JP2021047043A - 形状の評価方法、部品の製造方法、及び形状の評価システム - Google Patents

形状の評価方法、部品の製造方法、及び形状の評価システム Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な設備で被計測面の形状を高精度に評価できる形状の評価方法及び形状の評価システムと、このような形状の評価方法を用いた高精度な部品の製造方法と、を提供する。【解決手段】形状の評価方法は、対象物の被計測面の形状を、第1方向において隣接する一対の計測領域が重複領域を有するように部分計測し、前記計測領域ごとの計測データを取得する工程S21と、前記計測領域ごとに、前記計測データから前記第1方向と交差する第2方向における形状の変動を除去した前記第1方向の形状の代表データを算出する工程S22と、前記第1方向に隣接する一対の前記代表データにおいて前記重複領域の形状差が最小となるように複数の前記代表データを接続し、前記被計測面の全体の形状データを合成する工程S23と、を備える。【選択図】図5

Description

実施形態は、形状の評価方法、部品の製造方法、及び形状の評価システムに関する。
対象物の表面の形状を計測する際に、形状計測手段の計測領域が計測したい被計測面よりも小さい場合がある。このような場合、隣接する計測領域が重複領域を備えるように、計測領域をずらしながら被計測面の形状を部分計測し、隣接する一対の計測データにおいて重複領域の形状差が最小となるように、複数の計測データを接続する技術が知られている。このような技術は、スティッチングと呼ばれる。このような技術によれば、計測領域が被計測面よりも小さい場合でも、被計測面の全体形状を計測することができる。
例えば、対象物の精密な形状(高さ分布)を取得したい場合は、干渉計等の非接触式の計測、あるいはプローブ(接触子)を介した接触式の計測が利用されるが、計測領域をずらすために対象物を載置したステージを移動させる際等において、ステージの傾きが変化し、複数の計測データを接続する際に誤差が生じる場合がある。このため、近年、ステージの傾きを計測し、ステージの傾きを考慮して複数の計測データを接続する方法が提案されている。
しかしながら、簡単な設備で対象物の表面の形状を高精度で評価したいという要望がある。
特開2018−119817号公報
実施形態の目的は、簡単な設備で被計測面の形状を高精度で評価できる形状の評価方法及び形状の評価システムと、このような形状の評価方法を用いた高精度な部品の製造方法と、を提供することである。
実施形態に係る形状の評価方法は、対象物の被計測面の形状を、第1方向において隣接する一対の計測領域が重複領域を有するように部分計測し、前記計測領域ごとの計測データを取得する工程と、前記計測領域ごとに、前記計測データから前記第1方向と交差する第2方向における形状の変動を除去した前記第1方向の形状の代表データを算出する工程と、前記第1方向に隣接する一対の前記代表データにおいて前記重複領域の形状差が最小となるように複数の前記代表データを接続し、前記被計測面の全体の形状データを合成する工程と、を備える。
実施形態に係る加工システムを示すブロック図である。 実施形態に係る加工システムによって加工されるテスト品を例示する斜視図である。 テスト品を示す平面図である。 実施形態に係るレンズの製造方法を示すフローチャートである。 実施形態に係る形状の評価方法を示すフローチャートである。 計測データを模式的に示す図である。 図7(a)は、横軸にX方向の位置をとり縦軸に高さをとって計測データを例示するグラフであり、図7(b)は、横軸にY方向の位置をとり縦軸に高さをとって計測データを例示するグラフである。 図8(a)は、計測データからX方向の平均形状を算出する方法を示す図であり、図8(b)は、X方向に隣接する一対の計測データの最適な回転量を検出する方法を示す模式図である。 図9(a)は、回転補正データからY方向の平均形状を算出する方法を示す図であり、図9(b)は、横軸にY方向の位置をとり縦軸に高さをとって、回転補正データから算出したY方向の平均形状を例示するグラフである。 図10(a)は、回転補正データから代表データを算出する方法を示す図であり、図10(b)は、横軸にY方向の位置をとり縦軸に高さをとって、代表データから算出したY方向の平均形状を例示するグラフである。 X方向に隣接する一対の代表データの最適な相対位置を検出する方法を示す模式図である。 横軸にX方向の相対位置をとり縦軸に評価関数の値をとって最適な相対位置の検出結果を例示するグラフである。
図1は、本実施形態に係る加工システムを示すブロック図である。
先ず、本実施形態に係る加工システム1の概略的な構成について説明する。
図1に示すように、加工システム1は、加工手段10と、形状計測手段20と、処理部40と、を備える。形状計測手段20及び処理部40は、形状の評価システム2を構成する。
加工システム1は、例えば、工作物として金型(図示省略)を製作する。金型によって成形される部品は、例えば、光学部品である。光学部品が要求される光学特性を満たすように、金型は、高精度で加工される必要がある。金型によって成形される光学部品としては、例えば、多機能周辺装置(MFP:MultiFunction Peripheral)の感光ドラムへの書き込みに用いられるレンズ等が挙げられる。
加工手段10が設計データのみに基づく加工指令データに従って金型の素材を加工した場合、金型のレンズ成形面に加工手段10の運動誤差に起因した周期的なうねりが生じる場合がある。このようなうねりは、レンズの光学特性に影響を与える可能性がある。そこで、加工手段10は、金型の素材を加工する前にテスト品100の素材を加工する。形状計測手段20は、テスト品100の被加工面の少なくとも一部の形状を計測する。すなわち、本実施形態において、テスト品100は、形状計測手段20によって計測される対象物に相当する。処理部40は、形状計測手段20の取得した計測データを処理し、うねりの発生を抑制するように加工指令データを補正する。加工手段10は、補正後の加工指令データに従って金型の素材を加工する。
図2は、本実施形態に係る加工システムによって加工されるテスト品を例示する斜視図である。
テスト品100は、加工手段10が金型の素材を加工する前に、加工手段10の運動誤差に起因するうねりの発生位置及び大きさ等を算出するために用いられる。
テスト品100の形状は、例えば、概ね直方体である。テスト品100の表面は、上面100a、下面100b、及び側面100cを含む。上面100aは、テスト品100の長手方向に延びている。上面100aは、例えば、加工手段10によって加工された被加工面である。また、上面100aの少なくとも一部の形状は、後述する形状計測手段20によって計測される。上面100aは、加工手段10の運動誤差に起因する周期的なうねり等が形成されているものの、例えば、概ね平坦な面である。下面100bは、テスト品100の長手方向と交差する方向において、上面100aに対向している。側面100cは、上面100a及び下面100bに接している。
なお、テスト品100の形状は、上記に限定されない。ただし、後述する形状計測手段20の計測部21がレーザー干渉計である場合、高精度でうねりの発生位置及び大きさ等を算出する観点から、テスト品100の上面100aは、例えば、上述したような概ね平坦な面や球面等であることが好ましい。
以下、説明の便宜上、本明細書においては、XYZ直交座標系を採用する。テスト品100を上面視した際のテスト品100の長手方向を「X方向」、テスト品100の短手方向を「Y方向」とする。また、X方向及びY方向と直交する方向を「Z方向」とする。本実施形態において、X方向は、第1方向に相当し、Y方向は第2方向に相当する。
加工手段10は、例えば、バイト及び移動部(いずれも図示省略)を有する工作機械である。移動部は、入力された加工指令データに従って、テスト品100の素材又は金型の素材をバイトに対して相対的に移動させる。テスト品100の素材とバイトの相対移動により、テスト品100の素材が例えば切削や研削などにより除去加工され、上面100a等が形成される。また、金型の素材とバイトの相対移動により、金型の素材が除去加工され、金型のレンズ成形面等が形成される。
図1に示すように、形状計測手段20は、例えば、計測部21と、移動部22と、を有する。
計測部21は、例えば、テスト品100の上面100aの形状を計測する光学的な計測器である。光学的な計測器としては、例えば、レーザー干渉計、レーザー変位計等が挙げられる。計測部21は、上面100aの少なくとも一部の形状を3次元で計測する。すなわち、計測部21は、X方向及びY方向の各位置における領域SのZ方向の位置(高さ)を計測する。
移動部22は、テスト品100が載置されたステージ23を計測部21に対して移動させる。移動部22は、例えば、少なくともX方向にステージ23を移動可能に構成されている。なお、移動部22は設けられていなくてもよい。この場合、例えば、作業者がテスト品100を手動で移動させてもよい。
図3は、テスト品を示す平面図である。
図3に示すように、形状計測手段20は、例えば、テスト品100の上面100aのY方向の略中央に位置し、上面100aのX方向の全長に亘る領域Sの形状を計測する。
計測部21の計測領域は、領域Sよりも小さい。計測部21による計測と移動部22によるステージ23の移動を繰り返すことによって、形状計測手段20は、領域Sの形状を複数の計測範囲ごとに部分計測し、計測領域ごとの計測データを取得する。
以下では、計測が5回行われ、5つの計測領域B〜BがX方向に並ぶように設定され、5つの計測データC〜Cが取得される場合を例に説明する。
なお、以下では、複数の計測領域B〜Bのうちのいずれか一つを、計測領域Bと表現する(n=1〜5)。また、複数の計測データC〜Cのうちいずれか一つを、計測データC(n=1〜5)と表現する。ただし、計測領域の数は2以上であれば、特に限定されない。また、各計測領域の大きさも、特に限定されない。例えば、各計測領域は、上面100aのY方向の全域が計測されるように設定されてもよい。
X方向に隣接する一対の計測領域B、Bは、重複領域b1、2を有する。X方向に隣接する一対の計測領域B、Bは、重複領域b2、3を有する。X方向に隣接する一対の計測領域B、Bは、重複領域b3、4を有する。X方向に隣接する一対の計測領域B、Bは、重複領域b4、5を有する。
以下では、複数の重複領域b1、2〜b4、5のうちのいずれか一つの重複領域を、重複領域bn、n+1と表現する(n=1〜4)。なお、重複領域bn、n+1は、後述するうねりU(図7(a)参照)が少なくとも1つ位置するように設定されることが好ましい。
処理部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等を備えたコンピュータである。処理部40は、形状計測手段20から計測データCを受け取ることができ、補正後の加工指令データを加工手段10に受け渡すことができる。例えば、処理部40は、加工手段10及び形状計測手段20と、無線又は有線によってデータ通信可能に接続されている。処理部40の行う処理の詳細については、後述する形状の評価方法で説明する。なお、処理部40は、加工手段10の動作を制御する制御部によって構成されてもよいし、形状計測手段20を制御する制御部によって構成されてもよい。
次に、本実施形態に係るレンズの製造方法について説明する。
図4は、本実施形態に係るレンズの製造方法を示すフローチャートである。
先ず、加工手段10が、テスト品100の素材を加工する(工程S1)。
図2の矢印a1〜a3は、テスト品100の上面100aに対するバイトの軌跡の一例である。図2の矢印a1で示すように、工程S1において、加工手段10のバイトは、テスト品100の素材に対してX方向に移動しながらテスト品100の素材を除去加工し、第1端部101から第2端部102まで移動する。そして、矢印a2で示すように、テスト品100から離隔して第1端部101に戻りつつY方向に変位する。そして、矢印a3で示すように、再びテスト品100の素材に対してX方向に移動しながらテスト品100の素材を除去加工し、第1端部101から第2端部102まで移動する。このようなバイトとテスト品100の素材の相対移動を繰り返すことにより、テスト品100の上面100a等が形成される。
このように、バイトは、テスト品100の上面100aに対してX方向に走査される。 なお、上面視におけるバイトの上面100aに対する走査方向は、上面視におけるバイトの金型のレンズ成形面に対する走査方向と同じ方向である。これにより、処理部40は、後述するように、テスト品100を用いて算出したうねりの発生位置や大きさ等に基づいて、うねりの発生を抑制するように、金型を製作する際の加工指令データを補正できる。
また、バイトの種類、バイトの回転数、及びバイトと素材の相対的な移動速度等の加工条件は、金型を製作する際と、テスト品100を製作する際とで同一にすることが好ましい。また、テスト品100の材料と、金型の材料は、同一であることが好ましい。
次に、処理部40は、上面100aの少なくとも一部の領域Sの形状を評価する(工程S2)。
図5は、本実施形態に係る形状の評価方法を示すフローチャートである。
先ず、形状計測手段20は、上面100aの領域Sの形状を、X方向に隣接する一対の計測領域B、Bn+1が重複領域bn、n+1を有するように部分計測し、計測領域Bごとの計測データCを取得する(工程S21)。ここで、X方向は、被計測面である領域Sを上面視した際の領域Sに対するバイトの走査方向である。
図6は、計測データを模式的に示す図である。
図7(a)は、横軸にX方向の位置をとり縦軸に高さをとって計測データを例示するグラフであり、図7(b)は、横軸にY方向の位置をとり縦軸に高さをとって計測データを例示するグラフである。
図6に示すように、計測データCは、例えば、計測領域B内のX方向及びY方向の各位置(x、y)において計測された上面100aの高さz(x、y)を示す三次元データである。
加工手段10がテスト品100の素材を加工する際の加工指令データは、例えば、テスト品100の上面100aが平坦になるように設定されている。しかしながら、図7(a)に示すように、テスト品100の上面100aには、加工手段10の運動誤差に起因してX方向に周期的なうねりUが生じる場合がある。仮に、このようなうねりが、金型のレンズ成形面に生じた場合、レンズの光学特性に影響を与える可能性がある。このため、上面100aの領域Sの形状の計測結果を用いてうねりの発生位置や大きさ等を算出し、このようなうねりの発生が抑制されるように金型の素材を加工することが望ましい。
図7(b)に示すように、テスト品100の上面100aは、Y方向にも変動する。ただし、上述したように、バイトはテスト品100の素材に対してY方向には連続的に走査されない。このため、Y方向では、加工手段10の運動誤差に起因する誤差よりも、温度変化等の外乱に起因する誤差が支配的となる。したがって、Y方向の変動は、X方向のうねりUと比較して、加工の再現性が低い。このため、本実施形態では、金型の素材を加工する際に、X方向に周期的なうねりの発生を優先的に抑制する例を説明する。
次に、形状計測手段20は、処理部40に計測データCを出力する。
次に、処理部40は、図5に示すように、計測領域Bごとに、計測データCからY方向の形状の変動を除去したX方向の形状の代表データFを算出する(工程S22)。
工程S22では、先ず、処理部40は、計測データCごとに重複領域bn、n+1におけるX方向の形状の傾きLを算出する(工程S22a)。
図8(a)は、計測データからX方向の平均形状を算出する方法を示す図であり、図8(b)は、X方向に隣接する一対の計測データの最適な回転量を検出する方法を示す模式図である。
図7(a)に示すように、計測データCが表すX方向の形状には変動成分が含まれている。また、計測データCが表す形状は、ステージ23の載置面の形状等に応じてX方向に対して傾いている場合がある。
そこで、図8(a)に示すように、処理部40は、例えば、計測データCが表す三次元形状からX方向の平均形状Cxを算出し、図8(b)に示すように、X方向の平均形状Cxを近似する曲線Dを算出する。
より具体的には、図8(a)に示すように、処理部40は、X方向のある位置xについて、Y方向の各位置(x、y)における高さz(x、y)を平均化した平均高さz(x)を算出する。この処理を、X方向の各位置について行う。「X方向の平均形状Cx」とは、このようにして算出されたX方向の各位置の平均高さz(x)によって表される形状を意味する。次に、処理部40は、X方向の平均形状Cxを曲線Dで近似する。
次に、処理部40は、曲線Dの重複領域bn、n+1における部分の傾きLを算出する。傾きLは、例えば、曲線Dの重複領域bn、n+1における部分を直線で近似した際の直線の傾きであってもよいし、曲線Dの重複領域bn、n+1のいずれかの位置の接線の傾きであってもよい。なお、一つの計測データCについて2つ重複領域bn-1、n、bn、n+1がある場合は、それぞれの重複領域bn-1、n、bn、n+1の傾きを算出する。
なお、処理部40は、曲線Dを算出せずに傾きLを算出してもよい。この場合、処理部40は、例えば、重複領域bn、n+1におけるX方向の平均形状Cxを直線で近似し、近似した直線から傾きLを算出してもよい。
移動部22によってステージ23を移動させた場合、ステージ23を移動させた際にステージ23の傾きが変化することで、X方向に隣接する一対の計測データC、Cn+1において重複領域bn、n+1の傾きL、Ln+1が相互に異なることがある。また、移動部22を用いずに、テスト品100を手動で計測部21に対して移動させた場合、ステージ23の載置面の形状によっては移動させたテスト品100の傾きが変化し、一対の計測データC、Cn+1において重複領域bn、n+1の傾きL、Ln+1が相互に異なることがある。
そこで、処理部40は、一対の計測データC、Cn+1において、一方の計測データCに対して他方の計測データCn+1を回転させた場合に重複領域bn、n+1の傾きL、Ln+1が一致するような回転量を検出する(工程S22b)。ここで回転量は、Y方向に平行な軸周りの回転量である。
次に、処理部40は、図5に示すように、検出した回転量を盛り込んだ各計測データCから、Y方向における変動を除去した代表データFを算出する(工程S22c)。以下、検出した回転量を盛り込んだ各計測データCを単に「回転補正データE」という。
図9(a)は、回転補正データからY方向の平均形状を算出する方法を示す図であり、図9(b)は、横軸にY方向の位置をとり縦軸に高さをとって、回転補正データから算出したY方向の平均形状を例示するグラフである。
図10(a)は、回転補正データから代表データを算出する方法を示す図であり、図10(b)は、横軸にY方向の位置をとり縦軸に高さをとって、代表データから算出したY方向の平均形状を例示するグラフである。
図9(a)に示すように、処理部40は、回転補正データEにおいて、Y方向のある位置yについて、X方向の各位置(x、y)における高さz(x、y)を平均した平均高さz(y)を算出する。処理部40は、この処理をY方向の各位置について行い、Y方向の各位置の平均高さz(y)を算出する。以下、算出したY方向の各位置の平均高さz(y)によって表される形状を「Y方向の平均形状Ey」という。
次に、処理部40は、図9(b)に示すように、Y方向の各位置における平均高さz(y)を平均した平均値zaveを算出する。
次に、処理部40は、Y方向のある位置yについて、平均高さz(y)から平均値zaveを減算した変位量Δz(y)=z(y)−zave算出する。そして、図10(a)に示すように、処理部40は、回転補正データEにおいて、Y方向のある位置yについて、X方向の各位置(x、y)における高さz(x、y)から一律に変位量Δz(y)を減算する。処理部40は、これらの処理をY方向の各位置について行う。これによって、図10(a)に示すように、処理部40は、回転補正データEからY方向の形状の変動を除去した代表データFを算出する。
したがって、図10(b)に示すように、代表データFから算出されたY方向の平均形状Fyは、平坦になる。
なお、各計測データCを用いてY方向における形状の変動を除去する方法は、上記に限定されない。
次に、処理部40は、図5に示すように、複数の代表データF〜Fを接続し、全体の形状データ(図示省略)を合成する(工程S23)。
工程S23において、先ず、処理部40は、X方向に隣接する一対の代表データF、Fn+1において、重複領域bn、n+1の形状差が最小になるようなX方向の相対位置を検出する(S23a)。
図11は、X方向に隣接する一対の代表データの最適な相対位置を検出する方法を示す図である。
図12は、横軸にX方向の相対位置をとり縦軸に評価関数の値をとって最適な相対位置の検出結果を例示するグラフである。
処理部40は、例えば、一対の代表データF、Fn+1の重複領域bn、n+1における部分をX方向に相対的に移動させ、最小二乗法等に基づく評価関数を用いて、重複領域bn、n+1の形状差が最小になるX方向の相対位置を探索する。なお、評価関数が最小二乗法等に基づく場合、評価関数の値は、形状差に対応する。したがって、評価関数の値が最小となるX方向の相対位置Pが、最適な相対位置である。なお、「最小」は、厳密な最小には限定されず、実用的に最小といえる範囲であればよい。例えば、ある閾値を設定し、それよりも小さければ最小とみなしてもよい。
次に、処理部40は、検出した相対位置に基づいて複数の代表データF〜Fを接続し、全体の形状データを合成する(工程S23b)。
加工手段10が金型の素材を除去加工する際にX方向に周期的なうねりの発生を抑制するためには、うねりの発生位置や大きさ等を高精度で算出する必要がある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、一対の計測データC、Cn+1からY方向の形状の変動を除去することなく接続した場合、Y方向の形状の計測の誤差等に起因して、一方の計測データCの重複領域bn、n+1におけるうねりUに対して、他方の計測データCの重複領域bn、n+1におけるうねりUが位置ずれした状態で、一対の計測データC、Cn+1が接続される場合がある。
そこで、本実施形態では、上述したように計測データCごとにY方向の形状の変動を除去したX方向の形状の代表データFを算出し、複数の代表データF〜Fを接続して、全体の形状データを合成する。これにより、うねりの発生位置や大きさ等を高精度で算出できる。
なお、工程S23bにおいて、X方向の相対的な位置のみを最適化するのではなく、一対の代表データF、Fn+1のY方向やZ方向の相対的な位置も最適化してもよい。
次に、処理部40は、全体の形状データから、うねりの発生を抑制するように加工指令データを補正するための補正データを算出する(工程S24)。処理部40は、例えば、バイトの走査の開始位置を起点としてうねりが生じる位置と、生じるうねりの大きさの平均値等を算出する。
次に、処理部40は、算出したうねりの発生位置及び大きさ等に基づき、うねりの発生を抑制するような補正データを算出する。次に、処理部40は、金型の設計データに基づく加工指令データを、補正データに基づき補正する。次に、処理部40は、補正後の加工指令データを加工手段10に受け渡す。
次に、加工手段10は、補正後の加工指令データに従って、金型の素材を加工する(工程S3)。
次に、金型を用いて、レンズを成形する(工程S4)。
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、計測データCからY方向における形状の変動を除去したX方向の形状の代表データFが算出される。そして、X方向に隣接する一対の代表データF、Fn+1において重複領域bn、n+1の形状差が最小となるように複数の代表データF〜Fを接続し、全体の形状データを合成する。
このように、ステージ23の傾き等を計測しなくても、複数の計測データC〜Cから算出される複数の代表データF〜Fを用いて、正確に把握したい領域SのX方向の形状を高精度で計測できる。したがって、本実施形態によれば、簡単な設備で領域SのX方向の形状を高精度で計測できる。
また、本実施形態に係る形状の評価システム2は、ステージ23の傾き等を計測する手段が必要なシステムと比較して低コストである。
また、上記の形状の評価方法を用いることで、レンズ等の光学部品に用いる金型を高精度で加工できる。これにより、光学特性に優れた光学部品を得ることができる。
また、本実施形態においては、計測対象物であるテスト品100は、バイトを有する加工手段10によって加工された工作物であり、X方向は、被計測面である上面100aの領域Sを上面視した際の領域Sに対するバイトの走査方向である。バイトの走査方向には、加工手段10の運動誤差等に起因して、周期的なうねり等が生じる場合がある。本実施形態では、このような周期的なうねり等を利用して、複数の代表データF〜Fを高精度で接続できる。また、加工手段10の運動誤差に起因するうねりの発生位置や大きさ等を高精度で算出し、うねりの発生位置や大きさ等の情報を、加工手段10によって金型等の工作物を製作する際に活用できる。
また、本実施形態においては、全体の形状データに基づいて、加工手段10の運動誤差に起因するうねりを抑制するように加工指令データを補正するための補正データを算出する。これにより、金型等の工作物の表面にうねりが生じることを抑制できる。
また、本実施形態においては、X方向に隣接する一対の計測データC、Cn+1において、一方の計測データCに対して他方の計測データCn+1を相対的に回転させた場合に、重複領域bn、n+1における傾きL、Ln+1が一致するような回転量を検出する。そして、回転量を盛り込んだ計測データCから、Y方向における形状の変動を除去した代表データFを算出する。このため、ステージ23のX方向に対する傾き等の影響を低減した上で、代表データFを算出できる。また、このような処理により、代表データFを簡単に算出できる。
また、本実施形態においては、X方向に隣接する一対の代表データF、Fn+1において、重複領域bn、n+1の形状差が最小になるようなX方向の相対位置を検出する。そして、検出した相対位置に基づいて複数の代表データF〜Fを接続し、全体の形状データを合成する。このため、X方向の形状を高精度で評価できる。
なお、実施形態に係る形状の評価方法及び形状の評価システムが適用される対象物は、テスト品ではなく製品であってもよい。また、実施形態に係る形状の評価方法及び形状の評価システムが適用される対象物は、工作物でなくてもよい。
また、実施形態に係る形状の評価方法は、補正データを算出する工程を備えなくてもよい。
また、実施形態に係る形状の評価方法において、回転量を盛り込まずに計測データから代表データを算出してもよい。この場合、隣接する一対の代表データを接続する前に、隣接する一対の代表データにおいて、重複領域の傾きが一致する回転量を検出し、検出した回転量に基づいて隣接する一対の代表データを接続してもよい。
以上説明した実施形態によれば、簡単な設備で被計測面の形状を高精度に評価できる形状の評価方法及び形状の評価システムと、このような形状の評価方法を用いた高精度な部品の製造方法と、を実現することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。
1:加工システム
2:評価システム
10:加工手段
20:形状計測手段
21:計測部
22:移動部
23:ステージ
40:処理部
100:テスト品
100a:上面
100b:下面
100c:側面
101:第1端部
102:第2端部
:計測領域
:計測データ
Cx:X方向の平均形状
:回転補正データ
Ey:Y方向の平均形状
:代表データ
Fy:Y方向の平均形状
:傾き
P:相対位置
S:領域
a1〜a3:バイトの軌跡を示す矢印
n、n+1:重複領域

Claims (9)

  1. 対象物の被計測面の形状を、第1方向において隣接する一対の計測領域が重複領域を有するように部分計測し、前記計測領域ごとの計測データを取得する工程と、
    前記計測領域ごとに、前記計測データから前記第1方向と交差する第2方向における形状の変動を除去した前記第1方向の形状の代表データを算出する工程と、
    前記第1方向に隣接する一対の前記代表データにおいて前記重複領域の形状差が最小となるように複数の前記代表データを接続し、前記被計測面の全体の形状データを合成する工程と、
    を備えた形状の評価方法。
  2. 前記対象物は、バイトを有する加工手段によって加工された工作物であり、
    前記第1方向は、前記被計測面を上面視した際の前記被計測面に対する前記バイトの走査方向である請求項1に記載の形状の評価方法。
  3. 前記全体の形状データに基づいて、前記加工手段の運動誤差に起因するうねりの発生を抑制するように前記加工手段の加工指令データを補正するための補正データを算出する工程をさらに備えた請求項2に記載の形状の評価方法。
  4. 前記代表データを算出する工程は、
    それぞれの前記計測データの前記重複領域における前記第1方向の形状の傾きを算出する工程と、
    前記第1方向に隣接する一対の前記計測データにおいて、一方の計測データを他方の計測データに対して回転させた場合に、前記重複領域の前記傾きの差が一致するような回転量を検出する工程と、
    前記回転量を盛り込んだそれぞれの前記計測データから、前記第2方向における変動を除去した前記代表データを算出する工程と、
    を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の形状の評価方法。
  5. 前記代表データを算出する工程において、
    前記代表データにおいて、前記第2方向の平均形状が平坦になるように、前記計測データから前記第2方向における形状の変動を除去する請求項1〜4のいずれか1つに記載の形状の評価方法。
  6. 前記全体の形状データを合成する工程は、
    前記第1方向に隣接する一対の前記代表データにおいて前記重複領域の形状差が最小になるような前記第1方向の相対位置を検出する工程と、
    検出した前記相対位置に基づいて複数の前記代表データを接続し、前記全体の形状データを合成する工程と、
    を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の形状の評価方法。
  7. バイトを有する加工手段を用いてテスト品の素材を加工し、被加工面を形成する工程と、
    前記被加工面の少なくとも一部の形状を、第1方向において隣接する計測領域が重複領域を有するように部分計測し、前記計測領域ごとの計測データを取得する工程と、
    前記計測領域ごとに、前記計測データから前記第1方向と交差する第2方向における形状の変動を除去した前記第1方向の形状の代表データを算出する工程と、
    前記第1方向に隣接する一対の前記代表データにおいて前記重複領域の形状差が最小となるように複数の前記代表データを接続し、全体の形状データを合成する工程と、
    前記全体の形状データに基づいて、前記加工手段の運動誤差に起因するうねりの発生を抑制するように加工指令データを補正する工程と、
    前記補正後の加工指令データに従って、前記加工手段を用いて金型の素材を加工し、前記金型を製作する工程と、
    前記金型を用いて部品を成形する工程と、
    を備え、
    前記第1方向は、前記テスト品の前記被加工面を上面視した際の前記バイトの走査方向である部品の製造方法。
  8. 前記部品は光学部品である、請求項7に記載の部品の製造方法。
  9. 対象物の被計測面の形状を、第1方向において隣接する一対の計測領域が重複領域を有するように部分計測し、前記計測領域ごとの計測データを取得する形状計測手段と、
    前記計測領域ごとに、前記計測データから前記第1方向と交差する第2方向における形状の変動を除去した前記第1方向の形状の代表データを算出し、前記第1方向に隣接する一対の前記代表データにおいて前記重複領域の形状差が最小となるように複数の前記代表データを接続し、前記被計測面の全体の形状データを合成する処理部と、
    を備えた形状の評価システム。
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