以下、図面を参照し、本発明の車両管理システム、車両管理方法、及びプログラムの実施形態について説明する。
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両管理システムSの構成図である。車両管理システムSは、エレベータEVが設けられた立体駐車場300において、車両搬送装置1を用いて、搬送対象である車両Mを駐車可能な区画(以下、駐車スペースと称する)内に搬送し、車両Mをその駐車スペースに駐車させることで、立体駐車場300への入庫を行う。以下、このような処理を入庫処理と称して説明する。また、車両管理システムSは、立体駐車場300において、車両搬送装置1を用いて、駐車スペースに駐車した車両Mを、立体駐車場300の出口に向けて搬送することで、立体駐車場300からの出庫を行う。以下、このような処理を出庫処理と称して説明する。また、車両管理システムSは、入庫処理または出庫処理において、適時エレベータEVを稼働させて、車両Mを他のフロアに移動させてよい。エレベータEVは、車両Mを運搬可能である。このようにして、車両管理システムSは、立体駐車場300において、車両Mの駐車を管理する。なお、車両Mは特定の車両に制限されるものではなく、車両管理システムSは任意の車両を搬送対象とすることができる。
実施形態に係る車両管理システムSは、例えば、車両搬送装置1と、車両管理サーバ200と、立体駐車場300とを備える。車両管理サーバ200は、駐車スペースへの車両の入庫と、駐車スペースからの車両の出庫を管理する。車両管理サーバ200は、駐車を希望するユーザH(例えば、車両Mの乗員)からの端末装置Dを介した要求に基づいて、車両搬送装置1に車両Mの入庫処理および出庫処理を行わせる。端末装置Dと、車両搬送装置1と、車両管理サーバ200と、立体駐車場300のエレベータEVとは、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線、無線基地局などを含む。
[車両搬送装置の概要]
図2は、実施形態に係る車両搬送装置1の一例を示す模式図である。車両搬送装置1は、搬送対象である車両Mを乗せながら任意の方向に移動することで、車両Mを所望の目的位置に搬送する。車両搬送装置1は、車両Mを、例えば、車両Mの車体の前方向、後方向、左方向、右方向(幅方向)に搬送可能である。また、車両搬送装置1は、車両Mの位置を移動させることなく、車両Mの車体の向きを変更させる(回転させる)ことができる。
車両搬送装置1は、例えば、搬送対象の車両Mの車輪数に応じた数の自律走行(自走)することが可能な搬送ロボット10を一つのセットとして備えてよい。具体的には、搬送対象の車両Mが四輪車両である場合、2つの搬送ロボット10を一つのセットとし、搬送対象の車両Mが六輪車両である場合、3つの搬送ロボット10を一つのセットとし、搬送対象の車両Mが八輪車両である場合、4つの搬送ロボット10を一つのセットとしてよい。以下、一例として、搬送対象の車両Mが四輪車両であるものとし、その一セットの搬送ロボット10のうち、一方の搬送ロボット10を「第1搬送ロボット10A」と称し、他方の搬送ロボット10を「第2搬送ロボット10B」と称して説明する。
第1搬送ロボット10Aは、搬送時、車両Mの下に入り、車両Mの前輪を持ち上げて自律走行する。第2搬送ロボット10Bは、車両Mの下に入り、車両Mの後輪を持ち上げて自律走行する。第1搬送ロボット10Aと第2搬送ロボット10Bの構造は同じであってよい。第1搬送ロボット10Aおよび第2搬送ロボット10Bの一方がマスター機(主系の搬送ロボット)であり、他方がスレーブ機(従系の搬送ロボット)であってよい。
図3および図4は、車両Mの搬送時における第1搬送ロボット10Aおよび第2搬送ロボット10Bの動作の一例を示す図である。図3に示すように、車両Mの搬送時、第1搬送ロボット10Aは、車両Mの前方から、車両Mの下に入り込む。また、車両Mの搬送時、第2搬送ロボット10Bは、車両Mの後方から、車両Mの下に入り込む。
図4に示すように、車両Mの下に入り込んだ第1搬送ロボット10Aは、後述する右当接部11Rおよび左当接部11Lが前輪の前部と接触する位置まで移動して停止する。次に、第1搬送ロボット10Aは、後述する収納部に収納されていた右リフトアーム12Rおよび左リフトアーム12Lを前輪の後部と接触する位置まで移動させる。そして、第1搬送ロボット10Aは、右当接部11Rに向かって右リフトアーム12Rをさらに移動させることにより、右当接部11Rおよび右リフトアーム12Rで右前輪を持ち上げ、左当接部11Lに向かって左リフトアーム12Lをさらに移動させることにより、左当接部11Lおよび左リフトアーム12Lで左前輪を持ち上げる。
図4に示すように、車両Mの下に入り込んだ第2搬送ロボット10Bは、後述する右当接部13Rおよび左当接部13Lが後輪の後部と接触する位置まで移動して停止する。次に、第2搬送ロボット10Bは、後述する収納部に収納されていた右リフトアーム14Rおよび左リフトアーム14Lを後輪の前部と接触する位置まで移動させる。そして、第2搬送ロボット10Bは、右当接部13Rに向かって右リフトアーム14Rをさらに移動させることにより、右当接部13Rおよび右リフトアーム14Rで右後輪を持ち上げ、左当接部13Lに向かって左リフトアーム14Lをさらに移動させることにより、左当接部13Lおよび左リフトアーム14Lで左後輪を持ち上げる。以後、第1搬送ロボット10Aおよび第2搬送ロボット10Bが協働して駆動機構により自律走行(自走)することで、車両Mを移動させることができる。なお、車両搬送装置1は、車両Mの車輪を持ち上げる代わりに、車両Mの車体の一部(例えばフロントクロスメンバーやリアクロスメンバー等)を持ち上げるようにしてもよい。
[搬送ロボットの構造]
次に、搬送ロボット10(第1搬送ロボット10Aおよび第2搬送ロボット10B)のb)の構造を説明する。第1搬送ロボット10Aと第2搬送ロボット10Bの構造は同じであるため、以下において、第1搬送ロボット10Aについて説明し、第2搬送ロボット10Bについての説明は適宜省略する。
図5および図6は、実施形態に係る第1搬送ロボット10Aの構造の一例を示す図である。図5では、本体15の上部を覆う上部カバーが外された第1搬送ロボット10Aを示している。なお、本明細書では、説明の便宜のために、第1搬送ロボット10Aを基準とする各方向を次のように定義する。右リフトアーム12Rおよび左リフトアーム12Lに対して右当接部11Rおよび左当接部11Lが配置される方向をY方向とする。また、第1搬送ロボット10Aの幅方向の中心位置(以下、中心線Cという。)に対して後述する右荷役機構20Rが配置される方向をX方向とする。また、X方向およびY方向により形成される面に直交する、第1搬送ロボット10Aの高さ方向をZ方向とする。
第1搬送ロボット10Aは、例えば、本体15と、本体15の内側に配置される4つの駆動機構16と、荷役機構20とを備える。荷役機構20は、例えば、右荷役機構20Rと、左荷役機構20Lとを備える。右荷役機構20Rは、中心線Cを基準として、右側(+X方向)に配置される。左荷役機構20Lは、中心線Cを基準として、左側(−X方向)に配置される。4つの駆動機構16は、右荷役機構20Rと左荷役機構20Lとの間に配置される。本体15は、第1搬送ロボット10Aの各部品を支持するフレームである。
駆動機構16の各々は、例えば、走行モータ17と、駆動側減速機18と、車輪19とを備える。4つの駆動機構16は、中心線Cを境にして左右(−X方向,+X方向)にそれぞれ2組に分けられて配置される。左側の2組の駆動機構16と右側の2組の駆動機構16は、中心線Cを軸として線対称となるように配置される。前側(+Y方向)の2組の駆動機構16と、後側(−Y方向)の2組の駆動機構16とは、第1搬送ロボット10Aの幅方向と平行する平行線Dを軸として線対称となるように配置される。
走行モータ17は、例えば、電動モータである。走行モータ17の出力軸は、駆動側減速機18の入力軸に接続される。駆動側減速機18は、入力軸と出力軸とが同一線上にあり、例えば、遊星歯車減速機を有する。駆動側減速機18の出力軸は、車輪19に接続される。
車輪19は、例えば、メカナムホイールである。各駆動機構16に設けられるメカナムホイールは、互いに協調して駆動することにより本体15の全方向移動を行うことができる。なお、駆動機構16は、全方向への移動を可能とする他の車輪を有していてもよい。例えば、駆動機構16は、オムニホイールや転舵機能を備えた車輪に置換されてもよい。
右荷役機構20Rは、例えば、右当接部11Rと、右リフトアーム12Rと、右回転力伝達機構21Rとを備える。左荷役機構20Lは、例えば、左当接部11Lと、左リフトアーム12Lと、左回転力伝達機構21Lとを備える。右荷役機構20Rと左荷役機構20Lとは、中心線Cを軸として線対称となるように配置される。右荷役機構20Rと左荷役機構20Lは構造が同じであるため、以下では右荷役機構20Rの構造を説明し、左荷役機構20Lについての説明は適宜省略する。
右回転力伝達機構21Rは、右リフトアーム12Rを、右収納位置P1と右展開位置P2との間で移動させるための駆動装置を備える。右回転力伝達機構21Rは、例えば、Z方向の軸A1を支点として、右リフトアーム12Rを、右収納位置P1と右展開位置P2との間でX−Y平面に沿って回転移動させる。右回転力伝達機構21Rは、例えば、モータ、ブレーキ等を備える。
右リフトアーム12Rは、軸部材と、軸部材と同心であり軸部材を中心にして回転自在である円筒部材と、を備える回転棒である。右リフトアーム12Rは、右回転力伝達機構21Rの制御により、先端22Rを本体15の幅方向中央側(−X方向)に向ける右収納位置P1と先端22Rを本体15の幅方向外側(+X方向)に向ける右展開位置P2との間で回転移動する。
右収納位置P1および右展開位置P2は、右リフトアーム12Rの軸部材が幅方向と平行する位置である。言い換えると、右収納位置P1は、右リフトアーム12Rを右展開位置P2からX−Y平面に沿って180度回転させた後の右リフトアーム12Rの位置である。逆に、右展開位置P2は、右リフトアーム12Rを右収納位置P1からX−Y平面に沿って180度回転させた後の右リフトアーム12Rの位置である。
右当接部11Rは、軸部材と、軸部材と同心であり軸部材を中心にして回転自在である円筒部材と、を備える回転棒である。右当接部11Rの軸部材の両端は本体15に固定される。
[搬送ロボットの機能構成]
次に、搬送ロボット10の機能構成を説明する。図7は、実施形態に係る第1搬送ロボット10Aの機能構成の一例を示す図である。第1搬送ロボット10Aは、例えば、駆動機構16と、荷役機構20と、センサ30と、通信装置40と、搬送制御装置100とを備える。
センサ30は、例えば、カメラ32と、測距センサ34とを備える。カメラ32は、第1搬送ロボット10Aの周辺を撮像する。測距センサ34は、例えば、PSD(Position Sensitive Detector)センサ、レーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)、LRF(Laser Range Finder)、TOF(Time of Flight)センサ等である。測距センサ34は、第1搬送ロボット10Aの周辺に存在する物体との距離を検出する。測距センサ34は、例えば、搬送対象の車両Mとの距離を検出する。カメラ32および測距センサ34は、第1搬送ロボット10Aの全方位を検出対象とするために、それぞれ複数設けられる。4組のカメラ32および測距センサ34が、例えば、上部カバーの右前部、左前部、右後部、左後部に取り付けられる。
通信装置40は、例えば、外部の通信機器と無線通信を行うための装置とアンテナとを備える。外部の通信機器というのは、例えば、車両管理サーバ200であり、対をなす他方の搬送ロボット10(第2搬送ロボット10B)の通信装置である。通信装置40は、近距離無線通信を行うための通信モジュールと公衆回線を介して無線通信を行う通信モジュールとを備える。
搬送制御装置100は、例えば、通信制御部110と、走行制御部120と、アーム制御部130と、記憶部140とを備える。通信制御部110と、走行制御部120と、アーム制御部130との各々は、例えば、CPU(Central Processing Unit)(コンピュータ)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め搬送制御装置100のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで搬送制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
通信制御部110は、通信装置40を介して、車両管理サーバ200により送信された各種指示を取得する。車両管理サーバ200により送信された指示は、例えば、駐車スペースに対する車両の入庫指示、駐車スペースからの車両の出庫指示、駐車スペース内に駐車中の車両の駐車位置の調整指示等を含む。
走行制御部120は、通信制御部110により取得された指示に基づいて、車両搬送装置1を指示された位置に移動させるように、駆動機構16を制御する。例えば、走行制御部120は、通信制御部110により入庫指示が取得された場合、搬送対象である車両Mの位置まで車両搬送装置1を移動させるように、駆動機構16を制御する。走行制御部120の詳細については後述する。
アーム制御部130は、通信制御部110により取得された指示に基づいて、搬送対象である車両Mを持ち上げるように、または持ち上げられた状態の車両を降ろすように、荷役機構20を制御する。例えば、アーム制御部130は、通信制御部110により入庫指示が取得された場合、走行制御部120の制御により車両Mの位置まで車両搬送装置1が移動した後、該車両を持ち上げように、荷役機構20を制御する。アーム制御部130の詳細については後述する。
記憶部140は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部140には、例えば、地図情報142等が格納される。地図情報142には、第1搬送ロボット10Aが自走可能な立体駐車場300の各フロアの地図が含まれる。
[車両管理サーバの機能構成]
次に、車両管理サーバ200の機能構成を説明する。図8は、実施形態に係る車両管理サーバ200の機能構成の一例を示す図である。車両管理サーバ200は、例えば、通信装置210と、制御装置220と、記憶部230とを備える。通信装置210は、外部の通信機器と無線通信を行うための装置とアンテナとを備える。外部の通信機器は、例えば、車両搬送装置1や端末装置D等である。
制御装置220は、例えば、通信制御部221と、駐車位置制御部222と、車両管理部223と、駐車位置調整部224とを備える。通信制御部221は、通信装置210を介して、外部の通信機器から各種情報を取得したり、外部の通信機器に各種情報を提供したりする。
駐車位置制御部222は、端末装置Dにより送信された入庫要求に基づいて、立体駐車場300において、車両Mを駐車する駐車スペースの位置、つまり駐車位置を決定する。この入庫要求には、車両Mを特定するための情報(例えば、車両管理サーバ200により予め発行された車両ID)、車両Mのナンバープレート情報、車両Mの車種情報等が含まれている。駐車位置制御部222は、記憶部230に記憶された地図情報231および駐車情報233を参照して、駐車スペース内において、車両Mを駐車可能な空きスペースを探索する。駐車位置制御部222は、空きスペースが見つかった場合には、この空きスペースを駐車位置として決定する。そして、駐車位置制御部222は、車両Mを駐車スペースに搬送するように車両搬送装置1を制御する。
車両管理部223は、車両搬送装置1および端末装置Dにより送信される情報に基づいて、例えば、車両ごと(車両IDごと)に、車両に関する情報(車両ID,ナンバープレート,車種)や、駐車位置、駐車開始日時、駐車終了日時といった種々の情報を対応付け、その対応付けた情報を駐車情報233として記憶部230に記憶させる。
駐車位置調整部224は、駐車中の車両の駐車位置を調整する。例えば、駐車位置調整部224は、車両の入庫および出庫が繰り返されることにより駐車中の車両間に不要な空きスペースが発生した場合、駐車中の車両の間隔を詰めるように、車両搬送装置1を制御する。これにより、有限の駐車スペースをより有効に活用することが可能となる。
制御装置220の各機能部は、例えば、CPU(コンピュータ)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め車両管理サーバ200のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで車両管理サーバ200のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
記憶部230は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により実現される。記憶部230には、例えば、地図情報231や駐車情報233等が格納される。
地図情報231は、搬送ロボット10の記憶部140に記憶される地図情報142と同じであり、搬送ロボット10が自走可能な立体駐車場300の各フロアの地図情報が含まれる。
駐車情報233は、例えば、立体駐車場300の各フロアに形成された駐車スペースごとに、その駐車スペースが空き状態であるのか、それとも既に車両が駐車された状態であるのかを示す情報が対応付けられた情報である。
[入庫処理]
次に、車両管理システムSによる入庫処理の一連の流れについて説明する。図9は、実施形態に係る車両管理システムSによる入庫処理の一例を示すシーケンス図である。図10から図12は、車両Mを立体駐車場300に駐車させる様子を模式的に表した図である。
図10に示すように、まず、駐車を希望するユーザHは、出入口から立体駐車場300に車両Mを進入させると、任意の位置に車両Mを停止させる。そして、ユーザHは、端末装置Dを操作して、車両管理サーバ200に対して、入庫処理を行うように要求する(ステップS1)。なお、ユーザHは、立体駐車場300に車両Mを停止させるよりも前のタイミング(例えば、自宅で車両Mに乗り込んだタイミング等)で入庫処理を要求してもよい。
例えば、ユーザHは、端末装置Dを操作して、ブラウザによって参照されるウェブサイトや、アプリケーションプログラムによって参照されるアプリページにアクセスし、所定の情報を入力することにより、入庫処理を要求する。所定の情報には、車両Mを特定するための情報(例えば、車両ID)、車両Mのナンバープレート情報、車両Mの車種情報等が含まれる。このユーザHの操作に基づいて、端末装置Dは、入庫処理の要求を車両管理サーバ200に送信する。入庫要求には、端末装置Dの位置情報や識別情報などが含まれていてもよい。
次に、車両管理サーバ200の駐車位置制御部222は、通信装置210が端末装置Dから入庫処理の要求を受信すると、記憶部230に記憶された地図情報231および駐車情報233を参照して、立体駐車場300上において、車両Mが駐車することが可能な空きの駐車スペースPSを探索する(ステップS3)。
図10の例では、車両Mが停止しているフロア、すなわち出入口が併設されたフロアには、いずれの駐車スペースPSにも車両が駐車されており、搬送対象の車両Mを駐車させることが可能な空きの駐車スペースPSが存在していない。この場合、駐車位置制御部222は、空いた駐車スペースPSが他のフロアに存在するのか否かを判定する。例えば、他のフロアに空きの駐車スペースPSが存在する場合、その空きの駐車スペースPSを、搬送対象である車両Mの駐車位置に決定する。
なお、駐車スペースPSは、図示のように、区画線によって予め大きさが決められた領域であってもよいし、駐車対象の車両の大きさ(全長、幅)や、駐車スペースの空き状態に応じて、領域の大きさが動的に変化するものであってもよい。
次に、車両管理部223は、駐車位置制御部222によって搬送対象の車両Mの駐車位置(駐車スペースPS)が決定されると、入庫指示を、搬送対象の車両Mが現在停止しているフロアの車両搬送装置1に送信する(ステップS5)。この入庫指示には、入庫処理の対象である車両Mが駐車可能な空きの駐車スペースPSの位置や、その空きの駐車スペースPSが存在するフロアの階数、車両Mのナンバープレート情報、車両Mの車種情報といった種々の情報が含まれている。端末装置Dから送信された入庫要求に端末装置Dの位置情報が含まれている場合には、車両搬送装置1に送信される入庫指示には、更に、端末装置Dの位置情報が、現在の車両Mの位置情報として含まれていてもよい。
次に、車両搬送装置1の搬送制御装置100は、通信装置40が車両管理サーバ200から入庫指示を受信すると、駆動機構16を制御して、同じフロアに存在する車両Mの停止位置まで移動する(ステップS7)。
例えば、車両搬送装置1が備える2つの第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bのうち、他の搬送ロボット10よりも状態が良好な方の搬送ロボット10をマスター機とし、他方の搬送ロボット10をスレーブ機とする。
搬送ロボット10の「状態」には、例えば、搬送ロボット10が備える各構成要素に電力を供給可能な二次電池のSOC(State of Charge)や、搬送ロボット10の走行距離、搬送ロボット10が車両Mを持ち上げた回数、搬送ロボット10が搬送した車両Mの重量などが含まれる。そのため、良好な状態とは、二次電池のSOCが劣化の進行が遅いSOCであること、走行距離が短いこと、車両Mの持ち上げ回数が少ないこと、持ち上げた車両Mの重量が小さいこと、などであってよい。すなわち、良好な状態な搬送ロボット10は、物理的劣化が少なく、高い品質や性能を維持したものである。
ここでは、一例として、第1搬送ロボット10Aをマスター機とし、第2搬送ロボット10Bをスレーブ機とする。マスター機である第1搬送ロボット10Aの走行制御部120は、入庫指示に基づいて、自身の駆動機構16に含まれる走行モータ17や駆動側減速機18の操作量(例えばモータのトルク量等)を決定するとともに、スレーブ機である第2搬送ロボット10Bの駆動機構16に含まれる走行モータ17や駆動側減速機18の操作量を決定する。
そして、マスター機側の走行制御部120は、決定した操作量で駆動機構16を制御する。また、マスター機の走行制御部120は、Wi−FiやBluetooth(登録商標、以下省略)等の近距離通信を用いて、スレーブ機側の駆動機構16の操作量を示す情報を、スレーブ機である第2搬送ロボット10Bに送信する。これを受けて、スレーブ機側の走行制御部120は、マスター機によって決定された操作量で駆動機構16を制御する。これによって、図10に示すように、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、互いに協働しながら車両Mまで移動する。なお、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、カメラ32の画像や測距センサ34の検出結果に基づいて、適宜駆動機構16の操作量を補正してよい。このように、マスター機がスレーブ機を遠隔制御し、これら2つの搬送ロボット10が互いに協働しながら移動することで、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bの双方のプロセッサが移動に伴う演算を行う場合よりも、演算量を少なくしたり、演算時間を短くしたりすることができる。
入庫指示を受信した車両搬送装置1の第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、搬送対象の車両Mが現在停止している位置まで移動すると、その車両Mの下に入り込む。そして、各搬送ロボット10のアーム制御部130は、荷役機構20を制御して、車両Mを持ち上げる(ステップS9)。
次に、各搬送ロボット10の走行制御部120は、駆動機構16を制御して、荷役機構20によって持ち上げられた車両Mを、入庫指示によって指示されたフロアの空き駐車スペースPSまで搬送する(ステップS11)。次に、アーム制御部130は、車両Mを駐車スペースPSに降ろすように、荷役機構20を制御する(ステップS12)。
例えば、図10に示すように、現在のフロアに空いた駐車スペースPSが存在しておらず、別のフロアに空いた駐車スペースPSが存在している場合、入庫指示には、空いた駐車スペースPSが存在するフロアの階数が含まれることになる。この場合、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、車両Mを持ち上げながらエレベータEVまで搬送する。
一方、車両管理サーバ200の駐車位置制御部222は、通信装置210を介してエレベータEVを遠隔制御し、現在車両Mが停止しているフロアまでエレベータEVを移動させる。
第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、現在車両Mが停止しているフロアにエレベータEVが到着すると、エレベータEVの中に車両Mを搬入する。この際、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、車両Mと共にエレベータEVに乗りながら、空いた駐車スペースPSが存在する他のフロアへと移動してもよいし、エレベータEVに車両Mを搬入した後、エレベータEVから退出し、現在のフロアに留まってもよい。車両管理サーバ200は、エレベータEVを用いて車両Mを搬送する際に、その車両Mに第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bを同伴させるか否かを決定してよい。
次に、車両管理サーバ200の駐車位置制御部222は、通信装置210を介してエレベータEVを遠隔制御し、空いた駐車スペースPSが存在する他のフロアまで車両Mを移動させる。
図12に示すように、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、車両MとともにエレベータEVに乗って移動している場合、エレベータEVが他のフロアに到着すると、そのエレベータEVから車両Mを搬出させる。そして、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、空いた駐車スペースPSまで車両Mを移動させ、その駐車スペースPSに車両Mを駐車させる。
また、エレベータEVに第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bが乗っていない場合、他のフロアに存在する第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、当フロアに到着したエレベータEVの中で車両Mの下に入り込み、車両Mを持ち上げながら、空いた駐車スペースPSまで車両Mを移動させ、その駐車スペースPSに車両Mを駐車させてよい。
マスター機である第1搬送ロボット10Aの通信制御部110は、空いた駐車スペースPSに車両Mを駐車させた場合、車両Mの入庫処理が完了したことを示す完了通知を、通信装置210を介して車両管理サーバ200に送信する(ステップS13)。
次に、車両管理サーバ200の車両管理部223は、新たに車両Mが駐車された駐車スペースPSに対して、既に車両が駐車された状態であることを示す情報を対応付けて、駐車情報233の更新する(ステップS15)。そして、車両管理部223は、入庫処理が完了したことを示す完了画面を表示させるための情報を端末装置Dに送信する(ステップS17)。これを受けて、端末装置Dは、完了画面をディスプレイに表示する(ステップS19)。これによって、入庫処理が終了する。なお、車両管理部223は、端末装置Dに完了画面を表示させる際、併せて入庫時間(駐車時間のカウントを開始する時間)を端末装置Dに表示させてもよい。
[出庫処理]
次に、車両管理システムSによる出庫処理の流れについて説明する。図13は、実施形態に係る車両管理システムSによる出庫処理の一例を示すシーケンス図である。
出庫を希望するユーザHは、端末装置Dを操作して、車両管理サーバ200に対して、出庫処理を行うように要求する(ステップS101)。
例えば、ユーザHは、入庫処理の要求時と同様に、端末装置Dを操作して、ブラウザによって参照されるウェブサイトや、アプリケーションプログラムによって参照されるアプリページにアクセスし、車両IDやナンバープレート情報などを所定の情報として入力することにより、出庫処理を要求する。このユーザHの操作に基づいて、端末装置Dは、出庫処理の要求を車両管理サーバ200に送信する。
次に、車両管理サーバ200の車両管理部223は、通信装置210が端末装置Dから出庫処理の要求を受信すると、出庫指示を、搬送対象の車両Mが現在駐車されているフロアの車両搬送装置1に送信する(ステップS103)。この出庫指示には、出庫処理の対象である車両Mが駐車している駐車スペースPSの位置や、その駐車スペースPSが存在するフロアの階数、車両Mのナンバープレート情報、車両Mの車種情報といった種々の情報が含まれている。
次に、車両搬送装置1の搬送制御装置100は、通信装置40が車両管理サーバ200から出庫指示を受信すると、駆動機構16を制御して、同じフロアに存在する車両Mの駐車位置まで移動する(ステップS105)。
出庫指示を受信した車両搬送装置1の第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、搬送対象の車両Mが現在駐車されている位置まで移動すると、その車両Mの下に入り込む。そして、各搬送ロボット10のアーム制御部130は、荷役機構20を制御して、車両Mを持ち上げる(ステップS107)。
次に、各搬送ロボット10の走行制御部120は、駆動機構16を制御して、荷役機構20によって持ち上げられた車両Mを、ユーザHが手動運転により車両Mを容易に発進させることが可能な位置(以下、運転開始位置と称する)まで搬送する(ステップS109)。運転開始位置は、例えば、立体駐車場300の出入口付近であってよい。次に、アーム制御部130は、車両Mを運転開始位置に降ろすように、荷役機構20を制御する(ステップS110)。
例えば、車両Mが駐車されたフロアと、運転開始位置が存在するフロアとが異なる場合、入庫処理時と同様に、第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bは、車両Mを持ち上げながらエレベータEVまで搬送し、車両Mを、車両Mが駐車されたフロアから運転開始位置が存在するフロアへと移動させてよい。
マスター機である第1搬送ロボット10Aの通信制御部110は、運転開始位置まで車両Mを搬送し、その運転開始位置に車両Mを降ろした場合、車両Mの出庫処理が完了したことを示す完了通知を、通信装置210を介して車両管理サーバ200に送信する(ステップS111)。
次に、車両管理サーバ200の車両管理部223は、車両Mが移動して空いた駐車スペースPSに対して、空き状態であることを示す情報を対応付けて、駐車情報233の更新する(ステップS113)。そして、車両管理部223は、出庫処理が完了したことを示す完了画面を表示させるための情報を端末装置Dに送信する(ステップS115)。これを受けて、端末装置Dは、完了画面をディスプレイに表示する(ステップS117)。これによって、出庫処理が終了する。なお、車両管理部223は、端末装置Dに完了画面を表示させる際、併せて出庫時間(駐車時間のカウントを終了する時間)を端末装置Dに表示させてもよい。
[車両管理サーバの処理フロー]
以下、車両管理サーバ200の一連の処理の流れをフローチャートに即して説明する。図14は、実施形態に係る車両管理サーバ200の一連の処理の流れを表すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定の周期で繰り返し行われてよい。
まず、車両管理部223は、入庫処理時及び出庫処理時に、エレベータEVを使用して、搬送対象の車両Mを他のフロアに移動させる必要があるか否かを判定する(ステップS200)。
例えば、車両管理部223は、入庫処理において、車両Mを駐車させることが可能な駐車スペースPSが、車両Mが現在存在するフロア(以下、原フロアと称する)と異なる他のフロアに存在する場合、搬送対象の車両Mを他のフロアに移動させる必要があると判定し、車両Mを駐車させることが可能な駐車スペースPSが、原フロアに存在する場合、搬送対象の車両Mを他のフロアに移動させる必要がないと判定する。
また、例えば、車両管理部223は、出庫処理において、運転開始位置が原フロアと異なる他のフロアに存在する場合、搬送対象の車両Mを他のフロアに移動させる必要があると判定し、運転開始位置が原フロアに存在する場合、搬送対象の車両Mを他のフロアに移動させる必要がないと判定する。
車両管理部223は、搬送対象の車両Mを他のフロアに移動させる必要があると判定した場合、原フロアに比べて移動先のフロアの方が、車両の搬送頻度が高いか否かを判定する(ステップS202)。
例えば、立体駐車場300において、出入口が設けられた最下層のフロアでは、上位層のフロアに入庫させる場合、或いは上位層のフロアから出庫させる場合のいずれであっても、車両Mが通り抜けることになる。そのため、出入口が設けられた最下層のフロアと、上位層のフロアとを比べた場合、出入口が設けられた最下層のフロアは、上位層のフロアよりも車両の搬送頻度が高くなりやすい。
従って、車両管理部223は、例えば、立体駐車場300の上位層のフロアに既に車両Mを駐車しており、そこから出入口が設けられた最下層のフロアへと車両Mを移動させる必要がある場合、すなわち、原フロアが上位層のフロアであり、移動先のフロアが最下層のフロアである場合、原フロアに比べて移動先のフロアの方が車両の搬送頻度が高いと判定し、そうでない場合、原フロアに比べて移動先のフロアの方が車両の搬送頻度が低いと判定してよい。
なお、立体駐車場300が地下駐車場である場合、出入口が設けられたフロアは、立体駐車場300の最上層のフロアとなる。このとき、例えば、地下駐車場の立体駐車場300の下位層のフロアに既に車両Mを駐車しており、そこから出入口が設けられた最上層のフロアへと車両Mを移動させる場合、原フロアが下位層のフロアとなり、移動先のフロアが最上位層のフロアとなる。この場合、車両管理部223は、原フロアに比べて移動先のフロアの方が車両の搬送頻度が高いと判定する。一方、地下駐車場の立体駐車場300に車両Mを駐車させるために最上位層のフロアから車両Mを進入させる場合、原フロアが最上位層のフロアとなり、移動先のフロアが下位層のフロアとなる。この場合、車両管理部223は、原フロアに比べて移動先のフロアの方が車両の搬送頻度が低いと判定する。
車両管理部223は、原フロアに比べて移動先のフロアの方が、車両の搬送頻度が高いと判定した場合、原フロアに存在する複数の搬送ロボット10のうち、他の搬送ロボット10よりも状態が良好な2台の搬送ロボット10を、エレベータEVを介して車両Mと共に移動させる対象に決定する(ステップS204)。
一方、車両管理部223は、原フロアに比べて移動先のフロアの方が、車両の搬送頻度が低いと判定した場合、原フロアに存在する複数の搬送ロボット10のうち、他の搬送ロボット10よりも状態が良好でない2台の搬送ロボット10を、エレベータEVを介して車両Mと共に移動させる対象に決定する(ステップS206)。
なお、搬送対象の車両Mが四輪車両でなく、例えば、六輪車両である場合、車両管理部223は、3台の搬送ロボット10を移動対象に決定してよい。すなわち、車両管理部223は、搬送対象の車両Mの車輪数に応じた数の搬送ロボット10を移動対象に決定してよい。
次に、車両管理部223は、移動対象に決定した複数台の搬送ロボット10が、既にある一つのセットとして組み合わされた搬送ロボット10であるのか否かを判定する(ステップS208)。
車両管理部223は、移動対象に決定した複数台の搬送ロボット10が、互いに異なる複数の既存のセットのそれぞれの一部である場合、新しくセットを組み直す(ステップS210)。これによって本フローチャートの処理が終了する。
図15は、エレベータEVを用いて搬送対象の車両Mを他のフロアに移動させる場面を模式的に表した図である。図示の例では、原フロアは、出入口が設けられた最下層1階のフロアであり、移動先のフロアは、2階のフロアである。このような場合、車両管理部223は、1階のフロアに存在する複数の搬送ロボット10の中から、他の搬送ロボット10よりも状態が良好でない2台の搬送ロボット10i及び10jを移動対象に決定する。
図16及び図17は、セットの組み直し方法を説明するための図である。例えば、原フロアに、第1搬送ロボット10A−1と、第2搬送ロボット10B−1とを組み合わせた第1セットS1と、第1搬送ロボット10A−2と、第2搬送ロボット10B−2とを組み合わせた第2セットS2とが存在したとする。この場合、車両管理部223は、4つの搬送ロボット10の中から、他の搬送ロボット10よりも状態が良好でない2つの搬送ロボット10を搬送対象に決定する。
図16の例では、第1セットS1に含まれる第1搬送ロボット10A−1は、二次電池のSOCが30[%]程度であり、同じ第1セットS1に含まれる第2搬送ロボット10B−1は、二次電池のSOCが100[%]程度である。また、第2セットS2に含まれる第1搬送ロボット10A−2は、二次電池のSOCが30[%]程度であり、同じ第2セットS2に含まれる第2搬送ロボット10B−2は、二次電池のSOCが100[%]程度である。従って、車両管理部223は、例えば、状態が良好でない搬送ロボット10として、第1セットS1に含まれる第1搬送ロボット10A−1と、第2セットS2に含まれる第1搬送ロボット10A−2とを搬送対象に決定する。
第1セットS1に含まれる2つの搬送ロボット10の一方と、第2セットS2に含まれる2つの搬送ロボット10の一方とを搬送対象に決定したため、車両管理部223は、新しくセットを組み直す。例えば、車両管理部223は、図17に示すように、搬送対象に決定した第1搬送ロボット10A−1と第1搬送ロボット10A−2とを新たな第1セットS1#とし、搬送対象に決定しなかった第2搬送ロボット10B−1と第2搬送ロボット10B−2とを新たな第2セットS2#にする。
上述したように、2つの第1搬送ロボット10A及び第2搬送ロボット10Bのうち、第1搬送ロボット10Aはマスター機であり、第2搬送ロボット10Bはスレーブ機である。そのため、新たな第1セットS1#は、マスター機同士の組み合わせとなり、新たな第2セットS2#は、スレーブ機同士の組み合わせとなる。そこで、車両管理部223は、第1セットS1#において、共にマスター機である第1搬送ロボット10A−1及び第1搬送ロボット10A−2のうち、他方の搬送ロボット10よりも状態が良好でない一方の搬送ロボット10をスレーブ機に設定変更し、第2セットS2#において、共にスレーブ機である第2搬送ロボット10B−1及び第2搬送ロボット10B−2のうち、他方の搬送ロボット10よりも状態が良好な一方の搬送ロボット10をマスター機に設定変更する。これによって、2つの搬送ロボット10のうち一方の搬送ロボットに、他方の搬送ロボットの制御に係る演算も行わせることができるため、演算量を少なくしたり、演算時間を短くしたりすることができる。
図14のフローチャートの説明に戻る。次に、駐車位置制御部222は、移動対象に決定された搬送ロボット10に対して入庫指示または出庫指示を送信することで、移動対象に決定された搬送ロボット10を、エレベータEVを用いて移動先のフロアへと移動させる(ステップS212)。
次に、車両管理部223は、移動先のフロアに存在する複数の搬送ロボット10の中から、移動元のフロアへと移動させる搬送ロボット10(以下、代替ロボット10と称する)を決定する(ステップS214)。
図15に示すように、例えば、原フロアである1階から移動先のフロアである2階に2台の搬送ロボット10i及び10jが移動した場合、1階で稼働する搬送ロボット10が2台少なくなり、2階で稼働する搬送ロボット10が2台数増えることになる。そこで、車両管理部223は、移動先のフロアである2階から移動元のフロアである1階へと搬送ロボット10を補充すべく、1階から搬送されてきた搬送ロボット10の代わりとなる代替ロボット10を、2階に存在する複数の搬送ロボット10の中から決定する。
例えば、車両管理部223は、上述したS202の処理と同様に、移動先のフロアに比べて移動元のフロアの方が車両の搬送頻度が高いか否かを判定し、、移動先のフロアに比べて移動元のフロアの方が車両の搬送頻度が高いと判定した場合、移動先のフロアに存在する複数の搬送ロボット10のうち、他の搬送ロボット10よりも状態が良好な2台の搬送ロボット10を、代替ロボット10に決定する。
一方、車両管理部223は、移動先のフロアに比べて移動元のフロアの方が車両の搬送頻度が低いと判定した場合、移動先のフロアに存在する複数の搬送ロボット10のうち、他の搬送ロボット10よりも状態が良好でない2台の搬送ロボット10を、代替ロボット10に決定する。
図15の例では、2階に存在する複数の搬送ロボット10の中で、他の搬送ロボット10よりも状態が良好な2台の搬送ロボット10が代替ロボット10に決定される。
車両管理部223は、代替ロボット10を決定する際、S210の処理と同様に、セットを組み直してよい。
駐車位置制御部222は、車両管理部223によって代替ロボット10が決定されると、その代替ロボット10を、エレベータEVを用いて移動元のフロアへと移動させる(ステップS216)。このように、あるフロアから2台の搬送ロボット10が他のフロアに移動した場合、その他のフロアから元のフロアへと2台の搬送ロボット10を送り返す。すなわち、ある移動元のフロアから移動先のフロアに移動させる搬送ロボット10の数と、移動先のフロアから移動元のフロアに移動させる搬送ロボット10の数とを同じにする。これによって、各フロアの搬送ロボット10の数を一定に保つことができる。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
以上説明した実施形態によれば、エレベータEVが設けられた立体駐車場300に駐車された車両を管理する車両管理システムSが、自走することで車両Mを搬送可能な搬送ロボット10と、立体駐車場300のフロア上で搬送ロボット10を自走させて、搬送ロボット10に車両Mを搬送させる車両管理サーバ200と、を備え、車両管理サーバ200が、立体駐車場300の他のフロアへと車両Mを移動させる場合、搬送ロボット10に車両MをエレベータEVまで搬送させ、その車両Mを乗せたエレベータEVを、他のフロアに移動させる。これによって、立体駐車場300において車両Mを効率よく搬送することができる。
また、上述した実施形態によれば、移動先のフロアの車両の搬送頻度の方が高い場合、移動元のフロアに存在する複数の搬送ロボット10のうち、より状態が良好な搬送ロボット10を移動先のフロアに移動させ、移動先のフロアの車両の搬送頻度の方が低い場合、移動元のフロアに存在する複数の搬送ロボット10のうち、より状態が良好でない搬送ロボット10を移動先のフロアに移動させる。この結果、立体駐車場300において稼働する複数の搬送ロボット10の中で、一部の搬送ロボット10だけが集中して稼働してしまうような稼働状況の偏りを抑制することができる。
また、上述した実施形態によれば、稼働状況の偏りを抑制するために他のフロアに搬送ロボット10を移動させる際に、搬送対象の車両Mの車輪数に応じた数の搬送ロボット10を一つのセットにして移動させるため、移動元のフロアや移動先のフロアで、余剰の搬送ロボット10が生じてしまうことを抑制することができる。
また、上述した実施形態によれば、互いに異なる複数の既存のセットのそれぞれに含まれていた一部の搬送ロボット10を新たなセットにして移動させる場合、既存のセットの残りの一部の搬送ロボット10同士を新たなセットにするため、更に、稼働状況の偏りを抑制することができる。
また、上述した実施形態によれば、稼働状況の偏りを抑制するために他のフロアに搬送ロボット10を移動させる際に、搬送ロボット10を車両Mに同伴させるため、エレベータEVの稼働回数を少なくすることができる。
また、上述した実施形態によれば、稼働状況の偏りを抑制するために他のフロアに搬送ロボット10を移動させた場合、その移動先のフロアから移動元のフロアに同数の搬送ロボット10を送り返すため、各フロアの搬送ロボット10の数を一定に保つことができる。この結果、各フロアの車両の搬送頻度に合わせて搬送ロボット10を稼働させることができる。
また、上述した実施形態によれば、一つのセットとして組み合わせた複数の搬送ロボット10のうち、他の搬送ロボット10よりも状態が良好ないずれか一つの搬送ロボット10をマスター機に決定し、残りの搬送ロボット10をスレーブ機に決定するため、マスター機とスレーブ機がセットになった車両搬送装置1の安定性を向上させることができる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。