JP2021050670A - エンジン装置 - Google Patents

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武志 元古
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Abstract

【課題】ポート噴射弁にデポジットが付着・堆積するのを簡易な構成で抑制する。【解決手段】吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁とを有するエンジンと、エンジンの排気の吸気通路への再循環を行なう排気再循環装置とを備えるエンジン装置において、筒内噴射弁のみから燃料が噴射されているときにおいて、再循環が行なわれた再循環量の積算に関するパラメータが閾値以上に至ると、排気再循環装置による再循環を禁止する。【選択図】図2

Description

本発明は、エンジン装置に関する。
従来、この種のエンジン装置としては、吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射弁を有する内燃機関と、内燃機関の排気通路から吸気通路へEGRガスを導くEGR通路を有するEGR機構と、EGR通路に冷却風を吹き付ける空冷機構とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このエンジン装置では、EGR機構により吸気通路へ導入されたEGRガスの積算量が予め定められた上限量に達したときには、冷却機構を作動させてEGRガスを冷却する。このようにして、燃料噴射弁にデポジットが付着・堆積するのを抑制している。
特開2010−270620号公報
エンジン装置が備えるエンジンとして、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁に加えて、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁も有するものが用いられる場合がある。この場合、一般に、筒内噴射弁からのみ燃料を噴射しているときにEGR機構により排気の吸気通路への再循環を行なうと、ポート噴射弁にデポジットが付着・堆積しやすい。これを抑制するために、上述の冷却機構を設けることが考えられるが、装置構成が複雑となり、コストの増加を招いてしまう。
本発明のエンジン装置は、ポート噴射弁にデポジットが付着・堆積するのを簡易な構成で抑制することを主目的とする。
本発明のエンジン装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のエンジン装置は、
吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁とを有するエンジンと、
前記エンジンの排気の前記吸気通路への再循環を行なう排気再循環装置と、
前記エンジンと前記排気再循環装置とを制御する制御装置と、
を備えるエンジン装置であって、
前記制御装置は、前記筒内噴射弁のみから燃料が噴射されているときにおいて、前記再循環が行なわれた再循環量の積算に関するパラメータが閾値以上に至ると、前記排気再循環装置による前記再循環を禁止する、
ことを要旨とする。
この本発明のエンジン装置では、筒内噴射弁のみから燃料が噴射されているときにおいて、排気の吸気通路への再循環が行なわれた再循環量の積算に関するパラメータが閾値以上に至ると、排気再循環装置による再循環を禁止する。これにより、簡易な構成でポート噴射弁にデポジットが付着・堆積するのを抑制することができる。
こうした本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記筒内噴射弁のみから燃料が噴射されているときにおいて、前記ポート噴射弁の温度が高いほど大きい加算値を用いて前記パラメータを加算するものとしてもよい。
また、本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記筒内噴射弁のみから燃料が噴射されているときにおいて、前記エンジンの空燃比がリッチ側であるほど大きい加算値を用いて前記パラメータを加算するものとしてもよい。
更に、本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記ポート噴射弁から燃料が噴射されたときには、前記パラメータの値を初期化するものとしてもよい。
また、本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記ポート噴射弁から燃料が噴射されたときには、前記ポート噴射弁の燃料噴射量が多いほど大きい減算値を用いて前記パラメータを減算するものとしてもよい。この場合、前記制御装置は、前記ポート噴射弁に供給される燃圧が高いほど大きい減算値を用いて前記パラメータを減算するものとしてもよい。
本発明の一実施例としてのエンジン装置10の構成の概略を示す構成図である。 ECU70によって実行されるEGR許否ルーチンの一例を示すフローチャートである。 補正係数導出用マップの一例を示す説明図である。 EGRの許否や実行の有無、実行用噴射モード、パラメータCdiの時間変化の様子の一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのエンジン装置10の構成の概略を示す構成図である。実施例のエンジン装置10は、図示するように、エンジン12と、排気再循環装置(以下、「EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム」という)60と、エンジン12およびEGRシステム60を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)70とを備える。なお、このエンジン装置10は、エンジン12からの動力だけを用いて走行する自動車や、エンジン12に加えてモータを備えるハイブリッド自動車、エンジン12からの動力を用いて作動する建設設備などに搭載される。
エンジン12は、ガソリンや軽油などの燃料を用いて吸気・圧縮・膨張・排気の4行程によって動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン12は、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁26と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁27とを有し、ポート噴射モードと筒内噴射モードと共用噴射モードとの何れかの噴射モードで運転される。ポート噴射モードは、ポート噴射弁27からのみ燃料を噴射する噴射モードであり、筒内噴射モードは、筒内噴射弁26からのみ燃料を噴射する噴射モードであり、共用噴射モードは、筒内噴射弁26およびポート噴射弁27から燃料を噴射する噴射モードである。ポート噴射モードでは、エアクリーナ22によって清浄された空気を吸気管25に吸入すると共にポート噴射弁27から吸気管25に燃料を噴射して空気と燃料とを混合し、この混合気を吸気バルブ28を介して燃焼室29に吸入し、点火プラグ30による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギによって押し下げられるピストン32の往復運動をクランクシャフト16の回転運動に変換する。筒内噴射モードでは、空気を燃焼室29に吸入し、吸気行程の途中あるいは圧縮行程に至ってから筒内噴射弁26から燃料を噴射し、点火プラグ30による電気火花によって爆発燃焼させてクランクシャフト16の回転運動を得る。共用噴射駆動モードでは、空気を燃焼室29に吸入する際にポート噴射弁27から燃料を噴射すると共に吸気行程あるいは圧縮行程で筒内噴射弁26から燃料を噴射し、点火プラグ30による電気火花によって爆発燃焼させてクランクシャフト16の回転運動を得る。
エンジン12の燃焼室29から排気管33に排出される排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)34aを有する浄化装置34を介して外気に排出される。この排気管33の排気は、外気に排出されるだけでなく、排気を吸気に還流するEGRシステム60を介して吸気管25に供給される。
EGRシステム60は、EGR管62とEGRバルブ64とを備える。EGR管62は、排気管33の浄化装置34よりも下流側と吸気管25のサージタンクとを連絡する。EGRバルブ64は、EGR管62に設けられており、ステッピングモータ63によって駆動される。このEGRシステム60は、EGRバルブ64の開度を調節することにより、不燃焼ガスとしての排気の還流量を調節して吸気側に還流する。エンジン12は、こうして空気と排気と燃料との混合気を燃焼室29に吸引することができる。以下、排気管33から吸気管25に排気を還流することを「EGR」といい、排気管33から吸気管25に還流する排気を「EGRガス」といい、EGRガスの量を「EGR量」という。
ECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートを備える。ECU70には、エンジン12とEGRシステム60とを制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。ECU70に入力される信号としては、例えば、クランクシャフト16の回転位置を検出するクランクポジションセンサ40からのクランク角θcrや、エンジン12の冷却水の温度を検出する水温センサ42からの冷却水温Tw、吸気バルブ28を開閉するインテークカムシャフトの回転位置および排気バルブ31を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ44からのカム角θci,θcoを挙げることができる。また、吸気管25に設けられたスロットルバルブ24のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ46からのスロットル開度THや、吸気管25に取り付けられたエアフローメータ48からの吸入空気量Qa、吸気管25に取り付けられた温度センサ49からの吸気温Ta、ポート噴射弁27の付近に取り付けられた温度センサ27aからのポート噴射弁温度Tp、吸気管25内の圧力を検出する吸気圧センサ58からの吸気圧Pinも挙げることができる。更に、浄化装置34の浄化触媒34aの温度を検出する温度センサ34bからの触媒温度Tcや、排気管33に取り付けられた空燃比センサ35aからの空燃比AF、排気管33に取り付けられた酸素センサ35bからの酸素信号O2、シリンダブロックに取り付けられてノッキングの発生に伴って生じる振動を検出するノックセンサ59からのノック信号Ks、EGRバルブ64の開度を検出するEGRバルブ開度センサ65からのEGRバルブ64の開度EVも挙げることができる。
ECU70からは、エンジン12とEGRシステム60とを制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。ECU70から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ24のポジションを調節するスロットルモータ36への駆動制御信号や、筒内噴射弁26への駆動制御信号、ポート噴射弁27への駆動制御信号を挙げることができる。また、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル38への駆動制御信号や、EGRバルブ64の開度を調整するステッピングモータ63への制御信号も挙げることもできる。
ECU70は、クランクポジションセンサ40からのクランク角θcrに基づいて、クランクシャフト16の回転数、即ち、エンジン12の回転数Neを演算している。また、ECU70は、エアフローメータ48からの吸入空気量Qaとエンジン12の回転数Neとに基づいて、エンジン12の負荷としての体積効率(エンジン12の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLも演算している。更に、吸入空気量Qaとエンジン12の回転数Neと図示しないEGRバルブ開度センサからのEGRバルブ64の開度EVとに基づいてEGR量Veも演算している。
こうして構成されるエンジン装置10では、ECU70は、エンジン12が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいて運転されるようにエンジン12の吸入空気量制御や、燃料噴射制御、点火制御、EGR制御を行なう。吸入空気量制御では、ECU70は、エンジン12の目標トルクTe*に基づいて目標空気量Qa*を設定し、吸入空気量Qaが目標空気量Qa*となるように目標スロットル開度TH*を設定し、スロットルバルブ24のスロットル開度THが目標スロットル開度TH*となるようにスロットルモータ36を制御する。燃料噴射制御では、ECU70は、エンジン12の回転数Neと体積効率KLとに基づいてポート噴射モード、筒内噴射モード、共用噴射モードから実行用噴射モードを設定し、目標空気量Qa*と実行用噴射モードとに基づいて空燃比AFが目標空燃比AF*(例えば理論空燃比)となるように筒内噴射弁26およびポート噴射弁27の目標燃料噴射量Qfd*,Qfp*を設定し、筒内噴射弁26およびポート噴射弁27から目標燃料噴射量Qfd*,Qfp*の燃料噴射が行なわれるように筒内噴射弁26およびポート噴射弁27を制御する。点火制御では、ECU70は、エンジン12の回転数Neと負荷率KLとに基づいて目標点火時期Tf*を設定し、目標点火時期Tf*で点火が行なわれるようにイグニッションコイル38を制御する。EGR制御では、ECU70は、エンジン12の暖機が完了しているか否かに基づいて、EGRが要求されているときには、エンジン12の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてEGRバルブ64の目標開度EV*を設定し、EGRバルブ64の開度EVが目標開度EV*となるようにステッピングモータ63を制御し、EGRが要求されていないときには、EGRバルブ64の目標開度EV*に値0を設定し、EGRバルブ64の開度EVが値0となるように(EGRバルブ64は閉弁するように)ステッピングモータ63を制御する(これにより、EGRが行なわれない)。
次に、こうして構成された実施例のエンジン装置10の動作、特に、EGR装置60によるEGRを許可するか否かを判定する際の動作について説明する。図2は、ECU70によって実行されるEGR許否ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン12を運転しているときに繰り返し実行される。
図2のEGR許否ルーチンが実行されると、ECU70は、最初に、EGR量Ve、空燃比AF、ポート噴射弁温度Tp、実行用噴射モードなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、EGR量Veは、吸入空気量Qaとエンジン12の回転数NeとEGRバルブ64の開度EVとに基づいて演算された値が入力される。空燃比AFは、空燃比センサ35aにより検出された値が入力される。ポート噴射弁温度Tpは、温度センサ27aにより検出された値が入力される。実行用噴射モードは、エンジン12の回転数Neと体積効率KLとに基づいて設定されたモード(ポート噴射モードと筒内噴射モードと共用噴射モードとのうちの何れか)が入力される。
こうしてデータを入力すると、実行用噴射モードが筒内噴射モードであるか否かを判定する(ステップS110)。実行用噴射モードが筒内噴射モードでないとき、即ち、ポート噴射モードまたは共用噴射モードのときには、パラメータCdiに値0を設定(初期化)し(ステップS120)、EGR装置60によるEGRを許可して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。ここで、パラメータCdiについては後述する。この場合、上述のEGR制御を行なう。これにより、EGRが要求されているときに、EGRが行なわれる。
ステップS110で実行用噴射モードが筒内噴射モードのときには、空燃比AFとポート噴射弁温度Tpと補正係数導出用マップとを用いて補正係数Kcを導出し(ステップS130)、導出した補正係数KcとEGR量Veとの積として加算値ΔCdiを演算し(ステップS140)、演算した加算値ΔCdiを前回のパラメータ(前回Cdi)に加算して新たなパラメータCdiを演算する(ステップS150)。ここで、パラメータCdiは、EGR量Veの積算に関するパラメータである。補正係数導出用マップは、空燃比AFとポート噴射弁温度Tpと補正係数Kcとの関係として予め定められ、図示しないROMに記憶されている。図3は、補正係数導出用マップの一例を示す説明図である。補正係数Kcは、図示するように、空燃比AFがリッチであるほど大きく、且つ、ポート噴射弁温度Tpが高いほど大きくなるように設定される。このように設定される理由については後述する。
パラメータCdiを演算すると、演算したパラメータCdiを閾値Cdirefと比較する(ステップS160)。ここで、閾値Cdirefは、ポート噴射弁27にデポジットが付着し始めている可能性が高いか否か判断するための閾値として実験や解析により予め定められた値が用いられる。ステップS160でパラメータCdiが閾値Cdiref未満のときには、ポート噴射弁27にデポジットが付着し始めていないと判断し、EGR装置60によるEGRを許可して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。
ステップS160でパラメータCdiが閾値Cdiref以上のときには、ポート噴射弁27にデポジットが付着し始めている可能性が高いと判断し、EGR装置60によるEGRを禁止して(ステップS180)、本ルーチンを終了する。この場合、EGRバルブ64が開弁しているときには、EGRバルブ64の開度EVが値0となるように(EGRバルブ64が閉弁するように)ステッピングモータ63を制御し、EGRバルブ64が閉弁しているときにはその状態を保持する。これにより、EGRが行なわれなくなる。
筒内噴射モード、即ち、ポート噴射弁から燃料噴射が行なわれない噴射モードでは、EGR量Veの積算値が増加するほどポート噴射弁27にデポジットが付着・堆積しやすくなる。したがって、EGR量Veの積算に関するパラメータCdiが閾値Cdiref以上のときにEGR装置60によるEGRを禁止することにより、ポート噴射弁27にデポジットが付着・堆積するのを抑制することができる。このとき、空燃比AFがリッチであるほどポート噴射弁27にデポジットが付着・堆積するのが促進され、ポート噴射弁温度Tpが高いほどポート噴射弁27にデポジットが付着・堆積するのが促進される。したがって、実施例では、空燃比AFおよびポート噴射弁温度Tpに基づく補正係数KcとEGR量Veとの積として得られる加算値ΔCdiを用いてパラメータCdiを演算するものとした。これにより、ポート噴射弁27にデポジットが付着し始めている可能性が高いことをより精度よく判定することができる。このデポジットは、ポート噴射弁27の燃料噴射により除去されるため、実行用噴射モードが筒内噴射モードでないときには(ポート噴射モードまたは共用噴射モードのときには)、パラメータCdiに値0を設定(初期化)するものとした。
図4は、EGRの許否や実行の有無、実行用噴射モード、パラメータCdiの時間変化の様子の一例を示す説明図である。共用噴射モードやポート噴射モードのときには、パラメータCdiを値0で保持すると共にEGR装置60によるEGRを許可する。これにより、必要に応じてEGRが実行される(〜時刻t1)。そして、実行用噴射モードが筒内噴射モードに切り替わると(時刻t1)、パラメータCdiが増加を開始し、増加したパラメータCdiが閾値Cdiref以上に至ると(時刻t2)、EGR装置60によるEGRを禁止することにより、EGRが停止する。これにより、ポート噴射弁27にデポジットが付着・堆積するのを抑制することができる。そして、実行用噴射モードが筒内噴射モードからポート噴射モードに切り替わると(時刻t3)、パラメータCdiを値0に初期化して保持すると共にEGR装置60によるEGRを許可する。これにより、必要に応じてEGRが実行される。
以上説明した実施例のエンジン装置10では、筒内噴射弁26のみから燃料が噴射されているときにおいて、EGR量Veの積算に関するパラメータCdiが閾値Cdiref以上に至ると、EGRシステム60によるEGRを禁止する。これにより、簡易な構成でポート噴射弁27にデポジットが付着・堆積するのを抑制することができる。
実施例のエンジン装置10では、補正係数Kcは、空燃比AFとポート噴射弁温度Tpとを用いて導出されるものとした。しかし、補正係数Kcは、空燃比AFのみを用いて導出されるものとしてもよく、ポート噴射弁温度Tpのみを用いて導出されるものとしてもよく、一律の値が用いられるものとしてもよい。また、パラメータCdiは、EGR量Veの積算値として演算されるものとしてもよい(補正係数Kcとして値1が用いられる場合に相当する)。
実施例のエンジン装置10では、実行用噴射モードが筒内噴射モードでないとき、即ち、ポート噴射モードまたは共用噴射モードのときには、パラメータCdiに値0を設定(初期化)するものとしたが、ポート噴射弁27からの燃料噴射量が多いほど大きい値をパラメータCdiから減算するものとしてもよい。この場合、ポート噴射弁27の燃圧が高いほど大きい値をパラメータCdiから減算するものとしてもよい。これは、ポート噴射弁27からの燃料噴射量が多く、且つ、ポート噴射弁27の燃圧が高いほどデポジットが除去されやすいことに基づくものである。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン12が「エンジン」に相当し、EGRシステム60が「排気再循環装置」に相当し、ECU70が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、エンジン装置の製造産業などに利用可能である。
10 エンジン装置、12 エンジン、16 クランクシャフト、22 エアクリーナ、24 スロットルバルブ、25 吸気管、26 筒内噴射弁、27 ポート噴射弁、27a,34b 温度センサ、28 吸気バルブ、29 燃焼室、30 点火プラグ、31 排気バルブ、32 ピストン、33 排気管、34 浄化装置、34a 浄化触媒、35a 空燃比センサ、35b 酸素センサ、36 スロットルモータ、38 イグニッションコイル、40 クランクポジションセンサ、42 水温センサ、44 カムポジションセンサ、46 スロットルバルブポジションセンサ、48 エアフローメータ、49 温度センサ、58 吸気圧センサ、59 ノックセンサ、60 EGRシステム、62 EGR管、63 ステッピングモータ、64 EGRバルブ、65 EGRバルブ開度センサ、70 電子制御ユニット。

Claims (1)

  1. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁とを有するエンジンと、
    前記エンジンの排気の前記吸気通路への再循環を行なう排気再循環装置と、
    前記エンジンと前記排気再循環装置とを制御する制御装置と、
    を備えるエンジン装置であって、
    前記制御装置は、前記筒内噴射弁のみから燃料が噴射されているときにおいて、前記再循環が行なわれた再循環量の積算に関するパラメータが閾値以上に至ると、前記排気再循環装置による前記再循環を禁止する、
    エンジン装置。
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