JP2021054732A - 製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】トラネキサム酸とイブプロフェンとを含有する製剤は、不安定であり、製剤の体積が膨脹するという課題を有している。【解決手段】本発明に係る製剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤であって、カルボシステインを含有する製剤である。又、前記製剤中の前記イブプロフェンと前記トラネキサム酸と前記カルボシステインとの混合比率は、重量比で0.5〜1.5:0.2〜1.5:1.0である。これにより、製剤の膨脹を抑制することが可能となる。【選択図】図8

Description

本発明は、製剤に関する。
イブプロフェン(又はその塩)とトラネキサム酸(又はその塩)とは、ともに消炎・解熱鎮痛薬の薬効成分として知られており、イブプロフェンとトラネキサム酸とを組み合わせた解熱鎮痛薬や感冒薬等の製剤は既に製造されている。
しかしながら、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤は、瓶詰めして保存すると、時間の経過とともに、製剤の体積が膨脹するという課題がある。このような課題に対して、例えば、特開2007−284423号公報(特許文献1)には、トラネキサム酸(又はその塩)、及びイブプロフェンを含有する製剤であって、トラネキサム酸(又はその塩)、及びイブプロフェンが、実質的に互いに接触しないように配合した製剤が開示されている。具体的には、トラネキサム酸又はイブプロフェンのいずれか一方を溶融造粒し、両方を一緒に溶融造粒せずに製剤を製造する。これにより、トラネキサム酸及びイブプロフェンを含有する製剤の体積膨張を防止し、安定した製剤を製造することが出来るとしている。
又、特開2008−239554号公報(特許文献2)には、イブプロフェン及びトラネキサム酸を含有する固形製剤であって、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有することを特徴とする固形製剤が開示されている。又、特開2008−266270号公報(特許文献3)には、前記固形製剤であって、糖アルコールを含有することを特徴とする固形製剤が開示されている。更に、特開2009−51795号公報(特許文献4)には、前記固形製剤であって、シクロデキストリン及びその誘導体からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする固形製剤が開示されている。そして、特開2009−179613号公報(特許文献5)には、前記固形製剤であって、フマル酸若しくはそのエステル又はそれらの塩を含有する固形製剤が開示されている。又、特開2010−30903号公報(特許文献6)には、前記固形製剤であって、ケイ酸カルシウムを含有することを特徴とする固形製剤が開示されている。これにより、高温保存条件下においてもイブプロフェン及びトラネキサム酸を含む固形製剤の膨張が抑制された安定な固形製剤を得ることが出来るとしている。
又、特開2007−91633号公報(特許文献7)には、(i)メキタジン及び/又はその塩、(ii)イブプロフェン及び/又はその塩、及び(iii)トラネキサム酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、医薬組成物が開示されている。これにより、色調変化と共に、湿潤化が抑制され、優れた安定性を備えている医薬組成物を提供することが出来るとしている。
特開2007−284423号公報 特開2008−239554号公報 特開2008−266270号公報 特開2009−51795号公報 特開2009−179613号公報 特開2010−30903号公報 特開2007−91633号公報
上述のように、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤は、不安定であり、製剤の体積が膨脹するという課題を有している。
ここで、特許文献1に記載の技術では、イブプロフェンとトラネキサム酸とのいずれかを溶融造粒する必要があるという課題がある。又、特許文献2−6に記載の技術では、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する固定製剤に余分な成分を追加する必要があるという課題がある。特許文献7に記載の技術では、フェノチアジン系の抗ヒスタミン薬のメキタジンを追加する必要があるという課題がある。
従って、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤の安定性を高める簡単な処方が求められていた。
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、製剤の膨脹を抑制することが可能な製剤を提供することを目的とする。
本発明に係る製剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤であって、カルボシステインを含有する製剤である。
本発明によれば、製剤の膨脹を抑制することが可能となる。
実施例1と比較例1との製剤の処方を示す表である。 実施例2と比較例2との製剤の処方を示す表である。 実施例3と比較例3との製剤の処方を示す表である。 実施例4と比較例4との製剤の処方を示す表である。 実施例5と比較例5との製剤の処方を示す表である。 実施例6と比較例6との製剤の処方を示す表である。 実施例7と比較例7との製剤の処方を示す表である。 実施例1−3、比較例1−3の粉末の評価結果を示すグラフである。 実施例4−7、比較例4−7の錠剤の評価結果を示すグラフである。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明に係る製剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤であって、カルボシステインを含有する製剤である。イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤を定法に従って製造すると、イブプロフィンとトラネキサム酸の組み合わせにより、薬効増強や副作用低減といった付加的な効果を期待することが出来るものの、製剤の体積が膨脹するという課題があった。製剤の膨張により、製剤が錠剤の場合、錠剤のひび割れ等が生じ、製剤が粉末の場合、粉末を収納する袋の破損等が生じる。
そこで、本発明者は、イブプロフィンとトラネキサム酸とを含有する製剤の膨張を抑える処方を探し求めていたところ、意外にも、カルボシステインを含有することで、製剤の膨脹を抑制することを見出したため、後述する実施例に基づいて、本発明を完成させたのである。
ここで、イブプロフェンは、プロピオン酸系に分類される非ステロイド系消炎鎮痛剤であり、イブプロフェンそのもののほか、その製薬上許容される塩(ナトリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;アルギニン塩、リジン塩等の有機酸塩等)を挙げることが可能であり、これらは市販のものを使用することが出来る。
又、製剤中に含まれるイブプロフェンの割合は、特に限定されるものではないが、製剤全体に対して5重量%〜30重量%であると好ましく、10重量%〜20重量%であると更に好ましい。尚、イブプロフェンはその塩を含むことから、イブプロフェンがその塩の場合は、イブプロフェンの割合は、フリー体換算の割合となる。以下、同様である。
又、製剤中に含まれるイブプロフェンの含有量は、特に限定されるものではないが、製剤が錠剤の場合は、イブプロフェンの含有量は、1製剤に対して20mg〜100mgであると好ましく、40mg〜80mgであると更に好ましい。製剤が粉末の場合、イブプロフェンの含有量は、1粉末に対して300mg〜600mgであると好ましい。尚、イブプロフィンが経口投与の場合、イブプロフィンの1日投与量は、300mg〜600mgであると好ましい。
又、トラネキサム酸は、止血剤・抗炎症剤の1種であり、トラネキサム酸そのもののほか、その製薬上許容される塩(カリウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;硫酸塩等の鉱酸塩等)を挙げることが可能であり、これらは市販のものを使用することが出来る。
又、製剤中に含まれるトラネキサム酸の割合は、特に限定されるものではないが、製剤全体に対して3重量%〜40重量%であると好ましく、5重量%〜30重量%であると更に好ましい。尚、トラネキサム酸はその塩を含むことから、トラネキサム酸がその塩の場合は、トラネキサム酸の割合は、フリー体換算の割合となる。以下、同様である。
又、製剤中に含まれるトラネキサム酸の含有量は、特に限定されるものではないが、製剤が錠剤の場合は、トラネキサム酸の含有量は、1製剤に対して20mg〜120mgであると好ましく、30mg〜100mgであると更に好ましい。製剤が粉末の場合、トラネキサム酸の含有量は、1粉末に対して280mg〜750mgであると好ましい。尚、トラネキサム酸が経口投与の場合、トラネキサム酸の1日投与量は、280mg〜750mgであると好ましい。
又、カルボシステインは、去痰薬の1種であり、カルボシステインそのもののほか、日本薬局方に記載のL−カルボシステインやその製薬上許容される塩を挙げることが可能であり、これらは市販のものを使用することが出来る。
又、製剤中に含まれるカルボシステインの割合は、特に限定されるものではないが、製剤全体に対して5重量%〜40重量%であると好ましく、10重量%〜30重量%であると更に好ましい。尚、カルボシステインはその塩を含むことから、カルボシステインがその塩の場合は、カルボシステインの割合は、フリー体換算の割合となる。以下、同様である。
又、製剤中に含まれるカルボシステインの含有量は、特に限定されるものではないが、製剤が錠剤の場合は、カルボシステインの含有量は、1製剤に対して40mg〜120mgであると好ましく、60mg〜100mgであると更に好ましい。製剤が粉末の場合、カルボシステインの含有量は、1粉末に対して400mg〜750mgであると好ましい。尚、カルボシステインが経口投与の場合、カルボシステインの1日投与量は、400mg〜750mgであると好ましい。
又、製剤中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、特に限定されるものではないが、製剤の膨脹率の抑制の観点から、重量比で0.5〜1.5:0.2〜1.5:1.0であると好ましく、重量比で0.6〜0.8:0.3〜1.0:1.0であると更に好ましい。尚、イブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとのいずれか又はいずれもがその塩の場合は、上述の混合比率は、フリー体換算の割合となる。以下、同様である。
又、本発明に係る製剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステイン以外の薬物、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、生薬類、漢方処方、カフェイン類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいても良い。
解熱鎮痛剤は、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、サリチル酸ナトリウム等を挙げることが出来る。
抗ヒスタミン剤は、例えば、アゼラスチン塩酸塩、イソチペンジル塩酸塩、クレマスチンフマル酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェテロール塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、メトジラジン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、アリメマジン酒石酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸、メキタジン、ジフェテロールリン酸塩等を挙げることが出来る。
鎮咳剤は、例えば、アロクラミド塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、チペピジンクエン酸塩、ジブナートナトリウム、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファン・フェノールフタリン塩、チペピジンヒベンズ酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩等を挙げることが出来る。
ノスカピン類は、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等を挙げることが出来る。気管支拡張剤は、例えば、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリンサッカリン塩等を挙げることが出来る。去痰剤は、例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、カルボシステイン等を挙げることが出来る。催眠鎮静剤は、例えば、ブロムワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素等を挙げることが出来る。ビタミン類は、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等を挙げることが出来る。抗炎症剤は、例えば、塩化リゾチーム、セラプターゼ、グリチルリチン酸及びその類縁物質等を挙げることが出来る。
胃粘膜保護剤は、例えば、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を挙げることが出来る。
生薬類は、例えば、オキソアミヂン(ニンニク加工物)、マオウ(麻黄)、ナンテンジツ(南天実)、オウヒ(桜皮)、オンジ(遠志)、カンゾウ(甘草)、キキョウ(桔梗根)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、セキサン(石蒜)、セネガ、バイモ(貝母)、ウイキョウ(茴香)、オウバク(黄柏)、オウレン(黄連)、ガジュツ、カミツレ、ケイヒ(桂皮)、ゲンチアナ、ゴオウ(牛黄)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、シャジン(沙参)、ショウキョウ(生姜)、ソウジュツ(蒼朮)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、ビャクジュツ(白朮)、ジリュウ(地竜)、チクセツニンジン(竹節人参)、ニンジン(人参)等を挙げることが出来る。
漢方処方は、例えば、葛根湯、桂枝湯、香蘇散、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯等を挙げることが出来る。カフェイン類は、例えば、無水カフェインや、カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等を挙げることが出来る。
又、本発明に係る製剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステイン以外に、他の添加物(賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)を含んでいても良い。
賦形剤は、例えば、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール等を挙げることが出来る。結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。滑沢剤は、例えば、タルク、ステアリン酸、シリカ、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、ワックス(カルナウバロウ、木蝋(ハゼ蝋、ウルシ蝋)、カスターワックスなどの植物由来ワックス、ミツロウ、サラシミツロウ、鯨ロウ、精製ラノリンなどの動物由来ワックス、パラフィン、マイクロクリスタリンワックスなどの石油由来ワックス、モンタンワックス、精製モンタンワックスなどの鉱物由来ワックス等の天然ワックスや合成ワックス等)、水素化植物油類、マクロゴール類、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油等を挙げることが出来る。
本発明に係る製剤は、常法に従って製造することが出来る。本発明に係る製剤は、粉末の場合、所望の薬物の粉末及び所望の添加物の粉末を混合することで、本発明に係る粉末を製造することが出来る。本発明に係る粉末は、常法に従って、所定の袋に封入される。又、本発明に係る製剤は、錠剤の場合、錠剤の製造に、所望の薬物及び所望の添加物を用いて、常法に従って、混合又は造粒し、打錠することで、本発明に係る錠剤を製造することが出来る。混合又は造粒の形態は、特に限定されるものではないが、例えば、イブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとを一度に混合(配合)して打錠する方法(直打法)、イブプロフェンを造粒した第一の粒体をトラネキサム酸とカルボシステインとに混合して打錠する方法、イブプロフェンを造粒した第一の粒体と、トラネキサム酸とカルボシステインとを混合して造粒した第二の粒体とを混合して打錠する方法、イブプロフェンとカルボシステインとカルボシステインとを造粒した第三の粒体と、他の添加物とを混合して打錠する方法、イブプロフェンとカルボシステインとを造粒した第四の粒体と、トラネキサム酸を造粒した第五の粒体とを混合して打錠する方法、イブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとを分けて造粒して混合し打錠する方法等を挙げることが出来る。尚、本発明に係る錠剤の製造方法において、造粒工程を入れることで、L−カルボシステインを含有した錠剤の膨張を更に抑制することが可能である。
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例1>
イブプロフェン(粉末)(商品名「IBUPROFEN JP」、STRIDES SHASON社製)600mgと、トラネキサム酸(粉末)(商品名「トラネキサム酸」、協和ファーマケミカル株式会社製)750mgと、L−カルボシステイン(粉末)(商品名「L−Carbocysteine」、Ilshin chemical社製)750mgと、乳糖水和物(粉末)(商品名「Pharmatose」、DFE Pharma社製)1088mgと、結晶セルロース(粉末)(商品名「COMPRECEL」、株式会社伏見製作所製)360mgと、軽質無水ケイ酸(粉末)(商品名「Adsolider」、富士シリシア化学株式会社製)26mgと、ステアリン酸マグネシウム(粉末)(商品名「日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム」、太平化学産業株式会社製)26mgとを手混合し、これにより得られた粉末を実施例1とした。
ここで、実施例1において、イブプロフィンの割合は、粉末全体に対して16.7重量%であり、トラネキサム酸の割合は、粉末全体に対して20.8重量%であり、L−カルボシステインの割合は、粉末全体に対して20.8重量%である。粉末中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、重量比で0.8:1.0:1.0である。
<比較例1>
実施例1において、L−カルボシステインの750mgを乳糖水和物の750mgに代えて、乳糖水和物を1838mgとしたこと以外は、実施例1と同様にして粉末を製造し、これにより得られた粉末を比較例1とした。
<実施例2>
実施例1において、イブプロフェンを450mgとし、トラネキサム酸を280mgとし、乳糖水和物を1708mgとしたこと以外は、実施例1と同様にして粉末を製造し、これにより得られた粉末を実施例2とした。
ここで、実施例2において、イブプロフィンの割合は、粉末全体に対して12.5重量%であり、トラネキサム酸の割合は、粉末全体に対して7.8重量%であり、L−カルボシステインの割合は、錠剤全体に対して20.8重量%である。粉末中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、重量比で0.6:0.4:1.0である。
<比較例2>
実施例2において、L−カルボシステインの750mgを乳糖水和物の750mgに代えて、乳糖水和物を2458mgとしたこと以外は、実施例2と同様にして粉末を製造し、これにより得られた粉末を比較例2とした。
<実施例3>
実施例1において、トラネキサム酸を450mgとし、乳糖水和物を1388mgとしたこと以外は、実施例1と同様にして粉末を製造し、これにより得られた粉末を実施例3とした。
ここで、実施例3において、イブプロフィンの割合は、粉末全体に対して16.7重量%であり、トラネキサム酸の割合は、粉末全体に対して12.5重量%であり、L−カルボシステインの割合は、錠剤全体に対して20.8重量%である。粉末中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、重量比で0.8:0.6:1.0である。
<比較例3>
実施例3において、L−カルボシステインの750mgを乳糖水和物の750mgに代えて、乳糖水和物を2138mgとしたこと以外は、実施例3と同様にして粉末を製造し、これにより得られた粉末を比較例3とした。
<実施例4>
実施例1において、イブプロフェンと、トラネキサム酸と、L−カルボシステインと、乳糖水和物と、結晶セルロースと、軽質無水ケイ酸と、ステアリン酸マグネシウムとを、実施例1と同様の量で手混合し、直径9.0mmの杵を取り付けた打錠機(製品名「コレクト836 KAWC」、株式会社菊水製作所製)を用いて硬度7kgf(商品名「デジタル硬度計KHT−40N」、株式会社藤原製作所製)で打錠し、1錠400mgの錠剤を9錠製造し、これにより得られた錠剤を実施例4とした。
ここで、実施例4において、粉末全体に対するイブプロフィンの割合、トラネキサム酸の割合、L−カルボシステインの割合、粉末中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、実施例1と同様である。
<比較例4>
実施例4において、L−カルボシステインの750mgを乳糖水和物の750mgに代えて、乳糖水和物を1838mgとしたこと以外は、実施例4と同様にして錠剤を製造し、これにより得られた錠剤を比較例4とした。
<実施例5>
実施例1、4において、イブプロフィン600mgと、乳糖水和物321mgと、結晶セルロース124mgとを手混合した後、結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース(粉末)(商品名「日本薬局方 HPC」、日本曹達株式会社製)8mgを水溶液として滴下し、その後、造粒乾燥機(商品名「FD−MP−01D型」、株式会社パウレック製)を用いて造粒乾燥し、第一の粉体を得た。そして、第一の紛体と、トラネキサム酸750mgと、L−カルボシステイン750mgと、乳糖水和物66mgと、結晶セルロース950mgと、ステアリン酸マグネシウム31mgとを手混合した後、その混合物を直径9.0mmの杵を取り付けた打錠機を用いて硬度7kgfで打錠し、1錠400mgの錠剤を9錠製造し、これにより得られた錠剤を実施例5とした。
ここで、実施例5において、粉末全体に対するイブプロフィンの割合、トラネキサム酸の割合、L−カルボシステインの割合、粉末中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、実施例1と同様である。
<比較例5>
実施例5において、第一の粉体と混合する際に、L−カルボシステインの750mgを乳糖水和物の750mgに代えて、乳糖水和物を816mgとしたこと以外は、実施例5と同様にして錠剤を製造し、これにより得られた錠剤を比較例5とした。
<実施例6>
実施例5において、イブプロフィン600mgと、乳糖水和物321mgと、結晶セルロース124mgとを手混合した後、結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース8mgを水溶液として滴下し、その後、造粒乾燥機を用いて造粒乾燥し、第一の粉体を得た。一方、トラネキサム酸750mgと、L−カルボシステイン750mgと、乳糖水和物46mgと、結晶セルロース378mgとを手混合した後、結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース20mgを水溶液として滴下し、その後、造粒乾燥機を用いて造粒乾燥し、第二の粉体を得た。そして、第一の粉末と第二の粉末と結晶セルロース32mgとステアリン酸マグネシウム31mgとを手混合した後、その混合物を直径9.0mmの杵を取り付けた打錠機を用いて硬度5kgfで打錠し、1錠340mgの錠剤を9錠製造した。
ここで、実施例6において、イブプロフィンの割合は、粉末全体に対して19.6重量%であり、トラネキサム酸の割合は、粉末全体に対して24.5重量%であり、L−カルボシステインの割合は、粉末全体に対して24.5重量%である。粉末中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、重量比で0.8:1.0:1.0である。
<比較例6>
実施例6において、第二の粉体と混合する際に、L−カルボシステインの750mgを乳糖水和物の750mgに代えて、乳糖水和物を796mgとしたこと以外は、実施例6と同様にして錠剤を製造し、これにより得られた錠剤を比較例6とした。
<実施例7>
実施例5において、イブプロフィン600mgと、トラネキサム酸450mgと、L−カルボシステイン750mgと、乳糖水和物740mgと、結晶セルロース1314mgとを手混合した後、結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース8mgを水溶液として滴下し、その後、造粒乾燥機を用いて造粒乾燥し、第一の粉体を得た。そして、第一の紛体と、乳糖水和物40mgと、軽質無水ケイ酸29mgと、ステアリン酸マグネシウム29mgとを手混合した後、その混合物を直径9.0mmの杵を取り付けた打錠機を用いて硬度11kgfで打錠し、1錠440mgの錠剤を9錠製造した。
ここで、実施例7において、イブプロフィンの割合は、粉末全体に対して15.2重量%であり、トラネキサム酸の割合は、粉末全体に対して11.4重量%であり、L−カルボシステインの割合は、粉末全体に対して18.9重量%である。粉末中のイブプロフェンとトラネキサム酸とカルボシステインとの混合比率は、重量比で0.8:0.6:1.0である。
<比較例7>
実施例7において、第一の粉体と混合する際に、L−カルボシステインの750mgを乳糖水和物の750mgに代えて、乳糖水和物を1490mgとしたこと以外は、実施例7と同様にして錠剤を製造し、これにより得られた錠剤を比較例7とした。
図1−図7に、実施例1−7と比較例1−7との製剤の処方を示す表を示した。
<評価方法>
粉末の膨張の評価は、次のように行った。先ず、実施例1−3と比較例1−3の粉末について、ガラス瓶に入れ、ガラス瓶内の粉末の表面の高さを3点測定し、平均値を算出し、製造直後の粉末の高さH0(mm)を測定した。
次に、小瓶を密封した後、50度の恒温槽で1週間保存した。そして、保存後のガラス瓶内の粉末の表面の高さを、同様に算出し、保存後の粉末の高さH1(mm)を測定した。製造直後の粉末の高さH0と保存後の粉末の高さH1とを、次の式(1)に代入して、膨脹率E(%)を算出した。
E=(H1−H0)/H0×100 ・・・(1)
図8は、実施例1−3と比較例1−3との粉末の評価結果を示すグラフである。図8に示すように、比較例1の膨張率が7.8%であるのに対し、実施例1の膨張率は3.6%であり、比較例2の膨張率が3.3%であるのに対し、実施例2の膨張率は1.7%であり、比較例3の膨張率が6.0%であるのに対し、実施例3の膨張率は5.5%であった。つまり、実施例1−3の成分の濃度(割合、混合比率)において、L−カルボシステインを含有した粉末の膨張率は、驚くべきことに、L−カルボシステインを含有しない粉末の膨張率と比較して顕著に低下していることが理解される。従って、成分の濃度が多少変動したとしても、イブプロフェンとトラネキサム酸にL−カルボシステインを含有させることで、粉末の膨張率を抑えることが出来ることが分かった。
次に、錠剤の膨張の評価は、次のように行った。先ず、実施例4−7と比較例4−7の錠剤について、デジタルマイクロメーターを用いて、製造直後の錠剤の厚みD0(mm)を測定した。次に、製造した錠剤をガラス瓶に入れ、密封した後、50度の恒温槽で1週間保存した。そして、デジタルマイクロメーターを用いて、保存後の錠剤の厚みD1(mm)を測定した。製造直後の錠剤の厚みD0と保存後の錠剤の厚みD1とを、次の式(2)に代入して、膨脹率E(%)を算出した。
E=(D1−D0)/D0×100 ・・・(2)
図9は、実施例4−7と比較例4−7との錠剤の評価結果を示すグラフである。図9に示すように、比較例4の膨張率が29.6%であるのに対し、実施例4の膨張率は26.6%であり、比較例5の膨張率が15.5%であるのに対し、実施例5の膨張率は13.3%であり、比較例6の膨張率が20.9%であるのに対し、実施例6の膨張率は18.1%であり、比較例7の膨張率が9.0%であるのに対し、実施例7の膨張率は7.8%であった。つまり、実施例4−7のそれぞれの製造方法において、L−カルボシステインを含有した錠剤の膨張率は、驚くべきことに、L−カルボシステインを含有しない錠剤の膨張率と比較して顕著に低下していることが理解される。従って、製造方法の種類に寄らず、イブプロフェンとトラネキサム酸にL−カルボシステインを含有させることで、錠剤の膨張率を抑えることが出来ることが分かった。又、造粒工程を入れることで、L−カルボシステインを含有した錠剤の膨張率を更に低下させることが出来ることが分かった。
以上のように、本発明に係る製剤は、長期間、安定的に保存することが可能な製剤として有用であり、製剤の膨脹を抑制することが可能な製剤として有効である。

Claims (2)

  1. イブプロフェンとトラネキサム酸とを含有する製剤であって、カルボシステインを含有する製剤。
  2. 前記製剤中の前記イブプロフェンと前記トラネキサム酸と前記カルボシステインとの混合比率は、重量比で0.5〜1.5:0.2〜1.5:1.0である
    請求項1の製剤。
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