JP2021050118A - 耐火材、容器入り耐火材、及び、耐火材の施工方法 - Google Patents

耐火材、容器入り耐火材、及び、耐火材の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】展延性に優れ、かつ、乾燥後にひび割れが生じ難い耐火材等を提供する。【解決手段】本発明に係る耐火材は、水と、無機充填剤と、増粘剤と、粘結剤と、を含み、0〜40℃のいずれかの温度において、ペネトロ値が40以上80以下である。【選択図】 なし

Description

本発明は、耐火材、容器入り耐火材、及び、耐火材の施工方法に関する。
従来、建物の防火区画壁に管・ケーブル等を貫通させる際に、壁貫通部に金属筒体を貫通状態で固定し、該金属筒体の内部に挿通した管・ケーブル等の外周面と、前記金属筒体の内周面との隙間に耐火材を充填して、耐火処理を施すことが知られている。
このような耐火材として、コーキングガン等の吐出口から吐出させて用いるペーストタイプのものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、ペーストタイプの耐火材として、主剤としてのポリイソシアネート化合物を含む第1液と、硬化剤としてのポリオール化合物及び難燃剤としての熱膨張性黒鉛を含む第2液とを混合することにより得られる難燃性ウレタン樹脂が記載されている。
特許文献1には、難燃性ウレタン樹脂を用いるに際して、前記第1液と前記第2液とをコーキングガンに装着するカートリッジの別々の容器に収容しておき、別々の容器に収容した前記第1液と前記第2液とを、コーキングガンの吐出口から吐出するときに混合することが記載されている。
そして、特許文献1には、前記第1液と前記第2液とを混合して前記難燃性ウレタン樹脂とした後に、該難燃性ウレタン樹脂がすぐに発泡し、時間の経過とともに発泡した状態で硬化することが記載されている。
上記のごとく、難燃性ウレタン樹脂は、すぐに発泡するという性質を有するため、上記したような、前記金属筒体の内部に挿通した管・ケーブル等の外周面と、前記金属筒体の内周面との隙間を埋めるには適している。
特許第6480775号公報
ところで、建物の内装において、床板と、該床板の側端から前記床板の敷設方向に対して略垂直上方に立ち上がるプラスターボード等との接合部分の全域に、前記ペーストタイプの耐火材を塗布して耐火処理を施すことがある。このような用途に用いられるペーストタイプの耐火材は、施工時に塗り広げることができる性質、すなわち、展延性に優れるという性質を有することが好ましい。
しかしながら、前記難燃性ウレタン樹脂は、一般に展延性に優れるものではないため、上記のような接合部分に施す耐火処理に用いるのに適したものではない。
ペーストタイプの耐火材を展延性に優れるものとするには、ペーストタイプの耐火材に十分な量の水を配合することも考えられる。
しかしながら、ペーストタイプの耐火材に配合する水の量を多くすると、施工後の乾燥中において乾燥収縮の程度が大きくなり、乾燥後の耐火材において、乾燥収縮が原因となるひび割れが生じることが懸念される。
そのため、ペーストタイプの耐火材として、展延性に優れることに加えて、乾燥後にひび割れが生じ難いものが望まれている。
上記事情に鑑み、本発明は、展延性に優れ、かつ、乾燥後にひび割れが生じ難い耐火材、容器入り耐火材、及び、前記耐火材の施工方法を提供することを課題とする。
本発明に係る耐火材は、
水と、
無機充填剤と、
増粘剤と、
粘結剤と、を含み、
0〜40℃のいずれかの温度においてペネトロ値が40以上80以下である。
斯かる構成によれば、0〜40℃のいずれかの温度においてペネトロ値が40以上80以下であるので、コーキングガン等の吐出口から吐出して耐火処理を施す場合に、耐火材を適度な展延性を有するものとすることができる。
また、施工後の乾燥中において乾燥収縮の程度を比較的小さくすることができる。その結果、乾燥後にひび割れが生じ難いものとすることができる。
また、上記耐火材においては、
減水剤をさらに含むことが好ましい。
前記粘結剤は、一般に、水を保持し易い性質を有するものの、斯かる構成によれば、前記のごとき性質を有する前記粘結剤を比較的多く含む場合であっても、コーキングガン等の吐出口から吐出して耐火処理を施す場合に、耐火材を適度な展延性を有するものとすることができる。
また、乾燥後にひび割れが生じ難いものとすることができる。
本実施形態に係る容器入り耐火材は、
容器に収容された容器入り耐火材であって、
前記容器は、
前記耐火材を収容する筒状の容器本体と、
前記耐火材が吐出される吐出部とを備え、
前記容器本体の一端側に前記吐出部が設けられ、前記容器本体に収容された前記耐火材に前記容器本体の他端側から圧力が加えられて該耐火材が前記吐出部から吐出されるように構成されており、
前記耐火材が上記のいずれかの耐火材である。
上記耐火材は、適度な展延性を有するものであることから、斯かる構成によれば、前記容器に収容された耐火材を、前記容器本体の他端側に圧力を加えることにより前記吐出口から吐出させることができるので、前記耐火材を施工箇所に直に供給して施工を行うことができる。
本実施形態に係る耐火材の施工方法は、
上記容器を用いて、前記容器本体内に充填された耐火材を施工箇所に供給し、前記施工箇所において前記耐火材を乾燥固化させる。
斯かる構成によれば、前記容器から前記耐火材を直に供給することができるので、効率良く施工することができる。
上記の通り、本発明によれば、展延性に優れ、かつ、乾燥後にひび割れが生じ難い耐火材、容器入り耐火材、及び、前記耐火材の施工方法を提供することができる。
本実施形態に係るカートリッジを示す図。 本実施形態に係る耐火材の施工箇所及び施工例の一例を示す図。 本実施形態に係る耐火材の施工箇所及び施工例の他の例を示す図。 本実施形態に係る耐火材の施工箇所及び施工例の他の例を示す図。 本実施形態に係る耐火材の施工箇所及び施工例の他の例を示す図。
以下、本発明の一実施形態に係る耐火材について説明する。
本実施形態に係る耐火材は、水と、無機充填剤と、増粘剤と、粘結剤とを含む。
本実施形態に係る耐火材において、前記水は、前記無機充填剤の100質量部に対して、40質量部以上50質量部以下配合されていることが好ましく、43質量部以上49質量部以下配合されていることがより好ましい。上記の水の配合割合は、配合時の質量割合を意味する。
前記無機充填剤としては、耐火性を付与するものを用いることができる。
このような無機充填剤としては、金属水酸化物、軽量骨材等を用いることができる。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。軽量骨材としては、フライアッシュ、ガラスバルーン、セラミックバルーン等が挙げられる。また、無機充填剤として、炭酸カルシウムを用いることもできる。
本実施形態に係る耐火材において、前記無機充填剤は、85.0質量%以上99.8質量%以下配合されていることが好ましく、89.0質量%以上99.6質量%以下配合されていることがより好ましい。上記の無機充填剤の配合割合は、配合時の質量割合を意味する。
前記増粘剤は、液体に含ませることにより前記液体に粘性を付与する剤であり、前記液体が粉粒体を含む場合には、前記粉粒体に結着する性質を有する剤である。このような増粘剤としては、多糖類、珪酸系化合物、ビニル系化合物、有機酸系化合物、及び、前記有機酸系化合物の塩が挙げられる。前記多糖類としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、デキストリン等が挙げられる。前記珪酸系化合物としては、クレー、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト等が挙げられる。前記ビニル系化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。前記有機酸系化合物としては、ポリカルボン酸系等が挙げられ、前記有機酸系化合物の塩としては、ポリカルボン酸系ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態に係る耐火材において、前記増粘剤は、前記無機充填剤の100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下配合されていることが好ましく、0.5質量部以上2質量部以下配合されていることがより好ましい。上記の増粘剤の配合割合は、配合時の質量割合を意味する。
前記粘結剤は、そのもの自体は液体に含ませても前記液体に粘性を付与しないものの、前記増粘剤とともに前記液体に含ませることにより、前記増粘剤が前記液体に付与する粘性を調整することができる剤である。このような粘結剤としては、有機繊維、無機繊維等が挙げられる。有機繊維としては、ポリプロピレン系繊維、ナイロン系繊維、ビニロン系繊維、セルロース系繊維、フェノール系繊維等が挙げられる。無機繊維としては、ガラス系繊維、リフラクトリーセラミックファイバ(RCF)やアルカリアースシリケートファイバ(AES)のようなセラミック系繊維、ロックウール系繊維等が挙げられる。
なお、このような粘着剤は、それ自体が水保持性を有することにより、または、複数集合したときに形成される隙間に水を保持することにより、水保持性を有している。
本実施形態に係る耐火材において、前記粘結剤は、前記無機充填剤の100質量部に対して、0.2質量部以上7質量部以下配合されていることが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下配合されていることがより好ましい。上記の粘結剤の配合割合は、配合時の質量割合を意味する。
本実施形態に係る耐火材は、減水剤を有していることが好ましい。減水剤としては、多糖類、多糖類の塩、縮合リン酸塩、有機酸系化合物、及び、有機酸系化合物の塩等が挙げられる。多糖類としては、リグニンスルホン酸系等が挙げられ、多糖類の塩としては、リグニンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。縮合リン酸塩としては、トリポリリン酸系ナトリウム、ピロリン酸系ナトリウム等が挙げられる。有機酸系化合物としては、ポリカルボン酸系、スルホン酸系、酒石酸系、クエン酸系等が挙げられ、有機酸系化合物の塩としては、ポリカルボン酸系ナトリウム、スルホン酸系ナトリウム、酒石酸系ナトリウム、クエン酸系ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態に係る耐火材が前記減水剤を含んでいる場合、その配合割合は、前記無機充填剤の100質量部に対して、0.1質量部以上2質量部以下配合されていることが好ましく、0.2質量部以上1質量部以下配合されていることがより好ましい。上記の減水剤の配合割合は、配合時の質量割合を意味する。
本実施形態に係る耐火材は、水以外の液体として、多価アルコール系化合物等を含んでいてもよい。すなわち、本実施形態に係る耐火材は、分散媒として、主成分として水を含むもの(水そのもの、または、水と多価アルコール系化合物等との混合物)を含んでいる。
多価アルコール系化合物としては、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
本実施形態に係る耐火材が多価アルコール系化合物を含んでいる場合、その配合割合は、0.01質量%〜25質量%であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。上記の多価アルコールの配合割合は、配合時の質量割合を意味する。
本実施形態に係る耐火材は、着色剤や防腐剤等を含んでいてもよい。着色剤としては、無機酸系化合物等が挙げられる。無機酸系化合物としては、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化第二鉄、オキシ水酸化鉄、酸化亜鉛等が挙げられる。防腐剤としては、複素環式芳香族化合物等が挙げられる。複素環式芳香族化合物としては、イゾチアゾロン系、塩化イソチアゾロン系等が挙げられる。
本実施形態に係る耐火材が着色剤を含んでいる場合、その配合割合は、0.01質量%〜0.3質量%であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る耐火材が防腐剤を含んでいる場合、その配合割合は、0.01質量%〜0.5質量%であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
上記の耐火材における着色剤及び防腐剤の配合割合は、配合時の質量割合を意味する。
本実施形態に係る耐火材は、施工箇所に供給し、該施工箇所において乾燥固化させた後に、不燃材となるものであってもよい。無機充填剤として、金属水酸化物、軽量骨材等を用いることにより、本実施形態に係る耐火材を乾燥固化後に不燃材とすることができる。
本明細書において、不燃材とは、コーンカロリーメータを用いて、ISO5660に準拠して発熱性試験を行ったときに、(1)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であること、(2)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと、及び、(3)加熱開始後20分間、発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないこと、の3要件を充足する材を意味する。
なお、上記発熱性試験の試験片としては、平面寸法100mm×100mm、厚さ50mm以内の板状部材を用いることができる。
本実施形態に係る耐火材は、0〜40℃のいずれかの温度におけるペネトロ値が40以上80以下である。
ペネトロ値が40以上80以下の値を示す温度範囲は、0〜40℃の間で、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。また、ペネトロ値が40以上80以下の値を示す温度範囲は、0〜40℃の間で、30℃以下であることが好ましい。
ペネトロ値とは、所定の条件下で特定の円錐型コーンを所定形状に成形されたペースト組成物に落下、貫入させたときの円錐型コーンの貫入距離(mm)の値(無次元)である。ペネトロ値は、ペースト組成物の硬さの指標となる値であり、この値が大きいほど、ペースト組成物が軟らかいことを意味する。
0〜40℃におけるペネトロ値は、ペネトロメータにセットした貫入コーンを用いて、例えば、以下のようにして測定することができる。
(1)作業台にビニールシートを載置し、該ビニールシート上に内径106mm、高さ75mmの中空円筒状の型枠を載置した後、該型枠の中空部に、空隙が生じないように測定試料(ペースト組成物)を充填する。なお、測定試料の充填は、ビニールシートごと前記型枠を持ち上げて、前記型枠を前記作業台に打ちつけながら行う。
(2)コテを用いて、前記型枠に充填された測定試料の上面(前記作業台と接していない面)を平滑に仕上げる。
(3)ペネトロメータに、底面直径41±1.0mm、高さ92±2.0mm、先端角24±1.0°、質量400±2gの円錐型のステンレス貫入コーンを、コーン先端部が鉛直下方を向くようにセットする。
(4)ステンレス貫入コーンのコーン先端部を測定試料の上面に当接させ、そのときのゲージの指示値(指示値1)を読み取る。
(5)コーン先端部と測定試料の上面との距離が65±3mmとなるように、ステンレス貫入コーンを鉛直上方に持ち上げた後、自然落下させてコーン先端部を上面側から測定試料に進入させ、ゲージの指示値が一定値となったときの値(指示値2)を読み取る。
(6)コーン先端部が進入する位置を変えた2箇所について、上記(5)を行って、2箇所についての指示値2を読み取る。
(7)(5)及び(6)において、異なる3箇所について読み取った指示値2の値を算術平均し、算術平均した値から指示値1を減じた値を算出し、この算出した値をペネトロ値とする。
なお、上記(1)〜(6)は、0〜40℃のいずれかの温度の環境で行う。
次に、本実施形態に係る容器入り耐火材について説明する。
前記耐火材を収容する容器は、前記耐火材を収容する筒状の容器本体と、前記耐火材が吐出される吐出部とを備え、前記容器本体の一端側に前記吐出部が設けられ、前記容器本体に収容された前記耐火材に前記容器本体の他端側から圧力が加えられて該耐火材が前記吐出部から吐出されるように構成されている。
前記容器は、前記容器本体の一端側に設けられた前記吐出口から前記耐火材を吐出させるために前記容器本体の他端側が押し潰されるチューブタイプのものであってもよいし、前記容器本体がシリンダとなって、該容器本体に他端側からピストン状の部材が押し込まれることで前記吐出部から前記耐火材が吐出されるカートリッジタイプのものであってもよい。
図1(a)を参照しながら、カートリッジタイプの容器について以下に説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態に係るカートリッジ1は、カートリッジ容器10と、カートリッジ容器10に充填された耐火材と、を備える。カートリッジ容器10には、上述した、0〜40℃のいずれかの温度において、ペネトロ値が40以上80以下となる耐火材が充填されている。
本実施形態に係るカートリッジ1では、カートリッジ容器10は中空円筒状の筒体に構成されており、前記耐火材は、カートリッジ容器10の中空部に充填される。
本実施形態に係るカートリッジ1は、筒状のカートリッジ容器10の一端面の中央部分に、該筒体の一端面を基端として、前記筒体の延在方向に先細となるように円錐状に延びる吐出部20を備えている。本実施形態に係るカートリッジ1では、吐出部20は、軸中心がカートリッジ容器10の軸中心と一致するように備えられている。
カートリッジ容器10に充填された耐火材は、吐出部20を通って外部に吐出される。
本実施形態に係るカートリッジ1では、カートリッジ容器10に充填された耐火材が、0〜40℃のいずれかの温度において、ペネトロ値が40以上80以下となるので、該耐火材は展延性に優れている。
したがって、施工箇所に供給するために、前記耐火材をカートリッジ1の吐出部20から吐出させているときに、途切れることなく連続的に前記耐火材を前記施工箇所に供給することができる。
本実施形態に係るカートリッジ1は、施工箇所において、そのままの状態で使用してもよいが、例えば、図1(b)に示すように、コーキングガン2に装着して使用することが好ましい。
次に、本実施形態に係る耐火材の施工方法について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る耐火材の施工方法は、図1(a)に示したようなカートリッジ1を用いて、カートリッジ容器10内に充填された耐火材を施工箇所に供給し、該施工箇所において前記耐火材を乾燥固化させる。
前記耐火材は、例えば、火災時に発生した可燃性のガス、火炎、熱せられた空気等の通り道となる隙間を塞ぐために用いられる。即ち、前記耐火材は、これらの通路を塞ぐことで防火区画を超えた延焼の防止に利用される。この場合には、前記隙間が施工箇所となる。
前記隙間が施工箇所となる例としては、図2(a)、(b)に示すような、屋根材である2枚の波板スレート30の端縁部分同士が上下に重ねることにより形成されるスレート空隙S1、図3(a)、(b)に示すような、ALC板(軽量気泡コンクリート板)やPC板(プレキャストコンクリート板)で構成された壁(外壁や床板等)40の貫通部41に配管50を貫通させることによって、貫通部41と配管50との間に形成される貫通空隙S2、図4(a)、(b)に示すような、床板60と、床板60の側端から床板60の敷設方向に対して略垂直方向に立ち上がるプラスターボードやケイカル板で構成された壁70との接合部分S3等が挙げられる。
また、前記耐火材は、例えば、欠損等によって一部の厚さが所定の厚さよりも少なった壁面の補修等にも利用される。即ち、前記耐火材は、防火区画を構成する構造体の欠損箇所に充填するためにも利用される。
前記欠損箇所が施工箇所となる例としては、図5(a)、(b)に示すような、不燃化粧パネル80の欠損部分S4等が挙げられる。
施工箇所が図2(a)、(b)に示すようなスレート空隙S1である場合、スレート空隙S1を埋めるように(スレート空隙S1内に充填するように)耐火材を供給し、施工箇所が図3(a)、(b)に示すような貫通空隙S2である場合、貫通空隙S2を壁40の一方面側から閉じるように耐火材を供給し、施工箇所が図4(a)、(b)に示すような床板60と壁70との接合部分S3である場合、接合部分S3の全域に耐火材を供給し、施工箇所が図5(a)、(b)に示すような不燃化粧パネル80の欠損部分S4である場合、欠損部分S4を埋めるように(欠損部分S4内に充填するように)耐火材を供給する。
ここで、図2(b)に示すように、2枚の波板スレート30は、設置面に対して上下方向及び左右方向に延びるように構成されており、上下方向の端縁部分同士が重ねられることによりスレート空隙S1が形成されている。すなわち、スレート空隙S1は、設置面に対して左右方向に延びるように形成されている。
また、図3(b)に示すように、貫通空隙S2への耐火材の供給は、貫通空隙S2の一方面側の全域を覆うように行われる。
さらに、図4(b)に示すように、壁70は、床板60の設置面に対して上下方向及び左右方向に延びるように構成されているので、床板60と壁70との接合部分S3は、床板60の設置面に対して左右方向に延びるように形成される。
また、図5(b)に示すように、不燃化粧パネル80の欠損部分S4は、不燃化粧パネル80の設置面に対して左右方向に延びるように形成されている。
そのため、上記のような各施工箇所に耐火材を供給するときには、耐火材を、各施工箇所に途切れることなく連続するように供給する必要がある。すなわち、図2〜5に示したような各施工箇所における耐火材の施工方法では、展延性に優れた耐火材を用いて施工を行う必要がある。
また、施工箇所において乾燥固化させた後に、ひび割れが生じ難い耐火材を用いて施工を行う必要がある。
上記したように、本実施形態に係る耐火材の施工方法では、0〜40℃のいずれかの温度において、ペネトロ値が40以上80以下となる耐火材を用いるので、図2〜5に示したような各施工箇所に供給しているときに、途切れることなく連続するように供給することができる。また、施工箇所において乾燥固化させた後に、ひび割れが生じ難くなる。
本発明に係る耐火材、容器入り耐火材、及び、耐火材の施工方法は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る耐火材、容器入り耐火材、及び、耐火材の施工方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。以下の実施例は本発明をさらに詳しく説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
[耐火材の調製]
以下の表1に示す配合で、実施例1〜10及び比較例1〜6に係る耐火材を調製した。耐火材の調製は、水(分散媒)以外の各成分を水に添加した後、万能ミキサを用いて水以外の各成分を添加した水を混練することにより行った。
なお、以下の表1においては、増粘剤、粘結剤、減水剤、及び、分散媒の配合割合は、無機充填剤の100質量部に対する値を記載している。
また、各例に係る耐火材について、20℃の温度の環境におけるペネトロ値(20℃におけるペネトロ値)を測定した。その測定値についても、表1に示した。
ペネトロ値の測定は、ペネトロメータにセットした貫入コーンを用いて、以下のようにして測定した。
(1)作業台にビニールシートを載置し、該ビニールシート上に内径106mm、高さ75mmの中空円筒状の型枠を載置した後、該型枠の中空部に、空隙が生じないように測定試料(ペースト組成物)を充填した。なお、測定試料の充填は、ビニールシートごと前記型枠を持ち上げて、前記型枠を前記作業台に打ちつけながら行った。
(2)コテを用いて、前記型枠に充填された測定試料の上面(前記作業台と接していない面)を平滑に仕上げた。
(3)ペネトロメータに、底面直径41±1.0mm、高さ92±2.0mm、先端角24±1.0°、質量400±2gの円錐型のステンレス貫入コーンを、コーン先端部が鉛直下方を向くようにセットした。
(4)ステンレス貫入コーンのコーン先端部を測定試料の上面に当接させ、そのときのゲージの指示値(指示値1)を読み取った。
(5)コーン先端部と測定試料の上面との距離が65±3mmとなるように、ステンレス貫入コーンを鉛直上方に持ち上げた後、自然落下させてコーン先端部を上面側から測定試料に進入させ、ゲージの指示値が一定値となったときの値(指示値2)を読み取った。
(6)コーン先端部が進入する位置を変えた2箇所について、上記(5)を行って、2箇所についての指示値2を読み取った。
(7)(5)及び(6)において、異なる3箇所について読み取った指示値2の値を算術平均し、算術平均した値から指示値1を減じた値を算出し、この算出した値をペネトロ値とした。
Figure 2021050118
[耐火材の特性評価]
各例に係る耐火材について、カートリッジへの充填適性、展延性、及び、乾燥後のひび割れについて評価した結果を以下の表2に示した。
上記評価項目のうち、カートリッジへの充填適性は、各例に係る耐火材に触れたときの触感により評価した。カートリッジへの充填適性が極めて高いものを◎と評価し、カートリッジへの充填適性が高いものを〇と評価し、カートリッジへの充填適性が低いものを×と評価した。
また、展延性については、各例に係る耐火材を充填したカートリッジをコーキングガンに装着し、カートリッジの吐出部の先端側を切断し(切断後の口径は約10mm)、カートリッジの吐出部から250mmの長さまで耐火材を吐出させたときに、耐火材が途切れずに連続して吐出されているか否かを目視にて評価した。途切れずに連続して吐出されているものを◎と評価し、途切れながら吐出されているものを×を評価した。
さらに、乾燥後のひび割れは、施工箇所に供給して乾燥させた耐火材を目視にて観察することにより行った。ひび割れが極めて少ないものを◎と評価し、ひび割れが少ないものを〇と評価し、ひび割れがやや多いものの実用上問題のないものを△と評価し、ひび割れが極めて多く実用上問題があるものを×と評価した。
Figure 2021050118
表2から、実施例1〜3、8、及び9に係る耐火材は、充填適性、展延性、及び、ひび割れのいずれの評価項目についても極めて優れるという結果が得られた。
実施例4、5、及び7に係る耐火材は、充填適性については高いという結果が得られ、展延性及びひび割れについては極めて優れるという結果が得られた。
実施例6に係る耐火材は、ひび割れが少ないという結果が得られ、充填適性及び展延性については極めて優れるという結果が得られた。
実施例10に係る耐火材は、ひび割れがやや多いものの実用上問題のないという結果が得られ、充填適性及び展延性については極めて優れるという結果が得られた。
これに対し、比較例1〜6に係る耐火材は、少なくとも展延性がいずれも不良であるという結果が得られた。
この結果から、ペネトロ値を40以上80以下とすることにより、展延性に優れ、かつ、乾燥後にひび割れが生じ難い耐火材とすることが可能となることが分かった。
1:カートリッジ、2:コーキングガン、10:カートリッジ容器、20:吐出部、30:波板スレート、40:壁、41:貫通部、50:配管、60:床板、70:壁、80:不燃化粧パネル、S1:スレート空隙、S2:貫通空隙、S3:接合部分、S4:欠損部分。

Claims (4)

  1. 水と、
    無機充填剤と、
    増粘剤と、
    粘結剤と、を含み、
    0〜40℃のいずれかの温度において、ペネトロ値が40以上80以下である
    耐火材。
  2. 減水剤をさらに含む、
    請求項1に記載の耐火材。
  3. 容器に収容された容器入り耐火材であって、
    前記容器は、
    前記耐火材を収容する筒状の容器本体と、
    前記耐火材が吐出される吐出部とを備え、
    前記容器本体の一端側に前記吐出部が設けられ、前記容器本体に収容された前記耐火材に前記容器本体の他端側から圧力が加えられて該耐火材が前記吐出部から吐出されるように構成されており、
    前記耐火材が請求項1または2に記載の耐火材である
    容器入り耐火材。
  4. 請求項3に記載の容器を用いて、前記容器本体内に充填された耐火材を施工箇所に供給し、前記施工箇所において前記耐火材を乾燥固化させる
    耐火材の施工方法。
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