JP2021044762A - トランスデューサ - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃に対して耐性を持ったトランスデューサを提供する。【解決手段】トランスデューサは、一対の電極11、12に挟まれた圧電膜13を備える圧電素子と、膜厚方向に変位可能な振動膜16を備え、振動膜16上に圧電素子が積層される膜体15と、圧電素子及び膜体15を収容する内部空間100を備えるパッケージ20と、内部空間100に設けられ、振動膜16が膜厚方向に変位したときに圧電素子又は振動膜16が当接することで振動膜16の変位を制限する当接パッド40と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、トランスデューサに関する。
従来、音波又は超音波の送信又は受信を行うトランスデューサが知られている。トランスデューサは、例えば音波を送信するスピーカとして利用され、イヤホン又はウェアラブル端末などに搭載されている。
例えば特許文献1には、イヤホンに好適な音発生装置が開示されている。この音発生装置は、磁界を発生させるコイルと、コイルにより発生させた磁界と相互作用して振動板を振動させるマグネットとを備えている。
コイルとマグネットとを用いるスピーカは大きな駆動電圧が必要となり、消費電力が高くなる。そこで、一対の電極によって圧電膜を両側から挟んで構成される圧電素子を利用したスピーカも注目されている(例えば特許文献2参照)。この類のスピーカは、微細加工を実現する半導体製造技術であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いて製造される。
特開2018−170592号公報 特開2012−105170号公報
ところで、MEMSによって製造されるスピーカは微細な形状を有するため、脆弱な構造になりやすい。そのため、外部から入力される衝撃などによって、破損が生じてしまう可能性がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、衝撃に対して耐性を持ったトランスデューサを提供することである。
このような課題を解決するために、本発明は、一対の電極に挟まれた圧電膜を備える圧電素子と、膜厚方向に変位可能な振動膜を備えて振動膜上に圧電素子が積層される膜体と、圧電素子及び膜体を収容する内部空間を備えるパッケージと、内部空間に設けられ、振動膜が膜厚方向に変位したときに圧電素子又は振動膜が当接することで振動膜の変位を制限する当接部材と、を有するトランスデューサを提供する。
本発明によれば、衝撃に対して耐性を持ったトランスデューサを提供することができる。
図1は、本実施形態に係るトランスデューサを示す断面図である。 図2は、本実施形態に係るトランスデューサを示す上面図である。 図3は、本実施形態に係る音響チップを示す断面図である。 図4は、本実施形態に係る音響チップを示す上面図である。 図5Aは、モジュール電極の形態を説明する断面図である。 図5Bは、モジュール電極の形態を説明する断面図である。 図6Aは、電子部品の実装形態を説明する断面図である。 図6Bは、電子部品の実装形態を説明する断面図である。 図6Cは、電子部品の実装形態を説明する断面図である。 図7Aは、パッケージの形態を説明する断面図である。 図7Bは、パッケージの形態を説明する断面図である。 図7Cは、パッケージの形態を説明する断面図である。 図8Aは、パッケージと音響チップとのシール構造を説明する断面図である。 図8Bは、第1貫通孔及び第2貫通孔を閉塞するシート部材を説明する断面図である。 図8Cは、第1貫通孔の形態を説明する断面図である。 図9Aは、パッケージに形成される溝部を説明する断面図である。 図9Bは、パッケージに形成される溝部を説明する断面図である。 図9Cは、パッケージに形成される溝部を説明する断面図である。 図10は、パッケージに形成される突起を説明する断面図である。 図11Aは、トランスデューサの製造工程を示す断面図である。 図11Bは、トランスデューサの製造工程を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図1及び図2を参照して、本実施形態に係るトランスデューサの構成を説明する。本実施形態に係るトランスデューサは、音響チップ10と、パッケージ20と、外部電極30と、当接パッド40とを主体に構成されている。以下の説明では、図1に示すトランスデューサの状態を基準に上下方向を定義するが、トランスデューサに対する絶対的な方向を定義するものでない。
図3及び図4において、音響チップ10は、圧電素子と、膜体15とで構成されている。
圧電素子は、一対の電極11、12と、一対の電極11、12の間に挟まれた圧電膜13とで構成されている。一対の電極11、12及び圧電膜13は、後述する振動膜16の形状と対応する形状を有しており、図3及び図4に示す例では円形状を有している。
電極11、12のそれぞれは、例えばアルミニウム又は銅などの導電性を有する金属の薄膜より形成されている。一方の電極11は、圧電膜13の上側に位置し、電極11に駆動電圧を印加するための一対の電極パッド11aと接続されている。他方の電極12は、圧電膜13の下側に位置し、電極12に駆動電圧を印加するための一対の電極パッド12aと接続されている。圧電膜13は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)膜によって構成されている。圧電膜13は、チタン酸ジルコン酸鉛以外にも、窒化アルミニウム(AlZ)、酸化亜鉛(ZnO)又はチタン酸鉛(PbTiO)などを用いることができる。
膜体15は、振動膜16と、膜支持部17とで構成されている。膜体15は、例えばシリコン(Si)より構成されており、膜体15の下面側をエッチングすることで、振動膜16と膜支持部17とが一体に形成される。
振動膜16は、薄膜から構成されており、膜厚方向、すなわち振動膜16に対する法線方向(図3における紙面上下方向、図4における紙面垂直方向)に変位可能に構成されている。振動膜16は、膜厚方向に垂直な平面で見た場合、略円形状を有している。なお、振動膜16は、振動膜16の中心から放射状に延びる複数のスリットにより複数の領域に分割された構造であってもよい。
膜支持部17は、振動膜16の全周にかけて振動膜16と接続され、振動膜16を支持する。振動膜16の下方には、円柱状の空隙(キャビティ)が形成されている。
このような構成の音響チップ10において、膜体15の振動膜16上には、圧電素子が設けられている。すなわち、振動膜16上には、下側の電極12、圧電膜13及び上側の電極11が順番に積層されている。一対の電極11、12に駆動電圧がそれぞれ印加されると、一対の電極11、12の間に電界が生じる。この電界により、振動膜16が変位する。一対の電極11、12に対して駆動電圧を繰り返し変化させることで、振動膜16を振動させることができる。
図1及び図2において、パッケージ20は、複数の基板、例えば4枚の基板21〜23を積層して構成されている。パッケージ20を構成する4枚の基板21〜23は、振動膜16の膜厚方向に沿って積層されている。
具体的には、パッケージ20は、パッケージ20の上面を構成する基板(上部基板)21と、パッケージ20の下面を構成する基板(下部基板)22と、上部基板21と下部基板22との間に積層される2枚の基板(中間基板)23とで構成されている。上部基板21、下部基板22及び中間基板23の各外周形状は、互いに概ね同一形状かつ概ね同一サイズを有しており、図2に示す例では四角形状を有している。もっとも、上部基板21、下部基板22及び中間基板23の各外周形状は、それぞれ異なる形状であっても、それぞれ異なるサイズであってもよい。
同図に示す例では、上部基板21及び下部基板22がそれぞれ1枚の基板で構成されているが、2枚以上の基板で構成されてもよい。また、中間基板23が2枚の基板で構成されているが、1枚の基板、又は3枚以上の基板で構成されてもよい。加えて、各基板21〜23の4つの角部は直角形状となっているが、円弧形状又はテーパー形状に面取りしてもよい。
各中間基板23には、中間基板23の板厚方向に貫通する貫通孔が形成されている。2枚の中間基板23に形成された貫通孔は互いに連通しており、これらの貫通孔により、パッケージ20の内部に内部空間100が形成される。そして、パッケージ20の内部空間100には、音響チップ10が収容され、パッケージ20に対して実装される。
内部空間100は、振動膜16を境に、振動膜16よりも上側に位置する上空間部101と、振動膜16よりも下側に位置する下空間部102とに仕切られる。上空間部101とパッケージ20の外側に位置する外部空間とを連通するために、上部基板21には、上部基板21の板厚方向に貫通する上部貫通孔21aが形成されている。上部貫通孔21aは、上空間部101を隔てて、圧電素子及び振動膜16と対向している。また、下空間部102とパッケージ20の外部空間とを連通するために、下部基板22には、下部基板22の板厚方向に貫通する下部貫通孔22aが形成されている。下部貫通孔22aは、下空間部102を隔てて、振動膜16と対向している。
一対の電極11、12に対して駆動電圧を繰り返し変化させると、振動膜16が膜厚方向に変位する。具体的には、振動膜16は、上空間部101側への変位と下空間部102側への変位を交互に繰り返し、上空間部101内の空気を振動させる。空気の振動(音波)は、上部貫通孔21aを介してパッケージ20の外部へと出力される。この際、下部貫通孔22aは、下空間部102に対する空気の流通を確保し、振動膜16の振動を許容する働きを担っている。
外部電極30は、チップ電極31と、モジュール電極32と、電極配線33とで構成されている。チップ電極31は、音響チップ10の電極パッド11a,12aと接続する。チップ電極31は、内部空間100に収容された音響チップ10の電極パッド11a,12aと対向するように、内部空間100の上面、具体的には2枚の中間基板23のうち上側に位置する中間基板23の下面に形成されている。モジュール電極32は、チップ電極31及び電極配線33を介して電極11、12と接続するための電極である。モジュール電極32は、パッケージ20の上面、具体的には、上部基板21の上面に形成されている。電極配線33は、チップ電極31とモジュール電極32とを接続する。上部基板21と、この上部基板21と隣り合う中間基板23とには、互いに連通するスルーホールが設けられており、電極配線33はスルーホールに設けられている。なお、図1及び図2では、一部の外部電極のみが代表的に描かれている。
当接パッド40は、上空間部101及び下空間部102にそれぞれ設けられており、振動膜16と向かい合うように配置されている。当接パッド40は、振動膜16の変位を制限する機能を担っている。すなわち、当接パッド40は、振動膜16が上空間部101側又は下空間部102側へと変位したときに、振動膜16又は振動膜16上の圧電素子が当接パッド40に当接することで、振動膜16の変位を制限する。
当接パッド40において振動膜16が当接する当接面40aと、振動膜16との間の距離は、圧電素子に定格電圧が印加されたときの振動膜16の変位(以下「最大変位」という)に基づいて設定されている。すなわち、当接パッド40の当接面40aは、最大変位よりも大きな変位が生じた際に、振動膜16又は圧電素子が当接面40aへと当接するように設定されている。これにより、圧電素子による振動膜16の通常の変位を妨げることなく、衝撃などによって最大変位を超えるような大きな変位が圧電膜13に生じたときに、振動膜16が当接面40aに当接することとなる。
当接面40aの形状は、振動膜16が変位したときの変位形状に基づいて形成されている。これにより、振動膜16が当接面40aに当接したときに、当接面40aが振動膜16を面で受けることとなる。例えば、上空間部101に配置される当接パッド40の当接面40aは、上側に向かって湾曲するような半球形状を有する。同様に、下空間部102に配置される当接パッド40の当接面40aは、下側に向かって湾曲するような半球形状を有している。また、上空間部101に設けられた当接パッド40の中央には、上部貫通孔21aと連通する貫通孔が形成され、下空間部102に設けられた当接パッド40の中央には、下部貫通孔22aと連通する貫通孔が形成されている。
このように本実施形態において、トランスデューサは、振動膜16が膜厚方向に変位したときに圧電素子又は振動膜16が当接することで振動膜16の変位を制限する当接パッド(当接部材)40を備えている。
この構成によれば、当接パッド40により振動膜16の変位を制限することができるので、衝撃による振動膜16の過大な変位を抑制することができる。これにより、破損の発生を抑制することができるので、衝撃に対して耐性を持ったトランスデューサを提供することができる。
また、本実施形態において、パッケージ20は、振動膜16の膜厚方向に沿って積層された4つの基板21〜23から構成されている。
この構成によれば、それぞれの基板21〜23を所定の形状に形成し、これらの基板21〜23を積層することで、所望の形状のパッケージ20を簡易に形成することができる。
本実施形態に係るトランスデューサは、上述した構成に限らず、様々な変更が可能である。以下、図5A〜図10を参照し、本実施形態に係るトランスデューサの変形例を説明する。なお、図5A〜図10では、当接パッド40の記載を省略しているが、これらの変形例であっても当接パッド40を適用することができる。
(第1の変形例)
まず、上述した実施形態では、モジュール電極32を、パッケージ20の上面に設けている。しかしながら、モジュール電極32は、パッケージ20の外面に設けられていればよい。図5Aに示すように、下部基板22の下面側にモジュール電極32を形成することで、パッケージ20の下面にモジュール電極32を設けることができる。また、図5Bに示すように、パッケージ20の側面は、4つの基板21〜23の端面が上下に並んで構成されている。そこで、4つの基板21〜23の端面にモジュール電極32を形成することで、パッケージ20の側面にモジュール電極32を設けることができる。
このように、4つの基板21〜23を積層してパッケージ20が構成されているので、モジュール電極32のレイアウトに関する自由度を高めることができる。
(第2の変形例)
上述した実施形態において、一対の電極11、12に対する駆動電圧の変化は、モジュール電極と電気的に接続される電子部品によって行われる。この場合、パッケージ20に電子部品を設けてもよい。
図6Aにおいて、電子部品50は、上部基板21の上面に実装され、パッケージ20の上面に設けられている。図6Bにおいて、電子部品50は、下部基板22の下面に実装され、パッケージ20の下面に設けられている。また、図6Cに示す例では、電子部品50は、下部基板22の上面に実装され、内部空間100内に設けられている。
なお、パッケージ20に電子部品50を設ける場合、電子部品50に対して電力を供給する電源配線(図示せず)及び信号を供給する信号配線(図示せず)をパッケージ20に形成することができる。また、パッケージ20の上面又は下面に電子部品50を実装する場合には、電子部品50の実装スペースを考慮して上部貫通孔21a又は下部貫通孔22aを形成することが好ましい。
4つの基板21〜23を積層してパッケージ20が構成されているので、パッケージ20に対して電子部品50を実装することができる。これにより、音響チップ10と電子部品50とがセットにされたトランスデューサを提供することができる。
(第3の変形例)
上述した実施形態では、4つの基板21〜23を同一形状かつ同一サイズに設定している。しかしながら、4つの基板21〜23は互いに形状が異なってもよいし、互いにサイズが異なってもよい。
図7Aにおいて、4つの基板21〜23のうち、上側の基板21、23(上部基板21、上部基板21の下側に隣接する中間基板23)は、下側の基板22、23(下部基板22、下部基板22の上側に隣接する中間基板23)よりも大きなサイズ(面積)に設定されている。このようなサイズの相違により、上側の基板21、23の周縁は、下側の基板22、23の周縁よりも外側に張り出している。すなわち、上側の基板21、23の張り出した領域は、パッケージ20の側面を1周するように、フランジ状に形成されている。
この構成によれば、パッケージ20を収容する製品筐体に対してパッケージ20を組み付ける際に、上側の基板21、23の張り出した領域を利用して製品筐体との固定を行うことができる。これにより、製品筐体に対するパッケージ20の固定を効率的に行うことができる。この場合、製品筐体は、上側の基板21、23の張り出した領域を受け止める構造を備えることが好ましい。
また、この構成によれば、上側の基板21、23の張り出した領域はパッケージ20の周囲の全体に設けられているので、製品筐体とパッケージ20との間に生じる隙間を塞ぐことができる。これより、パッケージ20周囲の気流をコントロールすることができるので、音波の出力特性を安定させることができる。
なお、上部基板21の下側に隣接する中間基板23が、外側へと張り出しているため、中間基板23の下面もパッケージ20の外側に露出している。そのため、図7Bに示すように、中間基板23の下面にモジュール電極32を形成してもよい。これにより、チップ電極31とモジュール電極32とを直接接続することができるので、簡単に外部電極30を形成することができる。
また、図7Cに示すように、中間基板23の下面に電子部品50を実装してもよい。また、図7Cに示すように、サイズを大きくする基板は、4つの基板21〜23のうち、1つ以上の基板から選択することができる。
(第4の変形例)
図8Aにおいて、トランスデューサは、シール部材60をさらに有している。シール部材60は、パッケージ20と膜体15との間に形成される隙間に配置されている。シール部材60は、リング状に形成されており、パッケージ20と膜体15との隙間をシールする機能を担っている。
この構成によれば、パッケージ20と膜体15との隙間をシールすることができる。これにより、パッケージ20と膜体15との隙間を流れる空気を規制し、意図した空気の流れを形成することができる。その結果、音波の出力特性を安定させることができる。
(第5の変形例)
図8Bにおいて、トランスデューサは、シート部材65をさらに有している。シート部材65は、上部貫通孔21aを閉塞するように、上部基板21の下面側に設けられている。また、シート部材65は、下部貫通孔22aを閉塞するように、下部基板22の下面側に設けられている。シート部材65は、シート状に形成されており、空気を通過させることができる素材で形成されている。シート部材65としては、不織布、ゴアテックス(登録商標)のような防水通気性を備える布を用いることができる。
この構成によれば、上部貫通孔21a及び下部貫通孔22aがシート部材65で閉塞されるため、粉塵又は液体などが内部空間100へと入り込むことを抑制することができる。一方、シート部材65は、空気を通過させる素材で形成されているため、上部貫通孔21a及び下部貫通孔22aによる空気の流通を維持することができる。なお、図8Bに示す例では、トランスデューサがシール部材60を備えているが、シール部材60を備えていない構成に対してシート部材65を適用することもできる。
(第6の変形例)
図1及び図2に示す実施形態において、上部貫通孔21aは、上部基板21の板厚方向に沿って直線形状に設定されている。しかしながら、上部貫通孔21aは、直線形状以外の形状であってもよい。
図8Cにおいて、上部貫通孔21aは、第1開口210と、第2開口211と、連通部212とで構成されている。第1開口210は、パッケージ20の外部空間側に位置する開口である。第2開口211は、内部空間100(上空間部101)側に位置する開口である。連通部212は、第1開口210と第2開口211とを連通する。振動膜16と平行な平面で見た場合に、第1開口210の位置は、第2開口211の位置と相違している。したがって、第1開口210から第2開口211へと直線的に向かうことができないため、連通部212は、屈曲や湾曲を伴う形状となる。このため、上部貫通孔21aは、全体として非直線形状に形成されている。
このような構成によれば、上部貫通孔21aが直線形状に形成されていないため、粉塵などが内部空間100へと入り込むことを抑制することができる。一方、上部貫通孔21aは連通しているので、空気の流通を維持することができる。なお、図8Cに示す例では、トランスデューサがシール部材60を備えているが、シール部材60を備えていない構成に対して、図8Cに示す構成を適用することもできる。また、上部貫通孔21aのみならず、下部貫通孔22aに対しても、図8Cに示す構成を適用することができる。
(第7の変形例)
図9Aにおいて、パッケージ20の上面、すなわち、上部基板21の上面の周縁には、内側に窪むような溝部21bが形成されている。この溝部21bは、パッケージ20の周囲を一周するように、上部基板21の周縁の全部に形成されている。
この構成によれば、パッケージ20を収容する製品筐体に対してパッケージ20を組み付ける際に、溝部21bに対して製品筐体を嵌合することで、パッケージ20と製品筐体との固定を行うことができる。これにより、製品筐体に対するパッケージ20の固定を効率的に行うことができる。この場合、製品筐体に、溝部21bと嵌合する突起構造を用意しておくことが好ましい。
また、この構成によれば、溝部21bと製品筐体とが嵌合することで、製品筐体とパッケージ20との間に発生する隙間を塞ぐことができる。これより、パッケージ20周囲の気流をコントロールすることができるので、音波の出力特性を安定させることができる。
なお、図9Aに示す例では、パッケージ20の上面の周縁部に溝部21bを設けている。しかしながら、パッケージ20の下面の周縁部に溝部21bを設けてもよい。また、図9Bに示すように、パッケージ20の上面における上部貫通孔21aの周囲に、溝部21bを設けてもよい。当然、パッケージ20の下面における下部貫通孔22aの周囲に、溝部21bを設けてもよい。さらに、図9Cに示すように、パッケージ20の側面に、溝部23bを形成してもよい。
また、図10に示すように、溝部21bに代えて、パッケージ20の上面に、上面に起立する突起24を設けてもよい。この場合、突起24を設ける場所は、パッケージ20の上面に限らず、パッケージ20の下面であってもよい。
以下、図11A及び図11Bを参照し、本実施形態に係るトランスデューサの製造方法、具体的には、音響チップ10をパッケージ20によってパッケージングする方法を説明する。トランスデューサは、図1及び図2に示す構成とする。
まず、上部基板21と、この上部基板21の下側に積層された中間基板23とを含む上側の基板21、23を用意する。この上側の基板21、23によって形成される上空間部101には、当接パッド40が設けられている。また、上側の基板21、23には、外部電極30が形成されている。
そして、上側の基板21、23に対して音響チップ10を実装する。音響チップ10は、電極パッド11a、12aが上側を向くように配置されており、上側の基板21、23に対して音響チップ10が実装される。
つぎに、下部基板22と、この下部基板22の上側に積層された中間基板23とを含む下側の基板22、23を用意する。この下側の基板22、23によって形成される下空間部102には、当接パッド40が設けられている。
そして、音響チップ10を挟むように、下側の基板22、23を上側の基板21、23に対して接合する。これにより、音響チップ10がパッケージ20によりパッケージングされ、トランスデューサが完成される。
最後に、基板21〜23を切削して個々のチップ状に個片化することで、これにより図1及び図2に示すトランスデューサが完成する。
個片化を行うときにトランスデューサに衝撃が加わったとしても、当接パッド40により振動膜16の変位を制限することができる。その結果、衝撃によって振動膜16が過大に変位することを抑制することができる。これにより、破損の発生を抑制することができるので、衝撃に対して耐性を持ったトランスデューサを提供することができる。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、トランスデューサは、音波を送信する以外にも、音波を受信する用途に適用してもよい。また、トランスデューサは、音波に限らず、超音波の送信又は受信を行う用途に適用してもよい。
10 音響チップ
11、12 電極
13 圧電膜
15 膜体
16 振動膜
17 膜支持部
20 パッケージ
21 上部基板
22 下部基板
23 中間基板
30 外部電極
31 チップ電極
32 モジュール電極
33 電極配線33
40 当接パッド
40a 当接面

Claims (10)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極に挟まれた圧電膜とを備える圧電素子と、
    膜厚方向に変位可能な振動膜を備え、前記振動膜上に前記圧電素子が積層される膜体と、
    前記圧電素子及び前記膜体を収容する内部空間を備えるパッケージと、
    前記内部空間に設けられ、前記振動膜が膜厚方向に変位したときに前記圧電素子又は前記振動膜が当接することで前記振動膜の変位を制限する当接部材と、
    を有するトランスデューサ。
  2. 前記パッケージは、前記振動膜の膜厚方向に沿って積層された複数の基板から構成されている
    請求項1記載のトランスデューサ。
  3. 前記パッケージの外面には、前記一対の電極と電気的に接続するためのパッケージ電極がそれぞれ設けられている
    請求項2記載のトランスデューサ。
  4. 前記パッケージには、前記一対の電極に対する駆動電圧を変化させる電子部品が設けられている
    請求項2又は3記載のトランスデューサ。
  5. 前記複数の基板は、
    第1の基板と、
    前記第1の基板の周縁よりも外側に延出するように、前記第1の基板の面積よりも大きな面積を有する第2の基板と、を含む
    請求項2から4のいずれか一項記載のトランスデューサ。
  6. 前記パッケージには、前記パッケージの周囲を一周するように形成される、凹状に窪んだ溝部が設けられている
    請求項2から5のいずれか一項記載のトランスデューサ。
  7. 前記内部空間は、前記振動膜を境に第1空間部と第2空間部とに仕切られ、
    前記パッケージは、
    前記パッケージの外部空間と前記第1空間部とを連通する第1貫通孔と、
    前記外部空間と前記第2空間部とを連通する第2貫通孔と、有する
    請求項1から6のいずれか一項記載のトランスデューサ。
  8. 前記パッケージと前記膜体との間に形成される隙間に配置され、前記隙間をシールするシール部材をさらに有する
    請求項7記載のトランスデューサ。
  9. 前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を閉塞するシート部材を有し、
    前記シート部材は、空気を通過させる素材で形成されている
    請求項7又は8記載のトランスデューサ。
  10. 前記第1貫通孔又は前記第2貫通孔は、
    前記外部空間側に位置する第1開口と、
    前記内部空間側に位置する第2開口と、
    前記第1開口と前記第2開口とを連通する連通部と、を有し、
    前記振動膜と平行な平面で見た場合に、前記第1開口の位置と前記第2開口の位置とが相違している
    請求項7から9のいずれか一項記載のトランスデューサ。
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