JP7456279B2 - 軟磁性金属粉末及び電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、軟磁性金属粉末、及び軟磁性金属粉末を含む電子部品に関する。
インダクタ、トランス及びチョークコイル等の電子部品は、様々な電子機器の電源回路に多用される。これらの電子部品は、コイルとコイルの内側に配置される磁心とを備えている。近年、磁心の材料として、従来のフェライトの代わりに軟磁性金属粉末が多用される。軟磁性金属粉末は、フェライトに比べて、高い飽和磁化(飽和磁束密度)を有し、直流重畳特性に優れており(直流重畳許容電流が大きく)、電子部品(磁心)の小型化に適しているからである。(下記特許文献1参照。)
しかしながら、軟磁性金属粉末が磁心に用いられる場合、軟磁性金属粉末に含まれる複数の軟磁性金属粒子間の導通に因り、渦電流が磁心内で発生し易い。つまり軟磁性金属粉末が磁心に用いられる場合、コアロス(渦電流損失)が生じ易い。コアロスに因り、電源回路の効率が低下し、電子機器の消費電力が増加してしまう。したがって、コアロスを低減する必要がある。コアロスの低減のためには、軟磁性金属粒子間の電気的絶縁性が求められる。(下記特許文献2参照。)換言すれば、コアロスの低減のためには、高い耐電圧が軟磁性金属粉末に求められる。
特許第3342767号公報 特開2017-34228号公報
本発明の目的は、高い耐電圧を有する軟磁性金属粉末、及び当該軟磁性金属粉末を含む電子部品を提供することである。
本発明の一側面に係る軟磁性金属粉末は、複数の軟磁性金属粒子を含み、軟磁性金属粒子が、金属粒子と、金属粒子を覆う酸化部(oxidized part)と、を含み、金属粒子が、少なくともFeを含み、酸化部が、S及び元素Mのうち少なくとも一種の元素を含み、元素Mが、Nb、Ta、W、Zr、Hf及びCrからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、金属粒子及び酸化部におけるS及び元素M其々の濃度の単位が、原子%であり、金属粒子及び酸化部におけるS又は元素Mの濃度が、酸化部において極大値を有する。
金属粒子における元素Mの濃度の平均値が、[M]aと表され、酸化部における元素Mの濃度の極大値の平均値が、[M]mと表され、[M]m-[M]aが、0.4原子%以上であってよい。
[M]m-[M]aが、5.0原子%以下であってよい。
[M]aが、0原子%以上16.0原子%以下であってよく、[M]mが、0.4原子%以上21.0原子%以下であってよい。
金属粒子におけるSの濃度の平均値が、[S]aと表され、酸化部におけるSの濃度の極大値の平均値が、[S]mと表され、[S]m-[S]aが、0.2原子%以上であってよい。
[S]m-[S]aが、5.0原子%以下であってよい。
[S]aが、0原子%以上5.0原子%以下であってよく、[S]mが、0.2原子%以上10.0原子%以下であってよい。
金属粒子の少なくとも一部が、非晶質相であってよい。
金属粒子の少なくとも一部が、ナノ結晶相であってよい。
軟磁性金属粒子が、酸化部を覆う被覆部を更に含んでよい。
被覆部が、ガラスを含んでよい。
金属粒子及び酸化部の両方が、S及び元素Mのうち少なくとも一種の元素を含んでよい。
本発明の一側面に係る電子部品は、上記の軟磁性金属粉末を含む。
本発明によれば、高い耐電圧を有する軟磁性金属粉末、及び当該軟磁性金属粉末を含む電子部品が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る軟磁性金属粒子の断面の模式図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る軟磁性金属粒子の断面の模式図である。 図3は、軟磁性金属粉末の製造に用いるガスアトマイズ装置の断面の模式図である。 図4は、図3に示される装置の一部(冷却水の導入部)の拡大された断面を示す。 図5は、軟磁性金属粒子の酸化部の最表面に垂直な方向における各元素の濃度分布である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態が説明される。図面において、同等の構成要素には同等の符号が付される。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
(軟磁性金属粉末)
本実施形態に係る軟磁性金属粉末は、複数の軟磁性金属粒子を含む。軟磁性金属粉末は、多数の軟磁性金属粒子の全体と言い換えられてよい。図1に示されるように、軟磁性金属粒子1は、金属粒子2と、金属粒子2を覆う酸化部3と、を含む。軟磁性金属粒子1は、金属粒子2及び酸化部3のみからなっていてよい。酸化部3は、酸化層と言い換えられてよい。酸化部3自体の電気抵抗(電気抵抗率)は金属粒子2自体の電気抵抗(電気抵抗率)よりも高い。換言すれば、酸化部3は電気的絶縁性を有している。複数の軟磁性金属粒子1同士が、電気的絶縁性を有する酸化部3を介して接触することに因り、軟磁性金属粒子1の導通が抑制され、軟磁性金属粉末の耐電圧が増加する。つまり、軟磁性金属粉末は、酸化部3の電気的絶縁性に起因する耐電圧を有している。酸化部3は、金属粒子2の一部又は全体を覆っていてよい。軟磁性金属粉末の耐電圧が増加し易いことから、酸化部3は金属粒子2の全体を覆うことが好ましい。酸化部3は、所々で途切れていてもよい。軟磁性金属粉末の耐電圧が増加し易いことから、軟磁性金属粉末に含まれる全ての軟磁性金属粒子1が、金属粒子2及び酸化部3を含むことが好ましい。ただし、軟磁性金属粉末の耐電圧が損なわれない限りにおいて、酸化部3を含まない少数の金属粒子が軟磁性金属粉末に含まれていてもよい。酸化部3の組成の詳細は後述される。
図2に示されるように、軟磁性金属粒子1は、金属粒子2及び酸化部3に加えて、酸化部3を覆う被覆部4を更に含んでよい。被覆部4自体の電気抵抗(電気抵抗率)は、金属粒子2自体の電気抵抗(電気抵抗率)よりも高い。換言すれば、被覆部4は電気的絶縁性を有している。複数の軟磁性金属粒子1同士が、電気的絶縁性を有する被覆部4を介して接触することに因り、軟磁性金属粒子1の導通が更に抑制され、軟磁性金属粉末の耐電圧が更に増加する。被覆部4は、酸化部3の一部又は全体を覆っていてよい。軟磁性金属粉末の耐電圧が増加し易いことから、被覆部4は酸化部3の全体を覆うことが好ましい。金属粒子2の一部分が酸化部3で覆われることなく露出している場合、被覆部4が金属粒子2の一部分を直接覆っていてよい。被覆部4は、組成において互いに異なる複数の被覆層からなっていてよく、複数の被覆層が酸化部3の最表面に垂直な方向において積層されていてよい。酸化部3の最表面とは、酸化部3の表面のうち金属粒子2に接していない面である。被覆部4は、組成が均一である一つの層であってもよい。
被覆部4はガラスを含んでよい。被覆部4はガラスのみからなっていてよい。被覆部4がガラスを含むことに因り、被覆部4の電気的絶縁性が向上し易く、軟磁性金属粉末の耐電圧が増加し易い。また被覆部4がガラスを含むことに因り、軟磁性金属粒子1同士の摩擦及び凝集が抑制され易く、軟磁性金属粉末の嵩密度及び充填率が増加し易く、軟磁性金属粉末全体の比透磁率が増加し易い。ただし、被覆部4の組成はガラスに限定されない。被覆部4の組成の詳細は、後述される。
以下に記載の「被覆粒子」とは、被覆部4を備える軟磁性金属粒子1を意味する。以下に記載の「未被覆粒子」とは、被覆部4を備えていない軟磁性金属粒子1を意味する。
軟磁性金属粉末は、被覆粒子と未被覆粒子の両方を含んでよい。軟磁性金属粉末に占める被覆粒子の個数の割合が高いほど、軟磁性金属粉末の耐電圧が高い。軟磁性金属粉末に占める被覆粒子の個数の割合は、90%以上100%以下、又95%以上100%以下であってよい。軟磁性金属粉末の耐電圧が増加し易いことから、軟磁性金属粉末は、被覆粒子のみからなっていてよい。ただし、軟磁性金属粉末が未被覆粒子のみからなっていてもよい。
以下に記載の「V1」とは、未被覆粒子のみからなる軟磁性金属粉末の耐電圧を意味する。以下に記載の「V2」とは、被覆粒子を含む軟磁性金属粉末の耐電圧を意味する。V1及びV2其々の単位は、V/mmである。
金属粒子2は、少なくともFe(鉄)を含む。金属粒子2は、Feのみからなっていてよい。金属粒子2は、Feを含む合金を含んでもよい。金属粒子2は、Feを含む合金のみからなっていてもよい。軟磁性金属粉末の軟磁気磁性は、金属粒子2の組成に起因する。軟磁気磁性とは、例えば、高い比透磁率、高い飽和磁化、及び低い保磁力を意味する。金属粒子2の組成の詳細は、後述される。
酸化部3は、S(硫黄)及び元素Mのうち少なくとも一種の元素を含む。例えば、酸化部3は、S及び元素Mのうち少なくとも一種の元素の酸化物を含んでよい。酸化部3は、S及び元素MのうちSのみを含んでよい。酸化部3は、S及び元素Mのうち元素Mのみを含んでよい。酸化部3は、S及び元素Mの両方を含んでよい。元素Mは、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)及びCr(クロム)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。酸化部3は、複数種の元素Mを含んでよい。酸化部3は、更にFe、Si(ケイ素)及びB(ホウ素)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物を含んでよい。酸化部3は、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)及びK(カリウム)なる少なくとも一種の第1族元素(アルカリ金属)を更に含んでよい。酸化部3は、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)及びBa(バリウム)からなる群より選ばれる少なくとも一種の第2族元素(又はアルカリ土類金属)を更に含んでよい。酸化部3が、Mg及びCaのうち少なくとも一種を含む場合、軟磁性金属粉末の耐電圧が更に増加し易い。上記酸化物は、酸化部3の主成分であってよい。酸化部3は、酸化物のみからなっていてよい。
金属粒子2及び酸化部3におけるS又は元素Mの濃度は、酸化部3において極大である。つまり、金属粒子2及び酸化部3におけるS又は元素Mの濃度分布は、一様ではなく、酸化部3に属する任意の箇所において極大値を有する。金属粒子2及び酸化部3におけるS及び元素M其々の濃度の単位は、原子%である。酸化部3(又は、金属粒子2及び酸化部3の両方)が複数種の元素Mを含む場合、「元素Mの濃度」とは、全種類の元素Mの濃度の合計を意味する。酸化部3におけるSの濃度の極大値は、金属粒子2及び酸化部3におけるSの濃度の最大値であってよい。酸化部3における元素Mの濃度の極大値は、金属粒子2及び酸化部3におけるSの濃度の最大値であってよい。金属粒子2及び酸化部3におけるS又は元素Mの濃度が酸化部3において極大であることに因り、酸化部3が優れた電気的絶縁性を有することができる。その結果、軟磁性金属粉末が高い耐電圧を有することができる。金属粒子2及び酸化部3におけるSの濃度が、酸化部3において極大であり、且つ、金属粒子2及び酸化部3における元素Mの濃度も、酸化部3において極大であってよい。金属粒子2及び酸化部3におけるSの濃度が、酸化部3において極大であり、且つ金属粒子2及び酸化部3における元素Mの濃度が、酸化部3において極大でなくてもよい。金属粒子2及び酸化部3におけるSの濃度が、酸化部3において極大でなく、且つ金属粒子2及び酸化部3における元素Mの濃度が、酸化部3において極大であってもよい。金属粒子2及び酸化部3の両方が、S及び元素Mのうち少なくとも一つの元素を含んでよい。例えば、金属粒子2及び酸化部3の両方が、Sを含んでよい。金属粒子2及び酸化部3の両方が、共通する元素Mを含んでもよい。金属粒子2及び酸化部3の両方が、S及び元素Mの両方を含んでよい。金属粒子2及び酸化部3のうち酸化部3のみが、S及び元素Mのうち少なくとも一つの元素を含んでもよい。軟磁性金属粉末の耐電圧が増加し易いことから、軟磁性金属粉末に含まれる全ての軟磁性金属粒子1の酸化部3において、S又は元素Mの濃度が極大であることが好ましい。ただし、軟磁性金属粉末の耐電圧が損なわれない限りにおいて、S又は元素Mの濃度が酸化部3以外の部分において極大である少数の金属粒子が軟磁性金属粉末に含まれていてもよい。
金属粒子2におけるSの濃度の平均値は、[S]aと表される。酸化部3におけるSの濃度の極大値の平均値は、[S]mと表される。[S]aは、0原子%以上5.0原子%以下、又は0原子%以上3.5原子%以下であってよく、[S]mは、0.2原子%以上10.0原子%以下、0.2原子%以上9.0原子%以下、又は0.2原子%以上7.0原子%以下であってよい。金属粒子2及び酸化部3における元素Mの濃度が、酸化部3において極大値を有する場合、[S]mは、0原子%以上10.0原子%以下、0原子%以上9.0原子%以下、又は0原子%以上7.0原子%以下であってよい。[S]m-[S]aは、0.2原子%以上であってよい。以下に記載のΔ[S]は、[S]m-[S]aを意味する。Δ[S]が0.2原子%以上である軟磁性金属粉末の耐電圧(V1及びV2)は、Δ[S]が0.2原子未満である軟磁性金属粉末の耐電圧よりも高い傾向がある。同様の理由から、Δ[S]は、0.2原子%以上5.0原子%以下、又は0.5原子%以上3.6原子%以下であってよい。
金属粒子2における元素Mの濃度の平均値は、[M]aと表される。酸化部3における元素Mの濃度の極大値の平均値は、[M]mと表される。[M]aは、0原子%以上16.0原子%以下、又は0原子%以上15.0原子%以下であってよく、[M]mは、0.4原子%以上21.0原子%以下、0.4原子%以上20.0原子%以下、又は0.4原子%以上17.0原子%以下であってよい。金属粒子2及び酸化部3におけるSの濃度が、酸化部3において極大値を有する場合、[M]mは、0原子%以上21.0原子%以下、0原子%以上20.0原子%以下、又は0原子%以上17.0原子%以下であってよい。[M]m-[M]aは、0.4原子%以上であってよい。以下に記載のΔ[M]は、[M]m-[M]aを意味する。Δ[M]が0.4原子%以上である軟磁性金属粉末の耐電圧(特にV2)は、Δ[M]が0.4原子未満である軟磁性金属粉の耐電圧よりも高い傾向がある。同様の理由から、Δ[M]は、0.4原子%以上5.0原子%以下、又は0.5原子%以上3.1原子%以下であってよい。
軟磁性金属粉末の耐電圧(特にV2)が更に増加し易いことから、Δ[S]及びΔ[M]の両方が0.5原子%以上であることが好ましい。ただし、Δ[S]及びΔ[M]のうち一方の値のみが0.5原子%以上であり、Δ[S]及びΔ[M]のうち他方の値が0.5原子%未満であってよい。Δ[S]及びΔ[M]のうち一方の値のみが0.5原子%以上であり、Δ[S]及びΔ[M]のうち他方の値が0.5原子%未満である場合も、軟磁性金属粉末の耐電圧が増加することは可能である。
金属粒子2及び酸化部3におけるS及び元素M其々の濃度は、下記の線分析によって測定されてよい。
20個の軟磁性金属粒子1が、軟磁性金属粉末から無作為に選出される。各軟磁性金属粒子1の金属粒子2及び酸化部3におけるS及び元素M其々の濃度分布が測定される。測定された濃度分布に基づき、S及び元素M其々の濃度が極大である箇所が特定される。S及び元素M其々の濃度分布は、酸化部3の最表面に垂直な方向における軟磁性金属粒子1の断面において測定される。つまりS及び元素M其々の濃度分布は、酸化部3の最表面に垂直な方向に沿って測定される。酸化部3の最表面に垂直な方向とは、図1に示される深さ方向dである。したがって、S及び元素M其々の濃度分布は、深さ方向dに延びる線分に沿ったS及び元素M其々の濃度分布と言い換えられてよい。深さ方向dに延びる線分は、金属粒子2の中心と酸化部3の最表面とを結ぶ線分であってよい。深さ方向dに延びる線分は、金属粒子2及び酸化部3の全体を横断する線分であってもよい。S及び元素M其々の濃度分布の測定手段は、エネルギー分散型X線分析(EDS)であってよい。EDSによって分析される断面は、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)によって観察されてよい。
20個の軟磁性金属粒子1其々の酸化部3において測定されたSの濃度の極大値から、Sの濃度の極大値の平均値([S]m)が算出される。20個の軟磁性金属粒子1其々の酸化部3において測定された元素Mの濃度の極大値から、元素Mの濃度の極大値の平均値([M]m)が算出される。
[S]a及び[M]aの算出のために、各軟磁性金属粒子1の金属粒子2内に位置する任意の20箇所においてS及び元素M其々の濃度が測定される。20箇所において測定されたSの濃度から、各軟磁性金属粒子1の金属粒子2におけるSの濃度の平均値が算出される。20個の軟磁性金属粒子1其々の金属粒子2において測定されたSの濃度の平均値から、[S]aが算出される。Sの濃度と同様に、20箇所において測定された元素Mの濃度から、各軟磁性金属粒子1の金属粒子2における元素Mの濃度の平均値が算出される。20個の軟磁性金属粒子1其々の金属粒子2において測定された元素Mの濃度の平均値から、[M]aが算出される。
軟磁性金属粒子1に含まれる他の元素の濃度分布は、S及び元素M其々の濃度分布と同様の方法によって測定されてよい。
金属粒子2及び酸化部3は、O(酸素)の濃度に基づいて識別されてよい。例えば、[S]a及び[M]aと同様の方法で、金属粒子2におけるOの濃度の平均値([O]a)が算出される。軟磁性金属粒子1の断面の外周部分のうち酸素の濃度が[O]aより高い領域が、酸化部3とみなされてよい。
図1に示される内側領域3aは、酸化部3の一部であり、且つ酸化部3の最表面からの距離が酸化部3の厚みの1/2よりも大きい領域と定義される。金属粒子2及び酸化部3におけるS又は元素Mの濃度は、内側領域3aにおいて極大であってよい。被覆部4の有無に関わらず、内側領域3aにおいてS又は元素Mの濃度が極大である軟磁性金属粉末は、高い耐電圧を有し易い。同様の理由から、金属粒子2及び酸化部3におけるS又は元素Mの濃度は、金属粒子2及び酸化部3の間の界面において極大であってもよい。金属粒子2及び酸化部3の間の界面は、酸化部3に属するとみなされてよい。
酸化部3においてS又は元素Mの濃度が極大である箇所は、酸化部3において他の元素の濃度が極大である箇所と異なってよい。換言すれば、酸化部3に含まれる各元素の濃度分布は、互いに異なっていてよく、酸化部3の組成は不均一であってよい。例えば、酸化部3の一部分が、S又は元素Mの酸化物であり、酸化部3の別の部分が、他の元素(例えば、Fe又はSi)の酸化物であってよい。酸化部3に含まれる各元素の濃度分布が互いに異なる軟磁性金属粉末は、高い耐電圧を有し易い。
金属粒子2の少なくとも一部は、非晶質相であってよい。金属粒子2が非晶質相のみからなっていてよい。つまり、金属粒子2の全体が非晶質相であってもよい。非晶質相を含む軟磁性金属粒子1は、粗大な結晶相から構成される従来の軟磁性金属粒子よりも軟磁気特性に優れている。例えば、非晶質相を含む軟磁性金属粒子1は、従来の軟磁性金属粒子に比べて、高い飽和磁化と低い保磁力を有することができる。従来の軟磁性金属粒子に含まれる粗大な結晶相とは、例えば、粒径(grain size)又は結晶子径が30nmより大きい結晶である。金属粒子2に占める非晶質相の体積割合の増加に伴って、軟磁性金属粒子1の結晶磁気異方性が低減され、軟磁性金属粒子1から形成される磁心の磁気損失(ヒステリシス損失)が低減される。
金属粒子2の少なくとも一部は、結晶質相であってよい。金属粒子2の全体が結晶質相であってもよい。金属粒子2は、結晶質相及び非晶質相の両方を含んでよい。金属粒子2の少なくとも一部は、ナノ結晶相であってよい。ナノ結晶は、Fe単体の結晶、又はFeを含む合金の結晶であってよい。金属粒子2の全体がナノ結晶相であってもよい。ナノ結晶相を含む軟磁性金属粒子1は、ナノ結晶相を含まず非晶質相を含む軟磁性金属粒子よりも軟磁気特性に優れている。例えば、ナノ結晶相を含む軟磁性金属粒子1は、ナノ結晶相を含まず非晶質相を含む軟磁性金属粒子に比べて、高い飽和磁化と低い保磁力を有することができる。金属粒子2は、複数のナノ結晶相を含んでよい。金属粒子2は、複数のナノ結晶相のみからなっていてよい。金属粒子2が、一つのナノ結晶相のみからなっていてもよい。ナノ結晶相の結晶構造は、例えば、体心立方格子構造であってよい。ナノ結晶相の粒径(平均結晶子径)は、例えば、5nm以上30nm以下であってよい。
軟磁性金属粉末が優れた軟磁気特性を有し易いことから、金属粒子2は非晶質相及びナノ結晶相のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。同様の理由から、金属粒子2は、非晶質相及びナノ結晶相の両方を含んでよい。例えば、金属粒子2は、非晶質相と、非晶質相中に分散した複数のナノ結晶相と、からなるナノヘテロ構造を有してよい。金属粒子2がナノヘテロ構造を有する場合、軟磁性金属粉末の飽和磁化が増加し易く、軟磁性金属粉末の保磁力が低下し易い。ナノヘテロ構造に含まれるナノ結晶相の粒径(平均結晶子径)は、例えば、5nm以上30nm以下、又は0.3nm以上10nm以下であってよい。
金属粒子2は非晶質相及びナノ結晶相を含まなくてもよい。例えば、金属粒子2の一部又は全体が、一つ以上の粗大な結晶相であってよい。
金属粒子2は、Feに加えて、Nb(ニオブ)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)W(タングステン)、V(バナジウム)、B(ホウ素)、P(リン)、Si(ケイ素)、C(炭素)、S(硫黄)及びTi(チタン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)、Ag(銀)、Zn(亜鉛)、Sn(錫)、As(ヒ素)Sb(アンチモン)、Cu(銅)、Cr(クロム)、Bi(ビスマス)、N(窒素)、O(酸素)及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む合金であってよい。
金属粒子2は、下記化学式1で表される合金を含んでよい。金属粒子2は、下記化学式1で表される合金のみからなっていてよい。
(Fe(1-(α+β))X1αX2β(1-h)M’Si (1)
上記化学式1中のBは、ホウ素である。上記化学式1中のPは、リンである。上記化学式1中のSiは、ケイ素である。上記化学式1中のCは、炭素である。上記化学式1中のSは、硫黄である。上記化学式1中のhは、a+b+c+d+e+fに等しい。hは0より大きく1未満である。
上記化学式1中のM’は、Nb、Hf、Zr、Ta、Mo、W、Ti及びVからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。上記化学式1中の元素M’の一部又は全部は、酸化部3に含まれる元素Mの一部又は全部と共通してよい。つまり、金属粒子2に含まれる元素M’の一部又は全部は、酸化部3に含まれる元素Mの一部又は全部と共通してよい。
上記化学式1中のX1は、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。
上記化学式1中のX2は、Al、Mn、Ag、Zn、Sn、As、Sb、Cu、Cr、Bi、N、O及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。希土類元素は、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、及びLu(ルテチウム)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。上記化学式1中の元素X2の一部又は全部がCrであり、且つ酸化部3に含まれる元素Mの一部又は全部がCrであってよい。つまり、金属粒子2に含まれる元素X2の一部又は全部がCrであり、酸化部3に含まれる元素Mの一部又は全部がCrであってよい。
上記化学式1中のaは、
0.020≦a≦0.140、
0.040≦a≦0.100、又は、
0.050≦a≦0.080、
を満たしてよい。
aが小さ過ぎる場合、軟磁性金属粉末の製造過程において、粒径が30nmよりも大きい粗大な結晶が金属粒子2中に析出し易く、微細なナノ結晶相が金属粒子2中に析出し難い。その結果、軟磁性金属粉末の保磁力が増加し易い。aが大き過ぎる場合、軟磁性金属粉末の飽和磁化が低下し易い。
上記化学式1中のbは、
0≦b≦0.20、
0<b≦0.20、
0.020≦b≦0.20、
0.020<b≦0.20、
0.025≦b≦0.20、
0.060≦b≦0.15、又は、
0.080≦b≦0.12、
を満たしてよい。
bが小さ過ぎる場合、軟磁性金属粉末の製造過程において、粒径が30nmよりも大きい粗大な結晶が金属粒子2中に析出し易く、微細なナノ結晶相が金属粒子2中に析出し難い。その結果、軟磁性金属粉末の保磁力が増加し易い。bが大き過ぎる場合、軟磁性金属粉末の飽和磁化が低下し易い。
上記化学式1中のcは、
0≦c≦0.15、
0<c≦0.15、
0.005≦c≦0.100、又は、
0.010≦c≦0.100、
を満たしてよい。
cが0.005≦c≦0.100を満たす場合、軟磁性金属粉末の電気抵抗率が増加し易く、保磁力が低下し易い。cが小さ過ぎる場合、保磁力が増加し易い。cが大き過ぎる場合、軟磁性金属粉末の飽和磁化が低下し易い。
上記化学式1中のdは、
0≦d≦0.175、
0≦d≦0.155、
0≦d≦0.150、
0≦d≦0.135、
0≦d≦0.100、
0≦d≦0.090、
0≦d≦0.060、
0.001≦d≦0.040、又は、
0.005≦d≦0.040、
を満たしてよい。
dが上記の範囲内である場合、軟磁性金属粉末の保磁力が低下し易い。dが大き過ぎる場合、軟磁性金属粉末の保磁力が増加し易い。
上記化学式1中のeは、
0≦e≦0.150、
0≦e≦0.080、
0≦e≦0.040、
0≦e≦0.035、
0≦e≦0.030、又は、
0.001≦e≦0.030、
を満たしてよい。
eが上記の範囲内である場合、軟磁性金属粉末の保磁力が低下し易い。eが大き過ぎる場合、軟磁性金属粉末の保磁力が増加し易い。
上記化学式1中のfは、
0≦f≦0.030、
0≦f≦0.010、
0<f≦0.010、
0.001≦f≦0.010、又は、
0.002≦f≦0.010、
を満たしてよい。
fが上記の範囲内である場合、軟磁性金属粉末の保磁力が低下し易い。fが大き過ぎる場合、軟磁性金属粉末の保磁力が増加し易い。fが0より大きい場合(fが0.001以上である場合)、各軟磁性金属粒子の球形度が高く、軟磁性金属粉末の圧縮成形によって作製される磁心の密度(充填率)が増加し易く、磁心の比透磁率が増加し易い。
上記化学式1中の1-hは、
0.690≦1-h≦0.95、又は
0.690≦1-h≦0.900、
を満たしてよい。
1-hが0.690≦1-h≦0.95を満たす場合、軟磁性金属粉末の製造過程において、粒径が30nmよりも大きい粗大な結晶が金属粒子2中に析出し難い。
上記化学式1中のα及びhは、
0≦α(1-h)≦0.40、又は、
0.01≦α(1-h)≦0.40、
を満たしてよい。
上記化学式1中のβ及びhは、
0≦β(1-h)≦0.050、
0.001≦β(1-h)≦0.050、
0≦β(1-h)≦0.030、又は、
0.001≦β(1-h)≦0.030、
を満たしてよい。
上記化学式1中のα+βは、0≦α+β≦0.50を満たしてよい。α+βが大き過ぎる場合、微細なナノ結晶相が金属粒子2中に析出し難い。
被覆部4が軟磁性金属粒子1同士を電気的に絶縁する限り、被覆部4の組成は限定されない。例えば、被覆部4は、P(リン)、Si(ケイ素)、Bi(ビスマス)、Zn(亜鉛)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、C(炭素)、Ge(ゲルマニウム)、Pb(鉛)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、O(酸素)、S(硫黄)、Se(セレン)、Te(テルル)、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Cо(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Mo(モリブデン)及びW(タングステン)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含んでよい。被覆部4は、P、Si、Bi及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素Aを含む化合物を含むことが好ましい。P、Si、Bi及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素Aを含む化合物は、「化合物A」と表記される。化合物Aは、例えば、Pを含む化合物であってよい。化合物Aは、酸化物(好ましくは、酸化物ガラス)であってもよい。これらの化合物Aは、金属粒子2及び酸化部3に含まれる元素(特に、P又はSi)との結合し易い。特に、化合物Aは、金属粒子2の非晶質相中に偏析した元素(特に、P又はSi)との結合し易い。その結果、被覆部4が酸化部3に密着し易く、軟磁性金属粉末の耐電圧が増加し易い。
化合物Aは、被覆部4の主成分であってよい。換言すれば、被覆部4に含まれる全元素(酸素を除く。)の質量の合計が100質量部である場合、元素Aの質量の合計が50質量部以上100質量部以下、又は60質量部以上100質量部以下であってよい。被覆部4は、化合物Aのみからなっていてよい。
被覆部4が酸化物ガラスを含む場合、酸化物ガラスは、リン酸塩系ガラス(P系ガラス)、ビスマス酸塩系ガラス(Bi系ガラス)、ケイ酸塩系ガラス(SiO系ガラス)、及びホウケイ酸塩系ガラス(B‐SiO系ガラス)からなる群より選ばれる少なくとも一種のガラスであってよい。
系ガラスにおけるPの含有量は、50質量%以上100質量%以下であってよい。P系ガラスは、例えば、P‐ZnO‐RO‐Al系ガラスであってよい。R、はアルカリ金属である。
Bi系ガラスにおけるBiの含有量は、50質量%以上100質量%以下であってよい。Bi系ガラスは、例えば、Bi‐ZnO‐B‐SiO系ガラスであってよい。
‐SiO系ガラスにおけるBの含有量は、10質量%以上90質量%以下であってよく、B‐SiO系ガラスにおけるSiOの含有量は、10質量%以上90質量%以下であってよい。B‐SiO系ガラスは、例えば、BaO‐ZnO‐B‐SiO‐Al系ガラスであってよい。
軟磁性金属粉末のメジアン径(D50)は、例えば、0.3μm以上100μm以下でであってよい。D50は、個数基準の軟磁性金属粉末の粒度分布に基づいて特定されてよい。軟磁性金属粉末は、粒子径(particle size)又は粒度分布において異なる二種以上の金属粉末の混合物であってよい。軟磁性金属粉末の粒子径及び粒度分布は、篩分級又は気流分級等によって調整されてよい。軟磁性金属粉末の粒子径及び粒度分布は、例えばレーザー回折散乱法によって測定されてよい。軟磁性金属粉末の嵩密度及び比透磁率が増加し易いことから、各軟磁性金属粒子1の形状は略球であってよい。ただし、各軟磁性金属粒子1の形状は限定されない。酸化部3の厚みは、例えば、1.0nm以上20nm以下であってよい。被覆部4の厚みは、例えば、5nm以上200nm以下、5nm以上150nm以下、又は5nm以上50nm以下であってよい。
金属粒子2、酸化部3及び被覆部4其々の構造、寸法及び組成は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型X線分析(EDS)、電子エネルギー損失分光(EELS)、TEM画像の高速フーリエ変換(FFT)解析及び粉末X線回折(XRD)法等の方法によって分析されてよい。
(軟磁性金属粉末の製造方法)
本実施形態に係る軟磁性金属粉末は、ガスアトマイズ法によって製造することができる。ガスアトマイズ法の詳細は、以下の通りである。
ガスアトマイズ法は、金属原料を溶融して溶湯(molten metal)を形成し、高圧ガスを溶湯へ噴射して液滴を形成し、液滴を冷却水で急冷して金属微粒子(微粉末)を形成する。ガスアトマイズ法の後、微粉末の熱処理を更に実施することにより、軟磁性金属粉末(未被覆粒子)が形成される。
ガスアトマイズ法は、図3に示されるガスアトマイズ装置10を用いて実施されてよい。ガスアトマイズ装置10は、供給部20と、供給部20の下方に配置された冷却部30とを備える。図3に記載のZ軸方向は、鉛直方向である。
供給部20は、耐熱性を有する容器22と、容器22の周囲に配置されたコイル24(加熱装置)とを備える。軟磁性金属粉末の原料として、金属原料が容器22内に収容される。
金属原料は、S及び元素Mのうち少なくとも一種の元素と、Feと、を含む。金属原料は、合金であってもよい。金属原料の組成は、上記化学式1で表される組成であってよい。複数種の金属原料の混合物が用いられてよい。複数種の金属原料が用いられる場合、複数種の金属原料の全体の組成が上記化学式1に一致するように、各金属原料が秤量されてよい。金属原料は、不可避的不純物を含んでよい。全ての金属原料における不可避的不純物の含有量は、0質量%以上0.1質量%以下であってよい。金属原料の形態は、例えば、インゴット、チャンク(塊)、又はショット(粒子)であってよい。Sを含む酸化部3が形成される場合、酸化部3に含まれるSは、金属原料に含まれるSに由来してよい。元素Mを含む酸化部3が形成される場合、酸化部3に含まれる元素Mは、金属原料に含まれる元素M’及びCrのうち少なくとも一種の元素に由来してよい。つまり、金属原料は、上記化学式1中の元素M’又は元素X2として、Nb、Ta、W、Zr、Hf及びCrからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素Mを含んでよい。
容器22内の金属原料がコイル24によって加熱される。その結果、容器22内の金属原料が溶融して溶湯21になる。溶湯21の温度は、金属原料に含まれる金属の融点に応じて調整されてよい。溶湯21の温度は、例えば、1200℃以上1500℃以下であってよい。
溶湯21は、容器22の吐出口から、冷却部30に向けて滴下される。そして、高圧ガス26aが、ガスノズル26から溶湯21へ噴射される。その結果、溶湯21が多数の微細な液滴21aになる。液滴21aは、高圧ガス26aに沿って、冷却部30の筒体32の内部へ移動する。筒体32内の雰囲気は、例えば、真空であってよい。
溶湯21へ噴射される高圧ガスは、例えば、不活性ガス又は還元性ガスであってよい。不活性ガスは、例えば、N(窒素)、Ar(アルゴン)及びHe(ヘリウム)からなる群より選ばれる少なくとも一種のガスであってよい。還元性ガスは、例えば、アンモニア分解ガスであってよい。溶湯21が酸化され難い金属からなる場合、高圧ガスは、空気であってもよい。
冷却水を導入部36から筒体32の内部へ供給することに因り、水流50が筒体32の内部に形成されている。水流50の形状は、逆円錐である。液滴21aが逆円錐状の水流50に衝突することにより、液滴21aが更に微細な液滴に分解される。微細な液滴は水流50によって急冷され、固化される。
上記のような液滴の急冷により、多数の金属微粒子からなる微粉末が形成される。微粉末の組成は、原料金属全体の組成(例えば、上記化学式1)と略一致する。
上述の通り、逆円錐状の水流50を筒体32の内部に形成することにより、筒体32の内壁に沿って水流が形成される場合に比べて、空中での液滴21aの移動時間が短縮される。つまり、液滴21aが容器22から水流50へ到達するまでの所要時間が短縮される。空中での液滴21aの移動時間の短縮により、液滴21aの急冷が促進され、得られる金属微粒子内に非晶質相が形成され易い。また、空中での液滴21aの移動時間の短縮により、移動中の液滴21aの酸化が抑制される。その結果、液滴21aが水流50中において微細な液滴へ分解され易く、最終的に得られる軟磁性金属粉末の品質が向上する。
筒体32の中心軸線OとZ軸方向とがなす角度は、θ1と表される。θ1は、例えば、0°以上45°以下であってよい。θ1が0°以上45°以下であることにより、液滴21aが逆円錐状の水流50に接触し易い。
筒体32の下方には、排出部34が設けられている。微粉末を含む冷却水は、排出部34から筒体32の外部へ排出される。排出部34から排出された冷却水は、例えば、貯留槽内に収容されてよい。貯留槽内において、微粉末はその自重により貯留槽の底に沈降する。その結果、微粉末が冷却水から分離される。
ガスアトマイズ法において液滴21aを冷却水で急冷することにより、非晶質相が金属微粒子内に形成され易い。金属微粒子の非晶質性及び形状は、冷却部30(筒体32)へ供給される冷却水の温度、水流50の形状、冷却水の流速又は流量によって制御されてよい。
図4は、図3に示される冷却水の導入部36の拡大図である。逆円錐状の水流50を筒体32の内部に形成するために、冷却水の流れが導入部36の構造によって制御される。
図4に示されるように、枠体38で囲まれた空間は、仕切部40により、外側部44と内側部46に区画されている。外側部44(外側空間部)は、筒体32の外側に位置する。内側部46(内側空間部)は、筒体32の内側に位置する。外側部44と内側部46は、通路部42を介して連通している。単一または複数のノズル37が、外側部44と連通している。冷却水は、ノズル37から外側部44へ供給され、通路部42を介して外側部44から内側部46へ流れる。内側部46の下方には、吐出部52が形成されている。内側部46内の冷却水は、吐出部52から、筒体32の内部へ供給される。
枠体38の外周面は、内側部46内の冷却水の流れを案内する流路面38bである。枠体38の下端38aには、凸部38a1が形成されている。凸部38a1は、筒体32の内壁33に向かって突出している。内側部46を向く凸部38a1の表面は、偏向面62である。偏向面62は流路面38bと連続しており、流路面38bを経た冷却水の向きを変える。凸部38a1の先端と筒体32の内壁33との間には、リング状の隙間が形成されている。このリング状の隙間が、冷却水の吐出部52に相当する。
枠体38の凸部38a1が筒体32の内壁33に向かって突出しており、吐出部52の幅D1は、内側部46の幅D2よりも狭い。このような構造により、流路面38bを経た冷却水は、偏向面62によって方向づけられる。その結果、冷却水は、筒体32の内壁33に衝突して、筒体32の内側へ反射される。
冷却水が上記の流路を経ることにより、吐出部52から筒体32の内部へ供給される冷却水が、逆円錐状の水流50になる。D1がD2と等しい場合、吐出部52から筒体32の内部へ供給される冷却水は、筒体32の内壁33に対して平行に流れるので、逆円錐状の水流50は形成され難い。
逆円錐状の水流50が形成され易いことから、D1/D2は、1/10以上2/3以下、好ましくは1/10以上1/2以下であってよい。
吐出部52から筒体32の内部へ供給される冷却水は、筒体32の中心軸線Oに向かって直進してよい。逆円錐状の水流50は、直進せずに、中心軸線Oの周りを旋回する水流であってもよい。
ガスアトマイズ法では、高圧ガス26aの圧力、単位時間当たりの溶湯21の滴下量、及び水流50の圧力等により、微粉末の粒子径及び粒度分布が制御されてよい。微粉末の粒子径及び粒度分布は、軟磁性金属粉末(未被覆粒子)の粒子径及び粒度分布と略一致する。
ガスアトマイズ法の後、微粉末(金属微粒子)の熱処理が酸化的雰囲気中で実施される。各金属微粒子の表面近傍に位置するS又は元素Mは、他の元素に比べて優先的に酸化され易い傾向がある。したがって、微粉末を酸化的雰囲気中で加熱することにより、各金属微粒子の表面は、S及び元素Mのうち少なくとも一種の元素を含む酸化部3になる。一方、金属微粒子の内部は酸化されず、酸化部3で覆われた金属粒子2になる。つまり熱処理により、微粉末は本実施形態に係る軟磁性金属粉末(未被覆粒子)になる。酸化的雰囲気中の酸素の濃度は、好ましくは100体積ppm以上10000体積ppm以下、より好ましくは100体積ppm以上1000体積ppm以下であってよい。酸化的雰囲気中の酸素の濃度が上記範囲内である場合、未被覆粒子中のS又は元素Mの濃度が酸化部3において極大になり易く、軟磁性金属粉末が高い耐電圧と高い飽和磁化の両方を有し易い。酸化的雰囲気中の酸素の濃度が低過ぎる場合、未被覆粒子中のS又は元素Mの濃度が、酸化部3ではなく、金属粒子2内において極大になり易い。その結果、軟磁性金属粉末が高い耐電圧を有し難い。酸化的雰囲気中の酸素の濃度が高過ぎる場合、酸化部3が厚くなり過ぎて、軟磁性金属粉末の軟磁気特性が損なわれ易い。例えば、酸化的雰囲気中の酸素の濃度の増加に伴って、軟磁性金属粉末の飽和磁化が低下し易い。また、酸化的雰囲気中の酸素の濃度の増加に伴って、Δ[S]及びΔ[M]が増加し易い。
熱処理における微粉末の温度(熱処理温度)は、好ましくは350℃以上650℃以下、より好ましくは400℃以上650℃以下であってよい。熱処理温度を350℃以上に制御することにより、未被覆粒子中のS又は元素Mの濃度が酸化部3において極大になり易く、軟磁性金属粉末が高い耐電圧を有し易い。熱処理温度を400℃以上に制御することにより、金属微粒子(金属粒子2)中にナノ結晶相が析出し易く、軟磁性金属粉末が高い飽和磁化を有し易い。例えば、熱処理により、金属微粒子中の非晶質相の一部又は全部が、ナノ結晶相に変化してよい。熱処理により、複数のナノ結晶相が非晶質相中に析出して、ナノヘテロ構造が金属粒子2中に形成されてもよい。熱処理温度が高過ぎる場合、酸化部3が厚くなり過ぎて、軟磁性金属粉末の軟磁気特性が損なわれ易い。高圧ガス26aの温度、高圧ガス26aの圧力、及び水流50の圧力等の調整によって、熱処理におけるナノ結晶相の析出を促進してもよい。
微粉末の温度が上記熱処理温度に維持される時間(熱処理時間)は、例えば、0.1時間以上10時間以下であってよい。熱処理における微粉末の昇温速度は、熱処理に用いる炉に依って変更されてよく、限定されない。熱処理では微粉末を急速に昇温することが好ましい。例えば、赤外線イメージ炉が熱処理に用いられる場合、熱処理における微粉末の昇温速度は、1℃/分以上6000℃/分以下であってよい。熱処理における微粉末の昇温速度とは、微粉末の温度が室温から熱処理温度に達するまでの昇温速度である。
熱処理の後、各軟磁性金属粒子1(未被覆粒子)の酸化部3の表面を被覆部4で覆ってよい。被覆部4の形成方法は、例えば、粉末スパッタ法、ゾルゲル法、メカノケミカルコーティング(mechanochemical cоating)法、リン酸塩処理法、浸漬法、及び熱処理法からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法であってよい。例えば、被覆部4が、組成において互いに異なる複数の被覆層からなっている場合、複数の方法の組合せにより、被覆部4が形成されてよい。
メカノケミカルコーティング法では、未被覆粒子と被覆部の原料との混合物(粉末)が、粉末被覆装置の容器内に収容される。容器を回転させることにより、混合物が、容器内に設置されたグラインダーと容器の内壁との間で圧縮され、摩擦熱が混合物内に発生する。摩擦熱により、被覆部の原料が軟化する。そして、被覆部の原料が圧縮作用により被覆粒子の表面(酸化部3の表面)に固着することにより、被覆部4が形成される。容器の回転速度、グラインダーと容器の内壁との間の距離の調整により、摩擦熱を制御することができる。摩擦熱は、被覆部の原料の組成に応じて制御されてよい。
(電子部品)
本実施形態に係る電子部品は、上記の軟磁性金属粉末を含む。例えば、電子部品は、インダクタ、トランス、チョークコイル及びEMI(Electro Magnetic Interference)フィルタであってよい。これらの電子部品は、コイルと、コイルの内側に配置される磁心とを備えてよい。磁心は、上記の軟磁性金属粉末を含んでよい。例えば、磁心は、軟磁性金属粉末と、バインダと、を含んでよい。バインダは、軟磁性金属粉末に含まれる複数の軟磁性合金粒子同士を結着する。バインダは、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含んでよい。コイルの内側が軟磁性金属粉末及びバインダの混合物で満たされ、且つ、コイルの全体が軟磁性金属粉末及びバインダの混合物で覆われていてよい。電子部品は、磁気ヘッド又は電磁波シールドであってもよい。
本発明は必ずしも上述された実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の種々の変更が可能であり、これ等の変更例も本発明に含まれる。
例えば、ガスアトマイズ法に用いる金属原料がS及び元素Mを含まない場合であっても、上記された軟磁性金属粉末を製造することは可能である。金属原料がS及び元素Mを含まない場合、被覆部4の形成方法と同様の方法により、酸化部3が形成されてよい。例えば、S及び元素Mの少なくともいずれかを含む酸化物を、金属微粒子の表面に直接付着させてよい。S及び元素Mの少なくともいずれかを、金属微粒子の表面に直接付着させた後、上記の熱処理が実施されてもよい。ただし、S及び元素Mのうち少なくとも一種の元素を含む金属原料から製造された軟磁性金属粉末は、S及び元素Mを含まない金属原料から製造された軟磁性金属粉末に比べて、耐電圧及び軟磁気特性において優れている。
下記の実施例及び比較例により、本発明がさらに詳細に説明される。ただし、本発明は下記の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の方法で、試料1~140其々の軟磁性金属粉末が作製され、分析された。ただし、試料34、42及び45はない。
(金属原料の組成)
複数種の原料を所定の比率で混合することにより、試料1~140其々の軟磁性金属粉末の金属原料が調製された。試料1~140其々の金属原料全体の組成は、下記化学式1で表される。下記化学式1中のhは、a+b+c+d+e+fに等しい。
(Fe(1-(α+β))X1αX2β(1-h)M’Si (1)
試料1~70及び81~140其々の化学式1中の元素M’は、Nbのみである。試料71~80其々の化学式1中の元素M’及びaは、下記表9に示される。
試料1~80及び135~140其々の化学式1中のα及びβはいずれも、ゼロである。
試料81~86其々の化学式1中の元素X1及びαは、下記表10に示される。試料81~86其々の化学式1中のβは、ゼロである。
試料87~118其々の化学式1中のαは、ゼロである。試料87~118其々の化学式1中の元素X2及びβは、下記表10又は表11に示される。
試料119~134其々の化学式1中の元素X1、元素X2、α及びβは、下記表12に示される。
試料1~16其々の化学式1中のd及びeはいずれも、ゼロであった。
試料1~16其々の化学式1中の1-hは、0.795であった。
試料1~16其々の化学式1中のaは、0.060であった。
試料1~16其々の化学式1中のbは、0.090であった。
試料1~16其々の化学式1中のcは、0.050であった。
試料1~16其々の化学式1中のfは、0.005であった。
試料17~24其々の化学式1中のd、e及びfはいずれも、ゼロである。試料17~24其々の化学式1中の1-h、a、b及びcは、下記表2に示される。
試料25~30其々の化学式1中のd、e及びfはいずれも、ゼロである。試料25~30其々の化学式1中の1-h、a、b及びcは、下記表3に示される。
試料31~37、135及び136其々の化学式1中のd、e及びfはいずれも、ゼロである。試料31~37其々の化学式1中の1-h、a、b及びcは、下記表4又は表13に示される。試料135及び136其々の金属原料全体の組成は、同じであった。
試料38~47其々の化学式1中の1-h、a、b、c、d、e及びfは、下記表5に示される。
試料51~60其々の化学式1中のe及びfはいずれも、ゼロである。試料51~60其々の化学式1中の1-h、a、b、c及びdは、下記表6に示される。
試料61~66及び137~140其々の化学式1中のeは、ゼロである。試料61~66其々の化学式1中の1-h、a、b、c、d及びfは、下記表7に示される。
試料137~140其々の化学式1中の1-hは、0.7750であった。
試料137~140其々の化学式1中のaは、0.060であった。
試料137~140其々の化学式1中のbは、0.090であった。
試料137~140其々の化学式1中のcは、0.050であった。
試料137~140其々の化学式1中のdは、0.020であった。
試料137~140其々の化学式1中のfは、0.005であった。
試料67~69其々の化学式1中のd、e及びfはいずれも、ゼロである。試料67~69其々の化学式1中の1-h、a、b及びcは、下記表8に示される。
試料70~80其々の化学式1は、元素M’及びaを除いて試料12の化学式1と同じである。
試料81~134其々の化学式1は、元素X1、元素X2、α(1-h)及びβ(1-h)を除いて試料12の化学式1と同じである。
下記の表2~13に記載の全ての試料は、実施例に分類される。
(ガスアトマイズ法)
各試料の金属原料を用いたガスアトマイズ法によって、各試料の微粉末(金属微粒子)が作製された。ガスアトマイズ法では、上述された図3及び図4に示されるガスアトマイズ装置を用いた。ガスアトマイズ法の詳細は以下の通りであった。
金属原料が容器22内に収容された。コイル24を用いた高周波誘導により、容器22中の金属原料が加熱され、溶湯21が得られた。溶湯21の温度は、1500℃であった。
冷却部30の筒体32内の雰囲気を真空にした後、冷却水を導入部36から筒体32の内部へ供給することにより、水流50が筒体32の内部に形成された。水流50の形状は、逆円錐であった。水流50の圧力(ポンプ圧)は、7.5MPaであった。筒体32の内径は、300mmであった。図4中のD1及びD2の比(D1/D2)は、1/2であった。図4中の角度θ1は、20℃であった。
溶湯21が容器22の吐出口から、冷却部30に向けて滴下された。そして、高圧ガス26aが、ガスノズル26から溶湯21へ噴射された。高圧ガス26aは、アルゴンガスであった。高圧ガス26aの圧力は、5MPaであった。高圧ガス26aの噴射により、溶湯21が多数の微細な液滴21aになった。液滴21aは、高圧ガス26aに沿って、冷却部30の筒体32の内部へ移動した。液滴21aが筒体32内の逆円錐状の水流50に衝突することにより、液滴21aが更に微細な液滴に分解された。微細な液滴が水流50によって急冷され、固化されることにより、微粉末(金属微粒子)が得られた。微粉末を含む水流50(冷却水)は、排出部34から筒体32の外部へ排出され、微粉末が冷却水から回収された。
ガスアトマイズ法の後、各試料の微粉末の熱処理が酸化的雰囲気中で実施された。酸化的雰囲気は、酸素及び窒素の混合ガスであった。酸化的雰囲気中の酸素の濃度は、下記表の<O>の欄内に示される。熱処理における微粉末の温度(熱処理温度)は、下記表のTempの欄内に示される。微粉末の温度が熱処理温度に維持された時間(熱処理時間)は、下記表のTimeの欄内に示される。熱処理における微粉末の昇温速度は、下記表のVtの欄内に示される。
以上のガスアトマイズ法及び熱処理により、各試料の軟磁性金属粉末(未被覆粒子)が作製された。
(軟磁性金属粉末の分析)
以下の方法により、試料1~140其々の軟磁性金属粉末(未被覆粒子)が分析された。
軟磁性金属粉末及び熱硬化性樹脂の混合物を成型し、且つ熱硬化性樹脂を硬化することにより、成型体を得た。成型体をイオンミリングで加工して、薄膜(測定用試料)を得た。薄膜に含まれる20個の軟磁性金属粒子の断面を、STEMで観察した。観察された各軟磁性金属粒子の断面において、軟磁性金属粒子中の各元素の濃度分布が測定された。各元素の濃度分布は、各軟磁性金属粒子の最表面に垂直な方向に沿って測定された。つまり、図1に示されるように、深さ方向dに延び、軟磁性金属粒子1を横断する線分に沿って、各元素の濃度分布が測定された。測定点の間隔は約0.5nmであった。各元素の濃度分布の測定には、EDSが用いられた。各元素の濃度の単位は、原子%である。
分析の結果、試料1~140其々の軟磁性金属粒子(未被覆粒子)は、金属粒子と、金属粒子の全体を覆う酸化部と、からなっていた。試料1~140のいずれも場合も、金属粒子の組成は、金属原料全体の組成(上記化学式1)に略一致した。
試料137及び138其々の酸化部は、Fe、Si、B、Nb及びOから構成されていた。試料139及び140其々の酸化部は、Fe、Si、B、Nb、S及びOから構成されていた。
試料1~16、44~47、70~134、139及び140の場合、各軟磁性金属粒子におけるSの濃度分布は不均一であった。試料3~16、44~47、70~134、139及び140の各軟磁性金属粒子の酸化部はいずれも、Sを含んでいた。20個の軟磁性金属粒子其々の酸化部内においてSの濃度が極大且つ最大であった場合、下記表の「[S]の最大箇所」の欄内に「酸化部」と記載される。20個の軟磁性金属粒子其々の金属粒子内においてSの濃度が極大且つ最大であった試料の場合、下記表の「[S]の最大箇所」の欄内に「金属粒子」と記載される。[S]の最大箇所が酸化部である試料の場合、[S]m-[S]aが算出された。各試料の[S]m-[S]aは、下記表のΔ[S]の欄内に記載される。試料3~16其々の[S]m及び[S]aは、下記表1に示される。試料139及び140其々の[S]m及び[S]aは、下記表14に示される。[S]m及び[S]a其々の定義、測定方法及び算出方法は、上述の実施形態と同様である。
試料1~16、44~47、70~134、139及び140を除く他の全ての試料において、Sは検出されなかった。
なお、全実施例の[S]aは、0原子%以上3.5原子%以下である範囲内にあり、全実施例の[S]mは、0原子%以上7.0原子%以下である範囲内にあった。
試料1~140の場合、軟磁性金属粒子における元素M’の濃度分布は不均一であった。試料6~140其々の酸化部はいずれも、元素M’を含んでいた。試料103~106、123及び131其々の酸化部はいずれも、元素M’だけでなく元素X2(つまりCr)を含んでいた。
試料1~5、137及び138の場合、20個の軟磁性金属粒子其々の金属粒子内において、元素M’の濃度が極大且つ最大であった。
試料6~102、107~122、124~130、132~136、139及び140の場合、20個の軟磁性金属粒子其々の酸化部内において、元素M’の濃度が極大且つ最大であった。
試料1~102、107~122、124~130、132~136、139及び140の場合、以下に記載の元素Mとは、元素M’と同じである。
試料103~106、123及び131の場合、20個の軟磁性金属粒子其々の酸化部内において、元素M’及びCrの濃度の合計が極大且つ最大であった。
試料103~106、123及び131の場合、以下に記載の元素Mとは、元素M’及びCrの全てを意味する。
試料6~136、139及び140其々の[M]m-[M]aが算出された。各試料の[M]m-[M]aは、下記表のΔ[M]の欄内に記載される。試料6~16其々の[M]m及び[M]aは、下記表1に示される。試料139及び140其々の[M]m及び[M]aは、下記表14に示される。[M]m及び[M]a其々の定義、測定方法及び算出方法は、上述の実施形態と同様である。
なお、全実施例の[M]aは、0原子%以上15.0原子%以下である範囲内にあり、全実施例の[M]mは、0原子%以上17.0原子%以下である範囲内にあった。
各元素の濃度分布の一例として、試料63の軟磁性金属粒子内の各元素の濃度分布が、図5に示される。図5に示されるように、Nb、S、Si及びO其々の濃度のピーク(極大値)があった。Nb、S、Si及びO其々のピークは、軟磁性金属粒子の最表面からの深さが約20nm以内である領域(酸化部)で測定された。特に、Nb及びS其々のピークは、酸化部の内側領域において測定された。酸化部の内側領域の定義は、上述の実施形態と同様である。
粉末X線回折装置を用いて、試料1~140其々のX線回折パターンが測定された。試料1~140其々のX線回折パターンと、STEMによる各軟磁性金属粒子の観察に基づき、試料1~140其々の軟磁性金属粉末の結晶構造が分析された。その結果は、下記表の「ナノ結晶」の欄に示される。ナノスケールの結晶が軟磁性金属粒子内で見つからず、且つ体心立方格子構造に由来する回折X線が検出されなった場合、「ナノ結晶」の欄内に「無」と記載される。換言すれば、軟磁性金属粒子中の金属粒子が非晶質相からなる場合、「ナノ結晶」の欄内に「無」と記載される。平均粒径が5~30nmである複数のナノ結晶が軟磁性金属粒子に含まれ、且つ体心立方格子構造に由来する回折X線が検出された場合、「ナノ結晶」の欄内に「有」と記載される。換言すれば、軟磁性金属粒子中の金属粒子がナノ結晶相を含む場合、「ナノ結晶」の欄内に「有」と記載される。
(磁気特性の測定)
以下の方法により、試料1~140其々の軟磁性金属粉末(未被覆粒子)の飽和磁化が測定された。
20gの軟磁性金属粉末(未被覆粒子)とパラフィンが、筒状のプラスチックケース内に収容された。プラスチックケースの内径φは6mmであり、プラスチックケースの長さは5mmであった。プラスチックケース内のパラフィンを加熱により溶融させた後、パラフィンを凝固させることにより、測定用サンプルが得られた。この測定用サンプルの飽和磁化が測定された。飽和磁化の測定には、株式会社玉川製作所製のVSM(振動試料型磁力計)が用いられた。試料1~140其々の単位質量当たりの飽和磁化σs(単位:A・m/kg)は、下記表に示される。飽和磁化σsは高いことが好ましい。
(未被覆粒子の耐電圧の測定)
以下の方法により、試料1~16及び137~140其々の軟磁性金属粉末(未被覆粒子)の耐電圧が測定された。
エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)、イミド樹脂(硬化剤)及びアセトンを混合することにより、溶液が調製された。溶液を軟磁性金属粉末(未被覆粒子)と混合した後、アセトンを揮発させることにより、顆粒が得られた。エポキシ樹脂及びイミド樹脂の質量の合計は、100質量の軟磁性金属粉末に対して3質量部であった。メッシュを用いて、顆粒の整粒が行われた。メッシュの目開きは、355μmであった。トロイダル形状の金型を用いた顆粒の成型により、成型体が得られた。金型の内径は6.5mmであり、金型の外径は11mmであった。成形圧力は、3.0t/cmであった。成型体を180℃で1時間加熱してエポキシ樹脂を硬化した。以上の方法により、圧粉磁心が得られた。
ソースメーターを用いて、電圧が圧粉磁心へ印加された。電圧を連続的に増加させながら、圧粉磁心における電流が連続的に測定された。圧粉磁心の耐電圧は、圧粉磁心における電流が1mAに達した時点の電圧と定義される。試料1~16其々の軟磁性金属粉末(未被覆粒子)の耐電圧V1(単位:V/mm)は、下記表1に示される。試料137~140其々の軟磁性金属粉末(未被覆粒子)の耐電圧V1は、下記表14に示される。V1は高いことが好ましい。
(被覆部の形成)
メカノケミカルコーティング法により、試料1~140其々の未被覆粒子(軟磁性金属粉末)の表面全体に被覆部が形成された。被覆部の原料としては、粉末ガラスが用いられた。つまり、試料1~140其々の未被覆粒子の酸化部全体が、ガラスからなる被覆部で覆われた。粉末ガラスの質量は、100質量部の未被覆粒子(軟磁性金属粉末)に対して0.5質量部であった。被覆部の厚みは、約50nmであった。
試料1~134及び137~140其々の被覆部の形成に使用された粉末ガラスは、リン酸塩系ガラスであった。リン酸塩系ガラスの主成分は、P‐ZnO‐RO‐Alと表される。Rは、アルカリ金属である。リン酸塩系ガラスにおけるPの含有量は、50質量%であった。リン酸塩系ガラスにおけるZnOの含有量は、12質量%であった。リン酸塩系ガラスにおけるROの含有量は、20質量%であった。リン酸塩系ガラスにおけるAlの含有量は、6質量%であった。これらの4つの成分に加えて、12質量%の副成分がリン酸塩系ガラスに含まれていた。
試料135の被覆部の形成に使用された粉末ガラスは、ビスマス酸塩系ガラスであった。ビスマス酸塩系ガラスの主成分は、Bi‐ZnO‐B‐SiOと表される。ビスマス酸塩系ガラスにおけるBiの含有量は、80質量%であった。ビスマス酸塩系ガラスにおけるZnOの含有量は、10質量%であった。ビスマス酸塩系ガラスにおけるBの含有量は、5質量%であった。ビスマス酸塩系ガラスにおけるSiOの含有量は、5質量%であった。
試料136の被覆部の形成に使用された粉末ガラスは、ホウケイ酸塩系ガラスであった。ホウケイ酸塩系ガラスの主成分は、BaO‐ZnO‐B‐SiO-Alと表される。ホウケイ酸塩系ガラスにおけるBaOの含有量は、8質量%であった。ホウケイ酸塩系ガラスにおけるZnOの含有量は、23質量%であった。ホウケイ酸塩系ガラスにおけるBの含有量は、19質量%であった。ホウケイ酸塩系ガラスにおけるSiOの含有量は、16質量%であった。ホウケイ酸塩系ガラスにおけるAlは、6質量%であった。ホウケイ酸塩系ガラスは、上記主成分以外の残部として、更に副成分を含んでいた。
後述の通り、試料135及び136其々の被覆粒子は、被覆部としてリン酸塩系ガラスを備える被覆粒子(実施例)と同様に、高いV2を有していた。
(被覆粒子の耐電圧の測定)
被覆部の形成後、試料1~140其々の軟磁性金属粉末(被覆粒子)の耐電圧V2が測定された。被覆粒子の耐電圧V2の測定方法は、未被覆粒子の耐電圧V1の測定方法と同じであった。試料1~140其々の軟磁性金属粉末(被覆粒子)の耐電圧V2(単位:V/mm)は、下記表に示される。V2は高いことが好ましい。
Figure 0007456279000001
Figure 0007456279000002
Figure 0007456279000003
Figure 0007456279000004
Figure 0007456279000005
Figure 0007456279000006
Figure 0007456279000007
Figure 0007456279000008
Figure 0007456279000009
Figure 0007456279000010
Figure 0007456279000011
Figure 0007456279000012
Figure 0007456279000013
Figure 0007456279000014
本発明に係る軟磁性金属粉末は、例えば、インダクタの磁心用の材料に適している。
1…軟磁性金属粒子、2…金属粒子、3…酸化部、4…被覆部。

Claims (12)

  1. 複数の軟磁性金属粒子を含む軟磁性金属粉末であって、
    前記軟磁性金属粒子が、金属粒子と、前記金属粒子を覆う酸化部と、を含み、
    前記金属粒子が、少なくともFeを含み、
    前記酸化部が、元Mを含み、
    前記元素Mが、Nb、Ta、W、Zr、Hf及びCrからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であり、
    前記金属粒子及び前記酸化部における前記元素Mの濃度の単位が、原子%であり、
    前記金属粒子及び前記酸化部における前記元素Mの濃度が、前記酸化部において極大値を有し、
    前記金属粒子における前記元素Mの濃度の平均値が、[M]aと表され、
    前記酸化部における前記元素Mの濃度の極大値の平均値が、[M]mと表され、
    [M]m-[M]aが、0.4原子%以上3.1原子%以下である、
    軟磁性金属粉末。
  2. [M]aが、0原子%以上15.0原子%以下であり、
    [M]mが、0.4原子%以上17.0原子%以下である、
    請求項に記載の軟磁性金属粉末。
  3. 複数の軟磁性金属粒子を含む軟磁性金属粉末であって、
    前記軟磁性金属粒子が、金属粒子と、前記金属粒子を覆う酸化部と、を含み、
    前記金属粒子が、少なくともFeを含み、
    前記酸化部が、Sを含み
    記金属粒子及び前記酸化部におけるSの濃度の単位が、原子%であり、
    前記金属粒子及び前記酸化部におけるSの濃度が、前記酸化部において極大値を有し、
    前記金属粒子におけるSの濃度の平均値が、[S]aと表され、
    前記酸化部におけるSの濃度の極大値の平均値が、[S]mと表され、
    [S]m-[S]aが、0.2原子%以上3.6原子%以下である、
    軟磁性金属粉末。
  4. 前記酸化部が、Sを含み
    記金属粒子及び前記酸化部におけるSの濃度の単位が、原子%であり、
    前記金属粒子及び前記酸化部におけるSの濃度が、前記酸化部において極大値を有し、
    前記金属粒子におけるSの濃度の平均値が、[S]aと表され、
    前記酸化部におけるSの濃度の極大値の平均値が、[S]mと表され、
    [S]m-[S]aが、0.2原子%以上3.6原子%以下である、
    請求項1又は2に記載の軟磁性金属粉末。
  5. [S]aが、0原子%以上3.5原子%以下であり、
    [S]mが、0.2原子%以上7.0原子%以下である、
    請求項3又は4に記載の軟磁性金属粉末。
  6. 前記酸化部の厚みが、1.0nm以上20nm以下である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の軟磁性金属粉末。
  7. 前記金属粒子の少なくとも一部が、非晶質相である、
    請求項1~のいずれか一項に記載の軟磁性金属粉末。
  8. 前記金属粒子の少なくとも一部が、ナノ結晶相である、
    請求項1~のいずれか一項に記載の軟磁性金属粉末。
  9. 前記軟磁性金属粒子が、前記酸化部を覆う被覆部を更に含む、
    請求項1~のいずれか一項に記載の軟磁性金属粉末。
  10. 前記被覆部が、ガラスを含む、
    請求項に記載の軟磁性金属粉末。
  11. 前記金属粒子及び前記酸化部の両方が、S及び元素Mのうち少なくとも一種の元素を含み、
    前記元素Mが、Nb、Ta、W、Zr、Hf及びCrからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である、
    請求項1~10のいずれか一項に記載の軟磁性金属粉末。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の軟磁性金属粉末を含む電子部品。
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