JP2021050412A - 接合材料、それを含有する接合材料ペースト、並びにそれらを用いた接合方法及び半導体装置 - Google Patents

接合材料、それを含有する接合材料ペースト、並びにそれらを用いた接合方法及び半導体装置 Download PDF

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正則 臼井
誠 桑原
Makoto Kuwabara
誠 桑原
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翔 龍谿
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聖文 赤松
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Abstract

【課題】冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層を形成することが可能な接合材料を提供すること。【解決手段】平均粒子径が5nm〜50μmの銀粒子と平均粒子径が10nm〜50μmの亜鉛系粒子とを含有し、前記亜鉛系粒子の含有量が前記銀粒子と前記亜鉛系粒子との合計量に対して1〜30質量%であることを特徴とする接合材料。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも銀ナノ粒子を含有する接合材料、それを含有する接合材料ペースト、並びにそれらを用いた接合方法及び半導体装置に関する。
半導体素子の電極接合などにおいては、従来、Sn−Pb系はんだが用いられていたが、近年、環境保全の観点から、鉛フリーはんだといった新規な接合材料が求められている。また、半導体素子の接合技術においては、半導体素子への負荷を低減するために、低温での接合が可能な材料が求められている。さらに、Ag、Cu、Niなどの金属微粒子は、粒径がナノメートルサイズまで小さくなると、その融点よりはるかに低い温度で焼結させることが可能となるため、半導体素子の低温接合などへの応用が期待されている。
しかしながら、このような金属微粒子は、表面が高活性であり、凝集しやすいため、通常、界面活性剤やポリマーなどで被覆して分散安定性を確保している。このため、このような金属微粒子を用いて半導体素子の接合を行う際に加熱処理を施すと、金属微粒子が焼結するとともに界面活性剤やポリマーなどの被膜が分解され、ガスが発生し、金属微粒子間に空隙が生じる。その結果、無加圧や低温では焼結組織が密にならず、十分に高い接合強度が得られなかった。
一方、国際公開第2011/007402号(特許文献1)には、平均粒子径100nm以下で表面に炭素数6〜8の有機物が被覆した銀ナノ粒子等の金属ナノ粒子と、極性溶媒とからなる接合材が記載されている。また、国際公開第2018/030173号(特許文献2)には、銀ナノ粒子と、分散媒と、前記銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部に付着している、炭素鎖にO原子を含むカルボン酸とを含む接合用組成物が記載されている。
金属粒子の焼結は、金属粒子を加熱することによって、金属粒子同士が接合されてネックが形成され、次いで、金属粒子表面の金属原子が金属粒子の表面を拡散してネックが成長することによって進行する。このとき、ネックの成長とともに金属粒子間の空隙が小さくなるが、金属粒子間の空隙が小さくなると、金属粒子からなる接合層の比表面積が小さくなるため、金属原子の表面拡散が起こりにくく、金属粒子からなる接合層内に空隙が残存しやすい。また、金属ナノ粒子は融点が焼結温度に比べてはるかに高いため、金属ナノ粒子内部から金属ナノ粒子表面への金属原子の拡散も起こりにくく、金属ナノ粒子からなる接合層内に空隙が残存しやすい。さらに、同様の理由により、このような空隙は、接合層と被接合部材との間の界面でも残存しやすい。このように空隙が多く存在した接合層や接合層と被接合部材との間の界面は冷熱衝撃に対する耐性が低く、例えば、冷熱サイクル試験によって接合強度が低下するという問題があった。
国際公開第2011/007402号 国際公開第2018/030173号
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層を形成することが可能な接合材料、それを含有する接合材料ペースト、並びにそれらを用いた接合方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、銀粒子と亜鉛系粒子とを特定の割合で配合することによって、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層を形成することが可能な接合材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の接合材料は、平均粒子径が5nm〜50μmの銀粒子と平均粒子径が10nm〜50μmの亜鉛系粒子とを含有し、前記亜鉛系粒子の含有量が前記銀粒子と前記亜鉛系粒子との合計量に対して1〜30質量%であることを特徴とするものである。このような接合材料においては、前記銀粒子が、平均粒子径が5〜250nmの銀ナノ粒子であることが好ましい。また、本発明の接合材料は、酢酸、及び炭素数2〜9の直鎖炭化水素基とカルボキシル基とからなるモノ又はジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のカルボン酸からなるフラックスを更に含有することが好ましい。本発明の接合材料ペーストは、前記本発明の接合材料を含有することを特徴とするものである。
また、本発明の接合方法は、表面が金属からなる第1部材及び第2部材と、該第1部材及び該第2部材の表面に接触している、前記本発明の接合材料又は接合材料ペーストを用いて形成された接合材料層とを備える積層体を形成する工程と、前記接合材料層を加熱して前記銀粒子を構成するAgと前記亜鉛系粒子を構成するZnとを反応させて銀−亜鉛固溶体を含有する接合層を形成せしめる工程と、を含むことを特徴とする方法である。
さらに、本発明の半導体装置は、半導体素子、半導体用基板、及び前記半導体素子と前記半導体用基板との間に配置されており、前記本発明の接合材料又は接合材料ペーストを用いて形成された接合層を備えていることを特徴とするものである。
なお、本発明の接合材料によって冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層を形成することが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の接合材料は、銀粒子と亜鉛系粒子とを含有するものである。このような接合材料を銀粒子の焼結温度で加熱すると、銀粒子が焼結して生成した銀相中にZn原子が固溶し、銀よりも融点が低い銀−亜鉛固溶体が形成される。このように融点が低下した銀−亜鉛固溶体では、Ag原子の拡散(特に、固溶体の内部から表面への拡散)が活性化されるため、銀粒子のみの焼結の場合と比べて結晶粒が成長しやすい。結晶粒が成長した銀−亜鉛固溶体からなる接合層では、銀粒子のみの焼結体からなる接合層に比べて、微細な粒子の割合が少なく、また、接合層内に残存する空隙も少ないため、靭性が向上し、冷熱衝撃に対する耐性も向上すると推察される。
本発明によれば、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層を形成することが可能となり、例えば、冷熱サイクル試験による接合強度の低下が抑制された半導体装置を得ることができる。
本発明により形成される接合層の好適な一実施態様を示す模式図である。 本発明により形成される接合層の他の一実施態様を示す模式図である。 本発明の半導体装置の好適な一実施態様を示す模式図である。 実施例及び比較例で作製した接合体を示す模式図である。 実施例及び比較例で作製した接合体の冷熱サイクル試験における接合強度の維持率を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<接合材料>
先ず、本発明の接合材料について説明する。本発明の接合材料は、平均粒子径が5nm〜50μmの銀粒子と平均粒子径が10nm〜50μmの亜鉛系粒子とを含有するものであり、前記亜鉛系粒子の含有量は前記銀粒子と前記亜鉛系粒子との合計量に対して1〜30質量%である。また、本発明の接合材料は、酢酸、及び炭素数2〜9の直鎖炭化水素基とカルボキシル基とからなるモノ又はジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のカルボン酸からなるフラックスを更に含有することが好ましい。
(銀粒子)
本発明に用いられる銀粒子は、平均粒子径が5nm〜50μmの銀粒子である。平均粒子径が前記下限未満の銀粒子は調製が困難であり、他方、前記上限を超える銀粒子を含有する接合材料は印刷性に劣ったものとなる。また、前記銀粒子の平均粒子径としては、安定して作製することができ、得られる接合材料の印刷性が向上するという観点から、10nm〜10μmが好ましい。特に、銀粒子の粒子径を小さくして表面エネルギーを増大させ、銀と亜鉛との反応性を高めることによって、銀−亜鉛固溶体の形成が促進されるという観点から、前記銀粒子としては銀ナノ粒子が好ましく、その平均粒子径としては5〜250nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。なお、前記銀粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって得られたTEM像において、無作為に200個の銀粒子を抽出し、これらの直径を測定して算術平均することによって求めることができる。
このような銀粒子としては特に制限はなく、従来公知の銀粒子を用いることができる。また、本発明においては、表面が有機被膜で被覆されている銀粒子を用いてもよい。これにより、銀粒子を有機溶媒中に分散させることができ、また、銀粒子の酸化を抑制することができる。前記有機被膜としては焼結時に熱分解等により除去されるものであれば特に制限はなく、例えば、脂肪酸及び脂肪族アミンを含有する有機被膜が挙げられる。このような表面が有機被膜で被覆された銀粒子は、例えば、特開2012−46779号公報に記載の方法によって調製することができる。
さらに、本発明においては、銀粒子として、ペースト状のものを使用することもできる。このような銀ペーストとしては、バンドー化学株式会社製銀ナノ粒子接合材「FlowMetalシリーズ」、大研化学工業株式会社製銀ナノ粒子ペースト「NAG−10」、株式会社ダイセル製銀ナノ粒子ペースト「Picosil(R)シリーズ」、株式会社アサヒ電子研究所製ナノ銀ペースト「アルコナノ(R)銀」等の市販品が挙げられる。
(亜鉛系粒子)
本発明に用いられる亜鉛系粒子は、亜鉛、亜鉛合金及び亜鉛酸化物からなる群から選択される1種からなるものである。このような亜鉛系粒子を用いることによって、この亜鉛系粒子を構成するZnと銀粒子を構成するAgとが反応して銀−亜鉛固溶体が形成される。このような銀−亜鉛固溶体は、銀に比べて融点が低いため、銀粒子の焼結温度での加熱でもAg原子の拡散(特に、固溶体の内部から表面への拡散)が活性化され、結晶粒が成長する。結晶粒が成長した銀−亜鉛固溶体からなる接合層では、残存する空隙が少なくなるため、冷熱衝撃に対する耐性が向上する。
このような亜鉛系粒子の平均粒子径が10nm〜50μmの粒子である。平均粒子径が前記下限未満の亜鉛系粒子は調製が困難であり、他方、前記上限を超える亜鉛系粒子を含有する接合材料は印刷性に劣ったものとなる。また、前記亜鉛系粒子の平均粒子径としては、安定して作製することができ、得られる接合材料の印刷性が向上するという観点から、100nm〜10μmが好ましい。なお、前記亜鉛系粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって得られたTEM像において、無作為に200個の亜鉛系粒子を抽出し、これらの直径を測定して算術平均することによって求めることができる。
このような亜鉛系粒子としては、活性なZn原子によって焼結が促進されるという観点から、金属亜鉛からなる粒子(金属亜鉛粒子)が特に好ましいが、焼成により銀と反応して容易に還元されて金属亜鉛状態となるため、表面の一部又は全部が酸化している亜鉛粒子(すなわち、表面部分酸化亜鉛粒子や表面酸化亜鉛粒子)であっても特に問題はない。また、前記亜鉛系粒子としては、亜鉛合金からなる粒子(亜鉛合金粒子)を用いることもできる。亜鉛合金粒子を構成する合金元素としては、Fe、Ti、Ni、Al等が挙げられる。また、亜鉛合金粒子中のZn含有量としては、Znの活性を有効活用するという観点から、80原子%以上が好ましく、90原子%以上がより好ましい。
また、本発明においては、表面が有機被膜で被覆されている亜鉛系粒子を用いてもよい。これにより、亜鉛系粒子を有機溶媒中に分散させることができ、また、亜鉛系粒子の酸化を抑制することができる。前記有機被膜としては焼結時に熱分解等により除去されるものであれば特に制限はなく、例えば、脂肪酸及び脂肪族アミンを含有する有機被膜が挙げられる。このような表面が有機被膜で被覆された亜鉛系粒子は、例えば、特開2012−46779号公報に記載の方法によって調製することができる。
(フラックス)
本発明に用いられるフラックスは、酢酸、及び炭素数2〜9の直鎖炭化水素基とカルボキシル基とからなるモノ又はジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のカルボン酸である。このようなカルボン酸からなるフラックスを用いることによって、前記亜鉛系粒子の表面に存在する自然酸化膜が還元により除去され、銀と亜鉛との反応性が高まり、銀−亜鉛固溶体の形成が促進され、低温での接合においても高い接合強度が得られる。なお、本発明において、「直鎖炭化水素基とカルボキシル基とからなるモノ又はジカルボン酸」とは、直鎖炭化水素基とカルボキシル基とが直接結合したモノ又はジカルボン酸を意味し、直鎖炭化水素基とカルボキシル基とが他の原子(例えば酸素原子)を介して結合したもの(例えば、メトキシ酢酸等のアルコキシカルボン酸)を包含しないものとする。
前記カルボン酸において、直鎖炭化水素基の炭素数は2〜9であり、4〜8であることが好ましい。直鎖炭化水素基の炭素数が前記上限を超えると、焼成時にカルボン酸が立体障害により接合層の細孔内を通過できず、カルボン酸が接合層内に残存し、低温での接合において接合強度が低下する傾向にある。また、このような直鎖炭化水素基は飽和であっても不飽和であってもよいが、骨格の柔軟性と炭化水素基での反応を抑制するという観点から、飽和炭化水素基が好ましい。
また、前記カルボン酸の酸解離定数(pKa)としては4.5〜6.5が好ましく、4.8〜5.1がより好ましい。カルボン酸のpKaが前記下限未満になると、前記亜鉛系粒子の表面に存在する自然酸化膜を還元により除去できても、焼成時に前記カルボン酸が亜鉛と強固に結合して亜鉛のカルボン酸塩が生成し、この塩が接合層内に残存して焼結を妨げるため、低温での接合において接合強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記亜鉛系粒子の表面に存在する自然酸化膜を十分に除去できず、低温での接合において接合強度が向上しない傾向にある。
さらに、前記カルボン酸の沸点としては100〜270℃が好ましく、150〜260℃がより好ましい。カルボン酸の沸点が前記下限未満になると、焼成時の昇温過程でカルボン酸が蒸発するため、前記亜鉛系粒子の表面に存在する自然酸化膜を十分に除去できず、低温での接合において接合強度が向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、焼成時にカルボン酸が蒸発せず、接合層内に残存するため、低温での接合において接合強度が低下する傾向にある。
このようなカルボン酸としては、例えば、酢酸(炭素数2、pKa=4.56(25℃)、沸点:115℃)、プロピオン酸(炭素数3(うち、直鎖炭化水素基の炭素数2)、pKa=4.87(25℃)、沸点:141℃)、酪酸(炭素数4(うち、直鎖炭化水素基の炭素数3)、pKa=4.82(25℃)、沸点:164℃)、吉草酸(炭素数5(うち、直鎖炭化水素基の炭素数4)、pKa=4.82(25℃)、沸点:186℃)、ヘキサン酸(炭素数6(うち、直鎖炭化水素基の炭素数5)、pKa=4.85(25℃)、沸点:205℃)、ヘプタン酸(炭素数7(うち、直鎖炭化水素基の炭素数6)、pKa=4.89(25℃)、沸点:223℃)、オクタン酸(炭素数8(うち、直鎖炭化水素基の炭素数7)、pKa=4.89、沸点:239.7℃)、ノナン酸(炭素数9(うち、直鎖炭化水素基の炭素数8)、pKa=4.96(25℃)、沸点:254℃)、デカン酸(炭素数10(うち、直鎖炭化水素基の炭素数9)、pKa=4.9、沸点:270℃)等の飽和モノカルボン酸;クロトン酸(炭素数4(うち、直鎖炭化水素基の炭素数3)、pKa=4.69、沸点:185℃)、ソルビン酸(炭素数6(うち、直鎖炭化水素基の炭素数5)、pKa=4.76、沸点:228℃)等の不飽和モノカルボン酸;コハク酸(炭素数4(うち、直鎖炭化水素基の炭素数2)、pKa=4.2、pKa=5.6、沸点:235℃)等の飽和ジカルボン酸;マレイン酸(炭素数4(うち、直鎖炭化水素基の炭素数2)、pKa=1.92、pKa=6.34、沸点:135℃)等の不飽和ジカルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸のうち、前記亜鉛系粒子の表面に存在する自然酸化膜を十分に除去でき、接合層内に残存しにくく、低温での接合においても高い接合強度が得られるという観点から、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、ソルビン酸、マレイン酸が好ましく、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸がより好ましく、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸が特に好ましい。
(接合材料)
本発明の接合材料は、前記銀粒子と前記亜鉛系粒子とを含有するものであり、前記亜鉛系粒子の含有量は前記銀粒子と前記亜鉛系粒子との合計量に対して1〜30質量%である。亜鉛系粒子の含有量が前記下限未満になると、銀−亜鉛固溶体が十分に形成されず、得られる接合層に空隙が残存しやすく、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層が得られない。他方、亜鉛系粒子の含有量が前記上限を超えると、銀−亜鉛固溶体中に亜鉛系粒子が残存するため、得られる接合層は冷熱衝撃に対する耐性に劣ったものとなる。また、銀−亜鉛固溶体が十分に形成され、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層が得られるという観点から、亜鉛系粒子の含有量としては、5〜25質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましく、15〜25質量%が特に好ましい。
本発明の接合材料においては、前記カルボン酸からなるフラックスが更に含まれていることが好ましい。これにより、前記亜鉛系粒子の表面に存在する自然酸化膜が還元により除去されるため、銀と亜鉛との反応性が高まり、銀−亜鉛固溶体の形成が促進される。また、前記フラックスが蒸発しやすいため、接合層内に前記フラックスが残存しにくい。これらの結果、低温での接合においても高い接合強度が得られる。本発明の接合材料において、前記フラックスの含有量としては特に制限はないが、前記銀粒子と前記亜鉛系粒子との合計量1g当たり1×10−7〜1×10−3molが好ましく、1×10−6〜1×10−4molがより好ましい。フラックスの含有量が前記下限未満になると、前記亜鉛系粒子の表面に存在する自然酸化膜が十分に還元されず、銀と亜鉛との反応が阻害され、低温での接合において接合強度が向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックスが十分に除去されず、接合層内に残存するため、低温での接合において接合強度が低下する傾向にある。
このような本発明の接合材料は、例えば、前記銀粒子と前記亜鉛系粒子と、必要に応じて前記フラックスとが所定の割合となるように、これらを混合することによって製造することができる。また、ペースト状の接合材料を調製する場合には、前記銀粒子と前記亜鉛系粒子と、必要に応じて前記フラックスとが所定の割合となるように、前記銀粒子と前記亜鉛系粒子とを混合し、得られた混合粒子と有機溶媒とを混合し、さらに必要に応じて前記フラックスを混合してもよいし、前記銀粒子のペーストと前記亜鉛系粒子のペーストやインクとを混合し、さらに必要に応じて前記フラックスを混合してもよいし、前記銀粒子のペーストに前記亜鉛系粒子を添加して混合し、さらに必要に応じて前記フラックスを混合してもよいし、前記亜鉛系粒子のペーストやインクに前記銀粒子を添加して混合し、さらに必要に応じて前記フラックスを混合してもよい。さらに、前記銀粒子と前記亜鉛系粒子との混合粒子の分散液を調製した後、ペースト状になるまでエバポレータ等を用いて濃縮し、その後、必要に応じて前記フラックスを混合してもよい。
このような接合材料ペーストに用いられる有機溶媒としては特に制限はないが、例えば、炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、含窒素有機化合物等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記炭化水素としては、脂肪族炭化水素、環状炭化水素、脂環式炭化水素、不飽和炭化水素等が挙げられる。前記脂肪族炭化水素としては、テトラデカン、オクタデカン、ヘプタメチルノナン、テトラメチルペンタデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トリデカン、メチルペンタン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素が挙げられる。前記環状炭化水素としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。前記脂環式炭化水素としては、リモネン、ジペンテン、テルピネン、ネソール、シネン、オレンジフレーバー、テルピノレン、フェランドレン、メンタジエン、テレベン、サイメン、ジヒドロサイメン、モスレン、カウツシン、カジェプテン、ピネン、テレビン、メンタン、ピナン、テルペン、シクロヘキサン等が挙げられる。前記不飽和炭化水素としては、エチレン、アセチレン、ベンゼン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−ビニルシクロヘキセン、テルペン系アルコール、アリルアルコール、オレイルアルコール、2−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、チアンシ酸、リシノール酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、アクリル酸、メタクリル酸、没食子酸、サリチル酸等が挙げられる。
前記アルコールとしては、脂肪族アルコール、環状アルコール、脂環式アルコール等が挙げられる。前記脂肪族アルコールとしては、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール等)、ノナノール、デカノール(1−デカノール等)、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、イソトリデカノール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール等の炭素数6〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アルコール等が挙げられる。前記環状アルコールとしては、クレゾール、オイゲノール等が挙げられる。前記脂環式アルコールとしては、シクロヘキサノール等のシクロアルカノール、テルピネオール(α、β、γ異性体、又はこれらの任意の混合物を含む。)、ジヒドロテルピネオール等のテルペンアルコール(モノテルペンアルコール等)、ジヒドロターピネオール、ミルテノール、ソブレロール、メントール、カルベオール、ペリリルアルコール、ピノカルベオール、ベルベノール、テルソルブ(MTPH)等が挙げられる。
前記エーテルとしては、グリコールエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。前記エステルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、乳酸エチル等が挙げられる。前記ケトンとしては、γ−ブチルラクトン等が挙げられる。前記含窒素有機化合物としては、1−メチルピロリジノン、ピリジン等が挙げられる。
接合材料ペーストにおける前記有機溶媒の含有量としては、取扱いやすく、得られる接合層に有機溶媒に由来するボイドが発生しにくいという観点から、ペーストの場合には、1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。
<接合方法>
次に、本発明の接合方法について説明する。本発明の接合方法は、表面が金属からなる第1部材及び第2部材と、該第1部材及び該第2部材の表面に接触している、前記本発明の接合材料又は接合材料ペーストを用いて形成された接合材料層とを備える積層体を形成する工程と、前記接合材料層を加熱して前記銀粒子を構成するAgと前記亜鉛系粒子を構成するZnとを反応させて銀−亜鉛固溶体を含有する接合層を形成せしめる工程と、を含む方法である。
本発明の接合方法においては、先ず、第1部材と、第2部材と、これら第1部材及び第2部材の表面に接触している、前記本発明の接合材料又は接合材料ペーストを用いて形成された接合材料層とを備える積層体を形成する。このような積層体を形成する方法としては特に制限はないが、例えば、第1部材の表面に本発明の接合材料ペーストを印刷又は塗工し、形成した接合材料ペースト層の表面に第2部材を配置する方法;第1部材の表面に本発明の接合材料を圧粉して成形したシート(以下、「接合材料シート」という。)を積層し、この接合材料シートの表面に第2部材を積層する方法;接合材料シートを第1部材及び第2部材で挟持する方法等が挙げられる。
第1部材としては、表面が金属のものであれば特に制限はないが、例えば、Cu板(例えば、半導体用基板)、表面に金属を貼り付けたセラミック板、Cu合金やNi合金等の合金板が挙げられる。また、第2部材としては、表面が金属のものであれば特に制限はないが、例えば、半導体素子(Siチップ、SiCチップ、GaNチップ)、金属板(Cu板、Ni板、Al板)が挙げられる。
次に、このようにして形成した第1部材/接合材料層/第2部材からなる積層体を加熱して接合材料層を構成する銀粒子を焼結させる。このとき、銀粒子を構成するAgと亜鉛系粒子を構成するZnとが反応して銀−亜鉛固溶体が形成される。このような銀−亜鉛固溶体は、銀に比べて融点が低いため、Ag原子の拡散(特に、固溶体の内部から表面への拡散)が活性化され、結晶粒が成長する。結晶粒が成長した銀−亜鉛固溶体からなる接合層では、残存する空隙が少なくなるため、靭性に優れており、冷熱衝撃に対する耐性が向上する。
本発明の接合方法における焼結温度としては、銀粒子が焼結するとともに銀−亜鉛固溶体が十分に形成される温度であれば特に制限はないが、200〜400℃が好ましく、230〜350℃がより好ましい。また、焼結時間としては、銀粒子が十分に焼結するとともに銀−亜鉛固溶体が十分に形成される時間であれば特に制限はないが、3〜60分間が好ましく、10〜40分間がより好ましい。
また、本発明の接合方法においては、前記積層体を、無加圧で加熱して銀粒子を焼結させてもよいが、0.01〜10MPa(より好ましくは0.1〜1MPa)の圧力で加圧しながら加熱して銀粒子を焼結させることが好ましい。これにより、接合層に残存する空隙を更に減少させることができ、得られる接合層において、冷熱衝撃に対する耐性を更に向上させることができる。
本発明の接合方法により形成される接合層11は、図1に示すように、銀−亜鉛固溶体12のみからなる均一なものであることが好ましいが、本発明の効果が損なわれない範囲において、図2に示すように、銀−亜鉛固溶体12中に銀焼結粒子21や亜鉛系粒子22、銀−亜鉛金属間化合物23が残存したものであってもよい。
また、亜鉛系粒子の表面の一部又は全部が酸化していても、AgとZnとの反応の際にZn酸化物が還元されて反応生成物は系外に放出されるため、本発明の接合方法により形成される接合層内には、接合層の緻密化を阻害し、脆化を進行させる亜鉛酸化物はほとんど残存していない。
さらに、本発明の接合方法においては、前記亜鉛系粒子表面のZn酸化物を十分に還元して反応生成物を系外に放出させ、前記接合層から前記亜鉛酸化物を十分に除去するために、前記接合材料又は前記接合材料ペーストとして前記フラックスを含有するものを用いることが好ましい。これにより、270℃以下の低温での接合においても高い接合強度が得られる。
なお、前記フラックスを含有する接合材料又は接合材料ペーストを用いることによって、270℃以下の低温での接合において接合強度が向上する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、前記フラックスを含有する接合材料又は接合材料ペーストを用いた場合、前記フラックスによって前記亜鉛系粒子表面のZn酸化物が十分に還元され、前記亜鉛系粒子の表面が活性化されるため、前記フラックスを用いなかった場合に比べて、270℃以下の低い焼成温度でも、銀と亜鉛とが反応しやすく、銀−亜鉛固溶体が形成しやすい。また、前記フラックスは、沸点が低く、蒸発しやすいため、270℃以下の低い焼成温度でも焼成時に接合層から除去されやすく、接合層内に残存しにくい。これらの結果、前記フラックスを用いることによって、270℃以下の低温での接合において接合強度が向上すると推察される。
一方、ロジン等の従来のフラックスを用いた場合には、前記亜鉛系粒子表面のZn酸化物が還元され、前記亜鉛系粒子の表面が活性化されるため、270℃以下の低い焼成温度でも、銀と亜鉛とが反応しやすく、銀−亜鉛固溶体が形成されやすいが、ロジン等の従来のフラックスは、沸点が高く、270℃以下の低い焼成温度では焼成時に蒸発しにくく、接合層内に残存しやすい。このため、ロジン等の従来のフラックスを用いた場合には、270℃以下の低温での接合において接合強度が十分に向上しないと推察される。
このような本発明の接合方法によって製造されるものとしては、図3に示すような半導体装置が挙げられる。具体的には、前記第1部材として半導体用基板31、前記第2部材として半導体素子32を使用し、本発明の接合方法を適用することによって、半導体用基板31、半導体素子32、及び半導体用基板31と半導体素子32との間に配置されており、前記本発明の接合材料を用いて形成された、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層33を備えている半導体装置を製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、銀ナノ粒子ペースト(バンドー化学株式会社製「FlowMetal XSR9800D」、銀ナノ粒子の平均粒子径:50nm、銀ナノ粒子濃度:90質量%)と亜鉛粉末(株式会社高純度化学研究所製、平均粒子径:7μm)とを質量比8:2で混合し、得られた混合ペーストにα−テルピネオールを前記混合ペースト1gに対して5μl添加して、亜鉛粒子の含有量が銀ナノ粒子と亜鉛粒子との合計量に対して22質量%である接合材料ペーストを調製した。
次に、この接合材料ペーストを用いて図4に示す接合体(半導体装置)を作製した。すなわち、表面側からAg層(厚さ:100nm)/Ni層(厚さ:500nm)/Ti層(厚さ:100nm)が積層された多層膜41を有する銅板(デンカ株式会社製)42のAg表面の5mm×5mmの領域に前記接合材料ペーストを厚さ100μmとなるように塗布し、得られた接合材料層上に、表面側からAg層(厚さ:100nm)/Ni層(厚さ:500nm)/Ti層(厚さ:100nm)が積層されている多層膜41を有するSiCウエハ(タンケブルー社製、4H構造SiC単結晶(0001)面)から切出したSiCチップ(5mm×5mm×厚さ0.35mm)43を、前記接合材料層と前記SiCチップ43のAg表面とが接するように積層した。
得られた積層体に、大気中、70℃で50分間予備加熱を施した後、窒素雰囲気中、前記積層体の積層面に面圧が1MPaとなるように一軸荷重を印加しながら、前記積層体を、室温から330℃まで5℃/分の昇温速度で加熱し、さらに、330℃で30分間加熱して前記接合材料層中のAgとZnとを反応させてAg−Zn固溶体を含有する接合層44を形成させ、前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
(実施例2)
前記銀ナノ粒子ペーストと前記亜鉛粉末との質量比を19:1に変更して亜鉛粒子の含有量が銀ナノ粒子と亜鉛粒子との合計量に対して6質量%である接合材料ペーストを調製した以外は実施例1と同様にして前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
(比較例1)
前記亜鉛粉末及びα−テルピネオールを用いなかった以外は実施例1と同様にして前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
(比較例2)
前記銀ナノ粒子ペーストと前記亜鉛粉末との質量比を7:3に変更して亜鉛粒子の含有量が銀ナノ粒子と亜鉛粒子との合計量に対して32質量%である接合材料ペーストを調製した以外は実施例1と同様にして前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
<接合強度測定>
得られた前記半導体装置(接合体)の前記銅板42と前記SiCチップ43との接合強度を以下のようにして測定した。すなわち、ツール高さ:銅板表面から50μm、せん断速度:50μm/秒の条件で、SiCチップにせん断ツールを当ててせん断試験を行い、SiCチップの接合面積あたりのせん断強度を求め、これを接合強度とした。その結果を表1に示す。
<冷熱サイクル試験>
得られた前記半導体装置(接合体)を−40℃で30分間冷却した後、200℃で30分間加熱する冷熱処理を100回(100サイクル)繰返した。100サイクルの冷熱処理を施した後の前記半導体装置(接合体)の前記銅板42と前記SiCチップ43との接合強度を前記方法により測定した。その結果を表1に示す。また、冷熱サイクル試験における接合強度の維持率(=試験後の接合強度/試験前の接合強度×100)を表1及び図5に示す。
Figure 2021050412
表1及び図5に示したように、銀ナノ粒子と亜鉛粒子とを所定の割合で含有する接合材料ペーストを用いた場合(実施例1〜2)には、亜鉛粒子を含んでいない接合材料ペーストを用いた場合(比較例1)及び亜鉛粒子を所定の割合よりも多く含有する接合材料ペーストを用いた場合(比較例2)に比べて、得られる接合体の冷熱サイクル試験による接合強度の低下が抑制されることがわかった。
(実施例3)
先ず、銀ナノ粒子ペースト(バンドー化学株式会社製「FlowMetal XSR9800D」、銀ナノ粒子の平均粒子径:50nm、銀ナノ粒子濃度:90質量%)と亜鉛粉末(株式会社高純度化学研究所製、平均粒子径:7μm)とを質量比8:2で混合し、得られた混合ペーストにオクタン酸(炭素数8(うち、直鎖炭化水素基の炭素数7)、pKa=4.89、沸点:239.7℃)を前記混合ペースト1gに対して1×10−5mol滴下して、亜鉛粒子の含有量が銀ナノ粒子と亜鉛粒子との合計量に対して22質量%である接合材料ペーストを調製した。
次に、この接合材料ペーストを用いて図4に示す接合体(半導体装置)を作製した。すなわち、表面側からAg層(厚さ:100nm)/Ni層(厚さ:500nm)/Ti層(厚さ:100nm)が積層された多層膜41を有する銅板(デンカ株式会社製)42のAg表面の5mm×5mmの領域に前記接合材料ペーストを厚さ100μmとなるように塗布し、得られた接合材料層上に、表面側からAg層(厚さ:100nm)/Ni層(厚さ:500nm)/Ti層(厚さ:100nm)が積層されている多層膜41を有するSiCウエハ(タンケブルー社製、4H構造SiC単結晶(0001)面)から切出したSiCチップ(5mm×5mm×厚さ0.35mm)43を、前記接合材料層と前記SiCチップ43のAg表面とが接するように積層した。
得られた積層体を窒素雰囲気中、無加圧下、270℃で30分間加熱して前記接合材料層中のAgとZnとを反応させてAg−Zn固溶体を含有する接合層44を形成させ、前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
(実施例4)
オクタン酸の代わりに酢酸(炭素数2、pKa=4.56、沸点:115℃)を前記混合ペースト1gに対して1×10−5mol用いた以外は実施例3と同様にして前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
(実施例5)
オクタン酸の代わりにデカン酸(炭素数10(うち、直鎖炭化水素基の炭素数9)、pKa=4.9、沸点:270℃)を前記混合ペースト1gに対して1×10−5mol用いた以外は実施例3と同様にして前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
(実施例6)
オクタン酸の代わりにマレイン酸(炭素数4(うち、直鎖炭化水素基の炭素数2)、pKa=1.92、pKa=6.34、沸点:135℃)を前記混合ペースト1gに対して1×10−5mol用いた以外は実施例3と同様にして前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
(実施例7)
オクタン酸を用いなかった以外は実施例3と同様にして前記銅板42/前記多層膜41/前記接合層44/前記多層膜41/前記SiCチップ43からなる接合体(半導体装置)を作製した。
<接合強度測定>
得られた前記半導体装置(接合体)の前記銅板42と前記SiCチップ43との接合強度を以下のようにして測定した。すなわち、ツール高さ:銅板表面から50μm、せん断速度:50μm/秒の条件で、SiCチップにせん断ツールを当ててせん断試験を行い、SiCチップの接合面積あたりのせん断強度を求め、これを接合強度とした。その結果を表2に示す。
Figure 2021050412
表2に示したように、銀ナノ粒子と亜鉛粒子とを所定の割合で含有する接合材料ペーストに、オクタン酸、酢酸、デカン酸又はマレイン酸からなるフラックスを混合することによって、無加圧、270℃の低温での接合においても、高い接合強度を有する接合体が得られることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層を形成することが可能となる。
したがって、本発明の接合方法は、冷熱衝撃に対する耐性に優れた接合層を形成することが可能な接合材料を使用しているため、冷熱衝撃による接合強度の低下が抑制され、信頼性に優れた半導体装置等を製造する方法として有用である。
11:接合層
11a:銀−亜鉛固溶体
11b:銀焼結粒子
11c:亜鉛系粒子
11d:銀−亜鉛金属間化合物
12:表面が金属からなる部材
31:半導体用基板
32:半導体素子
33:接合層
34:リードフレーム
35:ボンディングワイヤ
41:多層膜
42:銅板
43:SiCチップ
44:接合層

Claims (6)

  1. 平均粒子径が5nm〜50μmの銀粒子と平均粒子径が10nm〜50μmの亜鉛系粒子とを含有し、前記亜鉛系粒子の含有量が前記銀粒子と前記亜鉛系粒子との合計量に対して1〜30質量%であることを特徴とする接合材料。
  2. 前記銀粒子が、平均粒子径が5〜250nmの銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の接合材料。
  3. 酢酸、及び炭素数2〜9の直鎖炭化水素基とカルボキシル基とからなるモノ又はジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のカルボン酸からなるフラックスを更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の接合材料。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の接合材料を含有することを特徴とする接合材料ペースト。
  5. 表面が金属からなる第1部材及び第2部材と、該第1部材及び該第2部材の表面に接触している、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の接合材料又は請求項4に記載の接合材料ペーストを用いて形成された接合材料層とを備える積層体を形成する工程と、
    前記接合材料層を加熱して前記銀粒子を構成するAgと前記亜鉛系粒子を構成するZnとを反応させて銀−亜鉛固溶体を含有する接合層を形成せしめる工程と、
    を含むことを特徴とする接合方法。
  6. 半導体素子、半導体用基板、及び前記半導体素子と前記半導体用基板との間に配置されており、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の接合材料又は請求項4に記載の接合材料ペーストを用いて形成された接合層を備えていることを特徴とする半導体装置。
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