JP2021053540A - 軟水化装置 - Google Patents

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由浩 辻
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【課題】水中の硬度成分であるカルシウムイオン・マグネシウムイオンを、省メンテナンスで長期間除去可能な軟水化装置を提供する。【解決手段】第一処理部4、第二処理部5、第三処理部6からなり、前記第一処理部4は、原水に水酸化イオンを供給し、該原水に含まれるカルシウムイオンを炭酸カルシウムの結晶に変化させる粒状のアルカリ供給体9を備え、前記第二処理部5は、前記第一処理部4において、結晶化した炭酸カルシウムを物理除去させるろ過体10を備え、前記第三処理部6は、前記原水中のマグネシウムイオンを取り除くマグネシウムイオン除去体11を備え、前記第一処理部4から第三処理部6の順に各処理を行うものであって、前記第一処理部5には超音波発生部13が具備されていることを特長とする軟水化装置1。【選択図】図1

Description

本発明は、水道水などに含まれる硬度成分を除去する軟水化装置に関するものである。
従来、水道蛇口にイオン交換樹脂を用いた軟水器を接続して、硬水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンを吸着していた。イオン交換樹脂の吸着力がなくなると、食塩水を通して、吸着したカルシウムイオンとマグネシウムイオンをナトリウムイオンで置換して吸着能力を再生、活性化していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−140840号公報
このような従来の軟水器では、イオン交換樹脂を再生するために定期的に高濃度の塩水を軟水器に送り込まなければならず、メンテナンスの手間がかかっていた。
そこで、本発明は、水中の硬度成分であるカルシウムイオンとマグネシウムイオンを、長期間に渡り除去可能な軟水化装置を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明に係る軟水化装置は、第一処理部、第二処理部、第三処理部からなり、前記第一処理部は、原水に水酸化イオンを供給し、該原水に含まれるカルシウムイオンを炭酸カルシウムの結晶に変化させる粒状のアルカリ供給体を備え、前記第二処理部は、前記第一処理部において、結晶化した炭酸カルシウムを物理除去させるろ過体を備え、前記第三処理部は、前記原水中のマグネシウムイオンを取り除くマグネシウムイオン除去体を備え、前記第一処理部から第三処理部の順に各処理を行うものであり、第一処理部には超音波発生部を備えてなり、これにより所期の目的を達成する。
本発明によれば、
第一処理部、第二処理部、第三処理部からなり、前記第一処理部は、原水に水酸化イオンを供給し、該原水に含まれるカルシウムイオンを炭酸カルシウムの結晶に変化させる粒状のアルカリ供給体を備え、前記第二処理部は、前記第一処理部において、結晶化した炭酸カルシウムを物理除去させるろ過体を備え、前記第三処理部は、前記原水中のマグネシウムイオンを取り除くマグネシウムイオン除去体を備え、前記第一処理部から第三処理部の順に各処理を行う軟水化装置の構成にしたことにより、最初にカルシウムイオンを炭酸カルシウムに結晶化させて物理的に除去し、次にマグネシウムイオンを除去することで、カルシウムイオンによるマグネシウムイオン除去体の消耗を抑制し、該マグネシウムイオン除去体を長期に渡り使用することができるため、頻繁に塩水で再生するようなメンテナンスを必要とせず、軟水を供給することができる。また、第一処理部に具備された超音波発生部から発生する超音波振動によって、粒状のアルカリ供給体を微細に振動させ、pH調整を促進することができる。また、超音波振動のエネルギーによって、アルカリ供給体同士をこすれ合わすことでアルカリ供給体上での堆積物を抑制し、長期に亘って水酸化物イオンを供給することができる。且つ、超音波による水分子の振動により、水温を上昇させ、冬場や寒冷地で水温が低くても安定して水酸化物イオンを供給することができる。
本発明の実施の形態1の軟水化装置の概略図 本発明の実施の形態1の第一処理部の概略図 実施例1におけるカルシウムイオン量の変化を示すグラフ((a)カルシウムイオンの推移を示したグラフ、(b)pHの変化を示したグラフ)) 実施例2の超音波振動によるpH調整促進の効果を示すグラフ 実施例3の軟水化装置の概略図 実施例3の各処理ステップでの硬度変化を示したグラフ
本発明の請求項1に係る軟水化装置は、第一処理部、第二処理部、第三処理部からなり、前記第一処理部は、原水に水酸化イオンを供給し、該原水に含まれるカルシウムイオンを炭酸カルシウムの結晶に変化させる粒状のアルカリ供給体を備え、前記第二処理部は、前記第一処理部において、結晶化した炭酸カルシウムを物理除去させるろ過体を備え、前記第三処理部は、前記原水中のマグネシウムイオンを取り除くマグネシウムイオン除去体を備え、前記第一処理部から第三処理部の順に各処理を行うものであり、第一処理部には超音波発生部を備えていることを特長とする。
これにより、最初にカルシウムイオンを炭酸カルシウムに結晶化させて物理的に除去し、次にマグネシウムイオンを除去することで、マグネシウムイオン除去体の消耗が減り、該マグネシウムイオン除去体を長期に渡り使用することができる。また、第一処理部に具備された超音波発生部から発生する超音波振動によって、粒状のアルカリ供給体を微細に振動させ、超音波振動のエネルギーによって、アルカリ供給体同士をこすれ合わすことでアルカリ供給体上での堆積物を抑制し、長期に亘って水酸化物イオンを供給することができる。且つ、超音波による水分子の振動により、水温を上昇させ、冬場や寒冷地で水温が低くても安定して水酸化物イオンを供給することができる。
また、請求項2に係る軟水化装置は、前記アルカリ供給体は、水中のカルシウムイオンは結晶化するが、マグネシウムイオンは結晶化しにくいpHへ調整するものである。
これにより、第三処理部よりも上流側で水中のカルシウムイオンを選択的に結晶化させろ過体により除去することができるので、第三処理部では主としてマグネシウムイオンを除去するだけとなり、マグネシウムイオン除去体の消耗が減り、該マグネシウムイオン除去体を長期に渡り使用することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、軟水化装置1の本体2は、硬水供給口3と、第一処理部4と、第二処理部5と、第三処理部6と、軟水流出口7と、それぞれを連結させる配管8を備えている。
硬水供給口3は、水道管と連結され、原水である硬水が供給される。
第一処理部4は、硬水供給口3から流入してきた硬水をアルカリ性にする粒状のアルカリ供給体9を備えており、カルシウムイオンを炭酸カルシウムの結晶へ変化させるものである。
アルカリ供給体9は、水中のカルシウムイオンは結晶化するが、マグネシウムイオンは結晶化しにくいpHへ調整可能なものであり、気体・液体・固体のいずれの形態でも良い。アルカリ剤であれば、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の添加等や、水の電解により水酸化イオンの添加を行っても良い。また、水と金属または金属の酸化物が反応して水酸化イオンを水中に供給するものでも良い。具体的には、水と反応する金属であれば良く、Li , K , C a , Na , Mg , Al , Zn , Fe等が考えられる。Li , K , C a , Naは、水と激しく反応し、水をアルカリ化させる。Al , Zn , Feは高温の水と反応し、水をアルカリ化させる。Mgは常温の水と反応するため、実用的には、M水を使用したアルカリ化が最適であると考えられる。
このマグネシウム固体と水との反応式を以下に示す。
Mg+2HO→Mg2++2OH-+H2↑
また、酸化マグネシウムと水との反応を以下に示す。
MgO+HO→Mg2++2OH-
この反応であれば、水素が発生せず水酸化物イオンを供給して、水をアルカリ性にすることが可能である。また、上記の金属が化合物となった金属化合物であっても良い。
第一処理部の構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、第一処理部4の底部には筐体12内に粒状のアルカリ供給体9が充填されており、配管8を通して筐体12の下部から導入された硬水がアルカリ供給体9と接触しながら上方へ上り、第二処理部5へと搬送される構成となっている。筐体12の下部には超音波発生部13が具備されており、超音波発生部13から発生した超音波振動は水を介して伝搬し、アルカリ供給体9を振動させる。尚、本実施の形態では超音波発生部13は筐体12の底部に設置しているが、アルカリ供給体9を振動させることができれば何れの箇所に設置しても何ら効果に差異はない。
第二処理部5は、第一処理部4から流入してきた炭酸カルシウムを含む水をろ過するろ過体10を備えている。ろ過体10は、結晶化した炭酸カルシウムを除去できれば良く、結晶化した炭酸カルシウムの粒径はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定を行い、メジアン径で0.1μm〜30μm程度である。これらの粒子を除去するために、フィルターや膜、砂、繊維など、ろ過による水浄化用途において一般的に使用されているろ材であればこれに限らない。なお、上述したレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いた測定器の一例はHORIBA社製LA‐960である。
第三処理部6は、第二処理部5から流入してきたマグネシウムイオンを含む水のマグネシウムイオンを取り除くマグネシウムイオン除去体11を備えている。
マグネシウムイオン除去体11は、マグネシウムイオンを水中から取り除くものであれば良い。特に、樹脂であれば、カルボキシル基を有する不飽和化合物の付加重合体であって、カルシウムを1wt%から20wt%含有する粒子径が0.1mm−5mmであることが好ましい。その他、ゼオライトや強酸性イオン交換樹脂、弱酸性イオン交換樹脂等、一般的に使用されているカルシウム・マグネシウム交換体や吸着材、収着材であればこれに限らない。
軟水流出口7は、配管と連結され、軟水が浴室やキッチンなどに分配される。
上記構成において、第一処理部4を通過した水は炭酸カルシウムの固体と、マグネシウムイオンを含む水へと改質され、第二処理部5に流入する。このとき、第二処理部5は、炭酸カルシウムを水から除去する。第二処理部5を通過した水は、マグネシウムイオンを含む水へと改質され、第三処理部6に流入する。
第三処理部6では、マグネシウムイオン除去体11により、マグネシウムイオンを水から除去する。第三処理部6を通過した水は、軟水となり、軟水流出口7へと流出させ、浴室やキッチンで使用することができる。
上記構成により、本実施の形態の軟水化装置は、マグネシムイオン除去体を備えた第三処理部よりも上流側で水中のカルシウムイオンを選択的に結晶化させ、ろ過体により除去することができる。これにより、最初に第一処理部と第二処理部によりカルシウムイオンを炭酸カルシウムに結晶化させて物理的に除去し、次に第三処理部でマグネシウムイオンを水中から取り除くことで、マグネシウムイオン除去体の消耗が減り、該マグネシウムイオン除去体を長期に渡り使用することができる。
また、第一処理部に具備された超音波発生部から発生する超音波振動によって、粒状のアルカリ供給体を微細に振動させ、pH調整の促進を行うことができる。
また、超音波振動のエネルギーによって粒状のアルカリ供給体同士をこすり合わすことで、アルカリ供給体上での堆積物を抑制し、長期に亘って水酸化物イオンを供給することができる。且つ、超音波振動による水分子の振動により、水温を上昇させ、冬場や寒冷地で水温が低くても安定して水酸化物イオンを供給することができる。
まず、カルシウムイオンを結晶化する例について説明をする。
粒状のアルカリ供給体9の一例としてマグネシウム固体を第一処理部4に備えた構成における反応を示す。
第一処理部4にはアルカリ土類金属の固体である6mm程度のマグネシウム固体を備えており、硬水供給口から流入した原水がマグネシウムと接触する構成となっている。このマグネシウム固体と水との反応式を以下に示す。
(1)Mg+2HO→Mg2++2OH+H2↑
(2)HCO3―+OH→CO 2―+H
(3)Ca2++CO 2―→CaCO
マグネシウム固体と水が反応し、水酸化イオン(OH)が生成される。水酸化イオン(OH)と重炭酸イオン(HCO3―)とが反応し、炭酸イオン(CO 2―)となる。カルシウムイオン(Ca2+)は、炭酸イオン(CO 2―)と反応することで、炭酸カルシウムの結晶に変化する。
図3(a)にこの反応によるカルシウムイオンの推移グラフ、図3(b)にpHの変化の結果を示す。図3は、硬度310ppmの水道模擬水100mlに対しマグネシウム固体を2g添加して攪拌した際の結果である。マグネシウム固体を2g添加した後の各時間に得られた水溶液を採取し、0.2μmフィルターで結晶を取り除き、イオン量を測定している。これによると、時間と共にpHが上昇し、pHの上昇とともにカルシウムイオンが減少する。カルシウムイオンはpH8.5程度になるまで一定だが、pH8.5に到達すると減少していくことが分かる。これは、炭酸カルシウムの結晶の増加に伴っていることを示唆している。なお、pHは徐々に上昇し、20分経過後にはpH10に到達し、75%程度のカルシウムイオンが結晶化した。このとき、マグネシウムイオンの結晶は検出できなかった。以上から、前記アルカリ供給体は、水中のカルシウムイオンは結晶化するが、マグネシウムイオンは結晶化しにくいpHとして、pH8〜pH11程度に調整することが必要である。
イオン量はイオンクロマトグラフィーを用いて測定を行った。測定器の一例はダイオネクス社製 ICS―2100である。
以上のように、マグネシウムイオンに対してカルシウムイオンを選択的に結晶化させることができる。
次に超音波振動によるpH調整促進の例について説明する。粒状のアルカリ供給体として6mm程度のマグネシウム固体2粒を硬度310ppmの水道模擬水40mlに入れたビーカーを2つ用意し、静置した状態でpHの経時変化を測定した。その内1つは超音波素子を備えた水槽に入れ、超音波を発生させた。図4に結果を示す。マグネシウム固体を入れただけのビーカー内のpHは1時間で約9まで上昇したものの、その後は速度が弱まり、17時間後もpH10には到達しなかった。これはマグネシウム固体の表面で前記反応式で示した反応が起こった際、反応式(3)の反応で析出した結晶がマグネシウム固体の表面あるいは周囲に滞留することで、その一部はマグネシウム固体に付着し、反応式(1)の反応が起こるのを阻害されたことが要因の1つと考えられる。一方、超音波振動を加えたビーカー内のpHは開始30分でpH10まで到達しており、超音波振動なしと比較して短時間で安定してカルシウムイオンを結晶化させるpHを維持することができる。
次に、本実施の形態の軟水化装置の実施例を説明する。
図5に示すように、第一処理部4にはマグネシウム固体14、第二処理部5にはフィルター15、第三処理部6にはカルボキシル基を有する不飽和化合物の付加重合体であって、カルシウムを1wt%から20wt%含有する粒子径が0.1mm‐5mmの範囲である樹脂16を備えている。
図6に第一処理部4、第二処理部5、第三処理部6の原理確認試験を行った結果を示す。原理確認試験の手順は、原水として硬度310ppmの水道模擬水100mLを用意し、第一処理部4として、前記水道模擬水に対しマグネシウム固体を1gとなるように添加して60分攪拌した。次に、第二処理部5として、その水を0.2μmのフィルターでろ過した。その後、第三処理部6として、前記ろ過水にカルボキシル基を有する不飽和化合物の付加重合体である樹脂を0.5mL添加して60分攪拌したものである。
第三処理部6の処理を行った後の原水は、310ppmの硬水中のカルシウムが204ppm、マグネシウムイオンが106ppmである。これが第一処理層を通過すると、カルシウムが減少し、14ppmとなるが、一方でマグネシウムイオンが244ppmとなり全硬度は258ppmとなる。第三処理部を通過すると、カルシウムイオンが22ppm、マグネシウムイオンが3ppmとなり、全硬度を25ppmまで下げることができた。第二処理部と第三処理部の工程を経てカルシウムイオンが増加しているのは測定誤差である。これにより、マグネシウムイオン除去体の寿命を約1.2倍に伸ばすことができた。測定には実施例1と同様のイオンクロマトグラフィーを用いた。
つまり、第一処理部4、第二処理部5、第三処理部6を順番に通過させることで、マグネシウムイオン除去体の寿命を伸ばすことが可能となり、硬水を軟化することができる。
軟水化装置は、硬水地域においてスケール被害を抑えるために有用である。
1 軟水化装置
2 本体
3 硬水供給口
4 第一処理部
5 第二処理部
6 第三処理部
7 軟水流出口
8 配管
9 アルカリ供給体
10 ろ過体
11 マグネシウムイオン除去体
12 筐体
13 超音波発生部
14 マグネシウム固体
15 フィルター
16 樹脂

Claims (2)

  1. 第一処理部、第二処理部、第三処理部からなり、
    前記第一処理部は、原水に水酸化イオンを供給し、該原水に含まれるカルシウムイオンを炭酸カルシウムの結晶に変化させる粒状のアルカリ供給体を備え、
    前記第二処理部は、前記第一処理部において、結晶化した炭酸カルシウムを物理除去させるろ過体を備え、
    前記第三処理部は、前記原水中のマグネシウムイオンを取り除くマグネシウムイオン除去体を備え、前記第一処理部から第三処理部の順に各処理を行う軟水化装置であって、第一処理部には超音波発生部が具備されていることを特長とする軟水化装置。
  2. 前記アルカリ供給体は、水中のカルシウムイオンは結晶化するが、マグネシウムイオンは結晶化しにくいpHへ調整することを特徴とする請求項1に記載の軟水化装置。
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