(円相当径)の平均値であってよい。軟磁性合金粒子1の断面は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、又は透過電子顕微鏡(TEM)によって観察されてよい。軟磁性合金粉末中のFe系ナノ結晶2に由来する回折X線のピークが粉末X線回折法によって測定されてよく、シェーラー(Scherrer)の式に基づき、回折X線のピークの半値全幅から、Fe系ナノ結晶2の平均結晶子径が算出されてもよい。
Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3のうち少なくとも一方は、Fe(鉄)に加えて、Nb(ニオブ)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、V(バナジウム)、B(ホウ素)、P(リン)、Si(ケイ素)、Ti(チタン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)、Ag(銀)、Zn(亜鉛)、Sn(錫)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、Cu(銅)、Cr(クロム)、Bi(ビスマス)、N(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)、C(炭素)及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む合金を含んでよい。金属ガラス3は、B、C、Si、P、As及びSbからなる群より選ばれる少なくとも一種の半金属(metalloid)を含み易い。軟磁性合金粒子1は、上記合金のみからなっていてよい。
軟磁性合金は、下記化学式1で表されてよい。軟磁性合金は、下記化学式1で表される合金のみからなっていてよい。個々の軟磁性合金粒子1に含まれる上記合金は、下記化学式1で表されてよい。軟磁性合金粒子1は、下記化学式1で表される合金のみからなっていてよい。
(Fe1−α−βX1αX2β1−hSi (1)
上記化学式1中のBは、ホウ素である。上記化学式1中のPは、リンである。上記化学式1中のSiは、ケイ素である。上記化学式1中のhは、a+b+c+dに等しい。hは0より大きく1未満である。上記化学式1中のα、β、a、b、c、d及びh其々の単位は、モルである。
上記化学式1中のMは、Nb、Hf、Zr、Ta、Mo、W、及びVからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。
上記化学式1中のX1は、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。
上記化学式1中のX2は、Al、Mn、Ag、Zn、Sn、As、Sb、Cu、Cr、Bi、N、O、S、C及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。希土類元素は、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、及びLu(ルテチウム)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。
上記化学式1中のaは、
0≦a≦0.150、
0.030≦a≦0.150、
0.040≦a≦0.100、又は、
0.050≦a≦0.080、
を満たしてよい。
aが小さ過ぎる場合、軟磁性合金の製造過程において、粒径が50nmよりも大きい粗大な結晶が軟磁性合金中に析出し易く、微細なFe系ナノ結晶が軟磁性合金中に析出し難い傾向がある。その結果、軟磁性合金の保磁力が増加し易い。aが大き過ぎる場合、軟磁性合金の飽和磁化が低下し易い。
上記化学式1中のbは、
0≦b≦0.20、
0.030≦b≦0.20、
0.060≦b≦0.15、又は、
0.080≦b≦0.12、
を満たしてよい。
bが小さ過ぎる場合、軟磁性合金の製造過程において、粒径が50nmよりも大きい粗大な結晶が軟磁性合金中に析出し易く、微細なFe系ナノ結晶が軟磁性合金中に析出し難い。その結果、軟磁性合金の保磁力が増加し易い。bが大き過ぎる場合、軟磁性合金の飽和磁化が低下し易い。
上記化学式1中のcは、
0≦c≦0.20、
0.01≦c≦0.20、
0.01≦c≦0.15、又は、
0.01≦c≦0.05、
を満たしてよい。
cが0.01以上0.05以下である場合、軟磁性合金の電気抵抗率が増加し易く、保磁力が低下し易い。cが小さ過ぎる場合、保磁力が増加し易い。cが大き過ぎる場合、軟磁性合金の飽和磁化が低下し易い。
上記化学式1中のdは、
0≦d≦0.20、
0.04≦d≦0.20、又は
0.04≦d≦0.150、
を満たしてよい。
dが上記の範囲内である場合、軟磁性合金の保磁力が低下し易い。dが大き過ぎる場合、軟磁性合金の保磁力が増加し易い。
上記化学式1中の1−hは、
0.65<1−h≦0.90、又は
0.680≦1−h≦0.880、
を満たしてよい。
1−hが0.680≦1−h≦0.880を満たす場合、軟磁性合金の製造過程において、粒径が50nmよりも大きい粗大な結晶が軟磁性合金中に析出し難い。
上記化学式1中のα及びhは、
0≦α(1−h)≦0.40、又は、
0.01≦α(1−h)≦0.40、
を満たしてよい。
上記化学式1中のβ及びhは、
0≦β(1−h)≦0.050、又は
0.001≦β(1−h)≦0.050、
を満たしてよい。
上記化学式1中のαは、0以上であってよく、上記化学式1中のβは、0以上であってよく、上記化学式1中のα+βは、0≦α+β≦0.50を満たしてよい。α+βが大き過ぎる場合、微細なFe系ナノ結晶が軟磁性合金中に析出し難い。
軟磁性合金粒子1の表面の一部又は全体が、電気的絶縁性を有する被覆部で覆われていてよい。複数の軟磁性合金粒子1同士が、電気的絶縁性を有する被覆部を介して接触することに因り、軟磁性合金粒子1間の導通が抑制され、軟磁性合金粉末の耐電圧が増加する。軟磁性合金粉末に含まれる一部又は全部の軟磁性合金粒子1が、被覆部で覆われていてよい。
被覆部は、軟磁性合金粒子1の表面の酸化によって形成されてよい。つまり、被覆部は、軟磁性合金粒子1と共通する元素を含む酸化物であってよい。被覆部は樹脂のみからなっていてもよい。軟磁性合金粒子1を被覆部で覆うことにより、軟磁性合金粒子1から形成された磁心の電気的絶縁性が向上し易く、磁心の耐電圧が増加し易い。被覆部は、組成において互いに異なる複数の被覆層からなっていてよく、複数の被覆層が軟磁性合金粒子1の表面に垂直な方向において積層されていてよい。被覆部は、組成が均一である一つの層であってもよい。
被覆部が軟磁性合金粒子1同士を電気的に絶縁する限り、被覆部の組成は限定されない。例えば、被覆部は、Fe(鉄)、Nb(ニオブ)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)W(タングステン)、V(バナジウム)、B(ホウ素)、P(リン)、Si(ケイ素)、Ti(チタン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)、Ag(銀)、Zn(亜鉛)、Sn(錫)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、Cu(銅)、Cr(クロム)、Bi(ビスマス)、N(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)、C(炭素)、希土類元素、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)及びK(カリウム)、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)及びBa(バリウム)、In(インジウム)、Ge(ゲルマニウム)、Pb(鉛)、Se(セレン)、Te(テルル)、F(フッ素)、Cl(塩素)及びBr(臭素)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含んでよい。
軟磁性合金粉末のメジアン径(D50)は、例えば、0.3μm以上100μm以下であってよい。D50は、個数基準の軟磁性合金粉末の粒度分布に基づいて特定されてよい。軟磁性合金粉末は、粒子径(particle size)又は粒度分布において異なる二種以上の合金粉末の混合物であってよい。軟磁性合金粉末の粒子径及び粒度分布は、篩分級又は気流分級等によって調整されてよい。軟磁性合金粉末の粒子径及び粒度分布は、例えばレーザー回折散乱法によって測定されてよい。軟磁性合金粉末の相対密度が増加し易いことから、各軟磁性合金粒子1の形状は略球であってよい。ただし、各軟磁性合金粒子1の形状は限定されない。各軟磁性合金粒子1はフレーク状であってもよい。
軟磁性合金粉末の相対密度(単位:なし)は、Db/Dt又はDb’/Dtと定義されてよい。Dbは、軟磁性合金粉末の嵩密度である。Db’は、軟磁性合金粉末から製造された磁心の嵩密度である。Dtは、軟磁性合金粉末の理論密度である。嵩密度及び理論密度其々の単位は、例えば、kg/mであってよい。軟磁性合金粉末の嵩密度Dbは、軟磁性合金粉末のみから作製された成形体の質量を、成形体の体積で除した値であってよい。磁心の嵩密度Db’は、磁心の質量を磁心の体積で除した値であってよい。軟磁性合金粉末の理論密度Dtは、アルキメデス法によって測定されてよい。
Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3其々の結晶構造及び組成は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型X線分光(EDS)、電子エネルギー損失分光(EELS)、TEM画像の高速フーリエ変換(FFT)解析及び粉末X線回折(XRD)法、誘導結合プラズマ発光分光(ICP‐AES)等の方法によって分析されてよい。
(軟磁性合金粉末の製造方法)
本実施形態に係る軟磁性合金は、後述されるガスアトマイズ法によって製造されてよい。本実施形態に係る軟磁性合金は、後述されるストリップキャスト法によって製造されてもよい。
<ガスアトマイズ法>
ガスアトマイズ法(新アトマイズ法)は、金属原料を溶融して溶湯(molten metal)を形成し、高圧ガスを溶湯へ噴射して液滴を形成し、液滴を冷却水で急冷して金属微粒子(微粉末)を形成する。ガスアトマイズ法の後、微粉末の熱処理を更に実施することにより、軟磁性合金粉末が形成される。
ガスアトマイズ法は、図3に示されるガスアトマイズ装置10を用いて実施されてよい。ガスアトマイズ装置10は、供給部20と、供給部20の下方に配置された冷却部30とを備える。図3に記載のZ軸方向は、鉛直方向である。
供給部20は、耐熱性を有する容器22と、容器22の周囲に配置されたコイル24(加熱装置)とを備える。軟磁性合金粉末の原料として、金属原料が容器22内に収容される。
金属原料の組成は、軟磁性合金粉末の組成に一致するように調整されてよい。例えば、金属原料の組成は、上記化学式1で表される組成であってよい。複数種の金属原料の混合物が用いられてよい。複数種の金属原料が用いられる場合、複数種の金属原料の全体の組成が上記化学式1に一致するように、各金属原料が秤量されてよい。金属原料は、不可避的不純物を含んでよい。全ての金属原料における不可避的不純物の含有量は、0質量%以上0.1質量%以下であってよい。金属原料の形態は、例えば、インゴット、チャンク(塊)、又はショット(粒子)であってよい。
容器22内の金属原料がコイル24によって加熱される。その結果、容器22内の金属原料が溶融して溶湯21になる。溶湯21の温度は、金属原料に含まれる金属の融点に応じて調整されてよい。溶湯21の温度は、例えば、1200℃以上1600℃以下であってよい。容器22内の蒸気圧を4hPa以下にすることで、金属ガラス相が安定して得られやすい。
溶湯21は、容器22の吐出口から、冷却部30に向けて滴下される。そして、高圧ガス26aが、ガスノズル26から溶湯21へ噴射される。その結果、溶湯21が多数の微細な液滴21aになる。液滴21aは、高圧ガス26aに沿って、冷却部30の筒体32の内部へ移動する。筒体32内の雰囲気は、例えば、真空であってよい。
溶湯21へ噴射される高圧ガスは、例えば、不活性ガス又は還元性ガスであってよい。不活性ガスは、例えば、N(窒素)、Ar(アルゴン)及びHe(ヘリウム)からなる群より選ばれる少なくとも一種のガスであってよい。還元性ガスは、例えば、アンモニア分解ガスであってよい。溶湯21が酸化され難い金属からなる場合、高圧ガスは、空気であってもよい。
冷却水を導入部36から筒体32の内部へ供給することに因り、水流50が筒体32の内部に形成されている。水流50の形状は、逆円錐である。液滴21aが逆円錐状の水流50に衝突することにより、液滴21aが更に微細な液滴に分解される。微細な液滴は水流50によって急冷され、固化される。
上記のような液滴21aの急冷により、多数の金属微粒子からなる微粉末が形成される。微粉末の組成は、原料金属全体の組成(例えば、上記化学式1)と略一致する。
逆円錐状の水流50を筒体32の内部に形成することにより、筒体32の内壁に沿って水流が形成される場合に比べて、空中での液滴21aの移動時間が短縮される。つまり、液滴21aが容器22から水流50へ到達するまでの所要時間が短縮される。空中での液滴21aの移動時間の短縮により、液滴21aの急冷が促進され、得られる金属微粒子内に非晶質の合金が形成され易い。また、空中での液滴21aの移動時間の短縮により、移動中の液滴21aの酸化が抑制される。その結果、液滴21aが水流50中において微細な液滴へ分解され易く、最終的に得られる軟磁性合金粉末の品質が向上する。
水流50が逆円錐状ではなく、筒体32の内壁に沿った円筒状の水流である場合、軟磁性合金粒子が金属ガラスを含むことは困難であり、軟磁性合金粉末の示差走査熱量曲線が、ガラス転移点Tgを有することは困難である。その理由は、必ずしも解明されていないが、以下のメカニズムが推測される。
水流50が逆円錐状である場合、液滴21aは、逆円錐の側壁を構成する薄い水流50を瞬時に通過するため、液滴21aの表面のみが急激に急冷され易い。その結果、Fe系ナノ結晶の前駆体であるFe原子のクラスターが液滴21a内に形成され、複数のFe原子のクラスターが、金属ガラスの形成に寄与する半金属(メタロイド)中に不均一に分散する。つまり局所的に組成がばらついた非晶質の合金が形成される。その結果、後述される金属微粒子(微粉末)の熱処理により、Fe原子のクラスターからFe系ナノ結晶2が優先的に形成され、半金属元素が更に濃縮される領域において、金属ガラス3(Tgを有する非晶質相)が形成される。つまり、金属ガラス3と、金属ガラス3中に分散した複数のFe系ナノ結晶2と、からなるナノ結晶構造が形成される。
水流50が逆円錐状ではなく、筒体32の内壁に沿った円筒状の水流である場合、液滴21aの全体が円筒状の水流内に取り込まれ易く、液滴21aの全体が均一に冷却され易い。その結果、上記のようなメカニズムが起き難い。
ただし、Fe系ナノ結晶2及び金属ガラス3が形成されるメカニズムは、上記のメカニズムに限定されない。
筒体32の中心軸線OとZ軸方向とがなす角度は、θ1と表される。θ1は、例えば、0°以上45°以下であってよい。θ1が0°以上45°以下であることにより、液滴21aが逆円錐状の水流50に接触し易い。
筒体32の下方には、排出部34が設けられている。微粉末を含む冷却水は、排出部34から筒体32の外部へ排出される。排出部34から排出された冷却水は、例えば、貯留槽内に収容されてよい。貯留槽内において、微粉末はその自重により貯留槽の底に沈降する。その結果、微粉末が冷却水から分離される。
金属微粒子の非晶質性及び形状は、冷却部30(筒体32)へ供給される冷却水の温度、水流50の形状、冷却水の流速又は流量によって制御されてよい。
図4は、図3に示される冷却水の導入部36の拡大図である。逆円錐状の水流50を筒体32の内部に形成するために、冷却水の流れが導入部36の構造によって制御される。
図4に示されるように、枠体38で囲まれた空間は、仕切部40により、外側部44と内側部46に区画されている。外側部44(外側空間部)は、筒体32の外側に位置する。内側部46(内側空間部)は、筒体32の内側に位置する。外側部44と内側部46は、通路部42を介して連通している。単一または複数のノズル37が、外側部44と連通している。冷却水は、ノズル37から外側部44へ供給され、通路部42を介して外側部44から内側部46へ流れる。内側部46の下方には、吐出部52が形成されている。内側部46内の冷却水は、吐出部52から、筒体32の内部へ供給される。
枠体38の外周面は、内側部46内の冷却水の流れを案内する流路面38bである。枠体38の下端38aには、凸部38a1が形成されている。凸部38a1は、筒体32の内壁33に向かって突出している。内側部46を向く凸部38a1の表面は、偏向面62である。偏向面62は流路面38bと連続しており、流路面38bを経た冷却水の向きを変える。凸部38a1の先端と筒体32の内壁33との間には、リング状の隙間が形成されている。このリング状の隙間が、冷却水の吐出部52に相当する。
枠体38の凸部38a1が筒体32の内壁33に向かって突出しており、吐出部52の幅D1は、内側部46の幅D2よりも狭い。このような構造により、流路面38bを経た冷却水は、偏向面62によって方向づけられる。その結果、冷却水は、筒体32の内壁33に衝突して、筒体32の内側へ反射される。
冷却水が上記の流路を経ることにより、吐出部52から筒体32の内部へ供給される冷却水が、逆円錐状の水流50になる。D1がD2と等しい場合、吐出部52から筒体32の内部へ供給される冷却水は、筒体32の内壁33に対して平行に流れるので、逆円錐状の水流50は形成され難い。
逆円錐状の水流50が形成され易いことから、D1/D2は、1/10以上2/3以下、好ましくは1/10以上1/2以下であってよい。
吐出部52から筒体32の内部へ供給される冷却水は、筒体32の中心軸線Oに向かって直進してよい。逆円錐状の水流50は、直進せずに、中心軸線Oの周りを旋回する水流であってもよい。
ガスアトマイズ法では、高圧ガス26aの圧力、単位時間当たりの溶湯21の滴下量、及び水流50の圧力等により、微粉末の粒子径及び粒度分布が制御されてよい。微粉末の粒子径及び粒度分布は、軟磁性合金粉末の粒子径及び粒度分布と略一致する。
以上のガスアトマイズ法によって得られた微粉末(金属微粒子)のDSC曲線は、ナノ結晶の生成に起因する発熱ピークを有する。この発熱ピークはDSC曲線の低温領域に現れ易く、発熱ピークがDSC曲線の横軸(温度)の方向においてブロード(brоad)になる。その結果、ナノ結晶の生成に起因する発熱ピークと、ガラス転移に起因するDSC曲線の変曲点とを正確に識別することが困難である。つまり、下記の熱処理前の微粉末内では、熱処理によって得られる軟磁性合金粉末のTgと同程度の低温においてナノ結晶の生成及び成長が起き易い。したがって、熱処理前の微粉末のDSC曲線においては、発熱ピークの温度Tpよりも低い変曲点(Tg)を検出することは困難である。以下の微粉末の熱処理によって、微粉末中の半金属元素が濃縮され、Fe系ナノ結晶及び金属ガラスを含む軟磁性合金粒子が得られ、軟磁性合金粉末のDSC曲線がTgを有することができる。
ガスアトマイズ法の後、微粉末(金属微粒子)の熱処理が非酸化的雰囲気中で実施される。非酸化的雰囲気は、不活性ガスであってよい。不活性ガスは、例えば、N、Ar及びHeからなる群より選ばれる少なくとも一種のガスであってよい。熱処理における微粉末の温度(熱処理温度)は、例えば、400℃以上650℃以下であってよい。熱処理温度を400℃以上に制御することにより、Fe系ナノ結晶及び金属ガラスが金属微粒子中に形成され易い。熱処理温度が高過ぎる場合、Fe系ナノ結晶の粒成長、及び金属ガラスの結晶化が熱処理中に進行し易い。その結果、本実施形態に係る軟磁性合金粉末が得られ難い。微粉末の温度が上記熱処理温度に維持される時間(熱処理時間)は、例えば、0.1時間以上10時間以下であってよい。熱処理時間が短過ぎる場合、Fe系ナノ結晶及び金属ガラスが金属微粒子中に形成され難い。熱処理時間が長過ぎる場合、Fe系ナノ結晶の粒成長、及び金属ガラスの結晶化が熱処理中に進行し易い。その結果、本実施形態に係る軟磁性合金粉末が得られ難い。熱処理における微粉末の昇温速度は、熱処理に用いる炉に依って変更されてよく、限定されない。熱処理では微粉末を急速に昇温することが好ましい。例えば、赤外線イメージ炉が熱処理に用いられる場合、熱処理における微粉末の昇温速度は、1℃/分以上6000℃/分以下であってよい。熱処理における微粉末の昇温速度とは、微粉末の温度が室温から熱処理温度に達するまでの昇温速度である。
以上の新ガスアトマイズ法及び熱処理により、本実施形態に係る軟磁性合金粉末が完成される。
熱処理の後、各軟磁性合金粒子の表面を被覆部で覆ってよい。被覆部の形成方法は、例えば、粉末スパッタ法、ゾルゲル法、メカノケミカルコーティング(mechanochemical cоating)法、リン酸塩処理法、浸漬法、及び熱処理法からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法であってよい。例えば、被覆部が、組成において互いに異なる複数の被覆層からなっている場合、複数の方法の組合せにより、被覆部が形成されてよい。
Tx未満又はTg未満である温度で各軟磁性合金粒子の表面を酸化することにより、各軟磁性合金粒子を覆う酸化部が形成されてもよい。
<ストリップキャスト法>
ストリップキャスト法は、図5に示されるストリップキャスト装置60を用いて実施されてよい。ストリップキャスト装置60は、ノズル61、冷却ロール63(円柱体)、剥離ガスの噴射装置66、及びこれらを内包するチャンバー65を備えている。図5は、冷却ロール63の回転軸線に対して垂直な方向におけるストリップキャスト装置60全体の断面を示す。
ストリップキャスト法では、ノズル61により、溶湯67が、回転する冷却ロール63の表面へ注がれる。ストリップキャスト法に用いる溶湯67の組成は、上述のガスアトマイズ法に用いる溶湯21の組成と同じであってよい。
溶湯67は、冷却ロール63の表面において急冷される。溶湯67の急冷により、溶湯67が冷却ロールの表面において凝固する。その結果、合金ストリップ64(合金帯)が冷却ロール63の表面に沿って形成される。合金ストリップ64は、その形状を除いて、ガスアトマイズ法によって形成された微粉末(熱処理前の微粉末)と同じ組成物であってよい。つまり、合金ストリップ64内では、複数のFe原子のクラスターが、半金属中に不均一に分散していてよい。合金ストリップ64のDSC曲線は、ナノ結晶の生成に起因する発熱ピークを有するが、ガスアトマイズ法によって形成された微粉末と同様の理由から、発熱ピークの温度Tpよりも低いTgを熱処理前の合金ストリップ64のDSC曲線から検出することは困難である。ガスアトマイズ法によって形成された微粉末の熱処理と同様の条件下で、合金ストリップ64の熱処理が実施される。合金ストリップ64の熱処理により、合金ストリップ64中のFe原子のクラスターからFe系ナノ結晶が形成され、合金ストリップ64中の半金属元素が濃縮され、金属ガラスが形成される。つまり合金ストリップ64の熱処理によって、Fe系ナノ結晶及び金属ガラスを含む軟磁性合金の薄帯が得られる。熱処理を経た軟磁性合金の薄帯のDSC曲線は、Tgを有することができる。
本実施形態に係るストリップキャスト法は、一つの冷却ロール63を用いる単ロール法である。
冷却ロール63の表面は、冷却ロール63の内部に流れる冷媒によって常時制御される。冷却ロール63の表面の温度は、0℃以下である。冷却ロール63の表面の温度が0℃以下であるため、冷却ロール63の表面に接触する合金ストリップ64の表面(接触面)と、その裏面(非接触面)との間に大きな温度差が生じ易く、合金ストリップ64の接触面が局所的に急冷され易い。その結果、合金ストリップ64内において、Fe原子のクラスターが形成され易く、複数のFe原子のクラスターが、半金属中に不均一に分散し易い。従来の単ロール法のように、冷却ロール63の表面の温度が5℃以上30℃以下又は10℃以上80℃以下である場合、上記のような不均一な内部構造を有する合金ストリップ64を製造することは困難である。冷却ロール63の表面の温度の下限値は、冷媒の凝固点よりも高い温度であればよく、特に限定されない。冷媒は、凝固点が0℃未満である液体であればよい。冷媒は、例えば、水によって希釈されたエチレングリコールであってよい。冷却ロール63の材質は、特に限定されない。例えば、冷却ロール63の表面は、Cuからなっていてよい。
冷却ロール63の回転方向Rは、従来の冷却ロールの回転方向R’とは逆である。その結果、合金ストリップ64が冷却ロール63と接している時間が長くなり、合金ストリップ64を従来の単ロール法よりも急激に冷却することができる。
冷却ロール63の回転方向Rが、従来の冷却ロールの回転方向R’とは逆である場合、噴射装置66から噴射される剥離ガスのガス圧の調整により、合金ストリップ64が冷却ロール63と接している時間(つまり冷却時間)を容易に制御することができる。例えば、剥離ガスの圧力の増加により、合金ストリップ64が冷却ロール63から剥離するタイミングを早めて、冷却時間を短縮することができる。逆に、剥離ガスの圧力の低減により、合金ストリップ64が冷却ロール63から剥離するタイミングを遅延させ、冷却時間を延長することができる。
チャンバー65内の雰囲気は、Arガスであってよい。チャンバー65内の雰囲気は、ほぼ真空であってもよい。結露を防止するために、チャンバー65内の雰囲気の露点が調整されてよい。例えば、チャンバー65内の蒸気圧は、11hPa以下、又は1hPa以下であってよい。蒸気圧の下限値は、特に限定されない。
合金ストリップ64の厚さは、例えば、15μm以上30μm以下であってよい。冷却ロール63の回転速度の調整により、合金ストリップ64の厚さが制御されてよい。冷却ロール63との間隔の調整により、合金ストリップ64の厚さが制御されてよい。溶湯67の温度の調整により、合金ストリップ64の厚さが制御されてよい。
(電子部品)
本実施形態に係る電子部品は、上記の軟磁性合金を含む。例えば、電子部品は、インダクタ、トランス、チョークコイル及びEMI(Electro Magnetic Interference)フィルタであってよい。これらの電子部品は、コイルと、コイルの内側に配置される磁心とを備えてよい。電子部品は、磁気ヘッド又は電磁波シールドであってもよい。
(磁心)
電子部品用の磁心は、本実施形態に係る軟磁性合金粉末を含む。例えば、磁心は、軟磁性合金粉末と、バインダと、を含んでよい。バインダは、軟磁性合金粉末に含まれる複数の軟磁性合金粒子同士を結着する。コイルの内側が軟磁性合金粉末及びバインダの混合物で満たされ、且つ、コイルの全体が軟磁性合金粉末及びバインダの混合物で覆われていてよい。
軟磁性合金粒子が電気的絶縁性を有する被覆部で覆われていない場合、磁心は、軟磁性合金粉末及びバインダに加えて、電気的絶縁性を有する添加材を更に含んでよい。添加材が磁心中の軟磁性合金粒子の間に介在することにより、軟磁性合金粒子間の導通が抑制され、磁心の耐電圧が増加する。軟磁性合金粒子が被覆部で覆われていない場合、以下の方法によって磁心が製造されてよい。
軟磁性合金粉末、バインダ、及び添加材を含む混合物が調製される。バインダは、例えば、シリコーン(silicone)樹脂又はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含んでよい。バインダの質量は、100質量部の軟磁性合金粉末に対して、1質量部以上10質量部以下であってよい。添加材は、電気的絶縁性を有している。添加材は、例えば、上述された酸化物ガラスであってよい。つまり、添加材は、リン酸塩系ガラス(P系ガラス)、ビスマス酸塩系ガラス(Bi系ガラス)、ケイ酸塩系ガラス(SiO系ガラス)、及びホウケイ酸塩系ガラス(B‐SiO系ガラス)からなる群より選ばれる少なくとも一種のガラスであってよい。添加材は、酸化物ガラスの粉末であってよい。添加材の質量は、100質量部の軟磁性合金粉末に対して、0.05質量部以上20質量部以下であってよい。
系ガラスにおけるPの含有量は、50質量%以上100質量%以下であってよい。P系ガラスは、例えば、P‐ZnO‐RO‐Al系ガラスであってよい。R、はアルカリ金属である。
Bi系ガラスにおけるBiの含有量は、50質量%以上100質量%以下であってよい。Bi系ガラスは、例えば、Bi‐ZnO‐B‐SiO系ガラスであってよい。
‐SiO系ガラスにおけるBの含有量は、10質量%以上90質量%以下であってよく、B‐SiO系ガラスにおけるSiOの含有量は、10質量%以上90質量%以下であってよい。B‐SiO系ガラスは、例えば、BaO‐ZnO‐B‐SiO‐Al系ガラスであってよい。
上記の混合物を加熱しながら圧縮する成形工程により、磁心が得られる。例えば、金型を用いた混合物の加熱及び加圧により、磁心が得られる。混合物の加熱及び圧縮により、混合物中の各軟磁性合金粒子の塑性変形が起こり、軟磁性合金粒子間の隙間が減少する。その結果、磁心における軟磁性合金粉末の充填率が増加する。また、軟磁性合金粒子間に位置するバインダの熱硬化により、複数の軟磁性合金粒子同士が結着される。さらに混合物の加熱及び圧縮により、混合物中の添加材が軟化して、軟磁性合金粒子間に介在する。その結果、隣り合う軟磁性合金粒子が互いに電気的に絶縁される。
成形工程における混合物の温度(成形温度)は、Tg以上Tx未満である。Tg以上Tx未満である温度では、軟磁性合金粒子中の金属ガラスの一部又は全部が過冷却液体になり、軟磁性合金粒子1が軟らかくなる。その結果、混合物の圧縮に伴って軟磁性合金粒子の塑性変形が起き、軟磁性合金粒子間の空隙が減少し、高い比透磁率を有する緻密な磁心が形成される。添加材としては、Tg以上Tx未満である温度において軟化点を有する添加材が用いられてよい。
成形工程において混合物に及ぶ圧力(成形圧力)は、400MPa以上2000MPa以下であってよい。成形圧力が400MPa以上であることにより、磁心における軟磁性合金粉末の充填率が増加し易く、磁心の比透磁率が増加し易い。成形圧力が2000MPa以下であることにより、磁心の保磁力が減少し易い。
成形工程では、混合物へ磁界が印加されてよい。成形工程によって得られた磁心の熱処理が行われてよい。磁心の熱処理により、磁心の歪みが解消する。
各軟磁性合金粒子が、予め覆部で覆われている場合、磁心は、上記の添加材を含まなくてよい。被覆部で覆われた軟磁性合金粒子を用いた磁心の製造方法は、上記の添加材を用いないことを除いて上記の磁心の製造方法と同じであってよい。
本発明は必ずしも上述された実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の種々の変更が可能であり、これ等の変更例も本発明に含まれる。例えば、絶縁性樹脂を介して積層された複数の軟磁性合金薄帯からなる積層体の打ち抜き又圧縮によって、磁心が作製されてよい。
下記の実施例及び比較例により、本発明がさらに詳細に説明される。ただし、本発明は下記の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の方法で、試料1a〜105其々の軟磁性合金粉末が作製され、分析された。
(金属原料の組成)
複数種の原料を所定の比率で混合することにより、試料1a、1b、1c、1d、1e、1f及び1g其々の軟磁性合金粉末の金属原料が調製された。試料1a、1b、1c、1e、1d、1f及び1g其々の金属原料全体の組成は、下記表1中の「化学式」の欄に示される。
複数種の原料を所定の比率で混合することにより、試料2〜33其々の軟磁性合金粉末の金属原料が調製された。試料2〜33其々の金属原料全体の組成は、下記化学式1aで表される。下記化学式1a中のhは、a+b+c+dに等しい。試料2〜33其々の化学式1a中のa、b、c、d及び1−hは、下記表2に示される。
Fe1−hNbSi (1a)
複数種の原料を所定の比率で混合することにより、試料34〜37其々の軟磁性合金粉末の金属原料が調製された。試料34〜37其々の金属原料全体の組成は、下記化学式1bで表される。下記化学式1b中のhは、a+b+c+dに等しい。試料34〜37其々の化学式1b中の(1−β)×(1−h)、β、a、b、c及びdは、下記表3に示される。
(Fe1−βCuβ1−hNbSi (1b)
複数種の原料を所定の比率で混合することにより、試料38〜47其々の軟磁性合金粉末の金属原料が調製された。試料38〜47其々の金属原料全体の組成は、下記化学式1cで表される。試料38〜47其々の化学式1c中の元素Mは、下記表4に示される。
Fe0.8100.0700.0900.030 (1c)
複数種の原料を所定の比率で混合することにより、試料48〜105其々の軟磁性合金粉末の金属原料が調製された。試料48〜105其々の金属原料全体の組成は、下記化学式1dで表される。試料48〜105其々の化学式1d中の元素X1、α×0.810、元素X2及びβ×0.810は、下記の表5又は表6に示される。
(Fe1−α−βX1αX2β0.810Nb0.0700.0900.030 (1d)
下記の表2〜6に記載の全ての試料は、実施例に分類される。
(試料1d、1e及び2〜105其々の軟磁性合金粉末の作製)
<新ガスアトマイズ法>
試料1d、1e及び2〜105其々の金属原料を用いた新ガスアトマイズ法によって、各試料の微粉末(金属微粒子)が作製された。新ガスアトマイズ法では、上述された図3及び図4に示されるガスアトマイズ装置を用いた。新ガスアトマイズ法の詳細は以下の通りであった。
金属原料が容器22内に収容された。コイル24を用いた高周波誘導により、容器22中の金属原料が加熱され、溶湯21が得られた。溶湯21の温度は、1600℃であった。容器22内の蒸気圧は、4hPa以下であった。
冷却部30の筒体32内の雰囲気を真空にした後、冷却水を導入部36から筒体32の内部へ供給することにより、水流50が筒体32の内部に形成された。水流50の形状は、逆円錐であった。水流50の圧力(ポンプ圧)は、10MPaであった。筒体32の内径は、300mmであった。図4中のD1及びD2の比(D1/D2)は、1/2であった。図4中の角度θ1は、20°であった。
溶湯21が容器22の吐出口から、冷却部30に向けて滴下された。そして、高圧ガス26aが、ガスノズル26から溶湯21へ噴射された。高圧ガス26aは、アルゴンガスであった。高圧ガス26aの圧力は、5MPaであった。高圧ガス26aの噴射により、溶湯21が多数の微細な液滴21aになった。液滴21aは、高圧ガス26aに沿って、冷却部30の筒体32の内部へ移動した。液滴21aが筒体32内の逆円錐状の水流50に衝突することにより、液滴21aが更に微細な液滴に分解された。微細な液滴が水流50によって急冷され、固化されることにより、微粉末(金属微粒子)が得られた。微粉末を含む水流50(冷却水)は、排出部34から筒体32の外部へ排出され、微粉末が冷却水から回収された。
<熱処理前の微粉末の分析>
微粉末の熱処理が実施される前に、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末が以下の方法により分析された。
粉末X線回折装置を用いて、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末のX線回折パターンが測定された。
各試料の微粉末及び熱硬化性樹脂の混合物を成型し、且つ熱硬化性樹脂を硬化することにより、成型体を得た。成型体をイオンミリングで加工して、薄膜(測定用試料)を得た。薄膜に含まれる各試料の微粉末(金属微粒子)の断面が、STEMで観察された。
X線回折パターンと、STEMによる観察に基づき、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末の結晶構造が分析された。いずれの試料においても、ナノスケールの結晶が金属粒微子内で見つからず、且つ体心立方格子構造に由来する回折X線は検出されなかった。つまり、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末は、非晶質の合金からなっていた。
<熱処理>
新ガスアトマイズ法の後、各試料の微粉末の熱処理が非酸化的雰囲気中で実施された。非酸化的雰囲気は、窒素ガスであった。熱処理における微粉末の温度(熱処理温度)は、600℃であった。昇温速度は5K/分であった。微粉末の温度が熱処理温度に維持された時間(熱処理時間)は、1時間であった。
以上の新ガスアトマイズ法及び熱処理により、試料1d、1e及び2〜105其々の軟磁性合金粉末が作製された。
(試料1aの軟磁性合金粉末の作製)
試料1aの微粉末は、旧アトマイズ法によって作製された。旧アトマイズ法では、冷却水の導入部36の構造が変更されたガスアトマイズ装置を用いた。導入部36の構造の変更により、筒体32の内壁に沿って旋回する円筒状の水流が形成された。液滴21aを円筒状の水流で急冷することにより、試料1aの微粉末が得られた。水流の形状を除いて、旧ガスアトマイズ法は、新ガスアトマイズ法と同じであった。
試料1aの微粉末が熱処理前に分析された。試料1aの微粉末の分析方法は、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末の分析方法と同じであった。ナノスケールの結晶は試料1aの金属粒微子内で見つからなかった。体心立方格子構造に由来する回折X線は試料1aから検出されなかった。つまり、試料1aの微粉末は、非晶質の合金からなっていた。
旧ガスアトマイズ法の後、試料1aの微粉末の熱処理が実施された。試料1aの微粉末の熱処理方法は、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末の熱処理方法と同じであった。
以上の旧ガスアトマイズ法及び熱処理により、試料1aの軟磁性合金粉末が作製された。
(試料1b及び1cの軟磁性合金粉末の作製)
試料1b及び1c其々の金属原料を用いた新ガスアトマイズ法によって、各試料の微粉末(金属微粒子)が作製された。
試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末と同様の方法により、試料1b及び1c其々の微粉末が熱処理前に分析された。試料1b及び1c其々の微粉末の分析方法は、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末の分析方法と同じであった。試料1b及び1cのいずれの場合も、ナノスケールの結晶が金属粒微子内で見つからず、且つ体心立方格子構造に由来する回折X線は検出されなかった。つまり、試料1b及び1c其々の微粉末は、非晶質の合金からなっていた。
試料1b及び1c其々の微粉末の熱処理は行われなかった。つまり、新アトマイズ法のみによって、試料1b、1c及び1d其々の軟磁性合金粉末が作製された。試料1b及び1cの場合に限り、軟磁性合金粉末とは、熱処理前の微粉末を意味する。
(試料1f及び1gの軟磁性合金粉末の作製)
上記実施形態に係るストリップキャスト法により、試料1gの金属原料から、試料1gの合金ストリップが作製された。つまり、図5に示されるストリップ法により、試料1gの金属原料から、試料1gの合金ストリップが作製された。
試料1gの合金ストリップの作製では、冷却ロール63の冷媒として、水で希釈されたエチレングリコールが用いられた。試料1gの合金ストリップの作製では、冷却ロール63の表面の温度が、−10℃に維持された。
冷媒の組成、及び冷却ロール63の表面の温度を除いて、試料1gと同様の方法で、試料1fの合金ストリップが作製された。試料1fの合金ストリップの作製では、冷却ロール63の冷媒として、水が用いられた。試料1fの合金ストリップの作製では、冷却ロール63の表面の温度が、25℃に維持された。
試料1f及び1g其々の合金ストリップを個別に粉砕することにより、試料1f及び1g其々の微粉末が作製された。試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末と同様の方法により、試料1f及び1g其々の微粉末が熱処理前に分析された。試料1f及び1g其々の微粉末の分析方法は、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末の分析方法と同じであった。試料1f及び1gのいずれの場合も、ナノスケールの結晶が金属粒微子内で見つからず、且つ体心立方格子構造に由来する回折X線は検出されなかった。つまり、試料1f及び1g其々の微粉末は、非晶質の合金からなっていた。
試料1f及び1g其々の合金ストリップの熱処理が実施された。各合金ストリップの熱処理方法は、試料1d、1e及び2〜105其々の微粉末の熱処理方法と同じであった。
試料1f及び1g其々の合金ストリップの熱処理後、試料1f及び1g其々の合金ストリップを個別に粉砕することにより、試料1f及び1g其々の軟磁性合金粉末が作製された。
(軟磁性合金粉末の分析)
試料1a〜105其々の軟磁性合金粉末が以下の方法により分析された。
粉末X線回折装置を用いて、試料1a〜105其々の軟磁性合金粉末のX線回折パターンが測定された。
各試料の軟磁性合金粉末及び熱硬化性樹脂の混合物を成型し、且つ熱硬化性樹脂を硬化することにより、成型体を得た。成型体をイオンミリングで加工して、薄膜(測定用試料)を得た。薄膜に含まれる各試料の軟磁性合金粉末(軟磁性合金粒子)の断面が、STEMで観察された。STEMで観察された断面において、各試料の軟磁性合金粉末の組成がEDSによって分析された。
X線回折パターンと、STEMによる観察に基づき、試料1a〜105其々の微粉末の結晶構造が分析された。
試料1a、1d、1e、1f、1g及び2〜105其々の軟磁性合金粒子内では、多数のFe系ナノ結晶が非晶質合金中に分散していた。試料1a、1d、1e、1f、1g及び2〜105のいずれの場合も、体心立方格子構造に由来する回折X線が検出された。
試料1b及び1cのいずれの場合も、Fe系ナノ結晶が軟磁性合金微子内で見つからず、且つ体心立方格子構造に由来する回折X線は検出されなかった。つまり、試料1b及び1c其々の軟磁性合金粉末は、非晶質合金のみからなっていた。
試料1a〜105のいずれも場合も、軟磁性合金粉末の組成は、金属原料全体の組成に略一致した。
試料1a〜105其々の軟磁性合金粉末のDSC曲線が測定された。DSC曲線の測定における軟磁性合金粉末の昇温速度は、40K/分であった。DSC曲線の測定では、標準試料としてアルミナが用いられた。
試料1d、1e、1g及び2〜105のいずれの場合も、軟磁性合金粉末のDSC曲線は、ガラス転移点Tgを有していた。したがって、試料1d、1e、1g及び2〜105其々の軟磁性合金粒子に含まれる非晶質合金は、金属ガラスであった。試料1d、1e、1g及び2〜105のいずれの場合も、軟磁性合金粉末のDSC曲線は、Tgだけではなく、結晶化温度Tx(結晶化開始温度)、及び極大の発熱ピークを有していた。試料1d、1e、1g及び2〜105のいずれの場合も、極大の発熱ピークの温度Tpは、Tg及びTx其々よりも高かった。試料1d、1e、1g及び2〜105のいずれの場合も、Tgは、Txよりも低かった。
試料1d、1e、1g、2〜33及び試料38〜105其々のTgは、350℃以上であり、600℃よりも低かった。試料1d、1e、1g、2〜33及び試料38〜105其々のTxは、600℃よりも高かった。
試料34〜37其々のTgは、350℃以上であり、400℃よりも低かった。試料34〜37其々のTxは、400℃よりも高かった。
試料1a、1b、1c及び1fのいずれの場合も、軟磁性合金粉末のDSC曲線は、ガラス転移点Tgを有していなかった。したがって、試料1a、1b、1c及び1fの其々の軟磁性合金粒子に含まれる非晶質合金は、金属ガラスではなかった。つまり試料1a、1b、1c及び1f其々の軟磁性合金は、金属ガラスを含んでいなかった。試料1a、1b、1c及び1fのいずれの場合も、軟磁性合金粉末のDSC曲線は、発熱ピークを有していた。
(保磁力の測定)
以下の方法により、試料1a〜105其々の軟磁性合金粉末の保磁力が測定された。
20gの軟磁性合金粉末とパラフィンが、筒状のプラスチックケース内に収容された。プラスチックケースの内径φは6mmであり、プラスチックケースの長さは5mmであった。プラスチックケース内のパラフィンを加熱により溶融させた後、パラフィンを凝固させることにより、測定用サンプルが得られた。この測定用サンプルの保磁力が測定された。保磁力の測定には、東北特殊鋼株式会社製の保磁力計(K‐HC1000型)が用いられた。測定磁界は150kA/mであった。試料1a〜105其々の保磁力Hc(単位:A/m)は、下記表に示される。保磁力Hcは450A/m以下であることが好ましい。
(磁心の作製、及び相対密度の測定)
以下の成形工程により、試料1a〜105其々の軟磁性合金粉末から、試料1a〜105其々の磁心が作製された。
軟磁性合金粉末、シリコーン樹脂、及び添加材からなる混合物が調製された。シリコーン樹脂の質量は、100質量部の軟磁性合金粉末に対して、1.2質量部であった。添加材の質量は、100質量部の軟磁性合金粉末に対して、0.5質量部であった。
試料1a〜33及び試料38〜105其々の磁心の作製には、添加材として、ホウケイ酸塩系ガラスが用いられた。
試料34〜37其々の磁心の作製には、添加材として、リン酸塩系ガラスが用いられた。
成形工程では、金型を用いて、混合物を加熱しながら圧縮した。
試料1a〜33及び試料38〜105其々の成形温度は、600℃であった。
試料34〜37其々の成形温度は、400℃であった。
試料1a〜1g其々の成形圧力は、下記表1に示される。
試料2〜105其々の成形圧力は、1000MPaであった。
以上の方法により、円盤状の磁心が得られた。磁心の直径は10.0mmであり、磁心の厚さは4.0mmであった。試料1a〜105其々の磁心の相対密度が測定された。各磁心の相対密度は、下記表に示される。相対密度は、0.85以上であることが好ましい。
Figure 2021055182
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Figure 2021055182
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本発明に係る軟磁性合金は、例えば、インダクタの磁心用の材料に適している。
1…軟磁性合金粒子、2…Fe系ナノ結晶、3…金属ガラス、Tg…ガラス転移点、Tx…結晶化温度、Tp…極大の発熱ピークの温度、ΔTx…過冷却液体域幅。

Claims (11)

  1. Fe系ナノ結晶を含む軟磁性合金であって、
    前記軟磁性合金が、金属ガラスを更に含み、
    前記軟磁性合金の示差走査熱量曲線が、ガラス転移点Tgを有し、
    前記示差走査熱量曲線の測定における前記軟磁性合金の昇温速度が、40K/分であり、
    前記示差走査熱量曲線における極大の発熱ピークの温度Tpが、Tgよりも高い、
    軟磁性合金。
  2. 前記軟磁性合金が、下記化学式1で表される合金を含み、
    (Fe1−α−βX1αX2β1−hSi (1)
    hが、a+b+c+dであり、
    X1が、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、
    X2が、Al、Mn、Ag、Zn、Sn、As、Sb、Cu、Cr、Bi、N、O、S、C及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、
    Mが、Nb、Hf、Zr、Ta、Mo、W、及びVからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、
    aが、0.0以上0.15以下であり、
    bが、0.0以上0.20以下であり、
    cが、0.0以上0.20以下であり、
    dが、0.0以上0.20以下であり、
    αが、0以上であり、
    βが、0以上であり、
    α+βが、0以上0.50以下であり、
    1−hが、0.65より大きく0.9以下である、
    請求項1に記載の軟磁性合金。
  3. 前記Fe系ナノ結晶の平均粒径が、5nm以上50nm以下である、
    請求項1又は2に記載の軟磁性合金。
  4. 前記示差走査熱量曲線が、結晶化温度Txを有し、
    過冷却液体域幅ΔTxが、Tx−Tgと定義され、
    ΔTxが、10K以上200K以下である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の軟磁性合金。
  5. Tpが、600℃以上800℃以下である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の軟磁性合金。
  6. 前記軟磁性合金が、粉末である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の軟磁性合金。
  7. 前記Fe系ナノ結晶及び前記金属ガラスの両方が、前記粉末を構成する一個の軟磁性合金粒子中に存在する、
    請求項6に記載の軟磁性合金。
  8. 前記金属ガラスと、前記金属ガラス中に分散した複数の前記Fe系ナノ結晶と、からなるナノ結晶構造が、前記粉末を構成する一個の軟磁性合金粒子中に形成されている、
    請求項6又は7に記載の軟磁性合金。
  9. 前記軟磁性合金が、薄帯である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の軟磁性合金。
  10. 前記Fe系ナノ結晶及び前記金属ガラスの両方が、一つの合金組成物からなる前記軟磁性合金中に存在する、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の軟磁性合金。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の軟磁性合金を含む電子部品。

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