JP2021050277A - 樹脂組成物、成形体および該樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、成形体および該樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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知大 柴山
Tomohiro Shibayama
知大 柴山
西嶋 孝一
Koichi Nishijima
孝一 西嶋
久夫 五戸
Hisao Itsudo
久夫 五戸
和幸 大木
Kazuyuki Oki
和幸 大木
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Abstract

【課題】セルロースナノファイバーの分散性が確保されるとともに、機械特性が向上した成形体を得ることが可能な樹脂組成物を提供する。【解決手段】化学修飾セルロースナノファイバー(A)と、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)と、を含む樹脂組成物であって、上記樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、上記化学修飾セルロースナノファイバー(A)の含有量が3質量%以上20質量%以下である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、成形体および該樹脂組成物の製造方法に関する。
近年、環境負荷の少ない天然物由来材料が注目されている。天然物の中でもセルロースは生産量も多いことから、高強度性、軽量性等の様々な機能性を有する材料への利用が期待されている。
例えば、特許文献1には、オレフィンおよび不飽和カルボン酸(塩)を必須構成単量体として含む共重合体からなる微粒子と、セルロースナノファイバーと、水性媒体とを含むことを特徴とするセルロースナノファイバー水性分散体が開示されている。
また、特許文献2には、セルロース繊維と、エチレンおよび不飽和カルボン酸を共重合成分として含むエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体またはそのアイオノマー樹脂と、を含む樹脂組成物が開示されている。
特開2015−196790号公報 特開2014−40535号公報
これらの樹脂組成物がその機能性を発揮するためには、樹脂組成物中において、樹脂とセルロースナノファイバーとが均一に分散している方が有利である。
しかし、成形体として使用するために水性分散体を乾燥させるとセルロースナノファイバーが凝集し、樹脂中に均一に分散されない場合があった。セルロースナノファイバーの分散性が劣る成形体は、上記のような機能性を発揮し難い。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、セルロースナノファイバーの分散性が確保されるとともに、機械特性が向上した成形体を得ることが可能な樹脂組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、化学修飾セルロースナノファイバーと、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体と、を含む樹脂組成物において、化学修飾セルロースナノファイバーの含有量を特定の範囲とすることによりセルロースナノファイバーの分散性が確保されるとともに、機械特性が向上した成形体を得ることが可能な樹脂組成物が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す樹脂組成物、成形体および該樹脂組成物の製造方法が提供される。
[1]
化学修飾セルロースナノファイバー(A)と、
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)と、
を含む樹脂組成物であって、
上記樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、上記化学修飾セルロースナノファイバー(A)の含有量が3質量%以上20質量%以下である樹脂組成物。
[2]
上記[1]に記載の樹脂組成物において、
上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)の全体を100質量%としたとき、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が、1質量%以上25質量%以下である、樹脂組成物。
[3]
上記[1]または[2]に記載の樹脂組成物において、
上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)のカルボキシル基の中和度が1モル%以下である樹脂組成物。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の樹脂組成物において、
上記不飽和カルボン酸がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む樹脂組成物。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の樹脂組成物において、
上記樹脂組成物中の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位が、1質量%以上20質量%以下である、樹脂組成物。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
[7]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法であって、
化学修飾セルロースナノファイバー(A)およびエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B1)を含むマスターバッチと、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)を含むベース樹脂と、を溶融混練する工程を含み、
上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)が上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B1)および上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)から構成される樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、セルロースナノファイバーの分散性が確保されるとともに、機械特性が向上した成形体を得ることが可能な樹脂組成物を提供することができる。
以下に、本発明における実施の形態について説明する。
1.樹脂組成物
本実施形態に係る樹脂組成物は、化学修飾セルロースナノファイバー(A)と、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)と、を含み、樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、化学修飾セルロースナノファイバー(A)の含有量が3質量%以上20質量%以下である。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、そして好ましくは18質量%以下である。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)の含有量が上記範囲内であると、化学修飾セルロースナノファイバー(A)の樹脂組成物中での分散性を向上させることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物において、樹脂組成物中の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上15質量%以下である。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が上記範囲内であると、化学修飾セルロースナノファイバー(A)の樹脂組成物中での分散性をより一層向上させることができる。
<化学修飾セルロースナノファイバー(A)>
本実施形態において、化学修飾セルロースナノファイバー(A)は、セルロースナノファイバーの表面を特定の官能基で化学修飾したものである。
本実施形態に係る樹脂組成物によれば、化学修飾セルロースナノファイバー(A)による補強効果により機械特性に優れた成形体を得ることができる。
本実施形態において、セルロースナノファイバーには、セルロースで構成されるナノファイバーおよびリグノセルロースで構成されるナノファイバー等が含まれる。また、セルロースナノファイバーには、ミクロフィブリル化されたセルロース繊維およびミクロフィブリル化されたリグノセルロース繊維等も含まれる。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)の平均繊維径は、ナノメーターサイズであれば特に限定されないが、例えば1000nm未満であり、化学修飾セルロースナノファイバー(A)の樹脂組成物中での分散性をより一層向上させる観点から、好ましくは3nm以上500nm以下、より好ましくは5nm以上300nm以下である。
上記平均繊維径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した20本の繊維の直径(幅)の平均値とすることができる。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)の平均繊維長に特に制限はないが、例えば0.5μm以上20μm以下であり、好ましくは1μm以上15μm以下である。上記平均繊維長が上記下限値以上であることにより、引張り強さ等の機械特性により一層優れた成形体を得ることができる。上記平均繊維長が上記上限値以下であることにより、化学修飾セルロースナノファイバー(A)の樹脂組成物中での分散性をより一層向上させることができ、得られる成形体の引張強さや剛性等の機械特性をより一層向上させることができる。
上記平均繊維長は、電子顕微鏡を用いて観察した20本の繊維の長さの平均値とすることができる。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)は、水酸基が化学修飾されている。化学修飾セルロースナノファイバー(A)は、水酸基が化学修飾されていることにより、水素結合による自己凝集が抑制されてエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)と複合化した際の分散性に優れ、その結果、得られる成形体の機械特性を向上させることができる。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)は、アルキル基、アシル基、カルボキシル基、シラノール基、シリル基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種の化学修飾基を有することが好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。
上記アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜8のアシル基等が挙げられる。
上記カルボキシル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基や、フェノキシカルボニル基等の炭素数6〜11のアリールカルボキシル基等が挙げられる。
上記シラノール基としては、例えば、メチルシラノール基、エチルシラノール基、プロピルシラノール基、ヘキシルシラノール基、オクチルシラノール基、デシルシラノール基、ドデシルシラノール基、オクタデシルシラノール基、ベンジルシラノール基、フェニルエチルシラノール基、フェニルプロピルシラノール基、ビフェニルシラノール基等が挙げられる。
上記シリル基としては、−SiR(ここで、Rは、例えば、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、3つのRは同一でも異なってもよい)で表されるものが挙げられ、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のアルキルシリル基等が挙げられる。
上記エポキシ基としては、例えば、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基、脂環式エポキシ基等が挙げられ、より具体的には、3,4−エポキシブチル基、グリシジルオキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられる。
上記アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ピペリジル基、ピペリジル基等の炭素数1〜12のアルキル基が離間したジアルキルアミノ基が挙げられる。
上記ビニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アクリル基等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)としては、従来公知のものを用いることができる。
化学修飾セルロースナノファイバー(A)のうち市販品としては、例えば、王子ホールディングス社製の「ウェットパウダー状CNF」、日本製紙社製の「TEMPO酸化CNF」、星光PMC社製の「変性セルロース配合樹脂」および「変性セルロースパウダー」、中越パルプ工業社製の「表面疎水化ナノセルロース」、モリマシナリー社製の「粉末セルロースナノファイバー」、大阪ガス社製の「フルオレンセルロースナノファイバー」等が挙げられる。
<エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)>
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)は、透明性と入手のしやすさの点から、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が、好ましくは1質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上25質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以上23質量%以下である。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)における不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等が挙げられる。これらの中でも、ポリマーの生産性、衛生性等の観点から、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
これらの不飽和カルボン酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)は、エチレンと不飽和カルボン酸の二元共重合体のみならず、他の単量体が任意に共重合された多元共重合体であってもよい。
上記任意に共重合されていてもよい他の共重合成分としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等の不飽和カルボン酸エステル;一酸化炭素;二酸化硫黄等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは不飽和カルボン酸エステルであり、より好ましくはアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種である。なお、これら他の共重合成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)は、共重合成分として、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルをさらに含むと、得られる成形体の柔軟性が向上する点で好ましい。エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)は、不飽和カルボン酸エステルをさらに含む場合、不飽和カルボン酸エステルの共重合量は、好ましくは0質量%を超え30質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)は、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(JIS K7210−1:2014に準拠)が、好ましくは1g/10分以上1000g/10分以下であり、より好ましくは5g/10分以上750g/10分以下であり、さらに好ましくは10g/10分以上500g/10分以下である。MFRが上記範囲内であると、成形性・加工性の点で好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)の製造方法は特に限定されないが、公知の重合方法によって製造することができる。例えば、エチレンと不飽和カルボン酸を高温、高圧下でラジカル共重合することによって得ることができる。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)は、例えばランダム共重合体である。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)は、カルボキシル基の一部がアミノ化合物等により中和されていてもよいが、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のカルボキシル基の中和度は、好ましくは1モル%以下であり、より好ましくは0.5モル%以下であり、さらに好ましくは0.1モル%以下、特に好ましくは0.01モル%以下である。
上記アミノ化合物としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−ジメチルアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
本実施形態において、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の成分>
本実施形態に係る樹脂組成物は、化学修飾セルロースナノファイバー(A)およびエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)に加え、本発明の効果が損なわれない範囲において、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)以外の熱可塑性樹脂、相溶化剤、カップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、老化防止剤、光拡散剤、可塑剤、有機色素、染料、顔料、滑剤、耐衝撃改良剤、金属不活性剤、難燃剤、難燃助剤、スリップ剤、強化剤、離型剤等の添加剤;等を1種単独含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)以外の熱可塑性樹脂を含有する場合、分散性や機械特性の観点から、樹脂組成物中の樹脂成分全体を100質量%としたとき、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)の含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
2.樹脂組成物の製造方法
本実施形態に係る樹脂組成物は、化学修飾セルロースナノファイバー(A)と、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)と、必要に応じて添加される上記その他の成分とを同時または逐次的に混合することにより製造することができる。
混合方法としてはドライブレンドまたはメルトブレンドが挙げられ、室温下で加熱せずに混合してから加熱してもよいし、加熱しながら混合してもよい。
ドライブレンドには、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等の各種ミキサーを用いることができる。
また、メルトブレンドする場合は、一軸または二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー等の混練装置を用いて溶融混練することができる。溶融混錬する際の温度は、熱可塑性樹脂の融点等により異なるが、例えば、130℃以上230℃以下である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、化学修飾セルロースナノファイバー(A)およびエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B1)を含むマスターバッチと、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)を含むベース樹脂と、を溶融混練することにより製造することもできる。ここで、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)はエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B1)およびエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)から構成される。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B1)およびエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)としては、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)と同様である。
ベース樹脂はエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)を含み、前述のその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。ベース樹脂全体に対するエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)の配合量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
3.成形体
本実施形態に係る成形体は、例えば、上記樹脂組成物を、押出成形、射出成形、圧縮成形、中空成形等の公知の成形方法により、シート形状、フィルム形状、板形状、それ以外の立体形状等の各種形状に成形することにより得ることができる。
また、本実施形態に係る成形体は、本発明の効果を損なわない範囲内において、その表面に無機または有機化合物によるハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理、電磁遮蔽処理等をおこなってもよい。これらの処理は、成形体の表面に蒸着、スパッタリング、ディッピング、熱転写等によりおこなうことができる。
本実施形態に係る成形体は特に限定されないが、例えば、光学材料、電気・電子機器の内装または外装部品、電子部品用トレイ、自動車用材料、各種機械部品、住宅・建築用材料、管、チューブ、玩具、日用雑貨等の幅広い分野で用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、使用した原料および得られた成形体に関する性能の評価方法および結果を以下に示す。メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1:2014に準拠して190℃、2160g荷重にて測定した。
<樹脂組成物の作製>
表1記載の樹脂および表2記載のCNF−MBを原料として使用した。なお、表1における酸含量とはエチレン・メタクリル酸共重合体中のメタクリル酸に由来する構成単位の含有率であり、CNF−MBは表1記載のEMAA−2とCNFとから構成されるマスターバッチである。
Figure 2021050277
表1記載のEMAA−1と表2記載のCNF−MBを用いて、表3記載の樹脂組成物を作製した。具体的には、30mmの口径のスクリューを装備した、株式会社池貝社製「二軸押出機、PCM−30−35−3V−1SF」を用いて、EMAA−1(77.3質量部)とCNF−MB(22.7質量部)の配合比で、成形温度(ダイス温度)を170℃に設定して溶融混錬を行い、実施例1の樹脂組成物を得た。また、表3に示す組成に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の樹脂組成物を作製した。また、東邦マシナリー社製「自動圧縮成形機 TBDM50−2」を用いて、EMAA−1のシートを作製し、これを比較例1とした。なお、表2における平均酸含量とはマスターバッチに含まれるエチレン・メタクリル酸共重合体中のメタクリル酸に由来する構成単位の含有率を示し、表3における平均酸含量とは樹脂組成物中のエチレン・メタクリル酸共重合体の合計に対するメタクリル酸に由来する構成単位の含有率を示す。
Figure 2021050277
Figure 2021050277
<成形体の作製>
実施例1および2の樹脂組成物の熱特性および機械特性を評価するために、シート形状の試験片を作製した。具体的には、日精樹脂工業株式会社性「射出成形機、FNX−220III」を用いて、評価に使用可能な厚みである2mmまたは3mmのシート成形の金型へ180℃(ノズル部温度)で溶融させた樹脂組成物を射出し、冷却することで、成形体シートを作製した。
<成形体の熱特性・機械特性評価>
作製した成形体シートの熱特性および機械特性について、以下記載の試験法を用いて評価を実施した。
(1)成形体のVicat軟化点測定法
室温の環境下において、株式会社東洋精機製作所社製の「熱変形試験装置3M−2 VST」を用いて、3mmの厚みの成形体シート上部中央に針状圧子治具を成形体シートに接触するように設置し、10Nの荷重をかけながら、伝熱媒体であるシリコンオイルを20℃から昇温速度50℃/hで温度上昇させ、針状圧子が試験片の表面から1mm侵入したときの伝熱媒体の温度を計測した(JIS7206(1999)A50法準拠)。
(2)成形体の曲げ弾性率測定法
3mmの厚みの成形体シートから12.7mm×48mmの試験片を作製した。23℃、相対湿度50%の環境下において、株式会社東洋精機製作所社製の「ストログラフ V10−C」を用い、試験片を二つの支持台に載せ、中央部分に圧子(先端径5mm)を用いて試験速度2mm/minで力を加え、試験片の最大ひずみが5%に達するまでたわませた。このとき、試験片に加えた力およびたわみを測定し、JIS K 7171(2016)記載の計算式より、曲げ応力および曲げ弾性率を算出した(JIS K 7171(2016)準拠)。
(3)成形体の加熱自重変形評価法
3mmの厚みの成形体シートから20mm×100mmの試験片を作製し、試験片の長軸方向10mmまで金属治具で固定し、試験系とした。この試験系を60℃、70℃、80℃、90℃の環境に調整した恒温機内に静置させた。その後、30分、1時間、2時間の間隔で、試験片の固定した箇所と反対側の箇所について、加熱により変形し垂れた長さを計測した。なお、最大変形長さは5.2cmとなる。
Figure 2021050277
Figure 2021050277
表4に示すように、10%のCNFを含む成形体である実施例1ではVicat軟化点が68℃、15%のCNFを含む成形体である実施例2では71℃となり、CNF無添加の比較例1の58℃より、10℃以上上昇し、耐熱性が向上した。
また、曲げ応力は比較例1の約2倍程度の物性値となり、曲げ弾性率は約3倍〜4倍の物性値であった。実施例1および実施例2の試験片は、このような強度を示すことによって、化学修飾セルロースナノファイバーがエチレン・メタクリル酸共重合体中で良好な分散状態になっていることがわかった。
表5に示すように、60℃、70℃において、CNF無添加の比較例1では30分後から大きく加熱変形していることが示されるが、10%のCNFを含む成形体である実施例1および15%のCNFを含む成形体である実施例2では、2時間後も殆ど加熱による変形が無いことが示された。また、80℃、90℃において、比較例1は30分後からほぼ最大値に近いレベルで加熱変形していたが、実施例1、実施例2では加熱による変形度合いが大きく抑制されていることが示された。実施例1および実施例2の試験片は、このような耐熱性・熱による形態安定性を示すことによって、化学修飾セルロースナノファイバーがエチレン・メタクリル酸共重合体中で良好な分散状態になっていることがわかった。

Claims (7)

  1. 化学修飾セルロースナノファイバー(A)と、
    エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)と、
    を含む樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、前記化学修飾セルロースナノファイバー(A)の含有量が3質量%以上20質量%以下である樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物において、
    前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)の全体を100質量%としたとき、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が、1質量%以上25質量%以下である、樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物において、
    前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)のカルボキシル基の中和度が1モル%以下である樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
    前記不飽和カルボン酸がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
    前記樹脂組成物中の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が、1質量%以上20質量%以下である、樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    化学修飾セルロースナノファイバー(A)およびエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B1)を含むマスターバッチと、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)を含むベース樹脂と、を溶融混練する工程を含み、
    前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B)が前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B1)および前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(B2)から構成される樹脂組成物の製造方法。
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