JP6573006B2 - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

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本発明は、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
セルロースエステルは一般的には植物由来のセルロースをカルボン酸でエステル化してなる樹脂である。セルロースエステルを含有する樹脂組成物は、電子電気機器、事務機器、家電製品、車両等の各種部品、筐体等の成形に使用されている。
例えば特許文献1には、脂肪酸セルロースエステル、弱有機酸、チオエーテル系化合物、亜リン酸エステル化合物、及びエポキシ化合物を含有する脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物が開示されている。
例えば特許文献2には、置換度0.4以上のエステル化デンプン、置換度0.4以上のエステル化セルロース、及びエステル系可塑剤を含有する樹脂組成物が開示されている。
特許第2533764号公報 特開平8−143710号公報
本発明は、少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルを含有する樹脂組成物において、エステル化デンプンを含有しない場合に比べて、熱流動性に優れ且つ成形体としたときの剛性に優れる樹脂組成物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。下記の樹脂組成物の形態例として、少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルと、総炭素数2以上18以下の脂肪族アシル基の少なくとも1種でエステル化されたエステル化デンプン(但し、アセチル基のみでエステル化されたアセチル化デンプンを除く。)と、を少なくとも含有する樹脂組成物がある。下記の樹脂組成物のより具体的な形態例として、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロースエステルと、アセチル基及びステアリル基でエステル化されたエステル化デンプン及びプロピオニル基でエステル化されたエステル化デンプンからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル化デンプンと、を含有する樹脂組成物がある。
[1]
少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルと、
エステル化デンプンと、
を含有する樹脂組成物。
[2]
前記セルロースエステルに対する前記エステル化デンプンの質量比(エステル化デンプン/セルロースエステル)が0.05以上1以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記セルロースエステルに対する前記エステル化デンプンの質量比(エステル化デンプン/セルロースエステル)が0.1以上0.8以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記少なくとも2種のアシル基のいずれもが脂肪族アシル基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5]
前記エステル化デンプンが、脂肪族カルボン酸でエステル化されたエステル化デンプンである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6]
前記セルロースエステルのアシル基置換度が1.0以上3.0以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]
前記エステル化デンプンのエステル化度が1.0以上3.0以下である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]
前記セルロースエステルが、前記樹脂組成物に含まれる樹脂成分の合計量の50質量%以上を占める、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
[10]
射出成形体である、[9]に記載の樹脂成形体。
[1]、[4]、[5]、[6]、[7]又は[8]によれば、少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルを含有する樹脂組成物において、エステル化デンプンを含有しない場合に比べて、熱流動性に優れ且つ成形体としたときの剛性に優れる樹脂組成物が提供される。
[2]によれば、質量比(エステル化デンプン/セルロースエステル)が0.05未満である場合に比べて、熱流動性に優れ且つ成形体としたときの剛性に優れる樹脂組成物が提供される。
[3]によれば、質量比(エステル化デンプン/セルロースエステル)が0.8超である場合に比べて、成形体としたときの剛性に優れる樹脂組成物が提供される。
[9]又は[10]によれば、少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルを含有する樹脂成形体において、エステル化デンプンを含有しない場合に比べて、剛性に優れる樹脂成形体が提供される。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。本明細書において述べる作用機序は推定を含んでおり、その正否は発明の範囲を制限するものではない。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
<樹脂組成物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルと、エステル化デンプンとを含有する。
セルロースアセテート等のセルロースエステルは、分子内及び分子間に水素結合が働く故に一般的に熱流動性に乏しいので、樹脂組成物を熱流動させて成形する成形方法(例えば射出成形)に供するためには従来、可塑剤を添加して熱流動性を上げていた。しかし可塑剤を添加すると、成形体の剛性が低下する傾向があった。本発明者は、セルロースエステルの中でも少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステル(以下「セルロース混酸エステル」ともいう。)にエステル化デンプンを添加すると、樹脂組成物の熱流動性が向上し、しかも成形体の剛性が向上することを見出した。セルロースアセテートにエステル化デンプンを添加すると樹脂組成物の熱流動性が向上する一方で成形体の剛性は低下するのに対し、セルロース混酸エステルにエステル化デンプンを添加すると樹脂組成物の熱流動性が向上し、しかも成形体の剛性が向上するのである。
セルロースアセテート及びセルロース混酸エステルの熱流動性がエステル化デンプンの添加によって向上する機序としては、下記が推定される。
エステル化デンプンは、セルロースエステルと類似の構造を有する故にセルロースエステルに対して親和性が高いので、セルロースエステルに対して均一に近い状態で分散し得ると考えられる。そして、セルロースエステル分子間に入り込んだエステル化デンプンがセルロースエステル分子間の水素結合を減弱させ、結果、セルロースアセテート及びセルロース混酸エステルの熱流動性が向上すると考えられる。
セルロースアセテートにエステル化デンプンを添加すると成形体の剛性が低下するのに対して、セルロース混酸エステルにエステル化デンプンを添加すると成形体の剛性が向上する機序としては、下記が推定される。
セルロースアセテートは、アシル基が1種類であるので、成形体において分子が整列しやすく、分子間の引力(水素結合又はファンデルワールス力)が強く働き、結果、優れた剛性を示すと考えられる。このようなセルロースアセテートにエステル化デンプンを添加すると、成形体における分子の整列を乱してしまい、剛性を低下させると考えられる。
一方、セルロース混酸エステルは、アシル基が少なくとも2種類であるので、セルロース混酸エステルの成形体においては分子の整列にある程度の乱れがあるところ、そこにエステル化デンプンを添加すると、成形体において成分全体として分子の整列度が高まり、分子間に引力(水素結合又はファンデルワールス力)が働きやすくなり、剛性を高めると考えられる。ただし、エステル化デンプンがセルロース混酸エステル分子間に入り込んでいるので熱印加によって分子の整列が乱れやすく、セルロース混酸エステル単独よりも高い熱流動性を示すと考えられる。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の材料、組成、及び製造方法について詳細に説明する。
[少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステル(セルロース混酸エステル)]
少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルは、セルロースが少なくとも2種のカルボン酸によってエステル化されることにより、セルロースの水酸基の少なくとも一部が少なくとも2種のアシル基によって置換された構造を有する。本明細書において、「少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステル」を「セルロース混酸エステル」ともいう。
セルロース混酸エステルが有するアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ステアロイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、ナフトイル基等の芳香族アシル基;が挙げられる。セルロース混酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートブチレート、セルロースアセテートヘキサノエート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースアセテートデカノエート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネートベンゾエート、セルロースブチレートベンゾエート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースプロピオネートブチレートベンゾエート等が挙げられる。これらセルロース混酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
セルロース混酸エステルが有するアシル基としては、脂肪族アシル基が好ましく、総炭素数が2以上6以下の脂肪族アシル基がより好ましく、同総炭素数の直鎖脂肪族アシル基が更に好ましく、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基が特に好ましい。セルロース混酸エステルの一実施形態としては、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基からなる群から選ばれる少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルが挙げられる。
セルロース混酸エステルの一実施形態としては、アセチル基及びアセチル基以外の脂肪族アシル基を少なくとも1種有するセルロースエステルが挙げられる。ここでアセチル基以外の脂肪族アシル基としては、総炭素数が3以上6以下の脂肪族アシル基が好ましく、同総炭素数の直鎖脂肪族アシル基がより好ましく、プロピオニル基及びブチリル基が特に好ましい。
セルロース混酸エステルとしては、特には、セルロースアセテートプロピオネート(Cellulose Acetate Propionate、CAP)及びセルロースアセテートブチレート(Cellulose Acetate Butyrate、CAB)が好ましい。CAP又はCABにおけるアセチル基とプロピオニル基又はブチリル基との置換度の比は、前者:後者=5:1乃至1:20が好ましく、3:1乃至1:15がより好ましい。
セルロース混酸エステルのアシル基置換度(アシル基全種の総置換度)は、成形加工性の観点から、1.0以上3.0以下が好ましく、1.8以上2.9以下がより好ましく、2.3以上2.8以下が更に好ましい。
セルロース混酸エステルが有する複数種のアシル基は、置換度の一番少ないアシル基と、置換度の一番多いアシル基との間で置換度を比べたときに、前者:後者=1:1乃至1:20の範囲であることが好ましい。
セルロース混酸エステルの重量平均重合度は、機械物性及び成形加工性の観点から、100以上1200以下が好ましく、150以上1000以下がより好ましく、200以上600以下が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物においては、セルロース混酸エステルが、樹脂組成物中の樹脂成分の合計量の50質量%以上を占めることが好ましく、60質量%以上を占めることがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロース混酸エステルを主成分とすることが好ましい。樹脂組成物の主成分とは、樹脂組成物全体の50質量%以上を占める化学物質である。本実施形態に係る樹脂組成物全体に占めるセルロース混酸エステルの割合は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
[エステル化デンプン]
エステル化デンプン(esterified starch)は、別名、デンプンエステル(starch ester)ともいわれる。
エステル化デンプンはセルロースエステルに対して親和性が高いので、セルロースエステルを含有する樹脂組成物及び樹脂成形体において析出(ブリードアウト)しにくい。
本実施形態においてエステル化デンプンとしては、カルボン酸でエステル化されたエステル化デンプン、リン酸でエステル化されたエステル化デンプン等が挙げられ、カルボン酸でエステル化されたエステル化デンプンが好ましい。ここでカルボン酸は、脂肪族カルボン酸でもよく、芳香族カルボン酸でもよい。カルボン酸でエステル化されたエステル化デンプンは、デンプンの水酸基の少なくとも一部がアシル基によって置換された構造を有する。
エステル化デンプンの一実施形態としては、脂肪族カルボン酸でエステル化されたエステル化デンプンが挙げられる。デンプンをエステル化する脂肪族カルボン酸としては、酢酸(総炭素数2)、プロピオン酸(総炭素数3)、ブタン酸(総炭素数4)、ペンタン酸(総炭素数5)、ヘキサン酸(総炭素数6)、オクタン酸(総炭素数8)、デカン酸(総炭素数10)、ドデカン酸(別名ラウリン酸、総炭素数12)、テトラデカン酸(別名ミリスチン酸、総炭素数14)、ヘキサデカン酸(別名パルミチン酸、総炭素数16)、オクタデカン酸(別名ステアリン酸、総炭素数18)等が挙げられる。デンプンをエステル化する脂肪族カルボン酸としては、総炭素数が2以上18以下の脂肪族カルボン酸が好ましく、同総炭素数の直鎖脂肪族カルボン酸がより好ましい。即ち、エステル化デンプンが有するアシル基としては、総炭素数が2以上18以下の脂肪族アシル基が好ましく、同総炭素数の直鎖脂肪族アシル基がより好ましい。
エステル化デンプンのエステル化度(カルボン酸でエステル化された場合はアシル基置換度)は、セルロース混酸エステルに対する親和性の観点から、1.0以上3.0以下が好ましく、1.2以上2.8以下がより好ましく、1.4以上2.6以下が更に好ましい。
エステル化デンプンの重量平均重合度は、セルロース混酸エステルに対する親和性の観点から、15以上1500以下が好ましく、30以上1000以下がより好ましく、40以上200以下が更に好ましく、45以上160以下が更に好ましい。
エステル化デンプンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物におけるセルロース混酸エステルに対するエステル化デンプンの質量比(エステル化デンプン/セルロース混酸エステル)は、樹脂組成物の熱流動性を向上させる観点及び成形体の剛性を向上させる観点から、0.03以上1以下が好ましく、0.05以上1以下がより好ましく、0.1以上0.8以下が更に好ましく、0.2以上0.8以下が更に好ましい。
[その他の成分]
本実施形態に係る樹脂組成物は、エステル化デンプン以外の他の可塑剤を含有していてもよい。樹脂組成物全体に占める他の可塑剤の割合は、0質量%以上20質量%以下が好ましく、0質量%以上15質量%以下がより好ましく、0質量%以上6質量%以下が更に好ましい。ここで「0質量%」とは他の可塑剤を含まないことを意味する。他の可塑剤の割合が少ないほど成形体の剛性が高く、また可塑剤の析出(ブリードアウト)が抑制される。
他の可塑剤としては、例えば、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジエステル、アジピン酸ポリエステル)、ポリエーテルエステル、セバシン酸エステル、グリコールエステル、酢酸エステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、金属石鹸、樟脳、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。これら可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロース混酸エステル以外の他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、例えば、公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体樹脂;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。これらの成分の含有量は、樹脂組成物全体に対してそれぞれ0質量%以上5質量%以下が好ましい。ここで「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、セルロース混酸エステルとエステル化デンプンとの混合物を溶融混練することにより製造される。溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。混練の際の温度は、セルロース混酸エステル又はエステル化デンプンの融点に応じて設定されればよく、材料を溶融させつつも熱分解を抑制する観点から、例えば、140℃以上240℃以下が好ましく、160℃以上200℃以下がより好ましい。
<樹脂成形体>
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含有する。
本実施形態に係る樹脂成形体においては、セルロース混酸エステルが、樹脂成形体中の樹脂成分の合計量の50質量%以上を占めることが好ましく、60質量%以上を占めることがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、セルロース混酸エステルを主成分とすることが好ましい。樹脂成形体の主成分とは、樹脂成形体全体の50質量%以上を占める化学物質である。本実施形態に係る樹脂成形体全体に占めるセルロース混酸エステルの割合は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。成形方法としては、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などが挙げられる。
本実施形態に係る樹脂成形体の成形方法は、形状の自由度が高い観点から、射出成形が好ましい。射出成形は、樹脂組成物を加熱溶融し、金型に流し込み、固化させることで成形体を得る成形方法である。射出圧縮成形によって成形してもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体を射出成形により成形する場合、シリンダ温度は、例えば140℃以上260℃以下であり、好ましくは150℃以上230℃以下であり、より好ましくは160℃以上200℃以下である。金型温度は、例えば30℃以上120℃以下であり、好ましくは40℃以上80℃以下である。射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX500、同NEX300、同NEX150、住友機械製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体の引張弾性率は、樹脂成形体の用途にもよるが、1000MPa以上3000MPa以下が好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子電気機器、事務機器、家電製品、車両内装材、エンジンカバー、車体、容器などの用途に好適に用いられる。より具体的には、電子電気機器や家電製品の筐体;電子電気機器や家電製品の各種部品;車両の内装部品;CD−ROMやDVD等の収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などである。
以下、実施例により本開示の実施形態を詳細に説明するが、本開示の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。
<セルロースエステルの準備>
[セルロースエステルCE1の準備]
市販のセルロースアセテート(ダイセル社製、L50)をセルロースエステルCE1として準備した。
[セルロースエステルCE2の準備]
市販のセルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製、CAP482−20)をセルロースエステルCE2として準備した。
[セルロースエステルCE3の準備]
市販のセルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製、CAB381−20)をセルロースエステルCE3として準備した。
[セルロースエステルCE4の準備]
市販のセルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製、CAB171−15)をセルロースエステルCE4として準備した。
セルロースエステルCE1〜CE4の重合度及び置換度を表1に記す。表1中のDPwは重量平均重合度を表し、DS(Ac)、DS(Pr)、DS(Bt)はそれぞれアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基の置換度を表す。
<エステル化デンプンの準備>
[エステル化デンプンSE1の準備]
市販のエステル化デンプン(日本コーンスターチ社製、コーンポールCP−3CL−L、DS(短鎖脂肪酸)=1.6〜1.9、DS(長鎖脂肪酸)=0.3、重量平均重合度66)をエステル化デンプンSE1として準備した。エステル化デンプンSE1は、酢酸(アセチル基)及びステアリン酸(ステアリル基)でエステル化されたエステル化デンプンである。
[エステル化デンプンSE2の作製]
以下の手順によりエステル化デンプンSE2を作製した。
コーンスターチ(J−オイルミルズ社製、HS−7)100g及びジメチルスルホキシド700mlを2L反応容器に入れ、80℃で4時間攪拌しデンプンを溶解させた。この溶液に、炭酸水素ナトリウム110gと、ジメチルスルホキシド75mLに溶解させたジメチルアミノピリジン5.3gとを加え、45℃になるまで攪拌後、無水プロピオン酸131gを1時間かけて滴下した。滴下後15分間攪拌し、反応液を純水3.2L中に2時間かけて滴下した。固形物を濾過後、再度純水3.2L中に投入し、洗浄した。この洗浄を4回行い、得られた固形物を60℃で72時間乾燥し、プロピオン酸(プロピオニル基)でエステル化されたエステル化デンプンSE2(DS(Pr)=1.4、重量平均重合度155)119gを得た。
<可塑剤の準備>
[可塑剤P1の準備]
市販のアジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)(東京化成工業社製)を可塑剤P1として準備した。
[可塑剤P2の準備]
市販のポリエーテルエステル系可塑剤(ADEKA社製、RS−1000)を可塑剤P2として準備した。
[可塑剤P3の準備]
市販の縮合リン酸エステル系可塑剤(大八化学工業製、PX200)を可塑剤P3として準備した。
[可塑剤P4の準備]
市販のアジピン酸エステル含有化合物(大八化学工業製、Daifatty101)を可塑剤P4として準備した。
<樹脂組成物(ペレット)の作製>
表2に示す仕込み組成とシリンダ温度で、2軸混練装置(Labtech Engineering社製、LTE20−44)を用い、樹脂組成物(ペレット)を得た。表2中の「SE/CE」は、セルロースエステルに対するエステル化デンプンの質量比(エステル化デンプン/セルロースエステル)を表し、「overload」は、溶融粘度が高過ぎて測定ができなかったことを意味する。
<試験片の射出成形>
得られたペレットから、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX140III)を用い、表2に示すシリンダ温度及び金型温度40℃で、ISO多目的ダンベル試験片(測定部寸法:幅10mm、厚さ4mm)とISO小形角板試験片(角板の長さ60mm、角板の幅60mm、厚さ2mm)を成形した。
<評価試験>
[溶融粘度]
樹脂組成物(ペレット)について、キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所製、キャピログラフ−1C)を用い、JIS K7199:1999に準じて、表2に示す温度且つせん断速度1216/sにて溶融粘度(Pa・s)を測定した。測定値を表2に示す。
[引張弾性率]
ISO多目的ダンベル試験片を用いて、万能試験装置(島津製作所社製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO527に準じて、引張弾性率(MPa)の測定を行った。測定値を表2に示す。
[ブリードアウト試験]
ISO小形角板試験片の表面に油性インキで文字を書き、この試験片を温度65℃/相対湿度90%の環境下で1000時間放置した。試験片表面を目視で観察し、試験片表面の性状を下記のとおり分類した。結果を表2に示す。
G1(○):文字のにじみがなく、且つ、成分の析出(ブリードアウト)なし。
NG(×):文字のにじみが発生した、又は、明らかに成分の析出(ブリードアウト)あり。
各実施例及び各比較例が示すとおり、エステル化デンプンをセルロースエステルに添加することによって、セルロースエステル組成物の熱流動性が向上した(溶融粘度が低下した)。また、エステル化デンプンの添加が成形体において成分の析出(ブリードアウト)を引き起こすこともなかった。
比較例1〜8が示すとおり、セルロースエステルCE1(セルロースアセテート)にエステル化デンプンを添加すると成形体の引張弾性率が低下し、エステル化デンプンの添加量が多いほど引張弾性率は低かった。
一方、比較例9、14及び15と実施例1〜23とが示すとおり、セルロースエステルCE2(セルロースアセテートプロピオネート)、セルロースエステルCE3(セルロースアセテートブチレート)又はセルロースエステルCE4(セルロースアセテートブチレート)にエステル化デンプンを添加することにより、成形体の引張弾性率が向上した。ここで、エステル化デンプンのみからなる成形体の引張弾性率がセルロース混酸エステルのみからなる成形体の引張弾性率よりも低いにもかかわらず(比較例A及びB並びに比較例9、14及び15を参照)、エステル化デンプンを添加することによりセルロース混酸エステルの成形体の引張弾性率が向上した。

Claims (9)

  1. 少なくとも2種のアシル基を有するセルロースエステルと、
    総炭素数2以上18以下の脂肪族アシル基の少なくとも1種でエステル化されたエステル化デンプン(但し、アセチル基のみでエステル化されたアセチル化デンプンを除く。)と、
    を少なくとも含有する樹脂組成物。
  2. 前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロースエステルを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記セルロースエステルに対する前記エステル化デンプンの質量比(エステル化デンプン/セルロースエステル)が0.05以上1以下である、請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記セルロースエステルに対する前記エステル化デンプンの質量比(エステル化デンプン/セルロースエステル)が0.1以上0.8以下である、請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記セルロースエステルのアシル基置換度が1.0以上3.0以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記エステル化デンプンのエステル化度が1.0以上3.0以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記セルロースエステルが、前記樹脂組成物に含まれる樹脂成分の合計量の50質量%以上を占める、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
  9. 射出成形体である、請求項8に記載の樹脂成形体。
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